漆黒の夜に君と。U[BL]
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#672 [ちか]
>>671ちぇりーさま

いつもありがとうございます(*^^*)
がんばります!

⏰:11/05/23 21:57 📱:P906i 🆔:hs3GZuoY


#673 [ちか]
>>670続き


「俺にとって特別なのは
恭弥だけだった。」


俺より頭一個分身長の高い男はそう話を続ける。


身長差のせいで、俺の顔は凌の胸に埋もれたまま。

そんな状態で
好きな男から聞きたくもない話を始められもう俺は気が気でない。

もうこれ以上、
聞くのはごめんやった。

これ以上話されたら
せっかくびっくりした拍子に止まった涙がまた零れてしまいそうやったから。


「恭弥が特別なことぐらい分かって…「特別だったんだよ。今までは。」

⏰:11/05/23 22:14 📱:P906i 🆔:hs3GZuoY


#674 [ちか]
「…黙って聞けって言ってるだろ。」

少し溜め息混じりにそう言われても、黙っている方が無理やろ…。

そう言いたいところやったが反抗する気にもなれず、俺は黙ってその胸に埋もれた。


「前に会ったとき、恭弥に言われたんだ。
お前の特別は僕じゃない。思い込んでるだけだ。本当は別に"特別"が居るんだろ?って。
それからずっとその"別の特別"を考えてた。」


静かで無機質な部屋の中で俺に聞こえるのは、
凌の声と定期的に刻まれる心臓の音。
それ以外何も耳に入らなかった。

⏰:11/05/23 22:36 📱:P906i 🆔:hs3GZuoY


#675 [ちか]
「それで…、
考えてたらこのザマだ。
風邪引いて、自分じゃどうしようもない状態になるまで気づかなかった。
誰か傍に居てほしくて、
自然と思い浮かんだ"誰か"がお前だった。
なんでかは自分でも良くわからない。」


「なんやねん、それ……。」

俺は世話係ちゃうっちゅうねん。
こいつ、何が言いたいんや。

もう俺は、半ば話に耳を傾けることにすら疲れはじめていた。

お互い表情が見えないせいか、凌はそんなことにも気づかずに喋り続ける。

⏰:11/05/23 22:46 📱:P906i 🆔:hs3GZuoY


#676 [ちか]
「でもこうやって
傍に居てもらって分かったことがある。あんなに喧嘩ばっかりだったのに、なんでか、今傍に居ることがすごく落ち着くんだ。
帰ってほしくなくて、咄嗟に手を掴んだり。

今、こうやって
泣いてるお前を抱き締めてる。
抱き締めたいって思った自分が居る。」


心なしかその言葉のあと、抱き締めてる腕の力は一層強くなった。

⏰:11/05/23 22:52 📱:P906i 🆔:hs3GZuoY


#677 [ちか]
心臓がドキドキする。

どっちの音なのか分からんけど、自分の体が熱いのは十分に分かっていた。


抱き締められているその腕の中で俺は、ぎゅっと目を瞑った。
その声と胸の音だけが聞こえるように。



「やっと分かった。
俺の特別はお前だったんだって。」


その瞬間、
俺は瞑っていた瞳(メ)からずっと我慢していた涙を溢した。

⏰:11/05/23 22:58 📱:P906i 🆔:hs3GZuoY


#678 [ちか]
「めぐる、好き。」



奇跡が起こったと思った。

ああ、俺は
どれだけその言葉を
待っていたんだろう。


どれだけこうなることを
望んでいたんだろう。



生きてきて初めだった。
こんなに幸福感で心が満たされたのは。

⏰:11/05/24 00:13 📱:P906i 🆔:f7upGI8o


#679 [ちか]
そして凌はゆっくりと
俺から腕を離した。


そしてその色白の大きな手は俺の両肩へと伸ばされ、しっかりと見つめられる。


綺麗な碧色の瞳に見つめられると、吸い込まれてしまいそうだった。

⏰:11/05/24 00:17 📱:P906i 🆔:f7upGI8o


#680 [ちか]
「好きだよ。」


凌は真剣な目でそう言った後、照れるようにして
目線をそらした。


胸がぎゅっと鳴った。


もう視界は
涙でぼんやりとしている。

⏰:11/05/24 00:20 📱:P906i 🆔:f7upGI8o


#681 [ちか]
「俺も‥‥大好き‥。」


やっと言えた一言だった。


涙に混ざって
ちゃんと届くような声で
言えたかは分からない。


だけど、
目の前で凌は
顔を赤くしてはにかんでいた。


そして言う。少し意地悪な笑顔を浮かべて。

「知ってる。」


と。

⏰:11/05/24 00:23 📱:P906i 🆔:f7upGI8o


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