漆黒の夜に君と。U[BL]
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#674 [ちか]
「…黙って聞けって言ってるだろ。」
少し溜め息混じりにそう言われても、黙っている方が無理やろ…。
そう言いたいところやったが反抗する気にもなれず、俺は黙ってその胸に埋もれた。
「前に会ったとき、恭弥に言われたんだ。
お前の特別は僕じゃない。思い込んでるだけだ。本当は別に"特別"が居るんだろ?って。
それからずっとその"別の特別"を考えてた。」
静かで無機質な部屋の中で俺に聞こえるのは、
凌の声と定期的に刻まれる心臓の音。
それ以外何も耳に入らなかった。
:11/05/23 22:36 :P906i :hs3GZuoY
#675 [ちか]
「それで…、
考えてたらこのザマだ。
風邪引いて、自分じゃどうしようもない状態になるまで気づかなかった。
誰か傍に居てほしくて、
自然と思い浮かんだ"誰か"がお前だった。
なんでかは自分でも良くわからない。」
「なんやねん、それ……。」
俺は世話係ちゃうっちゅうねん。
こいつ、何が言いたいんや。
もう俺は、半ば話に耳を傾けることにすら疲れはじめていた。
お互い表情が見えないせいか、凌はそんなことにも気づかずに喋り続ける。
:11/05/23 22:46 :P906i :hs3GZuoY
#676 [ちか]
「でもこうやって
傍に居てもらって分かったことがある。あんなに喧嘩ばっかりだったのに、なんでか、今傍に居ることがすごく落ち着くんだ。
帰ってほしくなくて、咄嗟に手を掴んだり。
今、こうやって
泣いてるお前を抱き締めてる。
抱き締めたいって思った自分が居る。」
心なしかその言葉のあと、抱き締めてる腕の力は一層強くなった。
:11/05/23 22:52 :P906i :hs3GZuoY
#677 [ちか]
心臓がドキドキする。
どっちの音なのか分からんけど、自分の体が熱いのは十分に分かっていた。
抱き締められているその腕の中で俺は、ぎゅっと目を瞑った。
その声と胸の音だけが聞こえるように。
「やっと分かった。
俺の特別はお前だったんだって。」
その瞬間、
俺は瞑っていた瞳(メ)からずっと我慢していた涙を溢した。
:11/05/23 22:58 :P906i :hs3GZuoY
#678 [ちか]
「めぐる、好き。」
奇跡が起こったと思った。
ああ、俺は
どれだけその言葉を
待っていたんだろう。
どれだけこうなることを
望んでいたんだろう。
生きてきて初めだった。
こんなに幸福感で心が満たされたのは。
:11/05/24 00:13 :P906i :f7upGI8o
#679 [ちか]
そして凌はゆっくりと
俺から腕を離した。
そしてその色白の大きな手は俺の両肩へと伸ばされ、しっかりと見つめられる。
綺麗な碧色の瞳に見つめられると、吸い込まれてしまいそうだった。
:11/05/24 00:17 :P906i :f7upGI8o
#680 [ちか]
「好きだよ。」
凌は真剣な目でそう言った後、照れるようにして
目線をそらした。
胸がぎゅっと鳴った。
もう視界は
涙でぼんやりとしている。
:11/05/24 00:20 :P906i :f7upGI8o
#681 [ちか]
「俺も‥‥大好き‥。」
やっと言えた一言だった。
涙に混ざって
ちゃんと届くような声で
言えたかは分からない。
だけど、
目の前で凌は
顔を赤くしてはにかんでいた。
そして言う。少し意地悪な笑顔を浮かべて。
「知ってる。」
と。
:11/05/24 00:23 :P906i :f7upGI8o
#682 [ちか]
俺たちは
何度も確かめあうように
キスをした。
身長差のせいか
俺は少し背伸び気味で、
凌の首に腕を回す。
そんな俺を凌はぎゅっと抱き締めてくれた。
二度と離れたくない
と思うような、
そんな優しいキスを
何度も何度も
凌は俺に落としていった。
:11/05/24 00:27 :P906i :f7upGI8o
#683 [我輩は匿名である]
更新ずっと楽しみにしていました(*´∀`*)完結までゆっくり頑張ってください!いつも見ています♪
:11/05/24 19:41 :SH004 :BdCMATJA
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