漆黒の夜に君と。U[BL]
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#706 [ちか]
― 冥 side.―


「とおるっ」


マフラーに顔を埋めながら歩くネコ毛の茶色い髪はすぐに透だと分かった。


毎年見てる後ろ姿だから。

「あ、冥。おはよ。」

少し気だるそうな挨拶も
冬になると毎朝の恒例みたいになっていた。

⏰:11/05/27 22:28 📱:P906i 🆔:jTVAZp2g


#707 [ちか]
「おはよ!相変わらず朝弱いなー(笑)」

「…冬は特にな。ベッドから出れねぇ。」


透は極度の寒がりに加えて低血圧だから、冬は毎朝大変なんだ。

普段完璧な透だから、
そういうところが微笑ましかったりする。

⏰:11/05/27 22:36 📱:P906i 🆔:jTVAZp2g


#708 [ちか]
「今日は二度寝しなかったんだ?」

「いや、したよー。けっこうギリギリまで寝てて焦った。」


あはは、と笑うと
透も眠そうな目を細めて笑う。
こういう他愛もない会話でこんな風に笑えるのは、昔から何一つ変わらない唯一の形。


「昔みたいに冥が起こしに来てくれたら俺も頑張って起きるのになー。」

廊下から差し込む朝日が透を照らして、なんだか俺からはその時の透の表情(カオ)が良く見えなかった。

⏰:11/05/28 11:33 📱:P906i 🆔:BZsW/jv2


#709 [ちか]
昼休み、
いつもなら透と食べているのだが、残念ながら今日は一人。


なんでも昼休み返上で会議があるらしい。

生徒会役員って忙しいんだな、と常々思う。


教室のガヤガヤした雰囲気の中一人で食べるのは少し気分が滅入った。

⏰:11/05/28 13:47 📱:P906i 🆔:BZsW/jv2


#710 [ちか]
昼飯を食い終わった俺は喉の乾きを覚え、ジュースでも買おうと教室を出た。


自販機から一番近い階段を使って一階に降りようと廊下を歩いていると、廊下と中庭を挟んだ向かいの窓から恭弥を見つけた。


相変わらず学校では無表情なんだな。
クールと言えばそれまでだけどさ。

⏰:11/05/28 19:43 📱:P906i 🆔:BZsW/jv2


#711 [ちか]
そんなことを思いながら角を曲がろうとしたとき、恭弥の隣にもう一人居ることに気づいた。



透だった。


(会議の関係…かな?)

なんでか胸が少し痛くなった。

きっと、一瞬二人が楽しそうに笑っていたから。

⏰:11/05/28 20:05 📱:P906i 🆔:BZsW/jv2


#712 [ちか]
(笑うくらい別に普通のことなのに変なの…。)





胸に引っ掛かったものを振り払うように、俺は足早に階段を降りていった。
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───‥

⏰:11/05/28 20:23 📱:P906i 🆔:BZsW/jv2


#713 [ちか]
― 恭弥side.―

その共通点というのは
意外なものだった。


「へぇ、やっぱり黒羽先輩は昔から優秀だったんですね。」

「君も十分優秀だったと周り聞いてるよ。」

「そんな。俺なんて全然対したこと無いですよ。」

午後の役員会議のあと、そんな他愛もない話をする。

⏰:11/05/29 11:34 📱:P906i 🆔:jA9Q9JXE


#714 [ちか]
各教室を支配する生温い風が廊下に漏れだし、僕たちの間をすり抜ける。


「いやいや、蓮見くんの優秀さは先生からよく聞かされてるよ。なんでも先生達は2年生の次期会長より君に会長を任せたいとか。」


「あはは、まさか。大袈裟ですよ。こんなの冥が聞いたらなんて言うか。」



“冥”

それが僕たちの共通点だった。

⏰:11/05/29 12:38 📱:P906i 🆔:jA9Q9JXE


#715 [ちか]
「…本当に冥と仲良いんだね。」

「まぁ、そうですね。ガキの頃からの幼なじみなんで。冥のことなら誰よりも知ってるつもりですよ。」


そう言って微笑むその顔は天使か悪魔か。


(全く、作り笑いの上手い人間だな。)

まぁ、
僕も人のこと言えないけど。

⏰:11/05/29 12:43 📱:P906i 🆔:jA9Q9JXE


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