漆黒の夜に君と。U[BL]
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#727 [ちか]
「馬鹿馬鹿しい。」



こんなのは邪念だ、
と、頭の中を支配する彼の発言を消し去るようにそう呟いて、やっとの思いでその場を後にした。


─────────‥‥
──────‥‥
───‥‥

⏰:11/05/30 01:16 📱:P906i 🆔:nhTHY9Gc


#728 [ちか]
― 透 side.―


ずっと、

ずっと冥の隣は

俺のだと思っていた。




―‥高校に入るまでは。

⏰:11/05/30 11:27 📱:P906i 🆔:nhTHY9Gc


#729 [ちか]
冥とはウチが隣同士で、
お互い生まれた時から一緒に居たようなもんだった。


幼稚園も。
小学校も。
中学も高校も。


…まだ小学生だった頃、冥の両親が事故で亡くなってからはウチに一緒に住むようになって、
尚更一緒に居る時間が増えて、それが当たり前になっていた。

⏰:11/05/30 11:33 📱:P906i 🆔:nhTHY9Gc


#730 [ちか]
だけど、
中学を卒業すると同時に
一人暮らしする
って言い出してウチを出ていってしまった。


アイツのことだから
ずっと遠慮していたんだろう。

未だに両親の事故も自分のせいだ、って一人で抱え込んで。

口には絶対に出したことは無かったけど、昔から一緒に居るおかげがそこらへんの奴より冥の気持ちは分かっているし、分かってあげたかった。

⏰:11/05/30 11:37 📱:P906i 🆔:nhTHY9Gc


#731 [ちか]
もういつからアイツを好きだったのかなんて覚えてない。

気づけばもう手遅れだった。


アイツは俺を
ただの幼なじみだと思ってる。


だから俺も
それに答えなくちゃいけない。
ただの幼なじみを演じていなければいけない。

⏰:11/05/30 11:38 📱:P906i 🆔:nhTHY9Gc


#732 [ちか]
それ自体は苦じゃなかった。
アイツをすぐ隣で見ていられるのには変わりないし、アイツが喜んでくれればそれで良かったんだ。
それで。‥‥――――


一人暮らしも反対したけど、アイツがそうしたいならそれを応援してあげるのが俺の役目だと思って渋々ながら納得した。

それに一緒に住まなくなってもアイツは毎朝俺を起こしに来てくれた。

結局、アイツの隣は俺だったんだ。
俺だった、…はずなのに。

⏰:11/05/30 11:43 📱:P906i 🆔:nhTHY9Gc


#733 [ちか]
高校に入って暫くして、
アイツとの登下校はあっさり別の奴に奪われた。


アイツの隣、
俺の特別席は、

急に現れた黒羽恭弥に



奪われてしまった。

⏰:11/05/30 11:45 📱:P906i 🆔:nhTHY9Gc


#734 [ちか]
一言で言えば
ムカついた。


俺が必死で隠して
大切に作り上げて来た場所を、こうも簡単に崩されてしまったことを‥‥―――



「とおる?」

⏰:11/05/30 14:43 📱:P906i 🆔:nhTHY9Gc


#735 [ちか]
「眉間にすんごいシワ!なんかあった?」


ハッとした。

いつの間に教室まで
戻ってきてたんだろう。

目の前には
そう、俺の宝物が居る。


「いや、何でもない。会議のこと考えてた。」

笑顔を向けて淀んだ空気を取り繕ってみる。

⏰:11/05/30 14:47 📱:P906i 🆔:nhTHY9Gc


#736 [ちか]
「ふーん。大変だな!ま、おかえり!」


ああ、
どうしてコイツは
気づかないんだろう。


俺が
この屈託の無い笑顔に
どれだけ救われてきたことに。


「ただいま。」

コイツと居ると自然に笑える。
コイツの存在は俺の全てなんだ。‥‥――――

⏰:11/05/30 14:51 📱:P906i 🆔:nhTHY9Gc


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