漆黒の夜に君と。U[BL]
最新 最初 全
#825 [ちか]
徐々にその独占欲は
冥の幸せを優先したいと思う感情に呑まれるようになった。
こんなのは初めてだ。
他人の幸せを一番に考えるなんて。
そして、
その感情が加速するにつれて、
僕はあることに気づいた。
僕では、冥を幸せには出来ないということに。
:11/09/12 00:46 :Android :8pbz01wM
#826 [ちか]
僕は、
どうしても自分の欲で冥を呑み込んでしまう。
僕から離したくなくなって、
でもそれは冥の自由も同時に奪ってしまう。
きっと幸せも。……
それならいっそ、
冥から離れることが
僕が冥に出来る優しさなんじゃないか。
:11/09/12 00:51 :Android :8pbz01wM
#827 [ちか]
案の定、
今朝のようなことになった。
冥は自由を望んでいた。
知らず知らずのうちに僕は僕を押し付けて、苦しめていたんだ。
もうそんなことはしないから、
幸せになってほしい。
そんな思いで、
親友に引っ張られていく冥の後ろ姿を、焼き付けるように見つめた。
柄にもなく、涙が込み上げて
居たたまれなくなって静かに目を閉じた。
さようなら。
:11/09/12 00:57 :Android :8pbz01wM
#828 [ちか]
そんな風に呟くと、
脳裏に焼きついた冥の姿が滲んで
僕はただ、
そこに立ち尽くすことしかできなかった。
………――――
……―――
…――
:11/09/12 13:36 :PC/0 :sdX/PGUo
#829 [ちか]
*
はい、とりあえず
恭弥sideの話もここで区切り、
この話の前編と言える場面まで
終了しました。
ご無沙汰しております。
毎度不定期な更新で申し訳ありません。
スマートフォンから更新していたのですが、不具合で投稿出来ないのでPCから書いています。
治り次第、また携帯からの更新となりますがどちらにせよ私には変わりないのでご安心ください。
ではまた後ほど。
:11/09/12 13:41 :PC/0 :sdX/PGUo
#830 [ちか]
― 冥side.―
それから当分一人暮らしの部屋が見つかるまで、俺は透の家にお世話になることになった。
急な頼み事だったにも関わらず透のおじさんもおばさんも、まるで自分ん家(チ)の子供みたいに温かく迎えてくれた。
おばさんの得意料理の煮物が美味しくて、懐かしさと昔への恋しさで気持ちはいっぱいになっていた。
だけど。
.
:11/09/13 16:29 :Android :tm2WO/gQ
#831 [ちか]
ふと、夜になると
恭弥の顔が浮かんできて
溜め息が漏れる。
今日も。
「はぁ…」
また、こうやって。
:11/09/13 16:31 :Android :tm2WO/gQ
#832 [ちか]
感情に嘘はつけない。
突き放されたって
突き放したって
好きなのには変わりなくて
平気なフリをしても
それは余計に俺の内心を浮き彫りにさせて
あぁ、あいつじゃなきゃダメなんだ。
って改めて自覚することでしかなかった。
:11/09/17 18:29 :Android :xGmkdDcg
#833 [ちか]
「なんだよ、そんな溜め息ばっかついて。」
いきなりの声に
俺は戸惑いを隠し切れず
「えっ?!あ、いや…っ、別に?!」
動揺の隠しきれない裏返った返事をする。
透は特に興味も無さそうに
「ふーん。」と呟くと、
風呂から上がったばかりなのであろう水滴の滴る自分の頭をタオルで乱暴に掻いた。
「…風呂、空いたけど、入んねーの?」
:11/09/17 18:39 :Android :xGmkdDcg
#834 [ちか]
「お、おう、入る!今すぐ入る!!」
愛想笑いを振り撒いてそう言うと
俺は着替えを手に取り、
部屋のドアノブを握った。
「……なぁ、透。」
捻りかけたその手を止めて
後ろにいる透に向かい問いを投げた。
あえて顔を見ない俺は、ズルい。
:11/09/17 21:25 :Android :xGmkdDcg
★コメント★
←次 | 前→
トピック
C-BoX E194.194