漆黒の夜に君と。U[BL]
最新 最初 🆕
#834 [ちか]
「お、おう、入る!今すぐ入る!!」

愛想笑いを振り撒いてそう言うと
俺は着替えを手に取り、
部屋のドアノブを握った。

「……なぁ、透。」

捻りかけたその手を止めて
後ろにいる透に向かい問いを投げた。


あえて顔を見ない俺は、ズルい。

⏰:11/09/17 21:25 📱:Android 🆔:xGmkdDcg


#835 [ちか]
「ん?」

背後では布が髪を掻く音に紛れて、短い返事が返される。

俺はそのまま持っていた着替えをすがる様に握り直し、言葉を繋げた。

「例えばの話だけどさ、」

「うん」

「もし好きな人に」

「うん」

「急に別れてって言われたら、……透ならどうする?」


我ながら単刀直入な質問だと思い、
そんな風にしか聞けない自分に内心で叱咤する。

⏰:11/09/20 00:17 📱:Android 🆔:B0XKYw7A


#836 [ちか]
「あ…ほら、クラスの奴からそういう相談されてさ!!俺、そういう経験あんまり無いし、透昔からモテてたじゃん?!透なら分かるんじゃないかなーって。はは…は」


沈黙が俺を饒舌にさせる。

苦し紛れの苦笑いが痛々しい。

もういっそのこと、
やっぱ今のナシ、と言って逃げてしまった方がいいんじゃないか。

そんな風にさえ思っていた時、

「俺なら…」


漸く返ってきた答えに
俺は唾を飲んだ。

⏰:11/09/20 11:33 📱:Android 🆔:B0XKYw7A


#837 [ちか]
「本当に大事な相手なら、ちゃんと話し合いたい…って思うかな。」

冗談めかした俺のトーンとは逆に、透の声は真摯だった。


“本当に大事な相手なら”……―――

その言葉の重みに思わず、黙りこんでしまう。

「なに、お前、そんなん事でさっきから溜め息ついてたわけ?相変わらずお人好しだなぁ、お前は〜。さっさと風呂入れ。」

ドアの前で固まっている俺を
透は背中を押すように言葉で促した。


まるで俺の考えていることが全てお見通しかのように。

⏰:11/09/20 11:41 📱:Android 🆔:B0XKYw7A


#838 [ちゅん]
この小説 好きです 頑張って下さい^^

⏰:11/09/21 22:25 📱:F02B 🆔:m3OK/Je.


#839 [ちか]
>>838 ちゅんさま.

嬉しいお言葉ありがとうございます(;o;)
そう言っていただけると幸せです〜*
これからも頑張るので、
また感想くださいねっ
感想板もあるので、よかったらそちらにも来てみてください♪

⏰:11/09/22 16:44 📱:Android 🆔:laGvjmfE


#840 [ちか]
「だ、だよなっ!なんかすっきりした、さんきゅ!」

俺はそう言って忙しなくバスルームのある一階へと降りていった。


透は

一体、誰を思い浮かべて

“本当に大事な人”と言ったのだろう…――


そんなことを考えながら。

⏰:11/09/22 16:50 📱:Android 🆔:laGvjmfE


#841 [ちか]
散々、風呂の催促を渋ったためか
湯船は少しぬるくなっていた。

しかしそれが
心地よいとも言える。

「…話し合わなきゃな。」


俺はそんな呟きを空間に溶かして
潜るように顔を水面下に沈めた。

…………―――――――
……―――――

⏰:11/09/22 16:59 📱:Android 🆔:laGvjmfE


#842 [ちか]
翌朝、
冬の朝がまるで透を叩き起こして参加した朝礼は、いつもの恭弥の場所にいつの間にか新しい生徒会長が立っていた。


気づかないうちにも月日は過ぎて行くのか。

そんなことを今さらのように思い知りながら、同時に思いを固くする。

過ぎていく月日ご早いならなおさら、
風化しないうちにちゃんと自分の気持ちを伝えよう。と。

⏰:11/09/22 17:25 📱:Android 🆔:laGvjmfE


#843 [ちか]
※訂正※
>>840
一番大事な人→×
一番大事な相手→○

>>842
冬の朝がまるで透を→×
冬の朝がまるで苦手な透を→○

すいません!
その他変換ミスが時々ありますが、言い回しだけ訂正させていただきました。

⏰:11/09/22 17:51 📱:Android 🆔:laGvjmfE


★コメント★

←次 | 前→
↩ トピック
msgβ
💬
🔍 ↔ 📝
C-BoX E194.194