漆黒の夜に君と。U[BL]
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#905 [ちか]
突き放しておきながら、

結局何かに期待していた。


期待していたのは自分だけだったと、
思い知らされた。

一時間前から来て、
約束の時間が来て、
雨が降ってもその場から動く気はしなかった。

正しくは、
傘でも買っているうちに来たらすれ違ってしまうと思うと、動けなかった。

⏰:11/10/02 20:55 📱:Android 🆔:LOoeYdJY


#906 [ちか]
「自業自得かな。」


虚しさが増すだけと分かってはいるが、言葉にすると漸く重い足を動かすことが出来た。


もう冥にそんな気はないんだ。

今さら、なんだ。
僕が自分で決めたこと。

⏰:11/10/02 20:59 📱:Android 🆔:LOoeYdJY


#907 [ちか]
すっかり濡れて重たくなった制服が虚しさを煽り、家に帰ることは憚られた。


自ずと足は自宅と逆の方向に歩き始める。



霞む視界には人混みとネオンの光。

そこに冥の姿はやはり無かった。

⏰:11/10/02 21:05 📱:Android 🆔:LOoeYdJY


#908 [ちか]
― 冥side.―


はぁ…はぁっ……

全速力で走って、
漸く約束の場所に着いた。


が、すでに時計は7時を少し回ったところだった。

「くそっ……」


恭弥の姿は無い。

雨に濡れた髪が鬱陶しいほどまとわりつく。

まるで、自分の気持ちにまさ絡み付くように。



終わっちゃうのかな、俺たち。

⏰:11/10/02 21:09 📱:Android 🆔:LOoeYdJY


#909 [ちか]
「俺のバカっ…」

思わず溢れそうになる涙を必死に止めた。

そんな資格、俺には無い。

それでも、そこから離れたらすべてが終わってしまいそうで、


俺はなかなか動けずに居た。

浅ましい期待が動くことから遠ざけていた。

⏰:11/10/02 21:17 📱:Android 🆔:LOoeYdJY


#910 [ちか]
どれくらいそうしていただろうか。


すっかり雨は体を冷たくしていた。

っくしゅん、
と、くしゃみをして、
冬の雨はこんなに寒かったのかと今さらのように気づく。

虚しくて、

締め付けられるように悲しい。

⏰:11/10/02 21:19 📱:Android 🆔:LOoeYdJY


#911 [ちか]
深くため息をついた時、
ふいに携帯が鳴った。

おもむろに通話ボタンを押す。


「もしもし?」

『あ!!もしもし、冥ちゃん?!』

「めぐさん…?」


慌てたような声が受話器から届く。

なんでこんな時にめぐさんから?

不思議に思い、その声を聞く。

⏰:11/10/02 21:22 📱:Android 🆔:LOoeYdJY


#912 [ちか]
『いや、なんか、今凌の家おるんやけどな、』

間間に、いや、とか、あの、とか、繋げ言葉が混ざる。
せっかちなめぐさんらしい。

おかしくなって、少しだけ笑うことが出来た。
でもなんで凌さんの家に?

疑問を抱きつつ、受話器に耳を傾ける。
そして次の一言で俺の心臓はドクンと跳ねた。


『そしたら、急にキョンが来て…、』

⏰:11/10/02 21:26 📱:Android 🆔:LOoeYdJY


#913 [我輩は匿名である]
冥の携帯は電池切れで電源入ってないのに、携帯が鳴るっておかしくないですか?

⏰:11/10/02 21:30 📱:T001 🆔:cokBRWXE


#914 [ちか]
『なんかめっちゃ濡れてるし、熱やばくて…、っいたっ、ちょ、凌!!結局返せ!』

受話器の向こうでは凌さんの声が混ざる。

『なんでお前はそうせっかちなんだよ!様子見ようって言っただろ、バカ!』

『バカって言った方がバカですーっ!』


そんなコントばりの喧嘩が繰り出されるのはほんの少ししか耳に入らない。

とにかく分かったことただ一つ。

「凌さん家(チ)ですね、すぐ行きます…!」


そこに恭弥が居るってこと。

俺は人混みを掻き分けて走り出した。

⏰:11/10/02 21:32 📱:Android 🆔:LOoeYdJY


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