漆黒の夜に君と。U[BL]
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#922 [ちか]
心なしか車に乗っている時間が長く感じた。

焦りが時間の感覚さえ引き伸ばしている。
実際はそんなに距離もないはずなのに。


漸く着いた凌さんの家に上がり、
部屋に通される。

そこにはこんなにも会いたかった愛しい人。

⏰:11/10/02 23:44 📱:Android 🆔:LOoeYdJY


#923 [ちか]
「タオル。拭きなよ。」

「あ、どうも…」

凌さんに渡されたタオルで全体を軽く拭くと、俺はベッドの傍に駆け寄った。

バタン、という音がして二人が気を利かせてくれたのだと知る。

寝顔を見ながらおでこに手を当てる。
たしかにすごい熱。


「ごめん…」

こぼれるような呟きが漏れる。

⏰:11/10/02 23:49 📱:Android 🆔:LOoeYdJY


#924 [ちか]
「俺のせいで…」

声が揺れる。

感情に容量があるなら、もう決壊は近い。

「でも、俺…恭弥が居ないとやっぱり…」

恭弥が居ないこの期間、
世界がモノクロになったみたいだった。

⏰:11/10/02 23:55 📱:Android 🆔:LOoeYdJY


#925 [ちか]
「恭弥じゃないとダメなんだよ…」

溢れる言葉と共に涙が流れた。

もうダメかも知れない。
何を言ったって、恭弥の気持ちは変わらないかも知れない。

だけど、
それでも好きなんだ。


眠っている恭弥を見ながら、次から次へ言葉が溢れた。

⏰:11/10/03 00:03 📱:Android 🆔:pPNlEVvs


#926 [ちか]
「たしかに強引だし、独占欲強いし、わがままだけど…」

そんな恭弥に俺は
いつの間にか惹かれてて。

「それでも俺、」

そんな恭弥が愛しくて、

「俺…、」

もうずっとあんたしか、

「恭弥のこと…」

見えなくて

⏰:11/10/03 00:09 📱:Android 🆔:pPNlEVvs


#927 [ちか]
好き、


そう言いかける前に
唇が塞がれた。


一瞬のことに驚いて、
また涙が一筋頬を伝う。

目の前には
困ったように、でも優しく微笑む恭弥。

「ごめん、最後まで聞きたかったけど可愛かったから、つい。」

⏰:11/10/03 00:15 📱:Android 🆔:pPNlEVvs


#928 [ちか]
っな、

「なんで?!寝てたんじゃ…っ、///」

俺の動揺に、
恭弥はさらに不味そうな顔をした。

「や、起きてた。」

ごめん、と付け足されると、もはや攻める気にもならない。

焦りと恥ずかしさから言葉な出ずに口がパクパクと意味無く動く。

「でも、安心した。」

そう言って笑う恭弥の顔を見たのはいつぶりだろうか。

⏰:11/10/03 00:20 📱:Android 🆔:pPNlEVvs


#929 [ちか]
「冥のこと誰にもやりたくなくて、でもそしたら冥を幸せに出来ないと思った。だったらいっそ、僕と離れた方が冥のためなんじゃないかって思ってた。」


恭弥がそんなこと考えてたなんて。

胸の奥がじんわりと暖かくなった。

嬉しさにまた涙が出る。


「冥ってこんな泣き虫だっけ」

クスッと笑う恭弥が少し憎らしい。

「泣き虫にさせてんのは誰だと思ってんだよ、バカ」

⏰:11/10/03 00:25 📱:Android 🆔:pPNlEVvs


#930 [ちか]
「ごめん、…でも冥はほんとに僕でいいの?僕、冥のこと独り占めしちゃうよ?」

「…何回も言わ…せんな、っ」

しゃくりあげるのを堪えて、
目の前のソイツを睨んだ。


「…もう、あんたしか見えてねえよ…っ」

バカ。とか付け足したのは照れ隠し。

頬が紅潮していくのが自分でも分かった。

⏰:11/10/03 00:31 📱:Android 🆔:pPNlEVvs


#931 [ちか]
恭弥が俺の頬に触れる。
熱のせいかその手は熱い。

「もう絶対離さない。」

「当たり前だ。」


そして唇が再び重なった。

今度は、
さっきと違って
長く、息も出来ないほどの。


「ん…ふ…ぁ」

恭弥、もっと、

頭ではらしくないと思っても
もう感情がそれを追い抜いていた。

せがむように首に手を回したその時。

⏰:11/10/03 00:38 📱:Android 🆔:pPNlEVvs


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