悪 魔 の 誕 生 日
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#551 [七瀬]
“無表情”
まさしくそれ。
『ひめ?』
なにを考えているのか‥
まったく読めない。
心のブロックがあって、
入ろうとするのを邪魔する。
:09/05/10 00:41
:N703iD
:fjEZONms
#552 [七瀬]
「雷は、なにも分かってない。」
頭痛くなってきた。
「でもね。」
声が柔らかくなった。
「それは、雷が悪いんじゃないの。私なの。姫が全部悪いんだよ。」
今度は、姫が顔を下げた。
:09/05/10 00:44
:N703iD
:fjEZONms
#553 [七瀬]
「私ね‥ほんとはこんなんじゃないの。」
下を向いたまま、話す姫。
「いつも雷に意地悪してるけど、ほんとは違うの。」
声が震えていた。
「昨日だって、雷がゆかちゃんのところへ行っちゃうんじゃないかって怖かった。それは今も同じ。」
:09/05/10 00:49
:N703iD
:fjEZONms
#554 [七瀬]
不安なの‥だろうか。
『‥そんな顔だったから気付かなかった。』
「姫‥不安になると無表情になっちゃうから。」
ハハっと笑った。
『そう‥なんだ。』
ああ、
やっぱ、なんも分かってない。
:09/05/10 00:53
:N703iD
:fjEZONms
#555 [七瀬]
「だから‥っ!!」
姫が意を決したように、
顔を上げた。
「私は、ほんとのほんとの“真姫”は、バカで泣き虫で弱虫なの‥‥っっ!」
『そっ‥そう。』
すごい勢いで言うもんだから、びっくりした。
姫はイスから立ち上がって手は机についていた。
:09/05/10 00:57
:N703iD
:fjEZONms
#556 [七瀬]
『ちょ‥落ち着いて!』
「ああ、ごめん‥
ちょっと興奮しすぎた‥」
ふぅーと一息つくと、
またイスに座った。
自分も落ち着こうと、
マグカップへ、口を運ぶと甘さが広がった。
「でね、だから‥
私、不安なの。とっても」
茶色い瞳に自分の姿が映る。
:09/05/10 14:09
:N703iD
:fjEZONms
#557 [七瀬]
やはり、
不安だったようだ。
『気付いてあげられなくてごめん。』
瞳に映った自分自身を見ながら、言った。
『でも、今日終わらせた。ゆかちゃんとも、昔の俺とも。』
その中の俺が、ぼやけて見えてきたのは、さっきのあったかい涙のせい。
:09/05/10 16:30
:N703iD
:fjEZONms
#558 [七瀬]
『だから安心して。』
そう笑った。
「‥…ありがと‥う‥」
瞳は、ますます潤んで、 とうとう俺は完全に映らなくなってしまった。
不謹慎かも、しれないけど、
真っ白な雪のような頬に伝うひとすじの涙は、この世のものとは思えないほど、きれいだった。
:09/05/10 19:56
:N703iD
:fjEZONms
#559 [七瀬]
美里
ゆかちゃん
姫‥
“女の子は恋をすると、
きれいになる”
それはきっと、おとぎ話でも、童話でもない。
まぎれもない真実なんだ。
そして、俺も‥ね。
:09/05/10 19:59
:N703iD
:fjEZONms
#560 [七瀬]
姫も俺も、きっと同じだったんだ。
バカで
不安で不安定。
泣き虫で弱虫。
同じくらい成長もした。
人を好きになった。
本気で笑えた。
:09/05/10 20:04
:N703iD
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