悪 魔 の 誕 生 日
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#1 [七瀬]
どーも(*´∀`*)
3作目です!!

受験勉強の息抜きとして
書いていきますので
マイペース更新になりますがご了承下さい。

荒らし、中傷
止めてね(ノд<。)゜。

前作も貼ってるので、
感想板にも遊びに来て下さいな♪

bbs1.ryne.jp/r.php/novel/4276/

⏰:09/04/12 00:31 📱:N703iD 🆔:uqDmmwIM


#2 [七瀬]
*アンカー* 

>>2-100
>>100-200
>>200-300
>>300-400
>>400-500
>>500-600
>>600-700
>>700-800
>>800-900
>>900-1000

⏰:09/04/12 00:43 📱:N703iD 🆔:uqDmmwIM


#3 [七瀬]
 
 
「もう少しですよ。
頑張って下さい!
肩の力抜いて……そうだ。一緒に深呼吸しましょう。スゥーハースゥーハー。」


目の前にいる看護師さんに促され、深く息を吸い込む。

そして、その息をなるべく長く吐く。


スゥーハースゥーハー。
 

⏰:09/04/12 00:49 📱:N703iD 🆔:uqDmmwIM


#4 [七瀬]
 
「もうお腹まで出かかっていますよ。」

そうやって、こめかみに流れる汗を拭いてくれる。


今日は生憎の大雨。

雷のゴロゴロとゆう音が
遠くに聞こえる。



「ん゛ん゙ん゙ーーー!!」

再び息を吸い込んだ後、
思いっきり力んだ。

⏰:09/04/12 00:53 📱:N703iD 🆔:uqDmmwIM


#5 [七瀬]
 
 
その瞬間

ピカッ ゴロゴロゴロゴロドーーン!!


雷の落ちる音が聞こえたと同時に



オギャアー!

という愛しい我が子の
泣き声が聞こえた。
 
 

⏰:09/04/12 00:57 📱:N703iD 🆔:uqDmmwIM


#6 [七瀬]
 
 
 
 
 
 
“ 悪 魔 の 誕 生 日 ”
 
 
 
 
 
 

⏰:09/04/12 00:58 📱:N703iD 🆔:uqDmmwIM


#7 [七瀬]
 
 
「ねぇねぇ〜!!
今日はなんの日か覚えてるでしょー?」


『忘れるわけないじゃん!俺と美里の誕生日!!』


「雷、
覚えててくれたんだっ!!」


『あったりまえだろ!』
 
 

⏰:09/04/12 01:02 📱:N703iD 🆔:uqDmmwIM


#8 [七瀬]
「お祝いしよ?今日。」

『わりぃ。
今日はダメなんだ。』

「えー?なんで?
私と雷の誕生日だよ??」


あー、めんどくせぇな。
知るかよ、そんなの。

『ごめん、美里。
またな!!』

そう言って立ち去った。


「ちょっと!雷ってば〜!!」 

⏰:09/04/12 11:13 📱:N703iD 🆔:uqDmmwIM


#9 [七瀬]
 
ため息をしながら
教室を出た。



「お誕生日おめでとう!」

廊下を出たら、
横から声が。

チラッと目線だけ、そいつに向けた。


「お前は、ほぼ毎日が誕生日で羨ましいな。
で、“今日で”何歳になったわけ?」

⏰:09/04/12 11:20 📱:N703iD 🆔:uqDmmwIM


#10 [七瀬]
 
相変わらず、
嫌味ったらしいヤツだな。
 
『知らね。
もう80歳くらいじゃね。』

「俺のじぃちゃんより年上じゃん。」

ハハッと笑ってゆう。


「お前、ほんと悪魔だな。」


『京介。』

「ん?」

⏰:09/04/12 11:27 📱:N703iD 🆔:uqDmmwIM


#11 [七瀬]
 
『悪魔ってゆーのも、
結構、疲れるもんだぜ。』

そう言って、
俺は学校を後にした。

細かく言うと、サボった。


かなり申し遅れたけど
俺の名前は岩崎雷(イワサキライ)

で、さっきのヤツが
京介(キョウスケ)
俺のダチ。

2人とも、県内で5本の指に入るほどの超バカ高に通う17歳、つまり高2。

⏰:09/04/12 11:35 📱:N703iD 🆔:uqDmmwIM


#12 [七瀬]
 
さっき京介が言ったように俺にはほぼ毎日が誕生日。


なぜかって?

それは俺が
だらしないからかな。

特に女に。


俺は勉強も生活も全部、
テキトーだが、
女のことに関しては
もっとテキトー。

その割には、女遊びが大好き。

⏰:09/04/12 11:40 📱:N703iD 🆔:uqDmmwIM


#13 [七瀬]
 
そんな俺がつく嘘…

まあ俺は
冗談のつもりなんだけど。


とりあえず、そういう嘘が俺の毎日を誕生日にしてしまった。


って言ってもね?

誰でも一回は、
つくような嘘なんだぜ?


いや、ほんとに!
 

⏰:09/04/12 11:45 📱:N703iD 🆔:uqDmmwIM


#14 [七瀬]
 
ただ女に
“誕生日いつ〜??”
って聞かれた時に、

“〇〇ちゃんは?”
って聞き返して、

“えー、私は〜”
ってバカみたいに言うのを


“うっそ!まぢ?
俺と一緒〜!!”

って言うだけ。


ほんとそれだけなのに。
 

⏰:09/04/12 11:49 📱:N703iD 🆔:uqDmmwIM


#15 [七瀬]
 
大体、女はその後に


“やだっ!運命じゃん!!”

って、一人喜ぶか、

“じゃーさ、
その日お祝いしよーよ!”

って果たされることのない約束をするのか…

たまに
食事したりするけどね。
俺がヒマな時とか。


まあ、そのどっちかだな!

⏰:09/04/12 11:54 📱:N703iD 🆔:uqDmmwIM


#16 [七瀬]
とりあえず、
誕生日を聞かれた時に
これを言って喜ばない女はまずいない。

それで盛り上がって、
ホテルに直行!!

みたいな?


そんでね〜、
誕生日プレゼント。

これも、全然ふつーの俺にとってなにもない日に
いきなり貰えたり、

これが
ほんとのサプライズ!

⏰:09/04/12 12:00 📱:N703iD 🆔:uqDmmwIM


#17 [七瀬]
後、さっきみたいに
“今日はなんの日でしょう?”って
聞かれても簡単に答えられる。

一回や二回、遊んだだけの女の誕生日なんて
覚えられないでしょ。

こういう時、便利なんだよね〜!

“一緒”って言っておけば間違いないし。
 
“覚えててくれたんだ〜”ってバカみたいに喜ぶんだよなこれが…
あ、さっきみたいにね。

⏰:09/04/12 12:08 📱:N703iD 🆔:uqDmmwIM


#18 [七瀬]
 
そんな俺を京介は
“悪魔”と呼ぶ。


でも、良いことばっかりじゃないんだよなあ〜。

やっぱテキトーな俺には
めんどくせぇし。



毎日毎日、誕生日…

さすがに飽きてくる。

“おめでとう”と群がってくる女たちもウザい。

⏰:09/04/12 12:31 📱:N703iD 🆔:uqDmmwIM


#19 [七瀬]
 
 
「ね、そこのあなた。」


ん、逆ナンか?
別に珍しくないけど。

『な〜に?』

いつもみたいに調子良く
振り向いた。

その瞬間、俺は目を見開いた。



…外人?
 

⏰:09/04/12 13:40 📱:N703iD 🆔:uqDmmwIM


#20 [七瀬]
 
『…俺?』

フランス人か?
なぜか突発的にそう思った。
やべー、俺フランス語どころか英語すらまともに話せないぜ。


「そう、そこのあなた。」

そこには色素の薄い髪に
真っ白な肌。
極め付けは焦げ茶の瞳の
チビな女。

ってか、めちゃめちゃ日本語しゃべってんじゃん!

⏰:09/04/12 13:45 📱:N703iD 🆔:uqDmmwIM


#21 [七瀬]
 
『えーと、俺になにか?』

とりあえず日本語話せるみたいだし、いっか。


すると、その外人?は
ニコッと笑って、言った。




「私と
付き合ってくれない?」  
 
 

⏰:09/04/12 17:30 📱:N703iD 🆔:uqDmmwIM


#22 [七瀬]
 
『は?』

逆ナンつっても、
ここまでストレートなのは初めてだな。


「だーから、付き合って?」

『観光案内?』

こう考えるのが
一番まとも…


「そうじゃなくって」

次はクスッと怪しげに笑った。

⏰:09/04/12 17:34 📱:N703iD 🆔:uqDmmwIM


#23 [七瀬]
 
 
「ボーイフレンドになってとゆう意味。」


『え?
って!!ちょっと……』

聞き返す前に
制服の裾を思いっきり引っ張られていた。


『ねぇ、ちょっと!
ねぇ!!どこ行くの!』


なにも答えない外人女。

⏰:09/04/12 17:39 📱:N703iD 🆔:uqDmmwIM


#24 [七瀬]
 
5分くらい、振り回されて俺はもうヘトヘト。

チビのくせに
すごい力だな、この女。


「あっ!」

いきなり止まる謎の女。


そして振り向いて
俺に

「駅ってどこにあるの?」

ってペロッと舌を出した。

⏰:09/04/12 17:43 📱:N703iD 🆔:uqDmmwIM


#25 [七瀬]
 
はあ!?
なに言ってんだよ、この女。

内心イライラしてたけど

相手はガキだし外人?だし…女だし。

『…ずいぶん前に通り過ぎたけど。』

無愛想だけど
十分、我慢したつもり。


「そ。
じゃあ戻ろっ!!」
 

⏰:09/04/12 17:48 📱:N703iD 🆔:uqDmmwIM


#26 [七瀬]
 
そんな俺の好意を
この女はあっさりとスルーしたどころか

また走りだした。


もう勘弁してくれよー!!



『ハァ…ハァハァ……』


やっと駅に着いた。

これで、この謎の女とも
おさらばできる。

⏰:09/04/12 17:52 📱:N703iD 🆔:uqDmmwIM


#27 [七瀬]
 
 
『ハァ…無事に駅着いて、良かったな。』

息を整える。


『じゃあ俺はこれで…』

そう立ち去ろうとした
瞬間


グイッ

またかよ!


「電車乗ろっ」

⏰:09/04/12 17:58 📱:N703iD 🆔:uqDmmwIM


#28 [七瀬]
『なに言って…』 


「デートデート〜」

そう楽しそうに笑う女。


俺のイライラは最高潮に。

『いい加減にしろよ!!
いきなり“付き合え”だの“デート”だの…
俺もヒマじゃねぇんだよ』

ヒマ人だけどね。

まあ、知らん女に振り回されて…
俺、実は気短いんだよ。

⏰:09/04/12 18:03 📱:N703iD 🆔:uqDmmwIM


#29 [七瀬]
 
『それにお前の
ボーイフレンドになったつもりもない。』


きついけど、
はっきり言わないと…

こういうヤツは質が悪い。


女はうつむいている。

…ちょっと言い過ぎた?


『その…ちょっと言い過ぎたかな?大丈…』

⏰:09/04/12 18:06 📱:N703iD 🆔:uqDmmwIM


#30 [七瀬]
 
顔を上げた女。


…笑ってる?

「そう…そうだよね。」


悲しそうに笑う。

泣かれたりすると、ウザいけど、

こんな顔されると…


ちょっと後悔すんだよな。

『え…と。』

⏰:09/04/12 18:10 📱:N703iD 🆔:uqDmmwIM


#31 [七瀬]
 
「私…20歳まで生きられないんだよねぇ。」

え?


「死ぬまで一回、デートしてみたくって。
彼氏とか憧れてて…ね。」
引きつってる笑顔が、
真実を語っていた。


「でも、なんかごめんね!見ず知らずなのに…
いきなり迷惑だよね!!」
 

⏰:09/04/12 20:00 📱:N703iD 🆔:uqDmmwIM


#32 [七瀬]
 
『いや…その。』


涙を流すわけでもなく、
ただ真っすぐに、その茶色い瞳を空へと向けていた。




『よし!行こっ!!』
 
 
「え…いいの?」

彼女の目が輝きだす。
 

⏰:09/04/12 20:03 📱:N703iD 🆔:uqDmmwIM


#33 [七瀬]
 
 
 
「わあ!!」

彼女は歓声を上げた。
目はキラキラしたまま。


「あれ!
あれ乗りたあーい!!」

指差す先には
メリーゴーランド。


軽やかなメロディーが流れる中、
子供たちが並ぶ列の最後に2人で並んだ。

⏰:09/04/12 20:13 📱:N703iD 🆔:uqDmmwIM


#34 [七瀬]
 
メリーゴーランドなんて
子供みたいな乗り物に
乗って楽しいのか?

そう思ったけれど
横顔を見る限りは楽しいんだろうな。



「お待たせしました。」

ガチャと鎖が開くと
今まで乗っていた子供たちが降りて、並んでいた俺たちの列が入った。

⏰:09/04/12 21:38 📱:N703iD 🆔:uqDmmwIM


#35 [七瀬]
 
「あれ!」

『え?…って、おいっ!』


俺の声を無視して
あの女は、子供らを押してまで、一番大きな白馬に乗っかった。

「ねぇねぇ!
早く早くー!!」

『え?俺も乗るの?』


「当たり前ー!!」
 

⏰:09/04/12 21:47 📱:N703iD 🆔:uqDmmwIM


#36 [七瀬]
 
ただでさえ、
周りの目が痛いのに

大人2人が
メリーゴーランド?

…なんて絶対無理!


「早くってばあ!!」

『いや…その、
俺は止めとくよ…』


「なんで?
なんでなんでー??」

⏰:09/04/12 21:51 📱:N703iD 🆔:uqDmmwIM


#37 [七瀬]
 
今さらだけど
なんなんだ、この女は。

3歳児か?


それに、
さっきの悲しそうな顔…

今は微塵も感じられない。


失敗した…
やっぱり、こんな
訳の分かんねぇヤツに付き合うんじゃなかった。


俺は後悔し始めていた。

⏰:09/04/12 21:56 📱:N703iD 🆔:uqDmmwIM


#38 [七瀬]
 
 
 
あの時、
俺は、この女に同情したのだろうか。





ただ、
なぜか、揺れている彼女の真っ茶色な瞳を見て


ほっとけなくなったんだ。 
 

⏰:09/04/12 22:32 📱:N703iD 🆔:uqDmmwIM


#39 [七瀬]
 
 
「あの〜お客様。
危ないので……」

アナウンスの人が
そう言ってくれなかったら俺は今頃、顔から火を吹いていただろう。


あの女は仕方なくといった感じで諦めてくれたようだ。


「ちゃんと写真、撮っててよね!」
 

⏰:09/04/12 22:35 📱:N703iD 🆔:uqDmmwIM


#40 [七瀬]
 
そう言ってたのを
思い出し、
インスタントカメラを構えた。



……お姫さまみたい。


子供だらけのメリーゴーランドで一人浮いてる彼女。

色素の薄い髪が太陽の日差しで、より美しさを際立たせている。
 

⏰:09/04/12 22:40 📱:N703iD 🆔:uqDmmwIM


#41 [七瀬]
 
 
無邪気に笑う彼女。


周りの目に
気にも止めないで、
白馬にまたがる彼女は


昔、読んだ童話に出てくるような
本物のお姫さまみたいだった。



そんな姿に、
ついレンズ越しに見とれていた。

⏰:09/04/12 22:45 📱:N703iD 🆔:uqDmmwIM


#42 [七瀬]
 
 
「ねぇ〜
ちゃんと撮ってくれた?」


『あ…ああ。』

気付くとメリーゴーランドはもう止まっていて、
あの女が目の前にいた。


「どれどれ…って全然撮れてないじゃ〜ん!!」

あなたに見とれてて
撮れませんでした。

なんて言えるわけない。

⏰:09/04/12 22:57 📱:N703iD 🆔:uqDmmwIM


#43 [七瀬]
 
 
『ごめん…』

「もうしっかりしてよね。」


こんな言い方されて
さっきみたいにムカつくはずなのに…

なぜか素直に頷いている自分がいた。


「ま、いいよ。
次、あれ行こーよ!」
 
そうやって、やっぱり俺の制服の裾を引っ張った。

⏰:09/04/12 23:01 📱:N703iD 🆔:uqDmmwIM


#44 [七瀬]
 
 
「あ、あれ食べたい!!」


コーヒーカップやら
なんやら…

幼稚園児が乗りそうな
乗り物ばっかり片っ端から乗った後、
そうやってクレープを指さした。


『はいはい。』

彼女をベンチに座らせて
俺は、ジュースとクレープを買いに行った。

⏰:09/04/12 23:07 📱:N703iD 🆔:uqDmmwIM


#45 [七瀬]
 
クレープ屋のおじさんが
丁寧に生クリームをのせている。



俺…やっぱり変だな。

だって、今日会ったばかりの見ず知らずの女に振り回されて…

しかも黙って言うこと聞いてるし。


なんか、あの女のペースにはまってる。

⏰:09/04/12 23:10 📱:N703iD 🆔:uqDmmwIM


#46 [七瀬]
 
 
「はい、クレープ2つとジュース2つで1000円ちょうどね。」

お金を渡して、あの女の待つベンチへと戻った。



「ふわふわ〜」

クレープを頬張る彼女。


結構、
キレイな顔してんだな。

その横顔を見て思う。

⏰:09/04/12 23:15 📱:N703iD 🆔:uqDmmwIM


#47 [七瀬]
 
横顔だと鼻筋の通った鼻がより強調されて見える。


ほんとフランス人みたい。

ってか絶対フランス人だ、これは。

大人っぽい。


けど、どこか幼さがある。


なんでだろう。
 

⏰:09/04/12 23:18 📱:N703iD 🆔:uqDmmwIM


#48 [七瀬]
 
座っている彼女の
上から下をゆっくりと吟味した。



あ、そうか!

なぜ、この女に幼さがあるのか…


それは


とてつもなくチビだから。 
 

⏰:09/04/12 23:21 📱:N703iD 🆔:uqDmmwIM


#49 [七瀬]
チビといっても
なんというか…


まあ、簡単に言えば

顔は外人っぽくって
体は日本人とゆうか子供。


顔だけ見れば、大人っぽいのに
体と全体で見ると、どうしても幼く見えてしまう。


俺が最初にガキと思ったのは、このせいだろう。

⏰:09/04/12 23:26 📱:N703iD 🆔:uqDmmwIM


#50 [七瀬]
なんともアンバランス。

スタイルも決して良いとは言えない。

でも、そのアンバランスさが彼女の魅力に見えた。

こう他の女にはないような…


不思議な魅力。
 

けど、今思うと
それは魔力だったのかもしれない。
 
俺を虜にした魔力…

⏰:09/04/12 23:33 📱:N703iD 🆔:uqDmmwIM


#51 [七瀬]
 
 
「あー、美味しかったあ」

クシャッと丸めてクレープの巻紙をゴミ箱に捨てた
彼女の顔は満足感で溢れていた。


『よし、
じゃあもう帰るか。』

そうベンチから立ち上がった。


「え…、もう…?」
 

⏰:09/04/12 23:37 📱:N703iD 🆔:uqDmmwIM


#52 [七瀬]
 
『“もう”って、
そろそろ日も沈むし…』

そう言いながら
彼女を見た。


「まだ…帰りたくない。」

『帰りたくない
って言われても……』



「私ね、遊園地に来たの、初めてなの。」

あの悲しそうな笑顔。

⏰:09/04/12 23:41 📱:N703iD 🆔:uqDmmwIM


#53 [七瀬]
 
 
「産まれた時から、
心臓が弱くって…
遊園地になんて、ろくに連れてってもらえなかった。

私が20歳まで生きられないのも、この心臓のせい。

だから死ぬ前に一度、
最初で最後の遊園地に来たかったの…」


ちょっと待って!

心臓弱いのに、あんなに走れるもんなのか!?

⏰:09/04/12 23:46 📱:N703iD 🆔:uqDmmwIM


#54 [七瀬]
 
「お願い…
もう少しだけ…」

そうは思ってもあの笑顔でお願いされちゃあなぁ。


『…分かった。
もう少しだけだぞ?』


「ありがとう!」

パアッと明るい笑顔に。


「で、ねぇ。次はこれに乗りたいんだあ!」

⏰:09/04/12 23:49 📱:N703iD 🆔:uqDmmwIM


#55 [七瀬]
 
 
 
そう指さす先には









ジェットコースター?
 
 
 

⏰:09/04/12 23:51 📱:N703iD 🆔:uqDmmwIM


#56 [七瀬]
 
「行くよっ!」

また引っ張られ走りだした。


『ちょ、ちょっと…』

これはさすがに
ダメでしょ!

心臓弱いのに
ジェットコースターって…

俺、なにがあっても
責任持てないよ?
 

⏰:09/04/12 23:53 📱:N703iD 🆔:uqDmmwIM


#57 [七瀬]
 
『待って!
待ってってば…』

そんな声も虚しく、
もう列に並んでいて、

夕方になって人が少なくなったからか、
列に並んですぐにジェットコースターに乗っていた。



しかも最前列。
 
 

⏰:09/04/12 23:57 📱:N703iD 🆔:uqDmmwIM


#58 [七瀬]
 
俺は、この時から…
と言うより、もっと前から

“20歳まで生きられない”

というのは嘘なんじゃないかと思っていた。


だって普通に考えたら、
そうなるだろ!?


あんなに走れて
しかもジェットコースターに乗るなんて…

心臓弱いのに、
あり得ないに決まってる。

⏰:09/04/13 00:01 📱:N703iD 🆔:6qm6G8Qs


#59 [七瀬]
 
いくらバカ高に通う俺だからって
それくらいは分かる。


なのに彼女のいいなりになってしまってる俺は





やっぱり
世界一バカなのかもしれない。
 
 

⏰:09/04/13 00:04 📱:N703iD 🆔:6qm6G8Qs


#60 [七瀬]
 
 
「キヤアァアアアーー!!」

隣のこの女…
すごい声だしやがった。

だから、もしかしたら心臓止まったんじゃねぇか
って思って見たら


ただ騒いでただけだった。


そんなこんなで
ジェットコースターが終わった後には
俺の方が心臓停止の状態だった。

⏰:09/04/13 00:39 📱:N703iD 🆔:6qm6G8Qs


#61 [七瀬]
 
 
「お疲れさまでしたー」

スタッフのこの一声に

“ほんと疲れたよ”

って言ってやりたかった。


『もう満足か?』

そうやってジェットコースターを降りた外人女の肩に手を置いた瞬間

「ハァ…ハア」

いきなり、しゃがみ込む。

⏰:09/04/13 00:46 📱:N703iD 🆔:6qm6G8Qs


#62 [七瀬]
 
『どうしたんだよ?』

「ハアハァ…大丈…夫。」

苦しそうに顔を歪ませるのを見て、俺はやっと事態の重大さに気付いた。

『大丈夫か!?』


「た……だのほっ…さ」

“発作”?


その間にも、
肩で大きく息を弾ませている。

⏰:09/04/13 06:48 📱:N703iD 🆔:6qm6G8Qs


#63 [七瀬]
 
 
ど…どどど、
どーすればいいんだ!?

正直、かなり混乱した。

だって、こんなことに
出くわしたのは人生初めてだし!

なかなか出くわさないでしょ。


ええ、えーと…
落ち着け、自分…

とりあえず、
自分に言い聞かせた。

⏰:09/04/13 06:52 📱:N703iD 🆔:6qm6G8Qs


#64 [七瀬]
 
『お、俺は
なにをしたらいいんだ?』


こういうことは、
本人に聞かなきゃわからない。


「カ…バン。カバ…ン
ハァハ…ァ」

段々、彼女の口から単語しか出てこなくなるのが
俺を余計に焦らせた。


カバン?
 

⏰:09/04/13 06:57 📱:N703iD 🆔:6qm6G8Qs


#65 [七瀬]
俺は、素早く
ジェットコースターの荷物置場にある彼女のカバンに手を伸ばした。


「あ…りがと。」

そうやって
白い粒、…多分錠剤みたいなものを口に運んだ。


「お客様、
大丈夫でしょうか!?」


それから、5分くらい
ジェットコースターの前にいた。

⏰:09/04/13 07:02 📱:N703iD 🆔:6qm6G8Qs


#66 [七瀬]
 
「フゥ…もう大丈夫。
行こっか。」

とりあえず歩けるみたいだし、さっきのベンチに戻った。


『やっぱり、もう帰ろう』

俺は、
彼女を見ずに言った。

責任は取れない。

これ以上、こいつの“ボーイフレンド”でいるのも
嫌だ。

⏰:09/04/13 07:06 📱:N703iD 🆔:6qm6G8Qs


#67 [七瀬]
 
「分かった。」

やけに素直だな。

「じゃあ最後に一つだけ。一つだけお願いがあるの」

はあ…
また“お願い”かよ。


『もうダメだ。
もうほんとに…』

彼女がジッと俺を見た。

今度は強引に引っ張るわけでもなく、俺の裾を掴むだけ。

⏰:09/04/13 07:10 📱:N703iD 🆔:6qm6G8Qs


#68 [七瀬]
 
 
「お願いよ…」


『…ほんとに最後だぞ。』


これに弱いんだよなあ、
俺は。

結局、こいつのいいなりじゃんかよ。


「ごめんね。」

だから
そんな風に改まれると
逆に手放せなくなるんだよ

⏰:09/04/13 07:14 📱:N703iD 🆔:6qm6G8Qs


#69 [七瀬]
 
 
俺たちは
彼女が希望したデートの最後を締めくくる定番らしい観覧車に乗った。


「……」

なにも話さず、外を見ている。


俺も“キレイだね”とか
“今日は楽しかった?”
とも聞かない。
 

⏰:09/04/13 07:18 📱:N703iD 🆔:6qm6G8Qs


#70 [七瀬]
 
 
「ねえ、今日はほんとにありがとう。」

彼女のこの一言で
もう最後なんだなって実感した。

この女に振り回されることもなく、
嘘か本当かも分からない
彼女の“発作”というなにパニくる必要もない。


なのに、
なぜか物足りない。

精々するはずなのに。

⏰:09/04/13 07:33 📱:N703iD 🆔:6qm6G8Qs


#71 [七瀬]
 
彼女の名前が知りたい。


そう思った。


一回デートしただけの女なのに。

一回寝た女の名前、誕生日はどうでもいいのに。


やっぱ俺、なんか変。

京介が見たら笑うだろうな。

⏰:09/04/13 07:37 📱:N703iD 🆔:6qm6G8Qs


#72 [七瀬]
 
 
「ねえ、あなた名前なんていうの?」

俺と同じこと考えてたんだ。


『君は?
なんてゆーの??』


「真実のお姫さま。」

ニコッと笑う。
 
 

⏰:09/04/13 18:35 📱:N703iD 🆔:6qm6G8Qs


#73 [七瀬]
 
真実のお姫さま……?


なにそれ。

ふざけてんのか?

外人女を見ると、
見下すように俺を見て笑っている。


…ふざけてんだな、
こんにゃろう。
 

⏰:09/04/13 18:38 📱:N703iD 🆔:6qm6G8Qs


#74 [七瀬]
 
 
『じゃー俺は悪魔くんだ』


「フフッ、なにそれ。」

おかしそうに笑う。





「マヒメ。」
 
 
マヒメ…?
 

⏰:09/04/13 18:54 📱:N703iD 🆔:6qm6G8Qs


#75 [七瀬]
 
 
「真実のお姫さまと書いて“真姫”」


『ま…ひめ。』

「あなたは?」


『俺は…』

呆然としてしまったのは


あまりにも彼女に
ぴったりな名前だと思ったから。

⏰:09/04/13 19:08 📱:N703iD 🆔:6qm6G8Qs


#76 [七瀬]
 
「私も言ったんだし…ね。あーくまくん?」


ニヤリと笑うお姫さま。


『雷だよ、雷。』

「雷。」


『いきなり呼び捨てかよ。年下のくせに。』

「年下?
なんで年下だって分かるのよ。
なにも言ってないのに。」

⏰:09/04/13 19:11 📱:N703iD 🆔:6qm6G8Qs


#77 [七瀬]
 
『えーと…』

第一印象ガキだからです。

とはさすがに…ねぇ。


今もガキだけど。


「平成4年生まれ。」

『ってことは…』


ええーぇっ!?
俺と同い年じゃん!!
 

⏰:09/04/14 07:03 📱:N703iD 🆔:iZekniZY


#78 [七瀬]
 
「そ。あなたと同じ17歳。」


嘘…だろ?

ぜってー嘘だ。


“心臓が弱い”という以上に信じらんない。


…が俺はここで一つ気付いた。

『それより、そっちこそ
なんで分かったんだよ。
俺が17歳だって。』

⏰:09/04/14 07:07 📱:N703iD 🆔:iZekniZY


#79 [七瀬]
 
「簡単なことよ。」

俺の胸元を指さした。


「このピンバッジ。
青でしょう?
あそこの高校は1年生は赤、2年生は青、3年生は緑のピンバッジをする。
じゃあ青のあなたは2年生でしょ。」


あ…なるほど。
 
と一人合点したと同時に
思う。

⏰:09/04/14 07:12 📱:N703iD 🆔:iZekniZY


#80 [七瀬]
 
 
この女…


あなどれない。


初めて会った時から
感じていたことだが、
ピンバッジのことを指摘され、改めて思った。


「雷、自分のことを
“悪魔”と言ったわね。
なぜ?」
 

⏰:09/04/14 18:33 📱:N703iD 🆔:iZekniZY


#81 [七瀬]
 
『分かんね。
周りが勝手にそう呼ぶだけ。

ただ、これだけは分かる』


「なになに?」

身を乗り出す彼女。


『“悪魔”ってゆーのは
毎日が誕生日なんだぜ。』

ニヤッと笑って言った。

⏰:09/04/14 18:37 📱:N703iD 🆔:iZekniZY


#82 [七瀬]
 
きょとんとする彼女。


「そう。
それは面白いわね。」

…が、すぐに
俺に負けないくらいの
意地悪な笑みを浮かべた。


「じゃあ今度、
誕生日プレゼントを持って来なきゃ。」
 
 
挑むような挑発的な態度は俺のハートに火を付けた。

⏰:09/04/14 18:42 📱:N703iD 🆔:iZekniZY


#83 [七瀬]
 
…っても
悪魔にハートもくそもねぇか。

『じゃあ俺も、
お姫さまに、お返しに
誕生日プレゼントを渡さなくっちゃな。』

目をジッと見て言った。


「それは、ありがたいことだわ。

けど残念ね。
私は悪魔さんとは違って、誕生日は年に一回しかないの。」

⏰:09/04/14 18:46 📱:N703iD 🆔:iZekniZY


#84 [七瀬]
 
そうやって肩をくすめる。


『そうだな。
じゃあ、姫の誕生日に渡すとするか。

いつなんだよ、誕生日。』


「さあ、いつでしょう。」

わざとらしい目付き。


『教えてくれよ。
でなきゃ、プレゼントをいつ渡せばいいのか分からない。』

⏰:09/04/14 18:50 📱:N703iD 🆔:iZekniZY


#85 [七瀬]
 
 訂正

そうやって肩をくすめる×

そうやって肩をすくめる〇 

⏰:09/04/14 18:52 📱:N703iD 🆔:iZekniZY


#86 [七瀬]
 
「あら、悪魔なのに分からないの?」


ジラすなあ。
もどかしくて仕方ない。

そんな俺の様子を
この女は楽しんでるみたいだ。


『悪魔だって、分からないことの1つや2つあるだろ。


頼むよ、姫。』
 

⏰:09/04/14 18:56 📱:N703iD 🆔:iZekniZY


#87 [七瀬]
 
「しょうがないわね。」

手を合わしてる俺は
顔を上げた。



「2月24日。」


『うっそ!
俺と同じじゃん!!』

って、いつもみたいに
決まり文句を言った…


はずだった。

⏰:09/04/14 18:59 📱:N703iD 🆔:iZekniZY


#88 [七瀬]
 
 
ただ


“いつも”と違ったのは



俺の反応。


目は見開き、
口は開いたまま、
すっとんきょうな声…
 
 
 
いつものわざとらしい
演技は微塵も無かった。

⏰:09/04/14 19:03 📱:N703iD 🆔:iZekniZY


#89 [七瀬]
 
 
「あら、本当?
悪魔と同じ誕生日だなんてなんだか気が引けるわ。」

そうやって、
窓の外を見た彼女。


日はとっくに沈んでいて
キラキラとイルミネーションが美しかった。


『……』

俺はなにも言えないでいる。

⏰:09/04/14 19:06 📱:N703iD 🆔:iZekniZY


#90 [七瀬]
 
 
時折、少しウェーブがかかった長くて細い髪を掻き分ける彼女の姿が

観覧車越しに見える町並みより、美しかったのは
確か。



いつのまにか
観覧車は天辺まで来ていた。
 
 

⏰:09/04/14 19:10 📱:N703iD 🆔:iZekniZY


#91 [七瀬]
 
 
が、今俺の頭にあるのは







本当の本当に


“真姫と同じ誕生日”

だということだけ。
 
 
 

⏰:09/04/14 19:12 📱:N703iD 🆔:iZekniZY


#92 [七瀬]
 
 
 
ガチャ

「ありがとうございました」


観覧車は一回転して、
また戻って来た。


俺は、まだ誕生日のことをぼんやり考えていた。


降りようとした時、
また彼女が俺の裾を掴む。 

⏰:09/04/14 19:29 📱:N703iD 🆔:iZekniZY


#93 [七瀬]
 
まだなにかあるのか?


そう振り向いた。





その瞬間を



俺は二度と忘れないだろう。
 
 
ってか忘れられない。
 

⏰:09/04/14 19:56 📱:N703iD 🆔:iZekniZY


#94 [七瀬]
 
 
ググッと俺はネクタイを
引っ張られた。


声を出す暇もない。

本当に一瞬だった。


フワリと良いにおいが
したと思ったら





彼女の顔が目の前に。
 

⏰:09/04/14 19:59 📱:N703iD 🆔:iZekniZY


#95 [七瀬]
 
ちゅーされたのかと
思ったけど、

俺の唇には、彼女の髪がかかっているだけだし、

お姫さまの唇には人差し指が。

もちろん俺の指じゃない。




「実はね、
“20歳まで生きられない”っていうのは嘘なんだ。」 
 

⏰:09/04/14 20:04 📱:N703iD 🆔:iZekniZY


#96 [七瀬]
 
 
は…?


「よし!
もーそろそろ帰ろっ!!」

なにもなかったように
歩く女。





この瞬間と
あの時の悪魔の顔と
俺のマヌケな顔…

今でも鮮明に残っている。

⏰:09/04/14 20:13 📱:N703iD 🆔:iZekniZY


#97 [七瀬]
 
 
“20歳まで生きられない”というのは嘘…



一本やられた。

さっきまで

“嘘じゃねーの?”
って疑ってて、


でも、あの発作を見て
疑ったことを後悔した。
 
 

⏰:09/04/14 20:22 📱:N703iD 🆔:iZekniZY


#98 [七瀬]
 
それなのに…嘘??



俺って


さすがバカ高に通うだけのことはある!!


じゃねぇっ!


こう…なんというか
俺、勉強は出来ねぇけど
女のことは分かっている

…つもりだった。

⏰:09/04/14 20:25 📱:N703iD 🆔:iZekniZY


#99 [七瀬]
 
うん。
そのつもりだったし。


それなのに、


この俺がやられた?

納得いかねえ。


“悪魔”と呼ばれてる俺がこんな女に…



一人、軽やかな足並みの
前のヤツを見て思った。

⏰:09/04/14 20:29 📱:N703iD 🆔:iZekniZY


#100 [七瀬]
 
 
『なあ!』

「ん?」


『嘘って…

じゃあ、あの発作はなんだったんだよ!!』


「なにって…

冗談に
決まってんじゃ〜ん!!
演技だよ、え・ん・ぎ!」

アハハと笑う。

⏰:09/04/14 20:32 📱:N703iD 🆔:iZekniZY


#101 [七瀬]
 
演技?


「雷、もうすっかり、その気になっちゃってて…」


お腹を抱える真姫に
余計にムキになる俺。

『じゃっ、じゃぁ!
あの薬は
なんだったんだよ!』


「ああ、あれぇ?」

思い出したように言う。

⏰:09/04/14 20:35 📱:N703iD 🆔:iZekniZY


#102 [七瀬]
 
ガサゴソとカバンを漁っている。 


「あった!
これのこと?」

そう言って、
白い粒を取出し口へ入れた。


「甘〜い。」

その手には


“ラムネ”
 

⏰:09/04/14 20:39 📱:N703iD 🆔:iZekniZY


#103 [七瀬]
 
 
もう、止めだ。


やっぱり、
こんな変な女、関わらない方が身のためだ。

俺は、悪魔でいよう、
いつものとおり。





『アホらし。』 

俺はつぶやく。

⏰:09/04/14 21:04 📱:N703iD 🆔:iZekniZY


#104 [七瀬]
 
ラムネに頬を緩めていた
彼女の動きが止まった。


『もう
観光案内はおしまいだ。
じゃーな、真姫ちゃん。』


そうやって
すぐ近くの遊園地の出口へと歩く。




「待ちなさい。」
 

⏰:09/04/14 21:07 📱:N703iD 🆔:iZekniZY


#105 [七瀬]
 
俺は止まることなく
足を進めた。

それでも、
続けて言う彼女。


「おしまいなんてないのよ、悪魔さん。

だって、
あなたは姫の“ボーイフレンド”だもの。」
 
 
知るかよ、そんなの。
 
俺は無言で遊園地を出て、帰った。

⏰:09/04/14 21:11 📱:N703iD 🆔:iZekniZY


#106 [七瀬]
 
 
 
 
 
 
 
 
 
「これからも、
よろしくね……悪魔さん」 
 
 
 

⏰:09/04/14 21:24 📱:N703iD 🆔:iZekniZY


#107 [七瀬]
 
  
 
翌朝


「よ、雷。」

『京介、はよ。』


「ってか昨日はサボった後、なにしてたんだよ。
メールしても返って来ねぇし。」

ああ…そういえば、
メール一件入ってたっけ。 

⏰:09/04/15 11:40 📱:N703iD 🆔:1kyD36ys


#108 [七瀬]
昨日は、家に着いた途端に眠気が襲って来て…

よっぽど疲れてたんだな、久しぶりに遊園地なんか
行って。

しかも変な女と。



『わりぃ。』

「まあ、いいけどよ。

…また女でも引っ掛けてたんだろ。」

京介はニヤニヤしながら
俺を横目で見た。

⏰:09/04/15 11:44 📱:N703iD 🆔:1kyD36ys


#109 [七瀬]
 
『引っ掛けるどころか、
逆に引っ掛けられたし。』

「逆ナン?」


『う〜ん、分かんね。』

「なんだよ、それ。」


『さあな。』

昨日のことは、
もう思い出したくもない。


俺は適当に流した。

⏰:09/04/15 11:49 📱:N703iD 🆔:1kyD36ys


#110 [七瀬]
 
 
「えーと、それでхが2乗するから、こうなって…」


『ふあ〜ぁあ…』

おっきな欠伸がさっきから止まらない。

この授業、終わったら
またサボろっかな。

と考えてたら、


コツン

頭になにか当たった。

⏰:09/04/15 22:48 📱:N703iD 🆔:1kyD36ys


#111 [七瀬]
 
『…んだよ。』


「昨日は学校サボって、
なにしてたのよ。」

頭に当たったのは
大して痛くないところからノートの切れ端を丸めたものだろう。


そして、それを投げた
犯人はうしろの席の美里。


『別に…
関係ないじゃん。』
 

⏰:09/04/15 22:52 📱:N703iD 🆔:1kyD36ys


#112 [七瀬]
 
「“関係ない”って
…ひどい。
誕生日は2人でお祝いしよって約束したじゃんっ!」


はあ…女って
ほんとめんどくせー。

『わかったわかった。
じゃあ今日しよっか。』


「ほんとに?」
 
そうやって上目遣いに
俺を見つめる美里。
 

⏰:09/04/15 22:57 📱:N703iD 🆔:1kyD36ys


#113 [七瀬]
 
そういう目…


正直ウザい。

媚びてるみたいで嫌い。


それに…




あの女を思い出した。


昨日の女…
 
 

⏰:09/04/15 22:59 📱:N703iD 🆔:1kyD36ys


#114 [七瀬]
 
『ほんとだよ、ほんと。
どっか美味いもんでも食べに行こ。』


「で、その後は…」

美里が妖しく笑う。


そんな美里に
俺も笑って頷いた。

「なんか久々だね。
雷とヤるの。」


俺は毎日、お前以外の女抱いてるけどな。

⏰:09/04/15 23:03 📱:N703iD 🆔:1kyD36ys


#115 [七瀬]
 
 
そんなことを思いながら


『俺もひさびさー!』

とか調子よく言う俺。




“悪魔”復活だ、復活。


昨日の俺は、ほんとどうかしてた。
 
 

⏰:09/04/15 23:07 📱:N703iD 🆔:1kyD36ys


#116 [七瀬]
 
 
やっぱり俺はこうでなきゃな。


俺らしくない。


俺は毎日が誕生日で
毎日、違う女と遊んで…

“悪魔”なんだ。


あんな女の
“ボーイフレンド”
なんて、あり得ない。
 

⏰:09/04/15 23:11 📱:N703iD 🆔:1kyD36ys


#117 [七瀬]
 
 
 
美里と約束した俺は
最後まで学校にいた。


「らーいっ!行こ!!」

『おう、行こっか美里。』



教室を出て、学校の玄関を出ようとした時、


やけに校門付近が騒がしい。

⏰:09/04/15 23:19 📱:N703iD 🆔:1kyD36ys


#118 [七瀬]
 
 
『なんなんだ、あれ。』


男も女も、ある一点に群がっている。

圧倒的に男子の方が多いけど。


「さあ?
ま、なんでもいいじゃん。早く行こーよ、久々のデート!」
 
 
『そうだな。』
 

⏰:09/04/15 23:23 📱:N703iD 🆔:1kyD36ys


#119 [七瀬]
 
美里に促され、
止めた足を再び動かす。


その時、

「おい、雷!」


ハァハァと息を切らして
京介が走って来た。

『どうしたんだよ。
んな急いで…』


「めっちゃかわいい娘いるんだよ!」
 

⏰:09/04/15 23:27 📱:N703iD 🆔:1kyD36ys


#120 [七瀬]
 
そうやって、
京介はあの一点を指さす。


かわいい娘?


そこに目を運ぶ。


が、周りに人だかりが出来てて見えない。


その代わりに
たくさんの声が聞こえてきた。
 

⏰:09/04/15 23:30 📱:N703iD 🆔:1kyD36ys


#121 [七瀬]
“ねえねえ!
その髪、染めてんの?”

“お前バカか!
地毛に決まってんだろ!!
それより、どこの国から来たの?”

“名前なんてゆーの?”

“お人形さんみたーい”

“ね!アドレス教えてよ”

“ちっちゃいねー、
ほんとかわいい。”

“その制服って
すぐそこのお嬢様高校のだよね。”

⏰:09/04/15 23:35 📱:N703iD 🆔:1kyD36ys


#122 [七瀬]
 
 
ま、まさか…

嫌な予感がした。



「でさー、その娘フランス人みたいな顔してんだよなあ。
めっちゃ綺麗で…

特に、あの茶色い目は一度見たら忘れられないって感じ。」

京介が惚れ惚れした様子で言った。

⏰:09/04/15 23:39 📱:N703iD 🆔:1kyD36ys


#123 [七瀬]
 
“その髪、染めてんの?”

“ちっちゃいねー。”

“フランス人みたいな顔してんだよなあ”

“特に、茶色い目は一度見たら忘れられないって感じ”


その言葉は
俺の頭に流れる。


「…い!雷!!」
 
美里の呼ぶ声で我に帰る。

⏰:09/04/15 23:43 📱:N703iD 🆔:1kyD36ys


#124 [七瀬]
 
『あ…ああ…』


「どうしたの?
なんか変だよ?」

心配そうに俺の顔を覗き込む。


『…なんでもない。
早く行こうぜ。

じゃあな、京介。』

一人、興奮する京介を
放って、校門へと人だかりへと向かう。

⏰:09/04/15 23:47 📱:N703iD 🆔:1kyD36ys


#125 [七瀬]
 
 
あり得ない。
そんなはずはない。

自分に言い聞かせる。


「ねー、
なに食べに行くー??」

俺の腕に自分の腕を絡ませて隣を歩く美里の言葉に
適当に相づちを打つ。


俺の心と目線は
あの一点に定められている。

⏰:09/04/15 23:54 📱:N703iD 🆔:1kyD36ys


#126 [七瀬]
人だかりとすれ違う。

やっぱり、囲む男どもで
なにも見えない。

俺の勘違いで
終わってくれ…

そう心から祈った時、





「私、悪魔を探しに来たの」

声が聞こえた。

昨日の、俺を惑わした
あの声が…

⏰:09/04/15 23:59 📱:N703iD 🆔:1kyD36ys


#127 [七瀬]
 
 
“悪魔?”
と周りが頭にハテナを浮かべた時、


「あ、いた!悪魔さん!!」

これでもかってくらい
大きな声の先には



背伸びをして俺を指さす
昨日の女。

一斉に
みんなの目線が俺に。

⏰:09/04/16 06:35 📱:N703iD 🆔:5v6a24gA


#128 [七瀬]
 
「この人が
私の探してた悪魔さん。」

そうやって、人ごみを掻き分け、俺の元へ。


「そして
私の“ボーイフレンド”」

そう美里が絡ませている腕の反対の方の俺の腕にギュッと抱きついた。


周りが騒めき立つ。

俺がカバンを落としたのは言うまでもない。

⏰:09/04/16 06:40 📱:N703iD 🆔:5v6a24gA


#129 [七瀬]
 
 
な…なに言ってんだ?
この女。

俺の乏しい脳ミソは
なかなかこの状況に着いていってくれない。

いや、どんなに俺が天才だったとしても、戸惑っていただろう。



「“ぼぉいふれんどぉ”?」

この美里の怖〜い声で
やっとことの重大さに気付いた。

⏰:09/04/16 06:46 📱:N703iD 🆔:5v6a24gA


#130 [七瀬]
 
「どういうことなの?」


『あ…いや、その…』

と、とりあえず
この状況をなんとかしないとね。


「誰?誰なのよっ!!
この女は!」


『え、えーと〜…』

精一杯、
思考回路を巡らす。

⏰:09/04/16 06:50 📱:N703iD 🆔:5v6a24gA


#131 [七瀬]
 
 
そうだ!


『ただの、いも…』

俺がやっと考えてた見苦しい言い訳…
“妹”と言おうとした時、


「雷のガールフレンドの
真姫ちゃんでーすっ!」

そうやってピースした。
 
 

⏰:09/04/16 06:57 📱:N703iD 🆔:5v6a24gA


#132 [七瀬]
 
 
「ガール…フレンド……」

気の強い美里も
さすがにうろたえている。


「あれ?
どうしたの、雷。」


“どうしたの”って

この状況、この展開…


唖然としない人なんて
いないだろ!

⏰:09/04/16 07:00 📱:N703iD 🆔:5v6a24gA


#133 [七瀬]
 
 
真姫は丸い目を、より丸くした。

が、次第にその丸い目を
細めて意地悪そうに笑う。


「なーんだ、そういうこと」


そして美里を見た。

「お姉さん、良いこと教えてあげる」

うろたえる美里と
唖然とする俺。
 

⏰:09/04/16 07:05 📱:N703iD 🆔:5v6a24gA


#134 [七瀬]
 
 
「な、なによ…」

美里は精一杯、
威嚇しているよう。


そして、それと正反対に
この女はクスッと笑った。

「悪魔はね…
毎日が誕生日なんだよ?」


美里も
俺と同じ顔になった。
 

⏰:09/04/16 07:08 📱:N703iD 🆔:5v6a24gA


#135 [七瀬]
 
 
これ…



““悪魔”ってゆーのはな毎日が誕生日なんだぜ。”


そう。



昨日、俺が言った言葉と
まったく同じ。
 
 

⏰:09/04/16 07:13 📱:N703iD 🆔:5v6a24gA


#136 [七瀬]
 
 
「な…なに言って…」

美里は訳の分からないみたいだ。


まあ、そうなるわな。

これから、一緒に誕生日のお祝いする男のガールフレンドと名乗る女が出てきて

“悪魔”がどうとか、
“誕生日”がどうとか
言われたら、

誰でも、うろたえるはずだよなあ。

⏰:09/04/16 17:45 📱:N703iD 🆔:5v6a24gA


#137 [七瀬]
 
俺も戸惑いの色を隠せないでいる。


「えー、なんだよぉ。
また雷に持ってかれたよ」

この空気を破ったのは、
やって来たらしい京介。


「そういうことー!
じゃあねっ!!」

『ええぇ!?』


そう昨日のように裾を引っ張る真姫。

⏰:09/04/16 17:49 📱:N703iD 🆔:5v6a24gA


#138 [七瀬]
 
 
やっぱりすごい力で
グイグイ引っ張る真姫。


後ろからは、
いろいろと声が聞こえたけど、
今はそれどころじゃなかった。



あの女が目の前にいる。

昨日と同じ風景。
 

⏰:09/04/16 21:22 📱:N703iD 🆔:5v6a24gA


#139 [七瀬]
 
 
思い出したくないはずなのに、

もう二度と会いたくないはずなのに。


こいつとの再会に
喜んでる自分がいることを


俺は
認めざるを得なかった。

その証拠に

今、俺の胸は
ドキドキと弾んでいる。

⏰:09/04/16 21:30 📱:N703iD 🆔:5v6a24gA


#140 [七瀬]
 
『どこ行くんだよ。』

「んー?こーえん!!」


公園?

やっぱり
こいつ3歳児か?


…じゃなくて、

『もうとっくに通り過ぎてるし!』


ほんとに昨日と同じ状況。 

⏰:09/04/16 21:34 📱:N703iD 🆔:5v6a24gA


#141 [七瀬]
 
 
「そ。
じゃ、回れぇー右!」


そう言って
いきなり方向転換するもんだから、
少しこけそうになった。


なーにが
“回れぇー右!”だよ!!


そう思いながらも
“これから”
にワクワクしている。

⏰:09/04/16 21:44 📱:N703iD 🆔:5v6a24gA


#142 [七瀬]
 
 
“これから”


“これから”
なにが起こるんだろう…






が、その“これから”で
俺の身に待ち構えていたのは悪夢だった。

一度ハマったら最後、
抜け出せない甘くて恐ろしい夢…

⏰:09/04/16 22:37 📱:N703iD 🆔:5v6a24gA


#143 [七瀬]
 
 
『えーと…
で、なにしに来たの?』

俺は上がったテンションを必死に押さえようと
少し素っ気なく接した。


が、彼女は
そんなのにはちっとも気をくれなかった。

「ボーイフレンドに
会いに来ただけよ。」
 
 
その余裕がムカつく。
 

⏰:09/04/16 22:56 📱:N703iD 🆔:5v6a24gA


#144 [七瀬]
 
『だから…』

少し間を開ける。


『俺はお前のボーイフレンドになった覚えはない。』


「あなたに拒否権はないのよ、悪魔さん。」


なに?命令かよ。


拒否権ないって…
俺はペットじゃねぇし。
 

⏰:09/04/16 23:00 📱:N703iD 🆔:5v6a24gA


#145 [七瀬]
 
 
それに…



その澄ました横顔、
落ち着いた声
遠くを見つめる瞳…




なんだか
壊したくなった。


その余裕な彼女の
戸惑う姿が見たい。
 

⏰:09/04/16 23:04 📱:N703iD 🆔:5v6a24gA


#146 [七瀬]
 
 
 
俺は







気付いたら
彼女の唇と自分の唇を重ね合わせていた。
 
 
イチゴのような赤い彼女の唇に。
 

⏰:09/04/16 23:08 📱:N703iD 🆔:5v6a24gA


#147 [七瀬]
 
 
今、目を開けたら

唇を離したら

この女の少しは焦る姿を見れるのだろうか。


緊張が俺を襲う。

ゆっくりと目を開ける。



『…!!?』
 
 

⏰:09/04/16 23:12 📱:N703iD 🆔:5v6a24gA


#148 [七瀬]
 
目を開けたと同時に
唇を離そうとしたのに
それは出来なかった。


彼女の手が俺の首にしっかりと回っていて、
俺の唇をしっかりと捕らえていたから。

もちろん彼女の唇で。


『んん…んっ…』

彼女は何度も深く深くキスをした。
 
息が出来なくなるほどに。

⏰:09/04/16 23:16 📱:N703iD 🆔:5v6a24gA


#149 [七瀬]
 
『ハア…ハァハァハア…』


息の限界という時に
やっと離してくれた。

ほんと酸欠になると
思ったぜ…


息が整はない俺に



「ちゃんと責任とってよね悪魔さん?」

まだ手を俺の首に回したまま言った。

⏰:09/04/16 23:21 📱:N703iD 🆔:5v6a24gA


#150 [七瀬]
 
そんな悪魔に
俺も負けじと言った。


『ハア…上等だぜ……
責任、とってやるよ。
きちんと、な。』


「フフッ、楽しみね。」
 
 
 
これで、俺らは晴れて恋人同士になった


……のだろうか。
 

⏰:09/04/16 23:26 📱:N703iD 🆔:5v6a24gA


#151 [七瀬]
 
 
 
それとも







悪魔に捕まった
だけなのかもしれない…
 
 
 

⏰:09/04/16 23:35 📱:N703iD 🆔:5v6a24gA


#152 [七瀬]
 
 
 
「えーっとね…
あれとこれ。
あ、それの色違いもちょうだい。」


真姫が指さす先、
通る店がすっからかんになっていく。


『姫!まだ買うの?』

「姫は、
まだ買い足りないのっ!!」 

⏰:09/04/16 23:46 📱:N703iD 🆔:5v6a24gA


#153 [七瀬]
 
俺の両手はもう紙袋でいっぱいいっぱい。


これがセレブ買いというやつなのか?

こんなに服やらアクセサリーやら、買って本当に使うのか?


俺の疑問は止まらない。
 
が、その間にも
姫は「あれとそれ!」と
店員に指示している。

⏰:09/04/17 06:54 📱:N703iD 🆔:yz1MYARo


#154 [七瀬]
 
 
真姫と付き合うようになってから、気付いたことがある。 


それは真姫は自分のことを“姫”と呼ぶ。

最初出会った時は
“私”だったのに。


意味わからない。

そして俺も気付いたら
“姫”と呼んでいた。
 

⏰:09/04/17 06:58 📱:N703iD 🆔:yz1MYARo


#155 [七瀬]
 
 
これもなぜなのか
わからない。


うん、とりあえず
もう一週間になるけど、
いっつもこんな感じ。

デートつっても
ただ姫に付き合ってるだけというか、

振り回されてるだけだけ
というか…
 

姫と会った後は
ドッと疲れる。

⏰:09/04/17 07:02 📱:N703iD 🆔:yz1MYARo


#156 [七瀬]
 
 
 
『なぁ〜あ、
どっかで休もうぜ〜。』


すると、
軽くスキップしていた足を止めた姫。


「お茶にしよっか。」


やっと…やっと……


俺たちは
喫茶店へ入った。

⏰:09/04/17 22:49 📱:N703iD 🆔:yz1MYARo


#157 [七瀬]
 
 
カップを両手で包むようにして持っている姫。


おとなしいのは
お茶を飲んでる時くらいか。


こう見たら、かわいいのになんだか勿体ねぇな…


なんて、一人思いながら、俺も一口コーヒーをすすった。

⏰:09/04/19 01:13 📱:N703iD 🆔:0xVppyms


#158 [七瀬]
 
「ねえ、コーヒーって
おいしいの?」

俺はカップを口に付けながら、前を見ると
向き合って座っている真姫が首を傾げている。


『飲んでみる?』

きれいな姫の顔が歪む。


「えー、やだ。
だってそれブラックでしょ?
お砂糖もミルクも入ってないもん。」

⏰:09/04/19 01:18 📱:N703iD 🆔:0xVppyms


#159 [七瀬]
そんなこと言いながら、
生クリームのたっぷり入ったココアを飲む姫。



お!
弱点発見!!


『なあ、飲んでみ?』

カップを
姫の前に差し出す。


「しつこいなあ!
いらないってば。」

顔をフンと反らされた。

⏰:09/04/19 01:21 📱:N703iD 🆔:0xVppyms


#160 [七瀬]
 
 
バッ!


「なにするのよっ!!」


『いいから飲んでみて?』


俺は姫と俺のカップを
無理やり入れ替えた。


茶色い目が俺を睨む。
 
 

⏰:09/04/19 01:24 📱:N703iD 🆔:0xVppyms


#161 [七瀬]
 
 
が、観念したように
コーヒーの入った方の
カップを手に。


だんだん姫の口へと
近づいてゆく。



『あ!
なにすんだよ!』

次は俺が叫んでいた。


ベーと舌を出す真姫。
 

⏰:09/04/19 01:26 📱:N703iD 🆔:0xVppyms


#162 [七瀬]
 
 
店員の目が俺たちに
突き刺さる。


そりゃそうだよな。



だって

俺たちの机の上には
小分けされた砂糖の開けた後のゴミがこれでもかってくらい乗っていた。
 

⏰:09/04/19 01:30 📱:N703iD 🆔:0xVppyms


#163 [七瀬]
いくらタダだからって
全部入れられたら…なぁ。


俺だったら
絶対キレるだろうな。



そう姫は
俺のコーヒーにあるだけの砂糖を入れた。

そして、そのコーヒーを一口飲んで


「おいしい」

って一言笑った。

⏰:09/04/19 01:33 📱:N703iD 🆔:0xVppyms


#164 [七瀬]
 
 
こいつ
絶対、味覚オンチだろ!


あり得ねーよ。

いくら甘いもん好きでも、あれな無理だろ!



ほんっと
信じらんない。

しかも、人のコーヒーに。 
 

⏰:09/04/19 01:36 📱:N703iD 🆔:0xVppyms


#165 [七瀬]
しかもしかも!

俺は、その砂糖たーっぷりコーヒーを一滴も残さず、全部飲ませれた。

そのおかげで
今でも口内が甘ったるい。


でも、そんな俺を見て
姫は喜んでいた。

もうほんとにやだ!!



とりあえず、
姫の小腹と意地悪心は満たされたよう。

⏰:09/04/19 01:40 📱:N703iD 🆔:0xVppyms


#166 [七瀬]
 
 
『…もう出よ。』

これ以上、
ここにいたくない。


買い物して、お茶飲んで、姫の相手して…

今日も疲れた。


「そうね。
もう行きましょ。」


うんうん、帰ろ帰ろ。
 

⏰:09/04/19 10:24 📱:N703iD 🆔:0xVppyms


#167 [七瀬]
 
 
「まだまだ回らなくちゃいけない店が残ってるし。」



えっ?


『…帰らないの?』


すると真姫は

「もちろん。
って逆に聞くけどもう帰るの?」
 
目を丸くした。

⏰:09/04/19 10:29 📱:N703iD 🆔:0xVppyms


#168 [七瀬]
 
 
今度は、わざとじゃなく 本当に不思議がってるみたい。


“逆に聞くけど”って…

俺も、
逆の逆に聞きたいよ。


俺の疲労が増すことは
目に見えている。


それと
ため息も。

⏰:09/04/19 18:40 📱:N703iD 🆔:0xVppyms


#169 [七瀬]
 
 
「うーん!!
やっぱり
ここのプリンは最高!」


ただいま
本日2回目の喫茶店。


あれから3時間、
また買い物。

どれほど
歩き回ったことか…

足痛い。
肩も痛い。
 

⏰:09/04/19 18:54 📱:N703iD 🆔:0xVppyms


#170 [七瀬]
 
「雷も食べる?」

くりくりした目で
聞いてくる。


『…いらない。』

「ふぅん、そ。」

そうやって
本日2個目のプリンを食べはじめた。


「これ。」

口をもごもご動かしながら指さす真姫。

⏰:09/04/19 21:19 📱:N703iD 🆔:0xVppyms


#171 [七瀬]
 
 
その先に目を向ける。


「なんの絵か分かる?」

プリンを乗せている皿にはなんらかの絵が描かれている。



『…かぼちゃの馬車?』


「当たり。」
 

⏰:09/04/19 21:22 📱:N703iD 🆔:0xVppyms


#172 [七瀬]
それは、かぼちゃの馬車に女の子…

多分シンデレラだろう。

シンデレラが
かぼちゃの馬車に乗っている絵が黒いシルエットになって皿にプリントされている。

その絵は皿だけでなく
カップ、机、窓と喫茶店の至るところに描いてある。


「ここはね。
かぼちゃのお菓子の専門店なの。」
 

⏰:09/04/19 21:28 📱:N703iD 🆔:0xVppyms


#173 [七瀬]
 
『へぇ、そうなんだ。』


気付かなかった。

ただ疲れていて
姫に促されるがまま
この店に入った。


「うん。
今、姫が食べてるのも
かぼちゃプリンだもん。」


そう言われたら
なんか色の濃いプリンだなと思った。

⏰:09/04/19 22:43 📱:N703iD 🆔:0xVppyms


#174 [七瀬]
「他にも、シフォンとか
マフィンとか、かぼちゃを使ったスゥィーツがいっぱいあるの。」

確かに、周りを見ると
オレンジの濃いお菓子が
並んでいた。

かぼちゃを使ってたから
みんな、あんな色だったんだ。


「それでね、雑誌にも載ったことあるんだよー。
この店。」

かぼちゃプリンを
頬張る真姫。

⏰:09/04/19 22:51 📱:N703iD 🆔:0xVppyms


#175 [七瀬]
 
「ま、姫は雑誌に載る前から来てたけどね。」

得意気に話す姫が
とても愛らしく見えた。



『じゃあ、
このかぼちゃの馬車に乗ってるのは姫だな。』


「あったりまえー!」


嬉しそうな真姫の姿に
俺もうれしくなった。

⏰:09/04/19 22:55 📱:N703iD 🆔:0xVppyms


#176 [七瀬]
 
その笑顔は
やっぱり本物のお姫さまみたい。



「姫がシンデレラならー、雷はね…」

『王子さま?』


…が幸せな時間は
長くは続かない。



「ううん、これ。」
 

⏰:09/04/19 22:59 📱:N703iD 🆔:0xVppyms


#177 [七瀬]
 
そうやって
また皿の絵に指さす。


これって…




「お馬さーん。」


かわいくおどけて見せる
真姫とは対照的に
俺はいやーな予感。
 

⏰:09/04/19 23:03 📱:N703iD 🆔:0xVppyms


#178 [七瀬]
 
姫はかぼちゃの馬車の前にいる馬を指さしていた。


「雷はねー、
いっつも姫に付き合ってくれるでしょ?
だからいつも馬車を引っ張ってくれるお馬さん!」



それって要するに
パシリじゃん!!
 
 
声が出ない。
 

⏰:09/04/19 23:11 📱:N703iD 🆔:0xVppyms


#179 [七瀬]
 
この姫の言葉は
俺がこの一週間に感じていた小さなしこりを大きくしてしまった。



俺たちは本当に
付き合っているのか?


姫のわがままに振り回されても

俺はこれを“デート”
だと思っていた。
 

⏰:09/04/19 23:15 📱:N703iD 🆔:0xVppyms


#180 [七瀬]
 
でも真姫にとっては
ただ買い物に付き合ってもらってただけみたいだし。



それに俺は姫の

パシリでも
保護者でも
荷物持ちでもない。



姫にとって
俺という存在はなんなんだろう。

⏰:09/04/19 23:19 📱:N703iD 🆔:0xVppyms


#181 [七瀬]
 
 
そんな俺の思いとは
裏腹に、姫は


「お馬さん、お馬さーん。」

と一人ルンルンしている。



なあ、姫。

お前にとって俺は
どういう存在なんだよ。


聞きたいけど聞けない。

⏰:09/04/20 17:28 📱:N703iD 🆔:rMHgfQT.


#182 [七瀬]
 
 
だって


もし姫の口から…





ああ…なにやってんだ。

こんな女一人に。



いつから俺は
女に対してこんなに臆病者になってしまったのか。

⏰:09/04/20 17:31 📱:N703iD 🆔:rMHgfQT.


#183 [七瀬]
 
 
 
「どうしたの〜?雷。」


ハッと我に帰ると
真姫がこっちを見ていた。


『なんでもねぇよ…』


「そう。
じゃあ行こっか、
お馬さん。」
 
 
立ち上がった真姫。

⏰:09/04/20 17:34 📱:N703iD 🆔:rMHgfQT.


#184 [七瀬]
 
 
“お馬さん”…



俺の不安は
小さくなることはない。


どんどん俺の中を
いっぱいにしてしまった。



こんな気持ち…
初めてだ。

なんなんだ?この痛みは。 

⏰:09/04/20 17:37 📱:N703iD 🆔:rMHgfQT.


#185 [七瀬]
 
 
ズキズキする胸。


まさか…


俺は大事なことに
気付いてしまった。








姫の心臓弱いの移った?
 

⏰:09/04/20 17:40 📱:N703iD 🆔:rMHgfQT.


#186 [七瀬]
 
いや、でもあれは
嘘だったはずだし…


うーん、わからない。






バカな俺に

この気持ちの
本当の正体に気付くのは


もう少し先の出来事。
 

⏰:09/04/20 17:43 📱:N703iD 🆔:rMHgfQT.


#187 [七瀬]
 
 
 
っあ!


ちなみに先に言いますけど






姫の心臓弱いのが移ったわけではありません。

心臓弱いのは移らないのでご安心を。
 
 

⏰:09/04/20 17:45 📱:N703iD 🆔:rMHgfQT.


#188 [七瀬]
 
 
 
夕方なのか夜なのか…
分からないが

この暗やみが
決して6時や7時ではないことを語っている。


というわけで…


俺が家へ着いたのは
もう10時過ぎ。
 

⏰:09/04/21 06:54 📱:N703iD 🆔:h6N19cEk


#189 [七瀬]
 
今日は朝の8時半から
姫に付き合わされた。



今朝


「おはよ。
ってあれ……」

『はよ、京介。
ん?なんだよ。』


珍しく寝坊せずに
学校へと向かっている途中だった。

⏰:09/04/21 06:58 📱:N703iD 🆔:h6N19cEk


#190 [七瀬]
 
 
京介が俺の後ろを
呆然と見ている。


「あれ…
真姫ちゃんじゃねえ?」

振り向くと



「らーい。」

こっちに
ブンブンと手を振る姫。
 

⏰:09/04/21 16:52 📱:N703iD 🆔:h6N19cEk


#191 [七瀬]
 
『姫!?どうしたの?』


俺はビックリした。


だって姫、
制服来てないし。

今日は平日だよ?


「えへへー。」

そうやって俺の腰に
手を回した。


『学校は!?』

⏰:09/04/21 16:55 📱:N703iD 🆔:h6N19cEk


#192 [七瀬]
 
俺の通ってる高校と
真姫の通ってる高校は、
一駅違い。


結構近くって
驚いたんだけど、

それ以上に

姫があの高校に通ってたこと自体に驚いた。


だってあの高校…
つまり華城学園は


超お嬢様高校で有名。

⏰:09/04/22 05:49 📱:N703iD 🆔:Di.X6F5w


#193 [七瀬]
 
しかもかなり賢い。
うん、ビックリした。

姫は頭良いんだなー。
意外に。



しかも、そこの女子高、
かわいー娘多いんだよな!


あそこで何度、
引っ掛けたことか…

それも姫に出会ってから
遠い昔のことのように感じるけど。

⏰:09/04/22 05:56 📱:N703iD 🆔:Di.X6F5w


#194 [七瀬]
 
 
 
「今日、姫の学校ねー、
創立記念日なの!」


『へえ〜、いいな。』

うらやましい。
俺も休みたい。


「だからヒマ。
どっか連れてって〜!!」


『今から!?』

ちょっと待て!

⏰:09/04/22 06:00 📱:N703iD 🆔:Di.X6F5w


#195 [七瀬]
 
「もちろん。」


俺、もうそろそろ
単位やばいんだよ。

数学サボり過ぎて…

『姫、今日はちょっと…』

昨日、担任にも
釘刺されたばっか…


「なんで?」


“なんで”って…
 

⏰:09/04/22 06:05 📱:N703iD 🆔:Di.X6F5w


#196 [七瀬]
 
第一に、

姫は休日でも
俺にとっては平日だし
普通に登校日だし…


と言っても

真姫には通じないだろう。“知らなーい”って
跳ねられるのがオチだ。


『姫、聞いて。
俺ね、このままじゃ学年上がれない。
留年しちゃうよ?留年。』 

⏰:09/04/22 06:09 📱:N703iD 🆔:Di.X6F5w


#197 [七瀬]
 
「なんでなんで?
なんで
留年しちゃうわけ?」


『それは…』

“サボり過ぎたから”
とは言えな…



「サボり過ぎて!!」

後ろにいた京介が
笑いながら言った。
 

⏰:09/04/22 06:13 📱:N703iD 🆔:Di.X6F5w


#198 [七瀬]
 
「サボり過ぎて?」

まだ抱きついたままの姫が上目遣いに俺を見る。


「そーそー!!
こいつサボり過ぎて、出席日数足んねぇんだよ!
な、雷?」

そうポンポンと
俺の肩を叩く京介。


『京介…』

なに言いやがるんだよ!!
こいつ!

⏰:09/04/22 06:18 📱:N703iD 🆔:Di.X6F5w


#199 [七瀬]
 
そんな俺の思いに
気付いたからか

「まあ、いーじゃん。
どうせ今日1日行ったくらいじゃダメだし。
お前のサボり癖を直さなきゃ一生2年生のままだな。」


確かに…

『…おっしゃる通りでございます』


「だからな?
真姫ちゃんに付き合ってあげれば?」

⏰:09/04/22 06:23 📱:N703iD 🆔:Di.X6F5w


#200 [七瀬]
 
うっ…
京介まで…


「お前の
“お姫さま”なんだし…
な?」





こうして

京介がこっそり耳打ちした言葉を胸に俺は姫に捕らえられ、今に至る。
 

⏰:09/04/22 06:27 📱:N703iD 🆔:Di.X6F5w


#201 [七瀬]
 
 
それにしても
今日は疲れた。


あ、違った…

“今日も”か。




ピリリ…

震える携帯を開くと
京介からのメールだった。 

⏰:09/04/22 18:28 📱:N703iD 🆔:Di.X6F5w


#202 [七瀬]
 
“楽しかったか?
お姫さまとのデートは。”


はあ…


“今、帰ったとこ。
クタクタだよ。
姫とお前のせいで。”

素早く送り返した。


しばらくすると
また携帯が鳴りだす。

ブザーが止まらないことから、どうやら電話のよう。

⏰:09/04/22 18:33 📱:N703iD 🆔:Di.X6F5w


#203 [七瀬]
 
着信“京介”


『…んだよ。』

「別にぃ。楽しかったかなと思ってさ。」


『だから疲れた…』

「お前さ、毎日言ってるよな、“疲れた”って。」

苦笑いする京介の声。


『だって、まぢ疲れる…』 

⏰:09/04/22 18:37 📱:N703iD 🆔:Di.X6F5w


#204 [七瀬]
 
ため息混じりに答える。


「でも、なんか楽しそうだよ、お前。」


『えっ?…そうか。』

楽しそう?


「うん。
なんか楽しそう。」

『なんだよ、それ。
まるで、今までが楽しそうじゃなかったみてぇじゃないか。』

⏰:09/04/22 18:59 📱:N703iD 🆔:Di.X6F5w


#205 [七瀬]
 
「うーん、そういう意味じゃなくて…」

京介の浮かない返事に


『んじゃ、
どーゆう意味だよ。』

少しイライラしながら
聞き返す。


「…んー、だからぁ。
なんというか、こう……


変わった。」
 

⏰:09/04/22 19:05 📱:N703iD 🆔:Di.X6F5w


#206 [七瀬]
『…変わった?』

わけ分かんね。
変わったって…

「うん、変わったよ。」


『“それは女遊びをしなくなった”ってこと?』

これにも浮かない様子。

「う〜ん、そういう意味でもあるけど…」


イライラというより
知りたい気持ちが勝っていた。

⏰:09/04/22 19:09 📱:N703iD 🆔:Di.X6F5w


#207 [七瀬]
 
『…なんなんだよ。
京介、焦らさねえで、言ってくれよ。』


「いや…それが俺にもよく分からないんだよ。」

なんだそれ。


「ただ、楽しそうなんだ。」


“楽しそう”

その言葉が頭を共鳴する。 

⏰:09/04/22 19:12 📱:N703iD 🆔:Di.X6F5w


#208 [七瀬]
 
「ま、頑張れよ。」

京介との電話を終えた。

俺の気持ちは
うやむやしていて、
自分自身よく分からない。

でも、

“真姫と出会ってから
俺は変わった”のは確かだろう。

それは自分が薄々感じていたことだった。

ただなにが変わったのかは分からないまま。

⏰:09/04/22 19:18 📱:N703iD 🆔:Di.X6F5w


#209 [七瀬]
 
 
今日は散々……


担任に
たーっぷりと絞られた。

とりあえず、

これから頑張るということで、今回だけは免れた。


…といっても、

“これから”という言葉はずっと前から言ってたから担任はあまり信用してないみたいだった。

⏰:09/04/22 19:28 📱:N703iD 🆔:Di.X6F5w


#210 [七瀬]
 
実は俺も
その場しのぎで言ったし。


でも今回だけは
まぢで頑張らないと…


とりあえず学校にだけは
きちんと行こう。

そして授業だけは
出ておこう。


ま、こうしてれば
留年はないっしょ!

⏰:09/04/22 19:31 📱:N703iD 🆔:Di.X6F5w


#211 [七瀬]
 
そう安価に考えていた。


…が悪魔は
どうやら違ったみたい。



学校を出ると日はまだ沈んではなかったが、

グラウンドには、いつも練習している野球部に続いて、どの部活もいないことから寂しく感じた。


さっ、俺も早く帰るか。
 

⏰:09/04/22 22:30 📱:N703iD 🆔:Di.X6F5w


#212 [七瀬]
 
 
校門へ近づいて行くと
小さな影が見えた。

夕焼けに照らされているものの、その光が逆光して
よく見えない。


目を凝らす。


すると、そこには
俺のお姫さまが。


俺の方に体を向けているがこの光のせいで
顔が全く見えない。

⏰:09/04/22 22:51 📱:N703iD 🆔:Di.X6F5w


#213 [七瀬]
 
 
『…姫?』

小さな影へと近づいてく。

が、まだ見えない。


『ね、姫ー??』


1メートルほどの距離になって、ようやく見えた。


姫の険しい顔つき。


「さあ、しましょ。」

⏰:09/04/22 22:54 📱:N703iD 🆔:Di.X6F5w


#214 [七瀬]
 
『えっ、なんか言った?』

真姫の顔を見ようと集中していた俺は、よく聞こえなかった。


「だから」

うんざりしたような声。


少し間が空き


「勉強…しましょ。」
 
形の良い口が動いた。

⏰:09/04/23 07:03 📱:N703iD 🆔:OajgYCGY


#215 [七瀬]
 
今度は聞こえた。

ちゃんと聞こえましたよ、はい。


ベンキョウ?


聞き間違えじゃない…
はず。

でもいっそのこと
聞き間違えであってほしいかも。


「…留年しないようにね。」 

⏰:09/04/23 07:07 📱:N703iD 🆔:OajgYCGY


#216 [七瀬]
 
にっこりと言う真姫に
少し覚悟を決めた瞬間。


『いや…でも、でもね。』

こんなこと言ったって、
姫の考えが変わるはずないと、
この一週間でよーく学んだはずなのに、


『俺、“これから”頑張るから、なんとか留年は免れそう…』

やたらと
“これから”を強調した。

⏰:09/04/23 07:11 📱:N703iD 🆔:OajgYCGY


#217 [七瀬]
 
「はあ…あなた、なに言ってるのかしら。」


が、俺の予想通り、
姫のため息混じりの声に
遮られた。

『なにって…』


「姫が言ってるのはね。」

神妙な面持ちの姫。


俺の心臓は加速してゆく。嫌な予感と共に。

⏰:09/04/23 07:16 📱:N703iD 🆔:OajgYCGY


#218 [七瀬]
 
 
「一番になるのよ。」
 
 
 
は…?

「この学校で一番の成績を取るの。」


なんか…

『話が飛躍してない!?』


俺が驚くのも無理はない。 

⏰:09/04/24 04:30 📱:N703iD 🆔:6YI0Zqac


#219 [七瀬]
 
「ん〜、そうねぇ。」

珍しく頭を抱えた姫。


俺は
一番なんて望んでない。

ただ留年さえしなければ、満足なんだ。


『さっき姫も
“留年しないようにね”
って言ってたじゃん!?』


俺の言葉に姫は唸る。
 

⏰:09/04/24 04:34 📱:N703iD 🆔:6YI0Zqac


#220 [七瀬]
でも、すぐに笑って


「姫はね、一番が好きなの」


首を傾げた。


「姫ね〜、
昔から勉強もスポーツも
なーんでも一番じゃなきゃ嫌だったのよ。」

いやいや、
そんなの知らねぇし!

「小学生の時、かけっこでどーしても勝てない子がいて…」

⏰:09/04/24 04:40 📱:N703iD 🆔:6YI0Zqac


#221 [七瀬]
 
姫は一番がよくても、
俺は別に一番じゃなくても困らない。


「…泣いちゃった。」


かわいいな、おい。

かけっこで一番になれなかったくらいで泣くって…


かわい〜!!
 
 

⏰:09/04/24 16:01 📱:N703iD 🆔:6YI0Zqac


#222 [七瀬]
「でね、雷にはそんな思いさせたくないの。」


うん、心配しなくても
俺は十分、今のままでも
そんな思いしませんから。


「だから!!
姫と一緒に頑張ろっ!」


う〜ん、でもなあ…

『いや、姫の気持ちはとてもありがたいけど…』


やっぱ勉強はやだ。

⏰:09/04/24 16:06 📱:N703iD 🆔:6YI0Zqac


#223 [七瀬]
 
『俺の
ために嬉しいけど〜…』


真姫の目を見ずに言う。
喉はカラカラ。


「はあっ。
ほんとだらしない男ね。」

姫の態度が豹変した。


「あなたね…
根性ってものがないわけ?“このままじゃいけない”とか“負けたくない”っていう気持ちがないの!?」

⏰:09/04/24 16:10 📱:N703iD 🆔:6YI0Zqac


#224 [七瀬]
 
ど…同一人物?

さっきのかわいい姫は
どこへやら。


「それになによ。
“俺のために”?
あなたほんっっとバカね」

鼻をフンッと鳴らした。


「姫のために決まってるじゃない。
ひ・め・の・た・め!!」

一気に話された。

⏰:09/04/24 19:00 📱:N703iD 🆔:6YI0Zqac


#225 [七瀬]
 
はあ

今度は小さくため息をつく真姫。


「あのね、
あなた…自覚してるのかしら。」

『…自覚?』

なんの…??


「姫の彼氏だって自覚!
姫のボーイフレンドなのよ、あなたは!!」
 

⏰:09/04/24 19:02 📱:N703iD 🆔:6YI0Zqac


#226 [七瀬]
 
『は…はい。』

「わかったらよろしい。
姫のボーイフレンドだっていう自覚をきちんと持って恥ないようにしてね。」


コクリと頷いた。

初めて女にこんなえらそうにされて、短気なはずの俺が素直に頷いてる。

姫の迫力に圧倒されたのもあるけど、
 
 

⏰:09/04/24 19:06 📱:N703iD 🆔:6YI0Zqac


#227 [七瀬]
 
 
 
なにより、







姫が俺のことを


“彼氏”だって言ってくれたことが嬉しかったんだ。 
 

⏰:09/04/24 19:08 📱:N703iD 🆔:6YI0Zqac


#228 [七瀬]
 
「よし!
じゃあこれから猛特訓よ!!さあ、行くわよ!雷!!」

『え…行くって、
どこに……?』

この悪魔といる限り、
俺の驚きは絶えることはない。


「もちろん、姫の家に決まってるじゃない。」

『ええぇえ〜っ!?』


ほらな。

⏰:09/04/24 19:14 📱:N703iD 🆔:6YI0Zqac


#229 [七瀬]
 
 
 
「これが
うちのパパとママ。」


『え〜と、どうも。
岩崎雷です…』

「…でっ、
姫のボーイフレンド!!」


めちゃくちゃ見てる…

真姫の両親はこれでもかってくらい見ている。

どうやら見定めてるよう。

⏰:09/04/24 19:46 📱:N703iD 🆔:6YI0Zqac


#230 [七瀬]
 
で、俺から
言わせてもらうと…

真姫の両親は


ぜんっぜん
姫に似ていない。


めっちゃ日本人だし。


色素の薄い髪も
筋の通った鼻も
そしてあの茶色い瞳も。

なに一つ当てはまらない。

⏰:09/04/24 19:49 📱:N703iD 🆔:6YI0Zqac


#231 [七瀬]
 
まさか…

真姫はこの人たちの本当の娘じゃないのだろうか。

こんな疑問が生まれたと
同時に

隣でニコニコ楽しそうな
姫が可哀相に見えてきた。



「うん!なかなかいい男じゃないか、真姫。」

「ねえ〜、パパの若い頃にそっくり〜!」
 

⏰:09/04/24 19:53 📱:N703iD 🆔:6YI0Zqac


#232 [七瀬]
 
どうやら、
第一関門突破したようだ。


「でっしょ〜!

でね、今日雷を泊まり込みで、一緒にお勉強したいんだけど…
いいよね?」


えっ!!
泊まり込み!?

俺…なにも聞いてない。

それに真姫の両親も了承するわけない。

⏰:09/04/24 20:07 📱:N703iD 🆔:6YI0Zqac


#233 [七瀬]
 
「うん。いいわよ〜」

「ゆっくりしていってな、雷くん。」


うっうそ!

そこはビシッと……


だって今日初めて紹介された男を泊まらせるなんて…

やはり姫の本当の親じゃないんじゃ……

いくらなんでも、
ほったらかし過ぎでしょ。

⏰:09/04/24 20:11 📱:N703iD 🆔:6YI0Zqac


#234 [七瀬]
 
こんなことに
気を取られていると…


「マオ〜!
降りて来なさい〜!!」

姫が上の階段に向かって
叫んだ。

が、上からは
なにも返事がない。


「もぉ〜まったくマオには困ったわね。」

姫のお母さんが
肩をすくめた。

⏰:09/04/24 23:14 📱:N703iD 🆔:6YI0Zqac


#235 [七瀬]
 
“マオ”…?


「ああ、言い忘れてたけどマオは姫の弟。」


へえ、兄弟いたんだ。

姫の性格から
絶対一人っ子と思ってた。


「あ〜もう!
なにやってんのよ!!」

姫は堪忍袋の緒が切れたように、階段を駆け上がっていった。

⏰:09/04/24 23:18 📱:N703iD 🆔:6YI0Zqac


#236 [七瀬]
 
「マオはお姉ちゃんに
ボーイフレンドが出来て
妬いてるんだな。」

「ふふふっ、
まだまだ子どもね〜」

姫の両親のやりとりが
耳をかすめた。


ドンドンドンドン…

一気に
階段を下りる音が響いた。

「こらっ!マオ!!」

という真姫の声と共に。

⏰:09/04/24 23:23 📱:N703iD 🆔:6YI0Zqac


#237 [七瀬]
 
「いててっ!いてーよ!
ねえちゃん!!」


少し乱暴な声と

「早くこっち来て、
あいさつして!」

という
かなり乱暴な声。



「……」


無言で俺を睨むそいつ。
 

⏰:09/04/24 23:26 📱:N703iD 🆔:6YI0Zqac


#238 [七瀬]
 
俺は目を見張る。


色素の薄い髪
筋の通った鼻

そしてなによりも


真っ茶色な瞳が
真姫と瓜二つだった。





「………真王。」
 

⏰:09/04/24 23:29 📱:N703iD 🆔:6YI0Zqac


#239 [七瀬]
 
「もう。」

もう一人の真姫を見て、
ため息をつく姫。


「ごめんね、雷。
姫の弟の真王(マオ)。」


『魔王……?』

その瞬間、今までずっと黙っていたそいつが口を開いた。

「“魔王”じゃねえ!!
“真王”だ!ま・お!
発音が違うっ!!」

⏰:09/04/24 23:35 📱:N703iD 🆔:6YI0Zqac


#240 [七瀬]
 
『あ…ああ、ごめんね。
真王くん。』

慌てて言い直す。


「…バカじゃねーの。」

小さく呟くそいつに


「こらっ、真王!!」

と怒鳴る姫。



「ねえちゃんはバカだよ。」 

⏰:09/04/24 23:38 📱:N703iD 🆔:6YI0Zqac


#241 [七瀬]
 
 
 
「あなた…
ほんとにバカなのね。」


さっきから、
どいつもこいつも
俺をバカ呼ばわりしやがって…


「それに、
こんな中学生みたいな教科書、初めて見た。」

へーへー、
どうせ俺の高校は
中学生レベルですよーだ。

⏰:09/04/25 13:06 📱:N703iD 🆔:4ro5iMrI


#242 [七瀬]
 
「ほんとにあなた高校生?」

俺を見る姫。


確かに、姫の机の上にある本立てには、
表紙からでも伺えるほど、難しそうな本が並んでる。

『まあ…一応。』

俺の高校とは
比べものにならない。


「でも、教科書の中身が中学生だよ?
なんで?なんでなんで?」

⏰:09/04/25 14:35 📱:N703iD 🆔:4ro5iMrI


#243 [七瀬]
 
ほんっとに
コイツは嫌味が巧い。


「ねえ、なんでなのかな。悪魔さん?」

妖艶な笑みを浮かべる姫。


悪魔はてめえだろーが。


『さあ…
なんでだろうね。』

笑顔が引きつる俺。

⏰:09/04/25 14:39 📱:N703iD 🆔:4ro5iMrI


#244 [七瀬]
 
「で…
こーんな学校でも留年しちゃうんだ。悪魔さんは」


そうだよ?

こーんな教科書でも
理解できないんだよねー。

というより
理解する気ないし。


「ねぇねえ。」

『なに?』
 

⏰:09/04/25 14:43 📱:N703iD 🆔:4ro5iMrI


#245 [七瀬]
 
まだなんかあんのかよ。

と次に出てくるであろう
姫の嫌味に構える。


「悪魔さんなのに、
テストの答えとか事前に
分からないのー??」


それ分かったら、
留年しかけないし。

今、姫と中学生レベルの教科書広げて向き合う必要もない。
 

⏰:09/04/25 14:46 📱:N703iD 🆔:4ro5iMrI


#246 [七瀬]
 
『うんうん、
それはね〜しちゃいけないって悪魔界で決められてるんだよ〜』

適当に答えた。


だってこんな嫌味に
ムキになってたら、
姫の思う壺と思ったから。


「え〜、
なんか悪魔って生ぬるい。つまんなーい。」

姫は不服そうに言った。

⏰:09/04/25 14:51 📱:N703iD 🆔:4ro5iMrI


#247 [七瀬]
 
確かに、真姫から見たら、やり足りないだろうなあ。


『でも、そんなことしたら他に一生懸命してる人が、可哀相でしょ〜?』

ぐずる子どもを
なだめるように言う。


「あなたほんとに悪魔?」


高校生の次は悪魔かよ…
 

⏰:09/04/25 14:56 📱:N703iD 🆔:4ro5iMrI


#248 [七瀬]
 
『う〜ん。
実は俺、悪魔を
引退したんだよねぇ…』


「なんで?」

姫はよく
“なんで?”と聞く。


『ん?それはね。』

それを聞くたび俺は
幼稚園を連想する。


『俺以上な悪魔を見つけたから。』

⏰:09/04/25 15:00 📱:N703iD 🆔:4ro5iMrI


#249 [七瀬]
 
「へ?いつ?」

すっとんきょうな声を
出す真姫。


自分のことだと
気付いてないのか?

『約一週間前かな?』


「一週間前…
どこで?」

他人のことには異常なくらい敏感なくせに、
自分のことには鈍感なんだな。

⏰:09/04/25 15:05 📱:N703iD 🆔:4ro5iMrI


#250 [七瀬]
 
『遊園地かな。
大きな観覧車と心臓止まりそうなくらい怖〜いジェットコースターが有名な』

サラリと言ってやった。


目を丸くする真姫。

「一週間…遊園地……
心臓が止まりそうなジェットコースター…」

気付いたか?


暗唱する姫を横目で見る。

⏰:09/04/25 15:09 📱:N703iD 🆔:4ro5iMrI


#251 [七瀬]
 
「そう…そうだわ。」

独り言のように
ぶつぶつと呟く真姫。


『ひめ…』

「よし!勉強再開しよっか」


…ん?
なんなんだ?


一人納得する姫を余所に
俺は結局、どうなったのか分からないまま、
勉強を再スタートした。

⏰:09/04/25 17:44 📱:N703iD 🆔:4ro5iMrI


#252 [七瀬]
 
「えーとね、
ここがこうなるから…」


始まって、まだ30分も経ってないけれど
激しく睡魔に襲われる俺。


「それで、хに代入するから…」

姫の声が
遠くに聞こえてきた。


「って…
聞いてるのかしら。」
 

⏰:09/04/25 21:42 📱:N703iD 🆔:4ro5iMrI


#253 [七瀬]
 
『うん〜?
ああ…聞いてるよ』

バッと目を開けて見せた。


「…嘘ね。」


あちゃー、


『バレた?』

舌を出しておどけてみた。


「まったく…」
 

⏰:09/04/25 21:45 📱:N703iD 🆔:4ro5iMrI


#254 [七瀬]
呆れた様子の真姫。


『じゃあ姫が
俺の目ぇ覚ましてよ〜』

早くも…
というより最初っから、
勉強が嫌だった俺は
少し姫をからかってみることにした。


「なに言って…」

ギュッ


シャーペンを持った
姫の白い手を握った。

⏰:09/04/25 21:50 📱:N703iD 🆔:4ro5iMrI


#255 [七瀬]
 
姫は驚いたように
俺を見た。


『お姫さまの口付けで
目を覚まさせて。』

顔を近付けた。



グイッ

『いてっ!!』


「…なに寝ボケてるのかしら。」
 

⏰:09/04/25 21:54 📱:N703iD 🆔:4ro5iMrI


#256 [七瀬]
 
ほっぺたを手で
ギュッと握られる。


『ふぃ…め?』

一応
“姫”と言ってるつもり。

「お姫さまの口付けで目覚めるんじゃなくて、
王子さまの口付けでお姫さまが目覚めるのよ。」


『ほ…ほぉなんだ。』

これでも“そうなんだ”と言ってるつもり。

⏰:09/04/25 21:59 📱:N703iD 🆔:4ro5iMrI


#257 [七瀬]
「…眠り姫のお話ではね」

そうやって
にっこり笑って


チュッ

と軽くキスをした。


「目、覚めた?」

『………』

「なに?足りない?」

黙っている俺を見て、
得意の意地悪な笑みを
浮かべた。

⏰:09/04/25 22:04 📱:N703iD 🆔:4ro5iMrI


#258 [七瀬]
 
『……足りない。』

姫の目が光り、
口元が妖しく揺れる。


深夜零時を回った頃。

このまま姫と…


お互いの唇を近付けながら俺の頭の中はこんなことでいっぱい。



やっぱ男だもんね。笑
 

⏰:09/04/25 22:08 📱:N703iD 🆔:4ro5iMrI


#259 [七瀬]
 
それによく考えたら俺、
姫と出会ってから
エッチしてないし。


姫とも
他の女とも。

前の俺じゃ考えられない。


京介の言ってたことは
こういうことなのかな?



そんなことを考えてる間にも唇と唇は近づいていく。 

⏰:09/04/25 22:13 📱:N703iD 🆔:4ro5iMrI


#260 [七瀬]
 
姫のと俺のが触れ合うのももう少し…



『ん……んん!?』

俺の唇には柔らかいものが当たってる

…はずが


ひょいと姫によけられた。


「真王?」
 

⏰:09/04/25 22:18 📱:N703iD 🆔:4ro5iMrI


#261 [七瀬]
 
その理由は


ドアから顔を覗く
小さな悪魔。


「…なにやってんだよ」


“なにやってんだよ”ってそっちこそ、なにやってんだよ!


ああ〜!
もうちょっとで姫と
いい感じになれたのに〜!! 

⏰:09/04/25 22:21 📱:N703iD 🆔:4ro5iMrI


#262 [七瀬]
 
「真王、
いつからそこにいたの?」
残念感でいっぱいの俺とは反対に
いたって冷静な真姫。


「ってか、こんなとこで…まだ父ちゃんたち起きてるし、下にいるぜ?」

バカにしたように言う
姫の弟。


「お盛んだな…」
 

⏰:09/04/25 22:26 📱:N703iD 🆔:4ro5iMrI


#263 [七瀬]
 
「そんなこと言ったって、ねえ…」

チラっと俺を見た真姫。


「男と女なんだから、そういうこともあるに決まってるじゃない。
中三にもなるんだから
真王も、それくらい分かるでしょ?」


こんな真王くんの態度にも真姫は同じず平然と言う。 

⏰:09/04/25 22:30 📱:N703iD 🆔:4ro5iMrI


#264 [七瀬]
 
「あのな、ねえちゃんたちはいいかもしんねーけど、俺は勉強があんだよ。
大切な受験勉強が!
変な声が
隣から聞こえてきたら
こっちが堪らない。」

吐き捨てるように言う
真王くん。


「そっか。そうね、真王。お姉ちゃんが
間違ってたわ…」

いきなり
しおらしくなる姫。

⏰:09/04/25 22:38 📱:N703iD 🆔:4ro5iMrI


#265 [七瀬]
 
「でも安心して!
変な声出さないように、
お姉ちゃんが雷を怒っとくから!」


その瞬間、俺と真王くんがずっこけたのは言うまでもない。

姫〜!!




「アホくせ。」

そう言って小さな悪魔は
出ていった。

⏰:09/04/25 22:42 📱:N703iD 🆔:4ro5iMrI


#266 [七瀬]
 
 
とりあえず、萎えた。


俺の気持ちも
なにもかもが。


「どうしたの?雷。」

あなたとあなたの弟の
せいですよ。


『なんでもないよ…
お風呂入りたい。』

笑って流すことにした。

⏰:09/04/25 22:44 📱:N703iD 🆔:4ro5iMrI


#267 [七瀬]
 
「そう…」

姫は不思議そうに
俺を見てたけど


「じゃあ姫はお風呂長いから先に入って。」

とりあえず
了承したみたい。




俺は
お風呂に入ることにした。 

⏰:09/04/25 22:48 📱:N703iD 🆔:4ro5iMrI


#268 [七瀬]
 
 
「ここ。」

姫に案内され、
風呂場へやって来た。


「パンツ、着替え、
バスタオルはここにおいとくから。
あと歯ブラシはそこ開けたら、入ってるから。
好きなの使って。」

『…ありがと。』


姫の指示を受け終え、
やっとシャワーへ。

⏰:09/04/25 22:53 📱:N703iD 🆔:4ro5iMrI


#269 [七瀬]
 
シャー


シャワーの流れる音が
心地よい。

今までの疲れを流してくれたみたいだ。


シャワーを浴びて浴槽へ。


ちゃぽん

シャワーでは流しきれなかった疲れを溶かしてくれてる気がした。

⏰:09/04/25 22:56 📱:N703iD 🆔:4ro5iMrI


#270 [七瀬]
 
今日、
初めて姫の家へ来て

初めて本当に気を休めた
気がする。

やっぱ初めて来る人の家って緊張するけど、
それ以上に気を使った。


なんかなあ〜

厄介な弟もいるし…


でも、さっきは
本当に惜しかった。

⏰:09/04/25 23:02 📱:N703iD 🆔:4ro5iMrI


#271 [七瀬]
 
もう少しで姫と…


ああ〜!!もう!


こう考えると
悔しさが込み上げてくる。




もうそろそろ洗うか…


モヤモヤを胸に
浴槽を出た。

⏰:09/04/25 23:04 📱:N703iD 🆔:4ro5iMrI


#272 [七瀬]
 
頭を洗おうと
シャンプーへ手を伸ばす。


ん…?
なんかあわ立たない。

変なシャンプーだなと思いながらも流す。


そしてリンスを付けた。


んん!?
なんだなんだ?

このリンス、
すごいあわ立つ!

⏰:09/04/25 23:59 📱:N703iD 🆔:4ro5iMrI


#273 [七瀬]
 
ほんとバカですみません。


長い前振りを経て、
俺はやっとシャンプーと
リンスを間違えていたことに気付いた。


そもそも、これ…

ワケわからない外国語で
表示されてて読めない。


どっちがどっちやら…

俺が間違えるのも
無理はない。

⏰:09/04/26 00:23 📱:N703iD 🆔:TMLWFn/I


#274 [七瀬]
 
俺が分かるのは
とてつもなく良いにおいがするということだけ。

フワリと姫と同じ香り。


いかにも高そうな
シャンプーとリンス。

やっぱり真姫はお嬢様なんだなあと実感した。


…と言っても、
あんな学校に通ってて
こんな家に住んでるくらいだから、当たり前か。

⏰:09/04/26 00:28 📱:N703iD 🆔:TMLWFn/I


#275 [七瀬]
 
 
「姫の家。」

『こ…ここ?』


今日、姫に初めて招待された時から、思ってた。



で…でけぇ。

それはそれは見事な、
洋服の家で

周りの普通の家たちが
小さく見えた。

⏰:09/04/26 00:32 📱:N703iD 🆔:TMLWFn/I


#276 [七瀬]
 
屋根の上に自然に座っている煙突には驚いた。

サンタクロースでも
来るのだろうか。


「入って。」


家にお邪魔した時、
ますます驚くことになる。


な…なんじゃこりゃ。

すごい。

俺、興奮してまっす。

⏰:09/04/26 00:36 📱:N703iD 🆔:TMLWFn/I


#277 [七瀬]
 
真っ白な長い廊下に

童話でしか聞いたことなければ、ドラマでしか見たことのないシャンデリア。

玄関の横には
おっきなテェディベアーが座っていた。


「たっだいまー!」

そのテェディベアーに
“ただいま”と言った姫にも驚いた。

なんかかわいい。

⏰:09/04/26 00:42 📱:N703iD 🆔:TMLWFn/I


#278 [七瀬]
 
「コロ助〜!!」


コロ助…

コロ助ってゆーの!?
そのテェディベアー。


うーん、
オシャレなくまに
そのあだ名はちょっと…


なんだかんだで
姫に一番驚いた俺。

実は
少しツボにハマった。笑

⏰:09/04/26 00:46 📱:N703iD 🆔:TMLWFn/I


#279 [七瀬]
 
ビミョーな笑いをこらえ、さっき姫の両親と対面したリビングへ。


暖炉があったのには
またびっくりした。


なんか、この家は

洋風できれいなんだけど、暖炉があったり、煙突があったりと
レトロな印象もあるところが逆にオシャレだなーって思った。

⏰:09/04/26 00:50 📱:N703iD 🆔:TMLWFn/I


#280 [七瀬]
 
それから姫の両親に
あいさつして


あの厄介な弟…


でも、ありゃダメだな。
完全なシスコンだ。

真姫に依存してる。



「…ねえちゃんはバカだよ」

あの時はなあ…参ったな。参ったよ、完全に。

⏰:09/04/26 01:03 📱:N703iD 🆔:TMLWFn/I


#281 [七瀬]
 
「こんなヤツのどこが…」

下を向いて
小さく言う真王。

「俺の方が…」


「も〜、ぶつぶつ言ってないで座って!食べよ!」

姫に促され、
渋々座るシスコン野郎…
じゃなくて真王くん。


その後、出てきた料理は
めちゃくちゃうまかった。

⏰:09/04/26 01:25 📱:N703iD 🆔:TMLWFn/I


#282 [七瀬]
 
料理というよりディナーと言った方がしっくりくる。


美味しい料理
シャンデリアが照らす
テーブル…

どっかの高級レストランのようだった。


俺は初めて見る料理と
初めて食べる食べ物に
舌鼓を打っていた。


…が右斜めの小さな悪魔の目線が痛かったけど。

⏰:09/04/26 01:30 📱:N703iD 🆔:TMLWFn/I


#283 [七瀬]
 
それから、
姫の両親と家族団欒な会話をして、
姫の部屋へ向かった。

そして20分も経たない内に勉強をギブアップして

良い雰囲気になったと思ったら、弟に壊されて。


…またムカついてきた。



まあ、そんな感じ。

⏰:09/04/26 01:35 📱:N703iD 🆔:TMLWFn/I


#284 [七瀬]
 
 
ふぅ、気持ち良かった。

広ーいお風呂をゆっくりと堪能して、上がった。


っあ!!
ちゃんと間違ってたシャンプーとリンスはやり直しましたから。

そのあと、ボディーソープにまた迷ったけど。


まあ、それは置いといて
っと。

⏰:09/04/26 01:40 📱:N703iD 🆔:TMLWFn/I


#285 [七瀬]
 
姫が置いといてくれた
バスタオルで体を拭いた。


そして、
またそのバスタオルで無造作に頭の水分を落とした。


パンツを履いて、
スウェットを着る。




カチャ

風呂場を出ようと
ドアを開けた、その時…

⏰:09/04/26 01:44 📱:N703iD 🆔:TMLWFn/I


#286 [七瀬]
 
 
『うわっ』

びっくりした…


「…んだよ、変態野郎。」

変態野郎?

じゃあお前は
シスコン野郎だ。


『ま…真王くん。
どうして、
そんなとこいたの?』

胸の内を抑え、問う俺。

⏰:09/04/26 09:42 📱:N703iD 🆔:TMLWFn/I


#287 [七瀬]
 
「トイレ行こうしただけ。」

『あ…そう。』


てっきり覗いてたのかと…

「覗いてた…とか思ってねぇだろーな。」

心を読まれてたみたい。


だって、姫と入ってるんじゃないか
って心配とかして…

用するに覗いてそうだもん、こいつ。

⏰:09/04/26 09:46 📱:N703iD 🆔:TMLWFn/I


#288 [七瀬]
 
『そんなことないよ…』


「俺は男の風呂を覗く趣味はない。」

そういって、
隣にあるトイレへ入った。


あー…まぢおっかねぇ。

今どきのシスコンは怖いよ、まったく。

あの目付き…
今にも殺されそうなほど。

殺気がすごい。

⏰:09/04/26 09:51 📱:N703iD 🆔:TMLWFn/I


#289 [七瀬]
 
 
『姫、上がったよ〜。』

姫の元へ。


「はいはーい。」

姫は風呂場へ。



なんか暇だなー。

姫がお風呂に入ってしまって、つまらない。

⏰:09/04/26 09:54 📱:N703iD 🆔:TMLWFn/I


#290 [七瀬]
 
ちょっと姫の部屋を
徘徊することにした。


それにしても…
さっきから思ってたこと
だけど、


なんかこの部屋狭い。


狭いつっても、
他の家と比べると普通…
より少し広い方だと思う。

ただ、この家の大きさと比べると異様に狭く感じるんだと思う。

⏰:09/04/26 09:59 📱:N703iD 🆔:TMLWFn/I


#291 [七瀬]
 
本立てと本棚には
相変わらず難しそうな本が並んでいて分からない。

中には、誰でも知っている映画化された有名な本も
いくつかあった。

けれど原作で、
英語なのか、何語なのか…分からないけど、全く読めなかった。


姫のことだから派手で
あんなにセレブ買い?
するから、絶対散らかってると思ってた。

⏰:09/04/26 10:18 📱:N703iD 🆔:TMLWFn/I


#292 [七瀬]
 
だけど、結構片付いてて
白で統一された中に
点々とピンクがある、
シンプルなのにかわいい部屋だった。


意外な一面を
見た気がした。


なんか…



テンション上がってきた。 

⏰:09/04/26 10:21 📱:N703iD 🆔:TMLWFn/I


#293 [七瀬]
 
姫の新たな一面を見れて、テンションの上がった俺の目に、ふとクローゼットが止まった。


それで、俺も男だから…


とてつもなく見たい衝動に駆られました。


ドキドキドキドキ…

見たい!
バッと一気に開けたい!

胸が高鳴る。

⏰:09/04/26 10:24 📱:N703iD 🆔:TMLWFn/I


#294 [七瀬]
 
時計をチラッと見る。


よし!
姫は風呂長いって言ってたから、まだ上がってこないだろう。


大丈夫
大丈夫…

バレない
バレない…


完全に獣と化した俺に
気持ちを抑える余裕はなかった。

⏰:09/04/26 10:29 📱:N703iD 🆔:TMLWFn/I


#295 [七瀬]
 
 
「はぁ〜すっきりした…
って雷…まだ起きてたの?」

あれから姫が
お風呂から上がってきたのは2時間後だった。


『うん…』

「どうしたの?なんか変。」


どうしたの?

体育座りで顔を埋める俺を見たら、そう聞きますよね普通。

⏰:09/04/26 10:34 📱:N703iD 🆔:TMLWFn/I


#296 [七瀬]
 
『…なんでもない。』

「ほんとに?」

『ほんとほんと…』


「まあ…そういうなら別にいいけど。」

姫は特に気を止める様子もなく、少し濡れた髪を解かし始めた。



「眠たくないの?」
 

⏰:09/04/26 11:17 📱:N703iD 🆔:TMLWFn/I


#297 [七瀬]
 
気が付けば、
もう深夜3時。

丑三つ時も
過ぎてしまった。


『…寝よっか。』

全身鏡の前に立つ姫に
声をかけた。



「じゃあ先にベッド入ってて。トイレ行ってくる。」
そういって、バタンと部屋を出ていってしまった。

⏰:09/04/26 11:21 📱:N703iD 🆔:TMLWFn/I


#298 [七瀬]
 
 
『い、一緒に寝るの!?』

俺の声を無視して。


うーん、どうすればいいのだろうか。


姫に言われた通りに
図々しくベッドに入っておくか…

それとも
姫が戻ってくるまで、
一応このままでいようか。

⏰:09/04/26 11:25 📱:N703iD 🆔:TMLWFn/I


#299 [七瀬]
 
そんなことを考えているうちに、


「あれ?まだ座ってたの?」

真姫が戻ってきた。


「ベッドに入っててって
言ったじゃん。」


あ、やっぱり良かったんだね、ベッドに入ってて。

『いや〜、姫と一緒に入ろうと思って。』

⏰:09/04/26 11:29 📱:N703iD 🆔:TMLWFn/I


#300 [七瀬]
 
すると、ニヤッと笑って


「さっきの続きする?」

姫の口角が妖しく上がる。


さっきの続き…

心臓が激しく跳ねる。




でも

『止めとくよ。』
 

⏰:09/04/26 11:32 📱:N703iD 🆔:TMLWFn/I


#301 [七瀬]
 
「あら…意外ね。」

不意を突かれたような姫。


『うん。
さっきみたいに姫の弟が
覗いてそうだから。』

「フフッ、そっか。」


二人で
一緒にベッドに入った。

『おやすみ、姫。』

「おやすみなさい、
お馬さん。」

⏰:09/04/26 11:38 📱:N703iD 🆔:TMLWFn/I


#302 [七瀬]
 
このやろう…


俺の怒りと共に
夜は更けていく…



はずが、


「ね、ほんとにいいの?」

『いーの。それともなに?もしかして姫、溜まってんの?』

⏰:09/04/26 11:41 📱:N703iD 🆔:TMLWFn/I


#303 [七瀬]
 
「姫はいいけど…
今日だけだよ?
次からはもうないから。」

『え!?それはちょっと…』


「もう手遅れだから〜」

アハハと笑った姫。


『そんなぁ』



こうして
怒りではなく、俺の後悔と共に夜は更けていった。

⏰:09/04/26 11:49 📱:N703iD 🆔:TMLWFn/I


#304 [七瀬]
 
 
後悔してないというと
嘘になる。

後悔してます、少しだけ。ほんとに少しだけだよ?



でも、今でも俺は
あの時、姫を抱かなくてよかったと思う。

というより、
抱けなかった。


姫が離れてしまうような
気がして。

⏰:09/04/26 11:54 📱:N703iD 🆔:TMLWFn/I


#305 [七瀬]
 
 
ほんとに俺はどうしてしまったんだろう。





『……』

ん?ここ…どこ?

えっーと、思い出せ、俺。

昨日は…


そうだ!姫の家に泊まったんだった。

⏰:09/04/26 14:09 📱:N703iD 🆔:TMLWFn/I


#306 [七瀬]
 
ってことは…

隣を見ると、
お姫さまが寝息を立ててスースーと眠っていた。


携帯を見ると、
もうお昼過ぎ。

今日は土曜日だから
学校はない。


『ねえ〜姫ぇ〜
もう12時過ぎてるよ?
起きて。』

とんとんと肩を叩いた。

⏰:09/04/26 14:13 📱:N703iD 🆔:TMLWFn/I


#307 [七瀬]
 
 
「ん〜もう少し…」


ま、いっか。

まだベッドに横たわる姫を置いて、俺はトイレへ。



あ…姫の両親と弟は
もう起きてるんだろうか。

さすがに、
もう起きてるよな。

一階のリビングへと
向かった。

⏰:09/04/26 14:18 📱:N703iD 🆔:TMLWFn/I


#308 [七瀬]
 
 
どんどんどん…


階段を下りると、

昨日、豪華なディナーを
食べたあの一室に


『真王くん?』

パンとサラダとコーヒーという朝ごはん
…朝じゃないけど

とりあえず、朝ごはんを
食べている姫の弟が。

⏰:09/04/26 17:22 📱:N703iD 🆔:TMLWFn/I


#309 [七瀬]
 
大きな窓から柔らかい日差しがこの部屋いっぱいに入ってきている。

その光が、真王の色素の薄い髪を照らして、
美しさを際立たせている。


ちくしょ…

悔しいけど、


その風景が
とても似合っていた。


やっぱり姫と似てる。

⏰:09/04/26 17:26 📱:N703iD 🆔:TMLWFn/I


#310 [七瀬]
 
 
『おはよう、真王くん。』
すると、真王は
チラッと俺の方を見て、
すぐに手元のパンへと
目線を戻した。


無視しやがって…コイツ。


『えーと、ご両親は?』

ムカつくのを
なんとか抑え再質問。


「……」

⏰:09/04/26 17:31 📱:N703iD 🆔:TMLWFn/I


#311 [七瀬]
 
また無視かよ…


それ以上なにも言わず、
少し遠慮がちに昨日と同じイスに座った。

右斜めにはむしゃむしゃと食べる弟。

テレビの騒がしい音だけが部屋に響く。



「なあ。」

そんな中、声を発したのは例のシスコン野郎。

⏰:09/04/27 17:31 📱:N703iD 🆔:27ivcG1M


#312 [七瀬]
 
いきなりのことで
ビクッとなる俺。

あ〜、カッコわりぃ。


「そんな心配すんなよ。
昨日のこと。」

その言葉に
余計に反応する。


「ねえちゃんには言わないから。昨日のことは。」

“昨日のこと”を強調していう小さな悪魔に小さくなる元悪魔。

⏰:09/04/27 17:35 📱:N703iD 🆔:27ivcG1M


#313 [七瀬]
 
見ると、意地悪な笑顔。

そういうとこ…


ほんっと姫にそっくり!!


やっぱり姉弟だと
思った瞬間。





昨日のこと
昨日のこと…
 
 

⏰:09/04/27 18:30 📱:N703iD 🆔:27ivcG1M


#314 [七瀬]
 
 
昨日、俺は姫のクローゼットの中を見た。


というのは嘘で
詳しくいうと
“見よう”とした。

なぜこんな言い方かというと実際見てないから。


あの時、俺は
テンション上がり過ぎててなんの見境もなかった。


…がコイツに邪魔された。

⏰:09/04/27 18:33 📱:N703iD 🆔:27ivcG1M


#315 [七瀬]
 
姫といい感じになった時と同様。

俺は邪魔されたんだ!


…でも、
今思うと逆に
ありがたかったかも。

だって、あのまま開けてたら…なあ。


俺の失態を食い止めてくれてありがとう!

シスコン野郎。

⏰:09/04/27 18:37 📱:N703iD 🆔:27ivcG1M


#316 [七瀬]
 
『ありがとね、真王くん』


するとアイツは少し驚いたように俺を見た。

「ま、まーな。
黙っててやる俺に感謝しろよ。」


『そうじゃなくて。
あの時、止めてくれてありがとう。』

「………」

何も言わず、俺を見る
真王くん。

⏰:09/04/27 21:38 📱:N703iD 🆔:27ivcG1M


#317 [七瀬]
 
『もう少しで犯罪者になるとこだったよ。』

ハハッと
軽く笑って見せた。


『真王くんが
止めてくれてなかったら、俺、姫の顔を
見れなかったと思う。
あ、あの後、結構見れなかったけどね。』


体育座りして顔埋めてた
くらいですから。

⏰:09/04/27 21:43 📱:N703iD 🆔:27ivcG1M


#318 [七瀬]
 
 
「ふ、ふーん。」

俺を相変わらず見ない
真王くん。


『あ、あと
姫には言っていいよ。』

すると背けた顔を
バッと上げた。


「い…いいのか?」

目を丸くする真王くんに
苦笑いしながらいう。

⏰:09/04/27 21:46 📱:N703iD 🆔:27ivcG1M


#319 [七瀬]
 
『うん。仕方ないじゃん?俺が悪いんだから。』

「でも…ねえちゃんきっと怒るぜ?」

『うん。怒るだろうね。
姫、あんなの特に嫌うし』

「じゃあなんで…」



『だって姫が好きだもん』


格好つけてるわけでもなく口から自然に出てきた。

⏰:09/04/27 21:50 📱:N703iD 🆔:27ivcG1M


#320 [七瀬]
 
『俺は姫が好き。
だから、姫の嫌われるようなことして黙ってるのも罰が悪いじゃん。』

ペロッと舌を出した。


『それにどんなに姫が怒っても謝って許してもらう。

…でも、そうなったら
結構時間かかりそうだから毎日ここ通わなきゃなあ。だから真王くん。』

目をジッと見た。

茶色い目が俺を映してる。

⏰:09/04/27 21:57 📱:N703iD 🆔:27ivcG1M


#321 [七瀬]
 
 
『これからも
よろしくなっ!!』






「ふあぁ〜あ。雷?真王?」

お姫さまはやっと
目を覚ましたご様子。


『おはよ、姫。』
 

⏰:09/04/27 22:01 📱:N703iD 🆔:27ivcG1M


#322 [ミクミク大好き*◆POTE/rv2/w]
あげる(^^)

⏰:09/04/28 10:43 📱:SH902iS 🆔:WojL0.lg


#323 [七瀬]
ミクミク大好きさん


あげありがとー\(^O^)/
 
 

⏰:09/04/28 16:59 📱:N703iD 🆔:e3PxYf7I


#324 [七瀬]
 
「おっはよー!」

『姫、あのな…』


姫に昨日のことを言おう。

そう決意した時、



「ねえちゃん。」

「ん?どうしたの、真王。」


真王くんが口を挟む。
 

⏰:09/04/28 18:17 📱:N703iD 🆔:e3PxYf7I


#325 [七瀬]
 
「今日、その…」

「な〜に?」


冷蔵庫を開けて
フルーツジュースをコップに注ごうとする姫。

不思議に思って真王くんを見た。


「…どっか行こ。」

鼻歌を歌いながら注ぐ姫。


「……三人で。」

⏰:09/04/28 18:23 📱:N703iD 🆔:e3PxYf7I


#326 [七瀬]
 
途端に姫の鼻歌が止まって俺の目線も止まる。


「だから…」

真王くんは意を決したように言う。


「ねえちゃんと
雷…にいちゃんと、俺で」


“雷にいちゃん”

誰のことを言っているのか分かるまで、時間がかかった。

⏰:09/04/28 22:03 📱:N703iD 🆔:e3PxYf7I


#327 [七瀬]
 
 
「フフフフッ、なにかあったの?二人とも。」

姫が笑って聞いてくる。


「さっ、さあな!
俺、着替えてくる。」

真王くんはリビングを
出ていった。


『雷?
あ、違った。
“雷にいちゃん”か。』

ニコニコする姫。

⏰:09/04/28 22:06 📱:N703iD 🆔:e3PxYf7I


#328 [七瀬]
 
その言葉が
妙にくすぐったかった。


『“なにか”あったかも』

「なになに?」


『それは、悪魔同士の秘密…かな?』

笑ってみせた。


「じゃー私にも教えてよ。」

プクーと膨らむ姫。

⏰:09/04/28 22:11 📱:N703iD 🆔:e3PxYf7I


#329 [七瀬]
 
そして耳元で


「私も悪魔…なんだから。」

って囁いた。



『…気付いてたの?』

昨日の夜、
俺が言ったこと。


「もちろん。」

不敵な笑みを浮かべる姫。

⏰:09/04/28 22:14 📱:N703iD 🆔:e3PxYf7I


#330 [七瀬]
 
「一週間、遊園地、心臓が止まりそうなジェットコースター…でしょ?」

『さすが悪魔。』

姫お得意の意地悪な笑みに俺も笑い返す。


「悪魔なんて、
失礼しちゃうわ。」

なんだ鈍感な
ワケじゃないんだ。

『じゃあ、こっちだって
お馬さんなんて失礼しちゃうな。』

⏰:09/04/28 22:22 📱:N703iD 🆔:e3PxYf7I


#331 [七瀬]
 
「いいじゃない。
かわいいし。お馬さん!」

『…悪魔。』


「悪魔はやだ!!
かわいくないもん。」

姫はまた膨れっ面に。

「せめて小悪魔にしてよ。」


小悪魔?

『いーや、そんな生ぬるいもんじゃねえよ。』
 

⏰:09/04/28 22:28 📱:N703iD 🆔:e3PxYf7I


#332 [七瀬]
 
「昨日の雷よりはマシ。」

『俺は、もう引退したんだよ。』

姫が入れてくれた
コーヒーを口へ運んだ。


「もーっ、じゃあ男同士の秘密ってことにしといてあげる。」

『…生ぬるい。』


「…??」

コーヒーが。

⏰:09/04/28 22:31 📱:N703iD 🆔:e3PxYf7I


#333 [七瀬]
 
俺の最後の
“生ぬるい”は伝わらず、


前から思っていた疑問の
一つを姫にぶつけた。


『ねぇ、姫って
なんで自分のこと“姫”って呼んだり“私”って呼んだりするの?』

「ん〜?それはね。」


俺の前に座った。

⏰:09/04/28 22:44 📱:N703iD 🆔:e3PxYf7I


#334 [七瀬]
 
 
「悪魔同士の秘密ー!!」

今度は無邪気に笑う姫。


『じゃー、悪魔なんだから俺にも教えてよ〜。』

「あら?引退したんじゃなかったかしら。」


まるっきり
さっきと反対の状況。

もちろん、さっきと同様に今度は俺が膨れる。

⏰:09/04/28 22:48 📱:N703iD 🆔:e3PxYf7I


#335 [七瀬]
 
そんな俺を見て
現役悪魔は満足したよう。

「えーっとね、
姫は自分のことを
基本“姫”って呼ぶの。」

『うんうん。』

それは知ってる。


「でも、“私”って呼ぶ時もあります。」

だから!


『なんで?』

⏰:09/04/28 23:00 📱:N703iD 🆔:e3PxYf7I


#336 [七瀬]
 
「うん?姫の気分?」

そうやって
ロールパンを一口かじる。


『気分って…』

さすが、悪魔。

というより、お姫さま?


「あとはー、初対面の時とか。」

補足するように
姫は言った。

⏰:09/04/28 23:03 📱:N703iD 🆔:e3PxYf7I


#337 [七瀬]
 
「文を読む時とかは
“私”って呼ぶよ。」

それは
当たり前のことなんじゃ…


「ママに怒られた。
せめて人の前でくらいは、“私”にしなさいって。」

そりゃ、ごもっとも。


でも…

『姫は“姫”って呼ぶ方がらしいよ。』

⏰:09/04/28 23:42 📱:N703iD 🆔:e3PxYf7I


#338 [七瀬]
 
すると、姫は
「ありがと。」って笑った。

その笑顔があまりにかわいくて、

胸がきゅんってなる。


これが、愛しいっていう
気持ちなんだろうか。

これが人を好きになるってことなんだろうか。


これが愛なのか。
 

⏰:09/04/28 23:45 📱:N703iD 🆔:e3PxYf7I


#339 [七瀬]
 
 
17歳、
まだまだぽかぽかした春。


初めて、
人を好きになった。



人?

悪魔だな、悪魔。



俺だけの悪魔のお姫さま。 
 

⏰:09/04/28 23:47 📱:N703iD 🆔:e3PxYf7I


#340 [七瀬]
 
 
「さて。用意しよっか。」

食べ終えて、姫は立ち上がり、食器を流しに置いた。


あれから、ずいぶんと時間が経ったけど真王くんは戻ってこない。


「真王は、
部屋にいるんじゃない?」

気を利かしてくれたのだろうか。

⏰:09/04/28 23:52 📱:N703iD 🆔:e3PxYf7I


#341 [七瀬]
 
 
もう一人の悪魔は
俺を認めてくれたのかな。


“雷にいちゃん”

さっきの言葉が
頭に流れる。


「どうしたの?雷。
ニヤニヤして…」

『別に。
俺も用意してくる』


嫌な響きじゃないかも。

⏰:09/04/29 13:42 📱:N703iD 🆔:xT6XWtjI


#342 [七瀬]
 
 
「さあ〜どこ行く?」


顔洗って着替えて…
三人とも準備満タン!!


『ん〜、そうだなあ。』

どこがいいかな。
中学生が楽しめるところ…


あ〜っ、
ぜんぜんわかんない。

2年前まで
俺も中学生だったのに…

⏰:09/04/29 14:06 📱:N703iD 🆔:xT6XWtjI


#343 [七瀬]
 
思わぬ老化の進み具合?に少しショックを受けつつも


『真王くん、どっか行きたいところある?』

やっぱり、中学生のことは中学生に聞くしかない。


「う〜ん…あるにはある。」

遠慮がちに言う真王くん。


『どこ?
遠慮せずに言ってよ。』
 

⏰:09/04/29 14:10 📱:N703iD 🆔:xT6XWtjI


#344 [七瀬]
 
「そうよ、遠慮しないで言っちゃって!
どんなとこでも姫が雷になんとか、させるからっ!!」

姫の楽しそうなこの一言にえっ?ってなりながらも、


『任せてよ。』

とか言っちゃう俺。


やっぱ俺ってバカだ…


「ほんとにいいの?」

⏰:09/04/29 14:14 📱:N703iD 🆔:xT6XWtjI


#345 [七瀬]
 
真王くんに二人で頷く。


「ありがとー、
雷にいちゃん!」

なんだ。
かわいいとこあんじゃん。


…俺は忘れていた。


コイツも悪魔の血を引き継いでいるということを。


「じゃあ〜…」
 

⏰:09/04/29 14:18 📱:N703iD 🆔:xT6XWtjI


#346 [七瀬]
 
俺の目を見る茶色い瞳。


「初めて、ねえちゃんとデートしたところ。」


『え…』

「ねぇ〜、二人とも、どこで出会って、どこで初めてデートしたわけ!?」

おもいっきり好奇心の塊。


でも、中学生らしいといえば、そうかも。

⏰:09/04/30 06:41 📱:N703iD 🆔:wzQmp4ms


#347 [七瀬]
 
 
『姫〜』

助けを求めるように
目で訴えかける。


「いいじゃない。」

苦笑いしながらも、
ウキウキする姫。


「で!、どこなの?
初めてデートしたところ」


どこって… 
 

⏰:09/04/30 06:45 📱:N703iD 🆔:wzQmp4ms


#348 [七瀬]
 
「大きな観覧車と、心臓が止まりそうなジェットコースターのある遊園地。」


「遊園地!」

楽しそうな姉弟に
なにも言えなかった。


『ほんとに行くの〜!?』

「もちろん!!」



今日も疲れそうな予感。
 

⏰:09/04/30 06:49 📱:N703iD 🆔:wzQmp4ms


#349 [七瀬]
 
 
「わあ!!」

姫の反応が
初めてデート…というか、出会った時と一緒だった。

それプラス、
同じ顔したヤツも同じ反応で思わず笑ってしまった。


それにしても


『…すごい人だな。』


当たり前か、土曜だし。

⏰:09/04/30 19:29 📱:N703iD 🆔:wzQmp4ms


#350 [七瀬]
 
とても混雑していて、
乗り物になんて容易に乗れそうにない。

姫と初めて来た時とは、
大違い。

ま、前来たのは平日だし
お昼過ぎてたしね。

空いてて当たり前なところがあった。


「あ、あれ乗りたーい!」

にも関わらず、
やっぱり前と変わらずに
はしゃぐ姫。

⏰:09/04/30 19:33 📱:N703iD 🆔:wzQmp4ms


#351 [七瀬]
 
『なになに?』

姫の目の先を見る。


『また
メリーゴーランド?』

呆れる反面、
かわいいと思ってしまう。

そういうとこが
姫に逆らえない一つの理由であることに、


俺はずいぶん前から気付いていた。
 

⏰:09/04/30 19:37 📱:N703iD 🆔:wzQmp4ms


#352 [七瀬]
 
惚れたもん負け


こういう言葉があるけど、俺はまさにそれ。

悪魔の魔力に
負けてしまった。

虜になってしまった。


なんて愚かなんだろう。


バカな上に愚か…

俺、いっこもいいとこないな。

⏰:09/04/30 19:40 📱:N703iD 🆔:wzQmp4ms


#353 [七瀬]
 
 
「えー、やだよ!」

「なんで?なんで?
姫はメリーゴーランドに、乗りたいのっ!」


おやおや?
悪魔同士が喧嘩し始めた。


「んな、ガキみたいな乗りもん乗れっかよ。」

「なんで、なんで?
かわいーじゃんかあ!!」

⏰:09/04/30 19:43 📱:N703iD 🆔:wzQmp4ms


#354 [七瀬]
 
メリーゴーランドを頑なに拒否する悪魔と、

どうしてもメリーゴーランドに乗りたい悪魔。


うーん…



めんどくせえ。


めんどくさくなった俺は、少し二人から離れようと、人混みの少ない場所へと、体の向きを変えた。

⏰:09/04/30 19:46 📱:N703iD 🆔:wzQmp4ms


#355 [七瀬]
 
後は
二人でお好きにどーぞ。

そそくさと行こうとすると


「雷。」

「雷にいちゃん。」


悪魔に捕まった。


『なに?』

仕方なく、張りつけたような笑顔で応じた。

⏰:09/04/30 19:48 📱:N703iD 🆔:wzQmp4ms


#356 [七瀬]
 
「どこ行くのかな?」

「…かな?」


『ちょっと、ジュースかなんかを買いに行こうと…』


ジーッと二人揃って
俺を白い目で見る。


『…すいません。』


やむを得ず、謝りました。 

⏰:09/04/30 19:52 📱:N703iD 🆔:wzQmp4ms


#357 [七瀬]
 
 
あれから結局、
真王くんが折れてメリーゴーランドに乗った。


「雷、喉乾いた〜。」

「あ、俺あれ食べたいなぁ」

「早く、早く〜!!」

この姉弟に
振り回される俺。

ていうか完全に
召使状態。

⏰:09/04/30 20:00 📱:N703iD 🆔:wzQmp4ms


#358 [七瀬]
 
 
『ちょ、ちょっと!』

俺の言葉なんて無視して、どんどん二人で行っちゃう。


アイツらの辞書に
“協調性”というものは、ないのだろうか。


…ないだろうな。

あったら、
もっと俺をいたわってくれるはず。

⏰:09/04/30 20:03 📱:N703iD 🆔:wzQmp4ms


#359 [七瀬]
 
『どっか休憩しよ…』


「ら〜いっ!!」

『おあっ!』


フラフラな俺に後ろから
抱きついてくる。


姫、まぢ勘弁!!


…って、

前に小さく真王くんと並ぶ姫が見える。

⏰:09/04/30 20:07 📱:N703iD 🆔:wzQmp4ms


#360 [七瀬]
 
と、いうことは…


後ろにいるのは誰なんだ?


「雷、ほんとひっさしぶりじゃ〜ん!!」

そうやって、
もっと強くギュッってしてくる誰かさん。


うん、姫はこんなにボインじゃない。

なーんて、相変わらずバカな俺。

⏰:09/04/30 20:10 📱:N703iD 🆔:wzQmp4ms


#361 [七瀬]
 
それに
姫はこんなに背高くない。

細くて長い手首は
俺の胸板をしっかりと
キャッチしている。


誰?

首だけ後ろに向けた。



「相変わらず男前だね〜!」

その先には、
真っ黒なストレートな髪に真っ黒な瞳。

⏰:09/04/30 20:14 📱:N703iD 🆔:wzQmp4ms


#362 [七瀬]
 
 
え〜っと、



誰だっけ。


…全く思い出せない。

「ぜんぜん
連絡くれないし〜」

多分、何回か遊んだ女
…だと思う。


「こっちからメールしても返ってこないしぃ〜」

⏰:09/04/30 20:17 📱:N703iD 🆔:wzQmp4ms


#363 [七瀬]
 
ってか、その語尾伸ばすの止めてくれ。


う〜ん、

俺、美人は基本覚えてるんだけどな〜。


まったく思い出せない。

なにしろ、姫と出会ってから女遊びしなくなったし。


「ってか今日一人〜?」
 

⏰:09/04/30 20:21 📱:N703iD 🆔:wzQmp4ms


#364 [七瀬]
 
誰が一人で遊園地なんて
来るんだよ。

とか思いつつ、言わない。


ほんと誰だっけ。


その女の胸板を見ると、
ペンダントが光っていた。

それには“Y”の文字。


Y…?

Y…Y……Y………。

⏰:09/04/30 20:24 📱:N703iD 🆔:wzQmp4ms


#365 [七瀬]
 
必死に
少ない脳ミソを絞りだす。


あ、

『ゆ…ゆ……』


頭文字は思い出したのに、次がなかなか出てこない
もどかしさにイライラする。


『ゆ〜…』

ゆみ?

⏰:09/04/30 20:27 📱:N703iD 🆔:wzQmp4ms


#366 [七瀬]
 
ん〜、なんか違うな。


ゆ…ゆ…



「ゆか?」

そう!そうだ!!
ゆかちゃんだ!



「真姫先輩?」


え?
 

⏰:09/04/30 20:30 📱:N703iD 🆔:wzQmp4ms


#367 [七瀬]
 
「こんなところで
なにしてるんですか?
先輩。」


先輩…?

「ゆかこそ。
なにしてるのよ、こんなところで。」


えっと〜
状況がうまく掴めないんですけど…

「私は、彼氏と二人で〜
デートでーす。」

⏰:09/04/30 22:13 📱:N703iD 🆔:wzQmp4ms


#368 [七瀬]
 
きれいな黒髪を指でくるくるするゆかちゃん。


「先輩は?」

「姫もデートでーす!」

そう俺の手を握った。


「え…雷?」

目が点になるゆかちゃん。


「なに?どうしたの?」
 

⏰:09/04/30 22:16 📱:N703iD 🆔:wzQmp4ms


#369 [七瀬]
 
俺とゆかちゃんを
交互に見る姫。

「もしかして二人、知り合い?」


はい。
体の隅々まで、よーく知ってますよ。

なんて、絶対言えない。


「知り合いというか、
なんというか…」

俺をジィっと見る
ゆかちゃん。

⏰:09/04/30 22:20 📱:N703iD 🆔:wzQmp4ms


#370 [七瀬]
 
その目が
今の俺には痛い。


「まあ…強いていうなら…」

姫の目線も痛い。

「体と体の知り合い
ですかね〜」

そうやってキャハって
笑うゆかちゃん。


『………』

あまりのことに
呆然と立ち尽くす。

⏰:09/04/30 22:23 📱:N703iD 🆔:wzQmp4ms


#371 [七瀬]
 
今は暖かい春。

ここは人も多いし暑い。
見渡す限り半袖が目立つ。

現に俺も、
薄い長袖のシャツを一枚着ているだけだ。

俺の首筋、こめかみが
汗で光っている。


が、背筋はゾゾッと寒い。


こんな修羅場は
美里の時以来だ。

⏰:09/04/30 22:28 📱:N703iD 🆔:wzQmp4ms


#372 [七瀬]
 
姫の顔が見れない。


「ふ〜ん。」

勘の良い姫のことだし、
もう気付いているはず。


「ゆかちゃんも悪魔に食べられちゃったんだ。」

…食べちゃいました。


「悪魔?」

不思議そうなゆかちゃん。

⏰:09/05/01 16:51 📱:N703iD 🆔:D4BXoDDM


#373 [七瀬]
 
「そ。姫の悪魔さん。」

ニコっと笑う姫に
少しホッとする。


「まあ、昔のことだし、
しょうがないわよね。
男の子だもん。」

その言葉に
もっと安心する。


「…けど、
少しお仕置きが必要かな」


ひぃいいぃ〜…

⏰:09/05/01 16:55 📱:N703iD 🆔:D4BXoDDM


#374 [七瀬]
 
姫の低い声に
また悪寒が走る。


「そうですかぁ〜」

そう言いながらも
あまり意味を理解していない様子のゆかちゃん。

相変わらず、
ほわ〜んとしている。

それに、人のことは
どうでもいいのだろう。


「じゃあ〜、
私、彼氏待ってるんで〜」 

⏰:09/05/02 08:59 📱:N703iD 🆔:zhG.CytU


#375 [七瀬]
 
そう姫に手を振った
ゆかちゃん。

だから、その語尾伸ばすの止めてくれ…



「らーい、また今度…ね」

すれ違いざまに、小声で言ったゆかちゃんの声は


いつもみたいに伸ばさない語尾が、妙に色っぽかっく妖艶だった。
 

⏰:09/05/02 09:04 📱:N703iD 🆔:zhG.CytU


#376 [七瀬]
 
また今度?


「雷。」

『は、はい!』


ああ〜、なに言われるんだろう…

胃が痛い。


「行くわよ。」


へ?それだけ?
 

⏰:09/05/02 09:07 📱:N703iD 🆔:zhG.CytU


#377 [七瀬]
 
姫がなにも言わないのが
謎でボーッとしていると


「なにやってんの、早く!」

姫が振り向く。


『あ…うん、ごめん。』


その顔が、
今まで見たことのない顔で心臓がキュッと締め付けられた。
 

⏰:09/05/02 09:12 📱:N703iD 🆔:zhG.CytU


#378 [七瀬]
 
怒っているわけでもなく
悲しんでいるわけでもなく

いつもみたいに
なにかを企んでいるような顔でもない。


ましてや“お仕置き”を
考えているようにも見えない。


心が鉛のように重たい。


まさか…
 

⏰:09/05/02 09:15 📱:N703iD 🆔:zhG.CytU


#379 [七瀬]
 
 
俺って、
ほんとはM?


ガーン

だとしたら、ショックだ…




この時、俺と姫の考えていたことは、退け合う磁石のように違った。


って当たり前か。
 

⏰:09/05/02 09:18 📱:N703iD 🆔:zhG.CytU


#380 [七瀬]
 
 
「今日さ、
放課後、久々に遊ぼーぜ」


『はあ〜…』

「って、
いきなりため息かよ。」

『わりぃ、京介。』

「まあ…いいけどよ。」


そうやって京介は
俺の前の席に座った。

⏰:09/05/02 09:23 📱:N703iD 🆔:zhG.CytU


#381 [七瀬]
 
「なんかあったの?
真姫ちゃんと。」


『…あった。』

「はぁ。
どうせ、そんなことだと思ったよ。」

『……』

顔を机に伏せた。


やっぱ、
コイツは俺のダチだな。
 

⏰:09/05/02 09:51 📱:N703iD 🆔:zhG.CytU


#382 [七瀬]
 
「で、なにがあったわけ?」


『…新しい発見』

「フッ、なんだそれ。」


『…俺、
ほんとはMだった。』

「ぶっ!」


ハハハ!と大きく笑う京介にムカっときた。

撤回、やっぱコイツはバカやろーだ。

⏰:09/05/02 09:55 📱:N703iD 🆔:zhG.CytU


#383 [七瀬]
 
『…笑うな。』

少し顔を上げて、
前のコイツをにらむ。


「すまん、すまん!!」

そう言いながらも
まだ腹を抱えている京介に上げた顔を横に反らす。


『………』

「いやぁ〜、それはすごい発見だな、大発見だ。」
 

⏰:09/05/02 09:58 📱:N703iD 🆔:zhG.CytU


#384 [七瀬]
 
『だろ?』

ムキになってそう答えた。


「うん、知らなかったよ。」

『…俺自身そうだった。』


「…で、ほんとは
なにがあったんだよ。」


本日2回目の前言撤回。


やっぱコイツはダチだ。
 

⏰:09/05/02 10:08 📱:N703iD 🆔:zhG.CytU


#385 [七瀬]
 
 
「黙ってちゃ、わかんねーよ。」

ずっと顔を窓に向けたままなにも言わない俺。


『…んな………めて見た』

「えっ?」


『…あんな顔、初めて見た。』


また顔を机に埋めた。
 

⏰:09/05/02 10:11 📱:N703iD 🆔:zhG.CytU


#386 [七瀬]
 
「なるほど、
そーゆうことね。」

そういうことです。


ハハッとまた軽く笑い始めた京介。

「俺もお前のそんな顔、初めて見た。」


そんな顔?

『…そんな顔って
どんな顔だよ。』
 

⏰:09/05/02 11:24 📱:N703iD 🆔:zhG.CytU


#387 [七瀬]
 
「鏡見ろ。
説明するより、そっちのが早い。」

『鏡なんて
持ってるわけねーだろ。
女じゃあるまいし。』


その時、

「お、ちょうどいい時に。美里、鏡貸して。」

美里が登校してきた。

京介が美里に手を出す仕草をする。

⏰:09/05/02 11:30 📱:N703iD 🆔:zhG.CytU


#388 [七瀬]
 
「なによ、いきなり。」

そうなるよな、ふつう。


「あ〜、雷が鏡見たいって」

いや、お前が見ろっつったんだろが。


「トイレ行けば?
このナルシスト、変態、
バカ男!!」

そうやって、
フンと席に着いた美里。

⏰:09/05/02 11:34 📱:N703iD 🆔:zhG.CytU


#389 [七瀬]
 
あちゃ〜、
ひどい言われようだな俺。

ってか京介、空気読めよ。


「んなこと言わず、
貸してやってくれよ〜」

キッと俺をにらむ美里。

あ〜、鬼みてぇ。


美里が
バンッと机に鏡を置いた。

「貸したげるから、
どっか行って!」

⏰:09/05/02 11:39 📱:N703iD 🆔:zhG.CytU


#390 [七瀬]
 
どっか行ってって言われてもなあ〜。

席、前だし。


「サンキュー。
ほら、雷。」

黙って鏡を見る。


いつものカッコいい、
岩崎雷くんではないか。

どうせ、
ナルシストで変態でバカなですから。

⏰:09/05/02 11:42 📱:N703iD 🆔:zhG.CytU


#391 [七瀬]
 
「どう?」

鏡の中の俺を見る京介。


どうって…

『別に、なんも変わんないじゃん。』

「ほら、よーく見ろ。
よぉーく。」

よぉーく見る。


『…ってどこを?』

「ここら辺だよ、ここら辺」

⏰:09/05/02 11:47 📱:N703iD 🆔:zhG.CytU


#392 [七瀬]
鏡を指さす京介。

ジーッと
自分とにらめっこ。


『京介。』

「うん?」


『…からかってるだろ。』
「あ、バレた?」

口を押さえる京介。


…てめえ。
 

⏰:09/05/02 11:51 📱:N703iD 🆔:zhG.CytU


#393 [七瀬]
 
 
キーンコーンカーンコーン


「じゃーなー!」

これからという時に
チャイムが。


覚えてろよ、あいつ。


あ、てゆーか
鏡置きっぱじゃん。
 

⏰:09/05/02 11:54 📱:N703iD 🆔:zhG.CytU


#394 [七瀬]
 
返さなきゃ。


でも


…うしろ見るの怖い。

だって、
鬼がいるから。


ちくしょー、京介。
鏡返してから帰れよな。
 
 

⏰:09/05/02 13:25 📱:N703iD 🆔:zhG.CytU


#395 [七瀬]
 
鬼…じゃなくて

美里とは、あの修羅場以来一言も口をきいていない。

あっ、あの修羅場ってゆうのは、1回目の方ね。


とりあえず、

俺もなんも話さないし、
美里もなんも話さない。


文句も、言わなきゃ、
エッチの誘いもない。

⏰:09/05/02 13:30 📱:N703iD 🆔:zhG.CytU


#396 [七瀬]
 
 
あー…どうしよ。


もたもたしていたら
もう放課後。

返す間もなく、
ここまできちまった。


『京介ー』

しゃーない。

あいつが借りたんだから、返すのもあいつだ。

⏰:09/05/02 15:05 📱:N703iD 🆔:zhG.CytU


#397 [七瀬]
 
「今日、岡田から呼び出しくらっちまった。
先帰ってて!悪いな。」

そういって
素早く教室を出ていった。


まぢどうしようか。

こういうのは時間が経てば経つほど、返しにくくなる。


はあ

ため息を一つ落として、
俺はグランドへ向かった。

⏰:09/05/02 15:09 📱:N703iD 🆔:zhG.CytU


#398 [七瀬]
 
確か、美里は陸上部
…だったっけ。

だったはず!
きっと陸部だ!!


曖昧な記憶の自分に言い聞かせる。

階段を降りると
小さくグランドが見えた。


あ、はっけーん。

ハードルを決まった位置に規則的に並べている美里の姿。

⏰:09/05/02 15:13 📱:N703iD 🆔:zhG.CytU


#399 [七瀬]
 
そういえば、
ハードル速かったよなあ、あいつ。

一年前の
体育祭を思い出す。


陸部のマネージャーらしき子に近づく。

『あの…』


「はい?」

赤い体操服から
一年生だということが
伺えた。

⏰:09/05/02 15:17 📱:N703iD 🆔:zhG.CytU


#400 [七瀬]
 
『………』


ずっと黙っている俺が
気味悪かったのか

「なにか?」

聞き返すマネージャーらしき子。


『うん?…ああ。
これ、美里に返し…』

言葉を途中で止めた俺に
ますます怪しい目が降り掛かる。

⏰:09/05/02 15:21 📱:N703iD 🆔:zhG.CytU


#401 [七瀬]
 
「ああ。
この鏡を織部先輩に返しとけばいいんですね。」

どうやら、
俺の言葉の意図を読み取ってくれたみたい。

ありがたい。


でも

『ううん、
やっぱりいいよ。』

「あ…そうですか。」
 

⏰:09/05/02 15:25 📱:N703iD 🆔:zhG.CytU


#402 [七瀬]
 
なにしに来たんだ、
この人は

みたいな顔で見てくる。


そりゃ、そうだわな。

『自分で返すよ。』


こういうのは、
俺から美里に返さなきゃ。


『だから、悪いけどちょっとだけ、邪魔するね。』
 

⏰:09/05/02 15:28 📱:N703iD 🆔:zhG.CytU


#403 [七瀬]
 
「あ、はい。どうぞ。
えーと、織部先輩呼んできましょうか?」

『ありがと。
でもいい。それも自分でするから。』


マネージャーらしき子に
お礼を言って、
美里の元へと向かう。


『美里。』

久々に呼ぶな、この名前。 

⏰:09/05/02 15:32 📱:N703iD 🆔:zhG.CytU


#404 [七瀬]
 
「雷…」

振り返った美里は驚いてるみたい。


『これ。朝借りたやつ。』

鏡を差し出す。


『ありがとう。』


「ああ、これね。」

手を伸ばす美里。

⏰:09/05/02 15:35 📱:N703iD 🆔:zhG.CytU


#405 [七瀬]
 
「捨ててくれてよかったのに。」


小声でよく聞こえない。

『え?』

「別に、返してくれなくてもいいのに。」


『そうなの?』

「うん。だいぶ痛んでたから、もう捨てようと思ってたの。」

⏰:09/05/02 15:39 📱:N703iD 🆔:zhG.CytU


#406 [七瀬]
 
『そっか。
でも、よかったよ。』

「なにが?」


『謝りたかったし。』


「…なに今さら。」

『んと今さらだよな。』

黙って俺を見る美里。


『ごめんな、美里。』
 

⏰:09/05/02 18:21 📱:N703iD 🆔:zhG.CytU


#407 [七瀬]
 
「…謝らないで。」

『美里…』


前は、そんな潤んだ目は
嫌いだったのに、

今は、申し訳ない気持ちからか、そんなに嫌じゃなかった。


「謝るくらいなら、
もう一度…」

『美里。』

美里の言葉を遮る。

⏰:09/05/02 18:33 📱:N703iD 🆔:zhG.CytU


#408 [七瀬]
 
『ほんと申し訳ないと思ってる。』

「だったら…」

俺の腕をギュッと握る。



『ごめん。
俺、好きな人ができた。』

声がかすれた。


「好きな人?
そんなの雷らしくないよ」 

⏰:09/05/02 18:40 📱:N703iD 🆔:zhG.CytU


#409 [七瀬]
 
『確かに…
俺らしくねぇな。』

「いつもの雷は、ナルシストで変態で…」


『バカ?』

「違う!超超超ーバカ!!」

ほんと、
ひどい言われよう…


『ハハッ…ひどいな。
美里ちゃん。』

「ほんとのことじゃん。」

⏰:09/05/02 18:46 📱:N703iD 🆔:zhG.CytU


#410 [七瀬]
 
そう顔を上げた美里の目が赤くなっているのと、

美里が顔を押しつけていたところの部分がひんやりしているのに気付く。


「ま、今でもバカだけど。」

『バカで結構。』


「言っとくけど、ぜーったい後悔するから。」

『後悔?』

⏰:09/05/02 18:51 📱:N703iD 🆔:zhG.CytU


#411 [七瀬]
 
「そ。私をフッた後悔。」

『おー、怖。』

小さな笑い声が
広いグランドに響いた。




「変わったね、あんた。」


しばらくの沈黙のあと、
美里がぽつりと言った。
 

⏰:09/05/02 18:56 📱:N703iD 🆔:zhG.CytU


#412 [七瀬]
 
京介に言われて、
美里にも言われたこの言葉。


「悔しいけど変わった。」

『男前になったかな。』

鏡を見る身振りをした。


「…ほんとバカだね。」

『だーかーら!
バカで結構だってば。』
 

⏰:09/05/02 19:00 📱:N703iD 🆔:zhG.CytU


#413 [七瀬]
 
「一生バカだ、一生。」

『死ぬまでバカでいてやろーじゃんか。』



「…ありがと、雷。」


『…こちらこそ。』


ありがとう、美里。

「じゃあ部活あるから。」

『ん。ばいばい。』
 

⏰:09/05/02 19:04 📱:N703iD 🆔:zhG.CytU


#414 [七瀬]
 
最後に笑った美里の顔と、

軽やかにハードルを飛び越える姿が、美しかったのを今でも覚えている。


この日は一生忘れない。


だって、


新しいスタートであり、

分岐点だから。

⏰:09/05/02 19:08 📱:N703iD 🆔:zhG.CytU


#415 [七瀬]
 
さて。

あとはゆかちゃんだ。


どうしようか…

そう思っていたら、


「らーい!」

校門前には、


いつもの姫じゃなくって、ゆかちゃんが。

以心伝心?

⏰:09/05/02 19:16 📱:N703iD 🆔:zhG.CytU


#416 [七瀬]
 
『ゆかちゃん。』

駆け寄る。


「ね〜、デートしよ〜」

『ゆかちゃ…』

「大丈夫だよ。」

『えっ?』


「先輩なら、今日委員会だし。だいじょーぶ!!」

手をブイにする
ゆかちゃん。

⏰:09/05/03 10:15 📱:N703iD 🆔:OTnNBzCw


#417 [七瀬]
 
『そういう問題じゃなくってね。』

ふぅ

深呼吸して、一つ息をつく。


『俺ね…』

「さっ、早く!!」


『ゆっゆかちゃん!?』

裾をおもいっきり引っ張られていた。

⏰:09/05/03 10:19 📱:N703iD 🆔:OTnNBzCw


#418 [七瀬]
 
『ど、どこ行くの?』

「ないしょー!!」

走る。


そんなに速くないし、
そんなに強い力でもない。

振りほどこうと思えば、
そう出来た。

けど、それが出来なかったのは


ゆかちゃんが姫と被ってしまっていたから。

⏰:09/05/03 10:22 📱:N703iD 🆔:OTnNBzCw


#419 [七瀬]
 
その走るゆかちゃんが
出会った時の姫に見えた。


いきなり裾を引っ張られ、行き先も分からず、
なにをするのかも分からない。


だんだん視界がぼやけて、


『姫?』

姫がいるように、錯覚してきた。

⏰:09/05/03 10:26 📱:N703iD 🆔:OTnNBzCw


#420 [七瀬]
 
そこには、
あの時の姫がいて、

素性も名前も知らなくってもちろん誕生日も分からない。

そんな女に振り回されてて


うざいはずなのに、
手放せなくて。


あの時から、
俺は夢を見ているのだろうか。

⏰:09/05/03 10:30 📱:N703iD 🆔:OTnNBzCw


#421 [七瀬]
 
 
「着いたよ。」

『え、姫?』

「ちょっと、
なにボケてんの、雷〜!!」

『あ…ゆかちゃん。』


夢は覚めたみたい。

前にはケラケラと笑う
ゆかちゃんと


ホテル。

⏰:09/05/03 10:40 📱:N703iD 🆔:OTnNBzCw


#422 [七瀬]
 
「入ろぉ〜」

ルンルン気分で入ろうとするゆかちゃんに


「雷?どうしたの?」

立ち止まる。


『…俺…やっぱり……』

「はいっ!
お城にご招待〜!!」

手を引かれ、
お城にご招待された。

⏰:09/05/03 10:44 📱:N703iD 🆔:OTnNBzCw


#423 [七瀬]
 
俺、このままいくと
ゆかちゃんと…


「えっとね〜」

俺がぼんやり考えている間にも、

ゆかちゃんは一人で楽しそうに部屋を選んでいる。


頭の中は意外と冷静で
自分でもびっくりするくらい。

⏰:09/05/04 00:58 📱:N703iD 🆔:id.Osk0g


#424 [七瀬]
 
「ここがいいな!」

ゆかちゃんに連れられ、
入った部屋は、
ほんとにお姫さまが住んでいそうな部屋だった。


「かっわいい〜!!」

はしゃぐゆかちゃんに
立ち尽くす俺。


姫もここに連れてきたら、喜ぶかな。
 

⏰:09/05/04 01:01 📱:N703iD 🆔:id.Osk0g


#425 [七瀬]
 
10分くらい、
広い部屋でキャッキャ言ってたゆかちゃんが

ふかふかのベットに座る。


なんとなく、これから起こる出来事が分かった。

元悪魔でしたからね。笑



「雷。」

ゆかちゃんが妖しく笑う。 

⏰:09/05/04 01:05 📱:N703iD 🆔:id.Osk0g


#426 [七瀬]
 
「今日、
なんの日か知ってる?」

今日?


『…知らない。』

ここに入ってから、
初めて声を発した。


「えー、ほんとに?
信じらんない〜」

ブーブー言うゆかちゃん。 

⏰:09/05/04 01:07 📱:N703iD 🆔:id.Osk0g


#427 [七瀬]
 
が、やがてまた妖しい笑みを浮かべた。


「今日はね、
私と雷の誕生日でしょ?」


あー、あれ嘘なのに。
まだ信じてたんだ。

心中で悪態をつく。


「でね、この部屋は私から雷への誕生日プレゼントだよ?」
 

⏰:09/05/04 01:10 📱:N703iD 🆔:id.Osk0g


#428 [七瀬]
 
そんな誕生日プレゼント…


いらない。


「でね、雷はゆかに
なにくれるのかな。」


『…なにが欲しいの?』

わかってても、
わざと聞く。


すると、ゆかちゃんは
クスッと笑った。

⏰:09/05/04 01:14 📱:N703iD 🆔:id.Osk0g


#429 [七瀬]
 
「雷は相変わらず意地悪だなぁ…
先輩が言ってたのは、このことなのかな。」

姫が言ってたこと?


「雷は悪魔なんだ…ってこと。」



バサッ


俺はゆかちゃんを
押し倒す。

⏰:09/05/04 01:17 📱:N703iD 🆔:id.Osk0g


#430 [七瀬]
 
 
「雷をちょうだい?」

そうやって
真っ黒な瞳を俺に向けてくる。


あ〜、うぜぇな。
バカじゃねえの?

やっぱり、俺はこういう目は苦手みたいだ。



ゆっくり、ゆっくりと
唇をゆかちゃんへと近付けていった。

⏰:09/05/04 01:23 📱:N703iD 🆔:id.Osk0g


#431 [七瀬]
 
 
 
「ねえちゃん。」

「なに、真王。」


「今日は連れて来ないの?」

「誰を?」

「はぁ…わかってるくせに素直じゃないね。」

「だから!……なにがよ。」

「“なにが”って…
ねえちゃん明らか変だよ。遊園地に行った日から。」

⏰:09/05/04 02:09 📱:N703iD 🆔:id.Osk0g


#432 [七瀬]
 
「変って、どこがよ。
姫は至って、いつもどおりだし!!」

「ふ〜ん…」


「…なによ、その顔は。」

「べっつに〜」

「あ〜!もう!!
なんなのよ、いったい!」



「雷にいちゃん…でしょ。」 

⏰:09/05/04 02:13 📱:N703iD 🆔:id.Osk0g


#433 [七瀬]
 
 
「………」

「あ〜あぁ〜、黙っちゃって。
だいたいねえちゃんは、分かりやすいんだよなぁ。」


「……分かりやすい?」

「そっ。すーぐ顔に出る。」

「えっ?姫、そんなに顔に出てる?」

「出てるな。
つっても、そうなりだしたのは…」

⏰:09/05/04 02:17 📱:N703iD 🆔:id.Osk0g


#434 [七瀬]
 
「そうなりだしたのは…
ってなによ。」

「知りたい?」


「………」

「知りたくないの?」


「……………」

「ねえちゃん?」


「…真王。」

「なに。」

⏰:09/05/04 02:20 📱:N703iD 🆔:id.Osk0g


#435 [七瀬]
 
 
「あんた、いつ頃からそんなにズル賢くなったの。」

「ねえちゃんに似たんじゃね?俺も一応悪魔だし。」

「はぁ…ごめんごめん。
姫の負けだから教えて?」

「やーっと素直になった。」


「その顔…ほんとムカつく」

「だかーらっ!
仕方ないっしょ。
ねえちゃんに似たんだし」 

⏰:09/05/04 02:26 📱:N703iD 🆔:id.Osk0g


#436 [七瀬]
 
 
 
 
「ほんと…そうかもね。」
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

⏰:09/05/04 02:33 📱:N703iD 🆔:id.Osk0g


#437 [七瀬]
 
 
 
「雷?」

『………』


「どうしたの?
そんなに黙って。」

『なあ…ゆかちゃん。』

冷たい目を
下にいる女に向けた。



「な、なに?」
 

⏰:09/05/04 02:36 📱:N703iD 🆔:id.Osk0g


#438 [七瀬]
『そんなに俺とヤりたいわけ?』


すると、
怖じけ付いてた顔が

「そうだよ?」

誘発的な目付きへと
戻った。


『…そう。』

「そう。」


しばらくの沈黙とともに
見つめ合う。

⏰:09/05/04 02:42 📱:N703iD 🆔:id.Osk0g


#439 [七瀬]
 
 
『ね。』

「うん?」


『質問していい?』

「どうしたの?いきなり。」

『質問しちゃだめ?』

まだ、ゆかちゃんに覆いかぶさったまま聞く。


「いいけど…ちゃんと後でプレゼントちょうだいね?」

⏰:09/05/04 15:56 📱:N703iD 🆔:id.Osk0g


#440 [七瀬]
 
コクリと頷いた。


「じゃ〜、
なんでもどーぞ。」


『……これってさぁ。
浮気になるの?』

「浮気?なに言ってんの〜」

一人ハハッと笑うゆかちゃんに


『まぢで答えて。』

真剣な俺。

⏰:09/05/04 15:59 📱:N703iD 🆔:id.Osk0g


#441 [七瀬]
 
 
「ならないよ。」

真っ黒な目が俺を捕えた。


「ならないに決まってんじゃん。」


『…それは、まだヤってないから?』

「ううん。そうじゃなくて浮気以前の問題じゃん。」


『浮気以前?』
 

⏰:09/05/04 16:02 📱:N703iD 🆔:id.Osk0g


#442 [七瀬]
 
 
「だって遊びだもの。」

『その“遊び”自体が浮気じゃないの?』

「うん、そう考える人もいるね。」

『…じゃあ、ゆかちゃんが遊びは浮気じゃないって思ってるだけなんだ。』



「いや、遊びは浮気でしょ」

『どっちなの。』
 

⏰:09/05/04 16:07 📱:N703iD 🆔:id.Osk0g


#443 [七瀬]
 
「だから、遊びは浮気だって。」


『…俺が気短いの知ってるだろ。あんまイライラさせんな。』


「私だって、ほんとは気短いの。
イライラさせないで。」



『………』

この女、
喧嘩売ってんのか?

⏰:09/05/04 16:10 📱:N703iD 🆔:id.Osk0g


#444 [七瀬]
 
 
「だから、浮気にはならないってば。遊びだもん。」


『いい加減にし…』

「雷は遊びなんでしょ?」


その黒く深い目に
吸い込まれてしまいそう。



「私も、真姫先輩も。」
 

⏰:09/05/04 16:15 📱:N703iD 🆔:id.Osk0g


#445 [七瀬]
 
姫が遊び?



「じゃあ浮気じゃないじゃん。
私も、先輩も遊びなら別にバレたっていつものように捨てちゃえばいいだけなんだから。」


『………』


「謎は解けたかな〜、悪魔さん。」

ニコッと笑い掛ける。

⏰:09/05/04 16:19 📱:N703iD 🆔:id.Osk0g


#446 [七瀬]
 
 
『うん、解けたよ。』


「じゃあ、もうそろそろ…」


『あと一つだけ。』


「もお〜、まだあるの〜?」


『あと一つだけだから。』


黒い瞳が揺れた。

⏰:09/05/04 16:23 📱:N703iD 🆔:id.Osk0g


#447 [七瀬]
 
 
「なに。」

イラついた様子の女。


『ゆかちゃんは浮気になるんじゃないの?』

ジッと見て、
しばらくの沈黙。



『彼氏いんだろ?』


「いるよ。」
 

⏰:09/05/04 17:02 📱:N703iD 🆔:id.Osk0g


#448 [七瀬]
 
そして、また口元に笑みを浮かべる女。


「私は浮気になっちゃうけどね。」

ただ、今回は少し悲しげな笑みだった。


『そう。』

俺の冷たい目は変わらず、健在している。


『プレゼント…ほしいんだろ?』

⏰:09/05/04 17:25 📱:N703iD 🆔:id.Osk0g


#449 [七瀬]
 
 
「うん。ほしい。」

この女の目は冷たいというより、冷めていた。


「早くちょうだい。」


『目、閉じて。』

スッと閉じた目を見ながら、また顔を近付ける。



眠り姫を目覚めさせるようにキスをした。

⏰:09/05/04 17:30 📱:N703iD 🆔:id.Osk0g


#450 [七瀬]
 
 
 
目を開けると、


そこには、
きっとお姫さまがいて


真っ茶色な瞳
くるくるした茶色い髪
いちごのような唇



そして、意地悪に笑う。
 
 

⏰:09/05/04 17:36 📱:N703iD 🆔:id.Osk0g


#451 [七瀬]
 
 
きっと、そう。







目を開けると


真っ黒な瞳
黒いストレートな髪

そして、さっきまで俺のと触れ合っていた唇
 

⏰:09/05/04 17:39 📱:N703iD 🆔:id.Osk0g


#452 [七瀬]
 
 
 
 
一気に現実に引き戻される。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

⏰:09/05/05 00:24 📱:N703iD 🆔:qG..w3f.


#453 [七瀬]
 
 
 
「あ!!」

「なに、どうしたの?」


「ねえちゃん、
外、雨降ってる。」

「雨?…やだ、ほんと。」


ポツリポツリ

「あ〜、
明日は体育、グラウンドなのに…最悪だわ。」

⏰:09/05/05 00:30 📱:N703iD 🆔:qG..w3f.


#454 [七瀬]
 
「俺も明日、体育あるし。」

「ほんと、ついてない。」



「10日間ちょっと前から。」


「え?」


「さっきの答え。」

「さっきの…」


「“ねえちゃんが顔に出やすくなったのは”だよ。」

⏰:09/05/05 00:36 📱:N703iD 🆔:qG..w3f.


#455 [七瀬]
 
 
「それって…」


「そうだよ。
ねえちゃんが雷にいちゃんと付き合い始めたとき。」


「………」


「なんか、ねえちゃん、
その時くらいから、
毎日楽しそうに帰って来るようになったんだよなあ」 

⏰:09/05/05 00:40 📱:N703iD 🆔:qG..w3f.


#456 [七瀬]
 
 
ポツポツポツ


「…雨、止みそうにないわね。」


「それなのに、
昨日から、ずーっとブスッとしてるから、なにかあったのかな…って。」


「…………」

「で、ねえちゃんをこんな顔にしたのは、一人しかいないっしょ。」

⏰:09/05/05 00:43 📱:N703iD 🆔:qG..w3f.


#457 [七瀬]
 
 
ザーーザーー


「ほんと。雨、止みそうにないな。
しかも、さっきよりひどくなってる。」


「…ほんとね。」


「このままじゃ、家に帰るのも一苦労だな。」


「…そうね。」
 

⏰:09/05/05 00:47 📱:N703iD 🆔:qG..w3f.


#458 [七瀬]
 
 
「ねえちゃん、知ってた?」

「…なにを?」


「今日さ、
ねえちゃんの学校の近くにあるバカな高校が、
その中でも留年しそうな、とびっきりのバカの強制補修を行ってるんだって。」


「…それ本当?」


「今ごろ、その補修も終わってるかもね。」

⏰:09/05/05 00:54 📱:N703iD 🆔:qG..w3f.


#459 [七瀬]
 
 
「真王。」


「ん?なに、ねえちゃん。」



「ちょっと出かけてくる。」


「どこ行くの?」


「学校に忘れ物しちゃったみたいだから、取りに帰る。とっても大切なものなの。」

⏰:09/05/05 00:59 📱:N703iD 🆔:qG..w3f.


#460 [七瀬]
 
「ふ〜ん、
ねえちゃんも大変だね。」


「すぐ帰って来る。
パパたちにも言っといて」


「わかった。」


「じゃあ、よろしくね!!」




「いってらっしゃ〜い。」
 
 

⏰:09/05/05 01:07 📱:N703iD 🆔:qG..w3f.


#461 [七瀬]
 
 
 
 
「しょうがないなあ。」


遠くで雨の音が聞こえた。



「プレゼントはこれで満足してあげる。」


だんだん大きくなる水の音と

この部屋に寂しく響く声。 

⏰:09/05/05 15:18 📱:N703iD 🆔:qG..w3f.


#462 [七瀬]
 
 
 
『…ありがと。』


寂しく響いたのは、
俺の声の方かもしれない。



「そんな顔されてまで、
欲しいと思わないよ〜!!」

ハハハ〜と、
やけに高い笑い声は、
今の空気には似合わない。 

⏰:09/05/05 15:28 📱:N703iD 🆔:qG..w3f.


#463 [七瀬]
 
 
『そんな顔って、どんな顔?』


「もー、また質問?
気の長いゆかちゃんも、もうそろそろイライラしてきたよ〜?」


『…さっきは気短いっつってたじゃん。』


「女は気まぐれなの〜!!」
 
相変わらず、不釣り合いなほど甲高い声。

⏰:09/05/05 20:43 📱:N703iD 🆔:qG..w3f.


#464 [七瀬]
 
「そんなに知りたいなら、鏡を見なさいっ!!」


『鏡なんて持ってねーし、見ても多分わかんない。』

握っていた細い手首を離しベットの横に寝転んだ。


「それもそっか〜!」




しばらくの沈黙が流れる。 

⏰:09/05/05 20:47 📱:N703iD 🆔:qG..w3f.


#465 [七瀬]
 
高い高い天井を見上げる。

姫の家も、こんなに天井が高かったなあ。



「ね、
きっとこんな顔だよ。」


『こんな顔って?』

上を見上げたまま聞く。



「今の私みたいな顔。」
 

⏰:09/05/05 20:50 📱:N703iD 🆔:qG..w3f.


#466 [七瀬]
 
横を見る。



『ぷっ…』


「なによ。」

『俺、
そんな変な顔してる?』


「変な顔とは失礼な!
女の子なのに〜!!」

そこには、ぽっぺを双方向に引っ張って、ベロを出してる女。

⏰:09/05/05 20:54 📱:N703iD 🆔:qG..w3f.


#467 [七瀬]
 
『ごめんごめん。
でも、その顔はヤバいな。そんなひどい顔してたなんて…』


「でしょ?
せっかくの美男子が台無しだよっ!」

『…ん。』



ほんとひどい顔。


『でも、ゆかちゃんには負けるよ。』

⏰:09/05/05 20:58 📱:N703iD 🆔:qG..w3f.


#468 [七瀬]
 
 
「だから、さっきからひどいってば〜!!」


『うん、ごめん。』

「もぉ〜、
雷なんて嫌いっ!」


『…ん。』


こんな顔、初めて。


『ゆかちゃん…』
 

⏰:09/05/05 21:02 📱:N703iD 🆔:qG..w3f.


#469 [七瀬]
 
 
 
「ほんっ…と、グズッ‥
だい‥‥きらい…」



そんな顔、初めて見たよ。


そんな、ひどい顔。
 
 
 
 
 
 

⏰:09/05/05 21:07 📱:N703iD 🆔:qG..w3f.


#470 [七瀬]
 
 
 
ぴちゃぴちゃぴちゃ…


走るたびに
水や泥が足にかかる。

ほんと最悪。



冷たい。


「ハァ、ハァ‥」

なのに、なぜ息を切らしてまで、走ってるのかしら。

⏰:09/05/05 21:13 📱:N703iD 🆔:qG..w3f.


#471 [七瀬]
 
 
私、変ね。

近ごろ変よ、私。



こんな必死になって


バカみたい。


こんな苦しい気持ちになって


いつもの私はどこに行ったのかしら。

⏰:09/05/05 22:27 📱:N703iD 🆔:qG..w3f.


#472 [七瀬]
 
 
「え?もういない?」


「うん。先、帰っててって言ったし、もうとっくに帰ったんじゃねーかな。」


「で、でも強制補習があるんじゃ‥」


「強制補習?なにそれ。」

そうやって、怪訝な顔をしているのは、

確か、雷のお友達の‥

⏰:09/05/05 22:31 📱:N703iD 🆔:qG..w3f.


#473 [七瀬]
 
 
「京介‥くん?だったかしら。」


「ああ、うん。
そうだけど‥‥?」


「それほんとなの?
補習なんてないって。」


「うん。特に聞いてないし確か今日は職員会議があっから、補習なんてしてる暇ないよ。」
 

⏰:09/05/05 22:35 📱:N703iD 🆔:qG..w3f.


#474 [七瀬]
 
真王に一本やられた。


「そう。ありがとう。
じゃあ雷は、もう家に帰ってるのかしら。」


胸を撫で下ろす。

ほんとバカみたい。
たった一人の男のために、こんなにホッとして。



「さあ?
でも俺はてっきり真姫ちゃんと一緒かと思ってたよ」

⏰:09/05/05 22:38 📱:N703iD 🆔:qG..w3f.


#475 [七瀬]
 
 
安心したのも束の間。


「いや〜、雷が校門にいた女の子と走っていくのが、窓から見えてさ。」


誰それ、
私は委員会だったし‥


「で、いつも真姫ちゃんが校門で雷待ってたから、今日もそうなのかなって思っただけだけど‥
俺の勘違いだったんだな」

⏰:09/05/05 22:43 📱:N703iD 🆔:qG..w3f.


#476 [七瀬]
 
やだ‥

さっきよりも大きくなって襲いかかってくる不安に、心臓が痛い。


「でもよく考えたら、背丈も全然違ったし、
遠かったから、よく見えなかったけど、
髪の色も違ってたような‥でも制服はハナジョウだったから。」


胸の痛みが和らぐことはない。

⏰:09/05/05 22:48 📱:N703iD 🆔:qG..w3f.


#477 [七瀬]
 
 
「誰なの、それ‥」

思わず、口に出てしまってた。


すると、雷のお友達は
まずいというような顔をした。

「いや、でもね。
何回も言うけど、遠かったし雷じゃなかったかも…」


私が聞きたいのは、
そういうことじゃない‥
 

⏰:09/05/05 22:53 📱:N703iD 🆔:qG..w3f.


#478 [七瀬]
 
 
 
「ちょ、ちょっと、
ま、まひめちゃん!?」



また雨の中、飛び出した。 
 
 
 
 
 
 
 

⏰:09/05/05 22:55 📱:N703iD 🆔:qG..w3f.


#479 [七瀬]
 
 
 
雨がすごい。


ホテルにいても、
ザーザーザーザー聞こえる。



「もうそろそろ出よっか。」


さっきまで、泣いてたゆかちゃんがぽつりと言った。 

⏰:09/05/05 23:03 📱:N703iD 🆔:qG..w3f.


#480 [七瀬]
 
「素敵な素敵な誕生日プレゼントも貰ったしね〜」


ゆかちゃん‥ごめんね。



『あ、でも外雨だよ。
傘持ってないし‥‥』


「バカ!男なら濡れて帰りなさいっ!」

ゆかちゃんが
ポンと俺の肩を叩いた。

⏰:09/05/05 23:07 📱:N703iD 🆔:qG..w3f.


#481 [七瀬]
 
 
「先輩‥待ってるんでしょ」


『‥‥うん。』

そうだ、姫が待ってる。


「てか、女遊びしない雷なんて、やっぱ変だね〜」


『やっぱり違和感ある?』

苦笑いしながら、自分自身感じてたことを、聞いてみる。

⏰:09/05/05 23:12 📱:N703iD 🆔:qG..w3f.


#482 [七瀬]
 
 
「違和感ありありだよ〜!!」

ポンポンとまた肩を叩く。


『やっぱりそっか。』


「うん。
でも先輩の方が変かも。」


『えっ、姫の方が?』


意外な答えに
つい声が上ずってしまう。

⏰:09/05/05 23:15 📱:N703iD 🆔:qG..w3f.


#483 [七瀬]
 
 
「なんかね〜、
先輩バカになった。」


『え‥?』

しまった。


まさか
俺のバカが移っちゃった?



「先輩、バカみたいに笑うようになった。」
 

⏰:09/05/05 23:18 📱:N703iD 🆔:qG..w3f.


#484 [七瀬]
 
 
『バカみたいに笑う‥?』

って、なにそれ。


「うん。
前は、笑うって言っても、おとなしくってゆーか‥‥なんというか‥無理して笑ってたって感じがした。」


『無理に笑う‥』

あの姫が‥?


想像できない。

⏰:09/05/05 23:22 📱:N703iD 🆔:qG..w3f.


#485 [七瀬]
 
 
いつも意地悪な顔して
勝ち誇ったような笑顔が頭に染み付いて、離れないのに‥

姫の無理した笑顔なんて、見たくない。



「それなのに、学校でも大声で笑ったり‥心から楽しんでるようになったの。」

ゆかちゃんは続けた。
 

⏰:09/05/05 23:26 📱:N703iD 🆔:qG..w3f.


#486 [七瀬]
 
「私、一目でわかった。
先輩、恋してるんだって」


その言葉を聞いた瞬間、
心からふつふつとなにかが沸き上がってくるのを感じた。


「とっても、かわいく見えた。恋をしたら、きれいになるっていうけど、あれほんとなんだね。」

姫は初めて見た時から、
きれいな顔立ちをしてたからか、ゆかちゃんに言われるまで気付かなかった。

⏰:09/05/05 23:36 📱:N703iD 🆔:qG..w3f.


#487 [七瀬]
 
 
「まあ、先輩の相手が、
まーさか雷だったとは、夢にも思わなかったけど。」


『‥ごめんなさい。』


「チャラい雷が‥ってこともあったけど、
先輩が雷を選んだってことの方が信じられない。
未だに。」


『未だにって…そんなに?』

⏰:09/05/05 23:40 📱:N703iD 🆔:qG..w3f.


#488 [七瀬]
 
「うん。い・ま・だ・に!!」

べーと舌を出すゆかちゃんに


『‥なんかショック。』

ショックを隠しきれない。



「でも、わかった。
なんで、雷なのかって。」


『なんで?』
 

⏰:09/05/05 23:44 📱:N703iD 🆔:qG..w3f.


#489 [七瀬]
 
 
知りたい
知りたい


知りたい気持ちで
いっぱい。


「それはね‥‥」


ゆかちゃんの口元が
揺れる。
 
 

⏰:09/05/05 23:47 📱:N703iD 🆔:qG..w3f.


#490 [七瀬]
 
「きれいになるのは、
女の子だけじゃないのよ」


『え?』

ゆかちゃんの言葉の
意味がよくわからない。


「鈍いなぁ〜。
私、気短いんだから、
あんまりイライラさせないでっ!!」

横でニヤニヤ笑う
ゆかちゃん。

⏰:09/05/05 23:52 📱:N703iD 🆔:qG..w3f.


#491 [七瀬]
 
『あれ?
さっきまで、気が長〜いゆかちゃんじゃなかったっけ。』


ニヤニヤするゆかちゃんにこっちもニヤニヤ仕返す。


すると、案の定

「女は気まぐれなの〜!!」


満面の笑みで答えた。

⏰:09/05/05 23:54 📱:N703iD 🆔:qG..w3f.


#492 [七瀬]
 
 
『じゃー、気まぐれゆかちゃん、教えて。』


「気まぐれゆかちゃんが、教えてやろうじゃないか」

まったく‥



『お願いします。』


世話が焼ける。

って、
俺に言われたくないか。

⏰:09/05/05 23:57 📱:N703iD 🆔:qG..w3f.


#493 [七瀬]
 
 
「だから、きれいになったのは真姫先輩だけじゃないの〜!」


『うーん、
もうちょっと詳しく‥‥』


「世話が焼けるなあ。」

さっき思ってたことを
口に出して返される。



「雷もきれいになった。」
 

⏰:09/05/06 00:00 📱:N703iD 🆔:p8oeFPTc


#494 [七瀬]
 
 
は‥‥?

ますますわかんない。



『ん〜、俺はきれいよりも、かっこいいって言われた方がうれしい‥‥』


「雷は十分かっこいーよ!」


あら、ありがと。
 

⏰:09/05/06 00:03 📱:N703iD 🆔:p8oeFPTc


#495 [七瀬]
 
「でも、そういう外見的にじゃなくて、
なんというか‥こう‥‥
心がきれいになった。」


『こころ?』


「うん。
ほら、今みたいに私に謝ってくれたり。
前までの雷なら、遊びの女に謝るなんて、絶対しなかったじゃん。」


まあ‥確かに。
 

⏰:09/05/06 00:07 📱:N703iD 🆔:p8oeFPTc


#496 [七瀬]
 
 
「なのに、ただその場しのぎじゃなくて、真剣に向き合ってくれた。」


京介や美里が言いたった
“変わった”はこのことだったのだろうか。


「それだけでも、
だいぶ救われるよ。」


ただ俺は、自分のしてきたことに、けじめをつけるためにしたことなのに。

⏰:09/05/06 00:11 📱:N703iD 🆔:p8oeFPTc


#497 [七瀬]
 
そして、

姫のそばにいたいがためにしようとしたことなのに。


「心がきれいになった。」

こんな風に感じてくれた人がいたなんて。


『‥たまには、きれいって言われるのも悪くないな』



なんて、
俺は幸せ者なんだろう。

⏰:09/05/06 00:15 📱:N703iD 🆔:p8oeFPTc


#498 [七瀬]
 
 
「ああ〜、私もきれいって言われたい〜!」


『そういうのは、彼氏に言ってもらえよ。』


「言われなくても、そのつもりだから!!
もう二度と雷みたいな、チャラ男には引っ掛かりません!」


『さすがはハナジョウ!
頭いい!!学習能力がある』

⏰:09/05/06 00:19 📱:N703iD 🆔:p8oeFPTc


#499 [七瀬]
 
「雷の学校と一緒にしないでよね〜!」


『あ、俺の高校バカにし過ぎっしょ。
俺だって、勉強は出来ないけど、学習能力はあるし』


「ふ〜ん、じゃ、次は同じ失敗しちゃダメだよ?
悪魔さん。」


その言葉に頷いた。
 

⏰:09/05/06 00:23 📱:N703iD 🆔:p8oeFPTc


#500 [七瀬]
 
 
「出よっ!」



ホテルを出ても、
やっぱり雨は降ってて、
じめじめしていた。



だけど、

心のモヤモヤはなくなってて、


きっと、今の俺は晴れ。
 

⏰:09/05/06 00:26 📱:N703iD 🆔:p8oeFPTc


#501 [七瀬]
 
 
 
「寒‥っ」

容赦ない雨に体が凍える。



雷‥どこにいるの?


あれから、学校を出たのはいいけど、傘を忘れてしまった。

とりに行こうか迷ったけど止めた。

⏰:09/05/06 01:31 📱:N703iD 🆔:p8oeFPTc


#502 [七瀬]
 
私としたことが、
とんだミスをしちゃった。


「はあ‥」

自然に漏れるため息と
雨の冷たさで震える手。


そして、不安。


私らしくない。


“真姫”はもっと強くて、賢くって‥‥

⏰:09/05/06 01:35 📱:N703iD 🆔:p8oeFPTc


#503 [七瀬]
 
 
雷もきっと、
そんな私が好きなの。


“私”じゃなくて“真姫”



でも、私、
雷に出会ってから、


バカで
弱虫な

真姫に
なっちゃったみたい‥

⏰:09/05/06 02:26 📱:N703iD 🆔:p8oeFPTc


#504 [七瀬]
 
 
寒い
冷たい



怖い
苦しい




雷に会いたい‥
 
 
 

⏰:09/05/06 02:28 📱:N703iD 🆔:p8oeFPTc


#505 [七瀬]
 
 
 
そんな中で


ただ耳の全てを支配する




ザーーという音を聞いていた。
 
 
 
 

⏰:09/05/06 02:30 📱:N703iD 🆔:p8oeFPTc


#506 [七瀬]
 
 
 
うーん、
これからどうしようか。


俺はまだ、
ホテルの入り口にいた。


ゆかちゃんは、

「彼氏に誕生日お祝いしてもらうの〜!!」

って雨の中、走っていった。
 

⏰:09/05/06 13:35 📱:N703iD 🆔:p8oeFPTc


#507 [七瀬]
 
 
『うう〜、寒〜』

雨は止む気配すら、
見せない。


姫は、委員会終わって、
ちゃんと帰ったかな。


‥って、
きっと大丈夫だな。

姫のことだから、
事前に傘を持っていっているはず。

⏰:09/05/06 13:39 📱:N703iD 🆔:p8oeFPTc


#508 [七瀬]
 
あの悪魔のことだし、
今ごろ、意地悪な笑みを口に浮かべているはず。


‥なのに、


なぜこんなに
不安なんだろう。

なぜか、
姫が呼んでるような気がした。


バカな俺の勘なんて、
当てにできない。

⏰:09/05/06 13:46 📱:N703iD 🆔:p8oeFPTc


#509 [七瀬]
 
 
だけど、

居ても立ってもいられなくて、


当てにならない勘だけを頼りに、姫の元へと向かった。




足下を雨で濡らしながら。 
 

⏰:09/05/06 13:49 📱:N703iD 🆔:p8oeFPTc


#510 [七瀬]
 
 
やっぱり俺の勘は
当てにならなかった。 


あ〜、どこに行んだよ。


寒さと不安ばかりが増し、雨を含んだ靴が重い。

頭もびしょびしょ。 


今日、風呂入んなくても、いいかも。笑

⏰:09/05/06 13:52 📱:N703iD 🆔:p8oeFPTc


#511 [七瀬]
 
 
『‥っくしょん‥!!』

やっぱ撤回。


こりゃ今すぐ、風呂入んないと。


ほんと、今は4月下旬なのだろうか。


寒い、寒過ぎる。
 

⏰:09/05/06 13:56 📱:N703iD 🆔:p8oeFPTc


#512 [七瀬]
 
 
「‥‥い!らい!!」


『んあ?』

俺を呼ぶ声が聞こえて、
その声を辿っていくと


『京介。』

ばかやろーなダチの姿。


「お前、こんな雨降ってんのに、傘も差さねぇで、バカじゃねーの!?」

⏰:09/05/06 14:00 📱:N703iD 🆔:p8oeFPTc


#513 [七瀬]
 
『‥傘、忘れたんだから、しょーがねぇじゃん。』

またバカ呼ばわりかよ。


「はあ。
お前ら、どいつもこいつも‥」

京介が呆れたようにいう。


ん?

『京介、“どいつもこいつも”って‥』
 

⏰:09/05/06 14:03 📱:N703iD 🆔:p8oeFPTc


#514 [七瀬]
 
「はい、これ。」

そうやって、
手を差し出される。


『これって‥』


まだ、かすかに濡れているもの。


「そ。真姫ちゃんの傘。」


姫の傘。
 

⏰:09/05/06 14:05 📱:N703iD 🆔:p8oeFPTc


#515 [七瀬]
 
 
『なんで、京介が‥』


「真姫ちゃん、ここに来たし。」

京介は、
すぐそこの俺の学校を指さした。


『なんで…』

「お前が、傘ないんじゃないかって、心配してたみたい。」
 

⏰:09/05/06 14:08 📱:N703iD 🆔:p8oeFPTc


#516 [七瀬]
 
胸が熱くなるのを感じた。


「で、お前がハナジョウの子と、どっか行ったって、言ったら、血相変えて雨ん中、傘も差さずに飛び出していった。」

ゆかちゃんだ。


「俺はてっきり、真姫ちゃんだと思ってたから‥すまん‥。」


『いや、さんきゅ。京介』 

⏰:09/05/06 14:35 📱:N703iD 🆔:p8oeFPTc


#517 [七瀬]
 
 
そして、
また雨の中、飛び出す。



さっきよりも、
早く足を動かすと、やっぱり水が掛かって冷たい。


でも、そんなこと気にしている暇はなくって



今はただ、お姫さまを探すだけ。
 

⏰:09/05/06 14:39 📱:N703iD 🆔:p8oeFPTc


#518 [七瀬]
 
「ハァ‥ハァ‥‥」


やっぱ、俺の勘は当てにならない!!

それは、この30分間ほどで十分思ったこと。


姫は未だに見つからない。

でも、まだ京介が預かっててくれた姫の傘があったから、全身びしょびしょということは、免れた。

と、いってもピンクの傘は恥ずかしいけど。

⏰:09/05/06 14:46 📱:N703iD 🆔:p8oeFPTc


#519 [七瀬]
 
 
そうだ!


姫の携帯に‥


って、

俺、ケー番どころか、アドレスも知らない!!

デートの時は、姫がいつも校門に待ってたから‥


ああ〜っ、
俺って、役たたず!!
 

⏰:09/05/06 16:50 📱:N703iD 🆔:p8oeFPTc


#520 [七瀬]
 
 
無駄に光るディスプレイを見ながら、むしゃくしゃする。


しょうがない。


姫の家へ、行くか。




俺は、駅へ向かった。
 
 

⏰:09/05/06 16:52 📱:N703iD 🆔:p8oeFPTc


#521 [七瀬]
 
 
さすがに、
駅の近くまで行くと、
人も多くなる。

駅付近には商店街もあって老若男女で賑わっている。



‥ピンクの傘は恥ずかしい。


そんな羞恥心を持ちながらも、足を休めるこてはできない。
 

⏰:09/05/06 16:56 📱:N703iD 🆔:p8oeFPTc


#522 [七瀬]
 
 
 
が、俺の足は止まってしまった。


それは、痛くなったとか、疲れたとか、

ましてや、他の女に捕まったとかではない。



『‥ひめ!?』


愛しのお姫さまを見つけたから。

⏰:09/05/06 17:01 📱:N703iD 🆔:p8oeFPTc


#523 [七瀬]
 
 
そこには、商店街の隅っこで、雨宿りしている姫が。



『姫‥!』

もう一度、大きく叫ぶと、


「あ‥らい。」

小さく答えた。


『姫、
どこにいたんだよ!?』
 

⏰:09/05/06 17:56 📱:N703iD 🆔:p8oeFPTc


#524 [七瀬]
 
ぎゅっと小さい体を抱き締める。


‥冷たい。

びちゃびちゃに濡れた体は驚くほど、ひんやりしていた。


「雷こそ‥どこにいたのよ」


でも、その冷たさの中に、少し体温が感じられ、安心する。
 

⏰:09/05/06 18:00 📱:N703iD 🆔:p8oeFPTc


#525 [七瀬]
 
 
「ずっと‥探してたのに‥」

『ごめん‥っ、ひめ‥。』



安心したと同時に、


溢れる気持ち。



やっぱり、俺は姫が好き。


遊びなんかじゃなく、
本気で。

⏰:09/05/06 18:03 📱:N703iD 🆔:p8oeFPTc


#526 [七瀬]
 
 
お互い、雨に濡れていて、冷たかった。


でも、その中でも俺の胸が特に、濡れていたのは

「うっ‥うぅ〜‥‥ぐずっ‥」



お姫さまの涙のせい。


でも、その涙は
あったかかった。

⏰:09/05/06 20:49 📱:N703iD 🆔:p8oeFPTc


#527 [七瀬]
 
 
なんか‥


『ひめ‥ごめん‥‥』


俺も泣きそう。

ほんと、かっこわりぃ‥


「ふぇ‥ぐずっ‥‥」

ずっと泣いてる姫。


ゆかちゃん以上だな、これは。

⏰:09/05/07 07:03 📱:N703iD 🆔:ib47kqmk


#528 [七瀬]
 
 
『とりあえず、帰ろう。』


俺は姫を送ることにした。


電車の中、ふらふらな姫を座らせてあげたかったけれど、
びしゃ濡れだし、座るわけにもいかず、結局支えてあげるだけしかできなかった。


『姫‥大丈夫?』

「うん‥」

⏰:09/05/07 07:07 📱:N703iD 🆔:ib47kqmk


#529 [七瀬]
 
そんな、俺たちにやはり周りの目は痛かった。



いつもとは違って
弱気の姫。


それは冷めた体のせいだろうか。

それとも…


昨日の顔が忘れられない。 

⏰:09/05/07 07:12 📱:N703iD 🆔:ib47kqmk


#530 [七瀬]
 
 
 
ピンポーン

この家のインターホンを
実際に押したのは、昨日が初めて。



ガチャ


「あら‥雷くん‥‥」


扉を開けた真姫のお母さんは、目を大きくしていた。 

⏰:09/05/07 22:16 📱:N703iD 🆔:ib47kqmk


#531 [七瀬]
 
『いきなりすみません。』


「いや、いいのよ。
真姫は今、いないみた‥」

そこまで言って、
もう少しドアを開けると、

俺にぐったりと横たわっている真姫が目に入ったようで、


「真姫‥!!」

悲嘆する真姫のお母さん。 

⏰:09/05/07 22:40 📱:N703iD 🆔:ib47kqmk


#532 [七瀬]
 
 
「え‥あ、えと‥‥」

あたふたと混乱する、
真姫ママに、


『お風呂、お願いします』

姫を抱き抱えた。


「は‥はい‥」

混乱しながらも、駆け足でお風呂場に向かっていった。

⏰:09/05/07 22:44 📱:N703iD 🆔:ib47kqmk


#533 [七瀬]
 
 
玄関へ上がると


「大丈‥夫。
一人で歩けるから。」

弱々しく姫が立ち上がった。


『ほんとに大丈夫?
今、お母さんにお風呂沸かしてもらってるから。』


「うん‥大丈夫。
ありがと‥‥」
 

⏰:09/05/07 22:47 📱:N703iD 🆔:ib47kqmk


#534 [七瀬]
 
相も変わらず、弱々しい足取りで階段を上り始める姫を支える。


「ほんと‥ありがとね。」

やけに素直なところが、
余計に弱っているように見えた。


『いいから、早く自分の部屋行って、着替えて‥』


コクリて頷くだけだった。 

⏰:09/05/07 22:50 📱:N703iD 🆔:ib47kqmk


#535 [七瀬]
 
 
ふぅ

俺は姫の部屋の前で、
一息ついた。


今、姫は部屋で、着替えている。


バスタオルも渡したし、
後はお風呂に入って‥


そう思うと、少し安心した。

⏰:09/05/07 22:53 📱:N703iD 🆔:ib47kqmk


#536 [七瀬]
 
 
「らい‥」

カチャっと、ドアが開いて姫が顔を出した。

『お風呂、
もうちょっと待ってな。』

優しく微笑みかけた。


「うん。あのね‥雷。」


「お風呂、沸いたわよー」
 
姫がなにか言いかけた瞬間、下から声がした。

⏰:09/05/08 17:17 📱:N703iD 🆔:6lSCKeqg


#537 [七瀬]
 
 
『早く入っといで。』

「うん‥」


姫は階段を下りていった。





なにを
言いかけてたんだろう‥
 
 
 

⏰:09/05/08 18:56 📱:N703iD 🆔:6lSCKeqg


#538 [七瀬]
 
 
「真姫も、もう上がるだろうし雷くんも入ってって」

真姫ママがニコッと笑った。


『いや‥いいっすよ。』

「入って。」

風呂から、姫が出てきた。


『ひめ‥』

「風邪、引くから。」

⏰:09/05/09 19:36 📱:N703iD 🆔:pseT6E7s


#539 [七瀬]
 
『でも‥』

俺は傘があったから、姫ほど濡れてないし、

いきなり来て、迷惑だろうし、


『やっぱり‥』

「早く、入って。」

茶色い瞳に捕らえられる。


「上がったら‥話あるから」 

⏰:09/05/09 19:39 📱:N703iD 🆔:pseT6E7s


#540 [七瀬]
 
 
ドクン


心臓の音が聞こえた。




『‥‥わかった。』


風呂場へと、体を向けた。 
 

⏰:09/05/09 19:41 📱:N703iD 🆔:pseT6E7s


#541 [七瀬]
 
 
この、無駄にデカい風呂に入るのも二回目だなあ。


今はいらないけど、
歯ブラシの置き場所もわかるし、

もうシャンプーとリンスを間違えることもない。



冷えた体にシャワーを当てる。

温かい。

⏰:09/05/09 22:15 📱:N703iD 🆔:pseT6E7s


#542 [七瀬]
 
 
‥なんだろう、話って。


水の流れる音が耳に入る。


俺の小さなため息は、
その音にかき消された。



シャワーは、体を温めてはくれたけど、

前みたいに疲れを流してはくれなかった。
 

⏰:09/05/09 22:31 📱:N703iD 🆔:pseT6E7s


#543 [七瀬]
 
 
風呂から出ると、
湯気の立ったマグカップが2つ、テーブルに。


「体、冷えたでしょ?」

そして、一昨日豪華なディナーが並んだそのテーブルのイスには、真姫が一人。


『ありがとう。
あれ、お母さんは?』

ふと、その広いリビングを見渡すと俺ら以外だれもいない。

⏰:09/05/09 22:37 📱:N703iD 🆔:pseT6E7s


#544 [七瀬]
 
 
「ママなら、寝室でテレビ見てる。」

なんだかんだ言っても、
姫の家族は気を遣ってくれる。

あのシスコン野郎も前に、気遣ってくれたし‥


「あ、ちなみに真王は部屋で勉強してる。」

‥ほらな。
 

⏰:09/05/09 22:45 📱:N703iD 🆔:pseT6E7s


#545 [七瀬]
 
だてに、常識外れなセレブじゃなくて、

だてに、子供に関心がないわけではない


って、やっと気付いた。


周りから、見たら冷たいとか、ほったらかしとかいう風に見えるんだろう。

事実、俺も最初はそう思ってた。

なんて、
いい加減な親なんだって。

⏰:09/05/09 22:50 📱:N703iD 🆔:pseT6E7s


#546 [七瀬]
 
 
だけど、そうじゃなくて


これがこの家の、愛し方なんだって思ったんだ。



顔が全然似てなくたって、姫と姫のお母さんもお父さんも弟も


みんなみんな家族なんだって、やっと気付いたよ。
 

⏰:09/05/09 22:53 📱:N703iD 🆔:pseT6E7s


#547 [七瀬]
 
 
『‥俺、ダメだな。
姫のこと、全然分かってなかったよ。』

自分が憎い。


マグカップへ向かいかけてた姫の手が止まる。

俺の顔は下へ。

だけど、見てなくても
姫がこっちを見てるんだってオーラが伝わってきた。


「そうね。」

⏰:09/05/09 22:57 📱:N703iD 🆔:pseT6E7s


#548 [七瀬]
 
 
ポツリと広いリビングに響いた。



「雷は私のこと、全然理解してない。」


俺は顔を上げることが
出来ない。



「わたし‥“真姫”のことを分かってない。」
 

⏰:09/05/09 22:59 📱:N703iD 🆔:pseT6E7s


#549 [七瀬]
 
“真姫”のことを分かってない‥

頭の中で、何回も何回も、鳴り響いた。


「らい‥顔上げて。」


それでも、まだ見れない。姫を見れない。


「おねがい‥おねがいだから‥」

悲しそうな声。

⏰:09/05/09 23:21 📱:N703iD 🆔:pseT6E7s


#550 [七瀬]
 
「やっと上げてくれたね。」

姫のそんな声を聞きたくない。

その一心で顔を上げて、
また後悔する。


だって‥そんな顔するから。

それは、怒っているわけでもなく、悲しんでいるわけでもない。

昨日と同じ。

声と恐ろしく反対な表情。

⏰:09/05/09 23:25 📱:N703iD 🆔:pseT6E7s


#551 [七瀬]
 
 
“無表情”

まさしくそれ。


『ひめ?』

なにを考えているのか‥


まったく読めない。


心のブロックがあって、
入ろうとするのを邪魔する。

⏰:09/05/10 00:41 📱:N703iD 🆔:fjEZONms


#552 [七瀬]
 
「雷は、なにも分かってない。」

頭痛くなってきた。


「でもね。」

声が柔らかくなった。


「それは、雷が悪いんじゃないの。私なの。姫が全部悪いんだよ。」

今度は、姫が顔を下げた。

⏰:09/05/10 00:44 📱:N703iD 🆔:fjEZONms


#553 [七瀬]
 
「私ね‥ほんとはこんなんじゃないの。」

下を向いたまま、話す姫。


「いつも雷に意地悪してるけど、ほんとは違うの。」

声が震えていた。


「昨日だって、雷がゆかちゃんのところへ行っちゃうんじゃないかって怖かった。それは今も同じ。」
 

⏰:09/05/10 00:49 📱:N703iD 🆔:fjEZONms


#554 [七瀬]
 
不安なの‥だろうか。

『‥そんな顔だったから気付かなかった。』

「姫‥不安になると無表情になっちゃうから。」

ハハっと笑った。


『そう‥なんだ。』

ああ、
やっぱ、なんも分かってない。
 

⏰:09/05/10 00:53 📱:N703iD 🆔:fjEZONms


#555 [七瀬]
 
「だから‥っ!!」

姫が意を決したように、
顔を上げた。


「私は、ほんとのほんとの“真姫”は、バカで泣き虫で弱虫なの‥‥っっ!」


『そっ‥そう。』

すごい勢いで言うもんだから、びっくりした。

姫はイスから立ち上がって手は机についていた。

⏰:09/05/10 00:57 📱:N703iD 🆔:fjEZONms


#556 [七瀬]
 
『ちょ‥落ち着いて!』

「ああ、ごめん‥
ちょっと興奮しすぎた‥」

ふぅーと一息つくと、
またイスに座った。


自分も落ち着こうと、
マグカップへ、口を運ぶと甘さが広がった。


「でね、だから‥
私、不安なの。とっても」

茶色い瞳に自分の姿が映る。

⏰:09/05/10 14:09 📱:N703iD 🆔:fjEZONms


#557 [七瀬]
 
やはり、
不安だったようだ。


『気付いてあげられなくてごめん。』

瞳に映った自分自身を見ながら、言った。


『でも、今日終わらせた。ゆかちゃんとも、昔の俺とも。』


その中の俺が、ぼやけて見えてきたのは、さっきのあったかい涙のせい。

⏰:09/05/10 16:30 📱:N703iD 🆔:fjEZONms


#558 [七瀬]
 
 
『だから安心して。』

そう笑った。


「‥…ありがと‥う‥」

瞳は、ますます潤んで、 とうとう俺は完全に映らなくなってしまった。


不謹慎かも、しれないけど、
真っ白な雪のような頬に伝うひとすじの涙は、この世のものとは思えないほど、きれいだった。

⏰:09/05/10 19:56 📱:N703iD 🆔:fjEZONms


#559 [七瀬]
 
美里

ゆかちゃん

姫‥


“女の子は恋をすると、
きれいになる”

それはきっと、おとぎ話でも、童話でもない。

まぎれもない真実なんだ。


そして、俺も‥ね。
 

⏰:09/05/10 19:59 📱:N703iD 🆔:fjEZONms


#560 [七瀬]
 
 
姫も俺も、きっと同じだったんだ。


バカで
不安で不安定。

泣き虫で弱虫。



同じくらい成長もした。


人を好きになった。

本気で笑えた。

⏰:09/05/10 20:04 📱:N703iD 🆔:fjEZONms


#561 [七瀬]
 
 
 
「らい‥好き。」

そういうことに、気付いた時、

俺は改めてお姫さまに目覚めのキスをもらえるんだ。


でも、まだ夢は覚めない。


『ひめ‥俺も好き。』


これからが、ほんとの甘い悪夢の始まりだから。

⏰:09/05/10 20:08 📱:N703iD 🆔:fjEZONms


#562 [七瀬]
 
 
テーブル越しに触れ合ってた唇同士が離れる。


目と目が合う。

瞳には、俺がはっきりと映っている。



「‥足りない?」



ん‥?

もしや‥悪魔復活?

⏰:09/05/10 20:12 📱:N703iD 🆔:fjEZONms


#563 [七瀬]
 
以前と変わらない意地悪な笑みに、ふと疑問が浮かぶ。


けれど、


『‥‥足りない。』

以前と変わらないバカな俺がいることも事実。


「姫も‥足ーりない。」

そうクスクス笑う姫を見る限りではやっぱ悪魔復活?

⏰:09/05/10 20:17 📱:N703iD 🆔:fjEZONms


#564 [七瀬]
 
さっきの姫はどこへやら‥


でも、そんなことよりも、まだ姫と触れ合ってたい。


そんな欲望が勝っていた。



『じゃあ、
もっかい、ちゅーしよ?』

仕方なく俺からおねだり。


すると、満足そうに微笑む。

⏰:09/05/10 20:22 📱:N703iD 🆔:fjEZONms


#565 [七瀬]
 
「じゃあ、ごほーびね。」


そうやって、また唇を近付ける。


悔しいけど、嬉しい俺ってやっぱ‥M?


なんて思っていると、


「やっぱ‥ちゃんと話してから。」

ひょいと顔を逸らされた。

⏰:09/05/10 20:25 📱:N703iD 🆔:fjEZONms


#566 [七瀬]
 
 
お知らせがあるので、
感想板を見てくださいっ!!(o‘∀‘o)

bbs1.ryne.jp/r.php/novel/4276/
 
お願いしますm(__)m

⏰:09/05/10 21:23 📱:N703iD 🆔:fjEZONms


#567 [柚ちあ´ω`]
ぁげ☆

⏰:09/05/18 20:17 📱:913SH 🆔:yMhd95UY


#568 [七瀬]
柚ちあさん

あげありがとです(^^)!
 

⏰:09/05/19 22:01 📱:N703iD 🆔:VkWa23k.


#569 [七瀬]
みなさんお久しぶりです!!七瀬です(^^)

実は豚インのせいで学校が、日曜までお休みになってしまいました。

今週の木曜からテスト期間が始まる予定だったのですが…
試験も延期です(◎-◎;)

というわけで、少しずつですが、また更新を再開したいと思います。

※試験が延期された分、また更新ストップも延期するかもしれませんが、ご了承下さい。

⏰:09/05/19 22:11 📱:N703iD 🆔:VkWa23k.


#570 [七瀬]
 
 
 
「ふ〜ん」

‥どうしよう。


「へぇ〜」

‥めちゃめちゃ怒ってますよね?


「ゆかちゃんと、ホテルに行ったんだぁ〜」

‥‥やっぱり。
 

⏰:09/05/19 22:30 📱:N703iD 🆔:VkWa23k.


#571 [七瀬]
 
 
『いや‥でも‥‥でもね!行っただけで‥』

「部屋に入ったんでしょ?」


入りました。

「で、キスもした‥」


‥しました。
 
 
やばい‥
完全キレてるよ、姫。
 

⏰:09/05/19 22:33 📱:N703iD 🆔:VkWa23k.


#572 [七瀬]
 
 
「雷のばか」

フイとそっぽを向く姫。


『え〜‥あ、あの〜‥』

「なに」

俺の方をちっとも見ない。


『その‥ぜんぶ話し終えたけど‥‥』


「だからなに!」 
 

⏰:09/05/19 22:38 📱:N703iD 🆔:VkWa23k.


#573 [七瀬]
 
 
『‥ご褒美は‥‥』

「もう、そんなのないに決まってんじゃんっっ!」


‥ですよね。



はぁ‥

どうしよ。


イスにもたれた。
 

⏰:09/05/19 22:41 📱:N703iD 🆔:VkWa23k.


#574 [七瀬]
 
相も変わらず、
ぶすっとしたままの姫。

そんな顔してたら、
せっかくのかわいい顔が台無しだ。


…そんな顔させたのは、
俺だけど。



『‥姫、ごめん…』
 
 

⏰:09/05/19 22:44 📱:N703iD 🆔:VkWa23k.


#575 [七瀬]
 
正直に謝るしか、
姫に許してもらうすべが分からない。


「まあ‥いいけど。」

『‥ほんとに?』


「今回だけね。」

『‥うん。』


「次はもうしないでよ?」

『‥うんうん。』

⏰:09/05/19 22:47 📱:N703iD 🆔:VkWa23k.


#576 [七瀬]
 
「しょうがないなぁ。」

もう頷くしか出来ない。


何度も何度も首を縦に振った。



「じゃあ、はい。
仲直りの‥」

『‥キス?』


「…んなわけないでしょ」
 

⏰:09/05/19 22:51 📱:N703iD 🆔:VkWa23k.


#577 [七瀬]
 
『……ごめんなさい。』


そう少しうつむくと、


スッと白い手首が伸びてきた。


『…?』

「手。」


『え?』

「手。出して。」

⏰:09/05/19 22:54 📱:N703iD 🆔:VkWa23k.


#578 [七瀬]
 
ああ、なんだ。
そういうことか。

『仲直りのあくしゅ‥』


そうやって、
俺も手を出した。


その時だった。



ぎゅっ


「‥仲直りのハグね。」
 

⏰:09/05/19 22:57 📱:N703iD 🆔:VkWa23k.


#579 [七瀬]
 
その一言で、
俺はやっと、“仲直り”の意味を知った。


「あと、ご褒美も含めて。」


机越しに抱き合うと、
なんかぎこちない。


『‥最高のご褒美だ。』


だけど、今はそのぎこちなさが大切に思えた。

⏰:09/05/19 23:01 📱:N703iD 🆔:VkWa23k.


#580 [七瀬]
 
 
「でしょ?お馬さんには、もったいないかな。」

『ひどい、姫‥』


「これは、お仕置きね。」

そうやって、

クスクス笑うたびに漏れる息が、


首筋に当たって、くすぐったかった。
 

⏰:09/05/19 23:05 📱:N703iD 🆔:VkWa23k.


#581 [豪希]
ヤバい!!
おもしろすぎやしませんか?

⏰:09/05/20 01:31 📱:831P 🆔:BsbwZbbI


#582 [七瀬]
豪希さん

ヤバい!!!

その言葉、
うれしすぎやしませんか?^ー^)人(^ー^
 

⏰:09/05/20 19:00 📱:N703iD 🆔:TaVmUvNI


#583 [七瀬]
「ね、お二人さん。
いつまでそうしてるの?」


バッ

とっさに離れた。


「ちょっと真王、のぞきなんて、悪趣味ね。」

 

⏰:09/05/20 19:21 📱:N703iD 🆔:TaVmUvNI


#584 [七瀬]
「…いやいや、見たくて見たわけじゃないし。
そもそも迷惑だし。」

言ってること、正しいよ。真王くん。


「そういうことは、ホテルでやってくれ。頼むから」

そういうと、真王くんは冷蔵庫を開けた。


「おかげで、ここにも来づらい来づらい。」

⏰:09/05/20 19:23 📱:N703iD 🆔:TaVmUvNI


#585 [七瀬]
 
真王くんの注ぐジュースがとても色鮮やかだ。


「だって、雷。」

『え?』


「だから、真王はこう言ってるけど。」

『う、うん?』

よく意味が分からないまま頷いた。 
 

⏰:09/05/20 19:25 📱:N703iD 🆔:TaVmUvNI


#586 [七瀬]
 
「分かった?」

『うん。』


‥嘘。
分かんない。

「そっかぁ。じゃあ約束ね」


んん?

にっこり笑う姫に、疑問は増えてゆくばかり。
 

⏰:09/05/20 19:27 📱:N703iD 🆔:TaVmUvNI


#587 [七瀬]
 
「よかったよかった。」

でも、うれしそうな姫の姿に、“分かんない”なんて言えない。


『真王くん、これは‥』

仕方なく、弟にヘルプを求めた。


すると、例の弟くんは、

「ガンバレ」

姫と同じ顔して一言。
 

⏰:09/05/20 19:43 📱:N703iD 🆔:TaVmUvNI


#588 [七瀬]
 
 
ますます意味不明。



まあ‥なんとかなるだろう。


ただ、
安易にそう考えていた。



姫の笑顔の理由も、

弟の「ガンバレ」の意味にも気付かずに。
 

⏰:09/05/20 21:37 📱:N703iD 🆔:TaVmUvNI


#589 [七瀬]
 
 
「ら〜い〜」

今日も、姫の家で勉強している。


……が。

『はいはい。』

最近、やけに姫が甘えてくる。


『ここ教えて?』

今もぎゅーってしてくる。 

⏰:09/05/20 21:39 📱:N703iD 🆔:TaVmUvNI


#590 [七瀬]
 
これじゃ勉強にならない。


いや、俺はぜんぜん困らないよ?


むしろラッキーって感じ。

勉強はしなくていいし、
姫のかわいい姿を見れる。


だけど改めてこう甘えられると‥照れるんだよなぁ。


それに恥ずかしい。
 

⏰:09/05/20 21:41 📱:N703iD 🆔:TaVmUvNI


#591 [七瀬]
 
 
「もうっっ!」

俺から、離れる姫。


なにをそんなに、怒ってるんだ‥?


「ここは、こうして‥」

怒りながらも、
丁寧に教えてくれた。


だから、やっぱりまだ簡単に考えてた。
 

⏰:09/05/20 21:45 📱:N703iD 🆔:TaVmUvNI


#592 [七瀬]
 
 
『ひめ?ひーめっ!!
姫ってば〜、真姫ちゃん?』


今日は日曜日。

姫と家でのーんびり過ごす楽しい楽しい一日‥

のはずが…


「…………」


あれ?無視?
 

⏰:09/05/20 21:53 📱:N703iD 🆔:TaVmUvNI


#593 [七瀬]
 
『おーい、ひめ〜』

「…………」


また無視。

なんか機嫌悪いよな、姫。


最近、まったく甘えてくんないし。



‥寂しいじゃん。
 
 

⏰:09/05/20 21:55 📱:N703iD 🆔:TaVmUvNI


#594 [七瀬]
 
もう、知らない。


また沈黙が流れだす。


あつーい。
喉乾いたー。
アイス食べたーい。

気が付けば、
もう6月の下旬。


さすがにまだ蝉は鳴いてないけど、汗は滝に近いくらい溢れる。
 

⏰:09/05/20 21:59 📱:N703iD 🆔:TaVmUvNI


#595 [七瀬]
 
「雷。」

そんな、じめじめ暑い中、姫が口を開く。


『ん?』

なんか、姫の声聞くの久々かも。

軽くテンション上がりながらも、返ってきたのは意外な言葉だった。



「約束‥いつ守ってくれるの?」

⏰:09/05/20 22:03 📱:N703iD 🆔:TaVmUvNI


#596 [七瀬]
 
 
『‥約束‥?』


ってなんだ?

俺、なんか姫と約束してたっけ。


小さい小さい脳ミソを、
最大限に奮う。


『‥約束‥約束‥‥』
 
 

⏰:09/05/22 20:51 📱:N703iD 🆔:AuTS5hpo


#597 [七瀬]
 
 
‥ダメだ。

まったくわからない。


「もしかして、忘れちゃった?」


うっ…

頼むから、そんな目で見ないで。

そんな潤んだ目で見られたら、なにも言えなくなる。 

⏰:09/05/22 20:53 📱:N703iD 🆔:AuTS5hpo


#598 [七瀬]
 
最近、姫はよりいっそう、ズル賢さを増した。

前みたいに、強引だったり、命令するんじゃなくて


今みたいに、男心をくすぐるような、

支配するような。

そんな感じで、俺を言いなりにさせる。


これも、半ば命令みたいなもんだと思うけど。
 

⏰:09/05/22 20:56 📱:N703iD 🆔:AuTS5hpo


#599 [七瀬]
 
 
『‥ごめん。いっぱい考えたけど、わかんない。』


「もぉー、ほんとにわからないの!?」

またプリプリしだす姫。


『ごめ‥』

「雷の好きなこと」


『え?』
 

⏰:09/05/22 21:25 📱:N703iD 🆔:AuTS5hpo


#600 [七瀬]
 
「2つ目のヒントね。」

『だから、さっきから言ってること、わからな‥』


「ここじゃ出来ないこと。真王が嫌がるからね。」

『‥‥‥』



それって‥


『それって‥まさか‥』
 

⏰:09/05/22 21:26 📱:N703iD 🆔:AuTS5hpo


#601 [七瀬]
 
「最後のヒントね。」


俺の言葉をさえぎる、
その先には


「よーく聞かないと損するよ?」

最近、ご無沙汰だった
あの妖艶な笑み。



「‥2人ですること」
 
 

⏰:09/05/22 21:28 📱:N703iD 🆔:AuTS5hpo


#602 [七瀬]
 
 
やば‥、

今、俺、
めちゃくちゃ顔赤いかも。


「ちょっとヒントあげすぎたかな。」

その笑顔‥


「ゆでたこさん?」


‥ほんと反則。
 

⏰:09/05/22 21:29 📱:N703iD 🆔:AuTS5hpo


#603 [七瀬]
 
 
『‥いいの?』

「だめなの?」

ずっとずっと前から、触れたいと思っていた。


『いや、俺は‥‥』

だけど、怖くて、
勇気がなかった。


「ゆかちゃんとは、ホテル行けて、姫とは行けないの?」
 

⏰:09/05/22 21:34 📱:N703iD 🆔:AuTS5hpo


#604 [七瀬]
 
 
もうっ!

だから‥‥っ


『‥んな目で見んな‥‥』


やっぱり姫はズルい。


「決まりね。」



だって、その瞳で俺の心を鷲掴みにするんだから。
 

⏰:09/05/22 21:36 📱:N703iD 🆔:AuTS5hpo


#605 [七瀬]
 
 
二回目のホテルは、
前に来たときよりも大きく見えた。


『‥ほんとに、ここでいいの?』

ゆかちゃんと
来たところだよ?


「うんっ!ほんもののお城みたいっ!!」
 
遊園地と同じときくらい、はしゃいでる姫を見て、
こっちもうれしくなる。

⏰:09/05/23 01:41 📱:N703iD 🆔:NCXHFJfw


#606 [七瀬]
 
 
ドアを開くと


‥かわいい。


「さすがに、ゆかちゃんと同じ部屋はいやー。
いちばん高いとこねっ!」

姫がそういって、選んだ部屋は、これまたおとぎ話に出てきそうなところ。

やっぱ、いちばん高い部屋だけあって、広さも雰囲気もサービスも違う。
 

⏰:09/05/23 19:55 📱:N703iD 🆔:NCXHFJfw


#607 [七瀬]
 
やっぱ高いだけあるね。

高いだけあるよ。


「へー。ラブホテルって、こんなのなんだ。初めてきた。」

『そうなんだ‥』


なんか、

『へへっ』


‥うれしいかも。
 

⏰:09/05/23 19:57 📱:N703iD 🆔:NCXHFJfw


#608 [七瀬]
 
「なに、ニヤけてんの‥」

『いやぁ、別に。』

姫と来るのも初めてで、
姫にとっても初めて。


うれしくないわけがない。


数えきれない女と、数えきれないくらい、ここに来たけど、

こんなに、ドキドキして

こんなに幸せなのは、今日だけだ。

⏰:09/05/23 19:59 📱:N703iD 🆔:NCXHFJfw


#609 [七瀬]
 
 
「どうしたの?」

『‥えっ?』

いきなり声を掛けられて、びくってなった。


「だから、なに?」

苛立ったようすの姫。

『‥いやっ‥だから‥‥
その‥』


どうしよう‥
 

⏰:09/05/23 22:32 📱:N703iD 🆔:NCXHFJfw


#610 [七瀬]
 
 
『‥いい?』


「‥‥ぷっ」

緊張して、
変なこと言っちゃった。


「いいって、なにが?」

クスクス笑う姫。


笑うなよ〜‥

こっちは真剣なのに。
 

⏰:09/05/23 22:33 📱:N703iD 🆔:NCXHFJfw


#611 [七瀬]
 
 
恥ずかしくて、
下を向いていると、


「もしかして、雷‥緊張してるの?」

カァッと一気に顔が熱くなる。


「そっかぁ。そっかそっか。ふふふっ」


だから!

『‥笑うな。』

⏰:09/05/23 22:35 📱:N703iD 🆔:NCXHFJfw


#612 [七瀬]
 
 
「ごめんごめん。
決して、笑ってるわけじゃ‥‥ぷぷっ」


‥笑ってんじゃん。


ほんと腹立って、
意地張って。

でも、なにも言えない。


だって、
姫の言うとおりだし。
 

⏰:09/05/23 22:36 📱:N703iD 🆔:NCXHFJfw


#613 [七瀬]
 
 
「らい‥」

姫が呼ぶ。


でも、変な意地を張ってた俺は、まだ動かない。

いや、緊張してて、
動けなかったのかも。



「こっち、来て?」

震えている声が、
俺の胸をいっぱいにさせた。

⏰:09/05/23 22:37 📱:N703iD 🆔:NCXHFJfw


#614 [七瀬]
 
 
『ひめ‥』


そして、


その茶色い瞳が

火照った肌が

赤い唇が


すべてが、俺を満たす。


「ぐずっ‥う〜‥ひっく」
 

⏰:09/05/23 22:43 📱:N703iD 🆔:NCXHFJfw


#615 [七瀬]
 
下にいる姫を見て、
俺はぎょっとした。


『ごっごめん。
いやだった!?』

「違うっ!違うよ、ばか!」


そうやって、
俺の胸を叩く姫に、よりいっそ、戸惑う。


「幸せなの‥」
 
涙で、ぐちゃぐちゃになった顔を擦る姫。

⏰:09/05/23 22:47 📱:N703iD 🆔:NCXHFJfw


#616 [七瀬]
 
 
『‥へ?』

「わたし‥ずっと雷と繋がりたいって思ってた。」

しぼりだすような
細い声。


「それが叶って‥うれしくって‥‥」

それまで、言うと
俺は姫にやさしくキスを落とした。
 

⏰:09/05/23 22:51 📱:N703iD 🆔:NCXHFJfw


#617 [七瀬]
 
姫と俺はまたも、同じ気持ちだったんだ。


涙を拭うと、手が温かい。



『俺も、ずっとそう思ってた‥』


ううん。
手だけじゃない。


姫と触れたところ、
すべてが温かい。

⏰:09/05/23 22:54 📱:N703iD 🆔:NCXHFJfw


#618 [七瀬]
 
 
「雷は、そういうこと年中考えてんじゃないの?」

『‥ははっ‥ほんとひどい‥』

強いと思えば、弱い。


「おーしおきー」

そのくせ強がり。


「らいー、好きだよー」

だから、
すぐに壊れちゃう。

⏰:09/05/23 22:59 📱:N703iD 🆔:NCXHFJfw


#619 [七瀬]
 
 
『俺も好きだよー、悪魔さん』

「ひどーい。」


だから、
俺が守ってあげる。


『俺からのお仕置きね。』

「姫にお仕置きなんて、100万年早いからっ!」
 

⏰:09/05/23 23:03 📱:N703iD 🆔:NCXHFJfw


#620 [七瀬]
 
 
『‥ははは』

「‥ふふふ」




だから、ずっと笑ってて。

俺のお姫さま。
 
 
 
 

⏰:09/05/23 23:04 📱:N703iD 🆔:NCXHFJfw


#621 [七瀬]
 
「えいっ!」

『いたっ!
なにすんの〜、ひめ〜!』


「だーかーら!」


でも、たまには

「姫にお仕置きなんて、雷には一生かかっても、無理なんだってば!!」


そういう、
悪魔な笑顔もいいかも。
 

⏰:09/05/23 23:07 📱:N703iD 🆔:NCXHFJfw


#622 [七瀬]
 
 
『もぉ〜』



“たまには”だよ?


「ばーか!」



だから、たまには


手加減してね?
 
 
 

⏰:09/05/23 23:09 📱:N703iD 🆔:NCXHFJfw


#623 [七瀬]
 
 
 
俺のお姫さまへ







元悪魔より。
 
 
 

⏰:09/05/23 23:11 📱:N703iD 🆔:NCXHFJfw


#624 [七瀬]
 
 
 
たまには、


“た、ま、に、は”


手加減してあげる。



その代わり、


ずっと、
姫のそばにいてね?
 
 

⏰:09/05/23 23:14 📱:N703iD 🆔:NCXHFJfw


#625 [七瀬]
 
 
あ、返事は聞かないから。





だって、言ったでしょ?




あなたに拒否権なんて
ないんだからっ☆
 
 
 

⏰:09/05/23 23:16 📱:N703iD 🆔:NCXHFJfw


#626 [七瀬]
 
 
姫のお馬さんへ








現役悪魔より
 
 
 

⏰:09/05/23 23:18 📱:N703iD 🆔:NCXHFJfw


#627 [七瀬]
 
 
 
 
『うぅ〜‥寒っ‥』

吐く息が白い季節。


だけど、
俺はこんな早朝から、


『あ、あったあった。』

赤い郵便受けに
手を伸ばす。
 

⏰:09/05/23 23:22 📱:N703iD 🆔:NCXHFJfw


#628 [七瀬]
 
 
昨日から、


ううん。

ほんとは1ヶ月前から。


俺は、この日が待ち遠しくて仕方なかった。


なぜかって?


だって、今日は海を渡った手紙が届くから。

⏰:09/05/23 23:24 📱:N703iD 🆔:NCXHFJfw


#629 [七瀬]
 
手紙の差出人は、
永遠を誓った悪魔から。



俺は、興奮を抑え、
封を慎重に切る。


中身を取り出すと、ぺらぺらの紙が一枚。


あれ?これだけ‥

残念に思いつつ

“From RAI”から、
始まる文を読む。

⏰:09/05/23 23:31 📱:N703iD 🆔:NCXHFJfw


#630 [七瀬]
 
 
“やっほ〜、元気?
今日、そっち行くから、
よろしくねン”



‥‥はあ!?


『うっ‥』

ううううう‥


『うそだろーー!??』
 
 

⏰:09/05/23 23:34 📱:N703iD 🆔:NCXHFJfw


#631 [七瀬]
 
 
あれから、
姫はカナダへ留学した。

高校には、長期の休学届を出して。


前に、交換留学には行ったことがあるらしいが、

本格的には初めてらしい。

ずっと、夢だった姫の努力が実って、2年間の留学となった。
 

⏰:09/05/23 23:38 📱:N703iD 🆔:NCXHFJfw


#632 [七瀬]
 
>>629 訂正


“FROM RAI”×

“DEAR RAI”〇
 
 

⏰:09/05/23 23:41 📱:N703iD 🆔:NCXHFJfw


#633 [七瀬]
 
 
俺は、もちろん
いやだったけど、

姫の夢を邪魔するのは、
もっといやだったし、

やっぱ応援してあげたい気持ちが勝っていたから、


笑ってOKした。



そして、約束した。
 

⏰:09/05/23 23:44 📱:N703iD 🆔:NCXHFJfw


#634 [七瀬]
1つは、

姫は、向こうで精一杯に頑張ること。


2つ目は、

俺も、勉強頑張ること。

「姫も、頑張るから、雷!あの学校でいちばん目指して。姫、楽しみにしてるから!」

発つ前に、空港でにんまり笑って言われた一言。

‥やっぱ、俺はこの笑顔に弱い。

⏰:09/05/23 23:51 📱:N703iD 🆔:NCXHFJfw


#635 [七瀬]
 
姫の言葉に促され、
俺は必死に勉強した。

今では、いちばんとは言えなくても、かなり上がったと思う。


そして、3つ目は

誕生日に手紙を書くこと。

お互い忙しくなったし、連絡も少なくなった。

だけど、二人とも、誕生日だけは必ず手紙を書こうと指きりげんまんした。

⏰:09/05/23 23:55 📱:N703iD 🆔:NCXHFJfw


#636 [七瀬]
 
 
そして、今日。


2月24日。

俺と姫の18歳の誕生日ってわけ。



『‥今日、
今日来るって‥‥』



ピーンポーン
 
 

⏰:09/05/23 23:58 📱:N703iD 🆔:NCXHFJfw


#637 [七瀬]
 
 
『ま、まさか‥もう!?』


まだ顔も洗ってないし、
とりあえず、歯磨き…





バーンっ


「らーいっ!
ハッピーバースデー!!」 
 

⏰:09/05/24 00:02 📱:N703iD 🆔:tQb9Mriw


#638 [七瀬]
 
 
18回目の誕生日は

これまた波乱万丈な予感。



でも、その次も

50歳になっても


おじいちゃんになっても



悪魔と誕生日を過ごしたい。
 

⏰:09/05/24 00:06 📱:N703iD 🆔:tQb9Mriw


#639 [七瀬]
 
 
 
おしまい
 
 
 

⏰:09/05/24 00:12 📱:N703iD 🆔:tQb9Mriw


#640 [七瀬]
 
完結しました〜っ(^O^)

やっと…やっとって感じっす゚。(p>∧<q)。゚゚

この話は思ったより、長くなってしまいました。

もっと短くするつもりだったんですけど…(~ヘ~;)

雷をいじめてると、おもしろくって(☆。☆)笑

ついつい書きすぎちゃいました(^^ゞ

⏰:09/05/24 00:19 📱:N703iD 🆔:tQb9Mriw


#641 [七瀬]
 
まあ、これは冗談として…


それくらい楽しんで書けたということですっ(^^)


今までで、いちばん楽しかった\(^O^)/
 
 

⏰:09/05/24 00:21 📱:N703iD 🆔:tQb9Mriw


#642 [七瀬]
雷は個人的に
あまり好きなキャラではありませんでした。

(だから、いじめちゃったのかも。笑)

真姫は、今まででいちばん好きなキャラでしたね。

終わらすのが、もったいないくらい(o^o^o)


好きじゃないキャラと
好きなキャラのカップル…

うーん( ̄〜 ̄;)
七瀬としては、複雑な気分↓↓

⏰:09/05/24 00:25 📱:N703iD 🆔:tQb9Mriw


#643 [七瀬]
 
でも、私から見ても、二人は、とてもお似合いだと思いますっ(^_-)

(作者の感情で書いてしまって、すみません)
 

⏰:09/05/24 00:27 📱:N703iD 🆔:tQb9Mriw


#644 [七瀬]
 
ほんとは、真姫が留学を決意する経緯とか

真王VS雷とかも

書きたかったんですが…


これまた七瀬の都合で
すみませんm(__)m
 

⏰:09/05/24 00:29 📱:N703iD 🆔:tQb9Mriw


#645 [七瀬]
 
 
次は、星と〜の続編でお会いしましょう!!


それでは、また(^!^)y~
 
 

⏰:09/05/24 00:31 📱:N703iD 🆔:tQb9Mriw


#646 [七瀬]
 
感想くれたら、
めっちゃうれしーですっ(●´∀`●)

bbs1.ryne.jp/r.php/novel/4276/


お願いしますm(__)m
 

⏰:09/05/24 00:39 📱:N703iD 🆔:tQb9Mriw


#647 [七瀬]
*アンカー*

>>3-50
>>51-100
>>101-200
>>201-250
>>251-300
>>301-350
>>351-400
>>401-450
>>451-500
>>501-550
>>551-600
>>601-650
>>651-700
>>751-800
>>801-850
>>851-900
>>901-950
>>951-1000

⏰:09/05/24 00:42 📱:N703iD 🆔:tQb9Mriw


#648 [七瀬]
*アンカー*
 
 
>>2 100区切り
 
 

⏰:09/05/24 00:43 📱:N703iD 🆔:tQb9Mriw


#649 [ん◇◇]
(´∀`∩)↑age↑

⏰:22/10/26 21:23 📱:Android 🆔:AtV/.tU6


#650 [ん◇◇]
>>610-640

⏰:22/10/26 21:35 📱:Android 🆔:AtV/.tU6


#651 [ん◇◇]
>>1-40

⏰:22/10/26 21:53 📱:Android 🆔:AtV/.tU6


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