悪 魔 の 誕 生 日
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#351 [七瀬]
 
『なになに?』

姫の目の先を見る。


『また
メリーゴーランド?』

呆れる反面、
かわいいと思ってしまう。

そういうとこが
姫に逆らえない一つの理由であることに、


俺はずいぶん前から気付いていた。
 

⏰:09/04/30 19:37 📱:N703iD 🆔:wzQmp4ms


#352 [七瀬]
 
惚れたもん負け


こういう言葉があるけど、俺はまさにそれ。

悪魔の魔力に
負けてしまった。

虜になってしまった。


なんて愚かなんだろう。


バカな上に愚か…

俺、いっこもいいとこないな。

⏰:09/04/30 19:40 📱:N703iD 🆔:wzQmp4ms


#353 [七瀬]
 
 
「えー、やだよ!」

「なんで?なんで?
姫はメリーゴーランドに、乗りたいのっ!」


おやおや?
悪魔同士が喧嘩し始めた。


「んな、ガキみたいな乗りもん乗れっかよ。」

「なんで、なんで?
かわいーじゃんかあ!!」

⏰:09/04/30 19:43 📱:N703iD 🆔:wzQmp4ms


#354 [七瀬]
 
メリーゴーランドを頑なに拒否する悪魔と、

どうしてもメリーゴーランドに乗りたい悪魔。


うーん…



めんどくせえ。


めんどくさくなった俺は、少し二人から離れようと、人混みの少ない場所へと、体の向きを変えた。

⏰:09/04/30 19:46 📱:N703iD 🆔:wzQmp4ms


#355 [七瀬]
 
後は
二人でお好きにどーぞ。

そそくさと行こうとすると


「雷。」

「雷にいちゃん。」


悪魔に捕まった。


『なに?』

仕方なく、張りつけたような笑顔で応じた。

⏰:09/04/30 19:48 📱:N703iD 🆔:wzQmp4ms


#356 [七瀬]
 
「どこ行くのかな?」

「…かな?」


『ちょっと、ジュースかなんかを買いに行こうと…』


ジーッと二人揃って
俺を白い目で見る。


『…すいません。』


やむを得ず、謝りました。 

⏰:09/04/30 19:52 📱:N703iD 🆔:wzQmp4ms


#357 [七瀬]
 
 
あれから結局、
真王くんが折れてメリーゴーランドに乗った。


「雷、喉乾いた〜。」

「あ、俺あれ食べたいなぁ」

「早く、早く〜!!」

この姉弟に
振り回される俺。

ていうか完全に
召使状態。

⏰:09/04/30 20:00 📱:N703iD 🆔:wzQmp4ms


#358 [七瀬]
 
 
『ちょ、ちょっと!』

俺の言葉なんて無視して、どんどん二人で行っちゃう。


アイツらの辞書に
“協調性”というものは、ないのだろうか。


…ないだろうな。

あったら、
もっと俺をいたわってくれるはず。

⏰:09/04/30 20:03 📱:N703iD 🆔:wzQmp4ms


#359 [七瀬]
 
『どっか休憩しよ…』


「ら〜いっ!!」

『おあっ!』


フラフラな俺に後ろから
抱きついてくる。


姫、まぢ勘弁!!


…って、

前に小さく真王くんと並ぶ姫が見える。

⏰:09/04/30 20:07 📱:N703iD 🆔:wzQmp4ms


#360 [七瀬]
 
と、いうことは…


後ろにいるのは誰なんだ?


「雷、ほんとひっさしぶりじゃ〜ん!!」

そうやって、
もっと強くギュッってしてくる誰かさん。


うん、姫はこんなにボインじゃない。

なーんて、相変わらずバカな俺。

⏰:09/04/30 20:10 📱:N703iD 🆔:wzQmp4ms


#361 [七瀬]
 
それに
姫はこんなに背高くない。

細くて長い手首は
俺の胸板をしっかりと
キャッチしている。


誰?

首だけ後ろに向けた。



「相変わらず男前だね〜!」

その先には、
真っ黒なストレートな髪に真っ黒な瞳。

⏰:09/04/30 20:14 📱:N703iD 🆔:wzQmp4ms


#362 [七瀬]
 
 
え〜っと、



誰だっけ。


…全く思い出せない。

「ぜんぜん
連絡くれないし〜」

多分、何回か遊んだ女
…だと思う。


「こっちからメールしても返ってこないしぃ〜」

⏰:09/04/30 20:17 📱:N703iD 🆔:wzQmp4ms


#363 [七瀬]
 
ってか、その語尾伸ばすの止めてくれ。


う〜ん、

俺、美人は基本覚えてるんだけどな〜。


まったく思い出せない。

なにしろ、姫と出会ってから女遊びしなくなったし。


「ってか今日一人〜?」
 

⏰:09/04/30 20:21 📱:N703iD 🆔:wzQmp4ms


#364 [七瀬]
 
誰が一人で遊園地なんて
来るんだよ。

とか思いつつ、言わない。


ほんと誰だっけ。


その女の胸板を見ると、
ペンダントが光っていた。

それには“Y”の文字。


Y…?

Y…Y……Y………。

⏰:09/04/30 20:24 📱:N703iD 🆔:wzQmp4ms


#365 [七瀬]
 
必死に
少ない脳ミソを絞りだす。


あ、

『ゆ…ゆ……』


頭文字は思い出したのに、次がなかなか出てこない
もどかしさにイライラする。


『ゆ〜…』

ゆみ?

⏰:09/04/30 20:27 📱:N703iD 🆔:wzQmp4ms


#366 [七瀬]
 
ん〜、なんか違うな。


ゆ…ゆ…



「ゆか?」

そう!そうだ!!
ゆかちゃんだ!



「真姫先輩?」


え?
 

⏰:09/04/30 20:30 📱:N703iD 🆔:wzQmp4ms


#367 [七瀬]
 
「こんなところで
なにしてるんですか?
先輩。」


先輩…?

「ゆかこそ。
なにしてるのよ、こんなところで。」


えっと〜
状況がうまく掴めないんですけど…

「私は、彼氏と二人で〜
デートでーす。」

⏰:09/04/30 22:13 📱:N703iD 🆔:wzQmp4ms


#368 [七瀬]
 
きれいな黒髪を指でくるくるするゆかちゃん。


「先輩は?」

「姫もデートでーす!」

そう俺の手を握った。


「え…雷?」

目が点になるゆかちゃん。


「なに?どうしたの?」
 

⏰:09/04/30 22:16 📱:N703iD 🆔:wzQmp4ms


#369 [七瀬]
 
俺とゆかちゃんを
交互に見る姫。

「もしかして二人、知り合い?」


はい。
体の隅々まで、よーく知ってますよ。

なんて、絶対言えない。


「知り合いというか、
なんというか…」

俺をジィっと見る
ゆかちゃん。

⏰:09/04/30 22:20 📱:N703iD 🆔:wzQmp4ms


#370 [七瀬]
 
その目が
今の俺には痛い。


「まあ…強いていうなら…」

姫の目線も痛い。

「体と体の知り合い
ですかね〜」

そうやってキャハって
笑うゆかちゃん。


『………』

あまりのことに
呆然と立ち尽くす。

⏰:09/04/30 22:23 📱:N703iD 🆔:wzQmp4ms


#371 [七瀬]
 
今は暖かい春。

ここは人も多いし暑い。
見渡す限り半袖が目立つ。

現に俺も、
薄い長袖のシャツを一枚着ているだけだ。

俺の首筋、こめかみが
汗で光っている。


が、背筋はゾゾッと寒い。


こんな修羅場は
美里の時以来だ。

⏰:09/04/30 22:28 📱:N703iD 🆔:wzQmp4ms


#372 [七瀬]
 
姫の顔が見れない。


「ふ〜ん。」

勘の良い姫のことだし、
もう気付いているはず。


「ゆかちゃんも悪魔に食べられちゃったんだ。」

…食べちゃいました。


「悪魔?」

不思議そうなゆかちゃん。

⏰:09/05/01 16:51 📱:N703iD 🆔:D4BXoDDM


#373 [七瀬]
 
「そ。姫の悪魔さん。」

ニコっと笑う姫に
少しホッとする。


「まあ、昔のことだし、
しょうがないわよね。
男の子だもん。」

その言葉に
もっと安心する。


「…けど、
少しお仕置きが必要かな」


ひぃいいぃ〜…

⏰:09/05/01 16:55 📱:N703iD 🆔:D4BXoDDM


#374 [七瀬]
 
姫の低い声に
また悪寒が走る。


「そうですかぁ〜」

そう言いながらも
あまり意味を理解していない様子のゆかちゃん。

相変わらず、
ほわ〜んとしている。

それに、人のことは
どうでもいいのだろう。


「じゃあ〜、
私、彼氏待ってるんで〜」 

⏰:09/05/02 08:59 📱:N703iD 🆔:zhG.CytU


#375 [七瀬]
 
そう姫に手を振った
ゆかちゃん。

だから、その語尾伸ばすの止めてくれ…



「らーい、また今度…ね」

すれ違いざまに、小声で言ったゆかちゃんの声は


いつもみたいに伸ばさない語尾が、妙に色っぽかっく妖艶だった。
 

⏰:09/05/02 09:04 📱:N703iD 🆔:zhG.CytU


#376 [七瀬]
 
また今度?


「雷。」

『は、はい!』


ああ〜、なに言われるんだろう…

胃が痛い。


「行くわよ。」


へ?それだけ?
 

⏰:09/05/02 09:07 📱:N703iD 🆔:zhG.CytU


#377 [七瀬]
 
姫がなにも言わないのが
謎でボーッとしていると


「なにやってんの、早く!」

姫が振り向く。


『あ…うん、ごめん。』


その顔が、
今まで見たことのない顔で心臓がキュッと締め付けられた。
 

⏰:09/05/02 09:12 📱:N703iD 🆔:zhG.CytU


#378 [七瀬]
 
怒っているわけでもなく
悲しんでいるわけでもなく

いつもみたいに
なにかを企んでいるような顔でもない。


ましてや“お仕置き”を
考えているようにも見えない。


心が鉛のように重たい。


まさか…
 

⏰:09/05/02 09:15 📱:N703iD 🆔:zhG.CytU


#379 [七瀬]
 
 
俺って、
ほんとはM?


ガーン

だとしたら、ショックだ…




この時、俺と姫の考えていたことは、退け合う磁石のように違った。


って当たり前か。
 

⏰:09/05/02 09:18 📱:N703iD 🆔:zhG.CytU


#380 [七瀬]
 
 
「今日さ、
放課後、久々に遊ぼーぜ」


『はあ〜…』

「って、
いきなりため息かよ。」

『わりぃ、京介。』

「まあ…いいけどよ。」


そうやって京介は
俺の前の席に座った。

⏰:09/05/02 09:23 📱:N703iD 🆔:zhG.CytU


#381 [七瀬]
 
「なんかあったの?
真姫ちゃんと。」


『…あった。』

「はぁ。
どうせ、そんなことだと思ったよ。」

『……』

顔を机に伏せた。


やっぱ、
コイツは俺のダチだな。
 

⏰:09/05/02 09:51 📱:N703iD 🆔:zhG.CytU


#382 [七瀬]
 
「で、なにがあったわけ?」


『…新しい発見』

「フッ、なんだそれ。」


『…俺、
ほんとはMだった。』

「ぶっ!」


ハハハ!と大きく笑う京介にムカっときた。

撤回、やっぱコイツはバカやろーだ。

⏰:09/05/02 09:55 📱:N703iD 🆔:zhG.CytU


#383 [七瀬]
 
『…笑うな。』

少し顔を上げて、
前のコイツをにらむ。


「すまん、すまん!!」

そう言いながらも
まだ腹を抱えている京介に上げた顔を横に反らす。


『………』

「いやぁ〜、それはすごい発見だな、大発見だ。」
 

⏰:09/05/02 09:58 📱:N703iD 🆔:zhG.CytU


#384 [七瀬]
 
『だろ?』

ムキになってそう答えた。


「うん、知らなかったよ。」

『…俺自身そうだった。』


「…で、ほんとは
なにがあったんだよ。」


本日2回目の前言撤回。


やっぱコイツはダチだ。
 

⏰:09/05/02 10:08 📱:N703iD 🆔:zhG.CytU


#385 [七瀬]
 
 
「黙ってちゃ、わかんねーよ。」

ずっと顔を窓に向けたままなにも言わない俺。


『…んな………めて見た』

「えっ?」


『…あんな顔、初めて見た。』


また顔を机に埋めた。
 

⏰:09/05/02 10:11 📱:N703iD 🆔:zhG.CytU


#386 [七瀬]
 
「なるほど、
そーゆうことね。」

そういうことです。


ハハッとまた軽く笑い始めた京介。

「俺もお前のそんな顔、初めて見た。」


そんな顔?

『…そんな顔って
どんな顔だよ。』
 

⏰:09/05/02 11:24 📱:N703iD 🆔:zhG.CytU


#387 [七瀬]
 
「鏡見ろ。
説明するより、そっちのが早い。」

『鏡なんて
持ってるわけねーだろ。
女じゃあるまいし。』


その時、

「お、ちょうどいい時に。美里、鏡貸して。」

美里が登校してきた。

京介が美里に手を出す仕草をする。

⏰:09/05/02 11:30 📱:N703iD 🆔:zhG.CytU


#388 [七瀬]
 
「なによ、いきなり。」

そうなるよな、ふつう。


「あ〜、雷が鏡見たいって」

いや、お前が見ろっつったんだろが。


「トイレ行けば?
このナルシスト、変態、
バカ男!!」

そうやって、
フンと席に着いた美里。

⏰:09/05/02 11:34 📱:N703iD 🆔:zhG.CytU


#389 [七瀬]
 
あちゃ〜、
ひどい言われようだな俺。

ってか京介、空気読めよ。


「んなこと言わず、
貸してやってくれよ〜」

キッと俺をにらむ美里。

あ〜、鬼みてぇ。


美里が
バンッと机に鏡を置いた。

「貸したげるから、
どっか行って!」

⏰:09/05/02 11:39 📱:N703iD 🆔:zhG.CytU


#390 [七瀬]
 
どっか行ってって言われてもなあ〜。

席、前だし。


「サンキュー。
ほら、雷。」

黙って鏡を見る。


いつものカッコいい、
岩崎雷くんではないか。

どうせ、
ナルシストで変態でバカなですから。

⏰:09/05/02 11:42 📱:N703iD 🆔:zhG.CytU


#391 [七瀬]
 
「どう?」

鏡の中の俺を見る京介。


どうって…

『別に、なんも変わんないじゃん。』

「ほら、よーく見ろ。
よぉーく。」

よぉーく見る。


『…ってどこを?』

「ここら辺だよ、ここら辺」

⏰:09/05/02 11:47 📱:N703iD 🆔:zhG.CytU


#392 [七瀬]
鏡を指さす京介。

ジーッと
自分とにらめっこ。


『京介。』

「うん?」


『…からかってるだろ。』
「あ、バレた?」

口を押さえる京介。


…てめえ。
 

⏰:09/05/02 11:51 📱:N703iD 🆔:zhG.CytU


#393 [七瀬]
 
 
キーンコーンカーンコーン


「じゃーなー!」

これからという時に
チャイムが。


覚えてろよ、あいつ。


あ、てゆーか
鏡置きっぱじゃん。
 

⏰:09/05/02 11:54 📱:N703iD 🆔:zhG.CytU


#394 [七瀬]
 
返さなきゃ。


でも


…うしろ見るの怖い。

だって、
鬼がいるから。


ちくしょー、京介。
鏡返してから帰れよな。
 
 

⏰:09/05/02 13:25 📱:N703iD 🆔:zhG.CytU


#395 [七瀬]
 
鬼…じゃなくて

美里とは、あの修羅場以来一言も口をきいていない。

あっ、あの修羅場ってゆうのは、1回目の方ね。


とりあえず、

俺もなんも話さないし、
美里もなんも話さない。


文句も、言わなきゃ、
エッチの誘いもない。

⏰:09/05/02 13:30 📱:N703iD 🆔:zhG.CytU


#396 [七瀬]
 
 
あー…どうしよ。


もたもたしていたら
もう放課後。

返す間もなく、
ここまできちまった。


『京介ー』

しゃーない。

あいつが借りたんだから、返すのもあいつだ。

⏰:09/05/02 15:05 📱:N703iD 🆔:zhG.CytU


#397 [七瀬]
 
「今日、岡田から呼び出しくらっちまった。
先帰ってて!悪いな。」

そういって
素早く教室を出ていった。


まぢどうしようか。

こういうのは時間が経てば経つほど、返しにくくなる。


はあ

ため息を一つ落として、
俺はグランドへ向かった。

⏰:09/05/02 15:09 📱:N703iD 🆔:zhG.CytU


#398 [七瀬]
 
確か、美里は陸上部
…だったっけ。

だったはず!
きっと陸部だ!!


曖昧な記憶の自分に言い聞かせる。

階段を降りると
小さくグランドが見えた。


あ、はっけーん。

ハードルを決まった位置に規則的に並べている美里の姿。

⏰:09/05/02 15:13 📱:N703iD 🆔:zhG.CytU


#399 [七瀬]
 
そういえば、
ハードル速かったよなあ、あいつ。

一年前の
体育祭を思い出す。


陸部のマネージャーらしき子に近づく。

『あの…』


「はい?」

赤い体操服から
一年生だということが
伺えた。

⏰:09/05/02 15:17 📱:N703iD 🆔:zhG.CytU


#400 [七瀬]
 
『………』


ずっと黙っている俺が
気味悪かったのか

「なにか?」

聞き返すマネージャーらしき子。


『うん?…ああ。
これ、美里に返し…』

言葉を途中で止めた俺に
ますます怪しい目が降り掛かる。

⏰:09/05/02 15:21 📱:N703iD 🆔:zhG.CytU


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