悪 魔 の 誕 生 日
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#451 [七瀬]
きっと、そう。
目を開けると
真っ黒な瞳
黒いストレートな髪
そして、さっきまで俺のと触れ合っていた唇
:09/05/04 17:39
:N703iD
:id.Osk0g
#452 [七瀬]
一気に現実に引き戻される。
:09/05/05 00:24
:N703iD
:qG..w3f.
#453 [七瀬]
「あ!!」
「なに、どうしたの?」
「ねえちゃん、
外、雨降ってる。」
「雨?…やだ、ほんと。」
ポツリポツリ
「あ〜、
明日は体育、グラウンドなのに…最悪だわ。」
:09/05/05 00:30
:N703iD
:qG..w3f.
#454 [七瀬]
「俺も明日、体育あるし。」
「ほんと、ついてない。」
「10日間ちょっと前から。」
「え?」
「さっきの答え。」
「さっきの…」
「“ねえちゃんが顔に出やすくなったのは”だよ。」
:09/05/05 00:36
:N703iD
:qG..w3f.
#455 [七瀬]
「それって…」
「そうだよ。
ねえちゃんが雷にいちゃんと付き合い始めたとき。」
「………」
「なんか、ねえちゃん、
その時くらいから、
毎日楽しそうに帰って来るようになったんだよなあ」
:09/05/05 00:40
:N703iD
:qG..w3f.
#456 [七瀬]
ポツポツポツ
「…雨、止みそうにないわね。」
「それなのに、
昨日から、ずーっとブスッとしてるから、なにかあったのかな…って。」
「…………」
「で、ねえちゃんをこんな顔にしたのは、一人しかいないっしょ。」
:09/05/05 00:43
:N703iD
:qG..w3f.
#457 [七瀬]
ザーーザーー
「ほんと。雨、止みそうにないな。
しかも、さっきよりひどくなってる。」
「…ほんとね。」
「このままじゃ、家に帰るのも一苦労だな。」
「…そうね。」
:09/05/05 00:47
:N703iD
:qG..w3f.
#458 [七瀬]
「ねえちゃん、知ってた?」
「…なにを?」
「今日さ、
ねえちゃんの学校の近くにあるバカな高校が、
その中でも留年しそうな、とびっきりのバカの強制補修を行ってるんだって。」
「…それ本当?」
「今ごろ、その補修も終わってるかもね。」
:09/05/05 00:54
:N703iD
:qG..w3f.
#459 [七瀬]
「真王。」
「ん?なに、ねえちゃん。」
「ちょっと出かけてくる。」
「どこ行くの?」
「学校に忘れ物しちゃったみたいだから、取りに帰る。とっても大切なものなの。」
:09/05/05 00:59
:N703iD
:qG..w3f.
#460 [七瀬]
「ふ〜ん、
ねえちゃんも大変だね。」
「すぐ帰って来る。
パパたちにも言っといて」
「わかった。」
「じゃあ、よろしくね!!」
「いってらっしゃ〜い。」
:09/05/05 01:07
:N703iD
:qG..w3f.
#461 [七瀬]
「しょうがないなあ。」
遠くで雨の音が聞こえた。
「プレゼントはこれで満足してあげる。」
だんだん大きくなる水の音と
この部屋に寂しく響く声。
:09/05/05 15:18
:N703iD
:qG..w3f.
#462 [七瀬]
『…ありがと。』
寂しく響いたのは、
俺の声の方かもしれない。
「そんな顔されてまで、
欲しいと思わないよ〜!!」
ハハハ〜と、
やけに高い笑い声は、
今の空気には似合わない。
:09/05/05 15:28
:N703iD
:qG..w3f.
#463 [七瀬]
『そんな顔って、どんな顔?』
「もー、また質問?
気の長いゆかちゃんも、もうそろそろイライラしてきたよ〜?」
『…さっきは気短いっつってたじゃん。』
「女は気まぐれなの〜!!」
相変わらず、不釣り合いなほど甲高い声。
:09/05/05 20:43
:N703iD
:qG..w3f.
#464 [七瀬]
「そんなに知りたいなら、鏡を見なさいっ!!」
『鏡なんて持ってねーし、見ても多分わかんない。』
握っていた細い手首を離しベットの横に寝転んだ。
「それもそっか〜!」
しばらくの沈黙が流れる。
:09/05/05 20:47
:N703iD
:qG..w3f.
#465 [七瀬]
高い高い天井を見上げる。
姫の家も、こんなに天井が高かったなあ。
「ね、
きっとこんな顔だよ。」
『こんな顔って?』
上を見上げたまま聞く。
「今の私みたいな顔。」
:09/05/05 20:50
:N703iD
:qG..w3f.
#466 [七瀬]
横を見る。
『ぷっ…』
「なによ。」
『俺、
そんな変な顔してる?』
「変な顔とは失礼な!
女の子なのに〜!!」
そこには、ぽっぺを双方向に引っ張って、ベロを出してる女。
:09/05/05 20:54
:N703iD
:qG..w3f.
#467 [七瀬]
『ごめんごめん。
でも、その顔はヤバいな。そんなひどい顔してたなんて…』
「でしょ?
せっかくの美男子が台無しだよっ!」
『…ん。』
ほんとひどい顔。
『でも、ゆかちゃんには負けるよ。』
:09/05/05 20:58
:N703iD
:qG..w3f.
#468 [七瀬]
「だから、さっきからひどいってば〜!!」
『うん、ごめん。』
「もぉ〜、
雷なんて嫌いっ!」
『…ん。』
こんな顔、初めて。
『ゆかちゃん…』
:09/05/05 21:02
:N703iD
:qG..w3f.
#469 [七瀬]
「ほんっ…と、グズッ‥
だい‥‥きらい…」
そんな顔、初めて見たよ。
そんな、ひどい顔。
:09/05/05 21:07
:N703iD
:qG..w3f.
#470 [七瀬]
ぴちゃぴちゃぴちゃ…
走るたびに
水や泥が足にかかる。
ほんと最悪。
冷たい。
「ハァ、ハァ‥」
なのに、なぜ息を切らしてまで、走ってるのかしら。
:09/05/05 21:13
:N703iD
:qG..w3f.
#471 [七瀬]
私、変ね。
近ごろ変よ、私。
こんな必死になって
バカみたい。
こんな苦しい気持ちになって
いつもの私はどこに行ったのかしら。
:09/05/05 22:27
:N703iD
:qG..w3f.
#472 [七瀬]
「え?もういない?」
「うん。先、帰っててって言ったし、もうとっくに帰ったんじゃねーかな。」
「で、でも強制補習があるんじゃ‥」
「強制補習?なにそれ。」
そうやって、怪訝な顔をしているのは、
確か、雷のお友達の‥
:09/05/05 22:31
:N703iD
:qG..w3f.
#473 [七瀬]
「京介‥くん?だったかしら。」
「ああ、うん。
そうだけど‥‥?」
「それほんとなの?
補習なんてないって。」
「うん。特に聞いてないし確か今日は職員会議があっから、補習なんてしてる暇ないよ。」
:09/05/05 22:35
:N703iD
:qG..w3f.
#474 [七瀬]
真王に一本やられた。
「そう。ありがとう。
じゃあ雷は、もう家に帰ってるのかしら。」
胸を撫で下ろす。
ほんとバカみたい。
たった一人の男のために、こんなにホッとして。
「さあ?
でも俺はてっきり真姫ちゃんと一緒かと思ってたよ」
:09/05/05 22:38
:N703iD
:qG..w3f.
#475 [七瀬]
安心したのも束の間。
「いや〜、雷が校門にいた女の子と走っていくのが、窓から見えてさ。」
誰それ、
私は委員会だったし‥
「で、いつも真姫ちゃんが校門で雷待ってたから、今日もそうなのかなって思っただけだけど‥
俺の勘違いだったんだな」
:09/05/05 22:43
:N703iD
:qG..w3f.
#476 [七瀬]
やだ‥
さっきよりも大きくなって襲いかかってくる不安に、心臓が痛い。
「でもよく考えたら、背丈も全然違ったし、
遠かったから、よく見えなかったけど、
髪の色も違ってたような‥でも制服はハナジョウだったから。」
胸の痛みが和らぐことはない。
:09/05/05 22:48
:N703iD
:qG..w3f.
#477 [七瀬]
「誰なの、それ‥」
思わず、口に出てしまってた。
すると、雷のお友達は
まずいというような顔をした。
「いや、でもね。
何回も言うけど、遠かったし雷じゃなかったかも…」
私が聞きたいのは、
そういうことじゃない‥
:09/05/05 22:53
:N703iD
:qG..w3f.
#478 [七瀬]
「ちょ、ちょっと、
ま、まひめちゃん!?」
また雨の中、飛び出した。
:09/05/05 22:55
:N703iD
:qG..w3f.
#479 [七瀬]
雨がすごい。
ホテルにいても、
ザーザーザーザー聞こえる。
「もうそろそろ出よっか。」
さっきまで、泣いてたゆかちゃんがぽつりと言った。
:09/05/05 23:03
:N703iD
:qG..w3f.
#480 [七瀬]
「素敵な素敵な誕生日プレゼントも貰ったしね〜」
ゆかちゃん‥ごめんね。
『あ、でも外雨だよ。
傘持ってないし‥‥』
「バカ!男なら濡れて帰りなさいっ!」
ゆかちゃんが
ポンと俺の肩を叩いた。
:09/05/05 23:07
:N703iD
:qG..w3f.
#481 [七瀬]
「先輩‥待ってるんでしょ」
『‥‥うん。』
そうだ、姫が待ってる。
「てか、女遊びしない雷なんて、やっぱ変だね〜」
『やっぱり違和感ある?』
苦笑いしながら、自分自身感じてたことを、聞いてみる。
:09/05/05 23:12
:N703iD
:qG..w3f.
#482 [七瀬]
「違和感ありありだよ〜!!」
ポンポンとまた肩を叩く。
『やっぱりそっか。』
「うん。
でも先輩の方が変かも。」
『えっ、姫の方が?』
意外な答えに
つい声が上ずってしまう。
:09/05/05 23:15
:N703iD
:qG..w3f.
#483 [七瀬]
「なんかね〜、
先輩バカになった。」
『え‥?』
しまった。
まさか
俺のバカが移っちゃった?
「先輩、バカみたいに笑うようになった。」
:09/05/05 23:18
:N703iD
:qG..w3f.
#484 [七瀬]
『バカみたいに笑う‥?』
って、なにそれ。
「うん。
前は、笑うって言っても、おとなしくってゆーか‥‥なんというか‥無理して笑ってたって感じがした。」
『無理に笑う‥』
あの姫が‥?
想像できない。
:09/05/05 23:22
:N703iD
:qG..w3f.
#485 [七瀬]
いつも意地悪な顔して
勝ち誇ったような笑顔が頭に染み付いて、離れないのに‥
姫の無理した笑顔なんて、見たくない。
「それなのに、学校でも大声で笑ったり‥心から楽しんでるようになったの。」
ゆかちゃんは続けた。
:09/05/05 23:26
:N703iD
:qG..w3f.
#486 [七瀬]
「私、一目でわかった。
先輩、恋してるんだって」
その言葉を聞いた瞬間、
心からふつふつとなにかが沸き上がってくるのを感じた。
「とっても、かわいく見えた。恋をしたら、きれいになるっていうけど、あれほんとなんだね。」
姫は初めて見た時から、
きれいな顔立ちをしてたからか、ゆかちゃんに言われるまで気付かなかった。
:09/05/05 23:36
:N703iD
:qG..w3f.
#487 [七瀬]
「まあ、先輩の相手が、
まーさか雷だったとは、夢にも思わなかったけど。」
『‥ごめんなさい。』
「チャラい雷が‥ってこともあったけど、
先輩が雷を選んだってことの方が信じられない。
未だに。」
『未だにって…そんなに?』
:09/05/05 23:40
:N703iD
:qG..w3f.
#488 [七瀬]
「うん。い・ま・だ・に!!」
べーと舌を出すゆかちゃんに
『‥なんかショック。』
ショックを隠しきれない。
「でも、わかった。
なんで、雷なのかって。」
『なんで?』
:09/05/05 23:44
:N703iD
:qG..w3f.
#489 [七瀬]
知りたい
知りたい
知りたい気持ちで
いっぱい。
「それはね‥‥」
ゆかちゃんの口元が
揺れる。
:09/05/05 23:47
:N703iD
:qG..w3f.
#490 [七瀬]
「きれいになるのは、
女の子だけじゃないのよ」
『え?』
ゆかちゃんの言葉の
意味がよくわからない。
「鈍いなぁ〜。
私、気短いんだから、
あんまりイライラさせないでっ!!」
横でニヤニヤ笑う
ゆかちゃん。
:09/05/05 23:52
:N703iD
:qG..w3f.
#491 [七瀬]
『あれ?
さっきまで、気が長〜いゆかちゃんじゃなかったっけ。』
ニヤニヤするゆかちゃんにこっちもニヤニヤ仕返す。
すると、案の定
「女は気まぐれなの〜!!」
満面の笑みで答えた。
:09/05/05 23:54
:N703iD
:qG..w3f.
#492 [七瀬]
『じゃー、気まぐれゆかちゃん、教えて。』
「気まぐれゆかちゃんが、教えてやろうじゃないか」
まったく‥
『お願いします。』
世話が焼ける。
って、
俺に言われたくないか。
:09/05/05 23:57
:N703iD
:qG..w3f.
#493 [七瀬]
「だから、きれいになったのは真姫先輩だけじゃないの〜!」
『うーん、
もうちょっと詳しく‥‥』
「世話が焼けるなあ。」
さっき思ってたことを
口に出して返される。
「雷もきれいになった。」
:09/05/06 00:00
:N703iD
:p8oeFPTc
#494 [七瀬]
は‥‥?
ますますわかんない。
『ん〜、俺はきれいよりも、かっこいいって言われた方がうれしい‥‥』
「雷は十分かっこいーよ!」
あら、ありがと。
:09/05/06 00:03
:N703iD
:p8oeFPTc
#495 [七瀬]
「でも、そういう外見的にじゃなくて、
なんというか‥こう‥‥
心がきれいになった。」
『こころ?』
「うん。
ほら、今みたいに私に謝ってくれたり。
前までの雷なら、遊びの女に謝るなんて、絶対しなかったじゃん。」
まあ‥確かに。
:09/05/06 00:07
:N703iD
:p8oeFPTc
#496 [七瀬]
「なのに、ただその場しのぎじゃなくて、真剣に向き合ってくれた。」
京介や美里が言いたった
“変わった”はこのことだったのだろうか。
「それだけでも、
だいぶ救われるよ。」
ただ俺は、自分のしてきたことに、けじめをつけるためにしたことなのに。
:09/05/06 00:11
:N703iD
:p8oeFPTc
#497 [七瀬]
そして、
姫のそばにいたいがためにしようとしたことなのに。
「心がきれいになった。」
こんな風に感じてくれた人がいたなんて。
『‥たまには、きれいって言われるのも悪くないな』
なんて、
俺は幸せ者なんだろう。
:09/05/06 00:15
:N703iD
:p8oeFPTc
#498 [七瀬]
「ああ〜、私もきれいって言われたい〜!」
『そういうのは、彼氏に言ってもらえよ。』
「言われなくても、そのつもりだから!!
もう二度と雷みたいな、チャラ男には引っ掛かりません!」
『さすがはハナジョウ!
頭いい!!学習能力がある』
:09/05/06 00:19
:N703iD
:p8oeFPTc
#499 [七瀬]
「雷の学校と一緒にしないでよね〜!」
『あ、俺の高校バカにし過ぎっしょ。
俺だって、勉強は出来ないけど、学習能力はあるし』
「ふ〜ん、じゃ、次は同じ失敗しちゃダメだよ?
悪魔さん。」
その言葉に頷いた。
:09/05/06 00:23
:N703iD
:p8oeFPTc
#500 [七瀬]
「出よっ!」
ホテルを出ても、
やっぱり雨は降ってて、
じめじめしていた。
だけど、
心のモヤモヤはなくなってて、
きっと、今の俺は晴れ。
:09/05/06 00:26
:N703iD
:p8oeFPTc
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