悪 魔 の 誕 生 日
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#301 [七瀬]
 
「あら…意外ね。」

不意を突かれたような姫。


『うん。
さっきみたいに姫の弟が
覗いてそうだから。』

「フフッ、そっか。」


二人で
一緒にベッドに入った。

『おやすみ、姫。』

「おやすみなさい、
お馬さん。」

⏰:09/04/26 11:38 📱:N703iD 🆔:TMLWFn/I


#302 [七瀬]
 
このやろう…


俺の怒りと共に
夜は更けていく…



はずが、


「ね、ほんとにいいの?」

『いーの。それともなに?もしかして姫、溜まってんの?』

⏰:09/04/26 11:41 📱:N703iD 🆔:TMLWFn/I


#303 [七瀬]
 
「姫はいいけど…
今日だけだよ?
次からはもうないから。」

『え!?それはちょっと…』


「もう手遅れだから〜」

アハハと笑った姫。


『そんなぁ』



こうして
怒りではなく、俺の後悔と共に夜は更けていった。

⏰:09/04/26 11:49 📱:N703iD 🆔:TMLWFn/I


#304 [七瀬]
 
 
後悔してないというと
嘘になる。

後悔してます、少しだけ。ほんとに少しだけだよ?



でも、今でも俺は
あの時、姫を抱かなくてよかったと思う。

というより、
抱けなかった。


姫が離れてしまうような
気がして。

⏰:09/04/26 11:54 📱:N703iD 🆔:TMLWFn/I


#305 [七瀬]
 
 
ほんとに俺はどうしてしまったんだろう。





『……』

ん?ここ…どこ?

えっーと、思い出せ、俺。

昨日は…


そうだ!姫の家に泊まったんだった。

⏰:09/04/26 14:09 📱:N703iD 🆔:TMLWFn/I


#306 [七瀬]
 
ってことは…

隣を見ると、
お姫さまが寝息を立ててスースーと眠っていた。


携帯を見ると、
もうお昼過ぎ。

今日は土曜日だから
学校はない。


『ねえ〜姫ぇ〜
もう12時過ぎてるよ?
起きて。』

とんとんと肩を叩いた。

⏰:09/04/26 14:13 📱:N703iD 🆔:TMLWFn/I


#307 [七瀬]
 
 
「ん〜もう少し…」


ま、いっか。

まだベッドに横たわる姫を置いて、俺はトイレへ。



あ…姫の両親と弟は
もう起きてるんだろうか。

さすがに、
もう起きてるよな。

一階のリビングへと
向かった。

⏰:09/04/26 14:18 📱:N703iD 🆔:TMLWFn/I


#308 [七瀬]
 
 
どんどんどん…


階段を下りると、

昨日、豪華なディナーを
食べたあの一室に


『真王くん?』

パンとサラダとコーヒーという朝ごはん
…朝じゃないけど

とりあえず、朝ごはんを
食べている姫の弟が。

⏰:09/04/26 17:22 📱:N703iD 🆔:TMLWFn/I


#309 [七瀬]
 
大きな窓から柔らかい日差しがこの部屋いっぱいに入ってきている。

その光が、真王の色素の薄い髪を照らして、
美しさを際立たせている。


ちくしょ…

悔しいけど、


その風景が
とても似合っていた。


やっぱり姫と似てる。

⏰:09/04/26 17:26 📱:N703iD 🆔:TMLWFn/I


#310 [七瀬]
 
 
『おはよう、真王くん。』
すると、真王は
チラッと俺の方を見て、
すぐに手元のパンへと
目線を戻した。


無視しやがって…コイツ。


『えーと、ご両親は?』

ムカつくのを
なんとか抑え再質問。


「……」

⏰:09/04/26 17:31 📱:N703iD 🆔:TMLWFn/I


#311 [七瀬]
 
また無視かよ…


それ以上なにも言わず、
少し遠慮がちに昨日と同じイスに座った。

右斜めにはむしゃむしゃと食べる弟。

テレビの騒がしい音だけが部屋に響く。



「なあ。」

そんな中、声を発したのは例のシスコン野郎。

⏰:09/04/27 17:31 📱:N703iD 🆔:27ivcG1M


#312 [七瀬]
 
いきなりのことで
ビクッとなる俺。

あ〜、カッコわりぃ。


「そんな心配すんなよ。
昨日のこと。」

その言葉に
余計に反応する。


「ねえちゃんには言わないから。昨日のことは。」

“昨日のこと”を強調していう小さな悪魔に小さくなる元悪魔。

⏰:09/04/27 17:35 📱:N703iD 🆔:27ivcG1M


#313 [七瀬]
 
見ると、意地悪な笑顔。

そういうとこ…


ほんっと姫にそっくり!!


やっぱり姉弟だと
思った瞬間。





昨日のこと
昨日のこと…
 
 

⏰:09/04/27 18:30 📱:N703iD 🆔:27ivcG1M


#314 [七瀬]
 
 
昨日、俺は姫のクローゼットの中を見た。


というのは嘘で
詳しくいうと
“見よう”とした。

なぜこんな言い方かというと実際見てないから。


あの時、俺は
テンション上がり過ぎててなんの見境もなかった。


…がコイツに邪魔された。

⏰:09/04/27 18:33 📱:N703iD 🆔:27ivcG1M


#315 [七瀬]
 
姫といい感じになった時と同様。

俺は邪魔されたんだ!


…でも、
今思うと逆に
ありがたかったかも。

だって、あのまま開けてたら…なあ。


俺の失態を食い止めてくれてありがとう!

シスコン野郎。

⏰:09/04/27 18:37 📱:N703iD 🆔:27ivcG1M


#316 [七瀬]
 
『ありがとね、真王くん』


するとアイツは少し驚いたように俺を見た。

「ま、まーな。
黙っててやる俺に感謝しろよ。」


『そうじゃなくて。
あの時、止めてくれてありがとう。』

「………」

何も言わず、俺を見る
真王くん。

⏰:09/04/27 21:38 📱:N703iD 🆔:27ivcG1M


#317 [七瀬]
 
『もう少しで犯罪者になるとこだったよ。』

ハハッと
軽く笑って見せた。


『真王くんが
止めてくれてなかったら、俺、姫の顔を
見れなかったと思う。
あ、あの後、結構見れなかったけどね。』


体育座りして顔埋めてた
くらいですから。

⏰:09/04/27 21:43 📱:N703iD 🆔:27ivcG1M


#318 [七瀬]
 
 
「ふ、ふーん。」

俺を相変わらず見ない
真王くん。


『あ、あと
姫には言っていいよ。』

すると背けた顔を
バッと上げた。


「い…いいのか?」

目を丸くする真王くんに
苦笑いしながらいう。

⏰:09/04/27 21:46 📱:N703iD 🆔:27ivcG1M


#319 [七瀬]
 
『うん。仕方ないじゃん?俺が悪いんだから。』

「でも…ねえちゃんきっと怒るぜ?」

『うん。怒るだろうね。
姫、あんなの特に嫌うし』

「じゃあなんで…」



『だって姫が好きだもん』


格好つけてるわけでもなく口から自然に出てきた。

⏰:09/04/27 21:50 📱:N703iD 🆔:27ivcG1M


#320 [七瀬]
 
『俺は姫が好き。
だから、姫の嫌われるようなことして黙ってるのも罰が悪いじゃん。』

ペロッと舌を出した。


『それにどんなに姫が怒っても謝って許してもらう。

…でも、そうなったら
結構時間かかりそうだから毎日ここ通わなきゃなあ。だから真王くん。』

目をジッと見た。

茶色い目が俺を映してる。

⏰:09/04/27 21:57 📱:N703iD 🆔:27ivcG1M


#321 [七瀬]
 
 
『これからも
よろしくなっ!!』






「ふあぁ〜あ。雷?真王?」

お姫さまはやっと
目を覚ましたご様子。


『おはよ、姫。』
 

⏰:09/04/27 22:01 📱:N703iD 🆔:27ivcG1M


#322 [ミクミク大好き*◆POTE/rv2/w]
あげる(^^)

⏰:09/04/28 10:43 📱:SH902iS 🆔:WojL0.lg


#323 [七瀬]
ミクミク大好きさん


あげありがとー\(^O^)/
 
 

⏰:09/04/28 16:59 📱:N703iD 🆔:e3PxYf7I


#324 [七瀬]
 
「おっはよー!」

『姫、あのな…』


姫に昨日のことを言おう。

そう決意した時、



「ねえちゃん。」

「ん?どうしたの、真王。」


真王くんが口を挟む。
 

⏰:09/04/28 18:17 📱:N703iD 🆔:e3PxYf7I


#325 [七瀬]
 
「今日、その…」

「な〜に?」


冷蔵庫を開けて
フルーツジュースをコップに注ごうとする姫。

不思議に思って真王くんを見た。


「…どっか行こ。」

鼻歌を歌いながら注ぐ姫。


「……三人で。」

⏰:09/04/28 18:23 📱:N703iD 🆔:e3PxYf7I


#326 [七瀬]
 
途端に姫の鼻歌が止まって俺の目線も止まる。


「だから…」

真王くんは意を決したように言う。


「ねえちゃんと
雷…にいちゃんと、俺で」


“雷にいちゃん”

誰のことを言っているのか分かるまで、時間がかかった。

⏰:09/04/28 22:03 📱:N703iD 🆔:e3PxYf7I


#327 [七瀬]
 
 
「フフフフッ、なにかあったの?二人とも。」

姫が笑って聞いてくる。


「さっ、さあな!
俺、着替えてくる。」

真王くんはリビングを
出ていった。


『雷?
あ、違った。
“雷にいちゃん”か。』

ニコニコする姫。

⏰:09/04/28 22:06 📱:N703iD 🆔:e3PxYf7I


#328 [七瀬]
 
その言葉が
妙にくすぐったかった。


『“なにか”あったかも』

「なになに?」


『それは、悪魔同士の秘密…かな?』

笑ってみせた。


「じゃー私にも教えてよ。」

プクーと膨らむ姫。

⏰:09/04/28 22:11 📱:N703iD 🆔:e3PxYf7I


#329 [七瀬]
 
そして耳元で


「私も悪魔…なんだから。」

って囁いた。



『…気付いてたの?』

昨日の夜、
俺が言ったこと。


「もちろん。」

不敵な笑みを浮かべる姫。

⏰:09/04/28 22:14 📱:N703iD 🆔:e3PxYf7I


#330 [七瀬]
 
「一週間、遊園地、心臓が止まりそうなジェットコースター…でしょ?」

『さすが悪魔。』

姫お得意の意地悪な笑みに俺も笑い返す。


「悪魔なんて、
失礼しちゃうわ。」

なんだ鈍感な
ワケじゃないんだ。

『じゃあ、こっちだって
お馬さんなんて失礼しちゃうな。』

⏰:09/04/28 22:22 📱:N703iD 🆔:e3PxYf7I


#331 [七瀬]
 
「いいじゃない。
かわいいし。お馬さん!」

『…悪魔。』


「悪魔はやだ!!
かわいくないもん。」

姫はまた膨れっ面に。

「せめて小悪魔にしてよ。」


小悪魔?

『いーや、そんな生ぬるいもんじゃねえよ。』
 

⏰:09/04/28 22:28 📱:N703iD 🆔:e3PxYf7I


#332 [七瀬]
 
「昨日の雷よりはマシ。」

『俺は、もう引退したんだよ。』

姫が入れてくれた
コーヒーを口へ運んだ。


「もーっ、じゃあ男同士の秘密ってことにしといてあげる。」

『…生ぬるい。』


「…??」

コーヒーが。

⏰:09/04/28 22:31 📱:N703iD 🆔:e3PxYf7I


#333 [七瀬]
 
俺の最後の
“生ぬるい”は伝わらず、


前から思っていた疑問の
一つを姫にぶつけた。


『ねぇ、姫って
なんで自分のこと“姫”って呼んだり“私”って呼んだりするの?』

「ん〜?それはね。」


俺の前に座った。

⏰:09/04/28 22:44 📱:N703iD 🆔:e3PxYf7I


#334 [七瀬]
 
 
「悪魔同士の秘密ー!!」

今度は無邪気に笑う姫。


『じゃー、悪魔なんだから俺にも教えてよ〜。』

「あら?引退したんじゃなかったかしら。」


まるっきり
さっきと反対の状況。

もちろん、さっきと同様に今度は俺が膨れる。

⏰:09/04/28 22:48 📱:N703iD 🆔:e3PxYf7I


#335 [七瀬]
 
そんな俺を見て
現役悪魔は満足したよう。

「えーっとね、
姫は自分のことを
基本“姫”って呼ぶの。」

『うんうん。』

それは知ってる。


「でも、“私”って呼ぶ時もあります。」

だから!


『なんで?』

⏰:09/04/28 23:00 📱:N703iD 🆔:e3PxYf7I


#336 [七瀬]
 
「うん?姫の気分?」

そうやって
ロールパンを一口かじる。


『気分って…』

さすが、悪魔。

というより、お姫さま?


「あとはー、初対面の時とか。」

補足するように
姫は言った。

⏰:09/04/28 23:03 📱:N703iD 🆔:e3PxYf7I


#337 [七瀬]
 
「文を読む時とかは
“私”って呼ぶよ。」

それは
当たり前のことなんじゃ…


「ママに怒られた。
せめて人の前でくらいは、“私”にしなさいって。」

そりゃ、ごもっとも。


でも…

『姫は“姫”って呼ぶ方がらしいよ。』

⏰:09/04/28 23:42 📱:N703iD 🆔:e3PxYf7I


#338 [七瀬]
 
すると、姫は
「ありがと。」って笑った。

その笑顔があまりにかわいくて、

胸がきゅんってなる。


これが、愛しいっていう
気持ちなんだろうか。

これが人を好きになるってことなんだろうか。


これが愛なのか。
 

⏰:09/04/28 23:45 📱:N703iD 🆔:e3PxYf7I


#339 [七瀬]
 
 
17歳、
まだまだぽかぽかした春。


初めて、
人を好きになった。



人?

悪魔だな、悪魔。



俺だけの悪魔のお姫さま。 
 

⏰:09/04/28 23:47 📱:N703iD 🆔:e3PxYf7I


#340 [七瀬]
 
 
「さて。用意しよっか。」

食べ終えて、姫は立ち上がり、食器を流しに置いた。


あれから、ずいぶんと時間が経ったけど真王くんは戻ってこない。


「真王は、
部屋にいるんじゃない?」

気を利かしてくれたのだろうか。

⏰:09/04/28 23:52 📱:N703iD 🆔:e3PxYf7I


#341 [七瀬]
 
 
もう一人の悪魔は
俺を認めてくれたのかな。


“雷にいちゃん”

さっきの言葉が
頭に流れる。


「どうしたの?雷。
ニヤニヤして…」

『別に。
俺も用意してくる』


嫌な響きじゃないかも。

⏰:09/04/29 13:42 📱:N703iD 🆔:xT6XWtjI


#342 [七瀬]
 
 
「さあ〜どこ行く?」


顔洗って着替えて…
三人とも準備満タン!!


『ん〜、そうだなあ。』

どこがいいかな。
中学生が楽しめるところ…


あ〜っ、
ぜんぜんわかんない。

2年前まで
俺も中学生だったのに…

⏰:09/04/29 14:06 📱:N703iD 🆔:xT6XWtjI


#343 [七瀬]
 
思わぬ老化の進み具合?に少しショックを受けつつも


『真王くん、どっか行きたいところある?』

やっぱり、中学生のことは中学生に聞くしかない。


「う〜ん…あるにはある。」

遠慮がちに言う真王くん。


『どこ?
遠慮せずに言ってよ。』
 

⏰:09/04/29 14:10 📱:N703iD 🆔:xT6XWtjI


#344 [七瀬]
 
「そうよ、遠慮しないで言っちゃって!
どんなとこでも姫が雷になんとか、させるからっ!!」

姫の楽しそうなこの一言にえっ?ってなりながらも、


『任せてよ。』

とか言っちゃう俺。


やっぱ俺ってバカだ…


「ほんとにいいの?」

⏰:09/04/29 14:14 📱:N703iD 🆔:xT6XWtjI


#345 [七瀬]
 
真王くんに二人で頷く。


「ありがとー、
雷にいちゃん!」

なんだ。
かわいいとこあんじゃん。


…俺は忘れていた。


コイツも悪魔の血を引き継いでいるということを。


「じゃあ〜…」
 

⏰:09/04/29 14:18 📱:N703iD 🆔:xT6XWtjI


#346 [七瀬]
 
俺の目を見る茶色い瞳。


「初めて、ねえちゃんとデートしたところ。」


『え…』

「ねぇ〜、二人とも、どこで出会って、どこで初めてデートしたわけ!?」

おもいっきり好奇心の塊。


でも、中学生らしいといえば、そうかも。

⏰:09/04/30 06:41 📱:N703iD 🆔:wzQmp4ms


#347 [七瀬]
 
 
『姫〜』

助けを求めるように
目で訴えかける。


「いいじゃない。」

苦笑いしながらも、
ウキウキする姫。


「で!、どこなの?
初めてデートしたところ」


どこって… 
 

⏰:09/04/30 06:45 📱:N703iD 🆔:wzQmp4ms


#348 [七瀬]
 
「大きな観覧車と、心臓が止まりそうなジェットコースターのある遊園地。」


「遊園地!」

楽しそうな姉弟に
なにも言えなかった。


『ほんとに行くの〜!?』

「もちろん!!」



今日も疲れそうな予感。
 

⏰:09/04/30 06:49 📱:N703iD 🆔:wzQmp4ms


#349 [七瀬]
 
 
「わあ!!」

姫の反応が
初めてデート…というか、出会った時と一緒だった。

それプラス、
同じ顔したヤツも同じ反応で思わず笑ってしまった。


それにしても


『…すごい人だな。』


当たり前か、土曜だし。

⏰:09/04/30 19:29 📱:N703iD 🆔:wzQmp4ms


#350 [七瀬]
 
とても混雑していて、
乗り物になんて容易に乗れそうにない。

姫と初めて来た時とは、
大違い。

ま、前来たのは平日だし
お昼過ぎてたしね。

空いてて当たり前なところがあった。


「あ、あれ乗りたーい!」

にも関わらず、
やっぱり前と変わらずに
はしゃぐ姫。

⏰:09/04/30 19:33 📱:N703iD 🆔:wzQmp4ms


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