悪 魔 の 誕 生 日
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#301 [七瀬]
「あら…意外ね。」
不意を突かれたような姫。
『うん。
さっきみたいに姫の弟が
覗いてそうだから。』
「フフッ、そっか。」
二人で
一緒にベッドに入った。
『おやすみ、姫。』
「おやすみなさい、
お馬さん。」
:09/04/26 11:38
:N703iD
:TMLWFn/I
#302 [七瀬]
このやろう…
俺の怒りと共に
夜は更けていく…
はずが、
「ね、ほんとにいいの?」
『いーの。それともなに?もしかして姫、溜まってんの?』
:09/04/26 11:41
:N703iD
:TMLWFn/I
#303 [七瀬]
「姫はいいけど…
今日だけだよ?
次からはもうないから。」
『え!?それはちょっと…』
「もう手遅れだから〜」
アハハと笑った姫。
『そんなぁ』
こうして
怒りではなく、俺の後悔と共に夜は更けていった。
:09/04/26 11:49
:N703iD
:TMLWFn/I
#304 [七瀬]
後悔してないというと
嘘になる。
後悔してます、少しだけ。ほんとに少しだけだよ?
でも、今でも俺は
あの時、姫を抱かなくてよかったと思う。
というより、
抱けなかった。
姫が離れてしまうような
気がして。
:09/04/26 11:54
:N703iD
:TMLWFn/I
#305 [七瀬]
ほんとに俺はどうしてしまったんだろう。
『……』
ん?ここ…どこ?
えっーと、思い出せ、俺。
昨日は…
そうだ!姫の家に泊まったんだった。
:09/04/26 14:09
:N703iD
:TMLWFn/I
#306 [七瀬]
ってことは…
隣を見ると、
お姫さまが寝息を立ててスースーと眠っていた。
携帯を見ると、
もうお昼過ぎ。
今日は土曜日だから
学校はない。
『ねえ〜姫ぇ〜
もう12時過ぎてるよ?
起きて。』
とんとんと肩を叩いた。
:09/04/26 14:13
:N703iD
:TMLWFn/I
#307 [七瀬]
「ん〜もう少し…」
ま、いっか。
まだベッドに横たわる姫を置いて、俺はトイレへ。
あ…姫の両親と弟は
もう起きてるんだろうか。
さすがに、
もう起きてるよな。
一階のリビングへと
向かった。
:09/04/26 14:18
:N703iD
:TMLWFn/I
#308 [七瀬]
どんどんどん…
階段を下りると、
昨日、豪華なディナーを
食べたあの一室に
『真王くん?』
パンとサラダとコーヒーという朝ごはん
…朝じゃないけど
とりあえず、朝ごはんを
食べている姫の弟が。
:09/04/26 17:22
:N703iD
:TMLWFn/I
#309 [七瀬]
大きな窓から柔らかい日差しがこの部屋いっぱいに入ってきている。
その光が、真王の色素の薄い髪を照らして、
美しさを際立たせている。
ちくしょ…
悔しいけど、
その風景が
とても似合っていた。
やっぱり姫と似てる。
:09/04/26 17:26
:N703iD
:TMLWFn/I
#310 [七瀬]
『おはよう、真王くん。』
すると、真王は
チラッと俺の方を見て、
すぐに手元のパンへと
目線を戻した。
無視しやがって…コイツ。
『えーと、ご両親は?』
ムカつくのを
なんとか抑え再質問。
「……」
:09/04/26 17:31
:N703iD
:TMLWFn/I
#311 [七瀬]
また無視かよ…
それ以上なにも言わず、
少し遠慮がちに昨日と同じイスに座った。
右斜めにはむしゃむしゃと食べる弟。
テレビの騒がしい音だけが部屋に響く。
「なあ。」
そんな中、声を発したのは例のシスコン野郎。
:09/04/27 17:31
:N703iD
:27ivcG1M
#312 [七瀬]
いきなりのことで
ビクッとなる俺。
あ〜、カッコわりぃ。
「そんな心配すんなよ。
昨日のこと。」
その言葉に
余計に反応する。
「ねえちゃんには言わないから。昨日のことは。」
“昨日のこと”を強調していう小さな悪魔に小さくなる元悪魔。
:09/04/27 17:35
:N703iD
:27ivcG1M
#313 [七瀬]
見ると、意地悪な笑顔。
そういうとこ…
ほんっと姫にそっくり!!
やっぱり姉弟だと
思った瞬間。
昨日のこと
昨日のこと…
:09/04/27 18:30
:N703iD
:27ivcG1M
#314 [七瀬]
昨日、俺は姫のクローゼットの中を見た。
というのは嘘で
詳しくいうと
“見よう”とした。
なぜこんな言い方かというと実際見てないから。
あの時、俺は
テンション上がり過ぎててなんの見境もなかった。
…がコイツに邪魔された。
:09/04/27 18:33
:N703iD
:27ivcG1M
#315 [七瀬]
姫といい感じになった時と同様。
俺は邪魔されたんだ!
…でも、
今思うと逆に
ありがたかったかも。
だって、あのまま開けてたら…なあ。
俺の失態を食い止めてくれてありがとう!
シスコン野郎。
:09/04/27 18:37
:N703iD
:27ivcG1M
#316 [七瀬]
『ありがとね、真王くん』
するとアイツは少し驚いたように俺を見た。
「ま、まーな。
黙っててやる俺に感謝しろよ。」
『そうじゃなくて。
あの時、止めてくれてありがとう。』
「………」
何も言わず、俺を見る
真王くん。
:09/04/27 21:38
:N703iD
:27ivcG1M
#317 [七瀬]
『もう少しで犯罪者になるとこだったよ。』
ハハッと
軽く笑って見せた。
『真王くんが
止めてくれてなかったら、俺、姫の顔を
見れなかったと思う。
あ、あの後、結構見れなかったけどね。』
体育座りして顔埋めてた
くらいですから。
:09/04/27 21:43
:N703iD
:27ivcG1M
#318 [七瀬]
「ふ、ふーん。」
俺を相変わらず見ない
真王くん。
『あ、あと
姫には言っていいよ。』
すると背けた顔を
バッと上げた。
「い…いいのか?」
目を丸くする真王くんに
苦笑いしながらいう。
:09/04/27 21:46
:N703iD
:27ivcG1M
#319 [七瀬]
『うん。仕方ないじゃん?俺が悪いんだから。』
「でも…ねえちゃんきっと怒るぜ?」
『うん。怒るだろうね。
姫、あんなの特に嫌うし』
「じゃあなんで…」
『だって姫が好きだもん』
格好つけてるわけでもなく口から自然に出てきた。
:09/04/27 21:50
:N703iD
:27ivcG1M
#320 [七瀬]
『俺は姫が好き。
だから、姫の嫌われるようなことして黙ってるのも罰が悪いじゃん。』
ペロッと舌を出した。
『それにどんなに姫が怒っても謝って許してもらう。
…でも、そうなったら
結構時間かかりそうだから毎日ここ通わなきゃなあ。だから真王くん。』
目をジッと見た。
茶色い目が俺を映してる。
:09/04/27 21:57
:N703iD
:27ivcG1M
#321 [七瀬]
『これからも
よろしくなっ!!』
「ふあぁ〜あ。雷?真王?」
お姫さまはやっと
目を覚ましたご様子。
『おはよ、姫。』
:09/04/27 22:01
:N703iD
:27ivcG1M
#322 [ミクミク大好き*◆POTE/rv2/w]
あげる(^^)
:09/04/28 10:43
:SH902iS
:WojL0.lg
#323 [七瀬]
ミクミク大好きさん
あげありがとー\(^O^)/
:09/04/28 16:59
:N703iD
:e3PxYf7I
#324 [七瀬]
「おっはよー!」
『姫、あのな…』
姫に昨日のことを言おう。
そう決意した時、
「ねえちゃん。」
「ん?どうしたの、真王。」
真王くんが口を挟む。
:09/04/28 18:17
:N703iD
:e3PxYf7I
#325 [七瀬]
「今日、その…」
「な〜に?」
冷蔵庫を開けて
フルーツジュースをコップに注ごうとする姫。
不思議に思って真王くんを見た。
「…どっか行こ。」
鼻歌を歌いながら注ぐ姫。
「……三人で。」
:09/04/28 18:23
:N703iD
:e3PxYf7I
#326 [七瀬]
途端に姫の鼻歌が止まって俺の目線も止まる。
「だから…」
真王くんは意を決したように言う。
「ねえちゃんと
雷…にいちゃんと、俺で」
“雷にいちゃん”
誰のことを言っているのか分かるまで、時間がかかった。
:09/04/28 22:03
:N703iD
:e3PxYf7I
#327 [七瀬]
「フフフフッ、なにかあったの?二人とも。」
姫が笑って聞いてくる。
「さっ、さあな!
俺、着替えてくる。」
真王くんはリビングを
出ていった。
『雷?
あ、違った。
“雷にいちゃん”か。』
ニコニコする姫。
:09/04/28 22:06
:N703iD
:e3PxYf7I
#328 [七瀬]
その言葉が
妙にくすぐったかった。
『“なにか”あったかも』
「なになに?」
『それは、悪魔同士の秘密…かな?』
笑ってみせた。
「じゃー私にも教えてよ。」
プクーと膨らむ姫。
:09/04/28 22:11
:N703iD
:e3PxYf7I
#329 [七瀬]
そして耳元で
「私も悪魔…なんだから。」
って囁いた。
『…気付いてたの?』
昨日の夜、
俺が言ったこと。
「もちろん。」
不敵な笑みを浮かべる姫。
:09/04/28 22:14
:N703iD
:e3PxYf7I
#330 [七瀬]
「一週間、遊園地、心臓が止まりそうなジェットコースター…でしょ?」
『さすが悪魔。』
姫お得意の意地悪な笑みに俺も笑い返す。
「悪魔なんて、
失礼しちゃうわ。」
なんだ鈍感な
ワケじゃないんだ。
『じゃあ、こっちだって
お馬さんなんて失礼しちゃうな。』
:09/04/28 22:22
:N703iD
:e3PxYf7I
#331 [七瀬]
「いいじゃない。
かわいいし。お馬さん!」
『…悪魔。』
「悪魔はやだ!!
かわいくないもん。」
姫はまた膨れっ面に。
「せめて小悪魔にしてよ。」
小悪魔?
『いーや、そんな生ぬるいもんじゃねえよ。』
:09/04/28 22:28
:N703iD
:e3PxYf7I
#332 [七瀬]
「昨日の雷よりはマシ。」
『俺は、もう引退したんだよ。』
姫が入れてくれた
コーヒーを口へ運んだ。
「もーっ、じゃあ男同士の秘密ってことにしといてあげる。」
『…生ぬるい。』
「…??」
コーヒーが。
:09/04/28 22:31
:N703iD
:e3PxYf7I
#333 [七瀬]
俺の最後の
“生ぬるい”は伝わらず、
前から思っていた疑問の
一つを姫にぶつけた。
『ねぇ、姫って
なんで自分のこと“姫”って呼んだり“私”って呼んだりするの?』
「ん〜?それはね。」
俺の前に座った。
:09/04/28 22:44
:N703iD
:e3PxYf7I
#334 [七瀬]
「悪魔同士の秘密ー!!」
今度は無邪気に笑う姫。
『じゃー、悪魔なんだから俺にも教えてよ〜。』
「あら?引退したんじゃなかったかしら。」
まるっきり
さっきと反対の状況。
もちろん、さっきと同様に今度は俺が膨れる。
:09/04/28 22:48
:N703iD
:e3PxYf7I
#335 [七瀬]
そんな俺を見て
現役悪魔は満足したよう。
「えーっとね、
姫は自分のことを
基本“姫”って呼ぶの。」
『うんうん。』
それは知ってる。
「でも、“私”って呼ぶ時もあります。」
だから!
『なんで?』
:09/04/28 23:00
:N703iD
:e3PxYf7I
#336 [七瀬]
「うん?姫の気分?」
そうやって
ロールパンを一口かじる。
『気分って…』
さすが、悪魔。
というより、お姫さま?
「あとはー、初対面の時とか。」
補足するように
姫は言った。
:09/04/28 23:03
:N703iD
:e3PxYf7I
#337 [七瀬]
「文を読む時とかは
“私”って呼ぶよ。」
それは
当たり前のことなんじゃ…
「ママに怒られた。
せめて人の前でくらいは、“私”にしなさいって。」
そりゃ、ごもっとも。
でも…
『姫は“姫”って呼ぶ方がらしいよ。』
:09/04/28 23:42
:N703iD
:e3PxYf7I
#338 [七瀬]
すると、姫は
「ありがと。」って笑った。
その笑顔があまりにかわいくて、
胸がきゅんってなる。
これが、愛しいっていう
気持ちなんだろうか。
これが人を好きになるってことなんだろうか。
これが愛なのか。
:09/04/28 23:45
:N703iD
:e3PxYf7I
#339 [七瀬]
17歳、
まだまだぽかぽかした春。
初めて、
人を好きになった。
人?
悪魔だな、悪魔。
俺だけの悪魔のお姫さま。
:09/04/28 23:47
:N703iD
:e3PxYf7I
#340 [七瀬]
「さて。用意しよっか。」
食べ終えて、姫は立ち上がり、食器を流しに置いた。
あれから、ずいぶんと時間が経ったけど真王くんは戻ってこない。
「真王は、
部屋にいるんじゃない?」
気を利かしてくれたのだろうか。
:09/04/28 23:52
:N703iD
:e3PxYf7I
#341 [七瀬]
もう一人の悪魔は
俺を認めてくれたのかな。
“雷にいちゃん”
さっきの言葉が
頭に流れる。
「どうしたの?雷。
ニヤニヤして…」
『別に。
俺も用意してくる』
嫌な響きじゃないかも。
:09/04/29 13:42
:N703iD
:xT6XWtjI
#342 [七瀬]
「さあ〜どこ行く?」
顔洗って着替えて…
三人とも準備満タン!!
『ん〜、そうだなあ。』
どこがいいかな。
中学生が楽しめるところ…
あ〜っ、
ぜんぜんわかんない。
2年前まで
俺も中学生だったのに…
:09/04/29 14:06
:N703iD
:xT6XWtjI
#343 [七瀬]
思わぬ老化の進み具合?に少しショックを受けつつも
『真王くん、どっか行きたいところある?』
やっぱり、中学生のことは中学生に聞くしかない。
「う〜ん…あるにはある。」
遠慮がちに言う真王くん。
『どこ?
遠慮せずに言ってよ。』
:09/04/29 14:10
:N703iD
:xT6XWtjI
#344 [七瀬]
「そうよ、遠慮しないで言っちゃって!
どんなとこでも姫が雷になんとか、させるからっ!!」
姫の楽しそうなこの一言にえっ?ってなりながらも、
『任せてよ。』
とか言っちゃう俺。
やっぱ俺ってバカだ…
「ほんとにいいの?」
:09/04/29 14:14
:N703iD
:xT6XWtjI
#345 [七瀬]
真王くんに二人で頷く。
「ありがとー、
雷にいちゃん!」
なんだ。
かわいいとこあんじゃん。
…俺は忘れていた。
コイツも悪魔の血を引き継いでいるということを。
「じゃあ〜…」
:09/04/29 14:18
:N703iD
:xT6XWtjI
#346 [七瀬]
俺の目を見る茶色い瞳。
「初めて、ねえちゃんとデートしたところ。」
『え…』
「ねぇ〜、二人とも、どこで出会って、どこで初めてデートしたわけ!?」
おもいっきり好奇心の塊。
でも、中学生らしいといえば、そうかも。
:09/04/30 06:41
:N703iD
:wzQmp4ms
#347 [七瀬]
『姫〜』
助けを求めるように
目で訴えかける。
「いいじゃない。」
苦笑いしながらも、
ウキウキする姫。
「で!、どこなの?
初めてデートしたところ」
どこって…
:09/04/30 06:45
:N703iD
:wzQmp4ms
#348 [七瀬]
「大きな観覧車と、心臓が止まりそうなジェットコースターのある遊園地。」
「遊園地!」
楽しそうな姉弟に
なにも言えなかった。
『ほんとに行くの〜!?』
「もちろん!!」
今日も疲れそうな予感。
:09/04/30 06:49
:N703iD
:wzQmp4ms
#349 [七瀬]
「わあ!!」
姫の反応が
初めてデート…というか、出会った時と一緒だった。
それプラス、
同じ顔したヤツも同じ反応で思わず笑ってしまった。
それにしても
『…すごい人だな。』
当たり前か、土曜だし。
:09/04/30 19:29
:N703iD
:wzQmp4ms
#350 [七瀬]
とても混雑していて、
乗り物になんて容易に乗れそうにない。
姫と初めて来た時とは、
大違い。
ま、前来たのは平日だし
お昼過ぎてたしね。
空いてて当たり前なところがあった。
「あ、あれ乗りたーい!」
にも関わらず、
やっぱり前と変わらずに
はしゃぐ姫。
:09/04/30 19:33
:N703iD
:wzQmp4ms
#351 [七瀬]
『なになに?』
姫の目の先を見る。
『また
メリーゴーランド?』
呆れる反面、
かわいいと思ってしまう。
そういうとこが
姫に逆らえない一つの理由であることに、
俺はずいぶん前から気付いていた。
:09/04/30 19:37
:N703iD
:wzQmp4ms
#352 [七瀬]
惚れたもん負け
こういう言葉があるけど、俺はまさにそれ。
悪魔の魔力に
負けてしまった。
虜になってしまった。
なんて愚かなんだろう。
バカな上に愚か…
俺、いっこもいいとこないな。
:09/04/30 19:40
:N703iD
:wzQmp4ms
#353 [七瀬]
「えー、やだよ!」
「なんで?なんで?
姫はメリーゴーランドに、乗りたいのっ!」
おやおや?
悪魔同士が喧嘩し始めた。
「んな、ガキみたいな乗りもん乗れっかよ。」
「なんで、なんで?
かわいーじゃんかあ!!」
:09/04/30 19:43
:N703iD
:wzQmp4ms
#354 [七瀬]
メリーゴーランドを頑なに拒否する悪魔と、
どうしてもメリーゴーランドに乗りたい悪魔。
うーん…
めんどくせえ。
めんどくさくなった俺は、少し二人から離れようと、人混みの少ない場所へと、体の向きを変えた。
:09/04/30 19:46
:N703iD
:wzQmp4ms
#355 [七瀬]
後は
二人でお好きにどーぞ。
そそくさと行こうとすると
「雷。」
「雷にいちゃん。」
悪魔に捕まった。
『なに?』
仕方なく、張りつけたような笑顔で応じた。
:09/04/30 19:48
:N703iD
:wzQmp4ms
#356 [七瀬]
「どこ行くのかな?」
「…かな?」
『ちょっと、ジュースかなんかを買いに行こうと…』
ジーッと二人揃って
俺を白い目で見る。
『…すいません。』
やむを得ず、謝りました。
:09/04/30 19:52
:N703iD
:wzQmp4ms
#357 [七瀬]
あれから結局、
真王くんが折れてメリーゴーランドに乗った。
「雷、喉乾いた〜。」
「あ、俺あれ食べたいなぁ」
「早く、早く〜!!」
この姉弟に
振り回される俺。
ていうか完全に
召使状態。
:09/04/30 20:00
:N703iD
:wzQmp4ms
#358 [七瀬]
『ちょ、ちょっと!』
俺の言葉なんて無視して、どんどん二人で行っちゃう。
アイツらの辞書に
“協調性”というものは、ないのだろうか。
…ないだろうな。
あったら、
もっと俺をいたわってくれるはず。
:09/04/30 20:03
:N703iD
:wzQmp4ms
#359 [七瀬]
『どっか休憩しよ…』
「ら〜いっ!!」
『おあっ!』
フラフラな俺に後ろから
抱きついてくる。
姫、まぢ勘弁!!
…って、
前に小さく真王くんと並ぶ姫が見える。
:09/04/30 20:07
:N703iD
:wzQmp4ms
#360 [七瀬]
と、いうことは…
後ろにいるのは誰なんだ?
「雷、ほんとひっさしぶりじゃ〜ん!!」
そうやって、
もっと強くギュッってしてくる誰かさん。
うん、姫はこんなにボインじゃない。
なーんて、相変わらずバカな俺。
:09/04/30 20:10
:N703iD
:wzQmp4ms
#361 [七瀬]
それに
姫はこんなに背高くない。
細くて長い手首は
俺の胸板をしっかりと
キャッチしている。
誰?
首だけ後ろに向けた。
「相変わらず男前だね〜!」
その先には、
真っ黒なストレートな髪に真っ黒な瞳。
:09/04/30 20:14
:N703iD
:wzQmp4ms
#362 [七瀬]
え〜っと、
誰だっけ。
…全く思い出せない。
「ぜんぜん
連絡くれないし〜」
多分、何回か遊んだ女
…だと思う。
「こっちからメールしても返ってこないしぃ〜」
:09/04/30 20:17
:N703iD
:wzQmp4ms
#363 [七瀬]
ってか、その語尾伸ばすの止めてくれ。
う〜ん、
俺、美人は基本覚えてるんだけどな〜。
まったく思い出せない。
なにしろ、姫と出会ってから女遊びしなくなったし。
「ってか今日一人〜?」
:09/04/30 20:21
:N703iD
:wzQmp4ms
#364 [七瀬]
誰が一人で遊園地なんて
来るんだよ。
とか思いつつ、言わない。
ほんと誰だっけ。
その女の胸板を見ると、
ペンダントが光っていた。
それには“Y”の文字。
Y…?
Y…Y……Y………。
:09/04/30 20:24
:N703iD
:wzQmp4ms
#365 [七瀬]
必死に
少ない脳ミソを絞りだす。
あ、
『ゆ…ゆ……』
頭文字は思い出したのに、次がなかなか出てこない
もどかしさにイライラする。
『ゆ〜…』
ゆみ?
:09/04/30 20:27
:N703iD
:wzQmp4ms
#366 [七瀬]
ん〜、なんか違うな。
ゆ…ゆ…
「ゆか?」
そう!そうだ!!
ゆかちゃんだ!
「真姫先輩?」
え?
:09/04/30 20:30
:N703iD
:wzQmp4ms
#367 [七瀬]
「こんなところで
なにしてるんですか?
先輩。」
先輩…?
「ゆかこそ。
なにしてるのよ、こんなところで。」
えっと〜
状況がうまく掴めないんですけど…
「私は、彼氏と二人で〜
デートでーす。」
:09/04/30 22:13
:N703iD
:wzQmp4ms
#368 [七瀬]
きれいな黒髪を指でくるくるするゆかちゃん。
「先輩は?」
「姫もデートでーす!」
そう俺の手を握った。
「え…雷?」
目が点になるゆかちゃん。
「なに?どうしたの?」
:09/04/30 22:16
:N703iD
:wzQmp4ms
#369 [七瀬]
俺とゆかちゃんを
交互に見る姫。
「もしかして二人、知り合い?」
はい。
体の隅々まで、よーく知ってますよ。
なんて、絶対言えない。
「知り合いというか、
なんというか…」
俺をジィっと見る
ゆかちゃん。
:09/04/30 22:20
:N703iD
:wzQmp4ms
#370 [七瀬]
その目が
今の俺には痛い。
「まあ…強いていうなら…」
姫の目線も痛い。
「体と体の知り合い
ですかね〜」
そうやってキャハって
笑うゆかちゃん。
『………』
あまりのことに
呆然と立ち尽くす。
:09/04/30 22:23
:N703iD
:wzQmp4ms
#371 [七瀬]
今は暖かい春。
ここは人も多いし暑い。
見渡す限り半袖が目立つ。
現に俺も、
薄い長袖のシャツを一枚着ているだけだ。
俺の首筋、こめかみが
汗で光っている。
が、背筋はゾゾッと寒い。
こんな修羅場は
美里の時以来だ。
:09/04/30 22:28
:N703iD
:wzQmp4ms
#372 [七瀬]
姫の顔が見れない。
「ふ〜ん。」
勘の良い姫のことだし、
もう気付いているはず。
「ゆかちゃんも悪魔に食べられちゃったんだ。」
…食べちゃいました。
「悪魔?」
不思議そうなゆかちゃん。
:09/05/01 16:51
:N703iD
:D4BXoDDM
#373 [七瀬]
「そ。姫の悪魔さん。」
ニコっと笑う姫に
少しホッとする。
「まあ、昔のことだし、
しょうがないわよね。
男の子だもん。」
その言葉に
もっと安心する。
「…けど、
少しお仕置きが必要かな」
ひぃいいぃ〜…
:09/05/01 16:55
:N703iD
:D4BXoDDM
#374 [七瀬]
姫の低い声に
また悪寒が走る。
「そうですかぁ〜」
そう言いながらも
あまり意味を理解していない様子のゆかちゃん。
相変わらず、
ほわ〜んとしている。
それに、人のことは
どうでもいいのだろう。
「じゃあ〜、
私、彼氏待ってるんで〜」
:09/05/02 08:59
:N703iD
:zhG.CytU
#375 [七瀬]
そう姫に手を振った
ゆかちゃん。
だから、その語尾伸ばすの止めてくれ…
「らーい、また今度…ね」
すれ違いざまに、小声で言ったゆかちゃんの声は
いつもみたいに伸ばさない語尾が、妙に色っぽかっく妖艶だった。
:09/05/02 09:04
:N703iD
:zhG.CytU
#376 [七瀬]
また今度?
「雷。」
『は、はい!』
ああ〜、なに言われるんだろう…
胃が痛い。
「行くわよ。」
へ?それだけ?
:09/05/02 09:07
:N703iD
:zhG.CytU
#377 [七瀬]
姫がなにも言わないのが
謎でボーッとしていると
「なにやってんの、早く!」
姫が振り向く。
『あ…うん、ごめん。』
その顔が、
今まで見たことのない顔で心臓がキュッと締め付けられた。
:09/05/02 09:12
:N703iD
:zhG.CytU
#378 [七瀬]
怒っているわけでもなく
悲しんでいるわけでもなく
いつもみたいに
なにかを企んでいるような顔でもない。
ましてや“お仕置き”を
考えているようにも見えない。
心が鉛のように重たい。
まさか…
:09/05/02 09:15
:N703iD
:zhG.CytU
#379 [七瀬]
俺って、
ほんとはM?
ガーン
だとしたら、ショックだ…
この時、俺と姫の考えていたことは、退け合う磁石のように違った。
って当たり前か。
:09/05/02 09:18
:N703iD
:zhG.CytU
#380 [七瀬]
「今日さ、
放課後、久々に遊ぼーぜ」
『はあ〜…』
「って、
いきなりため息かよ。」
『わりぃ、京介。』
「まあ…いいけどよ。」
そうやって京介は
俺の前の席に座った。
:09/05/02 09:23
:N703iD
:zhG.CytU
#381 [七瀬]
「なんかあったの?
真姫ちゃんと。」
『…あった。』
「はぁ。
どうせ、そんなことだと思ったよ。」
『……』
顔を机に伏せた。
やっぱ、
コイツは俺のダチだな。
:09/05/02 09:51
:N703iD
:zhG.CytU
#382 [七瀬]
「で、なにがあったわけ?」
『…新しい発見』
「フッ、なんだそれ。」
『…俺、
ほんとはMだった。』
「ぶっ!」
ハハハ!と大きく笑う京介にムカっときた。
撤回、やっぱコイツはバカやろーだ。
:09/05/02 09:55
:N703iD
:zhG.CytU
#383 [七瀬]
『…笑うな。』
少し顔を上げて、
前のコイツをにらむ。
「すまん、すまん!!」
そう言いながらも
まだ腹を抱えている京介に上げた顔を横に反らす。
『………』
「いやぁ〜、それはすごい発見だな、大発見だ。」
:09/05/02 09:58
:N703iD
:zhG.CytU
#384 [七瀬]
『だろ?』
ムキになってそう答えた。
「うん、知らなかったよ。」
『…俺自身そうだった。』
「…で、ほんとは
なにがあったんだよ。」
本日2回目の前言撤回。
やっぱコイツはダチだ。
:09/05/02 10:08
:N703iD
:zhG.CytU
#385 [七瀬]
「黙ってちゃ、わかんねーよ。」
ずっと顔を窓に向けたままなにも言わない俺。
『…んな………めて見た』
「えっ?」
『…あんな顔、初めて見た。』
また顔を机に埋めた。
:09/05/02 10:11
:N703iD
:zhG.CytU
#386 [七瀬]
「なるほど、
そーゆうことね。」
そういうことです。
ハハッとまた軽く笑い始めた京介。
「俺もお前のそんな顔、初めて見た。」
そんな顔?
『…そんな顔って
どんな顔だよ。』
:09/05/02 11:24
:N703iD
:zhG.CytU
#387 [七瀬]
「鏡見ろ。
説明するより、そっちのが早い。」
『鏡なんて
持ってるわけねーだろ。
女じゃあるまいし。』
その時、
「お、ちょうどいい時に。美里、鏡貸して。」
美里が登校してきた。
京介が美里に手を出す仕草をする。
:09/05/02 11:30
:N703iD
:zhG.CytU
#388 [七瀬]
「なによ、いきなり。」
そうなるよな、ふつう。
「あ〜、雷が鏡見たいって」
いや、お前が見ろっつったんだろが。
「トイレ行けば?
このナルシスト、変態、
バカ男!!」
そうやって、
フンと席に着いた美里。
:09/05/02 11:34
:N703iD
:zhG.CytU
#389 [七瀬]
あちゃ〜、
ひどい言われようだな俺。
ってか京介、空気読めよ。
「んなこと言わず、
貸してやってくれよ〜」
キッと俺をにらむ美里。
あ〜、鬼みてぇ。
美里が
バンッと机に鏡を置いた。
「貸したげるから、
どっか行って!」
:09/05/02 11:39
:N703iD
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#390 [七瀬]
どっか行ってって言われてもなあ〜。
席、前だし。
「サンキュー。
ほら、雷。」
黙って鏡を見る。
いつものカッコいい、
岩崎雷くんではないか。
どうせ、
ナルシストで変態でバカなですから。
:09/05/02 11:42
:N703iD
:zhG.CytU
#391 [七瀬]
「どう?」
鏡の中の俺を見る京介。
どうって…
『別に、なんも変わんないじゃん。』
「ほら、よーく見ろ。
よぉーく。」
よぉーく見る。
『…ってどこを?』
「ここら辺だよ、ここら辺」
:09/05/02 11:47
:N703iD
:zhG.CytU
#392 [七瀬]
鏡を指さす京介。
ジーッと
自分とにらめっこ。
『京介。』
「うん?」
『…からかってるだろ。』
「あ、バレた?」
口を押さえる京介。
…てめえ。
:09/05/02 11:51
:N703iD
:zhG.CytU
#393 [七瀬]
キーンコーンカーンコーン
「じゃーなー!」
これからという時に
チャイムが。
覚えてろよ、あいつ。
あ、てゆーか
鏡置きっぱじゃん。
:09/05/02 11:54
:N703iD
:zhG.CytU
#394 [七瀬]
返さなきゃ。
でも
…うしろ見るの怖い。
だって、
鬼がいるから。
ちくしょー、京介。
鏡返してから帰れよな。
:09/05/02 13:25
:N703iD
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#395 [七瀬]
鬼…じゃなくて
美里とは、あの修羅場以来一言も口をきいていない。
あっ、あの修羅場ってゆうのは、1回目の方ね。
とりあえず、
俺もなんも話さないし、
美里もなんも話さない。
文句も、言わなきゃ、
エッチの誘いもない。
:09/05/02 13:30
:N703iD
:zhG.CytU
#396 [七瀬]
あー…どうしよ。
もたもたしていたら
もう放課後。
返す間もなく、
ここまできちまった。
『京介ー』
しゃーない。
あいつが借りたんだから、返すのもあいつだ。
:09/05/02 15:05
:N703iD
:zhG.CytU
#397 [七瀬]
「今日、岡田から呼び出しくらっちまった。
先帰ってて!悪いな。」
そういって
素早く教室を出ていった。
まぢどうしようか。
こういうのは時間が経てば経つほど、返しにくくなる。
はあ
ため息を一つ落として、
俺はグランドへ向かった。
:09/05/02 15:09
:N703iD
:zhG.CytU
#398 [七瀬]
確か、美里は陸上部
…だったっけ。
だったはず!
きっと陸部だ!!
曖昧な記憶の自分に言い聞かせる。
階段を降りると
小さくグランドが見えた。
あ、はっけーん。
ハードルを決まった位置に規則的に並べている美里の姿。
:09/05/02 15:13
:N703iD
:zhG.CytU
#399 [七瀬]
そういえば、
ハードル速かったよなあ、あいつ。
一年前の
体育祭を思い出す。
陸部のマネージャーらしき子に近づく。
『あの…』
「はい?」
赤い体操服から
一年生だということが
伺えた。
:09/05/02 15:17
:N703iD
:zhG.CytU
#400 [七瀬]
『………』
ずっと黙っている俺が
気味悪かったのか
「なにか?」
聞き返すマネージャーらしき子。
『うん?…ああ。
これ、美里に返し…』
言葉を途中で止めた俺に
ますます怪しい目が降り掛かる。
:09/05/02 15:21
:N703iD
:zhG.CytU
#401 [七瀬]
「ああ。
この鏡を織部先輩に返しとけばいいんですね。」
どうやら、
俺の言葉の意図を読み取ってくれたみたい。
ありがたい。
でも
『ううん、
やっぱりいいよ。』
「あ…そうですか。」
:09/05/02 15:25
:N703iD
:zhG.CytU
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