悪 魔 の 誕 生 日
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#61 [七瀬]
 
 
「お疲れさまでしたー」

スタッフのこの一声に

“ほんと疲れたよ”

って言ってやりたかった。


『もう満足か?』

そうやってジェットコースターを降りた外人女の肩に手を置いた瞬間

「ハァ…ハア」

いきなり、しゃがみ込む。

⏰:09/04/13 00:46 📱:N703iD 🆔:6qm6G8Qs


#62 [七瀬]
 
『どうしたんだよ?』

「ハアハァ…大丈…夫。」

苦しそうに顔を歪ませるのを見て、俺はやっと事態の重大さに気付いた。

『大丈夫か!?』


「た……だのほっ…さ」

“発作”?


その間にも、
肩で大きく息を弾ませている。

⏰:09/04/13 06:48 📱:N703iD 🆔:6qm6G8Qs


#63 [七瀬]
 
 
ど…どどど、
どーすればいいんだ!?

正直、かなり混乱した。

だって、こんなことに
出くわしたのは人生初めてだし!

なかなか出くわさないでしょ。


ええ、えーと…
落ち着け、自分…

とりあえず、
自分に言い聞かせた。

⏰:09/04/13 06:52 📱:N703iD 🆔:6qm6G8Qs


#64 [七瀬]
 
『お、俺は
なにをしたらいいんだ?』


こういうことは、
本人に聞かなきゃわからない。


「カ…バン。カバ…ン
ハァハ…ァ」

段々、彼女の口から単語しか出てこなくなるのが
俺を余計に焦らせた。


カバン?
 

⏰:09/04/13 06:57 📱:N703iD 🆔:6qm6G8Qs


#65 [七瀬]
俺は、素早く
ジェットコースターの荷物置場にある彼女のカバンに手を伸ばした。


「あ…りがと。」

そうやって
白い粒、…多分錠剤みたいなものを口に運んだ。


「お客様、
大丈夫でしょうか!?」


それから、5分くらい
ジェットコースターの前にいた。

⏰:09/04/13 07:02 📱:N703iD 🆔:6qm6G8Qs


#66 [七瀬]
 
「フゥ…もう大丈夫。
行こっか。」

とりあえず歩けるみたいだし、さっきのベンチに戻った。


『やっぱり、もう帰ろう』

俺は、
彼女を見ずに言った。

責任は取れない。

これ以上、こいつの“ボーイフレンド”でいるのも
嫌だ。

⏰:09/04/13 07:06 📱:N703iD 🆔:6qm6G8Qs


#67 [七瀬]
 
「分かった。」

やけに素直だな。

「じゃあ最後に一つだけ。一つだけお願いがあるの」

はあ…
また“お願い”かよ。


『もうダメだ。
もうほんとに…』

彼女がジッと俺を見た。

今度は強引に引っ張るわけでもなく、俺の裾を掴むだけ。

⏰:09/04/13 07:10 📱:N703iD 🆔:6qm6G8Qs


#68 [七瀬]
 
 
「お願いよ…」


『…ほんとに最後だぞ。』


これに弱いんだよなあ、
俺は。

結局、こいつのいいなりじゃんかよ。


「ごめんね。」

だから
そんな風に改まれると
逆に手放せなくなるんだよ

⏰:09/04/13 07:14 📱:N703iD 🆔:6qm6G8Qs


#69 [七瀬]
 
 
俺たちは
彼女が希望したデートの最後を締めくくる定番らしい観覧車に乗った。


「……」

なにも話さず、外を見ている。


俺も“キレイだね”とか
“今日は楽しかった?”
とも聞かない。
 

⏰:09/04/13 07:18 📱:N703iD 🆔:6qm6G8Qs


#70 [七瀬]
 
 
「ねえ、今日はほんとにありがとう。」

彼女のこの一言で
もう最後なんだなって実感した。

この女に振り回されることもなく、
嘘か本当かも分からない
彼女の“発作”というなにパニくる必要もない。


なのに、
なぜか物足りない。

精々するはずなのに。

⏰:09/04/13 07:33 📱:N703iD 🆔:6qm6G8Qs


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