虹色のオセロ
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#35 [ゆーちん]
「母親いないんだ、俺。」

「…え?」

「俺を産んですぐに死んじゃったんだって。」

「そう…なの。」

「俺の母ちゃん、ナナミっつうの。一緒の名前。」

「…うん。」

「だから先生のことママって呼ばせて。」

⏰:09/04/22 16:11 📱:SH901iC 🆔:8.MBcNuk


#36 [ゆーちん]
動機がいまいちよくわからない。


が、とりあえずこの猿は私をママって呼びたいんだね。


それはわかる。


てか…ななみんって呼ばれるより、ママのが恥ずかしくない?

⏰:09/04/22 16:11 📱:SH901iC 🆔:8.MBcNuk


#37 [ゆーちん]
「みんなの前では呼ばないから。」

「あぁ、それなら別に。」

「ママも俺の事は渡辺くんじゃなくて栄之助って呼んでね?」

「ん…はい。わかった。」

⏰:09/04/22 16:13 📱:SH901iC 🆔:8.MBcNuk


#38 [ゆーちん]
「呼んでみて?」

「…栄之助。」

「いいねぇ!俺も呼んでいい?」

「…うん」

「ママ。」

「…はい。」

「ひひっ!」


猿みたいな笑い方で、また私を抱きしめた栄之助。

⏰:09/04/22 16:15 📱:SH901iC 🆔:8.MBcNuk


#39 [ゆーちん]
うっとうしいって思ったけど、別にいいかって思う自分もいる。


その時、自分の中で栄之助は特別だっていうイメージが私に焼き付いた。


可哀相な子とかって同情じゃない。


可愛い笑顔の猿ってイメージなのかな。

⏰:09/04/22 16:17 📱:SH901iC 🆔:8.MBcNuk


#40 [ゆーちん]
自分でもよくわからないけど、栄之助に抱きしめられてるのも苦痛じゃなかった。


レオへの愛情に似てるかも。


そんな事を思っていると、猿は私の頬にキスをした。


笑顔全開のバカ面で。

⏰:09/04/22 16:18 📱:SH901iC 🆔:8.MBcNuk


#41 [ゆーちん]
―――


栄之助のママになったのはいいけど、これと言って何も得する事はなかった。


損する事もないんだけどね。


「来週の授業は実験室でするので覚えておいて下さい。」

⏰:09/04/22 16:19 📱:SH901iC 🆔:8.MBcNuk


#42 [ゆーちん]
私は勉強好きでもなければ嫌いでもない。


1番マシだって思えたのが実験のある理科だったってだけで、別に理科命って訳じゃない。


だから白衣も着ないし、必要な時以外は実験室なんかに来ない。

⏰:09/04/22 16:20 📱:SH901iC 🆔:8.MBcNuk


#43 [ゆーちん]
授業が終わり、職員室に戻る。


「柴田先生、ちょっと。」


学年主任に呼び出された。


「はい。」

「明日バレーボール大会じゃないですか。なので準備頼みますよ。」

⏰:09/04/22 16:23 📱:SH901iC 🆔:8.MBcNuk


#44 [ゆーちん]
…はぁ?


デジャヴ?


この前、保泉も言ってたぞ。


だからジャージに着替えて、栄之助のママになったあと、体育館と運動場に準備しに行ったじゃん。


その翌日、バレーしたじゃん。


学年主任、ボケた?

⏰:09/04/22 16:23 📱:SH901iC 🆔:8.MBcNuk


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