虹色のオセロ
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#1 [ゆーちん]
久しぶりに書きます★
マイペース更新ですが、よろしくお願いしますm(__)m
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>>4 感想板・HP
:09/04/22 10:57 :SH901iC :8.MBcNuk
#2 [ゆーちん]
:09/04/22 10:58 :SH901iC :8.MBcNuk
#3 [ゆーちん]
:09/04/22 10:59 :SH901iC :8.MBcNuk
#4 [ゆーちん]
:09/04/22 11:00 :SH901iC :8.MBcNuk
#5 [ゆーちん]
HPにも同じ作品がありますが、こっちにはちょいエロで書きたいと思います(笑)
:09/04/22 11:04 :SH901iC :8.MBcNuk
#6 [ゆーちん]
別に教師になるつもりなどなかった。
高校教師なんて以っての外。
なのに私は今、黒板前に立って、自分より年下のガキに頭を下げてる。
「柴田七海です。よろしくお願いします」
:09/04/22 11:08 :SH901iC :8.MBcNuk
#7 [ゆーちん]
世の中不景気じゃん。
だから雇ってもらえるだけありがたいかなーって。
やる気は無い。
でも、やらないと。
:09/04/22 11:08 :SH901iC :8.MBcNuk
#8 [ゆーちん]
「先生〜、何歳?」
気安く話し掛けるな、バカ猿。
「27歳です」
「へぇ〜、見えないね」
そんなお世辞嬉しくない。
つーか古い。
「アハハ…ありがとう」
:09/04/22 11:08 :SH901iC :8.MBcNuk
#9 [ゆーちん]
ずっとフリーターだった。
どのバイトも接客だったから営業スマイルだけは得意なんだ。
一週間前まで、コーヒーショップで笑顔振り撒いてたのに…今いるのは私立高校の2年C組。
世の中何があるかわかんないね。
:09/04/22 11:09 :SH901iC :8.MBcNuk
#10 [ゆーちん]
生徒に好かれようだなんて思ってない。
嫌われない程度がいい。
嫌われるとさ、授業大変じゃん。
私がこいつらみたく学生の時、嫌いな教師がいた。
全力で嫌った。
:09/04/22 11:10 :SH901iC :8.MBcNuk
#11 [ゆーちん]
クラスみんなで、その教師を嫌った。
結果、その教師はストレスで病気になって学校に来なくなった。
今思えば、くだらない事だったけど、あの歳頃って自分より弱い者を見つけるのが楽しかったりする。
:09/04/22 11:10 :SH901iC :8.MBcNuk
#12 [ゆーちん]
そんな年頃の奴らが今私の目の前にいるのだ。
嫌われるのだけは勘弁してもらわないと。
「先生って白衣着ないの?」
「白衣?」
「理科の先生なんだろ?だったら白い服着ないと!」
:09/04/22 11:11 :SH901iC :8.MBcNuk
#13 [ゆーちん]
あぁ…。
んなもん着る訳ねぇだろ。
「着ないと思う。」
「えぇ〜、着てよぉ。」
冗談言ってんじゃねぇぞ、エロガキが。
「機会があったらね。」
:09/04/22 11:12 :SH901iC :8.MBcNuk
#14 [ゆーちん]
こいつらの副担任らしいんだけど、私、全員の名前とか覚えらんないよ。
みーんな同じ顔に見える。
他のクラスにも授業しに行かないとなんないし、無理無理。
生徒の名前は覚えろ、って理事長みたいなジジィに言われたけど、てめぇは覚えてんのかってんだよ。
:09/04/22 11:12 :SH901iC :8.MBcNuk
#15 [ゆーちん]
「そういう訳で、みんな、柴田先生に学校の事色々教えてやってくれ。」
隣で張り切ってんのが2Cの担任、保泉(ホズミ)。
38歳で妻子持ちなんだってさぁ〜。
聞きたくないのに、この教室来る前に自己紹介されちゃったよ。
興味なし。
:09/04/22 11:13 :SH901iC :8.MBcNuk
#16 [ゆーちん]
「ほずみん、柴田先生のあだ名考えようぜ。」
やめてください。
あだ名とか勘弁して。
保泉だからほずみん?
『ん』付けただけ?
ネーミングセンスないから、君たち。
:09/04/22 11:13 :SH901iC :8.MBcNuk
#17 [ゆーちん]
「七海だから、ななみんでよくね?」
よくない。
お前ら『ん』付けんの好きなワケ?
「いいじゃ〜ん、ななみん可愛いしぃ〜!」
「ななみん決定。」
「よろしくね、ななみーん。」
最低、最悪。
:09/04/22 11:14 :SH901iC :8.MBcNuk
#18 [ゆーちん]
初日からテンションの下がるようなあだ名とクラス名簿を持ち帰り、ベットに飛び込んだのは午後11時。
何が歓迎会だよ。
飲みたいだけだろ、あの教師達は。
「はぁ〜、レオ。癒してぇ〜。」
:09/04/22 11:14 :SH901iC :8.MBcNuk
#19 [ゆーちん]
プードル、男の子、1才。
私の癒し。
私の恋人。
私の唯一の家族。
レオとベットの上でじゃれあうと、私のエネルギー回復すんの。
「レオ〜、最低なあだ名もらって来たよぉ。ななみんだって…ウケるっしょ?」
:09/04/22 11:15 :SH901iC :8.MBcNuk
#20 [ゆーちん]
ウケるね、ってレオが言った。
「クラス名簿見て名前覚えろって、ほずみんが言うんだよ。ほずみんって妻子持ちな事を自己宣告したくせに、私に下心ありありだと思うんだぁ。」
気をつけてね、とレオが言った。
:09/04/22 11:15 :SH901iC :8.MBcNuk
#21 [ゆーちん]
今日から始まった、9年ぶりの高校生活。
やだな。
遅刻魔の私が毎日ちゃんと登校…じゃないや、通勤できるのかな。
まぁでも仕方ないか。
仕事あるだけマシか。
:09/04/22 11:16 :SH901iC :8.MBcNuk
#22 [ゆーちん]
結局クラス名簿は見ずに、風呂入って寝た。
レオと一緒に熟睡した。
明日から規則正しい生活になるんだから、頑張んないとな…。
:09/04/22 11:16 :SH901iC :8.MBcNuk
#23 [ゆーちん]
―――
私の作戦は成功だった。
適当に授業して、笑って、生徒と一定の距離取って。
嫌われずに、教師できた。
「ななみん、彼氏いんの?」
派手な女子にも友達みたく扱われた。
:09/04/22 15:58 :SH901iC :8.MBcNuk
#24 [ゆーちん]
腹立つけど、まぁいいや。
我慢すればいい。
「いないよ。」
「ななみんフリー?意外だぁ〜。」
「みんないるんでしょ?」
「まぁね。ラブラブすぎて困るべ?」
「羨ましいなぁ。」
:09/04/22 15:59 :SH901iC :8.MBcNuk
#25 [ゆーちん]
心の奥では、どうせすぐ別れるよって思ってる。
生徒を見てると、昔の私を見てるみたいだった。
ラブラブだって言っときながら、浮気ばっか。
彼氏コロコロ変わるし。
要はSEXできれば何でもよかった。
:09/04/22 16:00 :SH901iC :8.MBcNuk
#26 [ゆーちん]
まぁ、そんな悲しい事は卒業したけどね。
「ななみん先生。」
…殺してあげようか、ほずみん先生。
何であだ名に先生を付けるわけ?
キモいわ。
:09/04/22 16:01 :SH901iC :8.MBcNuk
#27 [ゆーちん]
「はい。」
「明日バレーボール大会なので、今日の放課後、準備の手伝いお願いします。」
「あぁ…はい。わかりました。」
レオ〜、帰るの遅くなる。
そう、テレパシー送信して、私はジャージに着替えに行った。
:09/04/22 16:04 :SH901iC :8.MBcNuk
#28 [ゆーちん]
「ジャージも似合うねぇ」
更衣室から出ると、バカ猿がいた。
2Cのチャラ男。
確か、名前は…
「渡辺栄之助。」
「あぁ、渡辺くん。ごめん、名前ど忘れして…」
「嘘。覚えてないくせに」
:09/04/22 16:05 :SH901iC :8.MBcNuk
#29 [ゆーちん]
「そんなことない。ちゃんと覚えてる。」
「じゃあ俺の斜め右後ろの奴の名前は?」
「…ど忘れ。」
「斜め右後ろ、いないし。俺1番後ろの席だもん。残念でした、嘘付きさん。」
鋭い。
こいつ何者?
:09/04/22 16:06 :SH901iC :8.MBcNuk
#30 [ゆーちん]
「…何か用?」
「俺と仲良くしてくんない?」
「…ん?」
何言ってんだ?
可愛い猿みたいな顔して、脳みそは猿より少ないのかな?
猿はいきなり私の手を引き、更衣室に入った。
:09/04/22 16:07 :SH901iC :8.MBcNuk
#31 [ゆーちん]
あぁー。
めんどくさいかも。
この猿、鍵閉めちゃったし。
壁に押しやられてるし、私。
欲情猿ですか?
:09/04/22 16:07 :SH901iC :8.MBcNuk
#32 [ゆーちん]
「俺思うんだぁ。」
「何?」
「ななみんってあだ名、ダサくね?」
あら、猿のくせに話のわかる奴?
「…じゃあ渡辺くんならどんなあだ名付けてくれんの?」
:09/04/22 16:09 :SH901iC :8.MBcNuk
#33 [ゆーちん]
「ママ。」
…はぁ?
「ママ?」
「先生見てると甘えたくなるのは何で?」
「うぐっ!」
猿は私を抱きしめた。
それも満面の笑みで。
こいつ頭大丈夫?
:09/04/22 16:09 :SH901iC :8.MBcNuk
#34 [ゆーちん]
「ママって呼んでいい?」
「はっ…離して。」
「呼んでいいなら、離してあげる。」
「わかったから…」
すっと離れたバカ猿は言った。
:09/04/22 16:09 :SH901iC :8.MBcNuk
#35 [ゆーちん]
「母親いないんだ、俺。」
「…え?」
「俺を産んですぐに死んじゃったんだって。」
「そう…なの。」
「俺の母ちゃん、ナナミっつうの。一緒の名前。」
「…うん。」
「だから先生のことママって呼ばせて。」
:09/04/22 16:11 :SH901iC :8.MBcNuk
#36 [ゆーちん]
動機がいまいちよくわからない。
が、とりあえずこの猿は私をママって呼びたいんだね。
それはわかる。
てか…ななみんって呼ばれるより、ママのが恥ずかしくない?
:09/04/22 16:11 :SH901iC :8.MBcNuk
#37 [ゆーちん]
「みんなの前では呼ばないから。」
「あぁ、それなら別に。」
「ママも俺の事は渡辺くんじゃなくて栄之助って呼んでね?」
「ん…はい。わかった。」
:09/04/22 16:13 :SH901iC :8.MBcNuk
#38 [ゆーちん]
「呼んでみて?」
「…栄之助。」
「いいねぇ!俺も呼んでいい?」
「…うん」
「ママ。」
「…はい。」
「ひひっ!」
猿みたいな笑い方で、また私を抱きしめた栄之助。
:09/04/22 16:15 :SH901iC :8.MBcNuk
#39 [ゆーちん]
うっとうしいって思ったけど、別にいいかって思う自分もいる。
その時、自分の中で栄之助は特別だっていうイメージが私に焼き付いた。
可哀相な子とかって同情じゃない。
可愛い笑顔の猿ってイメージなのかな。
:09/04/22 16:17 :SH901iC :8.MBcNuk
#40 [ゆーちん]
自分でもよくわからないけど、栄之助に抱きしめられてるのも苦痛じゃなかった。
レオへの愛情に似てるかも。
そんな事を思っていると、猿は私の頬にキスをした。
笑顔全開のバカ面で。
:09/04/22 16:18 :SH901iC :8.MBcNuk
#41 [ゆーちん]
―――
栄之助のママになったのはいいけど、これと言って何も得する事はなかった。
損する事もないんだけどね。
「来週の授業は実験室でするので覚えておいて下さい。」
:09/04/22 16:19 :SH901iC :8.MBcNuk
#42 [ゆーちん]
私は勉強好きでもなければ嫌いでもない。
1番マシだって思えたのが実験のある理科だったってだけで、別に理科命って訳じゃない。
だから白衣も着ないし、必要な時以外は実験室なんかに来ない。
:09/04/22 16:20 :SH901iC :8.MBcNuk
#43 [ゆーちん]
授業が終わり、職員室に戻る。
「柴田先生、ちょっと。」
学年主任に呼び出された。
「はい。」
「明日バレーボール大会じゃないですか。なので準備頼みますよ。」
:09/04/22 16:23 :SH901iC :8.MBcNuk
#44 [ゆーちん]
…はぁ?
デジャヴ?
この前、保泉も言ってたぞ。
だからジャージに着替えて、栄之助のママになったあと、体育館と運動場に準備しに行ったじゃん。
その翌日、バレーしたじゃん。
学年主任、ボケた?
:09/04/22 16:23 :SH901iC :8.MBcNuk
#45 [ゆーちん]
「この前のは…」
「柴田先生、寝ぼけた事言わないでください。この前は予行練習です!」
何だそれ。
大会の予行練習とかあんの?
運動会じゃあるまいし。
とにかく…私はまた準備しないといけないみたい。
:09/04/22 16:25 :SH901iC :8.MBcNuk
#46 [ゆーちん]
かったるいとは思うが、決して口にも顔にも出さない。
出していないつもりだった。
普通の奴ならわかるはずないのに、なのに…
「先生、大変なんですね」
:09/04/22 16:25 :SH901iC :8.MBcNuk
#47 [ゆーちん]
2Cのホームルームに参加し、生徒の帰る時間となった。
ジャージに着替えて、準備しないとなぁって思っていると、一人の男子が隣に立って、そう言ったんだ。
名前、何だっけ、こいつ。
:09/04/22 16:27 :SH901iC :8.MBcNuk
#48 [ゆーちん]
「何?」
確かクラス委員で、頭よくて、スポーツできて、モテ男で…。
詳細わかってるくせに名前が出てこないなんて、つくづくこの仕事向いてないんだと自覚した。
:09/04/22 16:27 :SH901iC :8.MBcNuk
#49 [ゆーちん]
「本当は教師なんかなりたくない。生徒とは仲良くしたくない。でも嫌われたくない。あだ名が気に入らない。」
生徒が帰って行く教室はザワつき、誰も私たちの会話なんか聞いていなかった。
:09/04/22 16:27 :SH901iC :8.MBcNuk
#50 [ゆーちん]
助かったよ。
こんな図星だらけの話、聞かれちゃ面倒だ。
てゆーか、こいつも何者?
超能力?
「アハハ…何言ってんの?」
「生徒の名前も覚えてないし、保泉のセクハラうざいし、もっとお洒落な格好したいけど出来ないから悔しい…って感じでしょ?先生。」
:09/04/22 16:28 :SH901iC :8.MBcNuk
#51 [ゆーちん]
私、このガキに全て見透かされてるの?
「ついでに追加すれば、この後バレーボール大変の準備しなきゃなんのいの、面倒だなって。」
クラス委員長は笑った。
「どうせ俺の名前覚えてないんでしょ?」
:09/04/22 16:29 :SH901iC :8.MBcNuk
#52 [ゆーちん]
こいつには嘘ついても仕方ないかなって思った。
「覚えてない。」
「瀬川仁士です。」
「…クラス委員長のね」
「そういうのは覚えてるのに名前覚えてないなんて…先生変な人ですね。」
「…どっちが。」
:09/04/22 16:31 :SH901iC :8.MBcNuk
#53 [ゆーちん]
私も笑った。
本当に17才か?ってぐらいの大人なオーラが出る瀬川仁士に、私は聞いた。
「私の本性探って、マニアか何か?」
「マニアよりタチ悪いよ、俺。」
:09/04/22 16:32 :SH901iC :8.MBcNuk
#54 [ゆーちん]
「ふーん…おいで。ここじゃ何だから。」
私は、瀬川仁士を更衣室に連れて行った。
鍵も閉めた。
この前の栄之助の時と逆だね。
あ、でも別に変な事しないし。
話聞くだけ。
それと、ジャージに着替えるだけ。
:09/04/22 16:33 :SH901iC :8.MBcNuk
#55 [ゆーちん]
「襲われるかもとか思わないんですか?」
私はジャージに着替える為、服を脱いだ。
下着だけになった。
「思わない。」
「どうして?俺も男ですけど。」
:09/04/22 16:34 :SH901iC :8.MBcNuk
#56 [ゆーちん]
「でもあんたは私を女として見てないんでしょ?」
「あれ?わかっちゃいました?」
クラス委員長は眼鏡かけてるってイメージなんだけど、こいつは眼鏡なし。
そのうえ金髪だし。
:09/04/22 16:35 :SH901iC :8.MBcNuk
#57 [ゆーちん]
でも頭いいんだよ。
別に派手な遊びもしてないし、何より雰囲気がかなり落ち着いている。
同じ歳の奴と話してるみたい。
「伊達に歳食ってないから、男の事はまぁまぁわかる」
「…今の言葉本当ですか?」
:09/04/22 16:35 :SH901iC :8.MBcNuk
#58 [ゆーちん]
「え?」
ジャージに着替え、髪を結ぶ私に鋭い視線が向けられていた。
「男の事はわかるんですよね?じゃあ俺が今、何考えてるかわかります?」
…わかりません。
そもそも興味ありません。
:09/04/22 16:36 :SH901iC :8.MBcNuk
#59 [ゆーちん]
更衣室に連れ込んだのだって、教室で誰かに盗み聞きされてちゃ面倒だったし、私着替えなきゃなんなかったし。
別に瀬川仁士が気になるからここに連れて来たわけじゃない。
だから何考えてるとか、わかんないし、わからなくてもいい。
:09/04/22 16:37 :SH901iC :8.MBcNuk
#60 [ゆーちん]
「わかんない。」
「矛盾してますよ、言ってること。」
「んー、そうだね。」
「先生にお願いがあるんです。」
「お願い?」
瀬川仁士は、頭を下げた。
:09/04/22 16:41 :SH901iC :8.MBcNuk
#61 [ゆーちん]
「金貸して下さい。」
「…え?」
「1万円。お願いします。来週必ず返すから…お願いします!」
「ちょっと、頭上げて。何なのよ、新手のカツアゲ?」
:09/04/22 16:41 :SH901iC :8.MBcNuk
#62 [ゆーちん]
頭を上げようと引っ張ったけどピクリともしない。
「ちょっと!ねぇってば。」
「絶対返すから…お願いします。」
「1万ぐらいバイトしろよ。」
「前借り頼んだんですけど断られちゃって。」
:09/04/22 16:41 :SH901iC :8.MBcNuk
#63 [ゆーちん]
「じゃあ親父かお袋に言え。頼むから頭上げてよ。頭下げられるの嫌いだから。」
「親、いないんです。」
「はぁ?」
瀬川仁士はやっと頭を上げてくれた。
「生徒資料見てもらえばわかります。俺、親いないんで。」
:09/04/22 16:43 :SH901iC :8.MBcNuk
#64 [ゆーちん]
「何があったか知んないけど1万円ちゃんと返してくれんの?」
「約束します。」
「もし私が断ったら、どうしてたの?」
「強盗、カツアゲ、最悪…俺を買ってもらうとか。」
:09/04/22 16:43 :SH901iC :8.MBcNuk
#65 [ゆーちん]
買ってもらうって…。
意味わかってんのかよ、ばかたれ。
「はぁ〜。面倒なことだけは起こさないでよ?私、貸すから。」
:09/04/22 16:44 :SH901iC :8.MBcNuk
#66 [ゆーちん]
ありがとうございます、と言ってまた頭を下げた瀬川仁士。
「財布、職員室だから取って来る。教室で待ってて」
:09/04/22 16:46 :SH901iC :8.MBcNuk
#67 [ゆーちん]
そのあと、新手のカツアゲなんだか本当に金が必要だったのかわからないけど、私と瀬川仁士以外に誰もいない教室で、自分の生徒に1万円を渡した。
で、バレーボールの準備に行くと、遅いと叱られた。
踏んだり蹴ったりだね。
:09/04/22 16:46 :SH901iC :8.MBcNuk
#68 [ゆーちん]
翌日のバレーボール大会、本番。
この前の予行練習とまるっきり同じものが始まった。
「それではみなさん、正々堂々戦ってください。」
:09/04/26 12:40 :SH901iC :FFIr2eIk
#69 [ゆーちん]
体育教官の話、終わり。
みんな各自散らばってボールを地面に落とさないゲームを始める。
「マーマ。」
「…こら、二人きりのとき以外その呼び名禁止だよ。」
「大丈夫大丈夫。誰も聞いてないから。」
:09/04/26 12:41 :SH901iC :FFIr2eIk
#70 [ゆーちん]
「どうだか…それより試合行かなくていいの?」
「まだ時間あるから暇なんだ。ママとお喋りしようと思って。」
「あーら、調度よかった。ママも今から暇なんだ。バレーボール大会終わるまでっ!」
:09/04/26 12:41 :SH901iC :FFIr2eIk
#71 [ゆーちん]
教師はやることないのに何で準備手伝わされたんだって感じ。
今ジャージ着てる私、すっごい虚しい。
大会終わるまで生徒の安全を見張れだと?
:09/04/26 12:47 :SH901iC :FFIr2eIk
#72 [ゆーちん]
んなもん知るかぁ!
自分の身は自分で守れ。
「どっ…うしたの…ママ。機嫌悪いね。」
びびってんじゃないよ渡辺栄之助。
:09/04/26 12:47 :SH901iC :FFIr2eIk
#73 [ゆーちん]
「試合まで時間どれくらいあるの?」
「30分ぐらいかな。」
「ん。じゃあちょっと来い。」
私は栄之助を連れ、更衣室に向かった。
:09/04/26 12:48 :SH901iC :FFIr2eIk
#74 [ゆーちん]
更衣室に入り、鍵をかける。
言い忘れてたけど、この更衣室使うの私だけみたい。
女の教師もいるにはいるんだけど、もう年配の方だからわざわざ更衣室で着替えるって機会がなくなるみたい。
:09/04/26 12:49 :SH901iC :FFIr2eIk
#75 [ゆーちん]
だからこの更衣室は私だけの休憩所みたいな?
でもまぁ、たまーに掃除係の人が来るけどね。
「何?ママったらわざわざ鍵閉めて俺と何する気?」
バカ猿は子供みたいにはしゃいでいる。
:09/04/26 12:49 :SH901iC :FFIr2eIk
#76 [ゆーちん]
「どーしても栄之助と、やりたかったの。」
「…ほえ?」
下心まる見えの栄之助。
でもごめんね。
その気はない。
私が栄之助とやりたいのは、これ。
:09/04/26 12:50 :SH901iC :FFIr2eIk
#77 [ゆーちん]
「じゃーん!オセロゲーム」
ロッカーから大きいボードを取り出すと、栄之助はあっけらかんとした表情を浮かべた。
「親子の遊びっつったらオセロっしょ?」
「…そう、なの?」
「少なくとも柴田家はそうだった。」
:09/04/26 12:54 :SH901iC :FFIr2eIk
#78 [ゆーちん]
私は小さい時、よくお母さんとオセロゲームをして遊んだ。
私が勝つまでお母さんは相手してくれた。
どうってことない幼い記憶だけど、栄之助とオセロしてあげたいって思った私…
これって母性本能ってやつなのかなぁ。
んー…違うか。
:09/04/26 12:55 :SH901iC :FFIr2eIk
#79 [ゆーちん]
何にせよ久しぶりにオセロがやりたくなったのも一理あるし?
言っとくけど私、強いよ〜。
「はい、ママの負け。」
「…」
あっれー?
腕落ちたかな。
:09/04/26 12:56 :SH901iC :FFIr2eIk
#80 [ゆーちん]
「もう一回!」
「負けず嫌いだね。もう3回目だよ?」
「いいの、はい4回戦するよ。」
「その前に俺ボール遊びしてこなきゃ。」
「あぁ…そうだっけ。そんじゃあここで待ってるから試合終わったら来てよ。」
:09/04/26 12:57 :SH901iC :FFIr2eIk
#81 [ゆーちん]
「えぇ?俺のカッコイイ姿見に来ないの?」
「行かなーい。」
「応援してくんないの?」
「しなーい。」
「もうっ、ママ嫌い。行ってきます。」
ふて腐れながら更衣室を出て行く栄之助を、私はニンマリ笑顔で見送った。
:09/04/26 12:57 :SH901iC :FFIr2eIk
#82 [ゆーちん]
待ってる間、私は眠っていたらしい。
外は天気がよくて、太陽の温もりが更衣室に注ぎ込む。
心地よくて、ついつい居眠りしていたみたい。
:09/04/26 12:59 :SH901iC :FFIr2eIk
#83 [ゆーちん]
ふと目が覚めた時、オセロボードの上にメモが置いてある事に気付いた。
【起こしても起きないママきらい。息子は今から決勝戦です】
栄之助…ちゃっかり決勝まで進んだんだ。
つーか私そんなに爆睡してたのか。
:09/04/26 12:59 :SH901iC :FFIr2eIk
#84 [ゆーちん]
おかげで気持ち良かった〜。
学校で昼寝って何でかわかんないんだけど気持ちいいんだよね。
私は欠伸をしながら体育館に向かった。
…あれ?
ママ、ナイスタイミングかも?
:09/04/26 13:00 :SH901iC :FFIr2eIk
#85 [ゆーちん]
「栄之助!」
「あいよっ。」
高く上げられたトスを軽々しく、相手コートに打ち込む栄之助の姿。
自画自賛するはずだ。
カッコイイじゃん。
ガキのくせになかなかやるねぇ〜。
:09/04/26 13:01 :SH901iC :FFIr2eIk
#86 [ゆーちん]
と、相手チームを見ると…金髪頭発見。
チャラ男の栄之助よりも明るい髪ってどうなのよ、クラス委員長さん。
「仁士、打て!」
「ん。」
スポーツ万能の金髪王子はアタックを決め、チームメイトと笑顔のハイタッチ。
:09/04/26 13:01 :SH901iC :FFIr2eIk
#87 [ゆーちん]
こいつもなかなかカッコイイじゃん。
私、カッコイイガキんちょに目ぇ付けられちゃった感じ?
でも、だからって何かが変わる訳もなくこれからも退屈な毎日を過ごすんだろうなって、この頃は思ってた。
:09/04/26 13:02 :SH901iC :FFIr2eIk
#88 [ゆーちん]
「んあ〜。」
「ほら、栄之助。ダラダラしないで!」
「だってさ、まさか負けるなんて思わなかったんだもぉん。」
「てゆーか何で2C同士で争ってたの?」
「…ママ本当に教師?各クラス3チームほど作って、それで戦うの。だから同じクラスだろうが違うクラスだろうが、チームが違えば敵なわけ。わかった?」
:09/04/26 13:03 :SH901iC :FFIr2eIk
#89 [ゆーちん]
放課後、拍子ぬけしている栄之助は更衣室でダラダラと椅子にねっころがっていた。
「んー…わかるようで、わかんない。」
「はぁ〜。ショックぅ。」
「別に賞金や賞品が出る訳じゃないんだし、もういいじゃん。」
:09/04/26 13:05 :SH901iC :FFIr2eIk
#90 [ゆーちん]
「勝たなきゃ意味ないのぉ。」
「予行練習で優勝してたじゃん。」
「予行練習じゃ嫌!ママ〜、慰めてぇ。」
「無理。ママ眠いから早く帰りたい。だからさっさとこの部屋から出てって。」
:09/04/26 13:05 :SH901iC :FFIr2eIk
#91 [ゆーちん]
あれだけ爆睡してたじゃん、とブツブツ言う栄之助を外に追いやろうと背中を押した。
…ら、腕を引っ張られ抱きしめられていた。
「あー、もう、何?」
「甘えてんの。」
「痛いんだけど。」
:09/04/26 13:06 :SH901iC :FFIr2eIk
#92 [ゆーちん]
そう言うと、抱きしめる力が緩まり…唇を重ねてきた。
何でキスしてんの、こいつ。
「…っ、ちょっと。」
私が拒否しても、栄之助のキスは止まなかった。
何度も何度も唇を押し付けてくる。
:09/04/26 13:07 :SH901iC :FFIr2eIk
#93 [ゆーちん]
嬉しくもないし、嫌でもないキス。
どんどんどんどん、栄之助は加速して行った。
「…んっ、こら。」
「何?」
「親子のキスは、舌入れないよ。」
「…そっか。」
:09/04/26 13:08 :SH901iC :FFIr2eIk
#94 [ゆーちん]
キスが終わると、また抱きしめられた。
「慰めてよ、ママ。」
「やーだ。甘えるな。強い子になれ。」
「ヘヘッ。厳しいママだね。」
栄之助は笑顔を残し、そのまま更衣室から出て行った。
:09/04/26 13:08 :SH901iC :FFIr2eIk
#95 [ゆーちん]
―――
バレーボール大会の放課後のあの時から、栄之助はキスを求めてくるようになった。
軽いキスだけなら許してあげてた。
だけど舌はダメ。
入れて来たら殴ってやった。
:09/04/26 13:29 :SH901iC :FFIr2eIk
#96 [ゆーちん]
「いってぇ!」
「あんたがルール違反するから。」
「何でダメなのぉ?」
「だから言ってんじゃん。舌入れるなんて親子のキスじゃないもん。」
「ケチ!」
「ケチで結構、バカ猿。」
「もぉー!」
:09/04/26 13:29 :SH901iC :FFIr2eIk
#97 [ゆーちん]
叱られて怯んでも栄之助は懲りずに私にキスして来た。
何の感情もこもってないキスを更衣室でする。
それってどうなの、私。
「へぇ〜。そういう事。」
:09/04/26 13:30 :SH901iC :FFIr2eIk
#98 [ゆーちん]
あーあ、やっちゃった。
更衣室の鍵、閉めんの忘れた。
恐る恐る、扉の方を見ると…
「誰にも言わないで。」
「どうしよっかなぁ。クラス会議にでもかけようかな?」
「勘弁して下さい、委員長さん。」
瀬川仁士が立っていた。
:09/04/26 13:35 :SH901iC :FFIr2eIk
#99 [ゆーちん]
「イチャつくなら鍵ぐらい閉めろよな。」
そう言って瀬川仁士は扉を閉め、私に近付いた。
「…お願いだから内緒にしてね。それより何か用?」
「これ、助かった。ありがとね、センセ。」
:09/04/26 13:35 :SH901iC :FFIr2eIk
#100 [ゆーちん]
瀬川仁士は私に封筒を手渡した。
「何…これ。」
「1万円。」
「あぁ。」
「先生にお願いしてよかったよ。」
「…ってか、この1万あげるから栄之助との事内緒にしててくんない?」
:09/04/26 13:36 :SH901iC :FFIr2eIk
#101 [ゆーちん]
当の栄之助は他人事のように私と瀬川仁士の会話を眺めていた。
「付き合ってんの?先生と栄之助って。」
「ううん、付き合ってない。だから余計ヤバいでしょ?恋人でもないのにキスしてたなんて。」
:09/04/26 13:37 :SH901iC :FFIr2eIk
#102 [ゆーちん]
「そうだね。だから尚更おもしろくない?
栄之助とななみんがキスしてただなんて、最近退屈だったこの学校には刺激的な話題。」
「げーっ。お願いだからやめてぇ。面倒な事だけは嫌いだからぁ」
:09/04/26 13:37 :SH901iC :FFIr2eIk
#103 [ゆーちん]
もうゲッソリ。
つーかグッタリ。
私ばっかいじめるんだもん、瀬川仁士め。
栄之助はずーっと知らん顔してるし。
「せっかくこの学校にも慣れて来たのにねぇ。」
「そうなのよ。教師なんて面倒だけどもうフリーター戻りたくないしさ。」
:09/04/26 13:38 :SH901iC :FFIr2eIk
#104 [ゆーちん]
クラス委員にいじめられ、半ベソ状態の私。
「仁士、もうそれくらいにしてあげてよぉ。ママ半泣きだし。」
栄之助が、そう言うと瀬川仁士は笑った。
「ごめん、ごめん。だってこの人おもしろいから。」
:09/04/26 13:39 :SH901iC :FFIr2eIk
#105 [ゆーちん]
何、それ。
どういう事?
「ママごめんね。仁士、俺とママの関係知ってんだよ。なのにママの事からかっちゃって…ビックリした?」
「はぁ?」
「ごめんね、先生。」
:09/04/26 13:40 :SH901iC :FFIr2eIk
#106 [ゆーちん]
「ママって本当に教室内を観察してないんだね。」
「観察?」
「俺と栄之助、いつも一緒にいるんだけど…知らなかったの?」
…マブダチってやつですか?
そんなの知らないし!
:09/04/26 13:40 :SH901iC :FFIr2eIk
#107 [ゆーちん]
「邪魔して悪かったな。んじゃ栄之助、俺先に帰るわ。」
「あーい。また明日。」
そう言って瀬川仁士は更衣室から出て行った。
「栄之助、私なんかまだよくわかんない…」
「仁士って頭いいから、ああやって人をからかうのが好きなんだよ。」
:09/04/26 13:41 :SH901iC :FFIr2eIk
#108 [ゆーちん]
「からかうのが…好き。」
「そ。まぁ心配しなくてもいいよ。仁士は俺らの事、誰かにチクったりしないから。」
「…本当に?」
「ああ見えて、あいつも結構な悪だから。さっ、続きのチュー。」
:09/04/26 13:41 :SH901iC :FFIr2eIk
#109 [ゆーちん]
いつもは無心のキスも、この時のキスは瀬川仁士の事で頭いっぱい。
栄之助と仲良しだから、私と栄之助の関係を知ってて、わざとからかって…だから誰にもチクんないで内緒にしてくれる。
って事だよね?
:09/04/26 13:42 :SH901iC :FFIr2eIk
#110 [ゆーちん]
―――
夏が来た。
つまり生徒は夏休み!
はぁ〜、幸せ。
案外気疲れする職業だから週末以外の休息も必要なんだよね。
生徒は夏休みでも教師は仕事があるため、変わらず出勤しなきゃだけど気の持ち用が違うよ。
:09/04/26 15:48 :SH901iC :FFIr2eIk
#111 [ゆーちん]
お陰様で私の受け持つ子たち、誰も補習しなくて済むし。
ラッキーハッピーなサマーが始まる!
栄之助も仁士もおとなしく夏休みを過ごすみたいで、やっと羽根伸ばせるよ。
:09/04/26 15:48 :SH901iC :FFIr2eIk
#112 [ゆーちん]
「ななみん先生、たまには飲み行きませんか?」
やなこった。
「ほずみん先生、早く帰って奥さんとお子さんと一緒にご飯食べてあげないと。それじゃあ、お疲れ様でーす!」
:09/04/26 15:49 :SH901iC :FFIr2eIk
#113 [ゆーちん]
下心丸見えオヤジをおっぱらい私は家へと直行した。
「レオ〜、ただいま!今日も相変わらずほずみんウザキモだったの」
:09/04/26 15:50 :SH901iC :FFIr2eIk
#114 [ゆーちん]
レオとじゃれながら過ごす夏の夜。
代わり映えのない毎日だけど、お風呂上がりのビールが美味しいから、それでいい。
:09/04/26 15:51 :SH901iC :FFIr2eIk
#115 [ゆーちん]
たまに登校日だとか言って生徒をサマーパラダイスから現実に引き戻す学校。
んーなの無くていいじゃんね。
まあ当の私は登校日なんて、あった事すら知らずに過ごしてたタイプだけどね。
:09/04/26 15:51 :SH901iC :FFIr2eIk
#116 [ゆーちん]
「おはよ、センセ。」
「おはよ。あんた完全に朝晩逆転生活してるでしょ。」
大あくびをする仁士。
わかりやすい奴。
「夜間のバイトのが時給いいし。」
「ふーん。苦労人だね。」
「同情すんなら金を‥」
「やんないよ、バカ。」
:09/04/26 15:53 :SH901iC :FFIr2eIk
#117 [ゆーちん]
栄之助とのキスシーンを見られてから、なぜか瀬川仁士と仲良くなっちゃった。
クラス委員のくせに全然マジメじゃないとこが、これまた面白くて。
「仁士もう宿題全部やった?」
「やった。」
「うっそ。凄いね、あんた。」
:09/04/26 15:53 :SH901iC :FFIr2eIk
#118 [ゆーちん]
誰にも聞かれないよう教室の隅でこそこそと会話する私と仁士。
こいつと栄之助には素を見せられるっつーか。
唯一の息抜き所みたいなもの。
それ以上はない。
ただの生徒…っつーかガキんちょだよ。
:09/04/26 15:57 :SH901iC :FFIr2eIk
#119 [ゆーちん]
「栄之助はきっとまだ全然なんだろうなぁ。」
「だろうね。面倒見てあげないと、ママなんでしょ?」
「…世話のかかる子だよ、全く。」
なーんて笑ってると、噂のバカ猿登場。
:09/04/26 15:57 :SH901iC :FFIr2eIk
#120 [ゆーちん]
「おはよ!久しぶり〜」
「なーんだ。来ないと思った。」
「ママに会いたかったんだもーん。あ、仁士おはよ。」
「おはよ。昨日はサンキュな。」
「どいたま〜。」
:09/04/26 15:58 :SH901iC :FFIr2eIk
#121 [ゆーちん]
二人が仲良しなのは、どうやら有名らしい。
全然知らなかった。
興味がなかったもんだから、ね。
「ママ、放課後更衣室行っていい?」
「ダメ。」
「何で?久しぶりに会ったのに甘えさせてよ!」
:09/04/26 15:59 :SH901iC :FFIr2eIk
#122 [ゆーちん]
「恋人じゃあるまいし、そんな密会まがいな事は嫌。そんなに私に会いたいならウチ来れば?」
「…え?」
栄之助のこの嬉しそうな顔。
バカ猿丸だしだぞー。
「嘘だよ、バカ。」
:09/04/26 15:59 :SH901iC :FFIr2eIk
#123 [ゆーちん]
「何それ、ケチー!」
「はいはい、うるさい。そんじゃ仁士、放送入ったら体育館移動して整列させておいてね。」
「あいよ。」
「ママは?」
「私は今から職員室戻んなきゃだから。じゃあね。」
:09/04/26 16:00 :SH901iC :FFIr2eIk
#124 [ゆーちん]
と、いうわけで教室から職員室に移動。
何やら会議とか題して、体育館で集会してこういう話をしますっていう連絡だけ。
かったるいっつーの。
体育館に移動して、生徒集合して、集合して、校長からの話聞いて、解散して、さようなら。
:09/04/26 16:00 :SH901iC :FFIr2eIk
#125 [ゆーちん]
放課後、更衣室には行かない。
だってさっき栄之助が帰る姿が窓から見えたもん。
あー、帰っちゃうんだとか可愛い感情なんかはなく、甘えんぼの猿が帰ってセーセーするっていう感じ。
:09/04/26 16:02 :SH901iC :FFIr2eIk
#126 [ゆーちん]
残った仕事をして、レオのために早く帰らなきゃ。
くたくたの足取りで玄関前に到着した…けど、逃げ出そうかなって思った。
だって、猿がいるんだもん。
玄関前に座り込んでる、栄之助が!
:09/04/26 16:02 :SH901iC :FFIr2eIk
#127 [ゆーちん]
ウチに来いっつったの真に受けたの?
うっざー。
これだからガキは…
「栄之助」
「あっ、ママおかえり〜。早かったね」
「何してんの」
「何ってママに会いに来た」
:09/04/26 16:03 :SH901iC :FFIr2eIk
#128 [ゆーちん]
「何で私んち知ってんのよ。」
「ママの子だから。」
「ふざけないで。何の用。」
「だから、ママに会いたいから来たんだよ。」
「迷惑なんだけど。」
「親に迷惑かけない子なんていないよ。」
:09/04/26 16:04 :SH901iC :FFIr2eIk
#129 [ゆーちん]
調子狂うな、こいつといると。
とりあえず家に上げた。
「うわーっ!ワンコ〜。」
本当に子供みたいにはしゃぐ栄之助を見て、代わり映えのあった今日を新鮮に思う。
:09/04/26 16:04 :SH901iC :FFIr2eIk
#130 [ゆーちん]
「名前は?」
「レオ。」
「レオたんかぁ。俺エイたん。よろしくね〜。」
犬猿の仲ってよく言うけど、この2匹は例外ね。
めちゃくちゃ仲良しじゃん。
レオったら栄之助にそんな懐かなくても…ちょっと寂しいぞ、私。
:09/04/26 16:05 :SH901iC :FFIr2eIk
#131 [ゆーちん]
「で?宿題手伝ってもらおうとでも?」
「まさか。俺宿題書かれたプリンとは学校に置きっぱなしだから、何が宿題かわかんないぐらいだもん。」
「アハハッ。私も高校生の時そんなだった。」
:09/04/26 16:06 :SH901iC :FFIr2eIk
#132 [ゆーちん]
私みたいなバカでも教師になれるんだから今の世の中何が起きてもおかしくないんだよねー。
「で、本当は何しに来たの?」
「だからママに会いたかったの。夏休み入ってから甘え所がなくて寂しくて。」
:09/04/26 16:07 :SH901iC :FFIr2eIk
#133 [ゆーちん]
家に上げるつもりなんかなかった。
キスをさせてあげるつもりなんかもなかった。
だからベットに押し倒されて、胸を揉まれるつもりなんか全然なかった。
「何、この手。」
:09/04/26 16:07 :SH901iC :FFIr2eIk
#134 [ゆーちん]
「いいじゃん胸くらい。減るもんじゃないんだし」
悪びれもない栄之助。
「キスならまだしも胸は関係ない」
「関係大ありだよ。子供はママのおっぱいで育つんだよー。」
:09/04/26 16:08 :SH901iC :FFIr2eIk
#135 [ゆーちん]
あ、そうか。
こいつなかなか頭いいな。
「スキンシップじゃん。」
そう言って、またキスしながら胸を触って来た。
スキンシップ…なのか?
:09/04/26 16:09 :SH901iC :FFIr2eIk
#136 [ゆーちん]
いや、これ完全に違うっしょ。
いつの間にかブラジャー外されて、舐めたり噛まれたりされてんだけど…明らかに下心ある舌使いじゃん!
認めたくないけど何気に気持ち良いかもー…。
:09/04/26 16:10 :SH901iC :FFIr2eIk
#137 [ゆーちん]
「…んんっ。」
「感じてんの?」
「そうみたい。最近全くヤッてなかったからなぁ。」
「ふーん」
「つーか、もうダメ。限度すぎてるよ。はい、おしまい!」
:09/04/26 16:10 :SH901iC :FFIr2eIk
#138 [ゆーちん]
栄之助をどかせ、下着をつけなおし、服もまとい直した。
「ねぇ、まさか本当にこんな事したいがために私んちまで来たの?」
「そうだよ。ママに会いたかったから来た。」
:09/04/26 16:11 :SH901iC :FFIr2eIk
#139 [ゆーちん]
っとにもう…どこまでバカ猿なんだか。
「また遊びに来てもいい?」
「ダメ。」
「どして?恋人がいるわけでもないのに。」
「恋人ならいるもん、ねぇ〜レオたん。」
:09/04/26 16:12 :SH901iC :FFIr2eIk
#140 [ゆーちん]
「恋人ってレオ?」
「イケメンでしょ?栄之助よりカッコイイね、レオ!」
レオとじゃれあってると、やきもちを妬いたらしく無理矢理キスしてきた栄之助。
ぶっ、可愛い奴。
本当の子供みたい。
:09/04/26 16:12 :SH901iC :FFIr2eIk
#141 [ゆーちん]
でもそれ以上はない。
本当に親と子みたいな感じだ。
「また来るからね!」
「だからダメだってば。」
「絶対来るもん!」
:09/04/26 16:13 :SH901iC :FFIr2eIk
#142 [ゆーちん]
そう言って帰ってった栄之助。
あいつは小学生か?
バカでエッチでガキだけど、あいつの笑顔で調子が狂うなって感付き始めた夏真っ盛り。
3日後、まーた私の調子を狂わす奴が現れるんだ。
:09/04/26 16:14 :SH901iC :FFIr2eIk
#143 [ゆーちん]
―――
登校日の次の日、やっぱり校内はシンとしていて心が安らいだ。
翌日も、その翌日も。
補習している教室からはギャーギャーと騒ぐ声が聞こえた。
その騒がしさが、なぜか夏らしい雰囲気にさせてくれた。
:09/04/26 16:16 :SH901iC :FFIr2eIk
#144 [ゆーちん]
今日も、普通に仕事して家に帰ってレオとラブラブ。
ずーっと夏休みのままでいればいいのに。
授業ないし生徒に気を使わなくていいから超ラク。
「レオ〜、毎日毎日暑いけどあんたとのハグは辞めらんなーい。」
:09/04/26 16:16 :SH901iC :FFIr2eIk
#145 [ゆーちん]
レオったら照れちゃって、すっげぇ嫌がんの。
んもー、可愛いんだから!
ピーンポーン…
はぁ?
レオとのラブラブタイムに誰よ。
居留守使っちゃお〜っと。
:09/04/26 16:17 :SH901iC :FFIr2eIk
#146 [ゆーちん]
ドンドンドン…
おいおい。
ドア叩くなよ、怖いし。
「七海!おーい、七海!」
えぇ?
マジで誰?
私の名前必死に呼んでるよ!
真面目に怖いから。
:09/04/26 16:18 :SH901iC :FFIr2eIk
#147 [ゆーちん]
レオを抱きしめ、覗き穴から片目つぶって見てみた。
…ら!
ガチャッ…
「いるなら返事しろよ!」
「仁士?」
委員長でした。
「居留守使ってただろ?」
「一体何事?」
:09/04/26 16:18 :SH901iC :FFIr2eIk
#148 [ゆーちん]
汗だくの仁士はいつもと血相違ってて、何か…怖い。
てゆーか…あれ?
私はレオを抱っこしてるでしょ?
で、仁士はなぜか子供を抱っこしてんの。
なぜ?
:09/04/26 16:20 :SH901iC :FFIr2eIk
#149 [ゆーちん]
「…誰?」
ぐったりと眠る子供は、仁士そっくりで…仁士の子供なのかと思った。
「弟。てゆーか上げて」
いいとも言ってないのに、仁士は自分の弟を抱きながら部屋に入って来た。
「どうしたの?」
「こいつ熱出しちゃって。もう病院開いてないし、家で看病してやろうと思ったけど俺、今からバイトでさ。悪いんだけど俺がバイト終わるまで診ててくんね?」
:09/04/26 16:20 :SH901iC :FFIr2eIk
#150 [ゆーちん]
「いやいやいやいや、ちょっと整理しよう。その子は仁士の弟で熱を出している。うん、そこまではわかるよ。」
「他に何がわかんねぇの?」
「あんたがバイトだろうが、親がいんでしょ?」
:09/04/26 16:21 :SH901iC :FFIr2eIk
#151 [ゆーちん]
「…先生、ちゃんと資料読んだ?前にも言ったよね、俺ら親いないんだよ。」
あ、そうだった。
やっばー。
変な事言っちゃった。
「…ごめんなさい。」
「とにかくバイト遅れそうだから、終わるまで頼むよ!」
:09/04/26 16:21 :SH901iC :FFIr2eIk
#152 [ゆーちん]
そう言って仁士は慌てて部屋を飛び出して行く。
「あー!ちょっ、仁士待って!」
「何っ?」
「弟、名前は?名前聞いてない!」
「蕾夢(ライム)!かっこいい名前だろ?」
「早く戻ってきてよね?」
:09/04/26 16:22 :SH901iC :FFIr2eIk
#153 [ゆーちん]
仁士はそのまま猛ダッシュで家を飛び出して行った。
さて、どうしますか。
私のベットで、おでこに冷えピタ貼ってヒーヒー苦しそうに眠っている、この子供を。
蕾夢くんなんて今時の名前だね〜。
:09/04/26 16:23 :SH901iC :FFIr2eIk
#154 [ゆーちん]
まつげ長ーい、いいなぁ。
んー、何才ぐらいだろ?
見れば見るほど仁士そっくり。
弟っつっても歳離れ過ぎだろ。
入り組んだ家庭環境なんだな、きっと。
再婚相手の子供で、腹違いか種違いの弟って感じ?
:09/04/26 16:24 :SH901iC :FFIr2eIk
#155 [ゆーちん]
「んんー、にいに…」
うぉ!
見取れてる場合じゃないんだ。
こいつ、蕾夢は熱出してんだっけ?
診ててって頼まれても、私子供いないからわかんないし。
いとこに小さい子がいたけど、熱が出た時の看病なんかした事あるわけないし。
:09/04/26 16:24 :SH901iC :FFIr2eIk
#156 [ゆーちん]
「にいに…どこぉ…」
ぐずりだしたよ、おい。
泣くな、泣くなよ?
私、泣きやます方法とか知んないし。
とりあえず…手を握ってみた。
ちっちゃい手。
蕾夢はすぐに握り返して来た。
:09/04/26 16:25 :SH901iC :FFIr2eIk
#157 [ゆーちん]
やだ、どうしよう…可愛い!
なんてゆーのかな。
栄之助に似てるって感じ?
蕾夢は私の手を握りながら、また眠った。
よかった、セーフ。
でもこれからどうしよう。
てゆーか仁士はいつ帰って来んだろ。
:09/04/26 16:26 :SH901iC :FFIr2eIk
#158 [ゆーちん]
仁士みたく汗だくな蕾夢は私の枕をびしょ濡れにしてくれた。
こんにゃろう…枕カバー取り替えたとこだっつうの。
「ままぁ…」
…まぁいっか。
こいつ可愛いし。
何か大変そうだし、瀬川兄弟。
:09/04/26 16:27 :SH901iC :FFIr2eIk
#159 [ゆーちん]
ママじゃないけど返事しておいてあげた。
「ママいるよ。蕾夢いい子だね、たくさん寝んねしようね。」
お腹をトントンってして、蕾夢を安心させてあげんの。
子供の看病はできないけど寝かす事ならできるよ。
:09/04/26 16:27 :SH901iC :FFIr2eIk
#160 [ゆーちん]
滅多に会えないいとこの昼寝に付き合った事あるからね。
蕾夢の寝顔を見て、色々考えてみた。
金なくって仁士はバイトしてるって事は、やっぱ裕福ではないわけじゃん。
でもウチの高校は私立だし、金かかるよね。
:09/04/26 16:28 :SH901iC :FFIr2eIk
#161 [ゆーちん]
あいつ頭いいから県立の高校でも充分大丈夫なはずなのに。
教師しといて、こんな言い方悪いけど、わざわざ頭のよくない高校で高い金払わなくても、安いとこ他にあるのに…。
:09/04/26 16:29 :SH901iC :FFIr2eIk
#162 [ゆーちん]
疑問だらけだね。
こりゃ生徒資料見るしかないか…。
「だれ?」
…へ?
嘘、やだ。
考え事してたら、蕾夢が起きた事全然気付かなかったし!
:09/04/26 16:29 :SH901iC :FFIr2eIk
#163 [ゆーちん]
「起きたの、蕾夢。調子はいかが?」
テンパりすぎでしょ、私。
「おばちゃん、だれ?」
はぁ?
誰がおばちゃんだって?
:09/04/26 16:30 :SH901iC :FFIr2eIk
#164 [ゆーちん]
「にいにの学校の先生だよ。」
「にいには?」
「アルバイトに行った。蕾夢がお利口に寝んねしてたら迎え来るから、お姉ちゃんと一緒に待とうね。」
:09/04/26 16:31 :SH901iC :FFIr2eIk
#165 [ゆーちん]
「ここどこ?」
「お姉ちゃんのおうち。」
「わんちゃん。」
子供の感性ってのがよくわかんないと痛感した瞬間でした。
ここどこ?って疑問に思ってたのに、次はレオに興味がいっちゃいますか。
:09/04/26 16:31 :SH901iC :FFIr2eIk
#166 [ゆーちん]
「わんちゃんだね。はい、寝んね。」
「おばちゃん、らいむ、おちっこ。」
おちっこ?
あぁ、おしっこか。
…って!
おしっこしたいんだったら、わんちゃんどうこう吐かす前にさっさと言えよガキ!
:09/04/26 16:32 :SH901iC :FFIr2eIk
#167 [ゆーちん]
トイレに連れてって、ヤバイって思った。
子供っておしっこどうやんの?
立ちションできんの?
「蕾夢、いつもおしっこ一人でするの?」
「うん。」
:09/04/26 16:33 :SH901iC :FFIr2eIk
#168 [ゆーちん]
っしゃ!
ラッキー。
できないとか言われたらどうしようかと思った。
「お姉ちゃん、ここで見ててあげるから早くおしっこしてきな?」
「ん。」
:09/04/26 16:33 :SH901iC :FFIr2eIk
#169 [ゆーちん]
そう言って蕾夢はズボンとパンツを脱いだ。
「グフッ!」
「なに?」
「ううん、何でもないよ。」
ごめんね、蕾夢。
あんたの下半身があまりにも可愛くて、お姉ちゃん吹き出しちゃいました。
:09/04/26 16:34 :SH901iC :FFIr2eIk
#170 [ゆーちん]
立ちションするのかと思ったら、座っておしっこしてた。
ふーん、って感心した。
「すごぉい。蕾夢えらいね。」
「ん。」
蕾夢は得意気に笑った。
その顔が無茶苦茶、仁士に似ていた。
:09/04/26 16:35 :SH901iC :FFIr2eIk
#171 [ゆーちん]
パンツとズボンはいて、手を洗ってた。
完璧だな、って思いながら洗浄ボタンをこっそり押しておいた。
誰にでも忘れる事はあるよね。
こいつまだちっちゃいし、尚更だ。
:09/04/26 16:44 :SH901iC :FFIr2eIk
#172 [ゆーちん]
「おばちゃん、らいむ、おなかちゅいた。」
ちゅいた!
空いたが言えないの?
かーわーいーいー!
「おばちゃんじゃなくてお姉ちゃんって呼んでよぉ。」
:09/04/26 16:45 :SH901iC :FFIr2eIk
#173 [ゆーちん]
「おばちゃん、なまえは?」
「ん?七海だよ。」
「らいむね、らいむだよ。ななみちゃん、にいにとおともだち?」
あんたの自己紹介可愛すぎないかい?
反則だろ〜。
:09/04/26 16:46 :SH901iC :FFIr2eIk
#174 [ゆーちん]
それに、ななみちゃんだって。
おばちゃんよか全然嬉しい。
で、人の話し聞いてなさすぎ。
先生だってさっき話しただろ可愛いガキんちょめ。
:09/04/26 16:46 :SH901iC :FFIr2eIk
#175 [ゆーちん]
「七海ちゃんは、にいにの先生。」
「ちぇんちぇってなに?」
あー、まだわかんないのか。
じゃあ説明すんの面倒だわ。
「お友達ってこと。」
「にいにとおともだち。ふーん。おなかちゅいた。」
:09/04/26 16:48 :SH901iC :FFIr2eIk
#176 [ゆーちん]
わがまま〜。
栄之助、助けて〜。
「お粥でいい?」
「おなかちゅいたぁ!」
「あぁ、はいはい。ちょっと待っててね。」
:09/04/26 16:48 :SH901iC :FFIr2eIk
#177 [ゆーちん]
振り回されるね、子供に。
お粥作ってるあいだも、じっとしてくんないし。
レオの顔引っ張りまくるし。
こいつ本当に熱あんのか?
「蕾夢、ちょっと来て。」
「ん?」
:09/04/26 16:48 :SH901iC :FFIr2eIk
#178 [ゆーちん]
おぼつかない足取りで私のところまで歩いてくる姿がたまんねぇ!
おでこに手を当ててみた。
んー、ちょっと熱いな。
つうことは熱あるのか。
じゃあ何でこんな元気なわけ?
:09/04/26 16:49 :SH901iC :FFIr2eIk
#179 [ゆーちん]
熱のせいで逆にテンション上がったとか?
「きゃははは!わんちゃーん!」
あーあ。
レオ、すまない。
しっぽ痛いでしょ。
蕾夢引っ張りすぎだよぉ。
:09/04/26 16:50 :SH901iC :FFIr2eIk
#180 [ゆーちん]
「蕾夢、できたよ。」
お粥に飛び付いてくるとこが、また可愛いんだな。
食べさせてあげると、こりゃまた美味しそうに食べてくれんの。
「夏風邪は長引くって言うから、ご飯食べたらすぐに寝ようね。」
「ななみちゃんも?」
:09/04/26 16:51 :SH901iC :FFIr2eIk
#181 [ゆーちん]
「うん、一緒に寝ようね。」
「あーい。」
仁士に似てて、何かちょっと笑けてくるんだけど…蕾夢は蕾夢だしね。
可愛がってあげないと、面倒だけど。
:09/04/26 16:51 :SH901iC :FFIr2eIk
#182 [ゆーちん]
ごちそうさまして、約束通り一緒に眠った。
あれだけいじめられていたのに、レオも蕾夢になついたみたいで、一緒に眠ってくれた。
大人、子供、犬。
爆睡しました。
だから、仁士が帰って来たインターホンにもなかなか気付かなかった。
慌ててベッドから飛び起きて、ドアを開けると、泥だらけの仁士がいた。
:09/04/26 16:53 :SH901iC :FFIr2eIk
#183 [ゆーちん]
「また居留守?」
「ごめん。寝てた。」
ずかずかと部屋に上がる仁士は蕾夢を見て、ちょっと笑ってた。
「一緒に寝てくれたの」
「うん。」
:09/04/26 16:53 :SH901iC :FFIr2eIk
#184 [ゆーちん]
「本当ありがとう。七海ぐらいしか頼める人いなくて。」
「おしっこ自分でできんだね。えらいよ、蕾夢。」
「俺に似て賢いんです。」
「あっそ。お茶でも飲む?」
「もう帰るんで。本当ありがとうね先生。」
「蕾夢も寝てんだし、まだいいじゃん。寝かせてあげなよ。」
:09/04/26 16:54 :SH901iC :FFIr2eIk
#185 [ゆーちん]
あれ、蕾夢また熱上がって来たのかな。
ちょっと苦しそう。
「じゃあちょっとだけ。」
「ねぇ、蕾夢って何才?」
「2才。」
「へぇー。風邪薬とか飲ませた?」
:09/04/26 16:55 :SH901iC :FFIr2eIk
#186 [ゆーちん]
「うん、一応。」
「また熱上がって来たのかも。さっきまで元気にレオと遊んでたんだよ。お粥も完食したし。」
「お粥作ってくれたんですか?さすが先生。ありがとうございます。」
「それよりあんたさ、キャラを一つに統一しなよ。敬語だったりタメ口だったり七海って呼んだり先生って呼んだり。」
:09/04/26 16:56 :SH901iC :FFIr2eIk
#187 [ゆーちん]
「どのキャラがいい?」
「どれも興味ねぇよ。はいよ。」
お茶を出してあげると、仁士は一気に飲み干した。
:09/04/26 16:56 :SH901iC :FFIr2eIk
#188 [ゆーちん]
「学校では真面目なキャラ。バイト先では元気なキャラ。蕾夢の前では強く逞しいキャラ。色々化けすぎてどれが本当の自分かわかんないんだ。なんか先生の前だと気ぃ緩んじゃって…キャラ混ざる。」
そう言って笑った仁士は、さっきおしっこ褒めた時の蕾夢そっくりだった。
:09/04/26 16:57 :SH901iC :FFIr2eIk
#189 [ゆーちん]
「私も大変だよ。生徒の前では出しゃばりすぎず控えすぎずの良い先生演じなきゃだもん。でも実際は学校なんか大嫌い。毎日が夏休みで授業なんかなきゃいいのにって感じ。」
「俺ら似た者同士?」
「えー、やだよ。同士にしないで、そんな泥だらけのガキんちょと。」
:09/04/26 16:57 :SH901iC :FFIr2eIk
#190 [ゆーちん]
学校では見た事のない笑顔だった。
だから私も学校じゃ見せない笑顔を浮かべた。
「ごめんね、仁士のこと何も知らないで。生徒資料ちゃんと読むから。」
:09/04/26 16:59 :SH901iC :FFIr2eIk
#191 [ゆーちん]
「そ。」
「ねぇ、何のバイトしてんの?」
「夜間工事。だから泥だらけ。」
「へぇー。肉体労働だね。若いのにあんたえらい。」
:09/04/26 16:59 :SH901iC :FFIr2eIk
#192 [ゆーちん]
「そんなことないもーん。」
そう言ってクラス委員はポケットから煙草を取り出した。
人は見掛けに…よるね。
いかにも吸ってそうな顔だもん。
クラス委員やってるほうが不思議。
:09/04/26 16:59 :SH901iC :FFIr2eIk
#193 [ゆーちん]
「禁煙だからね、この部屋。」
「先生吸わないんすか?」
「辞めたの。でもメンタルやられた時にちょっと手が伸びるって感じかな。完全に辞めなきゃって思うんだけど。」
:09/04/26 17:00 :SH901iC :FFIr2eIk
#194 [ゆーちん]
「ふーん。」
「一緒に禁煙しない?」
「やなこった。栄之助に付き合ってもらえば?」
「え、あいつやっぱ吸ってんの?でもキスは全然味しないよ。」
:09/04/26 17:01 :SH901iC :FFIr2eIk
#195 [ゆーちん]
「あいつも今、禁煙中だから。一緒にやろって言ったげると喜ぶんじゃん?」
「あんなバカ猿、わざわざ喜ばせたくないよ。」
「アハッ、確かに猿だ。」
:09/04/26 17:01 :SH901iC :FFIr2eIk
#196 [ゆーちん]
そんな風に話してると蕾夢が起きたので、瀬川兄弟は帰ってった。
またな、って仁士が言ってた。
また来る気?
いい迷惑だ。
それより、何で栄之助も仁士も私の家知ってたんだろ。
不思議。
:09/04/26 17:02 :SH901iC :FFIr2eIk
#197 [もも]
めちゃおもしろいです
頑張ってください(´ω`)
:09/04/27 01:01 :W62SA :M5Gbma2Q
#198 [我輩は匿名である]
あげる
:09/04/29 22:17 :N903i :bRfzZVNM
#199 [ゆーちん]
>>197ももさん
ありがとうございます
もう少ししたら更新します
:09/04/30 13:40 :SH901iC :Tn1TeGpw
#200 [ゆーちん]
:09/04/30 13:41 :SH901iC :Tn1TeGpw
#201 [ゆーちん]
―――
蕾夢の体調よくなったよと仁士に教えてもらったのは、あの日から5日経った時だった。
なかなか長引いたみたいだから、にいににお疲れ様と言ってあげた。
:09/04/30 13:47 :SH901iC :Tn1TeGpw
#202 [ゆーちん]
今日は登校日ってわけじゃないんだけど、なぜか仁士は学校に来ていた。
理由は詳しくわかんないけど、何せ登校していた。
:09/04/30 13:48 :SH901iC :Tn1TeGpw
#203 [ゆーちん]
「生徒資料見たよ」
「…感想は?」
「人生山あり谷ありだな」
「山ばっかですよ。登っても登ってもたどり着かない山」
「そんな顔するな。あんたが蕾夢を守ってやんなきゃ。ね?」
「にいにだもん。頑張りますよー?」
:09/04/30 13:48 :SH901iC :Tn1TeGpw
#204 [ゆーちん]
私の睨んだ通り、やっぱり仁士と蕾夢は種違いの兄弟だった。
離婚とか再婚の理由まではさすがに載ってないからわかんないけど、今の仁士の父親はやけに若い。
母親は水商売をしているらしく、仁士が看病してる理由がわかった。
:09/04/30 13:49 :SH901iC :Tn1TeGpw
#205 [ゆーちん]
「親がいないって言ったけど、ちゃんといるじゃない。」
「あんなの親じゃないよ」
「深入りするつもりはないんだけど、これだけ教えて。親と住所が違うのは、やっぱあんた一人暮らしとかしてんの?」
:09/04/30 13:50 :SH901iC :Tn1TeGpw
#206 [ゆーちん]
コクッと頷いた仁士は、深入りしないはずだった私に色々と教えてくれた。
「今の父親、俺の事嫌いなんだって。だから一人暮らししてんだけど…蕾夢がさ。」
「蕾夢が何?」
:09/04/30 13:50 :SH901iC :Tn1TeGpw
#207 [ゆーちん]
「蕾夢は二人の子供なのに邪険にするって言うか。あの二人、蕾夢の面倒見ないで仕事したり遊び行ったりするから俺が面倒見なきゃなんだ。」
「…悪い親だね。蕾夢、寝言でママって呼んでたよ。」
「うん、いつも。バイトない時、蕾夢うちに泊まんに来るんだけどママばっか呼んでる。」
:09/04/30 13:51 :SH901iC :Tn1TeGpw
#208 [ゆーちん]
「仁士がバイトある時はどうしてんの?」
「あら。深入りしないんじゃなかったんですか?」
「…記憶力のいい奴。」
「頭いいんで僕。」
:09/04/30 13:52 :SH901iC :Tn1TeGpw
#209 [ゆーちん]
「はいはい、で?」
「託児所だよ。でも毎日託児所なんかでいてもつまんないだろうから、できるだけ一緒にいてあげないと。」
「そ。」
:09/04/30 13:52 :SH901iC :Tn1TeGpw
#210 [ゆーちん]
「蕾夢さ、親に一緒に寝てもらった事もないし、おしっこ褒めてもらった事もない。もちろんお粥食べさせてもらった事もないんだ。だから喜んでたよ、おばちゃん優しかったって。」
「あぁそう、それはよかった…って、またおばちゃんって呼んでたの?帰り際までななみちゃんって呼んでたのにぃ!」
:09/04/30 13:53 :SH901iC :Tn1TeGpw
#211 [ゆーちん]
あ、笑った。
蕾夢そっくり。
「それより、なんで私んち知ってたの?」
「ん?栄之助に聞いた。」
「栄之助?」
あいつマジ何者?
:09/04/30 13:53 :SH901iC :Tn1TeGpw
#212 [ゆーちん]
私の住所どこで手に入れたんた!
「ねぇ先生。」
「なんだね瀬川くん。」
「番号教えてよ?」
番号ですか?
:09/04/30 13:54 :SH901iC :Tn1TeGpw
#213 [ゆーちん]
「携帯の?」
「そ。また駆け込む時、居留守使われると面倒だから。」
「また駆け込むって、また来る気?やめてよー!」
「七海と俺の仲じゃん。はい、赤外線準備。」
「えー!やだやだやだ。」
:09/04/30 13:54 :SH901iC :Tn1TeGpw
#214 [ゆーちん]
やだとか言って、ちゃっかり連絡先教えてあげたのは同情心からだった。
また蕾夢に何かあったら頼っていいよ、って思いながら教えてあげた。
別に仁士に気があるわけじゃないよ。
:09/04/30 13:56 :SH901iC :Tn1TeGpw
#215 [ゆーちん]
―――
《ママ〜今日遊び行っていい?》
夏休みがもうすぐ終わるって時に知らないアドレスからメールが来た。
すぐにピンと来たけどね。
栄之助、仁士に私の連絡先聞いたんだな。
:09/04/30 13:56 :SH901iC :Tn1TeGpw
#216 [ゆーちん]
勝手に教えてんじゃねぇよ、クラス委員め。
《ダメ》
《ダメって言われても、もう家に着く〜》
「レオさん、居留守を使おうか。」
ピーンポーン…
:09/04/30 13:57 :SH901iC :Tn1TeGpw
#217 [ゆーちん]
「ママ〜。」
叫ぶな!
近所迷惑だろ!
居留守作戦失敗。
慌ててドアを開けた。
「ちょっと、やめてよ!近所の人に誤解される。」
:09/04/30 14:01 :SH901iC :Tn1TeGpw
#218 [ゆーちん]
叱ったつもりなのにニコニコしちゃってさぁ。
「ママ久しぶり。」
「もぅ…入って。」
「わーい、あっレオたぁん。」
:09/04/30 14:02 :SH901iC :Tn1TeGpw
#219 [ゆーちん]
さっそくレオとじゃれている栄之助。
なんか、蕾夢みたい。
「仁士に聞いたの?連絡先」
「うん」
「ねぇ、私の住所どこで知ったのか教えてよ」
「ん?教えて欲しい?」
「うん!」
:09/04/30 14:02 :SH901iC :Tn1TeGpw
#220 [ゆーちん]
「じゃあキスミープリーズ!」
「はぁ?」
「ママと会いたくて、チューしたくて、頑張って住所ゲットしたんだから。」
「どういう事?」
「だから!キスミープリーズ。」
:09/04/30 14:03 :SH901iC :Tn1TeGpw
#221 [ゆーちん]
いちいちからかって来るガキだな。
「自分からするタイプじゃないの、私。」
「じゃあ奪っちゃお。」
夏だってのに栄之助の手は冷たくて、そのひんやりとした手が頬に触れると心地よく思えた。
:09/04/30 14:04 :SH901iC :Tn1TeGpw
#222 [ゆーちん]
だけどキスは熱かった。
変なの。
舌は入れてないけど、もうね、このキスったら親子の域越えてるっしょってやつなの。
映画なんかで見る外人のキスかっつーの。
:09/04/30 14:04 :SH901iC :Tn1TeGpw
#223 [ゆーちん]
だからさ、その時だけは栄之助が大人っぽく見えんだよね。
「ママ、会いたかったよー。」
その時だけだよ、だけ。
「夏だってのに、抱き着いて暑苦しくない?」
「全然。ママとだったら一生こうしてたい。」
:09/04/30 14:05 :SH901iC :Tn1TeGpw
#224 [ゆーちん]
キスしたから、教えてもらった。
私の住所を知ってる訳を。
「夏休み前にほずみんが教えてくれたよ。ななみんに借りっ放しの本があるから返したいって嘘言ったら、簡単に。」
「保泉?何で保泉が私の住所知ってんの!」
:09/04/30 14:06 :SH901iC :Tn1TeGpw
#225 [ゆーちん]
「そりゃ教師だからでしょ。そうゆう教師だけの連絡網的なのにママの住所も載ってたんじゃん?」
「個人情報うんぬんうるさい時代に、保泉の奴…」
うっぜー。
勝手に人の住所、流出してんじゃねぇぞ。
:09/04/30 14:07 :SH901iC :Tn1TeGpw
#226 [ゆーちん]
「ほずみんって絶対ママに気があるよね。住所バレてんだからストーカーとかされたりして?」
「妻子持ちには興味ないし。ストーカーされたら栄之助が守ってよ?」
「任せて〜!」
「頼りなさそーう。」
:09/04/30 14:08 :SH901iC :Tn1TeGpw
#227 [ゆーちん]
冗談言って笑い合って、たまにキスして、オセロして。
栄之助は何しに来たんだ?って感じ。
でも別に嫌じゃないし、勝手にどうぞ的な。
まあ良くもないんだけどね。
:09/04/30 14:09 :SH901iC :Tn1TeGpw
#228 [ゆーちん]
「仁士に弟いるの知ってた〜?」
「蕾夢だろ?あいつ食っちゃいたいくらい可愛いよな。」
「あ、そりゃ知ってるか。あんたら小学校から一緒だもんね。」
「何、やけに詳しいね。」
「あー、うん。生徒資料読んだから。」
:09/04/30 14:10 :SH901iC :Tn1TeGpw
#229 [ゆーちん]
栄之助は『ご苦労』と笑ってたけど、ちょっとせつなげな顔をした。
私に家庭事情を知られたから?
それとも家庭事情を思い出したから?
どっちにしろ、あんまり知られたくないし思い出したくない家庭環境なんだ。
:09/04/30 14:12 :SH901iC :Tn1TeGpw
#230 [ゆーちん]
母親は私と同じ名前でナナミさんと言って、栄之助を生んですぐに亡くなったらしい。
だから母親欄には死去みたいな事書いてあった。
本当なんだ、って思った。
:09/04/30 14:14 :SH901iC :Tn1TeGpw
#231 [ゆーちん]
父親はちゃんと働いてて、一緒に暮らしてるけど小さい時からあんまり構ってもらってないっぽい。
蕾夢みたいな。
父親の職業欄には会社経営と書かれていた。
社長とか、そうゆうのだろう。
:09/04/30 14:15 :SH901iC :Tn1TeGpw
#232 [ゆーちん]
なら話は大体わかる。
金はあるけど愛情はない家庭で育ったんだ。
ママ、ママと執着すんのも母親の愛情を知らないから。
ずっと我慢してたのかな。
母親がいなかった寂しさ、父親に構ってもらえない苦しさ。
:09/04/30 14:16 :SH901iC :Tn1TeGpw
#233 [ゆーちん]
そんな事考えてると、やっぱり仁士の時みたく同情心が沸いて来た。
最近、流されてないか私。
「仁士も大変だよな。遊びたい盛りなのに弟の面倒見なきゃなんて。」
「栄之助は、彼女いるの?」
:09/04/30 14:17 :SH901iC :Tn1TeGpw
#234 [ゆーちん]
「うん」
「いるのに、こんな事してていいの?」
こんな事とは…おっぱい触る事。
許す私もどうなのって感じ。
「ママはママだから。」
「キスや胸なんて彼女いるんだったら私必要ないじゃん。ただ名前が一緒なだけで、私じゃなくても別に…んっ。」
:09/04/30 14:17 :SH901iC :Tn1TeGpw
#235 [ゆーちん]
舐めんのは反則っしょ、栄之助さん。
「彼女なんて言ってもパンツ降ろして挿入。あんあん言って、はいおしまい。キスもしない。おっぱいも触んない。俺とヤリたいだけなんだよ、その彼女ってのは。」
:09/04/30 14:18 :SH901iC :Tn1TeGpw
#236 [ゆーちん]
つーか乳首を口に入れながら喋んじゃねーよ。
感じんだろうが、バカ!
「何で付き合ってんの?好きなわけ?」
「好きじゃない。あいつとのSEXも好きじゃない。」
「じゃあ別れちゃえば?」
「別れても一緒だよ。また次の彼女作って堂々巡りだから、俺。」
:09/04/30 14:22 :SH901iC :Tn1TeGpw
#237 [ゆーちん]
可哀相な奴。
本当最近、同情ばっか。
「惨めなだけだよ、栄之助。」
「そんな風に言ってくれんの、ママだけだな。ありがと。」
同情以外の物はない。
友情でもなければ愛情でもない。
:09/04/30 14:22 :SH901iC :Tn1TeGpw
#238 [ゆーちん]
そんな私にキスをして、そのあと満足そうな笑顔になる栄之助に、なんだか申し訳なくなってきた。
そんな夏の夜。
もうすぐ夏休みが終わっちゃう。
:09/04/30 14:23 :SH901iC :Tn1TeGpw
#239 [ゆーちん]
―――
あーあ。
とうとう終わりました、夏休み。
「ななみん、おっはー!」
「久しぶり〜、ななみん元気だった?」
「ななみん聞いて!私、彼氏できたよぉ。」
うるせー、うるせー、うるせー。
:09/05/01 10:31 :SH901iC :2a0KglgE
#240 [ゆーちん]
夏休み終わって一気にうるさくなった学校。
私の作り笑顔も、苦笑いになっちゃいそうだよ。
「宿題提出してね〜。」
私の宿題なんてちょろいもんなのに、提出しない奴もちらほら。
仁士はもちろん提出だけど、栄之助はやっぱり未提出。
:09/05/01 10:32 :SH901iC :2a0KglgE
#241 [ゆーちん]
「クラス委員、職員室まで運ぶの手伝って。」
わざわざ仁士を指名。
栄之助はほっぺ膨らましてた。
可愛いガキ猿め。
:09/05/01 10:32 :SH901iC :2a0KglgE
#242 [ゆーちん]
提出された宿題を仁士と一緒に職員室まで運ぶ間は、化けなくて済む。
「栄之助睨んでた、俺のこと。」
「マザコンだから。」
「アハハッ。」
あー、楽チン。
:09/05/01 10:33 :SH901iC :2a0KglgE
#243 [ゆーちん]
「やっぱり栄之助、未提出だったね。」
「提出するとこなんか見た事ないよ。俺はいつでもパーフェクトだけどねん。」
「はいはい。はなまるしといてあげるね〜。」
:09/05/01 10:34 :SH901iC :2a0KglgE
#244 [ゆーちん]
「いらねぇし。それより蕾夢がおばちゃんに会いたいってさ。」
「おばちゃんじゃなく、ななみちゃんって呼んでくれるなら会ってもいいよ。」
「俺に言われても…。たまにななみちゃんって呼んでんだけどね。どうもおばちゃんのが呼びやすいみたい。」
:09/05/01 10:34 :SH901iC :2a0KglgE
#245 [ゆーちん]
そりゃ残念だ。
どうにかして蕾夢にななみちゃん一本で呼んでもらわなきゃ。
「私さ、普通の家庭で育ったからあんたらの苦労なんてわかんないけど…同情すんなって思われるだろうけど力になるから。一応教師だし。頼ってよ。」
:09/05/01 10:35 :SH901iC :2a0KglgE
#246 [ゆーちん]
「都合のいい時だけ教師名乗っちゃって。」
「だって本当だもん。」
「本当は教師なんか嫌なくせに。」
「…ヘヘッ。」
職員室につくと、私たちはまた偽りのキャラクターとして接する。
:09/05/01 10:36 :SH901iC :2a0KglgE
#247 [ゆーちん]
昼間は優等生と過ごし、放課後は問題児に説教。
…なーんて、そんなカッコイイ教師じゃないし私。
「…こら。」
「いいじゃん。」
「学校だし。」
「誰も来ない。」
生徒の前で胸全開で、その舌使いに感じちゃってるただの不良教師。
:09/05/01 10:37 :SH901iC :2a0KglgE
#248 [ゆーちん]
「何で宿題しなかったの?」
「宿題なんかあったの?」
「ママが出した宿題ぐらいはして来て欲しかったなぁ。」
「フフッ、ごめん。」
「お仕置きだね。」
「何?」
「んー、宿題提出するまでキスもおっぱい触るのも禁止。」
:09/05/01 10:38 :SH901iC :2a0KglgE
#249 [ゆーちん]
すると栄之助は私の乳首をギュッと噛んだ。
「痛い、バカ。」
「絶対やだ。そんなの無理。毎日会いたいのに。」
「何が無理よ。夏休み中だって数える程しか会ってないじゃん。大丈夫だよ。」
「やだやだやだ。」
:09/05/01 10:39 :SH901iC :2a0KglgE
#250 [ゆーちん]
わがままな奴〜。
「じゃあ明日までに提出ね?私の宿題なんか簡単だもん。できるよね?」
「えぇー…」
「ママの言う事聞いてよ。」
「んー…わかった。」
「よし!じゃあ今からお預けだ!」
私ははだけた服を整えた。
:09/05/01 10:40 :SH901iC :2a0KglgE
#251 [ゆーちん]
「帰ってさっさと宿題しなさーい。」
栄之助は文句言いながらも帰ってった。
私ったら、都合よく『ママ』を使いすぎかな。
はぁーあ。
まさかこんな教師生活するなんて。
:09/05/01 10:41 :SH901iC :2a0KglgE
#252 [ゆーちん]
私だって普通の人間だし、キスされて胸いじられたらヤリたくなるっつーの。
栄之助には欲情しないけどね。
ガキんちょすぎ。
でも彼氏の1人や2人いないと、溜まって来るよ。
:09/05/01 10:42 :SH901iC :2a0KglgE
#253 [ゆーちん]
そういえば随分彼氏いないな〜。
彼氏いない期間イコールSEXしてない期間ではないんだけどね。
私も栄之助に言えないけど、バカでフラフラしてて求められたらヤッちゃうタイプだからワンナイトラブよくあるし。
にしても、栄之助の舌使い、ちょっと巧みやしませんか?
:09/05/01 10:43 :SH901iC :2a0KglgE
#254 [ゆーちん]
翌日。
マジで栄之助は宿題を提出した。
超ビックリ。
だから放課後はご褒美あげた。
キスとおっぱい解禁。
って、昨日触ったとこじゃんね。
たまにオセロして、また栄之助からキス持ち掛けて来て胸触られて、オセロして。
マジにSEXしたくなるっつーの!
:09/05/01 10:43 :SH901iC :2a0KglgE
#255 [ゆーちん]
「今日ママんち行っていい?」
「ダメー。」
「じゃあ明日。」
「ダメー。」
「明後日。」
「ダメー。」
「いつならいいの?」
「ずっとダメー。」
「…意地悪。」
:09/05/01 10:44 :SH901iC :2a0KglgE
#256 [ゆーちん]
こんな発情期中に家に転がり込まれて、万が一億が一兆が一…私が欲情しちゃったら!
なんて考えると怖くて生徒なんか呼べません。
って言っても、栄之助は勝手に来ちゃうかもだけど。
:09/05/01 10:44 :SH901iC :2a0KglgE
#257 [ゆーちん]
「あ、そうそう。」
「ん?」
「俺フラれちゃった〜。」
「ふーん。」
「つーわけで寂しいから家行っていい?」
「ダメー。」
ほっぺ膨らましてもダメなもんは、ダメ。
寂しいなら彼女作れ、猿。
:09/05/01 10:46 :SH901iC :2a0KglgE
#258 [ゆーちん]
―――
新学期は少し忙しく、あれから栄之助と放課後会えていなかった。
まあ日中、授業の時に顔見てんだけどね。
でも【ママ】って呼ばれんのは、ここしばらくなかった。
ママって呼ばれなきゃキスもないし、胸触られる事もない。
:09/05/01 10:51 :SH901iC :2a0KglgE
#259 [ゆーちん]
おかげで性欲はどっか行っちゃった。
よかった、よかった。
「ななみん先生。」
出た。
私の個人情報流した男。
「どうしたんですか、保泉先生」
「もうすぐ体育祭と文化祭ですね」
:09/05/01 10:52 :SH901iC :2a0KglgE
#260 [ゆーちん]
へぇー。
もうそんな季節。
「そうですね。文化祭の前日に体育祭ですよね?騒がしくなりますね〜。」
「ですよね。でも楽しみだな〜。文化祭はバンドとかダンスとか模擬店もあるみたいですよ。」
:09/05/01 10:53 :SH901iC :2a0KglgE
#261 [ゆーちん]
「わぁー、素敵。楽しみです!」
なーんちゃって。
どうでもいいよ。
せっかく授業なくて、サボれるってゆうのに舞台発表や模擬店なんか興味なし。
「2Cの奴らはお決まりのお化け屋敷するみたいです。」
:09/05/01 10:53 :SH901iC :2a0KglgE
#262 [ゆーちん]
「お決まりなんですか?」
「そりゃ〜文化祭の醍醐味でしょ。ななみん先生は文化祭でお化け屋敷やんなかったの?」
「さぁ?私、お化け苦手なんで覚えてないです。」
お化け苦手なんて言うのはブリッ子で、学生の頃から文化祭イコール自由って感じだったから、どんな出し物があったとか覚えてないんでーす。
:09/05/01 10:54 :SH901iC :2a0KglgE
#263 [ゆーちん]
「アハハ。可愛いな、ななみん先生は。」
可愛いとか言われちゃったよ。
今時こんなブリッ子通じんだな。
「そんな可愛いななみん先生に…はい、これ。」
保泉にもらった1枚のプリントには日程表のようなものだった。
:09/05/01 10:54 :SH901iC :2a0KglgE
#264 [ゆーちん]
9/29(月)体育祭準備
9/30(火)体育祭
体育祭後、文化祭準備
10/1(水)文化祭1日目
出し物や模擬店
10/2(木)文化祭2日目
舞台発表
10/3(金)片付け
:09/05/01 10:55 :SH901iC :2a0KglgE
#265 [ゆーちん]
なんだ、このお祭りウィークは。
私にとってはちょっとした秋休みじゃない!
テンション上がるー!
「保泉先生!こっ…この一週間って授業は?」
「ないよ。教師も体育祭や文化祭の準備に回るんだ」
:09/05/01 10:56 :SH901iC :2a0KglgE
#266 [ゆーちん]
あ、教師も準備するんすか。
「私は何の準備ですか?」
「担任や副担任は各クラスの手伝い。だから2Cのお化け屋敷の準備をしてもらいますね。」
「あ…なるほど。」
「あれ?準備でもやっぱお化けは怖いんですか?アハハ、そんなしょげなくても。」
:09/05/01 10:57 :SH901iC :2a0KglgE
#267 [ゆーちん]
ちげーよ。
準備手伝わなきゃいけないって事にしょげてんの。
「アハハ。準備ぐらいなら怖くないから大丈夫ですよ〜、もう保泉先生ったら」
「ですよね!えっと、お化け屋敷は文化祭1日目で2日目の舞台発表、2Cはバンドするみたいです」
:09/05/01 10:57 :SH901iC :2a0KglgE
#268 [ゆーちん]
「へぇー、バンドいいですね。」
うん、これは本音。
「メンバーは、えっと…」
保泉は資料を見ながら答えて行く。
6人のメンバーの中に瀬川、渡辺の名前があったのを私は聞き逃さなかった。
他の奴らの名前は聞き逃しちゃったのにね。
:09/05/01 10:58 :SH901iC :2a0KglgE
#269 [ゆーちん]
「この6人以外は?」
「不参加です。
舞台発表は各クラス1つずつですから、1人でも出る生徒がいたら他の生徒は出なくてもいいようになってるんで。
だから2Cの舞台発表の優勝はこの6人に懸かってんですよ。」
:09/05/01 10:59 :SH901iC :2a0KglgE
#270 [ゆーちん]
ふーん、競い事なんだ。
まぁ優勝しようが最下位だろうが、私には知ったこっちゃない。
「じゃあ瀬川くんたちには頑張って貰わないとですね〜。」
…どうでもいいけどね。
:09/05/01 10:59 :SH901iC :2a0KglgE
#271 [ゆーちん]
秋風はまだまだ暑くて、教室内も暑い。
祭の風も吹き荒れていて、これまた暑さ倍増。
授業も、みんな体育祭や文化祭の事ばっかで私の話し聞いてないし。
別にいいんですけどね。
:09/05/01 11:00 :SH901iC :2a0KglgE
#272 [ゆーちん]
《Song for MAMA!バンドの練習中だよーん》
家に帰っても栄之助から、こんなメールが頻繁に来るし。
しかも写真付きで。
「写真なんかいらねーよ。それにしても祭一色だ。ねぇ〜レオ。」
そのおかげって言っちゃ何だけど栄之助が家に押し入って来る事も無くなった。
:09/05/01 11:01 :SH901iC :2a0KglgE
#273 [ゆーちん]
秋夜の風は涼しくて、レオと一緒にベランダに出て夜空を見ながら酒を飲むのが最近の楽しみ。
静かだな、最近この家。
うん、いい事だ。
本来の家だ。
でもたまーに、笑い声が欲しくなる時があるって思っちゃうのは…栄之助や仁士のせいかな。
:09/05/01 11:02 :SH901iC :2a0KglgE
#274 [ゆーちん]
―――
はい、ついに来ましたスペシャルウィーク。
まずは体育祭準備。
「柴田先生はタスキやバトンなどの備品整理お願いします。」
っしゃ!
肉体労働じゃない!
ラッキー!
:09/05/02 13:09 :SH901iC :3DTT7hOM
#275 [ゆーちん]
職員室で、その備品整理とやらを黙々とこなしてやった。
黙々とこなした結果、かなり早く終了。
えー…暇になっちゃった。
他に仕事貰いに行くか。
運動場に出て、学年主任に問い掛けた
:09/05/02 13:09 :SH901iC :3DTT7hOM
#276 [ゆーちん]
「あー、特にない。だから適当に手伝ってあげて。」
なんだソレ。
仕事貰えませんでした。
みんな忙しそうにテキパキ働いてるし、助け求めてるところも特になさそう。
んー、どうしましょ?
:09/05/02 13:10 :SH901iC :3DTT7hOM
#277 [ゆーちん]
「お姉さん、オセロしませんか。」
声をかけて来たのは…
「クラス委員がサボっちゃダメでしょ、仁士さん。」
「だって暑いもーん。俺いなくても変わりないっしょ。」
「こんなクラス委員じゃ、2C優勝は無いね。」
:09/05/02 13:11 :SH901iC :3DTT7hOM
#278 [ゆーちん]
とか何とか言って、仁士と一緒に更衣室に向かった。
「あー、ひんやり。」
仁士はベンチにねっころがった。
「オセロしないの〜?」
「しない。寝る。」
「何だそれ。嘘つきめ。」
「昨日バイト長引いてさ。あんま寝てないんだ。」
:09/05/02 13:11 :SH901iC :3DTT7hOM
#279 [ゆーちん]
「ふーん。」
そんな話をしていたかと思えば、仁士は寝息を立てて眠っていた。
「早っ。のび太くんか。」
寝顔は蕾夢ソックリで、何かちょっと笑えた。
つーか仁士寝ちゃったら私、暇じゃんか。
こんな時にもう一匹の猿が来たらなぁ〜。
:09/05/02 13:12 :SH901iC :3DTT7hOM
#280 [ゆーちん]
ガチャッ…
「マーマー」
あ、来た。
テレパシー?
「シーッ。」
仁士が眠ってる姿がすぐ目に入ったらしく、栄之助はニコッと笑った。
そして小声で会話する。
「仁士寝てんの?」
「うん。バイトで寝てないみたいで。」
「ふーん。」
「栄之助も寝不足でここ来たの?」
:09/05/02 13:13 :SH901iC :3DTT7hOM
#281 [ゆーちん]
「まさか。おサボり。」
「私も。オセロしよーよ」
「うしっ。」
ベンチは仁士に占領されたから、仕方なく地べたに座り込んだ。
床汚いんだけど…ジャージだし、まあ汚れてもいいや。
栄之助も体操着だしね。
:09/05/02 13:15 :SH901iC :3DTT7hOM
#282 [ゆーちん]
「すきあり。」
「うぉっ!」
「こらっ、シーッ!」
「あっ…」
栄之助、いちいちうるさい。
静かにしろって言ってんのに、私が攻めるたびに声出してんの、
「静かにオセロなんて俺向きじゃないな。」
「じゃあ読書でもする?」
「もっと俺向きじゃない。」
「じゃあ何すんのよぉ〜もう。」
「静かに楽しめる事?あるじゃん1つだけ」
:09/05/02 13:15 :SH901iC :3DTT7hOM
#283 [ゆーちん]
うっわー、不適な笑み。
「どうせ変な事でも考え‥」
ほら、やっぱり。
こんな事だろうと思った。
「…っ、ちょっと。仁士に見られたらどうすんの。」
「静かにしてれば起きないよ」
:09/05/02 13:16 :SH901iC :3DTT7hOM
#284 [ゆーちん]
前に一度、仁士にはキスシーン見られてるから大変な事じゃないけど…
また火ついちゃうじゃん。
久しぶりのキスに、なぜか胸がギュッてなった。
今まで何の感情もなかったキスなのに。
:09/05/02 13:17 :SH901iC :3DTT7hOM
#285 [ゆーちん]
「…っ…こら、舌。」
「もういいじゃん、舌ぐらい。」
ダメ。
興奮しちゃうから、私。
「理性ぶち壊れるよ?」
「俺が?それともママが?」
いたずら少年みたいな笑顔に、私がって言えるわけもなく、あんたがって答えておいた。
:09/05/02 13:18 :SH901iC :3DTT7hOM
#286 [ゆーちん]
「しちゃうかも。今フリーだから余計に。」
「だったら尚更ダメ。」冷静なフリして、頭の中はぐちゃぐちゃだった。
そんなガキに欲情しなくても、いざとなったら彼氏できるわよ!っていう天使。
ガキだろうが何だろうが舌ぐらいいいじゃん、っていう悪魔。
:09/05/02 13:19 :SH901iC :3DTT7hOM
#287 [ゆーちん]
「ママ?どうしたの、難しい顔して。」
バカ猿だけど、よく見りゃ可愛い顔してんだよね。
化粧したら私より女の子っぽくなるんじゃない?って感じ。
「どっちの意見も正しいっつうか。」
「何の話し?」
栄之助は眉を下げて笑った。
:09/05/02 13:20 :SH901iC :3DTT7hOM
#288 [ゆーちん]
「今まで適当に生きて来たんだから、こんなとこで真面目にならなくていっか」
「だから、何の話し?」
「悪魔が勝ったっていう話し。」
「頭おかしくなった?」
「栄之助のせいでね。」
訳もわからず笑ってくれた栄之助は、私にまたキスをする。
:09/05/02 13:22 :SH901iC :3DTT7hOM
#289 [ゆーちん]
初めて絡み合わせた舌と舌。
認めたくないけど栄之助はキスが上手い。
息や声が漏れないように気を付けないと、クラス委員が起きちゃうからね。
:09/05/02 13:23 :SH901iC :3DTT7hOM
#290 [ゆーちん]
次第に栄之助の手は私の上半身で動き回り、彼の舌は私の胸で暴れていた。
くっそー!
仁士、邪魔だよ!
声我慢すんの面倒!
そんなに声出すタイプじゃないけど、栄之助が上手すぎんの。
出したくなくても出ちゃうし。
この子本当に17才?
:09/05/02 13:25 :SH901iC :3DTT7hOM
#291 [ゆーちん]
やばい…。
栄之助が暴走し始めた。
ジャージのズボンを脱がそうとする。
「栄之助…」
「…」
無視ですか?
さすがに下はダメ。
栄之助の手を掴み、拒んでみせた。
「仁士いる。」
「仁士がいなきゃいいの?」
可愛い顔して、そんな質問すんな猿!
:09/05/02 13:25 :SH901iC :3DTT7hOM
#292 [ゆーちん]
「大人からかっちゃダメだよ、渡辺くん。」
「子供みくびっちゃダメだよ、柴田さん。」
んー。
栄之助もなかなかやるな。
教師が生徒に欲情しちゃいけないっていう思いと、もういいじゃんって諦めてる思いが葛藤する。
:09/05/02 13:26 :SH901iC :3DTT7hOM
#293 [ゆーちん]
このまま栄之助と一線を越えると、私ダメな教師になる。
いや、今でもダメ教師ってのはわかってんだけど…今より更にダメになるかも。
そう思わすような男なんだ、このバカ猿は。
:09/05/02 13:26 :SH901iC :3DTT7hOM
#294 [ゆーちん]
「じゃあ今日は仁士がいるから我慢する。最後にチューだけしてい?」
いい悪いも言ってないのに、栄之助の唇は私に引っ付いていた。
やっとお許しが出た舌を、これでもかってぐらい入れてくる。
:09/05/02 13:27 :SH901iC :3DTT7hOM
#295 [ゆーちん]
私も応えなきゃダメ?
でも応えちゃうと、つまりその…欲情してんの丸分かりじゃん?
だから黙って受け入れるだけ。
「はーい、ストップ」
…げっ。
また見られた。
ベンチに寝転がったまま、目をこっちに向けて半笑いしている瀬川仁士に。
:09/05/02 13:28 :SH901iC :3DTT7hOM
#296 [ゆーちん]
「俺の存在忘れてない?」
「忘れてない。」
「だったらわざと見せ付けてんの?」
「見ないでよ、エッチ。」
「見たくなくても近くでやらしー音聞こえたら、目がいっちゃうっしょ?俺も男だし。」
変態クラス委員め。
…って、私のほうがよっぽどだよね。
:09/05/02 13:29 :SH901iC :3DTT7hOM
#297 [ゆーちん]
「あ、ママごめん。」
「何?」
「おっぱい丸見え。」
「ひぃっ!」
ブラジャー脱がされてた事ふっつーに忘れてた。
マジ不覚…。
「んなもん見ても興奮しねぇよ、ペチャパイ。」
「はぁ?」
デリカシーってもんはないのか、このクールビューティーめ!
:09/05/02 13:29 :SH901iC :3DTT7hOM
#298 [ゆーちん]
「仁士ぃ、あんまりママいじめないでよ。そのペチャパイに興奮した俺が惨めじゃん。」
…おいおい、バカ猿。
何を言うか。
てか、ペチャパイペチャパイうっさい!
:09/05/02 13:33 :SH901iC :3DTT7hOM
#299 [ゆーちん]
「あんたら…出てけぇ!」
ムキになりながら叫ぶと、仁士と栄之助は簡単に出て行った。
なんじゃこりゃ。
やんなっちゃう…。
つーか普通に恥ずかしい。
栄之助に欲情した自分が。
:09/05/02 13:33 :SH901iC :3DTT7hOM
#300 [あかさたな]
:09/05/03 09:15 :F01A :xkygTtoU
#301 [あかさたな]
すいません。
安価あったの気づきませんでした。
:09/05/03 09:15 :F01A :xkygTtoU
#302 [ゆーちん]
:09/05/03 11:42 :SH901iC :Inb4E6U6
#303 [ゆーちん]
あちぃー。
何でまたド快晴なわけ。
明日から10月だっつうのに、何なのこの暑さ。
体育祭日和ですねー。
はぁ…。
生徒の体育祭であって、私たち教師は超暇。
テントの下で適当に応援。
まぁ授業より楽だからいっか。
:09/05/03 11:43 :SH901iC :Inb4E6U6
#304 [ゆーちん]
「ななみん先生、2C勝ってますよ。」
へぇー。
だからって賞金出る訳じゃないんだから、そう熱くなるなよ保泉さん。
:09/05/03 11:43 :SH901iC :Inb4E6U6
#305 [ゆーちん]
「このまま頑張ってもらわないとですねっ。」
「ななみん先生も応援してくださいね?」
「はい。ちょっと立ちくらみしちゃったんで、ここで休んでから行きます。」
「立ちくらみ?大丈夫ですか?無理しないで下さい。ななみん先生の分まで僕が応援頑張りますから!」
:09/05/03 11:44 :SH901iC :Inb4E6U6
#306 [ゆーちん]
38のおっさんがよくもまぁ頑張りますこと。
「すみません。後で行きます。」
立ちくらみなんて嘘だぴょーん。
太陽の下だと暑いし日焼けしちゃう。
ななみん先生はテントの下から出る気は無いでーす。
:09/05/03 11:46 :SH901iC :Inb4E6U6
#307 [ゆーちん]
玉入れ、綱引き、リレー…なんか懐かしいな。
高校時代の体育祭は全部サボってたから、中学生の時以来。
もうちょい高校時代にこういう青春すればよかった。
まぁ悪さも青春の1ページだし、後悔はないんだけどね。
:09/05/03 12:09 :SH901iC :Inb4E6U6
#308 [ゆーちん]
体育祭は無事終了。
2Cは優勝しませんでした。
まぁ、こんなもんでしょ。
体育祭終了後、すぐに翌日の文化祭の準備が始まった。
教室はお化け屋敷仕様。
こいつら…本気だ。
「ペチャパイせんせー」
んな言葉、耳元で囁くのはあいつしかいない。
「なあに?変態クラス委員長さん」
:09/05/03 12:10 :SH901iC :Inb4E6U6
#309 [ゆーちん]
「お願いがあるんですけど。」
「豊胸手術しろってか?」
「それもあるけどぉ…」
「殺す!」
「違う違う、ごめんなさい。」
「…で、何?」
:09/05/03 12:11 :SH901iC :Inb4E6U6
#310 [ゆーちん]
「今日、蕾夢見てて欲しいんです」
「蕾夢?何で。」
「今日バイトないから、ウチに来るって張り切ってたんっすけど、僕これから居残りで準備しないと」
「僕だぁ?準備ぐらいサボれ、僕!」
「委員長っすよ、僕。サボれませんよ」
:09/05/03 12:12 :SH901iC :Inb4E6U6
#311 [ゆーちん]
一応教室だからって、優等生キャラになってる。
小声だから誰も聞いてないと思うけど、ちゃんと敬語なんだよね。
でも私は、なぜか仁士や栄之助と話すと化けの皮が剥がれてしまう。
「準備終わったらすぐに迎え行きますから。」
:09/05/03 12:13 :SH901iC :Inb4E6U6
#312 [ゆーちん]
「…本当に?絶対迎え来てよ?」
「はい!」
「仕方なくだからね?」
「わかってます。感謝してます。ありがとう先生」
:09/05/03 12:14 :SH901iC :Inb4E6U6
#313 [ゆーちん]
本当に仕方なくだから。
同情してるからってのも理由だけど、蕾夢嫌いじゃないしね。
仁士を助けて、私になにか得があるってわけじゃないけど…悔しながら瀬川兄弟は放っておけなかったりする。
:09/05/03 12:16 :SH901iC :Inb4E6U6
#314 [ゆーちん]
「じゃあ先生が帰る時に一旦僕も準備から抜けます。で、先生んちに行きますから、帰る時に一言かけて下さいね。」
「はいはい、わかったよ。」
「ありがとうございます。」
渋々だよ、渋々。
:09/05/03 12:16 :SH901iC :Inb4E6U6
#315 [ゆーちん]
「仁士、ママと話し終わった?」
栄之助だ。
「おう。」
「んじゃ借りるね。ママちょっと来て。」
栄之助に強引と連れて行かれた、お化け屋敷の内部。
:09/05/03 12:17 :SH901iC :Inb4E6U6
#316 [ゆーちん]
「何?」
「今からリハーサル。」
「それが何?」
すると、教室内が真っ暗になった。
カーテンの隙間からも太陽が入ってこないように、黒のシートで埋め尽くされている窓。
だから本当に真っ暗。
:09/05/03 12:18 :SH901iC :Inb4E6U6
#317 [ゆーちん]
栄之助のやりたい事、わかった。
「ママ…」
キスだ。
こんな真っ暗なのに、私の唇を見事当てて、強く押しつける栄之助。
「…っ、教室だよ?いつ明るくなるかわかんないのに、ダメ。」
:09/05/03 12:19 :SH901iC :Inb4E6U6
#318 [ゆーちん]
小声すぎて栄之助が聞き取れたかわかんない。
「大丈夫だよ。」
聞こえた?
何が大丈夫なの。
幸い、周りに誰もいなかったけどリハーサルでしょ?
誰かが歩いて来たらどうすんのー!
:09/05/03 12:20 :SH901iC :Inb4E6U6
#319 [ゆーちん]
私の不安を余所に、栄之助のキスは止まらなかった。
舌だって暴走しすぎ。
やめて欲しい。
体が疼いてしまうから。
「きゃー!」
近くで聞こえた悲鳴に思わずキスを止めた。
見られたかと思った。
「リハーサルだってば。女子が試しに歩いてんの。」
「だったらここにも来るんじゃないの?見つかるよ。」
:09/05/03 12:21 :SH901iC :Inb4E6U6
#320 [ゆーちん]
「来たらやめる。だからそれまで…」
こんなスリルは望んでないよぉー。
いつ来るかわかんないのに、気が気じゃない。
だったら本気で拒めばいいのに、ちゃっかりとキスを楽しんでるっていうのは…私はきっと栄之助のキスがすきだから。
LOVEじゃなく、LIKEとして。
:09/05/03 12:22 :SH901iC :Inb4E6U6
#321 [ゆーちん]
そんな暗闇も光が点けられ、私たちは何事もなかったかのようにその後を過ごした。
下校時間になっても2Cの奴らは帰らず、一生懸命ラストスパートかけてた。
「ななみん先生、体調不良でしたら今日はもう帰って下さい。あとは僕がいるんで。」
:09/05/03 13:05 :SH901iC :Inb4E6U6
#322 [ゆーちん]
よっしゃーっ!
ほずみん、たまにはいい事言う〜。
つーか私、体調不良なんて言ったけ?
まあ何にせよ、帰らせてもらいまーす。
お言葉に甘えます、と保泉にニッコリ微笑んで、2Cの奴らにも頑張ってねと笑っとく。
「ななみん、また明日!」
「ななみんバイバーイ。」
:09/05/03 13:05 :SH901iC :Inb4E6U6
#323 [ゆーちん]
クラスが私にさよならの言葉をかけていると、委員長がみんなに言った。
「みんなごめん。俺も帰るわ。でもすぐにまた戻って来る!ちょっと外せない用があってさ。悪いな。」
仁士はよほど信頼されてるのか好かれているのか、みんなから笑顔でお許しをもらっていた。
:09/05/03 13:07 :SH901iC :Inb4E6U6
#324 [ゆーちん]
副担任とクラス委員が一緒に教室を出る。
全く違和感のない風景に、誰も疑問を抱かない。
たった一人、栄之助以外は。
:09/05/03 13:07 :SH901iC :Inb4E6U6
#325 [ゆーちん]
「そんじゃあとで。」
「あいよ。」
仁士は走りながら先に行ってしまった。
私は走る必要もないので、ゆっくり歩きながら仁士の背中を見送る。
校門を出ようとしたとき、やっぱり追いかけて来た猿に呼び止められた。
:09/05/03 13:10 :SH901iC :Inb4E6U6
#326 [ゆーちん]
「ママ。」
「ん?」
「仁士とどっか行くの?」
「ううん。仁士もう帰ったよ。」
「あれ?何だ…勘違い。」
後でまた会うけどね。
:09/05/03 13:11 :SH901iC :Inb4E6U6
#327 [ゆーちん]
「どしたの。」
「一緒に帰るから、ヤキモチ妬いてぶっ飛んできちゃった。」
「マザコンね。じゃあまた明日。準備頑張って。」
「うん、バイバイ。」
「バイバイ。」
:09/05/03 13:11 :SH901iC :Inb4E6U6
#328 [ゆーちん]
すんなり教室に帰ってく栄之助。
キスしないんだぁって残念に思っちゃった私は重症?
…重症だよねぇ。
はぁ…どうしちゃったんだ自分。
:09/05/03 13:18 :SH901iC :Inb4E6U6
#329 [ゆーちん]
「こんにちは!」
「こんにちは。蕾夢、久しぶり。お姉ちゃんの事覚えてる?」
「うーん、わちゅれた。」
わちゅれた、とか…可愛すぎだから許す。
「ななみちゃんだよ。」
仁士に教えてもらった蕾夢は『ななみちゃん!』と笑ってくれた。
「思い出してくれた?」
:09/05/03 13:19 :SH901iC :Inb4E6U6
#330 [ゆーちん]
「にいにのおともらち。」
「うん、そう!覚えててくれたんだぁ。蕾夢大好き〜。」
って、抱きつこうと思ったけどチビはすばしっこい。
「わんちゃあん!」
私スルーして、レオのとこ行っちゃったし。
:09/05/03 13:21 :SH901iC :Inb4E6U6
#331 [ゆーちん]
「むっなしい、広げた手。仁士入る?」
両手広げて蕾夢抱き締める準備満タンな姿がだっさい私。
「絶対いや。」
「あっそ。」
自分から手を降ろすと、これまた尚更情けない。
:09/05/03 13:22 :SH901iC :Inb4E6U6
#332 [ゆーちん]
「頼んだよ。」
「はいはい。終わったらすぐ来てよ?」
「うん。蕾夢なんだかんだで七海の事覚えてたから。ななみちゃん家行くっつったら喜んでたし。」
「本当に?」
「照れてるだけかもな。そんじゃよろしくね。蕾夢!にいに行くから、ななみちゃんとお利口にな!」
:09/05/03 13:24 :SH901iC :Inb4E6U6
#333 [ゆーちん]
「あーい!ばいばぁい。」
「バイバイ。そんじゃ七海、お願いね。」
「バイバーイ。」
仁士を送り出し、蕾夢の隣に座り込み、色んな話しをしながらレオとも遊んだ。
:09/05/03 13:25 :SH901iC :Inb4E6U6
#334 [ゆーちん]
「蕾夢、いっつも夕ご飯何時に食べてるの?」
「おなかちゅいた。」
質問スルーされちゃったけど、おなかちゅいたなら仕方ないよね〜。
母性本能くすぐられすぎでしょ、私。
時計を見ると18:00
うちの高校で居残れるギリギリの時間は21:00。
あと3時間か。
:09/05/03 13:27 :SH901iC :Inb4E6U6
#335 [ゆーちん]
ご飯食べて、おもちゃで遊んで、テレビでも見てりゃ仁士帰って来るでしょ。
「何食べたい?」
「おかち」
「おかち…あ、お菓子?お菓子はだめだよ。夕ご飯なんだから。」
「えー」
膨れっ面が可愛くて可愛くて、お菓子あげようかなって思っちゃったじゃねぇか〜。
:09/05/03 13:28 :SH901iC :Inb4E6U6
#336 [ゆーちん]
結局、冷蔵庫を見てヤキソバをする事にした。
一応子供だし薄味の方がいいよね?
野菜も食べやすく切って、麺も短めに切ってみた。
私が調理してる間、蕾夢はレオとじゃれあってた。
:09/05/03 13:29 :SH901iC :Inb4E6U6
#337 [ゆーちん]
「蕾夢〜、できたよ。レオもご飯だよ。お座りして。」
「れお、おちゅわりできるの?」
「出来るよ。お手もするんだから。蕾夢、手ぇ出してごらん。」
蕾夢の小さな手がレオの前に差し出された。
「レオ、お手。」
:09/05/03 13:30 :SH901iC :Inb4E6U6
#338 [ゆーちん]
レオは蕾夢の手のひらに、ポンッと自分の手を乗せた。
「きゃあ〜!」
蕾夢の反応ったら、めちゃくちゃ可愛い。
「レオ、おかわり。」
反対の手を蕾夢の手に乗せるレオは得意気な顔をしていた。
:09/05/03 13:32 :SH901iC :Inb4E6U6
#339 [ゆーちん]
「どっちのおてても、できんだね。」
「そうだよ。上手にお手できたから、レオの事褒めてあげて。」
「れお〜、じょおずぅ。」
子犬と子供が抱き合ってる…。
やばい。
激萌えなんですけど!
蕾夢もレオも可愛すぎて、写真に納めたいくらいだよぉ。
:09/05/03 13:32 :SH901iC :Inb4E6U6
#340 [ゆーちん]
最初、蕾夢が風邪ひいて預けられた時すっごく嫌だったのに今はどうってことない。
嫌いじゃないけど、好きでもない子供。
そんな子供に癒されてるなんて、私最近自分がよくわかんないや。
:09/05/03 13:34 :SH901iC :Inb4E6U6
#341 [ゆーちん]
「レオよくできました。はい、ご飯だよ。」
ドッグフードを差し出すと、蕾夢から離れ、ご飯に飛び付くレオ。
「蕾夢、私たちも食べよっか。ここ座って。」
「うん。」
:09/05/03 13:34 :SH901iC :Inb4E6U6
#342 [ゆーちん]
蕾夢は私の隣に座り、薄味のヤキソバを美味しい美味しいと言って食べてくれた。
薄味にしてよかった〜。
「蕾夢、上手にスプーン使うね。」
「じょおず?」
「うん、蕾夢上手!すごーい。」
プッ…照れちゃってさ。
可愛い。
:09/05/03 13:35 :SH901iC :Inb4E6U6
#343 [ゆーちん]
でも本当に上手なんだよね。
もしかして2才の子はみんな上手にスプーン持てるのかな?
蕾夢が特別上手ってわけじゃないのかな?
よくわかんないけど、褒めてあげると嬉しそうだし、まぁいっか。
:09/05/03 13:36 :SH901iC :Inb4E6U6
#344 [ゆーちん]
「ごちしょうしゃまでちた。」
「はーい。いっぱい食べて偉かったね。」
あんまり過剰に褒めたり、特別扱いするのは、嫌いだから私はしない。
だけどその私でさえ驚くくらい、蕾夢はお利口さんなんだよね。
とても複雑な家庭環境だとは思えない。
むしろ裕福すぎる家庭育ち、みたいにさえ思える。
:09/05/03 13:37 :SH901iC :Inb4E6U6
#345 [ゆーちん]
時計は19:00だった。
…え?
19:00?
ヤキソバ食うのに1時間もかかったの?
まぁ確かに時間かかるなぁとは思ってたけど1時間もかかてたなんて。
:09/05/03 13:38 :SH901iC :Inb4E6U6
#346 [ゆーちん]
あと2時間、とりあえずテレビでも見るか。
「…。」
「…。」
うっわー、つまんねぇー。
アニメもお笑い番組もやってないの?
どうしよう。
つまんないよね、こんなニュース番組。
私だって、つまんないもん。
:09/05/03 13:39 :SH901iC :Inb4E6U6
#347 [ゆーちん]
「蕾夢、お絵かきする?」
「するーっ!」
よかった。
これで、しないって言われたらどうしようかと思った。
紙とペンを渡すと、迷わず大胆にグルグルと円を書き始めた蕾夢。
:09/05/03 13:39 :SH901iC :Inb4E6U6
#348 [ゆーちん]
楽しそうにお絵かきしてるから、その間に家事を済ませた。
しばらくして、私がトイレにいた時だった。
「ままぁ。まま?」
パタパタと足音が聞こえ、蕾夢の声が震えていた。
:09/05/03 13:40 :SH901iC :Inb4E6U6
#349 [ゆーちん]
何かあったかと思い、慌ててトイレから出ると、やっぱり蕾夢は泣いていた。
「蕾夢どした?おしっこ?」
私の姿を見つけた蕾夢は私に飛び付いてきた。
「ななみちゃぁーん。」
:09/05/03 13:41 :SH901iC :Inb4E6U6
#350 [ゆーちん]
私の足にすがりつき、わんわん泣いていた。
だから、抱き上げて、ギュッてしてあげた。
きっと、私がトイレに行って、人の気配がなくなって寂しくなったんだと思う。
「お姉ちゃん、ここにいるよ〜。」
:09/05/03 13:44 :SH901iC :Inb4E6U6
#351 [ゆーちん]
蕾夢、泣きすぎ。
肩のところがあんたの涙で冷たいよ。
「ごめんね、いきなりいなくなって。怖かった?」
蕾夢は頷いた。
「そっか。ごめんね?」
また頷いた。
:09/05/03 13:45 :SH901iC :Inb4E6U6
#352 [ゆーちん]
しばらくすると泣き止んでくれて、一緒にお菓子を食べる事に。
お腹いっぱいだからごちそうさましたのに、お菓子は全然食べられちゃうんだよね。
子供と女の別腹って不思議。
:09/05/03 13:46 :SH901iC :Inb4E6U6
#353 [ゆーちん]
ビスケットにプリントされた動物で遊びながら食べていると、蕾夢の機嫌は元通り。
「これは?」
「キリンさん。言ってみ?」
「きりんしゃん。」
「そう。こっちはお猿さん。」
「おしゃるしゃん。」
:09/05/03 13:46 :SH901iC :Inb4E6U6
#354 [ゆーちん]
おしゃるしゃん、って。
さ行が弱いんだね、子供は。
「…栄之助みたい。」
「え?」
「ううん。何でもない。はい、あーん。」
ビスケットにプリントされていた猿が栄之助に似てた。
なぜか笑えて、なぜかシュンとした。
だからその猿を蕾夢の口に運んであげた。
:09/05/03 13:47 :SH901iC :Inb4E6U6
#355 [ゆーちん]
「美味しい?」
「おいち。」
おいち、ってさ。
よかったね〜栄之助。
「ななみちゃんもあーん。」
やばっ!
可愛い、可愛すぎる!
:09/05/03 13:48 :SH901iC :Inb4E6U6
#356 [ゆーちん]
今までの元カレがしてきた【あーん】の中で一番胸キュンなんですけと!
「あー…ん!蕾夢がくれたビスケット、美味しい〜」
そう言うと、蕾夢は本当に可愛い笑顔で笑ってくれた。
癒されるわぁ〜。
:09/05/03 13:49 :SH901iC :Inb4E6U6
#357 [ゆーちん]
お菓子タイムが終了して、歯磨きタイム。
蕾夢が持って来たカバンにちっちゃな歯ブラシが入ってた。
「自分で歯磨きできんの?」
蕾夢は首を横に振った。
ってことはー、私の役目?
:09/05/03 13:50 :SH901iC :Inb4E6U6
#358 [ゆーちん]
子供の歯を磨くなんて初めてだから超緊張!
初Hの時より緊張してるし。
あーって開けてる口に、そっと歯ブラシを入れ、優しく磨いた。
怖い…喉突きませんように。
「はい、終わり〜。」
最後の方はもうなげやり状態だったけど一応磨けたかな。
時計は20:45。
あと少しだ〜!
あと少しでにいにが帰って来ますよ〜!
:09/05/03 13:52 :SH901iC :Inb4E6U6
#359 [ゆーちん]
「ななみちゃん。」
「はあい?」
「らいむ、ねむい。」
げぇー。
あと少し我慢してよぉ。
「限界?」
「ねむいー。」
やばい、ぐずってきた。
仕方ない…寝かせるか。
仁士が来たら、また起こすか抱っこして連れて帰ってもらえばいいや。
:09/05/03 13:53 :SH901iC :Inb4E6U6
#360 [ゆーちん]
「じゃあ寝よっか。」
「ななみちゃんもぉ。」
「え、私も一緒に寝るの?」
「うん。」
仕方ないなぁ。
まぁ、いっか。
添い寝のフリでいいんだし。
:09/05/03 13:54 :SH901iC :Inb4E6U6
#361 [ゆーちん]
ベッドに行き、蕾夢と布団に入った。
すると蕾夢は、私にぴったりくっついて来る。
「寒い?」
「ううん。」
じゃあ何…甘えてんの?
かーわーいーいー!
布団の中で抱き締めてあげると、蕾夢はすぐに眠った。
あぁ…可愛すぎてでしょ。
つーわけでもう少し抱き締めてます。
:09/05/03 13:57 :SH901iC :Inb4E6U6
#362 [ゆーちん]
時刻は21:08。
と、次の瞬間22:49になっていた。
あれ、うそ…寝ちゃった?
日中太陽浴びたもんなー。
体力低下してたのかな。
全く疑問に思わなかった時間と、腕の中にいる蕾夢。
私はまたそのまま眠ってしまった。
「…い…なみ…おい。」
ん?
「おい、七海。」
:09/05/03 13:58 :SH901iC :Inb4E6U6
#363 [ゆーちん]
あー、えっとー、あぁ…仁士だ。
「遅くなって本当ごめん。なかなか終わらなくてさ。学校追い出されたから、栄之助ん家で作業して、さっき終わったんだ。」
あっそ。
てゆーかうるさい。
眠い。
:09/05/03 13:59 :SH901iC :Inb4E6U6
#364 [ゆーちん]
「…今、何時?」
「機嫌悪っ。ごめんってば。」
「だから…何時?」
「12時半ぐらい。」
「あぁ…そ。」
「ちょいちょい、寝るなって。蕾夢は?」
「あ?蕾夢?…あぁ、ここ。」
「寝てんだ、ありがとね。」
一度寝たら、次起きる時かなり機嫌悪いの私。
だから仁士すっごい、うざい!
:09/05/03 14:00 :SH901iC :Inb4E6U6
#365 [ゆーちん]
「だから!寝るなって。」
「うるさいー。」
「うるさいって言われても。」
「眠い、仁士も寝ろ。電気消して。」
この時、自分が何言ってんのかわかんなかった。
眠気のあまり正気を失ってたみたい。
:09/05/03 14:01 :SH901iC :Inb4E6U6
#366 [ゆーちん]
「何言ってんの?」
「眠いって言ってんの。」
「いいの?」
「寝る!」
「ラッキー。実はぶっちゃけ、俺も眠くて帰るのダルいって思ってたりして。布団は?」
「蕾夢の隣。」
「このベッド?」
「おやすみ。」
:09/05/03 14:02 :SH901iC :Inb4E6U6
#367 [ゆーちん]
そのあとも仁士は何か言ってたみたいだけど、私はもう夢の中に逆戻り。
次に目を覚ました時は4:23だった。
あれ?
なんで子供抱き締めて寝てんだ?
んー…あっ、蕾夢だ。
可愛い寝顔め。
昨日9時に寝て、今が4時半。
7時間以上寝たのか。
ラッキー。
:09/05/03 14:05 :SH901iC :Inb4E6U6
#368 [ゆーちん]
てゆーか、あれ?
背中が暖かい。
あれ?
あれれれ?
私、誰かに後ろから抱き締められてる?
…誰?
体を反転させると…
「…っ!」
やばっ、一気に目ぇ覚めた。
なんで仁士がいんの!
え?
なぜ?
昨日の夜、なんかあった?
えーっと、えーっと…。
:09/05/03 14:05 :SH901iC :Inb4E6U6
#369 [ゆーちん]
あ、違うじゃん。
蕾夢を預かって、仁士の帰りが遅くて眠っちゃって…で、何で仁士がここで寝てんの?
えーっと…あ、そうだ。
私がいいって言ったんだ。
…たぶん。
でもその時確か…仁士、蕾夢、私の順番で寝てたよね?
なんで私の隣に仁士がいんの?
しかも、なんで抱き締められてんの!
:09/05/03 14:07 :SH901iC :Inb4E6U6
#370 [ゆーちん]
えーっとーっ…ダメだ。
これはいくら考えてもわかんないよ。
とにかく言える事は…仁士と蕾夢の寝顔がそっくりって事。
「仁士、ねぇ。」
「…。」
起きない。
でも起こさないと、学校だし。
てゆーか文化祭だし!
:09/05/03 14:07 :SH901iC :Inb4E6U6
#371 [ゆーちん]
「仁士、起きてってば!」
激しく揺さ振ると、ようやく起きた。
けど、起こさなきゃよかったと思った。
顔…近すぎ。
「あれ…七海?」
「おはよう、ダーリン。素敵な目覚めだわ。」
「そうだろハニー。でも俺は何で君を抱き締めてるんだい?」
「…知らねぇよ。」
:09/05/03 14:09 :SH901iC :Inb4E6U6
#372 [ゆーちん]
仁士の腕が外れ、私は起き上がった。
「仁士の隣、蕾夢だったのに。何で私と蕾夢が入れ替わってんの?」
「んー…蕾夢寝相悪いしな。」
「蕾夢が私を越えたって事?」
まぁ、ありえなくもないけど…子供なら簡単にコロッと入れ替わっちゃえそうだから。
:09/05/03 14:10 :SH901iC :Inb4E6U6
#373 [ゆーちん]
「入れ替わってるの知らないから、俺はてっきり蕾夢抱き締めて寝てるんだと思ってた。」
「でも目を覚ませば、素敵なお姫様を抱き締めていてドキドキしちゃいましたとさ?」
「んなわけねぇだろ。てゆーか、ねみぃ〜。」
「私は9時に寝たから全快。」
:09/05/03 14:11 :SH901iC :Inb4E6U6
#374 [ゆーちん]
「七海のことはどうでもいいよ。もうちょい寝かせて〜。」
「何時に寝たの?」
「ここついたの12時半ごろ」
「4時間しか寝てないね」
「…ん。」
「じゃあもう少しだけね。でないと遅刻しちゃマズいでしょ?クラス委員さん。」
「そりゃどうも、先生。」
:09/05/03 14:12 :SH901iC :Inb4E6U6
#375 [ゆーちん]
私がベッドから抜け、兄弟二人となった布団の中。
仁士はさっき私にしていたみたいに、蕾夢を抱き締めていた。
太陽も昇ってないこんな時間に起きるのは久しぶりで、なんだか気分がよかった。
ゆっくりお風呂に入り、出て来た頃には5:30になろうとしていた。
:09/05/03 14:13 :SH901iC :Inb4E6U6
#376 [ゆーちん]
そういえば蕾夢も仁士も私も、お風呂に入らず寝ちゃったんだよね。
きったな〜い。
週末にでもシーツ替えて布団干そっと。
:09/05/03 14:13 :SH901iC :Inb4E6U6
#377 [ゆーちん]
なんて事を考えながら、いつものように準備をしていく。
着替えて、髪を整えたぐらいで6:00を回った。
さすがにそろそろ起こさないと仁士も帰ってお風呂入らないといけないだろうしね。
:09/05/03 14:15 :SH901iC :Inb4E6U6
#378 [ゆーちん]
「仁士、起きな。」
「…何時?」
「6時。」
「あぁ、うん。起きるわ。帰って風呂入らないと。」
ほらやっぱり。
私って気の利く女だな。
:09/05/03 14:16 :SH901iC :Inb4E6U6
#379 [ゆーちん]
「顔ぐらい洗って行きなよ。タオルは戸棚にあるし、使い捨て歯ブラシもラックに入ってる。」
「いいの?」
「別に嫌ならいいけど」
「いや、助かる。お言葉に甘えます」
仁士はパッと体を起こし、ベットから出た。
:09/05/03 14:16 :SH901iC :Inb4E6U6
#380 [ゆーちん]
ぐっと伸びをし、フーッと息を吐く仁士。
ふと目が合う。
「七海ってさぁ。」
「何よ。」
「すっぴんのが可愛いじゃん?」
「それはいつもの化粧が下手くそって言いたい訳?」
「そうじゃないよ。」
:09/05/03 14:17 :SH901iC :Inb4E6U6
#381 [ゆーちん]
「じゃあどういう意味?」
「ただ褒めてるだけじゃんか。」
「あーら、私に惚れた?」
「七海なんかに惚れても、なんのメリットもねぇよ。」
そう言いながら制服姿の仁士は洗面所に歩いてった。
:09/05/03 14:18 :SH901iC :Inb4E6U6
#382 [ゆーちん]
…何よ。
何なのよ!
失礼しちゃうわね。
メリットだ?
メリットならあるもん。
弟の面倒を見てあげるし、遅刻しちゃいけないから起こしてあげられるもん。
本っ当、失礼な男だ、瀬川仁士。
:09/05/03 14:19 :SH901iC :Inb4E6U6
#383 [ゆーちん]
―――
「ななみん、おはよ〜。」
「ななみ〜ん!今日うちらの模擬店来てね?」
「ななみん!明日の舞台発表期待してちょ。」
いやー、若い子は朝から元気だ。
私はニコニコと笑って答えるだけで精一杯です。
:09/05/04 11:40 :SH901iC :RBZ4yaF.
#384 [ゆーちん]
「やあハニー。さっきは有意義な時間をありがとう」
いきなり耳元でこんな事を囁く奴なんて1人しかいない。
顔洗って、まだ眠そうな弟を抱っこしながら、先ほど私の家から帰って行かれたお方。
「あら、ダーリン。今日もカッコイイわね。寝顔はとてもキュートだったけど」
:09/05/04 11:40 :SH901iC :RBZ4yaF.
#385 [ゆーちん]
仁士とこんな風にバカやってると、猿が来た。
今日は一段とテンション高いなぁ。
そりゃそっか…文化祭だしね。
オバケがテンション低くて務まるかっての。
「昨日居残りまでして何の準備だったの?」
「小物とか。」
「で、完成したわけ?」
「もちろん!」
ふーん。
ならよかった。
私も子守りした甲斐あるよ。
:09/05/04 11:41 :SH901iC :RBZ4yaF.
#386 [ゆーちん]
校内放送で文化祭開始のアナウンスが流れ、一般入場も解除された。
どんどん、どんどん、賑やかになって来る。
呼び子が正門近くで頑張っているおかげで、お化け屋敷にも徐々に客が増えて来た。
受付の手伝いやオバケの手伝いでもしようと思ったのに、ななみんは担当ないから暇なら呼び子してって言われちゃいました。
:09/05/04 11:42 :SH901iC :RBZ4yaF.
#387 [ゆーちん]
…やだよ。
呼び子なんて御免だね。
笑いながら了解したけど、今日もドロンしちゃいまーす。
:09/05/04 11:42 :SH901iC :RBZ4yaF.
#388 [ゆーちん]
ガヤガヤと賑やかだった廊下から、更衣室に入った途端、別世界に来た気分だった。
静かで涼しい更衣室。
久しぶりに一人っきりでのおサボりに、なんだかちょっとドキドキした。
:09/05/04 11:44 :SH901iC :RBZ4yaF.
#389 [ゆーちん]
とりあえず化粧直し。
すっぴんのが可愛いって褒められたとこだけど、私はいつも通り化粧するよ?
なんなら少し濃いくらい。
ちょっとした反抗ってやつかな。
ダメって言われると、やりたくなっちゃうのは、人間の不思議な癖だよね。
:09/05/04 11:44 :SH901iC :RBZ4yaF.
#390 [ゆーちん]
その後は、クラスの子が貸してくれた漫画を読んだ。
全部で20巻以上はある。
こういう時にしか、なかなか読む機会がないから一気に読んじゃお。
ベンチに寝転がり、ひたすら漫画の世界に浸った。
何度か校内放送が聞こえたけど、どれも私なは関係のないものだから再び漫画の世界に戻る。
:09/05/04 11:47 :SH901iC :RBZ4yaF.
#391 [ゆーちん]
時間を忘れるくらい、意外に面白い漫画だった。
気付けば、お昼を回っていた。
14:48か…もうすぐおやつの時間じゃん。
通りでお腹が空くはずだ。
でも、最終巻だし気になるしで私は動かずに話のラストスパートに食い付いていた…ら。
:09/05/04 11:48 :SH901iC :RBZ4yaF.
#392 [ゆーちん]
「やっぱりここだ。」
邪魔者侵入〜。
「何か用?」
「みんな、ななみんを探してますよ。写真撮りたいだのウチの模擬店来て欲しいだの…」
「うん。あとで。」
「なんで俺がななみんどこ?って聞かれなきゃいけないんですかねー。」
:09/05/04 11:48 :SH901iC :RBZ4yaF.
#393 [ゆーちん]
「クラス委員だからじゃない?」
「委員長が副担の居場所を常に知ってると思ったら大間違いだぞ…」
「でも知ってたんじゃん。よくわかったね。テレパシーかな?心と心が繋がってるのね、ダーリン。」
:09/05/04 11:49 :SH901iC :RBZ4yaF.
#394 [ゆーちん]
「いや、ふざけてないで…早く来て下さい。」
「釣れないなぁ。今はダメ。漫画読んでるから。」
「まさか朝からずっと読んでるとか?」
「おかげでハマっちゃってさぁ。お腹空いたから何か買って来てくれない?」
:09/05/04 11:53 :SH901iC :RBZ4yaF.
#395 [ゆーちん]
「何でパシられなきゃなんないの」
「あなたクラス委員でしょ?」
「関係ないし」
口ではブツブツと文句を言うクラス委員だけど、根はいい奴だからさ、私のポケットから財布を引っ込抜いていた。
:09/05/04 11:53 :SH901iC :RBZ4yaF.
#396 [ゆーちん]
つまり、買いに行ってくれるって事。
「アハッ、それもそうか。たこ焼き、焼きそば、林檎飴。それから…たい焼きも。あ、飲み物忘れないでよ?」
:09/05/04 11:53 :SH901iC :RBZ4yaF.
#397 [ゆーちん]
「そんな食える訳ねぇだろ。」
「いいじゃんか。食べたいんだから。」
「猫かぶり、大食い、ペチャパイ…モテない女の三原則。」
「そんな原則聞いた事ないわ。」
「俺の中での三原則。」
「あーはいはい。わかったから早く行って。」
「人使い荒いのもモテない女の特徴〜。」
:09/05/04 11:55 :SH901iC :RBZ4yaF.
#398 [ゆーちん]
そんな事を言いながら、やっと私のおつかいに出発した。
さ、漫画の世界に再び戻ります。
…終わり方は案外さっぱりしていた。
15:27
やっと読み切りましたー。
「んーっ。」
縮んだ体を伸ばしているとドアが開く音がしたので、仁士だと思った。
:09/05/04 11:55 :SH901iC :RBZ4yaF.
#399 [ゆーちん]
「遅い…って。栄之助か。」
「ママぁ、なんだか久しぶり。今までどこにいたの?」
「朝からずっとここにいたよ。」
「ズルーい。俺なんか朝はオバケで午後からは呼び子。やっと今から休憩だよ。」
「あんなに張り切ってたのに、さすがにお疲れだね?」
:09/05/04 11:56 :SH901iC :RBZ4yaF.
#400 [ゆーちん]
栄之助はヘロヘロヘロっと歩いて、私の隣に座った。
で、そのままキス。
挨拶変わりみたいなもんかな。
…外国人かよ。
「はぁ…会いたかったぁ、ママ。」
…子供かよ。
:09/05/04 11:57 :SH901iC :RBZ4yaF.
#401 [ゆーちん]
「明日のバンド、ちゃんと聞いてね?」
「んー、忘れてなかったらね。」
「俺と仁士のツインボーカルなんだ。俺はママのために歌うからね!」
恋人とか好きな人にそんな事言われたら嬉しいんだろうけど、栄之助に言われても本当に子供に言われてるようなもんだった。
:09/05/04 12:07 :SH901iC :RBZ4yaF.
#402 [ゆーちん]
「何時から?」
「午後から。時間はまだわかんない。」
「そ。まぁ頑張ってよ。」
「うん。」
キスは栄之助の腕の中でした。
:09/05/04 12:07 :SH901iC :RBZ4yaF.
#403 [ゆーちん]
応援キスは、どんどん熱くなり、いつもながらの舌がグイグイと入って来る。
私はその舌を受け入れるだけ。
応えたりはしない。
栄之助の手は私の胸に。
お決まりパターンなんだけど、なぜか栄之助にされると新鮮な気持ちで溢れ返っちゃうんだよね。
:09/05/04 12:09 :SH901iC :RBZ4yaF.
#404 [ゆーちん]
ボタンを外し、まさにブラジャーも脱がされるって時だった。
「もうペチャパイは見たくないから、そこまでね。」
栄之助の手は止まり、口から舌が抜かれて唇も離れた。
「あれ…仁士どしたの?」
不思議そうな栄之助に、仁士は答えた。
:09/05/04 12:10 :SH901iC :RBZ4yaF.
#405 [ゆーちん]
「お前のママに頼まれたの。」
仁士はベンチの上に、財布とビニール袋を置いた。
中身は見なくてもわかる。
たこ焼き、焼きそば、林檎飴、それからたい焼き。
:09/05/04 12:11 :SH901iC :RBZ4yaF.
#406 [ゆーちん]
「ありがと。随分時間かかったね。」
「写真撮ってって頼まれたり、逆ナンされたり、俺もいろいろ大変なの。」
「あっそ。ありがとうね、委員長。」
「どういたしまして、先生。」
:09/05/04 12:12 :SH901iC :RBZ4yaF.
#407 [ゆーちん]
仁士に買ってきてもらったものを3人で食べながら、私と栄之助vs仁士のオセロをして過ごした。
仁士はさすが仁士であって、私と栄之助より一枚も二枚も上手でこてんぱんにやられた事は、文化祭での唯一の心残りだった。
:09/05/04 12:12 :SH901iC :RBZ4yaF.
#408 [ゆーちん]
放課後にバンド練習はしないのかを聞くと、しないと言った。
前日にまで練習するほど俺らは追い込まれてないから、って。
へぇ〜、カッコイイじゃん?
「バンド名は?」
「カレーライスマン。」
「は?」
「俺らみんなカレーライス大好きだから、カレーパンマン文字ってカレーライスマン。」
バンド名はダサすぎだけど、とりあえず頑張れカレーライスマン。
:09/05/04 12:13 :SH901iC :RBZ4yaF.
#409 [ゆーちん]
「続きまして2年C組のみなさんです。内容はバンドで、バンド名はカレーライスマンだそうです。ユニークなバンド名ですね!それでは盛り上げていただきましょう、カレーライスマン!」
司会の紹介と共にカレーライスマンが登場。
:09/05/04 12:19 :SH901iC :RBZ4yaF.
#410 [ゆーちん]
文化祭2日目。
場内は黄色い声に包まれた。
そりゃそうだ。
世間一般でいう男前2人がツインボーカルのバンドなんだから。
「カレーライスマンでーす。カッコイイバンド名で、みんな驚いてるでしょ?」
栄之助の問いかけに、今度は笑い声が響いた。
:09/05/04 12:19 :SH901iC :RBZ4yaF.
#411 [ゆーちん]
「まぁバンド名は適当なんだけど、曲のほうはマジなんで。それじゃあ聞いて下さい。」
仁士の発言で、今度は拍手が飛びかった。
ドラマーがカウントを取り、4のあとに演奏が始まった。
ノれる曲だった。
栄之助は煽るのが上手く、場内は一気に盛り上がった。
盛り上げ上手とは、このことだ。
:09/05/04 12:21 :SH901iC :RBZ4yaF.
#412 [ゆーちん]
2曲目はちょっとしっとりしたラブソング。
会場はクールダウンし、みんな聞き入っていた。
3、4曲目はまた盛り上げソング。
忙しい奴らだ、カレーライスマン。
:09/05/04 12:21 :SH901iC :RBZ4yaF.
#413 [ゆーちん]
5曲目も明るく元気な歌だった。
それで一回退場したけど、サクラなのか本物なのかわからないけどアンコールの声が湧いたので、アンコールを2曲。
「アンコール、ありがとうございます!めちゃくちゃ嬉しい。」
ツインボーカルが戻って来ると黄色い声が、また飛びかう。
ドラムやベース、それからギターの奴らがちょっと可哀想だぞ。
まぁ、私には知ったこっちゃないけどね。
:09/05/04 12:22 :SH901iC :RBZ4yaF.
#414 [ゆーちん]
「今までの5曲は全部、有名な歌手が歌ってたやつじゃん?それもそれで楽しいんだけど、俺らもちょっとカッコつけたくなっちゃって…なんと、作っちゃいました!」
栄之助の紹介に続き、仁士も場を沸かす。
「作詞作曲カレーライスマンです。曲名はまだ決まってないんですけど、とりあえず聞いてみてください。」
:09/05/04 12:23 :SH901iC :RBZ4yaF.
#415 [ゆーちん]
仁士の合図にドラマーがカウントする。
そして優しいメロディーが流れ始めた。
さすが自分たちで作詞作曲しただけある。
栄之助と仁士の声を考えて作られたようなメロディーと歌詞だった。
:09/05/04 12:23 :SH901iC :RBZ4yaF.
#416 [ゆーちん]
演奏が終わると、お褒めの言葉がわんさかと飛びかった。
「めちゃくちゃいいじゃーん!」
「売れる売れる〜。」
「着うた欲しいよ!」
当然、気分がよくなるカレーライスマン。
:09/05/04 12:25 :SH901iC :RBZ4yaF.
#417 [ゆーちん]
「ありがとう、ありがとう、ありがとうー!」
栄之助のお礼の投げキッスは女子たちに拾われて、最後の曲紹介となった。
「次の曲も作詞作曲カレーライスマンだから。今みたいなバラードじゃなく、アゲアゲな感じだからノリノリで行くよーん!」
:09/05/04 12:26 :SH901iC :RBZ4yaF.
#418 [ゆーちん]
最後の最後の曲。
なかなかのカリスマ性があるかもしれない、カレーライスマン。
場内を盛り上げるオリジナル曲は、リズムは凄くよかった。
ただ歌詞に一つ引っ掛かるとこがあったから、あとで仁士か栄之助に聞いてみようと思う。
:09/05/04 12:27 :SH901iC :RBZ4yaF.
#419 [ゆーちん]
そんなこんなで文化祭2日目が終わった。
カレーライスマンのおかげで準優勝を貰いました。
優勝は3年生のバンドだった。
カレーライスマンがこのまま練習積み重ねて、来年の文化祭で披露するんだったら、って考えるとちょっとは学校で仕事をし続ける楽しみが出来るかも。
:09/05/04 12:27 :SH901iC :RBZ4yaF.
#420 [ゆーちん]
後夜祭は、暗くなった運動場で花火やらフォークダンスをするらしい。
残念ながら、舞台発表を真面目に鑑賞していたせいで体力の限界。
「保泉先生。」
「あぁ、ななみん先生。2C準優勝でしたねぇ!」
テンションの高い担任に、体調が悪いと伝えてやった。
:09/05/04 12:29 :SH901iC :RBZ4yaF.
#421 [ゆーちん]
「なら、もう帰った方がいいですね。」
一気にテンションが低くなる保泉。
喜怒哀楽が激しい男ってわかりやすいから、嫌いじゃないよ。
「でもこれから後夜祭が。」
「大丈夫です、後夜祭は生徒が勝手にやってる事ですので。だから何人かの先生はもう帰ってるはずです。」
えぇー…そんなラフでいいの?
:09/05/04 12:30 :SH901iC :RBZ4yaF.
#422 [ゆーちん]
「生徒が勝手って言っても一応は監視しておかないといけないんで、若い教師が残るのが暗黙のルールになってるんです。」
「そうなんですか…」
「でもななみん先生、体調悪いんでしたら後の事は気にしないで、本当に帰ってくれてもいいですから。ゆっくり休んでください!」
:09/05/04 12:31 :SH901iC :RBZ4yaF.
#423 [ゆーちん]
優しいねー、ほずみんは。
いやらしい目じゃなけりゃ尚更いいのに。
「すみません。ではお言葉に甘えさせてもらいます。」
「明日からまた元気なななみん先生の姿、期待してます。」
「アハッ…それじゃあ、お先に。」
:09/05/04 12:31 :SH901iC :RBZ4yaF.
#424 [ゆーちん]
ちょろいなー、保泉。
人を疑う心がないんだな。
おかげで助かった。
レオたん、今帰るよ。
別にたいして体力も使ってないくせに、やけに体がクタクタだった。
だから家に到着してすぐに風呂入って、さっさとベッドに入った。
:09/05/04 12:32 :SH901iC :RBZ4yaF.
#425 [ゆーちん]
確かまだ22:00
いくらなんでも寝るの早すぎって感じだけど、なぜか体がダルくって。
生理前なのかな。
「レオ、おやすみ。」
私は簡単に夢へと落ちた。
だけど、静かな部屋に突如と鳴り響くインターホンにすぐ叩き起こされたんだけどね。
:09/05/04 12:33 :SH901iC :RBZ4yaF.
#426 [ゆーちん]
無視していたら、電話が鳴った。
仁士、蕾夢、栄之助。
さぁ、どーれだ。
「寝てまーす。」
「起きてんじゃん!開けてよ。」
「やだー。」
私も甘くなったもんだから、いやだって言いながらも結局は迎え入れてやってんの。
:09/05/04 12:34 :SH901iC :RBZ4yaF.
#427 [ゆーちん]
「可愛いパジャマ。」
「ルームドレスよ。」
「今日の俺たちかっこよかったっしょ?」
「見てないからわかんなーい。」
「嘘つき。柴田七海の熱視線感じたよぉ。」
:09/05/04 12:34 :SH901iC :RBZ4yaF.
#428 [ゆーちん]
ちょっぴり寝ぼけながらしたキス。
栄之助の唇はすでに暴走し始めていた。
ルームドレスの下は、何も無かった。
さすがに、下着をつけていなくて驚いたらしく一瞬手が止まった。
「ノーブラはわかるけど、ノーパンはダメだよ。」
:09/05/04 12:35 :SH901iC :RBZ4yaF.
#429 [ゆーちん]
「何で?」
「ママとして見れなくなる。」
「フフッ、何それ。」
「…わかってるくせに。」
「わかんないよ。わかったら、栄之助のママがいなくなるからさぁ。」
「…優しいね。」
:09/05/04 12:36 :SH901iC :RBZ4yaF.
#430 [ゆーちん]
気付いてたよ、んなもんとっくに。
ママの役目をもらったし、相手はガキ猿だし、教師だしって事で栄之助の気持ちを知らんぷりしてた。
だけどあんなキスばっかされてたら、誰でも気付くよ。
私を好きなんだよね、ママ変わりじゃなくて…女として。
:09/05/04 12:37 :SH901iC :RBZ4yaF.
#431 [ゆーちん]
「ヤッてもいいけどママを失うよ?」
その言葉に、栄之助はマジな顔して考えていた。
しばらくして栄之助は口を開いた。
「ママ、ママ、ママ。」
「何、連呼しなくても聞こえるよ。こんな近いのに。」
「ママを失うのはやだ」
:09/05/04 12:38 :SH901iC :RBZ4yaF.
#432 [ゆーちん]
栄之助の選んだ道は正解だと思う。
ヤッちゃったら終わりだもん、うちらの関係ってのは。
「これからもママでいてね。」
「ならママの言う事は、ちゃんと聞きましょう。もう寝んねの時間だから、栄之助も一緒に寝る?」
:09/05/04 12:38 :SH901iC :RBZ4yaF.
#433 [ゆーちん]
「もう寝るの?」
「夜更かしはお肌に悪いし。」
これからもママだから、別に何があるってわけじゃない。
ママっていうのも、ただの口実で栄之助は私とキスしたいだけ。
そんなの、わかってる。
私ももういい歳なんだから。
:09/05/04 12:39 :SH901iC :RBZ4yaF.
#434 [ゆーちん]
栄之助はただ寂しいだけなんだ。
寂しいから、甘える相手が欲しくって手頃な私に頼んで来ただけ。
だからヤッちゃだめ。
モラルとか将来性とか考えて。
私も昔、バカな事してたけど、痛い目にあったぶん成長してるんだから。
:09/05/04 12:40 :SH901iC :RBZ4yaF.
#435 [ゆーちん]
「お風呂は?」
「…まだ。」
「汚い!シャワー浴びてきな。体綺麗にして、ベットインしなさーい。」
「服とかないもん。」
「私の服、入るっしょ。栄之助細いし。丈は無理だけど。戸棚の服、適当に着ていいよ。」
「…ん。」
「じゃあ私は先に寝るー。おやすみ。」
:09/05/04 12:40 :SH901iC :RBZ4yaF.
#436 [ゆーちん]
猿がルームドレスだよ?
想像したら笑えるね。
でも想像する元気のない私は、再びレオと眠りについた。
人の気配を感じ、薄ら目を開けた時、栄之助が眠っていたので抱きしめてあげた。
こういうのがママの役目だからさ。
:09/05/04 12:41 :SH901iC :RBZ4yaF.
#437 [ゆーちん]
翌朝。
目覚ましアラームが鳴る前に、栄之助の唇で起こされた。
昨日、一線を越えちゃいけない事を遠回しに叱ったはずなのに、どうしてこんなにお盛んなんでしょう。
私だって、色々我慢してんだ。
:09/05/04 12:47 :SH901iC :RBZ4yaF.
#438 [ゆーちん]
「栄之助。」
頭を押しやると、素直にどいてくれた。
「おはよう、ママ。」
「おはよう。朝っぱらから甘えたさんだね。」
皮肉たっぷりで言ったつもりなのに、栄之助は笑ってた。
「だって目が覚めたら目の前におっぱいがあんだよ?食い付かずにいれる奴なんていんの?」
:09/05/04 12:47 :SH901iC :RBZ4yaF.
#439 [ゆーちん]
「知らないよ。寝込み襲われたから今日の片付けは欠席したいですって保泉に言ったらどうなるかなー。」
「アハハ!ちょっとそれ面白い。」
:09/05/04 12:48 :SH901iC :RBZ4yaF.
#440 [ゆーちん]
寝起き早々、胸を舐められるのは嫌だけど、隣に笑顔の奴がいるのは悪くない。
特に、昨日と同じパンツで女物のルームドレスを着こなしてる奴だとね。
「笑ってないで起きて。学校遅刻するよ。」
:09/05/04 12:50 :SH901iC :RBZ4yaF.
#441 [ゆーちん]
「休もうよ。」
「ダメ。学校行ってサボるのはバレない限り給料に響かないけど、休んじゃうと給料明細見て泣く羽目になるから。」
「たった1日じゃん。」
「ダメったらダメ。しっかり片付けしなさいよ、渡辺栄之助くん?」
「わかりましたよ、柴田先生っ!」
:09/05/04 12:51 :SH901iC :RBZ4yaF.
#442 [ゆーちん]
納得していないバカ猿は、そそくさと支度を始めた。
ルームドレスを脱ぐ前に写真撮っとけばよかったな。
あんな面白いもの、滅多に見れないんじゃない?
:09/05/04 12:52 :SH901iC :RBZ4yaF.
#443 [ゆーちん]
10月3日、金曜日。
晴れ。
「うん、片付け日和!」
「片付け日和か?暑いだけじゃん。」
「おぉ、おはよう。委員長。」
登校中、仁士に会った。
:09/05/04 12:52 :SH901iC :RBZ4yaF.
#444 [ゆーちん]
「もう10月だってのに、絶対温暖化関係してるね。」
「へぇ、そうなの。」
「教師だろ、あんた。」
仁士は笑った。
「そうだ、カレーライスマンに質問。」
「どうしてネーミングセンス無いの?って質問なら受け付けない」
:09/05/04 12:53 :SH901iC :RBZ4yaF.
#445 [ゆーちん]
「歌詞に出てきた、Seven seaが笑ってくれるなら何だって出来る…だっけ?あれ私に向けてのメッセージですかぁ〜?」
「ちょっと歌詞違うけど」
「そう?こんな感じだったよ」
「自惚れすぎじゃ?」
「そりゃ自惚れちゃうよ。7つの海なんて私に向けてとしか考えらんない。」
:09/05/04 12:53 :SH901iC :RBZ4yaF.
#446 [ゆーちん]
「あの歌詞は栄之助が考えたんだ。」
「通りで単純なわけだ。」
「でも良かっただろ?」
「…まあまあかな。」
「栄之助に言ってやりなよ。喜ぶぞ」
「ん」
今朝、本当は栄之助にも聞くつもりだったんだけどドタバタしてて忘れちゃってた。
:09/05/04 12:54 :SH901iC :RBZ4yaF.
#447 [ゆーちん]
だから今日、学校で会ったら言ってあげよう。
栄之助は仁士みたく、自惚れてるだなんて笑わないだろうから。
:09/05/04 12:55 :SH901iC :RBZ4yaF.
#448 [ゆーちん]
「あーぢぃー」
さぁさぁ生徒諸君。
お祭りが終わったからと言ってダラけるな!
片付けろ!
あんたらが騒いで散らかしたんだから片付けんの当たり前でしょ?
「ななみーん、俺もう無理」
「俺もぉ。疲れたー」
はぁ?
甘えてんじゃねぇ!
自分のケツは自分で拭け。
:09/05/04 12:55 :SH901iC :RBZ4yaF.
#449 [ゆーちん]
「頑張ろうよー、早く片付けが終わったら早く帰れるんだよ?」
「え、そうなの?」
「マジかよ、知らなかった」
「だから頑張ろう、ね?」
「ななみんが言うなら、しゃーねぇなぁ」
暑いのを我慢して、爽やかな笑顔を浮かべている私だけど、心の中じゃ今すぐ逃げ出したくて仕方ないって言う…。
:09/05/04 12:56 :SH901iC :RBZ4yaF.
#450 [ゆーちん]
でも明日から休みだし、頑張ろう。
だから私に愚痴りに来るんじゃない、ガキどもめ。
「何、今の。ななみんスマイル?キモーい」
なんだよ、クラス委員長。
「みんな、ななみんが好きみたい。ちょろいガキだわ」
:09/05/04 12:57 :SH901iC :RBZ4yaF.
#451 [ゆーちん]
「本性こんななのに、なんであいつらは気付かないんだろ」
「私の演技がハリウッド級だから?」
「…」
「ボケたのにツッコめよ。滑ったよ私」
「それよりさぁ」
「話変わっちゃうのかよ」
「栄之助からメール来てさ、今日サボるんだって。ママから叱ってやってよ。こんな日にサボるなんて卑怯な奴」
:09/05/04 12:58 :SH901iC :RBZ4yaF.
#452 [ゆーちん]
はい?
そうなの?
サボってんの?
信じらんなーい。
せっかくカレーライスマンの歌詞の事でお礼しようと思ってたのに。
「つーか今日行っていい?」
「いや」
「いやよいやよも好きのうち、っつーことで蕾夢と行くから」
:09/05/04 12:59 :SH901iC :RBZ4yaF.
#453 [ゆーちん]
っとにもぉ、どいつもこいつも!
「お土産付き。8時頃行くね」
それだけ言って、仁士は去って行った。
はぁーあ。
今日も疲れそう。
明日が土曜日でよかった。
:09/05/04 12:59 :SH901iC :RBZ4yaF.
#454 [ゆーちん]
「ななみちゃん、れお、こんばんわぁ」
8時だよ、全員集合ー!
…って古い?
「こんばんは。今日もエラ可愛いね蕾夢」
蕾夢はさっそくレオとじゃれ始めた。
「エラ可愛い?」
蕾夢の兄が言う。
:09/05/04 13:00 :SH901iC :RBZ4yaF.
#455 [ゆーちん]
「偉い可愛いの略」
「い、しか略してねぇじゃん」
「うっせ、早く入れ」
「お邪魔しまーす」
慣れたように入って来た仁士。
「今日は何の用」
「用がなきゃ来ちゃいけないの?」
「いけないの」
「つまんねぇ女」
:09/05/04 13:00 :SH901iC :RBZ4yaF.
#456 [ゆーちん]
仁士はこのタイミングを待ちわびていたかのように、私の機嫌を治すお土産を出した。
「何これ」
「お土産」
:09/05/04 13:01 :SH901iC :RBZ4yaF.
#457 [ゆーちん]
机の上に置かれたお酒。
「未成年飲酒を見逃せってか?」
「ちげーよ。七海へのプレゼント」
「私に?」
「バイト先の人がくれたんだ。俺のこと学生って知らなかったみたいでさ。未成年だからいらないって断ったら親にあげてって言われたけど…酒癖の悪い両親にエサ与える訳にいかねぇし」
:09/05/06 16:39 :SH901iC :aLDiVks2
#458 [ゆーちん]
「で、私に?」
「そ。もしかしてお酒嫌い?いらないなら他の人にあげるけど」
「いや、あの…大好きです。お酒」
「酒飲み女もモテない女の条件だよなー」
「んあ?」
仁士にニヤリ笑われてしまったけど、素直に貰ってよかったよ。
ガキにはわからないだろうけど、このお酒、めちゃめちゃ美味しいって有名でしょ?
:09/05/06 16:40 :SH901iC :aLDiVks2
#459 [ゆーちん]
「…ありがと」
「素直な女はモテる」
「あっそ」
蕾夢にはリンゴジュース。
仁士にはアイスティーを出してあげた。
私はさっそくもらったお酒を!
…飲みたいところだけど、さすがにそこまでお酒好きではないから仁士と同じアイスティー。
:09/05/06 16:41 :SH901iC :aLDiVks2
#460 [ゆーちん]
「別に飲んでもよかったのに」
「さすがに未成年の前で飲めないでしょ。ましてや私、教師ですから」
「へぇー、教師なんだ。知らなかった」
そんな冗談ぶっかましの仁士は携帯電話を開き、いきなり私に手渡した。
:09/05/06 16:43 :SH901iC :aLDiVks2
#461 [ゆーちん]
「何」
「読んで。栄之助から」
画面はメール受信BOXが表示されていた。
差出人は栄之助。
《ママに俺の気持ちバレた》
「何これ」
私が聞くと、仁士は眉を寄せた。
「こっちの質問なんだけど」
:09/05/06 16:44 :SH901iC :aLDiVks2
#462 [ゆーちん]
蕾夢がテレビに夢中になってるうちに、私と仁士の会話は進む。
仁士は常にクールビューティーを保っていました。
堂々と煙草を吸いながら。
私もキャラ崩壊してたけどね。
「ママにバレたんだって。何バラしちゃったの?」
:09/05/06 16:45 :SH901iC :aLDiVks2
#463 [ゆーちん]
「何もバラしてないし、栄之助の気持ちなんか…あ」
「今の、あ、は明らかに何か思い出した、あ、だよね」
そうだ、昨日の夜の事だ。
口には出さなかったけど、やっぱり栄之助も気づいちゃったんだ。
私が、栄之助の好意に気づいてる事。
:09/05/06 16:46 :SH901iC :aLDiVks2
#464 [ゆーちん]
「思い出した」
「何、教えてよ」
「…昨日、栄之助ここ泊まったんだよね」
仁士は表情を崩し、呆れ顔になった。
:09/05/06 16:47 :SH901iC :aLDiVks2
#465 [ゆーちん]
「ヤったの?」
「違う。ヤってない。ヤるわけないじゃん」
「ただ眠っただけ?」
「そ。あんたと蕾夢みたいに」
「あの栄之助と一晩を共にしたのに、襲われなかったあんたは魅力ゼロって事か」
「あ?ちげーし。襲ってきたけど拒否ったの。ヤってもいいけどママを無くすよ、って」
:09/05/06 16:47 :SH901iC :aLDiVks2
#466 [ゆーちん]
蕾夢がテレビで笑う中、私たちは話を続けた。
仁士の野郎は、まるで自分んちかのようにリラックスムードで椅子に座ってやがる。
「したら?」
「性欲より、童心のが勝ったみたいでさ。ママを無くすのはヤダからっておとなしくなった」
:09/05/06 17:54 :SH901iC :aLDiVks2
#467 [ゆーちん]
「つーまーりー、七海とマジでヤろうとしたから、栄之助は自分が七海に好意があるっつーのがバレてしまった、と思ってる訳か?」
「…え、何。ごめん、もっとわかりやすく説明して」
「お前本当に教師か?」
「教師じゃ…ないのかも」
:09/05/06 17:54 :SH901iC :aLDiVks2
#468 [ゆーちん]
「ったくよー。だから、栄之助は七海が好きなんだよ。わかる?」
「ママとして?」
「んなわけねーだろ。女として」
…あぁ、やっぱりそうなんだ。
:09/05/06 17:55 :SH901iC :aLDiVks2
#469 [ゆーちん]
「ずっと七海には内緒で、栄之助はその恋心を隠してきました。でも、昨日我慢の限界で七海を襲って。
で、その時七海がなんか余計な事を言ったため、七海に自分の気持ちがバレちゃったから、俺にメールしてきたんだな」
「余計なことって…何」
「知らねーよ、バカ!自分のペチャパイに手ぇ当てて聞いてみろ」
:09/05/06 17:55 :SH901iC :aLDiVks2
#470 [ゆーちん]
「でもさ、結局は私とヤんなかったんだよ?つまりママを選んだってことじゃん」
「んー、まぁそうなのか」
「そこまでして、ママに執着する意味は何?やっぱ母親に甘えたことないから?」
「たぶんそうなんじゃね?あいつ今までもママいっぱいいたよ。でも過去のママとはみーんなヤっちゃってたけどね」
:09/05/06 17:56 :SH901iC :aLDiVks2
#471 [ゆーちん]
「何それ。何で私とはヤんなかったんだろ。やっぱ‥」
「魅力がねーから」
「はぁ?」
「もしくは、本気で七海に惚れてるか、だな」
うっそぉー。
後者だとしたら、相当面倒だよ?
どうすればいいの。
:09/05/06 17:57 :SH901iC :aLDiVks2
#472 [ゆーちん]
「ママに執着する意味はそんなに考えなくてもいいんじゃね?やっぱ甘え知らずで育ったから、その反動かもしんないし」
「もしくは、ただの口実。ママっていう役割に頼ってキスとかしてくる為だけの」
「俺が選ぶなら、もーっちょっと色気のある女をママにするけどな」
:09/05/06 17:58 :SH901iC :aLDiVks2
#473 [ゆーちん]
「…喧嘩売ってんの?」
「うん」
殴ってやろうか、ガキめ。
「とりあえず栄之助の話はわかった。そういう訳ね」
「ただの友達なのに、あんたは優しいねー。男でそんな友達想いは珍しいよ。もしかしてソッチ系?」
:09/05/06 17:59 :SH901iC :aLDiVks2
#474 [ゆーちん]
「あらやだ、僕疑われてるのかしら」
「だってさ、前に1万貸してって言われたときも、断られたら体売るって言ったし。男が体売るって意味わかってんのー?」
「わかってるよ。冗談に決まってんじゃん。金なくてもそこまでしねーし」
「ふーん、どうだか」
:09/05/06 17:59 :SH901iC :aLDiVks2
#475 [ゆーちん]
「栄之助とは、小さいときから仲良くて同じ歳なのに弟みたいな奴でさ。友情っていうか愛情入ってんのかも。家族愛っつーの?蕾夢への愛情と似てんだよ、栄之助のは」
へー、私だけじゃないんだ。
「それわかる。私も蕾夢への感情と栄之助への感情が似てんだよね」
:09/05/06 18:00 :SH901iC :aLDiVks2
#476 [ゆーちん]
「そうなの?なら栄之助の奴、七海を想ってても意味ねぇじゃん。結局は母性愛みたいなもんだろ?」
「んー…なのかも」
その後も、ぐだぐだと話をした。
アイスティー何杯おかわりしたんだろう。
かなりの量を飲んだ気がする。
:09/05/06 18:01 :SH901iC :aLDiVks2
#477 [ゆーちん]
「にいに、おちっこ」
テレビが終わった蕾夢が言った。
「ん」
仁士はトイレに連れて行き、ズボンとパンツを脱がした。
「…ぐふっ」
「変態七海」
「だって可愛くって」
「一種のセクハラだな」
:09/05/06 18:01 :SH901iC :aLDiVks2
#478 [ゆーちん]
トイレから出ると、二人は帰ると言った。
なので、お見送り。
「蕾夢、七海ちゃんにバイバイは?」
「ばいばーい」
ちーっちゃい手がヒラヒラ揺れる。
かっ、可愛すぎる。
「蕾夢、いつでもおいで。でも兄貴のほうはいらないよー」
「何でだよ」
「仁士が来たって役に立たないもん。蕾無は私の癒し系アイドルだから」
:09/05/06 18:02 :SH901iC :aLDiVks2
#479 [ゆーちん]
蕾夢ともう一度バイバイをして、仁士にも一応お酒のお礼を。
で、帰ってった。
ここからはレオとの時間。
「ねぇレオ。栄之助、何思ってるんだろうね」
わかんないよ、ってレオが言う。
:09/05/06 18:02 :SH901iC :aLDiVks2
#480 [ゆーちん]
「私を好きなのは確かなんだよね。これは自惚れとかじゃなく。でも、好きなら何で恋人じゃなくママを選んだんだと思う?」
んー、ってレオが考える。
:09/05/06 18:03 :SH901iC :aLDiVks2
#481 [ゆーちん]
「何にせよ、栄之助とまた話さなくちゃなぁ。よくわかんないや。仁士が何考えてるのかも」
そんな金曜日の夜。
明日は、休みだ。
色々と一人で考える時間はたくさんある。
:09/05/06 18:03 :SH901iC :aLDiVks2
#482 [ゆーちん]
―――
週明けの月曜日。
今日から普通の授業だ。
眠いー、だるいー、うざいー。
「事件でーす」
んな軽い口調で知らせるなよ、委員長。
「何〜。朝からテンションの下がるような話はいやだから」
ていうか、登校中によく会うよねー。
:09/05/06 19:41 :SH901iC :aLDiVks2
#483 [ゆーちん]
「…二日酔い?」
「あー、バレた?昨日、あんたにもらった酒を飲んだのよ〜。めちゃ美味かった。完食ならぬ完飲」
「一人で?」
「まさか。友達と」
「だよな、さすが一人だと引く‥」
「でもその友達ってのがお酒ダメな子でさぁ」
「ドン引きです、柴田先生」
:09/05/06 19:42 :SH901iC :aLDiVks2
#484 [ゆーちん]
んな、全開で引かなくても。
私と仁士の仲じゃん、ねぇ〜?
「なんか悩み事とか聞いて貰いながら飲んでてさ、いつのまにか飲みきってた。アハハ…自分でもビックリ」
「悩みって…栄之助?」
:09/05/06 19:44 :SH901iC :aLDiVks2
#485 [ゆーちん]
「プラス、うざいクラス委員長」
「へぇー、そんな委員長いるんだ」
「…で、何よ事件って」
「その悩みの種の委員長じゃない方、壊れた」
「は?日本語で説明して」
「いや、日本語だけど」
:09/05/06 19:45 :SH901iC :aLDiVks2
#486 [ゆーちん]
「栄之助が壊れたの?」
「うん」
「ぬあ?」
仁士は淡々と話す。
「朝電話あってさ、出てみたら弱った声でいきなり、ここどこ〜?って」
「はぁ?」
「んなもん俺が知る訳ねぇじゃん。だから詳しく聞けばさぁ、夕べ羽目外しすぎちゃったらしいんだよね」
:09/05/06 19:46 :SH901iC :aLDiVks2
#487 [ゆーちん]
「羽目って…どのくらい?」
「未成年の飲酒、喫煙、不純異性交友」
一気に青ざめた、ママ。
「まさか警察に?」
「いや、警察沙汰にはなってなくて。朝起きたら知らないホテルに寝てて〜みたいな」
「なんだ、警察沙汰になんなくてよかった」
:09/05/06 19:46 :SH901iC :aLDiVks2
#488 [ゆーちん]
いや、でも問題は他にもあるっしょ。
「私が拒否ったから手当たり次第ヤったのかなぁ」
「かもねぇ」
「栄之助、今日学校来るって?」
「あぁ、たぶん。詳しくは本人に聞いて。まぁでももしかしたら避けられちゃうかもだけど」
:09/05/06 19:47 :SH901iC :aLDiVks2
#489 [ゆーちん]
「んー、あり得るね」
「二日酔いになってる場合じゃないね、マーマ」
仁士はニッと笑い、そのまま私を置いて友達と学校に入ってった。
:09/05/06 19:48 :SH901iC :aLDiVks2
#490 [ゆーちん]
さーさーさー。
栄之助、あんたに聞きたい事が山ほどあるよー。
だから早く登校しろっ!
:09/05/06 19:50 :SH901iC :aLDiVks2
#491 [ゆーちん]
その願いが通じたのは6時間目だった。
《栄之助、来たぞ》
登校してきたらメールちょうだいって仁士に頼んでおいてよかった。
ちゃんと報告してくれてありがと、さすが委員長。
…にしても登校遅っ。
:09/05/06 19:51 :SH901iC :aLDiVks2
#492 [ゆーちん]
授業のなかった私は職員室で待機。
てゆーか抜き打ちテストの作成。
抜き打ちテスト嫌いだったなぁ〜、なんて思いながら黙々と作った。
一時間なんてあっという間。
結局テストは作りきれなかったから途中で作成放棄。
急いで2Cに向かった。
:09/05/06 19:52 :SH901iC :aLDiVks2
#493 [ゆーちん]
「ななみんバイバーイ」
「また明日ねぇ」
えっ、ホームルーム終了?
早く行かないと栄之助に帰られるっ!
「さよなら〜」
教室から出て行く生徒に挨拶をしたななみんは、慌て教室に入った。
:09/05/06 19:53 :SH901iC :aLDiVks2
#494 [ゆーちん]
よっし!
仁士ナイス!
「渡辺くーん」
仁士が栄之助を引き止めてくれていたおかげで、まだ教室に残っていた。
私が呼び掛けると栄之助は振り返り、どんな反応をするのかとドキドキした。
:09/05/06 19:54 :SH901iC :aLDiVks2
#495 [ゆーちん]
「先生久しぶり〜」
…あら、いつも通りだし。
あからさまに避けたりするとか思ってたんだけどな。
「これから時間ある?」
「んー、ちょっとだけなら」
「色々聞きたい事あるんだ」
「うん、いいよ」
いつもの笑顔で、言う事聞いてくれた栄之助はとても昨日ぶっ壊れてたようには思えなかった。
:09/05/06 19:55 :SH901iC :aLDiVks2
#496 [ゆーちん]
仁士にお礼を言ってから、私と栄之助は教室を後にした。
「更衣室?」
「うん」
周りを気にしてから、二人で更衣室に入る。
ここからは素でいられるから楽なんだ。
:09/05/06 19:56 :SH901iC :aLDiVks2
#497 [ゆーちん]
「あのさママ」
最初に声を出したのは栄之助だった。
「金曜、学校サボってごめんね」
「…別にいいけど。何でサボったの?」
「ママに会いたくなかったから」
正直なんだか、意地悪なんだか。
:09/05/06 19:57 :SH901iC :aLDiVks2
#498 [ゆーちん]
「朝まで一緒だったのに?」
「うん」
「嫌いになったの?私のこと」
「ううん、全然。これからもママでいてねー」
屈託のない笑顔だった。
色々聞きたかったのに、一気にやる気が失せる。
仁士に送ったあのメールでの、バレたってのは私が予想してる答えで合ってるのか聞きたかった。
:09/05/06 19:59 :SH901iC :aLDiVks2
#499 [ゆーちん]
でも、よく考えるとさ、それを聞いたら、仁士が私にチクったのが栄之助に知られるんだよね。
二人の仲を悪くさすつもりなんてないから、聞けなかったよ…色々と。
:09/05/06 20:01 :SH901iC :aLDiVks2
#500 [ゆーちん]
でも1つだけ、ちゃんと聞けた。
「カレーライスマンのアンコール曲、あれ私に作ってくれたんでしょ?」
「アハッ、バレたかぁ〜」
「バレバレ。でもありがとう。普通に嬉しいよ」
この【バレた】じゃないんだよね?
栄之助が仁士に送ったメールの【バレた】は。
:09/05/06 20:08 :SH901iC :aLDiVks2
#501 [ゆーちん]
「来年も期待してる」
「うん」
喫煙、飲酒、叱りたい事だらけだけど、これも仁士からのタレコミだから言えなかった。
てゆーか禁煙してたんじゃないの、栄之助。
禁煙してたのに吸っちゃうぐらい、荒れる事があったんだろうな。
で、その原因ってやっぱ…私なのかな。
:09/05/06 20:09 :SH901iC :aLDiVks2
#502 [ゆーちん]
何も言えなくなってしまい、沈黙になる更衣室。
また、先に沈黙を破ったのは栄之助だった。
「ママさ、俺の気持ち知ってんでしょ?なのに避けたりしなくて、ありがとね」
あらら、自分から言ったよ。
「あのさ、その栄之助の気持ちって、やっぱ…」
:09/05/06 20:10 :SH901iC :aLDiVks2
#503 [ゆーちん]
私を女として好きなの?って質問は、栄之助に遮られた。
「言わないで」
「…」
あぁ、じゃあそうなのか。
「もう襲ったりしないからさ、これからもママでいてよ」
:09/05/06 20:11 :SH901iC :aLDiVks2
#504 [ゆーちん]
「栄之助はそれでいいの?私が聞くのも変だけどキスしたりして、歯止め効く?」
「効く。女としてより、柴田七海にはママとして、いて欲しいから」
「あんたがそれほどママに執着する意味って何?」
「…反動かな。甘え知らずだったから」
ふーん、私と仁士の考えはビンゴじゃん。
じゃあやっぱ、その執着心は深く考えなくていいのか。
:09/05/06 20:12 :SH901iC :aLDiVks2
#505 [ゆーちん]
「わかった、これからもママするよ」
「で、俺また彼女できたんだ。彼女いるから、もうママに変な事しないよ。でもたまに甘えさせてね」
栄之助の笑顔はいつもと違った。
無理してる。
ママだからわかるんだよ。
:09/05/06 20:13 :SH901iC :aLDiVks2
#506 [ゆーちん]
「うん、了解」
「たまぁにチューとかさせてね?んじゃ」
栄之助はそう言って逃げるように更衣室から出て行った。
なんか…不完全燃焼。
:09/05/06 20:13 :SH901iC :aLDiVks2
#507 [ゆーちん]
いつの間にか冬になっていた。
ビデオの早送り?ってぐらい早かった。
あれから、栄之助とも仁士とも相変わらず。
たまに更衣室で甘えん坊になる栄之助とオセロして、キスする。
:09/05/08 10:58 :SH901iC :OrUQies.
#508 [ゆーちん]
もう襲ってこなかったし、キス以外をする事もなかった。
もちろん、家に来る事もなければルームドレス姿を見れる事なんかない。
栄之助に変わり、仁士がよく家に来るようになった。
:09/05/08 10:58 :SH901iC :OrUQies.
#509 [ゆーちん]
バイトまでの時間潰しだとか、蕾夢預かってだとか。
今じゃ蕾夢とはすっかりラブラブな私。
お風呂デビューもしちゃったぐらいだもん。
すっかりベビーシッターなんだ。
面倒だと思ってた子守りがだんだん楽しくなってくる。
でもやっぱり教師だけは楽しくなんないけどね。
そして冬休みが来た。
なんだか波乱万丈な予感。
:09/05/08 10:59 :SH901iC :OrUQies.
#510 [ゆーちん]
夏休み同様、生徒のいない学校は寒さを除けば快適だった。
授業もない、補習もない。
超ラク!
「柴田先生」
学年主任だ。
「はい」
「すみませんが職員室のストーブの灯油の補充、お願いします」
げぇー。
やだよ〜、面倒だよ〜、寒いよ〜。
だなんて断れる訳もなく、
「はーい」
渋々了解した。
:09/05/08 11:00 :SH901iC :OrUQies.
#511 [ゆーちん]
外にある灯油置き場までダッシュ。
寒い、寒い、寒い!
灯油補充って地味だし臭いから大嫌い。
「ぶーっさいくな顔になってますよぉ」
…なぜ、いる。
「うるせぇやい」
「今日蕾夢と行くね」
「てゆーか冬休みなんじゃないんですか委員長。なんでいんの」
:09/05/08 11:00 :SH901iC :OrUQies.
#512 [ゆーちん]
夏休みにも、普通に学校にいたもんなこいつ。
「生徒会の集まりですけど」
うちの学校は、各クラス委員長が生徒会部員という風になっている。
だったらクラス委員長会って名前にすればいいのに、生徒会だなんてカッコイイ名前付けちゃってさ。
:09/05/08 11:01 :SH901iC :OrUQies.
#513 [ゆーちん]
「あぁ、なるほど!休み中も集まりとかあるんだ」
「休み明けのイベント考えないとだし」
「イベント?」
「マラソン大会」
「げぇー。最悪。私マラソン大嫌い。いっつもバックレてたなぁ」
:09/05/08 11:02 :SH901iC :OrUQies.
#514 [ゆーちん]
遠い日を思い出す私に、仁士は言う。
「七海みたいな奴がいるから今年はマラソンじゃなく登山にしよっかって案もある」
「登山?」
これまた斬新なアイデアですこと。
「でも費用が足りないから結局はマラソン大会になりそう。行き詰まったから、とりあえず今日は解散っつーことで、そこ歩いてたら不細工なおばさんが見えたから来てみたって訳だ」
:09/05/08 11:02 :SH901iC :OrUQies.
#515 [ゆーちん]
「…最後の方、喧嘩売りまくりだね、あんた。」
「買わないの?」
「寒いから買わない。つーか、またうち来るの?」
「夜間バイトだから蕾夢見ててね」
「また夜間?今日は冷え込むらしいから気を付けろ〜。蕾夢連れて来る時も暖かい格好させて来なよ」
:09/05/08 11:03 :SH901iC :OrUQies.
#516 [ゆーちん]
「あいあい。んじゃまた後で」
仁士は小走りで帰ってった。
だから私も小走りで職員室に戻る。
職員室ではニンマリ笑顔の学年主任が私を待ちわびていたので、わざとらしく寒い寒い騒いでやると、お茶を出してくれた。
ラッキー。
:09/05/08 11:03 :SH901iC :OrUQies.
#517 [ゆーちん]
夕方、さっさと帰宅するとタイミングを見計らったように瀬川兄弟が来た。
バイトが始まるまで仁士は私の家でくつろいで行くって魂胆か、この野郎。
「なんで自分んちでくつろがないのよ」
「狭いから」
…はい、会話終了。
何か機嫌悪い?
さっきは小走りするぐらい元気だったのに。
:09/05/08 11:04 :SH901iC :OrUQies.
#518 [ゆーちん]
「仁士?」
「何」
「何か怒ってる?」
「別に」
んー、テンション低い。
異様に低い。
「蕾夢ぅ、にいに機嫌悪いの?」
「きげん?」
「うん。にいに怒ってる?」
「わかんない」
だよねー。
2才がわかるわけないか。
ソファーにでかでかと寝転がる金髪にいには、一体何時からバイトなのかは知らないが、しばらくするといびきをかいて眠っていた。
:09/05/08 11:05 :SH901iC :OrUQies.
#519 [ゆーちん]
「蕾夢、にいに寝ちゃったね」
「ななみちゃん、らいむ、おなかちゅいた」
出ました〜、おなかちゅいた。
可愛すぎて溶けちゃいそう。
ばっちりスープパスタの準備ができていた私は、いつものようにレオにご飯をあげてから蕾夢と二人でいただきますをする。
:09/05/08 11:06 :SH901iC :OrUQies.
#520 [ゆーちん]
ソファーで寝てる奴は放っておく。
それが私流。
「おいち」
ズキューン。
蕾夢の笑顔にやられました。
「いっぱい食べなよ」
「うん」
そんな癒され夕食タイムが終わり、しばらくテレビを見てから、お風呂の時間。
:09/05/08 11:06 :SH901iC :OrUQies.
#521 [ゆーちん]
なーんで私が生徒の弟を風呂に入れてんだって感じだけど、同情が愛情に変わったっていう話だ。
今じゃ蕾夢は余所の子とは思えないね。
蕾夢ラブ!
:09/05/08 11:07 :SH901iC :OrUQies.
#522 [ゆーちん]
「らいむね、あした、にいにと、じゃんけんする」
めちゃくちゃ意味わかんねぇし、主旨もわかんねぇ〜。
じゃんけんぐらい勝手にすればいいのに、いちいち私に教えてくれんだよ、この子。
可愛くて可愛くて、泣かずにいられないって感じ。
:09/05/08 11:08 :SH901iC :OrUQies.
#523 [ゆーちん]
「七海ちゃんともじゃんけんしようよ」
「いいよ」
湯船に浸かりながらじゃんけんをした。
不器用なチョキが可愛くて吹き出してしまう。
「らいむのかちー」
その笑顔が見たくて、後だしして負けてやってんだよ2才児!
本当、可愛い。
:09/05/08 11:08 :SH901iC :OrUQies.
#524 [ゆーちん]
お風呂から出ると19:30だった。
仁士はまだ寝てる。
「仁士、バイト何時から?」
「んー…はちじ」
何、蕾夢みたいな甘えた声出してんだよ。
お前は栄之助か?
「あと30分だよ」
「ん」
って言ってまた寝ちゃった。
寝不足で機嫌悪かったのかな?
:09/05/08 11:09 :SH901iC :OrUQies.
#525 [ゆーちん]
蕾夢が持ち込んで来たアニメDVDを2才児と真剣になりながら見ていると、蕾夢が私の膝に寝転がって来た。
「どした?眠い?」
蕾夢は目をゴシゴシかきながら頷いた。
「寝よっか」
また蕾夢が頷く。
DVDを止め、テレビを消し、寝室に行く準備をする。
ふと振り替えればすぐ後ろにソファーがあって、そこには仁士が弟より先に眠ってる。
:09/05/08 11:10 :SH901iC :OrUQies.
#526 [ゆーちん]
…ん?
眠ってる?
時計は20:30になろうとしていた。
完全に遅刻じゃんか!
「仁士、起きて!起きろってば」
「…痛い痛い。何」
「8時回ってるよ?バイト遅刻」
「えっ…えぇ?」
意識を戻した仁士は慌て起き上がった。
:09/05/08 11:10 :SH901iC :OrUQies.
#527 [ゆーちん]
「何で起こしてくんなかったんだよ!」
…何で私が叱られてんのよ。
「はぁ?起きなかったあんたが悪いんでしょ?」
「普通起こすだろ!鈍感!」
「人のせいにするなよ!」
「あぁー、もういいよ。七海と騒いでても意味ないしな!」
:09/05/08 11:11 :SH901iC :OrUQies.
#528 [ゆーちん]
うっざー。
「ふざけんな、バカたれガキんちょ!」
「ババアに言われたくないね!」
そう、捨て台詞を吐いて仁士は出て行った。
何なの、あれ。
本気でうざい。
何様?
:09/05/08 11:11 :SH901iC :OrUQies.
#529 [ゆーちん]
「ななみちゃん」
「何?」
「にいに、どうしたの?」
「知らないよ。ほら、蕾夢寝るんでしょ?ベッド行くよ。おいで」
蕾夢の手をひきながらベッドに向かう間も、はらわたが煮えくりかえっていた。
何であんなに偉そうなわけ、あのガキ!
起こしてあげただけでも感謝しろよ、ったく。
:09/05/08 11:12 :SH901iC :OrUQies.
#530 [ゆーちん]
ベッドに入っても、思い出してはイライラしていた。
「ななみちゃん、てぇにぎって」
蕾夢が小さな手を出したので、何も言わずに握ってあげた。
すると、蕾夢は小さな声で私に言った。
「おこんないで」
心臓が跳ね上がった。
蕾夢に対して怒ってなんかないのに、蕾夢は私の怒りを感じ取っていたんだ。
:09/05/08 11:13 :SH901iC :OrUQies.
#531 [ゆーちん]
蕾夢に当たるつもりはないのに、ちょっと口調がキツくなったかなって反省。
「ごめんね、蕾夢」
「もうおこんない?」
「怒んない。本当にごめんね」
:09/05/08 11:13 :SH901iC :OrUQies.
#532 [ゆーちん]
蕾夢が眠り、冷静になってからよく考えてみた。
私、大人げなかったかも。
10も離れたガキの喧嘩を買って、その上2才の子供にも当たっちゃって…。
「ごめんねー」
スヤスヤと眠る蕾夢の柔らかな頬を撫でた。
気持ちが落ち着いたし、罪悪感さえ出てきた。
:09/05/08 11:14 :SH901iC :OrUQies.
#533 [ゆーちん]
仁士だってまだ17才のガキなわけで、遊びたい盛りなんだ。
でも、裕福ではない家庭だからバイトに明け暮れてて…
勉強だって出来る奴だから、それなりに努力してるんだろうし。
:09/05/08 11:14 :SH901iC :OrUQies.
#534 [ゆーちん]
バイトに勉強、その上、蕾夢の面倒を見ていると来た。
そりゃ大変極まりないよね。
私の人生に比べれば、仁士のが大変。
:09/05/08 11:15 :SH901iC :OrUQies.
#535 [ゆーちん]
学校嫌いで、サボってばっかで、先生いじめた学生時代。
就職活動なんかもせずにフリーターしながら毎日過ごして、彼氏作って、浮気して、浮気されて、別れて…また彼氏作って。
結婚考えた相手もいたけど、でも結局ダメで。
:09/05/08 11:15 :SH901iC :OrUQies.
#536 [ゆーちん]
で、数ヶ月前にいきなり教師になって。
教員免許を取ったのだって、ただのノリだったし。
その免許の噂を聞き付けて、私を採用した学校も変な学校だよね。
真剣に何か取り組んだ事ない、って言うか…気まぐれと行き当たりばったりで生きてきた私の人生と、仁士の人生を比べるのも可哀想だ。
:09/05/08 11:16 :SH901iC :OrUQies.
#537 [ゆーちん]
仁士が帰って来たら、謝ろう。
素直に謝る女はモテる、って褒めてくれるかもしんないからね?
…なんちゃって。
:09/05/08 11:16 :SH901iC :OrUQies.
#538 [ゆーちん]
深夜2時。
仁士が帰って来た。
「おかえり」
「うぉっ、起きてたの」
いつもは蕾夢と一緒に爆睡ぶっかましてる私だから、普通に起きている事にビックリしていた。
:09/05/08 11:18 :SH901iC :OrUQies.
#539 [ゆーちん]
「何か飲む?」
今日も泥だらけ。
汚い格好のクラス委員長。
「冷たいお茶ちょうだい」
「ん」
仁士はフーッとため息をつきながら椅子に座り、せっせと煙草を吸い始めた。
:09/05/08 11:18 :SH901iC :OrUQies.
#540 [ゆーちん]
「ん」
「どーも」
お茶を飲む仁士。
それを眺める私。
…無言。
そんな空気にしびれを切らしたのは仁士だった。
「言い訳していい?」
「…何を?」
仁士が口を開こうとした時、寝室から蕾夢の声がした。
:09/05/08 11:19 :SH901iC :OrUQies.
#541 [ゆーちん]
「まま…」
小さな声だったけど、その切なげな声は私たちの部屋まで届いて来た。
それを聞いて、いたたまれない気持ちになる。
あんな小さな子に、私は苛立ちをぶつけてしまったんだから。
:09/05/08 11:19 :SH901iC :OrUQies.
#542 [ゆーちん]
それでなくても親の愛が少ない子なのに。
「泣いてる?」
「いや、たぶん寝言」
「ちょっと私、見てくる」
隣の部屋である寝室に行き、蕾夢の様子を覗いた。
ごそごそと布団でもがいていた。
:09/05/08 11:20 :SH901iC :OrUQies.
#543 [ゆーちん]
「ママいるよ」
ママでもないのに、そう言って手を握ってあげると、蕾夢の動きが止まる。
嘘も方便。
:09/05/08 11:20 :SH901iC :OrUQies.
#544 [ゆーちん]
蕾夢に布団をかぶせ、仁士が待つ部屋に戻る。
2本目の煙草に火を点けていた。
「未成年の喫煙は法律で違反されてます」
「…棒読みだな。蕾夢は?」
「ん、大丈夫」
「そ。ありがと」
「うん」
私が椅子に座ると仁士はさっきの続きを喋り出した。
:09/05/08 11:21 :SH901iC :OrUQies.
#545 [ゆーちん]
「最近バイト大変でさ。学校にも行かなきゃで、寝不足続いてたんだ」
「…ふーん」
やっぱりね。
私が睨んだ通りだ。
:09/05/08 11:22 :SH901iC :OrUQies.
#546 [ゆーちん]
「家にいても蕾夢がいるから昼寝もできなくて…託児所に行くの嫌がるから無理矢理連れてく訳いかないし。蕾夢のこと好きだけど、でも…一緒にいすぎると疲れるんだ」
申し訳なさそうに仁士は呟いた。
パーフェクト人間が私に初めて溢した弱音。
「こんな兄貴最低だよな」
「あんたは偉いよ。兄貴って役目をちゃんと務めてんじゃん。最低なんかじゃない。最高の兄貴だよ」
:09/05/08 11:23 :SH901iC :OrUQies.
#547 [ゆーちん]
吸わない煙草からは、白い煙が虚しく立ち上っていた。
「自分がいくら辛くても蕾夢に当たらないのは偉いよ。私さっきあんたが飛び出してった後、蕾夢に冷たい態度取っちゃったんだ。八つ当たり。私の方が最低だよ。ごめんね」
:09/05/08 11:23 :SH901iC :OrUQies.
#548 [ゆーちん]
「いや、あれは俺が悪かったから…」
「ううん。違う。仁士が寝不足になるほど頑張ってんの私ちゃんと知ってたのに、助けてあげられなかったんだもん。副担任として情けないよね」
「副担任って…懐かしい響き。なんか七海が教師だってこと、たまに忘れる」
:09/05/08 11:24 :SH901iC :OrUQies.
#549 [ゆーちん]
「それって私がまだ17の少女みたいだって事?」
「は?違うし」
「私も仁士が生徒だってこと、たまに忘れるよ。つーかこんな厚かましい生徒なんて、なかなかいないよ普通」
「ハハッ、かもな」
仁士が笑う。
だから私も笑う。
:09/05/08 11:24 :SH901iC :OrUQies.
#550 [ゆーちん]
「仲直りね」
「お互いごめん、って事で」
仁士が手を差し伸べたので、その手に応えた。
仲直りの握手。
変な教師と生徒。
:09/05/08 11:25 :SH901iC :OrUQies.
#551 [ゆーちん]
最初は同情だった。
可哀想な兄弟だから、って。
私にできる事あるなら助けてあげるよ、って。
偽善者だよね、私。
でもね、今日仁士と喧嘩して蕾夢の寝顔を見てから、何かちょっと考え変わったんだ。
で、仁士と仲直りの握手をした瞬間から私の中にあった同情心が完全に消えた。
:09/05/08 11:25 :SH901iC :OrUQies.
#552 [ゆーちん]
こいつらの役に立ちたい、って素直に思えた。
カッコつけてるわけじゃない。
本当に、二人の幸せに貢献したいって思えた。
友情だとか母性愛だとか、どの愛なのかもわかんないけど…とにかく純粋にそう思ったんだ。
:09/05/08 11:26 :SH901iC :OrUQies.
#553 [ゆーちん]
「すみれちゃんが妊娠したかも」
「…はぁ?」
冬の更衣室は冷える。
だから私のおサボり場所は屋上に変更。
日中は太陽が温かくて気持ちいいんだ。
:09/05/09 12:16 :SH901iC :JSeFKct6
#554 [ゆーちん]
ま、晴れてる日限定のおサボり場所なんだけどね。
「生理が来ないって」
「避妊しなかったの?」
「ちゃんとしたよ」
他の生徒におサボりがバレないように、ちょいと入り組んだ場所でのおサボりだけど、ここはここでまた気持ちいいから満足してた。
:09/05/09 12:16 :SH901iC :JSeFKct6
#555 [ゆーちん]
「検査は?」
「まだ」
日光浴中の私に、見慣れた顔が隣に座り、いきなり何を言い出すかと思ったら、彼女の妊娠疑惑。
最近、あんまりキスとかしてこなくなったと思えば、これだからなぁ…バカ猿め。
:09/05/09 12:17 :SH901iC :JSeFKct6
#556 [ゆーちん]
「話は検査してからだよ。ちゃんと病院で診てもらいな」
「…なんか最近ママ冷たいね」
「何で?そんなことないよ。最近やっと親離れしたと思っていた子供が、子供できたかもって言って来た事は悲しいけどね」
「…仕方ないじゃん。頼れるのはママしかいないんだから」
:09/05/09 12:18 :SH901iC :JSeFKct6
#557 [ゆーちん]
そうやって、しょげてる顔なんてまだまだガキそのもの。
ガキがガキ作っただなんて、もし本当だったらどうすんのよ。
ママは今から頭が痛いよ。
彼女にちゃんと病院行くように説得して、結果がわかったらまた教えて、と約束し、栄之助は授業に戻って行った。
:09/05/09 12:19 :SH901iC :JSeFKct6
#558 [ゆーちん]
帰りぎわ、久しぶりにキスしてくれた。
これは浮気?
それともマザコン?
いや、彼女からすれば浮気だろうな。
でも栄之助からすれば、マザコンなだけ。
私からすると…どうなんだろ、わかんない。
:09/05/09 12:19 :SH901iC :JSeFKct6
#559 [ゆーちん]
数日後、栄之助から真夜中に電話がかかってきた。
「…はい」
「ごめん、起こした」
「本当だよ。今3時だよ?」
「もうすぐママんちに着くんだ。鍵開けて」
…いきなりだな、おい。
「やだー」
「凍え死ぬから絶対開けてよ?それじゃ」
:09/05/09 12:20 :SH901iC :JSeFKct6
#560 [ゆーちん]
久しぶりに栄之助の強引さを目の当たりにした真冬の真夜中。
眠い目をこすり、起き上がって玄関の鍵を開けようとしたら、ちょうどチャイムが鳴った。
ナイスタイミング。
:09/05/09 12:20 :SH901iC :JSeFKct6
#561 [ゆーちん]
扉を開けると、トナカイさん並みに真っ赤なお鼻の栄之助がいた。
家に上げた途端、栄之助は私を抱き締めた。
「どした?」
「…」
何も言わない。
「私に話したい事あるんでしょ?今すぐ聞かせたい?それとも朝イチ?」
:09/05/09 12:22 :SH901iC :JSeFKct6
#562 [ゆーちん]
私的には朝イチがいいな。
眠くて眠くて頭が回らない。
「ママ、睡魔に弱いから朝イチでいいよ」
「あら、ママ想いね」
「当たり前じゃん」
「お風呂入って来る?またルームドレス姿見たい」
私が笑うと、栄之助も笑ってた。
:09/05/09 12:22 :SH901iC :JSeFKct6
#563 [ゆーちん]
「俺のルームドレス姿似合ってた?」
「とっても」
栄之助をバスルームに放り込み、私はベッドに戻って、またすぐに夢へと落ちた。
栄之助の温もりの中で眠っていた事に気付いたのは、それから5時間後の朝8時だった。
:09/05/09 12:23 :SH901iC :JSeFKct6
#564 [ゆーちん]
「遅刻!…って、土曜だった」
慌てて起きた私は相当虚しい奴だ。
土曜だって事をすっかり忘れていたなんて、栄之助にバカだなんて言えない。
:09/05/09 12:23 :SH901iC :JSeFKct6
#565 [ゆーちん]
まだ気持ちよさそうに眠っている栄之助をベッドに残し、そそくさと着替えや歯磨きを済ませた。
「おはよ、レオ。栄之助まだ寝てるからシーッね」
レオとじゃれながら栄之助が起きてくるのを待った。
最近の若者は遅寝遅起きだね。
お肌に悪いぞー。
:09/05/09 12:25 :SH901iC :JSeFKct6
#566 [ゆーちん]
「…おはよ」
頭ボサボサの栄之助が起きて来たのは13:00を回ってからだった。
残念、ルームドレスは着ていなかった。
「おはよ。私のスウェット着れちゃうなんて、どんだけ細身なの」
「んー、丈は短いけど」
横幅は全然余裕なのに縦幅がアウト。
:09/05/09 12:26 :SH901iC :JSeFKct6
#567 [ゆーちん]
足首や手首が見えまくっているスウェット姿には、ルームドレスの時よりも笑えた。
すぐに、昨日着ていた服に着替えた栄之助。
また写真に収め忘れちゃったよ。
:09/05/09 12:26 :SH901iC :JSeFKct6
#568 [ゆーちん]
「お腹すいたね。何か食べる?」
「うん」
昼ご飯を用意してあったので、朝昼兼用ご飯を食べる事に。
「いただきます」
「召し上がれ」
簡単手間いらずのオムライスを栄之助は美味い美味いと食べてくれた。
:09/05/09 12:29 :SH901iC :JSeFKct6
#569 [ゆーちん]
和やかなムードを一転させたのはテレビのニュースだった。
妊婦がたらい回しにされた、というニュース。
さすがに【妊婦】だなんて言葉に反応しないはずなかった。
:09/05/09 12:29 :SH901iC :JSeFKct6
#570 [ゆーちん]
「食べ終わったら話すね」
「ん」
ちょっと気まずい雰囲気のまま、ごちそうさま。
栄之助はソワソワしながら煙草に火をつけた。
「禁煙は?」
「失敗…って、何で知ってんの?」
「仁士に聞いた」
「…そう」
:09/05/09 12:30 :SH901iC :JSeFKct6
#571 [ゆーちん]
「私も禁煙中なんだよ?精神的に辛くなると手が出るんだけど、もう絶てたかも。10ヶ月ぐらい吸ってない」
「凄いね。俺は1ヶ月もしないうちにアウト」
「精神的に追い込まれてるからでしょ?禁煙失敗したの」
栄之助は頷いた。
:09/05/09 12:30 :SH901iC :JSeFKct6
#572 [ゆーちん]
「生徒の喫煙見逃す教師なんて、やっぱ違法?」
「ママが捕まったら保釈金出すよ」
苦笑いの二人。
なかなか本題に入れない。
「…栄之助」
「俺、パパになるつもりだったんだ」
:09/05/09 12:31 :SH901iC :JSeFKct6
#573 [ゆーちん]
煙草を持つ手が震えていた。
いきなり入った本題に、私の気持ちも震えてた。
「すみれちゃんと病院行ったよ。見事妊娠しててさ。だから腹くくったんだ」
「うん」
「でも、すみれちゃんは母親になる気ゼロで…堕ろすの一点張り」
:09/05/09 12:32 :SH901iC :JSeFKct6
#574 [ゆーちん]
栄之助は煙草の火を消した。
「…それで?」
「手術代ちょうだいって。親父に金ぐらいもらうのは簡単だけど、その金渡しちゃったら…もう赤ちゃんいないんだよ」
「そうだね」
:09/05/09 12:33 :SH901iC :JSeFKct6
#575 [ゆーちん]
「俺すみれちゃん好きだったけど、赤ちゃんに対してやけに冷たかった事知って、一気に萎えてさ。
本当は産んで欲しいんだけど母親が、すみれちゃんが、子供なんかいらないって邪魔者扱いする姿見て…正直幻滅。
これから一緒にやってく自信ないけど、赤ちゃん産んで欲しいし…でも無理だろうしで、どうしていいか」
:09/05/09 12:33 :SH901iC :JSeFKct6
#576 [ゆーちん]
何も言えないよ。
二人の問題なんだから、私が口を出す権利なんてない。
「17と18の子供が、子供産むのなんて簡単じゃないのはわかってるけど…」
へぇ、すみれちゃんって年上なんだ。
:09/05/09 12:34 :SH901iC :JSeFKct6
#577 [ゆーちん]
栄之助が混乱している時に、私の頭は妙に冷静だった。
「すみれちゃんに、ちゃんと伝えたんだ。赤ちゃん産んで、って。殺すなんて耐えられない、って。そしたら…ウザイって言われちゃった。本当ビックリ。
せっかく芽生えたすみれちゃんへの恋愛感情一気にダウン。でも赤ちゃんだけは諦めらんない」
:09/05/09 12:34 :SH901iC :JSeFKct6
#578 [ゆーちん]
どうしたもんかね。
どうにもできないよ。
「説得してもすみれちゃんは聞く耳持たない」
「で、私にどうして欲しいの?すみれちゃんに説得しろと?」
「違うよ。ただの報告…と17の少年の悲痛な声」
:09/05/09 12:35 :SH901iC :JSeFKct6
#579 [ゆーちん]
「栄之助、ここがあんたの正念場だよ。ウザがられても、お互いが納得する結果を導かなきゃ。こうしてる間にも、あんたとすみれちゃんの子供は生きてんだよ。早くママとパパに会いたいな、って腹の中で成長してんだよ」
:09/05/09 12:36 :SH901iC :JSeFKct6
#580 [ゆーちん]
栄之助は泣いていた。
「産む、産まない、どっちにしろ栄之助は今現在の時点で父親なんだよ?
泣いてる暇なんか無いくらい、わかってんでしょ?」
「…うん」
「赤ちゃんとすみれちゃんと、あんたの為にも決断は早いに越した事はない」
:09/05/09 12:37 :SH901iC :JSeFKct6
#581 [ゆーちん]
栄之助はコクリコクリと何度も頷いた。
「ほら、行きな」
栄之助に手を差し伸べた。
ギュッと握り返してくる手のひらは、しっかりとした男の手。
私に甘えまくってた男の手とは、違って見えた。
:09/05/09 12:37 :SH901iC :JSeFKct6
#582 [ゆーちん]
「大丈夫、大丈夫」
鼻をすする栄之助を抱き締めてあげた。
ママから子への応援ハグ。
栄之助が抱き締め返してくる事はなかった。
「ありがとう、ママ」
:09/05/09 12:38 :SH901iC :JSeFKct6
#583 [ゆーちん]
それだけ言って、涙を拭いた栄之助は帰ってった。
きっと今からすみれちゃんのところに向かうに違いない。
まだまだ未熟なガキんちょに、幸あれ。
:09/05/09 12:39 :SH901iC :JSeFKct6
#584 [ゆーちん]
―――
栄之助とすみれちゃんが結局どうなったのか、わからないまま週が開けた。
月曜日の朝はとても寒い。
火曜日の朝もとても寒い。
そして水曜日の朝ももちろん寒かった。
「ななみん、おはよう」
ガキは朝から元気だ。
おばちゃんは足先が冷えて泣きそうだよ。
:09/05/09 12:45 :SH901iC :JSeFKct6
#585 [ゆーちん]
「ななみん先生、おはようございまーす」
…このおっさんも朝から元気だ。
「おはようございます、保泉先生」
「もうすぐ期末テストですよ〜」
「あ、そっか。このテストで進学とか留年とか決まってくるんですよね」
:09/05/09 12:46 :SH901iC :JSeFKct6
#586 [ゆーちん]
懐かしい〜。
毎年必死だったっけ、私。
「留年ギリギリの奴らにはラストチャンスみたいなもんですね」
「なるほどー」
なるほど、なんて言ってるけど学年末テストの大変さを一番味わって来た私なんだ。
わからない訳がない。
:09/05/09 12:49 :SH901iC :JSeFKct6
#587 [ゆーちん]
「でも、その前にマラソン大会ですね」
「…あぁ。結局マラソン大会に決まったんですか」
「予算が足りないらしくて、例年通りのマラソン大会なんです。教師はマラソンコース誘導とかです」
「了解しました」
:09/05/09 12:50 :SH901iC :JSeFKct6
#588 [ゆーちん]
保泉はさ、変態だけど新人の私に色々教えてくれるから、ありがたいんだよね。
まぁ、その気づかいもできないんじゃ、ただの変態男か。
:09/05/09 12:51 :SH901iC :JSeFKct6
#589 [ゆーちん]
「はい、それじゃあ今日はここまでです。委員長の瀬川くん、この資料を職員室まで運ぶの手伝ってね」
「…はーい」
2Cでの授業が終わり、起立、礼、休み時間。
仁士は私を睨みながら教壇に向かって来た。
:09/05/09 12:53 :SH901iC :JSeFKct6
#590 [ゆーちん]
「せっかくの休み時間がパシりで終わっちゃいまーす」
「エヘッ、ごめんねぇ」
そんなブリっ子、可愛くねぇぞってな目で睨み、資料を持ってくれた。
廊下を歩く。
周りの生徒に聞かれないように小声で喋った。
:09/05/09 12:54 :SH901iC :JSeFKct6
#591 [ゆーちん]
「登山ダメだったんだね」
「予算がアウト」
「ふーん、ドンマイ」
「…まさか、それ言う為に俺をパシりにした?」
「そうだよ」
「…最悪」
「なんで、いいじゃな〜い。それより、栄之助…」
「あぁ、うん。今日も来てない」
:09/05/09 12:54 :SH901iC :JSeFKct6
#592 [ゆーちん]
仁士も栄之助にすみれちゃんの妊娠の話は聞いたらしく、気になっていたようだ。
「今日水曜だから、休み始めて3日だね」
「七海んちに行ったのって金曜だろ?」
「正確には土曜の真夜中」
「じゃあ今日で4日か。ママの喝、効いてるといいんだけど」
:09/05/09 12:55 :SH901iC :JSeFKct6
#593 [ゆーちん]
あの日、私の家に来た事は栄之助から直接聞いたらしく、月曜日の朝イチで私のところに飛んできた仁士。
結局どうなったのかを聞きたくても、当の本人が姿を現さないんじゃ話にならない。
おサボり3日目。
明日こそは登校しろ、と願いながら今日も一日、教師という苦痛を乗り切った。
:09/05/09 12:56 :SH901iC :JSeFKct6
#594 [ゆーちん]
結局栄之助はその週、学校に来なかった。
あれからちょうど一週間。
気になってはいたけど、自分から電話なんかする気分でもなく、もう一人の方に電話をかける事にした金曜日の21:00前。
:09/05/09 12:57 :SH901iC :JSeFKct6
#595 [ゆーちん]
「集〜合〜」
有無を言わさず呼び付けた。
金髪頭はご機嫌ななめで来てくれた。
「栄之助に電話しよ」
「自分でしろよ。何で呼び出されてんの俺」
「栄之助だって私より仁士の方が言いやすいよ」
「…で、その栄之助と仁士の会話を盗み聞きするつもり?」
「うん」
「最悪な教師だな」
:09/05/09 12:57 :SH901iC :JSeFKct6
#596 [ゆーちん]
冷たい事言いながら、顔は笑ってんの。
ドS疑惑。
「気にならないの?もう一週間だよ」
「気にはなるけど無理に聞き出すのも悪いじゃん」
「そうだけど…でも栄之助はきっと聞いて欲しいって思ってるに違いない」
:09/05/09 12:58 :SH901iC :JSeFKct6
#597 [ゆーちん]
「何でわかんだよ」
「ママの勘」
仁士は小さく笑ってから、栄之助に電話をかけた。
「七海が一緒だって事は内緒だからな。黙ってろよ」
「了解」
完全なる盗み聞きだね。
仁士は共犯者って事で、ちょっと申し訳ない。
:09/05/09 12:59 :SH901iC :JSeFKct6
#598 [ゆーちん]
2コール目で栄之助は電話に出た。
スピーカー機能にしてもらい、私は黙って二人の会話を聞く。
「もしー、生きてんの?」
「死んでる〜」
「あっそ。今どこ?」
「部屋だけど」
「どうなったの、彼女と子供」
:09/05/09 13:00 :SH901iC :JSeFKct6
#599 [ゆーちん]
しばし無言。
「おーい、栄之助」
「うん」
「言いたくねぇんなら別にいいけど」
栄之助はまた無言になった。
しばらくすると、悲しい音が聞こえた。
:09/05/09 13:00 :SH901iC :JSeFKct6
#600 [ゆーちん]
「おい、泣くな」
「あのさ…笑うなよ?」
「おう」
「俺の子供じゃないんだって」
落胆した。
私も泣きたくなった。
そんな展開、誰も望んでないよ。
「何…で、だよ」
仁士もひどく動揺していた。
「すみれちゃんがそう言うんだから、そうなんだよ。それに、日数も合わない」
:09/05/09 13:01 :SH901iC :JSeFKct6
#601 [ゆーちん]
「他に男がいた、って事?」
「…らしいね」
「何だよそれ…」
ため息しか出なかった。
栄之助を今すぐ抱き締めてあげたくなった。
「仁士、ごめん」
我慢できなかった。
気付いた時にはペラペラと口が動いてた。
:09/05/09 13:02 :SH901iC :JSeFKct6
#602 [ゆーちん]
「栄之助、私だよ。聞こえる?」
「…え、ママ?なんで?」
「ごめんね。仁士の事、責めないであげて。私が無理矢理盗み聞きしてたの」
「アハッ…そっか」
泣きながら笑う栄之助が、フッと脳裏をよぎる。
「栄之助、私…あんたに何て言ったらいいか」
:09/05/09 13:02 :SH901iC :JSeFKct6
#603 [ゆーちん]
「何も言わなくていいよ。それより、いま二人は柴田家?」
「そうだけど」
「俺も行っていい?一人でいると虚しいんだ。ママと仁士の前でバカみたいに泣きたい気分」
鼻をすすりながら精一杯明るい声を出す栄之助。
:09/05/09 13:03 :SH901iC :JSeFKct6
#604 [ゆーちん]
「おいで。仁士と待ってるから」
「うん」
電話を切ると、仁士は眉を下げながら私に笑いかけた。
「俺と栄之助の友情が崩れたら、どう責任取ってくれんの?」
「…ごめんなさい。いてもたってもいられない状態になりまして」
:09/05/09 13:03 :SH901iC :JSeFKct6
#605 [ゆーちん]
仁士は優しく笑いながら
「いいママじゃん」
と言って私の頭をポンッと叩いた。
その手はそのままレオに行き、栄之助が来るまでの数分間、仁士はレオと、私は一人で過ごした。
私と仁士の間に、会話がなかった。
お互い、考え事をしていたからだと思う。
:09/05/09 13:04 :SH901iC :JSeFKct6
#606 [ゆーちん]
インターホンが鳴るなり、私はドアを開けて、目が潤んでいた栄之助を抱き締めた。
「はいはい、中でやれよ」
仁士は、私と栄之助が抱き締め合ってるのを見て呆れながら笑ってた。
:09/05/09 13:05 :SH901iC :JSeFKct6
#607 [ゆーちん]
ドアを閉めて中に入る。
私は、栄之助を抱き締めながら泣いていた。
この私が泣いていたんだよ?
生徒に興味のない私が、生徒の悲しい事実を知って、涙を流す。
私、変わっちゃったね。
:09/05/09 13:06 :SH901iC :JSeFKct6
#608 [ゆーちん]
「ママが叱ってくれたから、俺、納得するまですみれちゃんに説得したんだ。ウザがられても容赦なく」
「うん」
「そしたら、すみれちゃんため息吐きながら言ったんだ。栄之助の子供じゃない、って」
「…うん」
「舞い上がりすぎて、すみれちゃんと最後にそういう事した日忘れててさ。よく思い出したら日数が全然合わなくて。間違いなく俺の子供じゃないんだ」
:09/05/09 13:06 :SH901iC :JSeFKct6
#609 [ゆーちん]
「うん」
「でも赤ちゃん殺すなんて可哀想じゃん。だから俺の子供じゃなくてもいいからって言ったんだけど…ダメだった。昨日、勝手に手術してて…俺、もう訳わかんなくて」
「あんた偉いね。ママの誇りだよ」
「日曜から水曜まで粘って、木曜に赤ちゃんいなくなって…そんで今日。学校行く気にもなんなくて放心状態の俺にすみれちゃんから別れを告げられ…みたいな?笑っちゃうよね」
:09/05/09 13:07 :SH901iC :JSeFKct6
#610 [ゆーちん]
栄之助は泣きながら無理矢理笑顔を作ってた。
私は子供みたいに栄之助の手を握りながら泣いた。
仁士は何も言わず、ただ黙ってレオを抱っこしていた。
「笑わないよ。小さな命を守ろうとしたあんたを笑う奴がいるなら私がそいつ、ぶん殴る」
:09/05/09 13:07 :SH901iC :JSeFKct6
#611 [ゆーちん]
「怖っ」
泣き笑いする栄之助。
「栄之助、よく頑張ったね。あんたならまた素敵な女の子に出会って、小さな命にも出会えて、幸せになれるよ」
「…だといいね」
:09/05/09 13:08 :SH901iC :JSeFKct6
#612 [ゆーちん]
泣き疲れているのと、一人になるのが嫌な栄之助をベッドに寝かせてあげた。
今夜だけはママに甘えて眠れ、っていうサービスだよ。
って言っても、もう栄之助は夢の中なんだけどね。
:09/05/09 13:09 :SH901iC :JSeFKct6
#613 [ゆーちん]
「七海、俺帰るよ」
「あ、うん。今日はありがとね」
「どういたしまして」
「盗み聞きバラしてごめんね」
「いいって。そんな事でいちいち怒る奴じゃないから、栄之助は」
「…うん」
「それより、見直したよ七海の事」
「何が?」
:09/05/09 13:09 :SH901iC :JSeFKct6
#614 [ゆーちん]
「薄情で感情移入とかしない人なのかと思ってたけど、今日もそうだしこの前の喧嘩の事もそうだし…なんか最近の七海変わったな」
「…そ?」
ちょっと自覚あるんだけどねー。
:09/05/09 13:10 :SH901iC :JSeFKct6
#615 [ゆーちん]
「そっちの方がモテるよ」
「アハハ、あんたいっつもそれだね。大体モテるったって誰に?あ、保泉にモテるってのは無しだか‥」
ムチウチになるんじゃないかってぐらい、あまりに突然だった。
腕引っ張られて頭だけ残す感じ、わかる?
アレ、なかなか首が痛いもんだね。
:09/05/09 13:10 :SH901iC :JSeFKct6
#616 [ゆーちん]
あと唇。
いきなり重ねたもんだから、歯が当たってかなり痛かった。
「保泉じゃなくて俺に」
こんな展開も望んで無かったんだけどなー…たぶん。
:09/05/09 13:11 :SH901iC :JSeFKct6
#617 [ゆーちん]
「キス下手な奴にモテてもな」
案外、冷静でいれた。
「七海が出っ歯だからじゃね?」
「はぁ?違うし」
仁士は笑いながら、ぶつけた唇を指で撫でてくれた。
「そんじゃまた学校でね、先生」
「遅刻しちゃダメよ、委員長」
:09/05/09 13:11 :SH901iC :JSeFKct6
#618 [ゆーちん]
疑惑のキスだけを残し、仁士は帰ってった。
私、何してんだか。
まさか、あの仁士にキスされるなんて思ってもみなかった。
後々、襲ってくる余韻に頭を悩ませながら栄之助の隣で眠った夜。
全然安眠できなかった。
:09/05/09 13:12 :SH901iC :JSeFKct6
#619 [ゆーちん]
翌朝。
二人で目を覚まし、ベッドから出る前に栄之助は私にキスをした。
そのキスで、昨日仁士にもキスされた事を思い出した。
「おはよ」
「あ、うん。おはよ」
朝食を済ませ、栄之助は気分転換したいからってレオの散歩に行ってくれた。
:09/05/09 21:55 :SH901iC :JSeFKct6
#620 [ゆーちん]
待ってる間、何もせずにテレビを見て過ごした。
でもやっぱりテレビの内容なんか頭に入んなくて、キスされた後の仁士の笑顔ばかりがリピート再生されてしまう。
あの勝ち誇ったような笑顔…むかつく。
:09/05/09 21:55 :SH901iC :JSeFKct6
#621 [ゆーちん]
「ただいま」
「おかえり。散歩ありがとね」
特に何かをする訳でもなく、ぼんやりと過ごした。
あえて、すみれちゃんや赤ちゃんの話は避けて。
でもやっぱちょっとは気になる。
:09/05/09 21:56 :SH901iC :JSeFKct6
#622 [ゆーちん]
そんな気持ちを感じ取ったのか、栄之助はソファーに寝転がりながら話し始めた。
「すみれちゃんへの未練はね、もうないよ。でも赤ちゃんへの未練…っていうか罪悪感があって。俺の子供じゃないけど可哀想な事したな、って」
:09/05/09 21:56 :SH901iC :JSeFKct6
#623 [ゆーちん]
「うん」
相づちをうつ事しかできない私に、栄之助は話してくれる。
「昨日たくさん泣いて、ちょっと気持ちラクになったよ。ママと仁士のおかげ。助かった、ありがと」
「ううん。私なんも出来なかったけど」
「抱き締めてくれて嬉しかったよー」
:09/05/09 21:57 :SH901iC :JSeFKct6
#624 [ゆーちん]
あ、いつものバカ猿スマイルだ。
久しぶりに見たよ、その笑顔。
「ねぇママ」
「ん?」
「ここらが潮時だと思うんだ。色々とけじめ付ける時が来たみたい」
「…何が?」
:09/05/09 21:57 :SH901iC :JSeFKct6
#625 [ゆーちん]
体を起こし、ソファーに座り直した。
「はっきり言うね」
「…」
何となく、栄之助が今から言う事がわかる。
聞きたいようで聞きたくない。
「俺ママが好きだったよ。女として」
:09/05/09 21:58 :SH901iC :JSeFKct6
#626 [ゆーちん]
ほらね、こういう話はあんまり聞きたくないもんだよ。
「だからキスしたし、それ以上もした。甘え知らずだったから、その反動でママが欲しいだなんてただの口実」
…私と仁士の予想またまたビンゴ。
「でも栄之助はママとしての柴田七海を選んだじゃん」
:09/05/09 21:58 :SH901iC :JSeFKct6
#627 [ゆーちん]
「うん。ママの事が好き過ぎて失いたくなかったもん。体の関係なんかいらないから、ずっと俺の近くでいて欲しかった。それくらい好きだったんだよ」
「…女として?」
「たぶん恋愛感情を越えた愛みたいなのがママにはあったんだ。ママは特別な存在だから」
:09/05/09 21:59 :SH901iC :JSeFKct6
#628 [ゆーちん]
「そんな褒めても何も出ないよ」
栄之助は猿みたいに笑った。
私も、その笑顔好きだったよ。
私だって今思えば栄之助への気持ちは、恋愛感情じゃなく、特別な愛だったのかもしれない。
:09/05/09 22:00 :SH901iC :JSeFKct6
#629 [ゆーちん]
「ママに俺の気持ちバレた時はマジ耐えられなくてさ。軽蔑されて離れてくんだろなって思ってて、自分から離れてみたけどママは相変わらずですっげぇ嬉しかったよ。
ちょうどその頃すみれちゃんと付き合って…って言っても成り行きだったんだけどね」
:09/05/09 22:01 :SH901iC :JSeFKct6
#630 [ゆーちん]
「成り行き?」
「酒に酔ってて、知らない内にホテル行っちゃってたんだ。お互いヤッた覚えはないんだけど。
それで、すみれちゃんと色々話してたら、なんか気が合うから付き合っちゃおっか〜ってなって、付き合った」
:09/05/09 22:01 :SH901iC :JSeFKct6
#631 [ゆーちん]
「じゃああの日更衣室に私が呼び出した時、彼女できたって…」
「そう、すみれちゃん」
「そうだったんだ」
「すみれちゃん、本当に明るくて元気で年上だから安心できる人だったんだ。段々好きになりかけてた。いつの間にかママへの恋愛感情消えて、すみれちゃんに移ってた。でも結果これだもんね」
:09/05/09 22:02 :SH901iC :JSeFKct6
#632 [ゆーちん]
「また私に戻ってくんの?その恋愛感情ってのは」
ニッと笑った私。
栄之助もニッと笑う。
「自惚れちゃだめだよママ。いつだって自分がモテるみたいな自信、怖いよ?」
「あら、そう」
:09/05/09 22:02 :SH901iC :JSeFKct6
#633 [ゆーちん]
ふざけあうのはここだけ。
栄之助のニンマリ顔は、スッと消えて、優しい笑顔になる。
「もうママをそんな風には見ないよ」
「…そ」
「それでね、すみれちゃんに気持ち移った時、客観的にママを見てみたんだ」
:09/05/09 22:03 :SH901iC :JSeFKct6
#634 [ゆーちん]
「何それ」
「そしたらさ…俺わかっちゃったよ」
「何を?」
「ママの気持ち」
「私の?教師やだなーって気持ち?」
「そういうんじゃない。また違う気持ち」
「何?わかんない」
:09/05/09 22:03 :SH901iC :JSeFKct6
#635 [ゆーちん]
「ママ、素直になりなよ」
素直も何も、私何にも思い当たる気持ちなんか無いよ。
「ん?」
「俺は、はっきりさせたよ?だからママもはっきりさせなきゃ」
「だから何を」
:09/05/09 22:04 :SH901iC :JSeFKct6
#636 [ゆーちん]
「好きなんでしょ?仁士」
呆れた。
ここまで引っ張ってそれ?
「私が仁士を好き?んなわけないじゃん」
「無意識?」
「いやいや、無意識も何も私、恋なんかしてないし」
「ふーん」
何なのよ、その嫌な笑み。
:09/05/09 22:04 :SH901iC :JSeFKct6
#637 [ゆーちん]
「まぁ、そう言い切るならそれでいいけど?」
「いい、とかじゃなくて何も無いよ」
「あっそ。まぁいいや。じゃあそろそろ帰るね」
ん〜、後味悪いな。
「あ、月曜はちゃんと登校しなよ」
:09/05/09 22:05 :SH901iC :JSeFKct6
#638 [ゆーちん]
「わかってるよ、先生」
「…もうママって言わないの?」
「んー、どうだろ?たまに言うかもね。言い慣れちゃったし。でももう柴田七海っていうママから卒業する。甘えたりもしないよ。これからは教師と生徒」
:09/05/09 22:05 :SH901iC :JSeFKct6
#639 [ゆーちん]
やけに晴れ晴れした顔の栄之助。
「たまには友達しようよ。またレオに会いに来てあげて」
「ママがそう言うなら遊びに来ちゃおっかなー」
好きなんかじゃなかったけど、やっぱママの役目が終わるのって寂しいもんだね。
:09/05/09 22:06 :SH901iC :JSeFKct6
#640 [ゆーちん]
「全く他人になるのは無理だもん。たまには連絡しなよ。ママ卒業だからって、母校に帰っちゃいけないルールなんて無いから」
「うん、ありがと」
栄之助は玄関で靴を履く。
そしてクルッと振り返り、猿みたいな笑顔を見せながらこう言った。
:09/05/09 22:07 :SH901iC :JSeFKct6
#641 [ゆーちん]
「大好きだったよ、ママ」
だった。
その過去形が妙に寂しかった。
「最後に、いい?」
私は頷いた。
なんちゃって親子の最後のキスは、そっと触れるだけのキスだった。
:09/05/09 22:07 :SH901iC :JSeFKct6
#642 [ゆーちん]
もうこれで私と栄之助がキスする事はないんだ。
「それじゃ、バイバイキーン」
「うん、バイバイ」
栄之助がドアを閉めた途端、涙の変わりにため息が出た。
:09/05/09 22:08 :SH901iC :JSeFKct6
#643 [ゆーちん]
まるで恋人が永遠の別れの前にするキスみたいで、ちょっと切なくなった。
そんな土曜日のお昼前。
モヤモヤ感がうざったくて、買い物に行き、気分を紛れさせた。
夜は友達と飲んで、酔っ払いながら帰宅。
日曜は二日酔いでくたばっていた。
何も考えたくない。
そんな、ちょっぴり暴走ぎみな週末が開け、とうとう月曜日になった。
:09/05/09 22:08 :SH901iC :JSeFKct6
#644 [ゆーちん]
「おはようございます」
「あっ、おはよう」
あれ?
仁士、超普通じゃん。
避けたりしないの?
気まずくないの?
恥ずかしくないの?
「栄之助来てるよー」
「あぁ、うん。そうだね。よかった」
「何キョドってんの?」
仁士が私の顔を覗き込みながら、笑った。
:09/05/11 13:49 :SH901iC :0u6kOFR2
#645 [ゆーちん]
ドS確定。
絶対わざとだよ。
周りを確認してから、仁士に耳打ちした。
「何でキスなんかしたの」
耳打ちが終わると仁士はまた笑いながら言う。
「え?したっけ?」
:09/05/11 13:50 :SH901iC :0u6kOFR2
#646 [ゆーちん]
じゃあ、何か?
私が欲求不満のあまり幻覚でも見たのかと思わせたいのかい?
んなわけねーだろ。
27歳をからかうんじゃねぇよ!
:09/05/11 13:51 :SH901iC :0u6kOFR2
#647 [ゆーちん]
てゆーか、私も私だよ。
処女じゃないのに、いちいち動揺するなっつーの。
土曜日、栄之助が余計な事言ったせいで変に意識しちゃうじゃんかー!
私がこいつを好き?
ありえないよ!
:09/05/11 13:51 :SH901iC :0u6kOFR2
#648 [ゆーちん]
それからの仁士は、何の変わりも映えもない、いつもながらの仁士。
あのキスは無かった方向で進めるつもりらしいので、私も無かった事にする。
栄之助は、やっぱちょっと変わった。
馴れ馴れしさが無くなった。
:09/05/11 13:52 :SH901iC :0u6kOFR2
#649 [ゆーちん]
屋上でおサボりしてても、もう『ママ』って呼びながら現れる人はいないんだ。
これが普通なのに、違和感だらけでぎこちない。
あんまり居心地がよくなかった。
:09/05/11 13:52 :SH901iC :0u6kOFR2
#650 [ゆーちん]
その週の最後にマラソン大会を開催した。
バレーボール大会の時とは違い、これは予行練習は無しみたいです。
「柴田先生はここに立って、生徒を誘導してやってください」
「はい」
:09/05/11 13:53 :SH901iC :0u6kOFR2
#651 [ゆーちん]
寒い!
じっとしてるだけだから、寒いのなんのって。
サボりたいけど、さすがに今回は無理だ。
誘導係だなんて地味だし寒いから、来年からは違う係になるよう願おう。
:09/05/11 13:54 :SH901iC :0u6kOFR2
#652 [ゆーちん]
先に1〜3年の女子が走る。
「おーい、ななみーん」
「ななみんも走ろ〜」
「ななみん、私もう無理」
みんな私に愛想振りまいてないでしっかり走れ。
すっかり違う学年にまで【ななみん】が浸透していて嬉し恥ずかしだよ。
:09/05/11 13:54 :SH901iC :0u6kOFR2
#653 [ゆーちん]
女子が終わると男子。
先頭集団はだいたいが3年生だけど、私がよく知る2年生もばっちり混ざってた。
さすが猿と委員長。
先頭集団の中でも目立つねぇー。
:09/05/11 13:55 :SH901iC :0u6kOFR2
#654 [ゆーちん]
ふざけながら走ってるのかと思ったら二人は大真面目だった。
私がいた事にも気付いてないんだろうな。
「ななみん助けて」
「俺もうだめ」
「介抱してー」
:09/05/11 13:55 :SH901iC :0u6kOFR2
#655 [ゆーちん]
後半の奴らはこんな調子。
しっかり走れよナマケモノ!
…って、マラソン大会なんか出た事ない私が言うなって?
そりゃ失礼。
:09/05/11 13:56 :SH901iC :0u6kOFR2
#656 [ゆーちん]
そして無事マラソン大会は終了。
学校に戻り、順位を見てみた。
ほぉー、こりゃすごい。
1〜3年共通順位で、栄之助が6位。
仁士は4位だった。
あいつら運動神経よすぎ。
:09/05/11 13:58 :SH901iC :0u6kOFR2
#657 [ゆーちん]
「どう?見直した?」
順位表を見ていた私に後ろから声をかけて来たのは、4位の人。
「んー、微妙。4位だとメダル無いじゃん」
「はぁ?素直におめでとうって言ってくれないんですか?」
「言わなーい」
「モテませんよー」
仁士はそう言って、どっか行っちゃった。
何だ、あれ。
:09/05/11 13:59 :SH901iC :0u6kOFR2
#658 [ゆーちん]
「お、いた。6位」
教室近くの階段に座っていた栄之助。
友達の輪から外れ、私のところに来てくれた。
「凄い?」
「まぁまぁかな」
「いぇーい」
「ちょっと話さない?」
「いいよ」
場所を少し移動した。
生徒のみんなはマラソン大会が終わった達成感でニコニコしている。
私の隣にいるこの子もニコニコしていた。
:09/05/11 14:00 :SH901iC :0u6kOFR2
#659 [ゆーちん]
「春のバレーボール大会でなんとなく運動神経いい奴なのかなとは思ってたけど。6位だなんて大健闘じゃん」
「まぁね〜。運動神経だけが取り柄だし」
「頭も良かったら言う事ないのにねー」
嫌味のつもりが、栄之助は大笑いしだした。
:09/05/11 14:00 :SH901iC :0u6kOFR2
#660 [ゆーちん]
「それって、仁士の事じゃん」
またそれ?
「…だから違うってば」
「頭いいし運動神経もいいし何だかんだ優しい奴だもんな、瀬川仁士って男は」
「あんたさ、やけに私と仁士をくっつけたがってるよね?」
:09/05/11 14:01 :SH901iC :0u6kOFR2
#661 [ゆーちん]
「だってー、両想いなのに強がってる同士なんだもん」
「はぁ?両想いなわけないじゃない」
「ふーん?」
私の事より、栄之助の話をしたくて呼び出したのに。
調子狂うよ。
:09/05/11 14:01 :SH901iC :0u6kOFR2
#662 [ゆーちん]
「あ、そうだ。ママは卒業したんだから、先生かななみんって呼ばなきゃじゃん?どっちがいい?」
「どっちでもいいよ。みんなみたいにななみんって呼べば?」
「でも気に入ってないんでしょ?」
「うん」
「じゃあ俺が新しいあだ名考えたげよっか?」
「ダサかったら殴るからね」
:09/05/11 14:02 :SH901iC :0u6kOFR2
#663 [ゆーちん]
「んー、しばたん」
「…え?」
「柴田に、んを付けてみた」
「付けてみた、じゃねーよ。ダサすぎ」
殴ってやった。
「アハハ、冗談冗談」
「2Cって、ん付けんの流行ってんの?」
「そうなのかな?」
「ダサすぎだから」
:09/05/11 14:03 :SH901iC :0u6kOFR2
#664 [ゆーちん]
「そう?別に普通だよ。ななみんもしばたんも」
「私はヤダけど」
猿は笑った。
その笑顔を見るだけでも、救われた気分になる。
って、自己満足だけどね。
:09/05/11 14:03 :SH901iC :0u6kOFR2
#665 [ゆーちん]
「もう、ななみんでも何でもいいよ。それよりさー」
「ん?」
「元気になって、よかった」
栄之助の笑顔は優しくなる。
「マラソンしてる時にさ、色んなモヤモヤ吹っ飛ばしてやったよ!」
:09/05/11 14:05 :SH901iC :0u6kOFR2
#666 [ゆーちん]
「真面目な顔で走ってたよね。私がどこにいたか知ってる?」
「え、コースのどこかにいたの?」
「やっぱ気付いてなかったか。誘導係で寒い中、つったってたよ」
「そりゃお疲れだ」
「今も寒いね。そろそろ戻ろっか」
:09/05/11 14:05 :SH901iC :0u6kOFR2
#667 [ゆーちん]
立ち上がり、私たちは教室に戻る。
もうすぐ校内放送が入り、表彰式が行われる。
「あ、ねぇ」
「ん?」
「俺もう大丈夫だからね。心配してくれてありがと」
「あぁ…うん」
「完全復活とまでは、まだいかないけど、ちゃんと元気だから」
:09/05/11 14:06 :SH901iC :0u6kOFR2
#668 [ゆーちん]
だったら、よかった。
「俺に世話やいてないで、そろそろ自分の世話しないと」
「だーかーらぁ」
「柴田七海には何度お礼しても、しきれないよ。俺の青春を支えてくれた人として永遠に感謝する」
「何だそれ」
「ありがとう」
:09/05/11 14:06 :SH901iC :0u6kOFR2
#669 [ゆーちん]
栄之助に、ありがとうを言われると苦しくなる。
「それじゃ」
「うん、バイバイ」
栄之助が立ち去ると、タイミングよく仁士が通りかかった。
ある意味、ナイスタイミング。
「また会ったね、4位」
:09/05/11 14:07 :SH901iC :0u6kOFR2
#670 [ゆーちん]
「俺の事ストーカーしてんの?」
「この状況だと、それ私のセリフ。私はここにいて、あんたが通りかかった。あんたが私のストーカーしてんでしょ?」
「んなムキになんなくても」
:09/05/11 14:08 :SH901iC :0u6kOFR2
#671 [ゆーちん]
おっといけない、私としたことが。
栄之助が余計なことをベラベラと吹き込むもんだから、過剰反応になってしまう。
こっちが子供みたいで、なんか悔しい。
「で、結局何してたの?こんなとこで一人寂しく突っ立っててもイケメンは現れないぞー」
:09/05/11 14:08 :SH901iC :0u6kOFR2
#672 [ゆーちん]
「栄之助と話ししてたの」
「あぁ、親子の時間」
「…もう親子ごっこは終わったよ。ママ卒業したんだって。栄之助から聞いてないの?」
「ママ卒業?何それ。聞いてない」
「もうキスもハグもしないんだって」
:09/05/11 14:09 :SH901iC :0u6kOFR2
#673 [ゆーちん]
「ふーん」
「あんたにキスシーンを見られちゃうことも、もう無いってわけ」
「人を覗き魔みたいに言うなよ」
「だって、よく遭遇したし。胸まで見られてるんだよ私」
:09/05/11 14:10 :SH901iC :0u6kOFR2
#674 [ゆーちん]
「好きで見たわけじゃないし。それに‥」
「ペチャパイって言うのは無しだから」
仁士が笑った。
言う気だったのかよ。
そこでちょうど校内放送が入ったので、仁士ともバイバイ。
表彰式は1〜3位までしか対象者じゃないから、仁士も栄之助も興味なさそうに式に出ていた。
:09/05/11 14:10 :SH901iC :0u6kOFR2
#675 [ゆーちん]
そんなマラソン大会も終わり、いよいよテスト期間。
波乱の幕開け…な、予感。
:09/05/11 14:11 :SH901iC :0u6kOFR2
#676 [ゆーちん]
―――
「蕾夢、頼むね」
…やっぱり。
言われると思った。
前までの私は、この兄弟の力になりたいとかって思えたんだけど、今は…。
いや、力になりたいのは確かなんだけど、あのキス以来、仁士と話すとイガイガするってゆーか。
:09/05/11 14:14 :SH901iC :0u6kOFR2
#677 [ゆーちん]
関わりたくない、とまではいかないけど…仁士が何考えてるかわかんないから、怖い。
色んな意味で。
「いいけど…」
「けど?」
:09/05/11 14:14 :SH901iC :0u6kOFR2
#678 [ゆーちん]
仁士は来ないで、なんて言えるわけもなく
「何でもない」
と、誤魔化した。
あぁ〜!
歯がゆい!
スッキリしない!
自分で自分が意味不明!
:09/05/11 14:14 :SH901iC :0u6kOFR2
#679 [ゆーちん]
「ななみちゃーん」
…癒されよう、この天使に。
「いらっしゃい」
「あっ、れおー」
そそくさと部屋に上がり、レオとじゃれ始めた。
微笑ましい。
微笑ましすぎる。
:09/05/11 14:15 :SH901iC :0u6kOFR2
#680 [ゆーちん]
「悪いね」
「別にいいよ。どうせ暇だし」
「最近、親が育児放棄ぎみで。託児所も毎日行かせすぎで嫌がるし。テスト期間だからバイトは休みにしてもらったけど、蕾夢の面倒見てると結局勉強できなくなるしさ…」
:09/05/11 14:16 :SH901iC :0u6kOFR2
#681 [ゆーちん]
「若者よ、しっかり学べ!」
「ありがと」
仁士に言われるありがとうは全然苦しくない。
むしろ泣きたくなる。
何で?
「蕾夢、また後でな!」
「にいに、おべんきょ、がんばってねー」
「おう。七海ちゃんの言うこと聞けよ」
「あーい」
:09/05/11 14:16 :SH901iC :0u6kOFR2
#682 [ゆーちん]
弟にバイバイして、にいには帰ってった。
私に蕾夢を預け、仁士は家に帰って勉強。
で、また夜中に蕾夢を引き取りに来るって約束だ。
一緒にご飯食べて、テレビ見て、お風呂入って、眠って。
今までの、夜間バイトの時に預かってたみたいなもんだ。
夜中に仁士が眠ってる蕾夢を抱っこしながら帰る。
そんなテスト期間だった。
:09/05/11 14:17 :SH901iC :0u6kOFR2
#683 [ゆーちん]
蕾夢を預かるのはテスト期間だけだと思っていた。
だからテスト最終日、友達と飲みに行く約束をしていた。
「悪い。今日だけもう1日追加」
「なんで?もう友達と飲みに行く約束しちゃったから無理だよ」
「バイト休めなくて。親もいないんだ」
:09/05/11 14:18 :SH901iC :0u6kOFR2
#684 [ゆーちん]
「託児所は?」
「嫌がってる」
「…でも仕方ないよ」
「どうしても無理?」
「無理」
「…わかった」
:09/05/11 14:18 :SH901iC :0u6kOFR2
#685 [ゆーちん]
ちょっと期限が悪くなった仁士は、あっさり私から離れていった。
「おはよ、ななみん。仁士と喧嘩?」
いつの間にか、私をななみんと呼ぶようになっていた栄之助だ。
:09/05/11 14:19 :SH901iC :0u6kOFR2
#686 [ゆーちん]
「ううん、別に」
「ふーん。それより今日の答え教えて?」
「はぁ?」
「留年しそう」
「頑張れ、若者!あんたが留年したら大いに笑ってあげる」
「ひどーい」
こうやって栄之助と笑い合ってる最中も、頭は瀬川兄弟のことでいっぱいだった。
:09/05/11 14:20 :SH901iC :0u6kOFR2
#687 [ゆーちん]
わかってるよ、蕾夢が託児所を嫌がってる事。
私が見てあげればいいだけなのに。
友達との約束だって、また違う日に変えることは簡単。
私は、瀬川兄弟の力になりたいだけ。
なのになんで頼られすぎると、意地悪したくなるんだろう。
:09/05/11 14:20 :SH901iC :0u6kOFR2
#688 [ゆーちん]
テストが終わると、みんな開放ムード。
でも委員長だけは喜んでなさそうだった。
そりゃそうだよね。
「瀬川くん」
「…」
こっち見て、目を反らした。
イコール無視られた!
一部始終を見ていた栄之助が「やっぱ喧嘩してんじゃん」って言いにくるぐらい、仁士の無視はあからさまだった。
:09/05/11 14:21 :SH901iC :0u6kOFR2
#689 [ゆーちん]
学校から帰り、そのまま友達との約束場所に向かった。
居酒屋に入り、ビールを飲む。
…美味しくない。
最悪だ。
原因は瀬川兄弟。
「七海、どしたの?」
「元気なくない?」
「やっぱ教師って大変なんだな」
みんなが心配してくれる。
楽しい席で、私みたいな奴がいると雰囲気が悪くなるのもわかってるんだ。
:09/05/11 14:22 :SH901iC :0u6kOFR2
#690 [ゆーちん]
電話なんかかかってきてないのに、かかってきたフリをした。
「みんなごめん。学校から呼び出しだ。きっとテストの事で。だから行くね!私のことは気にしないで、飲みまくってよ!また誘って」
:09/05/11 14:23 :SH901iC :0u6kOFR2
#691 [ゆーちん]
惜しまれつつ、退散。
自分で言うなって?
うん、気分が晴れてきた。
私の足取りも軽い。
ヒール音は、仁士の家へと向かっていった。
:09/05/11 14:23 :SH901iC :0u6kOFR2
#692 [ゆーちん]
ピーンポーン…
よし、まだバイトの時間じゃないから家にいるはず。
ガチャ…
「はい」
ほらね。
「よっ!」
「えっ、七海?何でいんの!」
ナイスリアクション!
「蕾夢の子守り」
「友達と約束は?」
:09/05/11 14:24 :SH901iC :0u6kOFR2
#693 [ゆーちん]
「嘘ついて帰って来た」
「何で…」
「だって私、あんたの先生だもん。生徒が困ってるときは助けてあげないと」
仁士が笑った。
「調子いい時だけ教師を名乗る癖、なんとかしたら?」
「それに、あんたら兄弟の力になるのって、悪くない」
私も笑った。
:09/05/11 14:24 :SH901iC :0u6kOFR2
#694 [ゆーちん]
―――
仁士の家から、私の家へと移動した3人。
蕾夢は託児所に行かなくなったので、喜んでいた。
「らいむね、ななみちゃんのおうち、すきー」
私もあんたの笑顔すきー。
「七海ちゃんも蕾夢がおうちに来てくれると嬉しいよん」
:09/05/11 14:27 :SH901iC :0u6kOFR2
#695 [ゆーちん]
「だってね、れおいるもん!」
…おいおい、私がいるからじゃなくってレオ目当てかよ。
「ブッ!」
「笑うな、にいに」
:09/05/11 14:27 :SH901iC :0u6kOFR2
#696 [ゆーちん]
「だって…」
「レオに負けたみたい、私」
まぁ、いいけど。
七海ちゃんは、そんなおちゃめな蕾夢が好きだから。
:09/05/11 14:28 :SH901iC :0u6kOFR2
#697 [ゆーちん]
私の家に着くと、仁士はすぐにバイトへ向かう。
「ありがと。よろしくな」
やっぱり仁士にありがとうを言われると泣きそうになる。
でも、飲み会を抜けて来てよかったって思う。
そんな仁士の笑顔は今日も泥だらけになって来るんだって思うと、喉元がムズムズした。
:09/05/11 14:28 :SH901iC :0u6kOFR2
#698 [ゆーちん]
深夜1時を回った頃、仁士が帰って来た。
「おかー」
「ただー」
「最近の若者は何でも略せばいいと思ってんの?」
「七海が振ったんだろ」
「すぐ人のせいにするぅ」
「それより、起きてたの」
「おん。飲んでた」
ちょっとばかしビールなんか飲んだものだから、酒恋しくなり、蕾夢を寝かせてから一人酒を楽しんでいた。
:09/05/11 14:29 :SH901iC :0u6kOFR2
#699 [ゆーちん]
「酔ってる?」
「全然。なんか今日は酔えない」
「何で?」
「んー、わかんない」
仁士は煙草、私はお酒。
二人して黙りながらテレビを見た。
深夜番組ってなんでこんなに面白いんだろ。
二人でハマっちゃって、気が付けば1時間も経っていた。
:09/05/11 14:30 :SH901iC :0u6kOFR2
#700 [ゆーちん]
「テレビも終わったし、帰るか」
「明日の朝辛いだろうね」
「お互い様な」
仁士はベッドに行き、栄之助を抱き上げた。
起きかけたけど、また仁士の腕の中で眠る。
毎回毎回この瞬間がヒヤヒヤする。
途中で起こしちゃうのが可哀想だから。
:09/05/11 14:30 :SH901iC :0u6kOFR2
#701 [ゆーちん]
玄関で仁士は言った。
蕾夢が起きないように小声で。
「今日は本当助かった」
「最初断ってごめん」
「それは仕方ないから」
「そんな風に思ってなかったくせに」
「え?」
「私が断ったら一気に不機嫌になってた」
:09/05/11 14:31 :SH901iC :0u6kOFR2
#702 [ゆーちん]
「そう?」
「うん」
「それはきっとアレだな」
「何」
背の高い仁士は私を見下ろしながら言う。
「失恋した気分にでもなって、無意識に不機嫌になってたのかも」
「…無意識とかタチ悪い」
:09/05/11 14:31 :SH901iC :0u6kOFR2
#703 [ゆーちん]
言葉や合図はなかった。
そういう雰囲気でもなかった。
なのに蕾夢を抱っこしたままの仁士は、私にキスをした。
この前の下手くそなキスとは大違い。
今日は首も唇も痛くない、優しいキスだった。
:09/05/11 14:33 :SH901iC :0u6kOFR2
#704 [ゆーちん]
「何でこんな事するの?」
「何だその質問。処女か!」
「だって…」
「元若者よ、たくさん悩め」
「…元って何よ。失礼しちゃう」
仁士は笑いながら帰ってった。
:09/05/11 14:33 :SH901iC :0u6kOFR2
#705 [ゆーちん]
あー、酔えない理由わかった。
緊張してたからだ。
仁士が帰った途端、急に酒が体中に巡った気がした。
おかげでベッドに入ってるはずなのに、宙に浮いてるみたいだったよ。
何で仁士に緊張してんの?って疑問は明日考えよう。
今日はもう寝る。
明日は学校だ。
:09/05/11 14:34 :SH901iC :0u6kOFR2
#706 [ゆーちん]
翌朝はひどい頭痛で目が覚めた。
ちょっと寝坊して慌てて用意したせいで、昨日の事を思い出す暇もなかった。
だから学校に着いて仁士を見た時、不意討ちのビンタを食らったような気分になった。
昨日キスしたのは、幻なんかじゃなくって現実だったはず。
あんなに平然でいられると現実だったっていう自信がなくなる。
:09/05/12 08:58 :SH901iC :yWNcT3eQ
#707 [ゆーちん]
あぁー、イガイガする!
栄之助、あんた言ったよね?
私と仁士は両想いだ、って。
ちょっくらハッキリさせますか。
いつまでもこのままじゃ嫌。
:09/05/12 08:59 :SH901iC :yWNcT3eQ
#708 [ゆーちん]
と、いうわけで4時間目に仁士を更衣室に呼び出した。
「僕、サボるキャラでもないんですけど」
「なーにが、僕よ。僕ってキャラでもないでしょ」
:09/05/12 09:00 :SH901iC :yWNcT3eQ
#709 [ゆーちん]
久しぶりの更衣室は寒かった。
屋上に行きたかったけど、今日は天気が悪いからきっとここより寒いだろう。
「どしたのー。オセロでもする?」
まだ何を言われるのかわかってない仁士は、ロッカーに入れているオセロを取り出し、ベンチの上に置いた。
:09/05/12 09:00 :SH901iC :yWNcT3eQ
#710 [ゆーちん]
「オセロしながら話す?」
オセロ盤を挟み、私も仁士もベンチに座る。
「何の話だよ」
「…どの話かわかってるくせに。弟が寝てるからって抱っこしながらアレは無いっしょ」
:09/05/12 09:01 :SH901iC :yWNcT3eQ
#711 [ゆーちん]
すると仁士は笑った。
やっと気付いたみたい。
「で!元若者はたくさん悩んで、たくさん考えたけど、やっぱりよくわかんない。現若者よ、答えを教えろ!」
「じゃあオセロに勝ったら教えてやるよ。はい、スタート」
:09/05/12 09:02 :SH901iC :yWNcT3eQ
#712 [ゆーちん]
と、いうわけでいきなり始まったオセロ勝負。
勝てる!と確信してからの仁士の逆転劇はすごかった。
「はい、七海の負けー」
その笑顔、ムカつく。
「悔しいからもう一回」
「何回やっても結果は一緒」
「…結果とかどうでもいい。勝たなきゃ教えてくんないんでしょ?私、知りたいもん」
:09/05/12 09:03 :SH901iC :yWNcT3eQ
#713 [ゆーちん]
仁士といる時に感じる、この息苦しい雰囲気は何なんだろう。
じれったくてイライラする。
「今どき、処女でもそんな発言しないぞ」
「だって私、あんたの先生なんだよ?からかってるなら辞めてくんないと、お互い大変なだけじゃん」
:09/05/12 09:03 :SH901iC :yWNcT3eQ
#714 [ゆーちん]
「…栄之助にはキスさせんのに、俺はダメって事?」
あ、不機嫌になった。
「栄之助で学んだんじゃん。いくら教師って仕事が面倒でも、不真面目にキスしてると痛い目に遭うだけだって」
「痛い目って?」
:09/05/12 09:04 :SH901iC :yWNcT3eQ
#715 [ゆーちん]
「結局はお互い辛かっただけ」
「…辛かったんだ?」
「ママしてる間は辛いだとか思わなかったんだけど、いざ私から去ってく時はやっぱ辛かったよ」
「それは栄之助を好きだったから?」
「違う。そうじゃない」
:09/05/12 09:04 :SH901iC :yWNcT3eQ
#716 [ゆーちん]
なんで栄之助も仁士も、好きだの嫌いだのこだわんのよ。
もぉー、頭爆発しそう。
「その気がないなら、もうからかわないで」
「…」
「あんたとは、友達みたいな感覚で楽しかったのに…キスなんかするから私どう接していいかわかんなくなってきてんの」
:09/05/12 09:05 :SH901iC :yWNcT3eQ
#717 [ゆーちん]
仁士は何も言わず、オセロを眺めてた。
「キスしてる時はいいかもしんない。でもその後の私の頭の中ぐちゃぐちゃになんの。あんたは、なんない?」
:09/05/12 09:06 :SH901iC :yWNcT3eQ
#718 [ゆーちん]
仁士はゆっくり顔を上げた。
目が合う。
「ぐちゃぐちゃになるよ」
「だったら‥」
真面目な顔は似合わない。
私は、冗談言ってニッて笑うクラス委員長の顔の方が好きだな。
少しばかり眉を下げて、私の言葉を見事に遮り、こう言った。
:09/05/12 09:06 :SH901iC :yWNcT3eQ
#719 [ゆーちん]
「嬉しすぎて、ぐちゃぐちゃになるんだよ」
辞めて、栄之助の二の舞になるのは嫌だ。
「そんな嘘、いらない」
「嘘じゃねぇよ。嫌いな奴にキスしたりもしないし、幼なじみとキスしてイチャついてる所見てヤキモチ妬いたりもしない」
:09/05/12 09:07 :SH901iC :yWNcT3eQ
#720 [ゆーちん]
「もう…そんな事聞きたいんじゃない!あんたは私をどうしたいのよ!」
回りくどい事をせずに最初からこう聞けばよかったものの、冷静を装うのに必死で変に遠回りする言葉を選んでいた。
もう冷静なんて保っていられるわけもなく、気付いたら半泣きになりながら叫んでた。
:09/05/12 09:07 :SH901iC :yWNcT3eQ
#721 [ゆーちん]
早く仁士の返事が聞きたいのに、何にも言わないで私を見ているだけだった。
ムカつく、本当ムカつく。
何で私があんたごときに半泣きにされなきゃなんないの。
「聞いてんの?あんたは、私を、どうし‥っ」
:09/05/12 09:08 :SH901iC :yWNcT3eQ
#722 [ゆーちん]
オセロがベンチの上から勢いよく落ちた。
それと言うのも、私が引っ張られたからだ。
私が仁士の腕の中に無理矢理引っ張り込まれたせいで、オセロは落ちてしまった。
「どうしたいか言えば、その望みは叶えてくれんの?」
:09/05/12 09:09 :SH901iC :yWNcT3eQ
#723 [ゆーちん]
痛い。
体も痛いし、心臓だって痛い。
こいつは人を抱き締める力の加減ってもんができないの?
でも心臓が痛いのは、また別の理由だって事…気付かないフリしてる私が嫌い。
:09/05/12 09:09 :SH901iC :yWNcT3eQ
#724 [ゆーちん]
「…離して」
「離しちゃったら、お前泣くじゃん」
「もう泣かしてる」
仁士の制服が濡れた。
化粧が滲んで、汚れも付いた。
「どうしたいもこうしたいも、もうお前だってわかってんじゃねぇの?」
:09/05/12 09:11 :SH901iC :yWNcT3eQ
#725 [ゆーちん]
「…わかんない」
「あえて言うなら、あと10年早く生まれたかった」
もっと濡れたし、もっと汚れた。
「私はあと10年遅く生まれたかった」
:09/05/12 09:12 :SH901iC :yWNcT3eQ
#726 [ゆーちん]
栄之助、認めるよ。
私は仁士が好きなんだ。
私が教師じゃなかったら、仁士が生徒じゃなかったら…。
「もうやだ」
「俺もやだ」
「こんなガキんちょのどこがいいのか自分でもわかんないよ」
「俺だってこんな色気の無いババァのどこに惚れちゃったんだろ」
:09/05/12 09:12 :SH901iC :yWNcT3eQ
#727 [ゆーちん]
理由を考えるのは辞め。
もう頭は爆発した。
優しいキスはどこにもなくって、無我夢中にお互いの欲を重ね合った。
この前、歯をぶつけて怪我した唇が少しだけ疼く。
:09/05/12 09:13 :SH901iC :yWNcT3eQ
#728 [ゆーちん]
「…さっきの休み時間、煙草吸ったでしょ」
だってキスが苦いから。
「緊張ほぐすのにね」
ふーん、緊張してたんだ。
私もだよ。
:09/05/12 09:13 :SH901iC :yWNcT3eQ
#729 [ゆーちん]
「どこで吸ったの?」
「秘密」
「あんまり無茶してるとバレるよ。委員長が喫煙で謹慎なんて助けようが無いから」
「…もう、そういうの辞めよ。俺といる時は教師とか生徒とか忘れたい」
「無理だよ。どうあがいてもやっぱり私は教師で、あんたは生徒。結ばれる運命じゃない」
:09/05/12 09:14 :SH901iC :yWNcT3eQ
#730 [ゆーちん]
だったら何でキスしたんだろう。
言動が矛盾してるよ、私。
「俺と付き合うのは不可能な事なんだ?」
頷いた。
:09/05/12 09:15 :SH901iC :yWNcT3eQ
#731 [ゆーちん]
「両想いでも?」
頷いた。
「好きなのに?」
どうしよう、頷けない。
好きなのに付き合えないパターンなんて柴田七海の人生には初めての事だから、すぐに頭が回らないの。
:09/05/12 09:15 :SH901iC :yWNcT3eQ
#732 [ゆーちん]
「ごめん、私そんなに器用じゃない」
「栄之助に油売ってた時は器用に過ごしてた」
「栄之助への好きと、あんたへの好きは違うの。わかるでしょ?」
:09/05/12 09:16 :SH901iC :yWNcT3eQ
#733 [ゆーちん]
仁士はよりいっそう抱きしめる力を強めた。
「…無理」
「無理って言われても、私だって無理だよ。もう頭爆発して再起動に時間掛かりすぎる」
「…年中無休で爆発してるくせに」
「愛の言葉を囁きながら、喧嘩売るのが得意なの?」
:09/05/12 09:16 :SH901iC :yWNcT3eQ
#734 [ゆーちん]
この状況でまだ冗談ぶっかませる余裕があるなら、私なんかいなくても大丈夫でしょ。
「仁士には仁士の未来がある。私みたいなババァに十代の貴重な時間使うのは勿体ないよ。元十代が言うんだから間違いない」
:09/05/12 09:17 :SH901iC :yWNcT3eQ
#735 [ゆーちん]
「お互い好き同士なのに付き合えないって事を学んだ十代の傷は、俺の心から一生消えないんだろうな」
「…だって、仕方ないじゃん。私は仁士が好きだから、お互いの為を思って言ってるの」
「教師と生徒が付き合うのって、そんなに不可能な事なの?」
「…うん。私は17の男のママをする不真面目さはあっても、真剣な恋をする真面目さはない。仁士と付き合っていける自信がないんだよ」
:09/05/12 09:17 :SH901iC :yWNcT3eQ
#736 [ゆーちん]
仁士は、私から離れた。
体が冷たい風に抱かれる。
仁士の腕が恋しくなるけど、自分で選んだ道だ。
戻れない。
:09/05/12 09:18 :SH901iC :yWNcT3eQ
#737 [ゆーちん]
―――
あれからどうなったかって?
仁士は苦しそうな顔をして更衣室から出てったよ。
私は泣いた。
久しぶりに恋愛絡みで泣いた。
泣いて泣いて、しっかりしなきゃって自分に喝入れた。
:09/05/12 09:23 :SH901iC :yWNcT3eQ
#738 [ゆーちん]
でも、放課後にあった職員会議の内容なんか全く覚えてないくらい、頭の再起動には時間がかかった。
家に帰り、レオを抱き締めて眠った。
涙が勝手に流れてた。
:09/05/12 09:23 :SH901iC :yWNcT3eQ
#739 [まあ]
気になリます
:09/05/13 20:16 :D904i :XB6F8LH6
#740 [ゆーちん]
:09/05/14 09:54 :SH901iC :UWYIjbJY
#741 [ゆーちん]
翌日、そのまた翌日、そのまたまた翌日…あの日から3日目の今日まで、まだ一度も仁士とは話してない。
学校には来てるみたいだけど、私の授業の時にはいなかった。
どうやら仁士は栄之助に私の事を言ったらしく、栄之助まで私を避けた。
:09/05/14 09:55 :SH901iC :UWYIjbJY
#742 [ゆーちん]
栄之助は背中を押してくれた人だから、ちゃんと報告を兼ねて話がしたいのに、私が話しかけようとすると上手く姿を消すんだ。
ねぇ私、17の男の子に避けられるだなんて、去年の今頃想像なんかした?
しなかったよね。
どうすればいいのか、わかんないよね…。
:09/05/14 09:55 :SH901iC :UWYIjbJY
#743 [ゆーちん]
「ななみん、バイバーイ」
「バイバイ、また明日」
放課後は学校中が一気に賑やかになる。
期末テストが終わり、結果が知らされ、留年なのか補習なのか進学なのか、それぞれがやるべき事をやらなければいけない春休み前。
:09/05/14 09:56 :SH901iC :UWYIjbJY
#744 [ゆーちん]
無事に春休みを迎えられる仁士、補習を受けないと進学できない栄之助。
放課後、その二人に呼び出された。
私が今やらなきゃいけない事は、呼び出された更衣室に行く事だ。
バックレたりせず、素直に呼び出しに従う。
:09/05/14 09:56 :SH901iC :UWYIjbJY
#745 [ゆーちん]
ガチャ…
「女子更衣室に男子生徒が2人も侵入してる」
栄之助は笑ってたけど、仁士はいつもながらのクール顔って感じ。
てゆーか仁士の顔をまじまじと見るのが久しぶりすぎて、心臓バクバク。
:09/05/14 09:57 :SH901iC :UWYIjbJY
#746 [ゆーちん]
「今日だけはママって呼んじゃうから」
「…別にいいけど」
猿スマイルは、私の心にちょっとばかしの余裕をくれる。
「ここで二人が愛を確認しあったのは、仁士から聞いた。俺の言った通り、両想いだったでしょ?」
:09/05/14 09:57 :SH901iC :UWYIjbJY
#747 [ゆーちん]
私と仁士からは【気まずい】オーラ発生させまくってるのに、栄之助は空気を読むのが下手くそなのか、空気を読んであえての行為なのか…むちゃくちゃ明るく会話を進める。
「何で好き同士なのに付き合わないの?」
:09/05/14 09:58 :SH901iC :UWYIjbJY
#748 [ゆーちん]
「それは私と仁士が‥」
「教師と生徒だから、って答え以外で」
「それ以外に理由は…」
「無いんだ」
私は頷いた。
仁士は何も言わず、栄之助の隣で座っているだけ。
息苦しいよ、何か喋ってよ、ねぇ仁士。
:09/05/14 09:59 :SH901iC :UWYIjbJY
#749 [ゆーちん]
「その教師と生徒が付き合うのは、不可能ってママは仁士に言ったんだよね?」
「そうだよ」
「不可能ねぇ…」
すると栄之助は、私に正方形の板を手渡した。
カラフルな板には、升目が入っている。
:09/05/14 09:59 :SH901iC :UWYIjbJY
#750 [ゆーちん]
「何これ」
「よーく思い出して。文化祭1日目に3人でここでオセロした事」
年取ると、記憶力は低下する。
どうでもいいって判断した出来事だったら尚更覚えてない。
でも私の脳は、どうでもいいって判断しなかったらしく、ちゃんと記憶してくれていた。
:09/05/14 10:00 :SH901iC :UWYIjbJY
#751 [ゆーちん]
―――…
「仁士強すぎー」
「手加減しろよー」
「手加減してるよ?」
「絶対嘘だよー」
私と栄之助VS仁士でのオセロ対決。
二人VS一人なのに、クラス委員長を負かすのはなかなか難しい事だった。
:09/05/14 10:00 :SH901iC :UWYIjbJY
#752 [ゆーちん]
「つーかオセロって何で白黒なわけ?気分滅入っちゃう」
と、栄之助が嘆く。
「色に疑問持つ人、初めて見た」
私と仁士が笑うと、栄之助は子供のようにムキになりながら言った。
:09/05/14 10:01 :SH901iC :UWYIjbJY
#753 [ゆーちん]
「白黒のテレビより、カラフルなテレビのがいいだろ?それと一緒。白黒よりレインボーなのがいいの」
「ほぉー…」
栄之助の勢いに納得しかけたけど、すぐに仁士に叱られてた。
「一緒じゃねぇよ。石は二面しかないのに、どうやってレインボーとやらに出来んだよ。あんたも先生のくせに、ほぉーとか言ってんじゃねぇよ」
:09/05/14 10:02 :SH901iC :UWYIjbJY
#754 [ゆーちん]
17のガキ猿と27の頭の悪いババァは、クールな金髪頭に叱られた。
「じゃあ仁士はレインボーなオセロは無理だって言いたい訳?」
と、栄之助。
:09/05/14 10:02 :SH901iC :UWYIjbJY
#755 [ゆーちん]
「当たり前」
たこ焼きを食べながら仁士は呆れて言った。
「よーし、わかった。そのレインボーなオセロ、いや、虹色のオセロとやらを俺は作ってみせるからな!」
…本当のバカか、この猿。
張り合うとこじゃねぇし。
:09/05/14 10:03 :SH901iC :UWYIjbJY
#756 [ゆーちん]
「栄之助、無理だよ。二面しかない石を虹色にしちゃったら、もうその時点でオセロじゃないしルール変わっちゃうよ」
私もりんご飴を舐めながら栄之助に忠告。
白と黒しかないオセロを、赤青黄色だなんて…
「不可能」
仁士が言った、その不可能って言葉が妙に頭に残ってしまう。
:09/05/14 10:03 :SH901iC :UWYIjbJY
#757 [ゆーちん]
「俺の辞書に不可能なんて‥」
「あるだろ。そこカッコつけるとこじゃない」
「もぉー!いちいちクールだな瀬川仁士さんよぉ?」
「お前はいちいちバカだな栄之助ちゃん」
仁士と栄之助のこういう会話を見てるのが楽しかった。
:09/05/14 10:04 :SH901iC :UWYIjbJY
#758 [ゆーちん]
「俺は絶対に虹色のオセロ、作るからな〜。んで、将来は教科書に残るような発明者として活躍すんの」
「虹色のオセロを作った、渡辺栄之助って?」
「そう!」
「あっそ、せいぜい頑張ってねー」
「つーわけで、もう一戦!ほらママ、ぼーっとしてないでやるよ」
:09/05/14 10:04 :SH901iC :UWYIjbJY
#759 [ゆーちん]
―――…
あれから栄之助は、虹色のオセロの事なんて忘れちゃってたし、私と仁士も忘れてた。
栄之助がこれを渡す今の今まで、虹色のオセロは不可能だって思ってたんだから。
「あんた…バカ?」
:09/05/14 10:05 :SH901iC :UWYIjbJY
#760 [ゆーちん]
「バカじゃないよ。将来は発明者として名を残す偉い人」
「こんなんじゃ名前残る訳ないでしょ」
栄之助に渡されたもの、それは、虹色のオセロ。
盤が虹色になった、虹色のオセロ。
:09/05/14 10:05 :SH901iC :UWYIjbJY
#761 [ゆーちん]
「これだって、れっきとした虹色のオセロだよ。不可能なんて無い。考え方や違う方向から見てみれば、不可能も可能になるんだよ」
バカ猿にこんな事教えられるなんて思ってもみなかった。
「ママと仁士が付き合うのだって不可能じゃない。先生と生徒が付き合うのだって考え方や見方を変えれば、無理な事なんかじゃないんだよ」
:09/05/14 10:06 :SH901iC :UWYIjbJY
#762 [ゆーちん]
あぁ、やだ…泣きそう。
「それ言うために、このカラフルな盤、作ってくれたの?」
「これ作るの大変だったんだよ?3日かかった?なぁ仁士」
仁士は今だに口を開かない。
「仁士と栄之助で作ったの?」
「そうだよん。キラキラしてて綺麗でしょ?ペンキ乾かすのって結構時間いるんだね」
:09/05/14 10:07 :SH901iC :UWYIjbJY
#763 [ゆーちん]
「こんな板とか、どうしたの?」
「それはー…そういう話は、仁士に聞きなよ?俺そろそろ帰るね」
えっ、やだ、待ってよ。
今あんたが帰ったら、仁士と二人きりじゃん。
気まずいし、恥ずかしいし、緊張だし…どうすればいいのかわかんない。
:09/05/14 10:07 :SH901iC :UWYIjbJY
#764 [ゆーちん]
「えっ、栄之助…」
「俺は、ママが好きだから仁士と幸せになってもらいたいの。変な意地張んなくていいから、そろそろ自分の幸せ考えなよ、ママ」
栄之助は最後まで笑ってた。
意地じゃなくて怖いんだよ。
あんたの時みたいに、無意識のうちに相手を傷つけちゃうから。
:09/05/14 10:08 :SH901iC :UWYIjbJY
#765 [ゆーちん]
ガチャンと閉まった扉。
二人きりの更衣室。
目の前にいるのに目が合わない、好きな人。
「その板ねー」
「え?」
3日ぶりの仁士の声は床に向かって吐き出される。
俯いてないで私を見てよ。
:09/05/14 10:09 :SH901iC :UWYIjbJY
#766 [ゆーちん]
「工事現場から貰って来た。ペンキ塗るハケも借りた。小学生ぶりに図工とかしたもんだから、栄之助とペンキだらけになりながら頑張った」
「…そう、なんだ」
「俺、虹色のオセロの話なんか忘れててさ。栄之助に、七海に告ったのに付き合うのは不可能だってフラれたって報告したら、あいついきなり虹色のオセロだとか言い出してさ」
:09/05/14 10:09 :SH901iC :UWYIjbJY
#767 [ゆーちん]
「うん」
俯く顔が少し上がったけど、やっぱり私を見てくれない。
「石じゃなくて盤を虹色にするなんて思わなくてビックリした。でもあいつなりに無い頭使って俺らの事応援してくれたんだよ」
:09/05/14 10:10 :SH901iC :UWYIjbJY
#768 [ゆーちん]
「そうだね」
「栄之助ってバカだけど、バカの説明って考えが単純だから凄い納得できちゃって。石だろうが盤だろうがレインボーに塗れば、虹色のオセロなんだって言われた時は、不可能は不可能じゃないって思えた…って、なんか今のセリフ、カレーライスマンの歌詞みたいだったな」
:09/05/14 10:10 :SH901iC :UWYIjbJY
#769 [ゆーちん]
やっと仁士が笑った。
「不可能は不可能じゃない?そんな歌詞あった?」
「あったよ。ラストの曲。栄之助が七海に向けて書いた曲に」
「…忘れちゃった」
「また歌ってやるから覚えろよ」
「…うん」
:09/05/14 10:11 :SH901iC :UWYIjbJY
#770 [ゆーちん]
いや、話ズレてるから。
そうじゃなくて、私が言いたいのは…
「不可能とか無理とか言われても諦めきれない時は、どうすればいいんですか。先生」
私が言いたいのはね…
「私も諦めきれないんだけど、どうしたらいいかわかる?瀬川くん」
:09/05/14 10:11 :SH901iC :UWYIjbJY
#771 [ゆーちん]
「好きなんだけど、七海の事。めちゃくちゃ好き」
やっと目を見てくれたのに、涙のせいで仁士がぼやける。
タイミング悪いぞ、私の涙腺!
「私も…好き…なんだけど…意味わかんないくらい」
:09/05/14 10:12 :SH901iC :UWYIjbJY
#772 [ゆーちん]
ベンチに座る仁士が私の手を引っ張った。
むちうちにはならないよう、ゆっくりとね。
「泣くなよ。俺が泣かしたみたいで気分悪い」
「あんたが泣かしたんじゃん」
「そうなの?」
「わかってるくせに!ムカつく!」
:09/05/14 10:13 :SH901iC :UWYIjbJY
#773 [ゆーちん]
教師と生徒が付き合うのは不可能だって?
3日前、そんなしょぼい事言った自分を殴り飛ばしたいね。
不可能なんてあるもんか。
好きなんだから仕方ないじゃん。
:09/05/14 10:13 :SH901iC :UWYIjbJY
#774 [ゆーちん]
理性もモラルも糞食らえ。
私は仁士の先生だけど、頭爆発するくらい好きなの。
:09/05/14 10:14 :SH901iC :UWYIjbJY
#775 [ゆーちん]
3日前のあんたが余計な心配しなければ、3日前から幸せになれてたかもしれないのに。
3日間も、この苦いキスを欲しがらなくて済んだのに。
3日前の自分、バカ!
:09/05/14 10:14 :SH901iC :UWYIjbJY
#776 [ゆーちん]
「まっずー」
「あんたねぇ。そこはまずくても、涙の味でしょっぱいねとか可愛く言うもんでしょ?」
「俺そんなキザな事できないから」
「どこがよ!この板作ってくる時点でキザだよ」
:09/05/14 10:15 :SH901iC :UWYIjbJY
#777 [ゆーちん]
「それは栄之助の提案だもん」
「その栄之助の提案に乗ったあんたも共犯じゃ‥」
「はいはい、もうわかった。うるさい」
…キザだよ。
キスで私の言葉を遮るんだから。
:09/05/14 10:15 :SH901iC :UWYIjbJY
#778 [ゆーちん]
「まっずー」
「あ?」
「煙草の味がする」
「禁煙しようか?」
「…出来ないくせに」
「出来るもーん。栄之助だってまた禁煙始めたし、一緒に頑張ったら‥」
「しなくていい。このまずいキス、好きだから」
:09/05/14 10:16 :SH901iC :UWYIjbJY
#779 [ゆーちん]
「うっわ、キザ」
「あんたには負ける」
どんなにキスしても足りない。
やっと手に入れた幸せが、あまりにもデカすぎて怖いくらいだよ。
:09/05/14 10:16 :SH901iC :UWYIjbJY
#780 [ゆーちん]
好き、好き、好き!って大声で叫んでやりたくなる。
でも今は、このキスをもうちょっと味わいたい。
END
>>2アンカー
>>感想板
:09/05/14 10:17 :SH901iC :UWYIjbJY
#781 [ゆーちん]
:09/05/14 10:17 :SH901iC :UWYIjbJY
#782 [こころ]
:09/05/14 18:46 :F904i :wPnOwE/.
#783 [我輩は匿名である]
上げておこう
:09/05/15 08:26 :N903i :Qa5LZVnc
#784 [さや]
めっちゃおもしろかったですス
:09/05/16 23:00 :W62SA :Z8QZvyRY
#785 [すぅ]
作品全部見てます
めっちゃ好きです
神だと思います~
ぜひまた書いてくださいx
:09/05/19 14:52 :W51S :s3RBChHA
#786 [我輩は匿名である]
あげ
:09/06/10 13:27 :N903i :☆☆☆
#787 [さりな]
まだ読んでない人いたら読んでほしい
:09/06/15 00:30 :SH903i :ByB3uVtM
#788 [我輩は匿名である]
あげっ
:09/07/10 10:47 :P903iTV :☆☆☆
#789 [はる]
やばい面白かったです!
:09/08/02 10:35 :SO706i :UMi4TRyQ
#790 [我輩は匿名である]
めっちゃすごぃ。
:09/08/02 13:36 :P02A :J3SgovQY
#791 [我輩は匿名である]
あっげ
:09/08/19 07:43 :P903iTV :☆☆☆
#792 [こころ]
絶対消えてほしくないからあげ
:09/09/18 00:32 :F904i :Et1eTErs
#793 [我輩は匿名である]
↑万が一消えてもHPありますから大丈夫ですよ
:09/09/18 15:12 :P903iTV :☆☆☆
#794 [▽]
すきなのであげ(^ー^)
:09/09/20 11:56 :W52SH :DBbi.SnY
#795 [´ω`]
あげあげ
:09/10/03 18:44 :820N :HyamwjI2
#796 [:/ぶーちゃん]
:10/05/03 15:39 :N02A :nuh.5A1A
#797 [健太郎]
一言言わせてください…
すごいよかったです
:10/05/14 03:09 :SH01B :1lT.ZG9g
#798 [我輩は匿名である]
:10/05/21 22:53 :F905i :☆☆☆
#799 [我輩は匿名である]
:10/05/22 00:13 :812SH :wY818Rms
#800 [我輩は匿名である]
800
:10/05/23 03:03 :F905i :☆☆☆
#801 [我輩は匿名である]
:11/02/06 21:44 :D902i :☆☆☆
#802 [我輩は匿名である]
かなやなか
:11/11/21 22:25 :SH10C :☆☆☆
#803 [我輩は匿名である]
主さんがかくストリーすてき
:12/12/05 11:22 :F-03D :pPa.2eHs
#804 [我輩は匿名である]
かなやさはら
:14/04/21 23:11 :iPhone :DCFURpPI
#805 [&◆JJNmA2e1As]
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#884 [&◆JJNmA2e1As]
💟😘(っ'-')╮=͟͟͞͞♡💕好き♡😳💕💟
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#890 [&◆JJNmA2e1As]
∧∧ おやすみ・・・
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#891 [&◆JJNmA2e1As]
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#892 [&◆JJNmA2e1As]
ネヨウ
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#893 [&◆JJNmA2e1As]
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#894 [&◆JJNmA2e1As]
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いいね✨ (๑ŐωŐ๑) ✨いいね
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#904 [&◆JJNmA2e1As]
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#905 [&◆JJNmA2e1As]
ネヨウ
∧_∧___
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#906 [&◆JJNmA2e1As]
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#907 [&◆JJNmA2e1As]
∧∧ おやすみ・・・
(*・ω・)
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#908 [&◆JJNmA2e1As]
もう寝るお
バタンキュー
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⊂⌒つ〃-ω-)つ
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#909 [&◆JJNmA2e1As]
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#911 [&◆JJNmA2e1As]
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#917 [&◆JJNmA2e1As]
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#921 [&◆JJNmA2e1As]
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#922 [&◆JJNmA2e1As]
もう寝るお
バタンキュー
〃∩ ∧_∧
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| ( ^o^)ノ おやすみー
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∧∧ おやすみ・・・
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#925 [&◆JJNmA2e1As]
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#926 [&◆JJNmA2e1As]
ネヨウ
∧_∧___
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#928 [&◆JJNmA2e1As]
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#939 [&◆JJNmA2e1As]
○○❤️@🐈👑 𝓟𝓢推し❦
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#942 [&◆JJNmA2e1As]
💟😘(っ'-')╮=͟͟͞͞♡💕好き♡😳💕💟
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| ( ^o^)ノ おやすみー
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#955 [&◆JJNmA2e1As]
もう寝るお
バタンキュー
〃∩ ∧_∧
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∧∧ おやすみ・・・
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ネヨウ
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| ( ^o^)ノ おやすみー
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もう寝るお
バタンキュー
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もう寝るお
バタンキュー
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#982 [○○&◆.x/9qDRof2]
∧∧ おやすみ・・・
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💟😘(っ'-')╮=͟͟͞͞♡💕好き♡😳💕💟
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💟😘(っ'-')╮=͟͟͞͞♡💕好き♡😳💕💟
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#997 [○○&◆.x/9qDRof2]
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| ( ^o^)ノ おやすみー
|\⌒⌒⌒ \
\|⌒⌒⌒⌒|
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#998 [○○&◆.x/9qDRof2]
もう寝るお
バタンキュー
〃∩ ∧_∧
⊂⌒つ〃-ω-)つ
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#999 [○○&◆.x/9qDRof2]
∧∧ おやすみ・・・
(*・ω・)
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#1000 [○○&◆.x/9qDRof2]
┻┳| 閉めますよ |┳┻
┳┻|_∧ ∧_|┻┳
┻┳|・ω・) (•ω•|┳┻
┳┻|⊂ノ \つ|┻┳
┻┳|∪ し|┳┻
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#1001 [我輩は匿名である]
このスレッドは 1000 を超えました。
もう書けないので新しいスレッドを建ててください。
:22/10/01 21:56 : :Thread}
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