虹色のオセロ
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#101 [ゆーちん]
当の栄之助は他人事のように私と瀬川仁士の会話を眺めていた。


「付き合ってんの?先生と栄之助って。」

「ううん、付き合ってない。だから余計ヤバいでしょ?恋人でもないのにキスしてたなんて。」

⏰:09/04/26 13:37 📱:SH901iC 🆔:FFIr2eIk


#102 [ゆーちん]
「そうだね。だから尚更おもしろくない?
栄之助とななみんがキスしてただなんて、最近退屈だったこの学校には刺激的な話題。」

「げーっ。お願いだからやめてぇ。面倒な事だけは嫌いだからぁ」

⏰:09/04/26 13:37 📱:SH901iC 🆔:FFIr2eIk


#103 [ゆーちん]
もうゲッソリ。


つーかグッタリ。


私ばっかいじめるんだもん、瀬川仁士め。


栄之助はずーっと知らん顔してるし。


「せっかくこの学校にも慣れて来たのにねぇ。」

「そうなのよ。教師なんて面倒だけどもうフリーター戻りたくないしさ。」

⏰:09/04/26 13:38 📱:SH901iC 🆔:FFIr2eIk


#104 [ゆーちん]
クラス委員にいじめられ、半ベソ状態の私。


「仁士、もうそれくらいにしてあげてよぉ。ママ半泣きだし。」


栄之助が、そう言うと瀬川仁士は笑った。


「ごめん、ごめん。だってこの人おもしろいから。」

⏰:09/04/26 13:39 📱:SH901iC 🆔:FFIr2eIk


#105 [ゆーちん]
何、それ。


どういう事?


「ママごめんね。仁士、俺とママの関係知ってんだよ。なのにママの事からかっちゃって…ビックリした?」

「はぁ?」

「ごめんね、先生。」

⏰:09/04/26 13:40 📱:SH901iC 🆔:FFIr2eIk


#106 [ゆーちん]
「ママって本当に教室内を観察してないんだね。」

「観察?」

「俺と栄之助、いつも一緒にいるんだけど…知らなかったの?」


…マブダチってやつですか?

そんなの知らないし!

⏰:09/04/26 13:40 📱:SH901iC 🆔:FFIr2eIk


#107 [ゆーちん]
「邪魔して悪かったな。んじゃ栄之助、俺先に帰るわ。」

「あーい。また明日。」


そう言って瀬川仁士は更衣室から出て行った。


「栄之助、私なんかまだよくわかんない…」

「仁士って頭いいから、ああやって人をからかうのが好きなんだよ。」

⏰:09/04/26 13:41 📱:SH901iC 🆔:FFIr2eIk


#108 [ゆーちん]
「からかうのが…好き。」

「そ。まぁ心配しなくてもいいよ。仁士は俺らの事、誰かにチクったりしないから。」

「…本当に?」

「ああ見えて、あいつも結構な悪だから。さっ、続きのチュー。」

⏰:09/04/26 13:41 📱:SH901iC 🆔:FFIr2eIk


#109 [ゆーちん]
いつもは無心のキスも、この時のキスは瀬川仁士の事で頭いっぱい。


栄之助と仲良しだから、私と栄之助の関係を知ってて、わざとからかって…だから誰にもチクんないで内緒にしてくれる。


って事だよね?

⏰:09/04/26 13:42 📱:SH901iC 🆔:FFIr2eIk


#110 [ゆーちん]
―――


夏が来た。

つまり生徒は夏休み!


はぁ〜、幸せ。



案外気疲れする職業だから週末以外の休息も必要なんだよね。


生徒は夏休みでも教師は仕事があるため、変わらず出勤しなきゃだけど気の持ち用が違うよ。

⏰:09/04/26 15:48 📱:SH901iC 🆔:FFIr2eIk


#111 [ゆーちん]
お陰様で私の受け持つ子たち、誰も補習しなくて済むし。



ラッキーハッピーなサマーが始まる!


栄之助も仁士もおとなしく夏休みを過ごすみたいで、やっと羽根伸ばせるよ。

⏰:09/04/26 15:48 📱:SH901iC 🆔:FFIr2eIk


#112 [ゆーちん]
「ななみん先生、たまには飲み行きませんか?」


やなこった。


「ほずみん先生、早く帰って奥さんとお子さんと一緒にご飯食べてあげないと。それじゃあ、お疲れ様でーす!」

⏰:09/04/26 15:49 📱:SH901iC 🆔:FFIr2eIk


#113 [ゆーちん]
下心丸見えオヤジをおっぱらい私は家へと直行した。


「レオ〜、ただいま!今日も相変わらずほずみんウザキモだったの」

⏰:09/04/26 15:50 📱:SH901iC 🆔:FFIr2eIk


#114 [ゆーちん]
レオとじゃれながら過ごす夏の夜。


代わり映えのない毎日だけど、お風呂上がりのビールが美味しいから、それでいい。

⏰:09/04/26 15:51 📱:SH901iC 🆔:FFIr2eIk


#115 [ゆーちん]
たまに登校日だとか言って生徒をサマーパラダイスから現実に引き戻す学校。



んーなの無くていいじゃんね。



まあ当の私は登校日なんて、あった事すら知らずに過ごしてたタイプだけどね。

⏰:09/04/26 15:51 📱:SH901iC 🆔:FFIr2eIk


#116 [ゆーちん]
「おはよ、センセ。」

「おはよ。あんた完全に朝晩逆転生活してるでしょ。」

大あくびをする仁士。

わかりやすい奴。


「夜間のバイトのが時給いいし。」

「ふーん。苦労人だね。」

「同情すんなら金を‥」

「やんないよ、バカ。」

⏰:09/04/26 15:53 📱:SH901iC 🆔:FFIr2eIk


#117 [ゆーちん]
栄之助とのキスシーンを見られてから、なぜか瀬川仁士と仲良くなっちゃった。


クラス委員のくせに全然マジメじゃないとこが、これまた面白くて。


「仁士もう宿題全部やった?」

「やった。」

「うっそ。凄いね、あんた。」

⏰:09/04/26 15:53 📱:SH901iC 🆔:FFIr2eIk


#118 [ゆーちん]
誰にも聞かれないよう教室の隅でこそこそと会話する私と仁士。


こいつと栄之助には素を見せられるっつーか。


唯一の息抜き所みたいなもの。


それ以上はない。


ただの生徒…っつーかガキんちょだよ。

⏰:09/04/26 15:57 📱:SH901iC 🆔:FFIr2eIk


#119 [ゆーちん]
「栄之助はきっとまだ全然なんだろうなぁ。」

「だろうね。面倒見てあげないと、ママなんでしょ?」

「…世話のかかる子だよ、全く。」


なーんて笑ってると、噂のバカ猿登場。

⏰:09/04/26 15:57 📱:SH901iC 🆔:FFIr2eIk


#120 [ゆーちん]
「おはよ!久しぶり〜」

「なーんだ。来ないと思った。」

「ママに会いたかったんだもーん。あ、仁士おはよ。」

「おはよ。昨日はサンキュな。」

「どいたま〜。」

⏰:09/04/26 15:58 📱:SH901iC 🆔:FFIr2eIk


#121 [ゆーちん]
二人が仲良しなのは、どうやら有名らしい。


全然知らなかった。


興味がなかったもんだから、ね。


「ママ、放課後更衣室行っていい?」

「ダメ。」

「何で?久しぶりに会ったのに甘えさせてよ!」

⏰:09/04/26 15:59 📱:SH901iC 🆔:FFIr2eIk


#122 [ゆーちん]
「恋人じゃあるまいし、そんな密会まがいな事は嫌。そんなに私に会いたいならウチ来れば?」

「…え?」


栄之助のこの嬉しそうな顔。

バカ猿丸だしだぞー。


「嘘だよ、バカ。」

⏰:09/04/26 15:59 📱:SH901iC 🆔:FFIr2eIk


#123 [ゆーちん]
「何それ、ケチー!」

「はいはい、うるさい。そんじゃ仁士、放送入ったら体育館移動して整列させておいてね。」

「あいよ。」

「ママは?」

「私は今から職員室戻んなきゃだから。じゃあね。」

⏰:09/04/26 16:00 📱:SH901iC 🆔:FFIr2eIk


#124 [ゆーちん]
と、いうわけで教室から職員室に移動。


何やら会議とか題して、体育館で集会してこういう話をしますっていう連絡だけ。


かったるいっつーの。


体育館に移動して、生徒集合して、集合して、校長からの話聞いて、解散して、さようなら。

⏰:09/04/26 16:00 📱:SH901iC 🆔:FFIr2eIk


#125 [ゆーちん]
放課後、更衣室には行かない。


だってさっき栄之助が帰る姿が窓から見えたもん。


あー、帰っちゃうんだとか可愛い感情なんかはなく、甘えんぼの猿が帰ってセーセーするっていう感じ。

⏰:09/04/26 16:02 📱:SH901iC 🆔:FFIr2eIk


#126 [ゆーちん]
残った仕事をして、レオのために早く帰らなきゃ。


くたくたの足取りで玄関前に到着した…けど、逃げ出そうかなって思った。


だって、猿がいるんだもん。


玄関前に座り込んでる、栄之助が!

⏰:09/04/26 16:02 📱:SH901iC 🆔:FFIr2eIk


#127 [ゆーちん]
ウチに来いっつったの真に受けたの?

うっざー。

これだからガキは…


「栄之助」

「あっ、ママおかえり〜。早かったね」

「何してんの」

「何ってママに会いに来た」

⏰:09/04/26 16:03 📱:SH901iC 🆔:FFIr2eIk


#128 [ゆーちん]
「何で私んち知ってんのよ。」

「ママの子だから。」

「ふざけないで。何の用。」

「だから、ママに会いたいから来たんだよ。」

「迷惑なんだけど。」

「親に迷惑かけない子なんていないよ。」

⏰:09/04/26 16:04 📱:SH901iC 🆔:FFIr2eIk


#129 [ゆーちん]
調子狂うな、こいつといると。


とりあえず家に上げた。


「うわーっ!ワンコ〜。」


本当に子供みたいにはしゃぐ栄之助を見て、代わり映えのあった今日を新鮮に思う。

⏰:09/04/26 16:04 📱:SH901iC 🆔:FFIr2eIk


#130 [ゆーちん]
「名前は?」

「レオ。」

「レオたんかぁ。俺エイたん。よろしくね〜。」


犬猿の仲ってよく言うけど、この2匹は例外ね。


めちゃくちゃ仲良しじゃん。


レオったら栄之助にそんな懐かなくても…ちょっと寂しいぞ、私。

⏰:09/04/26 16:05 📱:SH901iC 🆔:FFIr2eIk


#131 [ゆーちん]
「で?宿題手伝ってもらおうとでも?」

「まさか。俺宿題書かれたプリンとは学校に置きっぱなしだから、何が宿題かわかんないぐらいだもん。」

「アハハッ。私も高校生の時そんなだった。」

⏰:09/04/26 16:06 📱:SH901iC 🆔:FFIr2eIk


#132 [ゆーちん]
私みたいなバカでも教師になれるんだから今の世の中何が起きてもおかしくないんだよねー。


「で、本当は何しに来たの?」

「だからママに会いたかったの。夏休み入ってから甘え所がなくて寂しくて。」

⏰:09/04/26 16:07 📱:SH901iC 🆔:FFIr2eIk


#133 [ゆーちん]
家に上げるつもりなんかなかった。


キスをさせてあげるつもりなんかもなかった。


だからベットに押し倒されて、胸を揉まれるつもりなんか全然なかった。


「何、この手。」

⏰:09/04/26 16:07 📱:SH901iC 🆔:FFIr2eIk


#134 [ゆーちん]
「いいじゃん胸くらい。減るもんじゃないんだし」


悪びれもない栄之助。


「キスならまだしも胸は関係ない」

「関係大ありだよ。子供はママのおっぱいで育つんだよー。」

⏰:09/04/26 16:08 📱:SH901iC 🆔:FFIr2eIk


#135 [ゆーちん]
あ、そうか。

こいつなかなか頭いいな。


「スキンシップじゃん。」


そう言って、またキスしながら胸を触って来た。



スキンシップ…なのか?

⏰:09/04/26 16:09 📱:SH901iC 🆔:FFIr2eIk


#136 [ゆーちん]
いや、これ完全に違うっしょ。


いつの間にかブラジャー外されて、舐めたり噛まれたりされてんだけど…明らかに下心ある舌使いじゃん!


認めたくないけど何気に気持ち良いかもー…。

⏰:09/04/26 16:10 📱:SH901iC 🆔:FFIr2eIk


#137 [ゆーちん]
「…んんっ。」

「感じてんの?」

「そうみたい。最近全くヤッてなかったからなぁ。」

「ふーん」

「つーか、もうダメ。限度すぎてるよ。はい、おしまい!」

⏰:09/04/26 16:10 📱:SH901iC 🆔:FFIr2eIk


#138 [ゆーちん]
栄之助をどかせ、下着をつけなおし、服もまとい直した。


「ねぇ、まさか本当にこんな事したいがために私んちまで来たの?」

「そうだよ。ママに会いたかったから来た。」

⏰:09/04/26 16:11 📱:SH901iC 🆔:FFIr2eIk


#139 [ゆーちん]
っとにもう…どこまでバカ猿なんだか。


「また遊びに来てもいい?」

「ダメ。」

「どして?恋人がいるわけでもないのに。」

「恋人ならいるもん、ねぇ〜レオたん。」

⏰:09/04/26 16:12 📱:SH901iC 🆔:FFIr2eIk


#140 [ゆーちん]
「恋人ってレオ?」

「イケメンでしょ?栄之助よりカッコイイね、レオ!」


レオとじゃれあってると、やきもちを妬いたらしく無理矢理キスしてきた栄之助。


ぶっ、可愛い奴。

本当の子供みたい。

⏰:09/04/26 16:12 📱:SH901iC 🆔:FFIr2eIk


#141 [ゆーちん]
でもそれ以上はない。


本当に親と子みたいな感じだ。


「また来るからね!」

「だからダメだってば。」

「絶対来るもん!」

⏰:09/04/26 16:13 📱:SH901iC 🆔:FFIr2eIk


#142 [ゆーちん]
そう言って帰ってった栄之助。


あいつは小学生か?


バカでエッチでガキだけど、あいつの笑顔で調子が狂うなって感付き始めた夏真っ盛り。


3日後、まーた私の調子を狂わす奴が現れるんだ。

⏰:09/04/26 16:14 📱:SH901iC 🆔:FFIr2eIk


#143 [ゆーちん]
―――


登校日の次の日、やっぱり校内はシンとしていて心が安らいだ。


翌日も、その翌日も。


補習している教室からはギャーギャーと騒ぐ声が聞こえた。


その騒がしさが、なぜか夏らしい雰囲気にさせてくれた。

⏰:09/04/26 16:16 📱:SH901iC 🆔:FFIr2eIk


#144 [ゆーちん]
今日も、普通に仕事して家に帰ってレオとラブラブ。


ずーっと夏休みのままでいればいいのに。


授業ないし生徒に気を使わなくていいから超ラク。


「レオ〜、毎日毎日暑いけどあんたとのハグは辞めらんなーい。」

⏰:09/04/26 16:16 📱:SH901iC 🆔:FFIr2eIk


#145 [ゆーちん]
レオったら照れちゃって、すっげぇ嫌がんの。


んもー、可愛いんだから!


ピーンポーン…


はぁ?

レオとのラブラブタイムに誰よ。


居留守使っちゃお〜っと。

⏰:09/04/26 16:17 📱:SH901iC 🆔:FFIr2eIk


#146 [ゆーちん]
ドンドンドン…


おいおい。

ドア叩くなよ、怖いし。


「七海!おーい、七海!」


えぇ?

マジで誰?


私の名前必死に呼んでるよ!


真面目に怖いから。

⏰:09/04/26 16:18 📱:SH901iC 🆔:FFIr2eIk


#147 [ゆーちん]
レオを抱きしめ、覗き穴から片目つぶって見てみた。


…ら!


ガチャッ…


「いるなら返事しろよ!」

「仁士?」


委員長でした。


「居留守使ってただろ?」

「一体何事?」

⏰:09/04/26 16:18 📱:SH901iC 🆔:FFIr2eIk


#148 [ゆーちん]
汗だくの仁士はいつもと血相違ってて、何か…怖い。


てゆーか…あれ?


私はレオを抱っこしてるでしょ?


で、仁士はなぜか子供を抱っこしてんの。


なぜ?

⏰:09/04/26 16:20 📱:SH901iC 🆔:FFIr2eIk


#149 [ゆーちん]
「…誰?」


ぐったりと眠る子供は、仁士そっくりで…仁士の子供なのかと思った。


「弟。てゆーか上げて」


いいとも言ってないのに、仁士は自分の弟を抱きながら部屋に入って来た。


「どうしたの?」

「こいつ熱出しちゃって。もう病院開いてないし、家で看病してやろうと思ったけど俺、今からバイトでさ。悪いんだけど俺がバイト終わるまで診ててくんね?」

⏰:09/04/26 16:20 📱:SH901iC 🆔:FFIr2eIk


#150 [ゆーちん]
「いやいやいやいや、ちょっと整理しよう。その子は仁士の弟で熱を出している。うん、そこまではわかるよ。」

「他に何がわかんねぇの?」

「あんたがバイトだろうが、親がいんでしょ?」

⏰:09/04/26 16:21 📱:SH901iC 🆔:FFIr2eIk


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