虹色のオセロ
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#1 [ゆーちん]
久しぶりに書きます★
マイペース更新ですが、よろしくお願いしますm(__)m
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>>4 感想板・HP
:09/04/22 10:57 :SH901iC :8.MBcNuk
#2 [ゆーちん]
:09/04/22 10:58 :SH901iC :8.MBcNuk
#3 [ゆーちん]
:09/04/22 10:59 :SH901iC :8.MBcNuk
#4 [ゆーちん]
:09/04/22 11:00 :SH901iC :8.MBcNuk
#5 [ゆーちん]
HPにも同じ作品がありますが、こっちにはちょいエロで書きたいと思います(笑)
:09/04/22 11:04 :SH901iC :8.MBcNuk
#6 [ゆーちん]
別に教師になるつもりなどなかった。
高校教師なんて以っての外。
なのに私は今、黒板前に立って、自分より年下のガキに頭を下げてる。
「柴田七海です。よろしくお願いします」
:09/04/22 11:08 :SH901iC :8.MBcNuk
#7 [ゆーちん]
世の中不景気じゃん。
だから雇ってもらえるだけありがたいかなーって。
やる気は無い。
でも、やらないと。
:09/04/22 11:08 :SH901iC :8.MBcNuk
#8 [ゆーちん]
「先生〜、何歳?」
気安く話し掛けるな、バカ猿。
「27歳です」
「へぇ〜、見えないね」
そんなお世辞嬉しくない。
つーか古い。
「アハハ…ありがとう」
:09/04/22 11:08 :SH901iC :8.MBcNuk
#9 [ゆーちん]
ずっとフリーターだった。
どのバイトも接客だったから営業スマイルだけは得意なんだ。
一週間前まで、コーヒーショップで笑顔振り撒いてたのに…今いるのは私立高校の2年C組。
世の中何があるかわかんないね。
:09/04/22 11:09 :SH901iC :8.MBcNuk
#10 [ゆーちん]
生徒に好かれようだなんて思ってない。
嫌われない程度がいい。
嫌われるとさ、授業大変じゃん。
私がこいつらみたく学生の時、嫌いな教師がいた。
全力で嫌った。
:09/04/22 11:10 :SH901iC :8.MBcNuk
#11 [ゆーちん]
クラスみんなで、その教師を嫌った。
結果、その教師はストレスで病気になって学校に来なくなった。
今思えば、くだらない事だったけど、あの歳頃って自分より弱い者を見つけるのが楽しかったりする。
:09/04/22 11:10 :SH901iC :8.MBcNuk
#12 [ゆーちん]
そんな年頃の奴らが今私の目の前にいるのだ。
嫌われるのだけは勘弁してもらわないと。
「先生って白衣着ないの?」
「白衣?」
「理科の先生なんだろ?だったら白い服着ないと!」
:09/04/22 11:11 :SH901iC :8.MBcNuk
#13 [ゆーちん]
あぁ…。
んなもん着る訳ねぇだろ。
「着ないと思う。」
「えぇ〜、着てよぉ。」
冗談言ってんじゃねぇぞ、エロガキが。
「機会があったらね。」
:09/04/22 11:12 :SH901iC :8.MBcNuk
#14 [ゆーちん]
こいつらの副担任らしいんだけど、私、全員の名前とか覚えらんないよ。
みーんな同じ顔に見える。
他のクラスにも授業しに行かないとなんないし、無理無理。
生徒の名前は覚えろ、って理事長みたいなジジィに言われたけど、てめぇは覚えてんのかってんだよ。
:09/04/22 11:12 :SH901iC :8.MBcNuk
#15 [ゆーちん]
「そういう訳で、みんな、柴田先生に学校の事色々教えてやってくれ。」
隣で張り切ってんのが2Cの担任、保泉(ホズミ)。
38歳で妻子持ちなんだってさぁ〜。
聞きたくないのに、この教室来る前に自己紹介されちゃったよ。
興味なし。
:09/04/22 11:13 :SH901iC :8.MBcNuk
#16 [ゆーちん]
「ほずみん、柴田先生のあだ名考えようぜ。」
やめてください。
あだ名とか勘弁して。
保泉だからほずみん?
『ん』付けただけ?
ネーミングセンスないから、君たち。
:09/04/22 11:13 :SH901iC :8.MBcNuk
#17 [ゆーちん]
「七海だから、ななみんでよくね?」
よくない。
お前ら『ん』付けんの好きなワケ?
「いいじゃ〜ん、ななみん可愛いしぃ〜!」
「ななみん決定。」
「よろしくね、ななみーん。」
最低、最悪。
:09/04/22 11:14 :SH901iC :8.MBcNuk
#18 [ゆーちん]
初日からテンションの下がるようなあだ名とクラス名簿を持ち帰り、ベットに飛び込んだのは午後11時。
何が歓迎会だよ。
飲みたいだけだろ、あの教師達は。
「はぁ〜、レオ。癒してぇ〜。」
:09/04/22 11:14 :SH901iC :8.MBcNuk
#19 [ゆーちん]
プードル、男の子、1才。
私の癒し。
私の恋人。
私の唯一の家族。
レオとベットの上でじゃれあうと、私のエネルギー回復すんの。
「レオ〜、最低なあだ名もらって来たよぉ。ななみんだって…ウケるっしょ?」
:09/04/22 11:15 :SH901iC :8.MBcNuk
#20 [ゆーちん]
ウケるね、ってレオが言った。
「クラス名簿見て名前覚えろって、ほずみんが言うんだよ。ほずみんって妻子持ちな事を自己宣告したくせに、私に下心ありありだと思うんだぁ。」
気をつけてね、とレオが言った。
:09/04/22 11:15 :SH901iC :8.MBcNuk
#21 [ゆーちん]
今日から始まった、9年ぶりの高校生活。
やだな。
遅刻魔の私が毎日ちゃんと登校…じゃないや、通勤できるのかな。
まぁでも仕方ないか。
仕事あるだけマシか。
:09/04/22 11:16 :SH901iC :8.MBcNuk
#22 [ゆーちん]
結局クラス名簿は見ずに、風呂入って寝た。
レオと一緒に熟睡した。
明日から規則正しい生活になるんだから、頑張んないとな…。
:09/04/22 11:16 :SH901iC :8.MBcNuk
#23 [ゆーちん]
―――
私の作戦は成功だった。
適当に授業して、笑って、生徒と一定の距離取って。
嫌われずに、教師できた。
「ななみん、彼氏いんの?」
派手な女子にも友達みたく扱われた。
:09/04/22 15:58 :SH901iC :8.MBcNuk
#24 [ゆーちん]
腹立つけど、まぁいいや。
我慢すればいい。
「いないよ。」
「ななみんフリー?意外だぁ〜。」
「みんないるんでしょ?」
「まぁね。ラブラブすぎて困るべ?」
「羨ましいなぁ。」
:09/04/22 15:59 :SH901iC :8.MBcNuk
#25 [ゆーちん]
心の奥では、どうせすぐ別れるよって思ってる。
生徒を見てると、昔の私を見てるみたいだった。
ラブラブだって言っときながら、浮気ばっか。
彼氏コロコロ変わるし。
要はSEXできれば何でもよかった。
:09/04/22 16:00 :SH901iC :8.MBcNuk
#26 [ゆーちん]
まぁ、そんな悲しい事は卒業したけどね。
「ななみん先生。」
…殺してあげようか、ほずみん先生。
何であだ名に先生を付けるわけ?
キモいわ。
:09/04/22 16:01 :SH901iC :8.MBcNuk
#27 [ゆーちん]
「はい。」
「明日バレーボール大会なので、今日の放課後、準備の手伝いお願いします。」
「あぁ…はい。わかりました。」
レオ〜、帰るの遅くなる。
そう、テレパシー送信して、私はジャージに着替えに行った。
:09/04/22 16:04 :SH901iC :8.MBcNuk
#28 [ゆーちん]
「ジャージも似合うねぇ」
更衣室から出ると、バカ猿がいた。
2Cのチャラ男。
確か、名前は…
「渡辺栄之助。」
「あぁ、渡辺くん。ごめん、名前ど忘れして…」
「嘘。覚えてないくせに」
:09/04/22 16:05 :SH901iC :8.MBcNuk
#29 [ゆーちん]
「そんなことない。ちゃんと覚えてる。」
「じゃあ俺の斜め右後ろの奴の名前は?」
「…ど忘れ。」
「斜め右後ろ、いないし。俺1番後ろの席だもん。残念でした、嘘付きさん。」
鋭い。
こいつ何者?
:09/04/22 16:06 :SH901iC :8.MBcNuk
#30 [ゆーちん]
「…何か用?」
「俺と仲良くしてくんない?」
「…ん?」
何言ってんだ?
可愛い猿みたいな顔して、脳みそは猿より少ないのかな?
猿はいきなり私の手を引き、更衣室に入った。
:09/04/22 16:07 :SH901iC :8.MBcNuk
#31 [ゆーちん]
あぁー。
めんどくさいかも。
この猿、鍵閉めちゃったし。
壁に押しやられてるし、私。
欲情猿ですか?
:09/04/22 16:07 :SH901iC :8.MBcNuk
#32 [ゆーちん]
「俺思うんだぁ。」
「何?」
「ななみんってあだ名、ダサくね?」
あら、猿のくせに話のわかる奴?
「…じゃあ渡辺くんならどんなあだ名付けてくれんの?」
:09/04/22 16:09 :SH901iC :8.MBcNuk
#33 [ゆーちん]
「ママ。」
…はぁ?
「ママ?」
「先生見てると甘えたくなるのは何で?」
「うぐっ!」
猿は私を抱きしめた。
それも満面の笑みで。
こいつ頭大丈夫?
:09/04/22 16:09 :SH901iC :8.MBcNuk
#34 [ゆーちん]
「ママって呼んでいい?」
「はっ…離して。」
「呼んでいいなら、離してあげる。」
「わかったから…」
すっと離れたバカ猿は言った。
:09/04/22 16:09 :SH901iC :8.MBcNuk
#35 [ゆーちん]
「母親いないんだ、俺。」
「…え?」
「俺を産んですぐに死んじゃったんだって。」
「そう…なの。」
「俺の母ちゃん、ナナミっつうの。一緒の名前。」
「…うん。」
「だから先生のことママって呼ばせて。」
:09/04/22 16:11 :SH901iC :8.MBcNuk
#36 [ゆーちん]
動機がいまいちよくわからない。
が、とりあえずこの猿は私をママって呼びたいんだね。
それはわかる。
てか…ななみんって呼ばれるより、ママのが恥ずかしくない?
:09/04/22 16:11 :SH901iC :8.MBcNuk
#37 [ゆーちん]
「みんなの前では呼ばないから。」
「あぁ、それなら別に。」
「ママも俺の事は渡辺くんじゃなくて栄之助って呼んでね?」
「ん…はい。わかった。」
:09/04/22 16:13 :SH901iC :8.MBcNuk
#38 [ゆーちん]
「呼んでみて?」
「…栄之助。」
「いいねぇ!俺も呼んでいい?」
「…うん」
「ママ。」
「…はい。」
「ひひっ!」
猿みたいな笑い方で、また私を抱きしめた栄之助。
:09/04/22 16:15 :SH901iC :8.MBcNuk
#39 [ゆーちん]
うっとうしいって思ったけど、別にいいかって思う自分もいる。
その時、自分の中で栄之助は特別だっていうイメージが私に焼き付いた。
可哀相な子とかって同情じゃない。
可愛い笑顔の猿ってイメージなのかな。
:09/04/22 16:17 :SH901iC :8.MBcNuk
#40 [ゆーちん]
自分でもよくわからないけど、栄之助に抱きしめられてるのも苦痛じゃなかった。
レオへの愛情に似てるかも。
そんな事を思っていると、猿は私の頬にキスをした。
笑顔全開のバカ面で。
:09/04/22 16:18 :SH901iC :8.MBcNuk
#41 [ゆーちん]
―――
栄之助のママになったのはいいけど、これと言って何も得する事はなかった。
損する事もないんだけどね。
「来週の授業は実験室でするので覚えておいて下さい。」
:09/04/22 16:19 :SH901iC :8.MBcNuk
#42 [ゆーちん]
私は勉強好きでもなければ嫌いでもない。
1番マシだって思えたのが実験のある理科だったってだけで、別に理科命って訳じゃない。
だから白衣も着ないし、必要な時以外は実験室なんかに来ない。
:09/04/22 16:20 :SH901iC :8.MBcNuk
#43 [ゆーちん]
授業が終わり、職員室に戻る。
「柴田先生、ちょっと。」
学年主任に呼び出された。
「はい。」
「明日バレーボール大会じゃないですか。なので準備頼みますよ。」
:09/04/22 16:23 :SH901iC :8.MBcNuk
#44 [ゆーちん]
…はぁ?
デジャヴ?
この前、保泉も言ってたぞ。
だからジャージに着替えて、栄之助のママになったあと、体育館と運動場に準備しに行ったじゃん。
その翌日、バレーしたじゃん。
学年主任、ボケた?
:09/04/22 16:23 :SH901iC :8.MBcNuk
#45 [ゆーちん]
「この前のは…」
「柴田先生、寝ぼけた事言わないでください。この前は予行練習です!」
何だそれ。
大会の予行練習とかあんの?
運動会じゃあるまいし。
とにかく…私はまた準備しないといけないみたい。
:09/04/22 16:25 :SH901iC :8.MBcNuk
#46 [ゆーちん]
かったるいとは思うが、決して口にも顔にも出さない。
出していないつもりだった。
普通の奴ならわかるはずないのに、なのに…
「先生、大変なんですね」
:09/04/22 16:25 :SH901iC :8.MBcNuk
#47 [ゆーちん]
2Cのホームルームに参加し、生徒の帰る時間となった。
ジャージに着替えて、準備しないとなぁって思っていると、一人の男子が隣に立って、そう言ったんだ。
名前、何だっけ、こいつ。
:09/04/22 16:27 :SH901iC :8.MBcNuk
#48 [ゆーちん]
「何?」
確かクラス委員で、頭よくて、スポーツできて、モテ男で…。
詳細わかってるくせに名前が出てこないなんて、つくづくこの仕事向いてないんだと自覚した。
:09/04/22 16:27 :SH901iC :8.MBcNuk
#49 [ゆーちん]
「本当は教師なんかなりたくない。生徒とは仲良くしたくない。でも嫌われたくない。あだ名が気に入らない。」
生徒が帰って行く教室はザワつき、誰も私たちの会話なんか聞いていなかった。
:09/04/22 16:27 :SH901iC :8.MBcNuk
#50 [ゆーちん]
助かったよ。
こんな図星だらけの話、聞かれちゃ面倒だ。
てゆーか、こいつも何者?
超能力?
「アハハ…何言ってんの?」
「生徒の名前も覚えてないし、保泉のセクハラうざいし、もっとお洒落な格好したいけど出来ないから悔しい…って感じでしょ?先生。」
:09/04/22 16:28 :SH901iC :8.MBcNuk
#51 [ゆーちん]
私、このガキに全て見透かされてるの?
「ついでに追加すれば、この後バレーボール大変の準備しなきゃなんのいの、面倒だなって。」
クラス委員長は笑った。
「どうせ俺の名前覚えてないんでしょ?」
:09/04/22 16:29 :SH901iC :8.MBcNuk
#52 [ゆーちん]
こいつには嘘ついても仕方ないかなって思った。
「覚えてない。」
「瀬川仁士です。」
「…クラス委員長のね」
「そういうのは覚えてるのに名前覚えてないなんて…先生変な人ですね。」
「…どっちが。」
:09/04/22 16:31 :SH901iC :8.MBcNuk
#53 [ゆーちん]
私も笑った。
本当に17才か?ってぐらいの大人なオーラが出る瀬川仁士に、私は聞いた。
「私の本性探って、マニアか何か?」
「マニアよりタチ悪いよ、俺。」
:09/04/22 16:32 :SH901iC :8.MBcNuk
#54 [ゆーちん]
「ふーん…おいで。ここじゃ何だから。」
私は、瀬川仁士を更衣室に連れて行った。
鍵も閉めた。
この前の栄之助の時と逆だね。
あ、でも別に変な事しないし。
話聞くだけ。
それと、ジャージに着替えるだけ。
:09/04/22 16:33 :SH901iC :8.MBcNuk
#55 [ゆーちん]
「襲われるかもとか思わないんですか?」
私はジャージに着替える為、服を脱いだ。
下着だけになった。
「思わない。」
「どうして?俺も男ですけど。」
:09/04/22 16:34 :SH901iC :8.MBcNuk
#56 [ゆーちん]
「でもあんたは私を女として見てないんでしょ?」
「あれ?わかっちゃいました?」
クラス委員長は眼鏡かけてるってイメージなんだけど、こいつは眼鏡なし。
そのうえ金髪だし。
:09/04/22 16:35 :SH901iC :8.MBcNuk
#57 [ゆーちん]
でも頭いいんだよ。
別に派手な遊びもしてないし、何より雰囲気がかなり落ち着いている。
同じ歳の奴と話してるみたい。
「伊達に歳食ってないから、男の事はまぁまぁわかる」
「…今の言葉本当ですか?」
:09/04/22 16:35 :SH901iC :8.MBcNuk
#58 [ゆーちん]
「え?」
ジャージに着替え、髪を結ぶ私に鋭い視線が向けられていた。
「男の事はわかるんですよね?じゃあ俺が今、何考えてるかわかります?」
…わかりません。
そもそも興味ありません。
:09/04/22 16:36 :SH901iC :8.MBcNuk
#59 [ゆーちん]
更衣室に連れ込んだのだって、教室で誰かに盗み聞きされてちゃ面倒だったし、私着替えなきゃなんなかったし。
別に瀬川仁士が気になるからここに連れて来たわけじゃない。
だから何考えてるとか、わかんないし、わからなくてもいい。
:09/04/22 16:37 :SH901iC :8.MBcNuk
#60 [ゆーちん]
「わかんない。」
「矛盾してますよ、言ってること。」
「んー、そうだね。」
「先生にお願いがあるんです。」
「お願い?」
瀬川仁士は、頭を下げた。
:09/04/22 16:41 :SH901iC :8.MBcNuk
#61 [ゆーちん]
「金貸して下さい。」
「…え?」
「1万円。お願いします。来週必ず返すから…お願いします!」
「ちょっと、頭上げて。何なのよ、新手のカツアゲ?」
:09/04/22 16:41 :SH901iC :8.MBcNuk
#62 [ゆーちん]
頭を上げようと引っ張ったけどピクリともしない。
「ちょっと!ねぇってば。」
「絶対返すから…お願いします。」
「1万ぐらいバイトしろよ。」
「前借り頼んだんですけど断られちゃって。」
:09/04/22 16:41 :SH901iC :8.MBcNuk
#63 [ゆーちん]
「じゃあ親父かお袋に言え。頼むから頭上げてよ。頭下げられるの嫌いだから。」
「親、いないんです。」
「はぁ?」
瀬川仁士はやっと頭を上げてくれた。
「生徒資料見てもらえばわかります。俺、親いないんで。」
:09/04/22 16:43 :SH901iC :8.MBcNuk
#64 [ゆーちん]
「何があったか知んないけど1万円ちゃんと返してくれんの?」
「約束します。」
「もし私が断ったら、どうしてたの?」
「強盗、カツアゲ、最悪…俺を買ってもらうとか。」
:09/04/22 16:43 :SH901iC :8.MBcNuk
#65 [ゆーちん]
買ってもらうって…。
意味わかってんのかよ、ばかたれ。
「はぁ〜。面倒なことだけは起こさないでよ?私、貸すから。」
:09/04/22 16:44 :SH901iC :8.MBcNuk
#66 [ゆーちん]
ありがとうございます、と言ってまた頭を下げた瀬川仁士。
「財布、職員室だから取って来る。教室で待ってて」
:09/04/22 16:46 :SH901iC :8.MBcNuk
#67 [ゆーちん]
そのあと、新手のカツアゲなんだか本当に金が必要だったのかわからないけど、私と瀬川仁士以外に誰もいない教室で、自分の生徒に1万円を渡した。
で、バレーボールの準備に行くと、遅いと叱られた。
踏んだり蹴ったりだね。
:09/04/22 16:46 :SH901iC :8.MBcNuk
#68 [ゆーちん]
翌日のバレーボール大会、本番。
この前の予行練習とまるっきり同じものが始まった。
「それではみなさん、正々堂々戦ってください。」
:09/04/26 12:40 :SH901iC :FFIr2eIk
#69 [ゆーちん]
体育教官の話、終わり。
みんな各自散らばってボールを地面に落とさないゲームを始める。
「マーマ。」
「…こら、二人きりのとき以外その呼び名禁止だよ。」
「大丈夫大丈夫。誰も聞いてないから。」
:09/04/26 12:41 :SH901iC :FFIr2eIk
#70 [ゆーちん]
「どうだか…それより試合行かなくていいの?」
「まだ時間あるから暇なんだ。ママとお喋りしようと思って。」
「あーら、調度よかった。ママも今から暇なんだ。バレーボール大会終わるまでっ!」
:09/04/26 12:41 :SH901iC :FFIr2eIk
#71 [ゆーちん]
教師はやることないのに何で準備手伝わされたんだって感じ。
今ジャージ着てる私、すっごい虚しい。
大会終わるまで生徒の安全を見張れだと?
:09/04/26 12:47 :SH901iC :FFIr2eIk
#72 [ゆーちん]
んなもん知るかぁ!
自分の身は自分で守れ。
「どっ…うしたの…ママ。機嫌悪いね。」
びびってんじゃないよ渡辺栄之助。
:09/04/26 12:47 :SH901iC :FFIr2eIk
#73 [ゆーちん]
「試合まで時間どれくらいあるの?」
「30分ぐらいかな。」
「ん。じゃあちょっと来い。」
私は栄之助を連れ、更衣室に向かった。
:09/04/26 12:48 :SH901iC :FFIr2eIk
#74 [ゆーちん]
更衣室に入り、鍵をかける。
言い忘れてたけど、この更衣室使うの私だけみたい。
女の教師もいるにはいるんだけど、もう年配の方だからわざわざ更衣室で着替えるって機会がなくなるみたい。
:09/04/26 12:49 :SH901iC :FFIr2eIk
#75 [ゆーちん]
だからこの更衣室は私だけの休憩所みたいな?
でもまぁ、たまーに掃除係の人が来るけどね。
「何?ママったらわざわざ鍵閉めて俺と何する気?」
バカ猿は子供みたいにはしゃいでいる。
:09/04/26 12:49 :SH901iC :FFIr2eIk
#76 [ゆーちん]
「どーしても栄之助と、やりたかったの。」
「…ほえ?」
下心まる見えの栄之助。
でもごめんね。
その気はない。
私が栄之助とやりたいのは、これ。
:09/04/26 12:50 :SH901iC :FFIr2eIk
#77 [ゆーちん]
「じゃーん!オセロゲーム」
ロッカーから大きいボードを取り出すと、栄之助はあっけらかんとした表情を浮かべた。
「親子の遊びっつったらオセロっしょ?」
「…そう、なの?」
「少なくとも柴田家はそうだった。」
:09/04/26 12:54 :SH901iC :FFIr2eIk
#78 [ゆーちん]
私は小さい時、よくお母さんとオセロゲームをして遊んだ。
私が勝つまでお母さんは相手してくれた。
どうってことない幼い記憶だけど、栄之助とオセロしてあげたいって思った私…
これって母性本能ってやつなのかなぁ。
んー…違うか。
:09/04/26 12:55 :SH901iC :FFIr2eIk
#79 [ゆーちん]
何にせよ久しぶりにオセロがやりたくなったのも一理あるし?
言っとくけど私、強いよ〜。
「はい、ママの負け。」
「…」
あっれー?
腕落ちたかな。
:09/04/26 12:56 :SH901iC :FFIr2eIk
#80 [ゆーちん]
「もう一回!」
「負けず嫌いだね。もう3回目だよ?」
「いいの、はい4回戦するよ。」
「その前に俺ボール遊びしてこなきゃ。」
「あぁ…そうだっけ。そんじゃあここで待ってるから試合終わったら来てよ。」
:09/04/26 12:57 :SH901iC :FFIr2eIk
#81 [ゆーちん]
「えぇ?俺のカッコイイ姿見に来ないの?」
「行かなーい。」
「応援してくんないの?」
「しなーい。」
「もうっ、ママ嫌い。行ってきます。」
ふて腐れながら更衣室を出て行く栄之助を、私はニンマリ笑顔で見送った。
:09/04/26 12:57 :SH901iC :FFIr2eIk
#82 [ゆーちん]
待ってる間、私は眠っていたらしい。
外は天気がよくて、太陽の温もりが更衣室に注ぎ込む。
心地よくて、ついつい居眠りしていたみたい。
:09/04/26 12:59 :SH901iC :FFIr2eIk
#83 [ゆーちん]
ふと目が覚めた時、オセロボードの上にメモが置いてある事に気付いた。
【起こしても起きないママきらい。息子は今から決勝戦です】
栄之助…ちゃっかり決勝まで進んだんだ。
つーか私そんなに爆睡してたのか。
:09/04/26 12:59 :SH901iC :FFIr2eIk
#84 [ゆーちん]
おかげで気持ち良かった〜。
学校で昼寝って何でかわかんないんだけど気持ちいいんだよね。
私は欠伸をしながら体育館に向かった。
…あれ?
ママ、ナイスタイミングかも?
:09/04/26 13:00 :SH901iC :FFIr2eIk
#85 [ゆーちん]
「栄之助!」
「あいよっ。」
高く上げられたトスを軽々しく、相手コートに打ち込む栄之助の姿。
自画自賛するはずだ。
カッコイイじゃん。
ガキのくせになかなかやるねぇ〜。
:09/04/26 13:01 :SH901iC :FFIr2eIk
#86 [ゆーちん]
と、相手チームを見ると…金髪頭発見。
チャラ男の栄之助よりも明るい髪ってどうなのよ、クラス委員長さん。
「仁士、打て!」
「ん。」
スポーツ万能の金髪王子はアタックを決め、チームメイトと笑顔のハイタッチ。
:09/04/26 13:01 :SH901iC :FFIr2eIk
#87 [ゆーちん]
こいつもなかなかカッコイイじゃん。
私、カッコイイガキんちょに目ぇ付けられちゃった感じ?
でも、だからって何かが変わる訳もなくこれからも退屈な毎日を過ごすんだろうなって、この頃は思ってた。
:09/04/26 13:02 :SH901iC :FFIr2eIk
#88 [ゆーちん]
「んあ〜。」
「ほら、栄之助。ダラダラしないで!」
「だってさ、まさか負けるなんて思わなかったんだもぉん。」
「てゆーか何で2C同士で争ってたの?」
「…ママ本当に教師?各クラス3チームほど作って、それで戦うの。だから同じクラスだろうが違うクラスだろうが、チームが違えば敵なわけ。わかった?」
:09/04/26 13:03 :SH901iC :FFIr2eIk
#89 [ゆーちん]
放課後、拍子ぬけしている栄之助は更衣室でダラダラと椅子にねっころがっていた。
「んー…わかるようで、わかんない。」
「はぁ〜。ショックぅ。」
「別に賞金や賞品が出る訳じゃないんだし、もういいじゃん。」
:09/04/26 13:05 :SH901iC :FFIr2eIk
#90 [ゆーちん]
「勝たなきゃ意味ないのぉ。」
「予行練習で優勝してたじゃん。」
「予行練習じゃ嫌!ママ〜、慰めてぇ。」
「無理。ママ眠いから早く帰りたい。だからさっさとこの部屋から出てって。」
:09/04/26 13:05 :SH901iC :FFIr2eIk
#91 [ゆーちん]
あれだけ爆睡してたじゃん、とブツブツ言う栄之助を外に追いやろうと背中を押した。
…ら、腕を引っ張られ抱きしめられていた。
「あー、もう、何?」
「甘えてんの。」
「痛いんだけど。」
:09/04/26 13:06 :SH901iC :FFIr2eIk
#92 [ゆーちん]
そう言うと、抱きしめる力が緩まり…唇を重ねてきた。
何でキスしてんの、こいつ。
「…っ、ちょっと。」
私が拒否しても、栄之助のキスは止まなかった。
何度も何度も唇を押し付けてくる。
:09/04/26 13:07 :SH901iC :FFIr2eIk
#93 [ゆーちん]
嬉しくもないし、嫌でもないキス。
どんどんどんどん、栄之助は加速して行った。
「…んっ、こら。」
「何?」
「親子のキスは、舌入れないよ。」
「…そっか。」
:09/04/26 13:08 :SH901iC :FFIr2eIk
#94 [ゆーちん]
キスが終わると、また抱きしめられた。
「慰めてよ、ママ。」
「やーだ。甘えるな。強い子になれ。」
「ヘヘッ。厳しいママだね。」
栄之助は笑顔を残し、そのまま更衣室から出て行った。
:09/04/26 13:08 :SH901iC :FFIr2eIk
#95 [ゆーちん]
―――
バレーボール大会の放課後のあの時から、栄之助はキスを求めてくるようになった。
軽いキスだけなら許してあげてた。
だけど舌はダメ。
入れて来たら殴ってやった。
:09/04/26 13:29 :SH901iC :FFIr2eIk
#96 [ゆーちん]
「いってぇ!」
「あんたがルール違反するから。」
「何でダメなのぉ?」
「だから言ってんじゃん。舌入れるなんて親子のキスじゃないもん。」
「ケチ!」
「ケチで結構、バカ猿。」
「もぉー!」
:09/04/26 13:29 :SH901iC :FFIr2eIk
#97 [ゆーちん]
叱られて怯んでも栄之助は懲りずに私にキスして来た。
何の感情もこもってないキスを更衣室でする。
それってどうなの、私。
「へぇ〜。そういう事。」
:09/04/26 13:30 :SH901iC :FFIr2eIk
#98 [ゆーちん]
あーあ、やっちゃった。
更衣室の鍵、閉めんの忘れた。
恐る恐る、扉の方を見ると…
「誰にも言わないで。」
「どうしよっかなぁ。クラス会議にでもかけようかな?」
「勘弁して下さい、委員長さん。」
瀬川仁士が立っていた。
:09/04/26 13:35 :SH901iC :FFIr2eIk
#99 [ゆーちん]
「イチャつくなら鍵ぐらい閉めろよな。」
そう言って瀬川仁士は扉を閉め、私に近付いた。
「…お願いだから内緒にしてね。それより何か用?」
「これ、助かった。ありがとね、センセ。」
:09/04/26 13:35 :SH901iC :FFIr2eIk
#100 [ゆーちん]
瀬川仁士は私に封筒を手渡した。
「何…これ。」
「1万円。」
「あぁ。」
「先生にお願いしてよかったよ。」
「…ってか、この1万あげるから栄之助との事内緒にしててくんない?」
:09/04/26 13:36 :SH901iC :FFIr2eIk
#101 [ゆーちん]
当の栄之助は他人事のように私と瀬川仁士の会話を眺めていた。
「付き合ってんの?先生と栄之助って。」
「ううん、付き合ってない。だから余計ヤバいでしょ?恋人でもないのにキスしてたなんて。」
:09/04/26 13:37 :SH901iC :FFIr2eIk
#102 [ゆーちん]
「そうだね。だから尚更おもしろくない?
栄之助とななみんがキスしてただなんて、最近退屈だったこの学校には刺激的な話題。」
「げーっ。お願いだからやめてぇ。面倒な事だけは嫌いだからぁ」
:09/04/26 13:37 :SH901iC :FFIr2eIk
#103 [ゆーちん]
もうゲッソリ。
つーかグッタリ。
私ばっかいじめるんだもん、瀬川仁士め。
栄之助はずーっと知らん顔してるし。
「せっかくこの学校にも慣れて来たのにねぇ。」
「そうなのよ。教師なんて面倒だけどもうフリーター戻りたくないしさ。」
:09/04/26 13:38 :SH901iC :FFIr2eIk
#104 [ゆーちん]
クラス委員にいじめられ、半ベソ状態の私。
「仁士、もうそれくらいにしてあげてよぉ。ママ半泣きだし。」
栄之助が、そう言うと瀬川仁士は笑った。
「ごめん、ごめん。だってこの人おもしろいから。」
:09/04/26 13:39 :SH901iC :FFIr2eIk
#105 [ゆーちん]
何、それ。
どういう事?
「ママごめんね。仁士、俺とママの関係知ってんだよ。なのにママの事からかっちゃって…ビックリした?」
「はぁ?」
「ごめんね、先生。」
:09/04/26 13:40 :SH901iC :FFIr2eIk
#106 [ゆーちん]
「ママって本当に教室内を観察してないんだね。」
「観察?」
「俺と栄之助、いつも一緒にいるんだけど…知らなかったの?」
…マブダチってやつですか?
そんなの知らないし!
:09/04/26 13:40 :SH901iC :FFIr2eIk
#107 [ゆーちん]
「邪魔して悪かったな。んじゃ栄之助、俺先に帰るわ。」
「あーい。また明日。」
そう言って瀬川仁士は更衣室から出て行った。
「栄之助、私なんかまだよくわかんない…」
「仁士って頭いいから、ああやって人をからかうのが好きなんだよ。」
:09/04/26 13:41 :SH901iC :FFIr2eIk
#108 [ゆーちん]
「からかうのが…好き。」
「そ。まぁ心配しなくてもいいよ。仁士は俺らの事、誰かにチクったりしないから。」
「…本当に?」
「ああ見えて、あいつも結構な悪だから。さっ、続きのチュー。」
:09/04/26 13:41 :SH901iC :FFIr2eIk
#109 [ゆーちん]
いつもは無心のキスも、この時のキスは瀬川仁士の事で頭いっぱい。
栄之助と仲良しだから、私と栄之助の関係を知ってて、わざとからかって…だから誰にもチクんないで内緒にしてくれる。
って事だよね?
:09/04/26 13:42 :SH901iC :FFIr2eIk
#110 [ゆーちん]
―――
夏が来た。
つまり生徒は夏休み!
はぁ〜、幸せ。
案外気疲れする職業だから週末以外の休息も必要なんだよね。
生徒は夏休みでも教師は仕事があるため、変わらず出勤しなきゃだけど気の持ち用が違うよ。
:09/04/26 15:48 :SH901iC :FFIr2eIk
#111 [ゆーちん]
お陰様で私の受け持つ子たち、誰も補習しなくて済むし。
ラッキーハッピーなサマーが始まる!
栄之助も仁士もおとなしく夏休みを過ごすみたいで、やっと羽根伸ばせるよ。
:09/04/26 15:48 :SH901iC :FFIr2eIk
#112 [ゆーちん]
「ななみん先生、たまには飲み行きませんか?」
やなこった。
「ほずみん先生、早く帰って奥さんとお子さんと一緒にご飯食べてあげないと。それじゃあ、お疲れ様でーす!」
:09/04/26 15:49 :SH901iC :FFIr2eIk
#113 [ゆーちん]
下心丸見えオヤジをおっぱらい私は家へと直行した。
「レオ〜、ただいま!今日も相変わらずほずみんウザキモだったの」
:09/04/26 15:50 :SH901iC :FFIr2eIk
#114 [ゆーちん]
レオとじゃれながら過ごす夏の夜。
代わり映えのない毎日だけど、お風呂上がりのビールが美味しいから、それでいい。
:09/04/26 15:51 :SH901iC :FFIr2eIk
#115 [ゆーちん]
たまに登校日だとか言って生徒をサマーパラダイスから現実に引き戻す学校。
んーなの無くていいじゃんね。
まあ当の私は登校日なんて、あった事すら知らずに過ごしてたタイプだけどね。
:09/04/26 15:51 :SH901iC :FFIr2eIk
#116 [ゆーちん]
「おはよ、センセ。」
「おはよ。あんた完全に朝晩逆転生活してるでしょ。」
大あくびをする仁士。
わかりやすい奴。
「夜間のバイトのが時給いいし。」
「ふーん。苦労人だね。」
「同情すんなら金を‥」
「やんないよ、バカ。」
:09/04/26 15:53 :SH901iC :FFIr2eIk
#117 [ゆーちん]
栄之助とのキスシーンを見られてから、なぜか瀬川仁士と仲良くなっちゃった。
クラス委員のくせに全然マジメじゃないとこが、これまた面白くて。
「仁士もう宿題全部やった?」
「やった。」
「うっそ。凄いね、あんた。」
:09/04/26 15:53 :SH901iC :FFIr2eIk
#118 [ゆーちん]
誰にも聞かれないよう教室の隅でこそこそと会話する私と仁士。
こいつと栄之助には素を見せられるっつーか。
唯一の息抜き所みたいなもの。
それ以上はない。
ただの生徒…っつーかガキんちょだよ。
:09/04/26 15:57 :SH901iC :FFIr2eIk
#119 [ゆーちん]
「栄之助はきっとまだ全然なんだろうなぁ。」
「だろうね。面倒見てあげないと、ママなんでしょ?」
「…世話のかかる子だよ、全く。」
なーんて笑ってると、噂のバカ猿登場。
:09/04/26 15:57 :SH901iC :FFIr2eIk
#120 [ゆーちん]
「おはよ!久しぶり〜」
「なーんだ。来ないと思った。」
「ママに会いたかったんだもーん。あ、仁士おはよ。」
「おはよ。昨日はサンキュな。」
「どいたま〜。」
:09/04/26 15:58 :SH901iC :FFIr2eIk
#121 [ゆーちん]
二人が仲良しなのは、どうやら有名らしい。
全然知らなかった。
興味がなかったもんだから、ね。
「ママ、放課後更衣室行っていい?」
「ダメ。」
「何で?久しぶりに会ったのに甘えさせてよ!」
:09/04/26 15:59 :SH901iC :FFIr2eIk
#122 [ゆーちん]
「恋人じゃあるまいし、そんな密会まがいな事は嫌。そんなに私に会いたいならウチ来れば?」
「…え?」
栄之助のこの嬉しそうな顔。
バカ猿丸だしだぞー。
「嘘だよ、バカ。」
:09/04/26 15:59 :SH901iC :FFIr2eIk
#123 [ゆーちん]
「何それ、ケチー!」
「はいはい、うるさい。そんじゃ仁士、放送入ったら体育館移動して整列させておいてね。」
「あいよ。」
「ママは?」
「私は今から職員室戻んなきゃだから。じゃあね。」
:09/04/26 16:00 :SH901iC :FFIr2eIk
#124 [ゆーちん]
と、いうわけで教室から職員室に移動。
何やら会議とか題して、体育館で集会してこういう話をしますっていう連絡だけ。
かったるいっつーの。
体育館に移動して、生徒集合して、集合して、校長からの話聞いて、解散して、さようなら。
:09/04/26 16:00 :SH901iC :FFIr2eIk
#125 [ゆーちん]
放課後、更衣室には行かない。
だってさっき栄之助が帰る姿が窓から見えたもん。
あー、帰っちゃうんだとか可愛い感情なんかはなく、甘えんぼの猿が帰ってセーセーするっていう感じ。
:09/04/26 16:02 :SH901iC :FFIr2eIk
#126 [ゆーちん]
残った仕事をして、レオのために早く帰らなきゃ。
くたくたの足取りで玄関前に到着した…けど、逃げ出そうかなって思った。
だって、猿がいるんだもん。
玄関前に座り込んでる、栄之助が!
:09/04/26 16:02 :SH901iC :FFIr2eIk
#127 [ゆーちん]
ウチに来いっつったの真に受けたの?
うっざー。
これだからガキは…
「栄之助」
「あっ、ママおかえり〜。早かったね」
「何してんの」
「何ってママに会いに来た」
:09/04/26 16:03 :SH901iC :FFIr2eIk
#128 [ゆーちん]
「何で私んち知ってんのよ。」
「ママの子だから。」
「ふざけないで。何の用。」
「だから、ママに会いたいから来たんだよ。」
「迷惑なんだけど。」
「親に迷惑かけない子なんていないよ。」
:09/04/26 16:04 :SH901iC :FFIr2eIk
#129 [ゆーちん]
調子狂うな、こいつといると。
とりあえず家に上げた。
「うわーっ!ワンコ〜。」
本当に子供みたいにはしゃぐ栄之助を見て、代わり映えのあった今日を新鮮に思う。
:09/04/26 16:04 :SH901iC :FFIr2eIk
#130 [ゆーちん]
「名前は?」
「レオ。」
「レオたんかぁ。俺エイたん。よろしくね〜。」
犬猿の仲ってよく言うけど、この2匹は例外ね。
めちゃくちゃ仲良しじゃん。
レオったら栄之助にそんな懐かなくても…ちょっと寂しいぞ、私。
:09/04/26 16:05 :SH901iC :FFIr2eIk
#131 [ゆーちん]
「で?宿題手伝ってもらおうとでも?」
「まさか。俺宿題書かれたプリンとは学校に置きっぱなしだから、何が宿題かわかんないぐらいだもん。」
「アハハッ。私も高校生の時そんなだった。」
:09/04/26 16:06 :SH901iC :FFIr2eIk
#132 [ゆーちん]
私みたいなバカでも教師になれるんだから今の世の中何が起きてもおかしくないんだよねー。
「で、本当は何しに来たの?」
「だからママに会いたかったの。夏休み入ってから甘え所がなくて寂しくて。」
:09/04/26 16:07 :SH901iC :FFIr2eIk
#133 [ゆーちん]
家に上げるつもりなんかなかった。
キスをさせてあげるつもりなんかもなかった。
だからベットに押し倒されて、胸を揉まれるつもりなんか全然なかった。
「何、この手。」
:09/04/26 16:07 :SH901iC :FFIr2eIk
#134 [ゆーちん]
「いいじゃん胸くらい。減るもんじゃないんだし」
悪びれもない栄之助。
「キスならまだしも胸は関係ない」
「関係大ありだよ。子供はママのおっぱいで育つんだよー。」
:09/04/26 16:08 :SH901iC :FFIr2eIk
#135 [ゆーちん]
あ、そうか。
こいつなかなか頭いいな。
「スキンシップじゃん。」
そう言って、またキスしながら胸を触って来た。
スキンシップ…なのか?
:09/04/26 16:09 :SH901iC :FFIr2eIk
#136 [ゆーちん]
いや、これ完全に違うっしょ。
いつの間にかブラジャー外されて、舐めたり噛まれたりされてんだけど…明らかに下心ある舌使いじゃん!
認めたくないけど何気に気持ち良いかもー…。
:09/04/26 16:10 :SH901iC :FFIr2eIk
#137 [ゆーちん]
「…んんっ。」
「感じてんの?」
「そうみたい。最近全くヤッてなかったからなぁ。」
「ふーん」
「つーか、もうダメ。限度すぎてるよ。はい、おしまい!」
:09/04/26 16:10 :SH901iC :FFIr2eIk
#138 [ゆーちん]
栄之助をどかせ、下着をつけなおし、服もまとい直した。
「ねぇ、まさか本当にこんな事したいがために私んちまで来たの?」
「そうだよ。ママに会いたかったから来た。」
:09/04/26 16:11 :SH901iC :FFIr2eIk
#139 [ゆーちん]
っとにもう…どこまでバカ猿なんだか。
「また遊びに来てもいい?」
「ダメ。」
「どして?恋人がいるわけでもないのに。」
「恋人ならいるもん、ねぇ〜レオたん。」
:09/04/26 16:12 :SH901iC :FFIr2eIk
#140 [ゆーちん]
「恋人ってレオ?」
「イケメンでしょ?栄之助よりカッコイイね、レオ!」
レオとじゃれあってると、やきもちを妬いたらしく無理矢理キスしてきた栄之助。
ぶっ、可愛い奴。
本当の子供みたい。
:09/04/26 16:12 :SH901iC :FFIr2eIk
#141 [ゆーちん]
でもそれ以上はない。
本当に親と子みたいな感じだ。
「また来るからね!」
「だからダメだってば。」
「絶対来るもん!」
:09/04/26 16:13 :SH901iC :FFIr2eIk
#142 [ゆーちん]
そう言って帰ってった栄之助。
あいつは小学生か?
バカでエッチでガキだけど、あいつの笑顔で調子が狂うなって感付き始めた夏真っ盛り。
3日後、まーた私の調子を狂わす奴が現れるんだ。
:09/04/26 16:14 :SH901iC :FFIr2eIk
#143 [ゆーちん]
―――
登校日の次の日、やっぱり校内はシンとしていて心が安らいだ。
翌日も、その翌日も。
補習している教室からはギャーギャーと騒ぐ声が聞こえた。
その騒がしさが、なぜか夏らしい雰囲気にさせてくれた。
:09/04/26 16:16 :SH901iC :FFIr2eIk
#144 [ゆーちん]
今日も、普通に仕事して家に帰ってレオとラブラブ。
ずーっと夏休みのままでいればいいのに。
授業ないし生徒に気を使わなくていいから超ラク。
「レオ〜、毎日毎日暑いけどあんたとのハグは辞めらんなーい。」
:09/04/26 16:16 :SH901iC :FFIr2eIk
#145 [ゆーちん]
レオったら照れちゃって、すっげぇ嫌がんの。
んもー、可愛いんだから!
ピーンポーン…
はぁ?
レオとのラブラブタイムに誰よ。
居留守使っちゃお〜っと。
:09/04/26 16:17 :SH901iC :FFIr2eIk
#146 [ゆーちん]
ドンドンドン…
おいおい。
ドア叩くなよ、怖いし。
「七海!おーい、七海!」
えぇ?
マジで誰?
私の名前必死に呼んでるよ!
真面目に怖いから。
:09/04/26 16:18 :SH901iC :FFIr2eIk
#147 [ゆーちん]
レオを抱きしめ、覗き穴から片目つぶって見てみた。
…ら!
ガチャッ…
「いるなら返事しろよ!」
「仁士?」
委員長でした。
「居留守使ってただろ?」
「一体何事?」
:09/04/26 16:18 :SH901iC :FFIr2eIk
#148 [ゆーちん]
汗だくの仁士はいつもと血相違ってて、何か…怖い。
てゆーか…あれ?
私はレオを抱っこしてるでしょ?
で、仁士はなぜか子供を抱っこしてんの。
なぜ?
:09/04/26 16:20 :SH901iC :FFIr2eIk
#149 [ゆーちん]
「…誰?」
ぐったりと眠る子供は、仁士そっくりで…仁士の子供なのかと思った。
「弟。てゆーか上げて」
いいとも言ってないのに、仁士は自分の弟を抱きながら部屋に入って来た。
「どうしたの?」
「こいつ熱出しちゃって。もう病院開いてないし、家で看病してやろうと思ったけど俺、今からバイトでさ。悪いんだけど俺がバイト終わるまで診ててくんね?」
:09/04/26 16:20 :SH901iC :FFIr2eIk
#150 [ゆーちん]
「いやいやいやいや、ちょっと整理しよう。その子は仁士の弟で熱を出している。うん、そこまではわかるよ。」
「他に何がわかんねぇの?」
「あんたがバイトだろうが、親がいんでしょ?」
:09/04/26 16:21 :SH901iC :FFIr2eIk
#151 [ゆーちん]
「…先生、ちゃんと資料読んだ?前にも言ったよね、俺ら親いないんだよ。」
あ、そうだった。
やっばー。
変な事言っちゃった。
「…ごめんなさい。」
「とにかくバイト遅れそうだから、終わるまで頼むよ!」
:09/04/26 16:21 :SH901iC :FFIr2eIk
#152 [ゆーちん]
そう言って仁士は慌てて部屋を飛び出して行く。
「あー!ちょっ、仁士待って!」
「何っ?」
「弟、名前は?名前聞いてない!」
「蕾夢(ライム)!かっこいい名前だろ?」
「早く戻ってきてよね?」
:09/04/26 16:22 :SH901iC :FFIr2eIk
#153 [ゆーちん]
仁士はそのまま猛ダッシュで家を飛び出して行った。
さて、どうしますか。
私のベットで、おでこに冷えピタ貼ってヒーヒー苦しそうに眠っている、この子供を。
蕾夢くんなんて今時の名前だね〜。
:09/04/26 16:23 :SH901iC :FFIr2eIk
#154 [ゆーちん]
まつげ長ーい、いいなぁ。
んー、何才ぐらいだろ?
見れば見るほど仁士そっくり。
弟っつっても歳離れ過ぎだろ。
入り組んだ家庭環境なんだな、きっと。
再婚相手の子供で、腹違いか種違いの弟って感じ?
:09/04/26 16:24 :SH901iC :FFIr2eIk
#155 [ゆーちん]
「んんー、にいに…」
うぉ!
見取れてる場合じゃないんだ。
こいつ、蕾夢は熱出してんだっけ?
診ててって頼まれても、私子供いないからわかんないし。
いとこに小さい子がいたけど、熱が出た時の看病なんかした事あるわけないし。
:09/04/26 16:24 :SH901iC :FFIr2eIk
#156 [ゆーちん]
「にいに…どこぉ…」
ぐずりだしたよ、おい。
泣くな、泣くなよ?
私、泣きやます方法とか知んないし。
とりあえず…手を握ってみた。
ちっちゃい手。
蕾夢はすぐに握り返して来た。
:09/04/26 16:25 :SH901iC :FFIr2eIk
#157 [ゆーちん]
やだ、どうしよう…可愛い!
なんてゆーのかな。
栄之助に似てるって感じ?
蕾夢は私の手を握りながら、また眠った。
よかった、セーフ。
でもこれからどうしよう。
てゆーか仁士はいつ帰って来んだろ。
:09/04/26 16:26 :SH901iC :FFIr2eIk
#158 [ゆーちん]
仁士みたく汗だくな蕾夢は私の枕をびしょ濡れにしてくれた。
こんにゃろう…枕カバー取り替えたとこだっつうの。
「ままぁ…」
…まぁいっか。
こいつ可愛いし。
何か大変そうだし、瀬川兄弟。
:09/04/26 16:27 :SH901iC :FFIr2eIk
#159 [ゆーちん]
ママじゃないけど返事しておいてあげた。
「ママいるよ。蕾夢いい子だね、たくさん寝んねしようね。」
お腹をトントンってして、蕾夢を安心させてあげんの。
子供の看病はできないけど寝かす事ならできるよ。
:09/04/26 16:27 :SH901iC :FFIr2eIk
#160 [ゆーちん]
滅多に会えないいとこの昼寝に付き合った事あるからね。
蕾夢の寝顔を見て、色々考えてみた。
金なくって仁士はバイトしてるって事は、やっぱ裕福ではないわけじゃん。
でもウチの高校は私立だし、金かかるよね。
:09/04/26 16:28 :SH901iC :FFIr2eIk
#161 [ゆーちん]
あいつ頭いいから県立の高校でも充分大丈夫なはずなのに。
教師しといて、こんな言い方悪いけど、わざわざ頭のよくない高校で高い金払わなくても、安いとこ他にあるのに…。
:09/04/26 16:29 :SH901iC :FFIr2eIk
#162 [ゆーちん]
疑問だらけだね。
こりゃ生徒資料見るしかないか…。
「だれ?」
…へ?
嘘、やだ。
考え事してたら、蕾夢が起きた事全然気付かなかったし!
:09/04/26 16:29 :SH901iC :FFIr2eIk
#163 [ゆーちん]
「起きたの、蕾夢。調子はいかが?」
テンパりすぎでしょ、私。
「おばちゃん、だれ?」
はぁ?
誰がおばちゃんだって?
:09/04/26 16:30 :SH901iC :FFIr2eIk
#164 [ゆーちん]
「にいにの学校の先生だよ。」
「にいには?」
「アルバイトに行った。蕾夢がお利口に寝んねしてたら迎え来るから、お姉ちゃんと一緒に待とうね。」
:09/04/26 16:31 :SH901iC :FFIr2eIk
#165 [ゆーちん]
「ここどこ?」
「お姉ちゃんのおうち。」
「わんちゃん。」
子供の感性ってのがよくわかんないと痛感した瞬間でした。
ここどこ?って疑問に思ってたのに、次はレオに興味がいっちゃいますか。
:09/04/26 16:31 :SH901iC :FFIr2eIk
#166 [ゆーちん]
「わんちゃんだね。はい、寝んね。」
「おばちゃん、らいむ、おちっこ。」
おちっこ?
あぁ、おしっこか。
…って!
おしっこしたいんだったら、わんちゃんどうこう吐かす前にさっさと言えよガキ!
:09/04/26 16:32 :SH901iC :FFIr2eIk
#167 [ゆーちん]
トイレに連れてって、ヤバイって思った。
子供っておしっこどうやんの?
立ちションできんの?
「蕾夢、いつもおしっこ一人でするの?」
「うん。」
:09/04/26 16:33 :SH901iC :FFIr2eIk
#168 [ゆーちん]
っしゃ!
ラッキー。
できないとか言われたらどうしようかと思った。
「お姉ちゃん、ここで見ててあげるから早くおしっこしてきな?」
「ん。」
:09/04/26 16:33 :SH901iC :FFIr2eIk
#169 [ゆーちん]
そう言って蕾夢はズボンとパンツを脱いだ。
「グフッ!」
「なに?」
「ううん、何でもないよ。」
ごめんね、蕾夢。
あんたの下半身があまりにも可愛くて、お姉ちゃん吹き出しちゃいました。
:09/04/26 16:34 :SH901iC :FFIr2eIk
#170 [ゆーちん]
立ちションするのかと思ったら、座っておしっこしてた。
ふーん、って感心した。
「すごぉい。蕾夢えらいね。」
「ん。」
蕾夢は得意気に笑った。
その顔が無茶苦茶、仁士に似ていた。
:09/04/26 16:35 :SH901iC :FFIr2eIk
#171 [ゆーちん]
パンツとズボンはいて、手を洗ってた。
完璧だな、って思いながら洗浄ボタンをこっそり押しておいた。
誰にでも忘れる事はあるよね。
こいつまだちっちゃいし、尚更だ。
:09/04/26 16:44 :SH901iC :FFIr2eIk
#172 [ゆーちん]
「おばちゃん、らいむ、おなかちゅいた。」
ちゅいた!
空いたが言えないの?
かーわーいーいー!
「おばちゃんじゃなくてお姉ちゃんって呼んでよぉ。」
:09/04/26 16:45 :SH901iC :FFIr2eIk
#173 [ゆーちん]
「おばちゃん、なまえは?」
「ん?七海だよ。」
「らいむね、らいむだよ。ななみちゃん、にいにとおともだち?」
あんたの自己紹介可愛すぎないかい?
反則だろ〜。
:09/04/26 16:46 :SH901iC :FFIr2eIk
#174 [ゆーちん]
それに、ななみちゃんだって。
おばちゃんよか全然嬉しい。
で、人の話し聞いてなさすぎ。
先生だってさっき話しただろ可愛いガキんちょめ。
:09/04/26 16:46 :SH901iC :FFIr2eIk
#175 [ゆーちん]
「七海ちゃんは、にいにの先生。」
「ちぇんちぇってなに?」
あー、まだわかんないのか。
じゃあ説明すんの面倒だわ。
「お友達ってこと。」
「にいにとおともだち。ふーん。おなかちゅいた。」
:09/04/26 16:48 :SH901iC :FFIr2eIk
#176 [ゆーちん]
わがまま〜。
栄之助、助けて〜。
「お粥でいい?」
「おなかちゅいたぁ!」
「あぁ、はいはい。ちょっと待っててね。」
:09/04/26 16:48 :SH901iC :FFIr2eIk
#177 [ゆーちん]
振り回されるね、子供に。
お粥作ってるあいだも、じっとしてくんないし。
レオの顔引っ張りまくるし。
こいつ本当に熱あんのか?
「蕾夢、ちょっと来て。」
「ん?」
:09/04/26 16:48 :SH901iC :FFIr2eIk
#178 [ゆーちん]
おぼつかない足取りで私のところまで歩いてくる姿がたまんねぇ!
おでこに手を当ててみた。
んー、ちょっと熱いな。
つうことは熱あるのか。
じゃあ何でこんな元気なわけ?
:09/04/26 16:49 :SH901iC :FFIr2eIk
#179 [ゆーちん]
熱のせいで逆にテンション上がったとか?
「きゃははは!わんちゃーん!」
あーあ。
レオ、すまない。
しっぽ痛いでしょ。
蕾夢引っ張りすぎだよぉ。
:09/04/26 16:50 :SH901iC :FFIr2eIk
#180 [ゆーちん]
「蕾夢、できたよ。」
お粥に飛び付いてくるとこが、また可愛いんだな。
食べさせてあげると、こりゃまた美味しそうに食べてくれんの。
「夏風邪は長引くって言うから、ご飯食べたらすぐに寝ようね。」
「ななみちゃんも?」
:09/04/26 16:51 :SH901iC :FFIr2eIk
#181 [ゆーちん]
「うん、一緒に寝ようね。」
「あーい。」
仁士に似てて、何かちょっと笑けてくるんだけど…蕾夢は蕾夢だしね。
可愛がってあげないと、面倒だけど。
:09/04/26 16:51 :SH901iC :FFIr2eIk
#182 [ゆーちん]
ごちそうさまして、約束通り一緒に眠った。
あれだけいじめられていたのに、レオも蕾夢になついたみたいで、一緒に眠ってくれた。
大人、子供、犬。
爆睡しました。
だから、仁士が帰って来たインターホンにもなかなか気付かなかった。
慌ててベッドから飛び起きて、ドアを開けると、泥だらけの仁士がいた。
:09/04/26 16:53 :SH901iC :FFIr2eIk
#183 [ゆーちん]
「また居留守?」
「ごめん。寝てた。」
ずかずかと部屋に上がる仁士は蕾夢を見て、ちょっと笑ってた。
「一緒に寝てくれたの」
「うん。」
:09/04/26 16:53 :SH901iC :FFIr2eIk
#184 [ゆーちん]
「本当ありがとう。七海ぐらいしか頼める人いなくて。」
「おしっこ自分でできんだね。えらいよ、蕾夢。」
「俺に似て賢いんです。」
「あっそ。お茶でも飲む?」
「もう帰るんで。本当ありがとうね先生。」
「蕾夢も寝てんだし、まだいいじゃん。寝かせてあげなよ。」
:09/04/26 16:54 :SH901iC :FFIr2eIk
#185 [ゆーちん]
あれ、蕾夢また熱上がって来たのかな。
ちょっと苦しそう。
「じゃあちょっとだけ。」
「ねぇ、蕾夢って何才?」
「2才。」
「へぇー。風邪薬とか飲ませた?」
:09/04/26 16:55 :SH901iC :FFIr2eIk
#186 [ゆーちん]
「うん、一応。」
「また熱上がって来たのかも。さっきまで元気にレオと遊んでたんだよ。お粥も完食したし。」
「お粥作ってくれたんですか?さすが先生。ありがとうございます。」
「それよりあんたさ、キャラを一つに統一しなよ。敬語だったりタメ口だったり七海って呼んだり先生って呼んだり。」
:09/04/26 16:56 :SH901iC :FFIr2eIk
#187 [ゆーちん]
「どのキャラがいい?」
「どれも興味ねぇよ。はいよ。」
お茶を出してあげると、仁士は一気に飲み干した。
:09/04/26 16:56 :SH901iC :FFIr2eIk
#188 [ゆーちん]
「学校では真面目なキャラ。バイト先では元気なキャラ。蕾夢の前では強く逞しいキャラ。色々化けすぎてどれが本当の自分かわかんないんだ。なんか先生の前だと気ぃ緩んじゃって…キャラ混ざる。」
そう言って笑った仁士は、さっきおしっこ褒めた時の蕾夢そっくりだった。
:09/04/26 16:57 :SH901iC :FFIr2eIk
#189 [ゆーちん]
「私も大変だよ。生徒の前では出しゃばりすぎず控えすぎずの良い先生演じなきゃだもん。でも実際は学校なんか大嫌い。毎日が夏休みで授業なんかなきゃいいのにって感じ。」
「俺ら似た者同士?」
「えー、やだよ。同士にしないで、そんな泥だらけのガキんちょと。」
:09/04/26 16:57 :SH901iC :FFIr2eIk
#190 [ゆーちん]
学校では見た事のない笑顔だった。
だから私も学校じゃ見せない笑顔を浮かべた。
「ごめんね、仁士のこと何も知らないで。生徒資料ちゃんと読むから。」
:09/04/26 16:59 :SH901iC :FFIr2eIk
#191 [ゆーちん]
「そ。」
「ねぇ、何のバイトしてんの?」
「夜間工事。だから泥だらけ。」
「へぇー。肉体労働だね。若いのにあんたえらい。」
:09/04/26 16:59 :SH901iC :FFIr2eIk
#192 [ゆーちん]
「そんなことないもーん。」
そう言ってクラス委員はポケットから煙草を取り出した。
人は見掛けに…よるね。
いかにも吸ってそうな顔だもん。
クラス委員やってるほうが不思議。
:09/04/26 16:59 :SH901iC :FFIr2eIk
#193 [ゆーちん]
「禁煙だからね、この部屋。」
「先生吸わないんすか?」
「辞めたの。でもメンタルやられた時にちょっと手が伸びるって感じかな。完全に辞めなきゃって思うんだけど。」
:09/04/26 17:00 :SH901iC :FFIr2eIk
#194 [ゆーちん]
「ふーん。」
「一緒に禁煙しない?」
「やなこった。栄之助に付き合ってもらえば?」
「え、あいつやっぱ吸ってんの?でもキスは全然味しないよ。」
:09/04/26 17:01 :SH901iC :FFIr2eIk
#195 [ゆーちん]
「あいつも今、禁煙中だから。一緒にやろって言ったげると喜ぶんじゃん?」
「あんなバカ猿、わざわざ喜ばせたくないよ。」
「アハッ、確かに猿だ。」
:09/04/26 17:01 :SH901iC :FFIr2eIk
#196 [ゆーちん]
そんな風に話してると蕾夢が起きたので、瀬川兄弟は帰ってった。
またな、って仁士が言ってた。
また来る気?
いい迷惑だ。
それより、何で栄之助も仁士も私の家知ってたんだろ。
不思議。
:09/04/26 17:02 :SH901iC :FFIr2eIk
#197 [もも]
めちゃおもしろいです
頑張ってください(´ω`)
:09/04/27 01:01 :W62SA :M5Gbma2Q
#198 [我輩は匿名である]
あげる
:09/04/29 22:17 :N903i :bRfzZVNM
#199 [ゆーちん]
>>197ももさん
ありがとうございます
もう少ししたら更新します
:09/04/30 13:40 :SH901iC :Tn1TeGpw
#200 [ゆーちん]
:09/04/30 13:41 :SH901iC :Tn1TeGpw
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