虹色のオセロ
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#201 [ゆーちん]
―――
蕾夢の体調よくなったよと仁士に教えてもらったのは、あの日から5日経った時だった。
なかなか長引いたみたいだから、にいににお疲れ様と言ってあげた。
:09/04/30 13:47 :SH901iC :Tn1TeGpw
#202 [ゆーちん]
今日は登校日ってわけじゃないんだけど、なぜか仁士は学校に来ていた。
理由は詳しくわかんないけど、何せ登校していた。
:09/04/30 13:48 :SH901iC :Tn1TeGpw
#203 [ゆーちん]
「生徒資料見たよ」
「…感想は?」
「人生山あり谷ありだな」
「山ばっかですよ。登っても登ってもたどり着かない山」
「そんな顔するな。あんたが蕾夢を守ってやんなきゃ。ね?」
「にいにだもん。頑張りますよー?」
:09/04/30 13:48 :SH901iC :Tn1TeGpw
#204 [ゆーちん]
私の睨んだ通り、やっぱり仁士と蕾夢は種違いの兄弟だった。
離婚とか再婚の理由まではさすがに載ってないからわかんないけど、今の仁士の父親はやけに若い。
母親は水商売をしているらしく、仁士が看病してる理由がわかった。
:09/04/30 13:49 :SH901iC :Tn1TeGpw
#205 [ゆーちん]
「親がいないって言ったけど、ちゃんといるじゃない。」
「あんなの親じゃないよ」
「深入りするつもりはないんだけど、これだけ教えて。親と住所が違うのは、やっぱあんた一人暮らしとかしてんの?」
:09/04/30 13:50 :SH901iC :Tn1TeGpw
#206 [ゆーちん]
コクッと頷いた仁士は、深入りしないはずだった私に色々と教えてくれた。
「今の父親、俺の事嫌いなんだって。だから一人暮らししてんだけど…蕾夢がさ。」
「蕾夢が何?」
:09/04/30 13:50 :SH901iC :Tn1TeGpw
#207 [ゆーちん]
「蕾夢は二人の子供なのに邪険にするって言うか。あの二人、蕾夢の面倒見ないで仕事したり遊び行ったりするから俺が面倒見なきゃなんだ。」
「…悪い親だね。蕾夢、寝言でママって呼んでたよ。」
「うん、いつも。バイトない時、蕾夢うちに泊まんに来るんだけどママばっか呼んでる。」
:09/04/30 13:51 :SH901iC :Tn1TeGpw
#208 [ゆーちん]
「仁士がバイトある時はどうしてんの?」
「あら。深入りしないんじゃなかったんですか?」
「…記憶力のいい奴。」
「頭いいんで僕。」
:09/04/30 13:52 :SH901iC :Tn1TeGpw
#209 [ゆーちん]
「はいはい、で?」
「託児所だよ。でも毎日託児所なんかでいてもつまんないだろうから、できるだけ一緒にいてあげないと。」
「そ。」
:09/04/30 13:52 :SH901iC :Tn1TeGpw
#210 [ゆーちん]
「蕾夢さ、親に一緒に寝てもらった事もないし、おしっこ褒めてもらった事もない。もちろんお粥食べさせてもらった事もないんだ。だから喜んでたよ、おばちゃん優しかったって。」
「あぁそう、それはよかった…って、またおばちゃんって呼んでたの?帰り際までななみちゃんって呼んでたのにぃ!」
:09/04/30 13:53 :SH901iC :Tn1TeGpw
#211 [ゆーちん]
あ、笑った。
蕾夢そっくり。
「それより、なんで私んち知ってたの?」
「ん?栄之助に聞いた。」
「栄之助?」
あいつマジ何者?
:09/04/30 13:53 :SH901iC :Tn1TeGpw
#212 [ゆーちん]
私の住所どこで手に入れたんた!
「ねぇ先生。」
「なんだね瀬川くん。」
「番号教えてよ?」
番号ですか?
:09/04/30 13:54 :SH901iC :Tn1TeGpw
#213 [ゆーちん]
「携帯の?」
「そ。また駆け込む時、居留守使われると面倒だから。」
「また駆け込むって、また来る気?やめてよー!」
「七海と俺の仲じゃん。はい、赤外線準備。」
「えー!やだやだやだ。」
:09/04/30 13:54 :SH901iC :Tn1TeGpw
#214 [ゆーちん]
やだとか言って、ちゃっかり連絡先教えてあげたのは同情心からだった。
また蕾夢に何かあったら頼っていいよ、って思いながら教えてあげた。
別に仁士に気があるわけじゃないよ。
:09/04/30 13:56 :SH901iC :Tn1TeGpw
#215 [ゆーちん]
―――
《ママ〜今日遊び行っていい?》
夏休みがもうすぐ終わるって時に知らないアドレスからメールが来た。
すぐにピンと来たけどね。
栄之助、仁士に私の連絡先聞いたんだな。
:09/04/30 13:56 :SH901iC :Tn1TeGpw
#216 [ゆーちん]
勝手に教えてんじゃねぇよ、クラス委員め。
《ダメ》
《ダメって言われても、もう家に着く〜》
「レオさん、居留守を使おうか。」
ピーンポーン…
:09/04/30 13:57 :SH901iC :Tn1TeGpw
#217 [ゆーちん]
「ママ〜。」
叫ぶな!
近所迷惑だろ!
居留守作戦失敗。
慌ててドアを開けた。
「ちょっと、やめてよ!近所の人に誤解される。」
:09/04/30 14:01 :SH901iC :Tn1TeGpw
#218 [ゆーちん]
叱ったつもりなのにニコニコしちゃってさぁ。
「ママ久しぶり。」
「もぅ…入って。」
「わーい、あっレオたぁん。」
:09/04/30 14:02 :SH901iC :Tn1TeGpw
#219 [ゆーちん]
さっそくレオとじゃれている栄之助。
なんか、蕾夢みたい。
「仁士に聞いたの?連絡先」
「うん」
「ねぇ、私の住所どこで知ったのか教えてよ」
「ん?教えて欲しい?」
「うん!」
:09/04/30 14:02 :SH901iC :Tn1TeGpw
#220 [ゆーちん]
「じゃあキスミープリーズ!」
「はぁ?」
「ママと会いたくて、チューしたくて、頑張って住所ゲットしたんだから。」
「どういう事?」
「だから!キスミープリーズ。」
:09/04/30 14:03 :SH901iC :Tn1TeGpw
#221 [ゆーちん]
いちいちからかって来るガキだな。
「自分からするタイプじゃないの、私。」
「じゃあ奪っちゃお。」
夏だってのに栄之助の手は冷たくて、そのひんやりとした手が頬に触れると心地よく思えた。
:09/04/30 14:04 :SH901iC :Tn1TeGpw
#222 [ゆーちん]
だけどキスは熱かった。
変なの。
舌は入れてないけど、もうね、このキスったら親子の域越えてるっしょってやつなの。
映画なんかで見る外人のキスかっつーの。
:09/04/30 14:04 :SH901iC :Tn1TeGpw
#223 [ゆーちん]
だからさ、その時だけは栄之助が大人っぽく見えんだよね。
「ママ、会いたかったよー。」
その時だけだよ、だけ。
「夏だってのに、抱き着いて暑苦しくない?」
「全然。ママとだったら一生こうしてたい。」
:09/04/30 14:05 :SH901iC :Tn1TeGpw
#224 [ゆーちん]
キスしたから、教えてもらった。
私の住所を知ってる訳を。
「夏休み前にほずみんが教えてくれたよ。ななみんに借りっ放しの本があるから返したいって嘘言ったら、簡単に。」
「保泉?何で保泉が私の住所知ってんの!」
:09/04/30 14:06 :SH901iC :Tn1TeGpw
#225 [ゆーちん]
「そりゃ教師だからでしょ。そうゆう教師だけの連絡網的なのにママの住所も載ってたんじゃん?」
「個人情報うんぬんうるさい時代に、保泉の奴…」
うっぜー。
勝手に人の住所、流出してんじゃねぇぞ。
:09/04/30 14:07 :SH901iC :Tn1TeGpw
#226 [ゆーちん]
「ほずみんって絶対ママに気があるよね。住所バレてんだからストーカーとかされたりして?」
「妻子持ちには興味ないし。ストーカーされたら栄之助が守ってよ?」
「任せて〜!」
「頼りなさそーう。」
:09/04/30 14:08 :SH901iC :Tn1TeGpw
#227 [ゆーちん]
冗談言って笑い合って、たまにキスして、オセロして。
栄之助は何しに来たんだ?って感じ。
でも別に嫌じゃないし、勝手にどうぞ的な。
まあ良くもないんだけどね。
:09/04/30 14:09 :SH901iC :Tn1TeGpw
#228 [ゆーちん]
「仁士に弟いるの知ってた〜?」
「蕾夢だろ?あいつ食っちゃいたいくらい可愛いよな。」
「あ、そりゃ知ってるか。あんたら小学校から一緒だもんね。」
「何、やけに詳しいね。」
「あー、うん。生徒資料読んだから。」
:09/04/30 14:10 :SH901iC :Tn1TeGpw
#229 [ゆーちん]
栄之助は『ご苦労』と笑ってたけど、ちょっとせつなげな顔をした。
私に家庭事情を知られたから?
それとも家庭事情を思い出したから?
どっちにしろ、あんまり知られたくないし思い出したくない家庭環境なんだ。
:09/04/30 14:12 :SH901iC :Tn1TeGpw
#230 [ゆーちん]
母親は私と同じ名前でナナミさんと言って、栄之助を生んですぐに亡くなったらしい。
だから母親欄には死去みたいな事書いてあった。
本当なんだ、って思った。
:09/04/30 14:14 :SH901iC :Tn1TeGpw
#231 [ゆーちん]
父親はちゃんと働いてて、一緒に暮らしてるけど小さい時からあんまり構ってもらってないっぽい。
蕾夢みたいな。
父親の職業欄には会社経営と書かれていた。
社長とか、そうゆうのだろう。
:09/04/30 14:15 :SH901iC :Tn1TeGpw
#232 [ゆーちん]
なら話は大体わかる。
金はあるけど愛情はない家庭で育ったんだ。
ママ、ママと執着すんのも母親の愛情を知らないから。
ずっと我慢してたのかな。
母親がいなかった寂しさ、父親に構ってもらえない苦しさ。
:09/04/30 14:16 :SH901iC :Tn1TeGpw
#233 [ゆーちん]
そんな事考えてると、やっぱり仁士の時みたく同情心が沸いて来た。
最近、流されてないか私。
「仁士も大変だよな。遊びたい盛りなのに弟の面倒見なきゃなんて。」
「栄之助は、彼女いるの?」
:09/04/30 14:17 :SH901iC :Tn1TeGpw
#234 [ゆーちん]
「うん」
「いるのに、こんな事してていいの?」
こんな事とは…おっぱい触る事。
許す私もどうなのって感じ。
「ママはママだから。」
「キスや胸なんて彼女いるんだったら私必要ないじゃん。ただ名前が一緒なだけで、私じゃなくても別に…んっ。」
:09/04/30 14:17 :SH901iC :Tn1TeGpw
#235 [ゆーちん]
舐めんのは反則っしょ、栄之助さん。
「彼女なんて言ってもパンツ降ろして挿入。あんあん言って、はいおしまい。キスもしない。おっぱいも触んない。俺とヤリたいだけなんだよ、その彼女ってのは。」
:09/04/30 14:18 :SH901iC :Tn1TeGpw
#236 [ゆーちん]
つーか乳首を口に入れながら喋んじゃねーよ。
感じんだろうが、バカ!
「何で付き合ってんの?好きなわけ?」
「好きじゃない。あいつとのSEXも好きじゃない。」
「じゃあ別れちゃえば?」
「別れても一緒だよ。また次の彼女作って堂々巡りだから、俺。」
:09/04/30 14:22 :SH901iC :Tn1TeGpw
#237 [ゆーちん]
可哀相な奴。
本当最近、同情ばっか。
「惨めなだけだよ、栄之助。」
「そんな風に言ってくれんの、ママだけだな。ありがと。」
同情以外の物はない。
友情でもなければ愛情でもない。
:09/04/30 14:22 :SH901iC :Tn1TeGpw
#238 [ゆーちん]
そんな私にキスをして、そのあと満足そうな笑顔になる栄之助に、なんだか申し訳なくなってきた。
そんな夏の夜。
もうすぐ夏休みが終わっちゃう。
:09/04/30 14:23 :SH901iC :Tn1TeGpw
#239 [ゆーちん]
―――
あーあ。
とうとう終わりました、夏休み。
「ななみん、おっはー!」
「久しぶり〜、ななみん元気だった?」
「ななみん聞いて!私、彼氏できたよぉ。」
うるせー、うるせー、うるせー。
:09/05/01 10:31 :SH901iC :2a0KglgE
#240 [ゆーちん]
夏休み終わって一気にうるさくなった学校。
私の作り笑顔も、苦笑いになっちゃいそうだよ。
「宿題提出してね〜。」
私の宿題なんてちょろいもんなのに、提出しない奴もちらほら。
仁士はもちろん提出だけど、栄之助はやっぱり未提出。
:09/05/01 10:32 :SH901iC :2a0KglgE
#241 [ゆーちん]
「クラス委員、職員室まで運ぶの手伝って。」
わざわざ仁士を指名。
栄之助はほっぺ膨らましてた。
可愛いガキ猿め。
:09/05/01 10:32 :SH901iC :2a0KglgE
#242 [ゆーちん]
提出された宿題を仁士と一緒に職員室まで運ぶ間は、化けなくて済む。
「栄之助睨んでた、俺のこと。」
「マザコンだから。」
「アハハッ。」
あー、楽チン。
:09/05/01 10:33 :SH901iC :2a0KglgE
#243 [ゆーちん]
「やっぱり栄之助、未提出だったね。」
「提出するとこなんか見た事ないよ。俺はいつでもパーフェクトだけどねん。」
「はいはい。はなまるしといてあげるね〜。」
:09/05/01 10:34 :SH901iC :2a0KglgE
#244 [ゆーちん]
「いらねぇし。それより蕾夢がおばちゃんに会いたいってさ。」
「おばちゃんじゃなく、ななみちゃんって呼んでくれるなら会ってもいいよ。」
「俺に言われても…。たまにななみちゃんって呼んでんだけどね。どうもおばちゃんのが呼びやすいみたい。」
:09/05/01 10:34 :SH901iC :2a0KglgE
#245 [ゆーちん]
そりゃ残念だ。
どうにかして蕾夢にななみちゃん一本で呼んでもらわなきゃ。
「私さ、普通の家庭で育ったからあんたらの苦労なんてわかんないけど…同情すんなって思われるだろうけど力になるから。一応教師だし。頼ってよ。」
:09/05/01 10:35 :SH901iC :2a0KglgE
#246 [ゆーちん]
「都合のいい時だけ教師名乗っちゃって。」
「だって本当だもん。」
「本当は教師なんか嫌なくせに。」
「…ヘヘッ。」
職員室につくと、私たちはまた偽りのキャラクターとして接する。
:09/05/01 10:36 :SH901iC :2a0KglgE
#247 [ゆーちん]
昼間は優等生と過ごし、放課後は問題児に説教。
…なーんて、そんなカッコイイ教師じゃないし私。
「…こら。」
「いいじゃん。」
「学校だし。」
「誰も来ない。」
生徒の前で胸全開で、その舌使いに感じちゃってるただの不良教師。
:09/05/01 10:37 :SH901iC :2a0KglgE
#248 [ゆーちん]
「何で宿題しなかったの?」
「宿題なんかあったの?」
「ママが出した宿題ぐらいはして来て欲しかったなぁ。」
「フフッ、ごめん。」
「お仕置きだね。」
「何?」
「んー、宿題提出するまでキスもおっぱい触るのも禁止。」
:09/05/01 10:38 :SH901iC :2a0KglgE
#249 [ゆーちん]
すると栄之助は私の乳首をギュッと噛んだ。
「痛い、バカ。」
「絶対やだ。そんなの無理。毎日会いたいのに。」
「何が無理よ。夏休み中だって数える程しか会ってないじゃん。大丈夫だよ。」
「やだやだやだ。」
:09/05/01 10:39 :SH901iC :2a0KglgE
#250 [ゆーちん]
わがままな奴〜。
「じゃあ明日までに提出ね?私の宿題なんか簡単だもん。できるよね?」
「えぇー…」
「ママの言う事聞いてよ。」
「んー…わかった。」
「よし!じゃあ今からお預けだ!」
私ははだけた服を整えた。
:09/05/01 10:40 :SH901iC :2a0KglgE
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