虹色のオセロ
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#101 [ゆーちん]
当の栄之助は他人事のように私と瀬川仁士の会話を眺めていた。
「付き合ってんの?先生と栄之助って。」
「ううん、付き合ってない。だから余計ヤバいでしょ?恋人でもないのにキスしてたなんて。」
:09/04/26 13:37 :SH901iC :FFIr2eIk
#102 [ゆーちん]
「そうだね。だから尚更おもしろくない?
栄之助とななみんがキスしてただなんて、最近退屈だったこの学校には刺激的な話題。」
「げーっ。お願いだからやめてぇ。面倒な事だけは嫌いだからぁ」
:09/04/26 13:37 :SH901iC :FFIr2eIk
#103 [ゆーちん]
もうゲッソリ。
つーかグッタリ。
私ばっかいじめるんだもん、瀬川仁士め。
栄之助はずーっと知らん顔してるし。
「せっかくこの学校にも慣れて来たのにねぇ。」
「そうなのよ。教師なんて面倒だけどもうフリーター戻りたくないしさ。」
:09/04/26 13:38 :SH901iC :FFIr2eIk
#104 [ゆーちん]
クラス委員にいじめられ、半ベソ状態の私。
「仁士、もうそれくらいにしてあげてよぉ。ママ半泣きだし。」
栄之助が、そう言うと瀬川仁士は笑った。
「ごめん、ごめん。だってこの人おもしろいから。」
:09/04/26 13:39 :SH901iC :FFIr2eIk
#105 [ゆーちん]
何、それ。
どういう事?
「ママごめんね。仁士、俺とママの関係知ってんだよ。なのにママの事からかっちゃって…ビックリした?」
「はぁ?」
「ごめんね、先生。」
:09/04/26 13:40 :SH901iC :FFIr2eIk
#106 [ゆーちん]
「ママって本当に教室内を観察してないんだね。」
「観察?」
「俺と栄之助、いつも一緒にいるんだけど…知らなかったの?」
…マブダチってやつですか?
そんなの知らないし!
:09/04/26 13:40 :SH901iC :FFIr2eIk
#107 [ゆーちん]
「邪魔して悪かったな。んじゃ栄之助、俺先に帰るわ。」
「あーい。また明日。」
そう言って瀬川仁士は更衣室から出て行った。
「栄之助、私なんかまだよくわかんない…」
「仁士って頭いいから、ああやって人をからかうのが好きなんだよ。」
:09/04/26 13:41 :SH901iC :FFIr2eIk
#108 [ゆーちん]
「からかうのが…好き。」
「そ。まぁ心配しなくてもいいよ。仁士は俺らの事、誰かにチクったりしないから。」
「…本当に?」
「ああ見えて、あいつも結構な悪だから。さっ、続きのチュー。」
:09/04/26 13:41 :SH901iC :FFIr2eIk
#109 [ゆーちん]
いつもは無心のキスも、この時のキスは瀬川仁士の事で頭いっぱい。
栄之助と仲良しだから、私と栄之助の関係を知ってて、わざとからかって…だから誰にもチクんないで内緒にしてくれる。
って事だよね?
:09/04/26 13:42 :SH901iC :FFIr2eIk
#110 [ゆーちん]
―――
夏が来た。
つまり生徒は夏休み!
はぁ〜、幸せ。
案外気疲れする職業だから週末以外の休息も必要なんだよね。
生徒は夏休みでも教師は仕事があるため、変わらず出勤しなきゃだけど気の持ち用が違うよ。
:09/04/26 15:48 :SH901iC :FFIr2eIk
#111 [ゆーちん]
お陰様で私の受け持つ子たち、誰も補習しなくて済むし。
ラッキーハッピーなサマーが始まる!
栄之助も仁士もおとなしく夏休みを過ごすみたいで、やっと羽根伸ばせるよ。
:09/04/26 15:48 :SH901iC :FFIr2eIk
#112 [ゆーちん]
「ななみん先生、たまには飲み行きませんか?」
やなこった。
「ほずみん先生、早く帰って奥さんとお子さんと一緒にご飯食べてあげないと。それじゃあ、お疲れ様でーす!」
:09/04/26 15:49 :SH901iC :FFIr2eIk
#113 [ゆーちん]
下心丸見えオヤジをおっぱらい私は家へと直行した。
「レオ〜、ただいま!今日も相変わらずほずみんウザキモだったの」
:09/04/26 15:50 :SH901iC :FFIr2eIk
#114 [ゆーちん]
レオとじゃれながら過ごす夏の夜。
代わり映えのない毎日だけど、お風呂上がりのビールが美味しいから、それでいい。
:09/04/26 15:51 :SH901iC :FFIr2eIk
#115 [ゆーちん]
たまに登校日だとか言って生徒をサマーパラダイスから現実に引き戻す学校。
んーなの無くていいじゃんね。
まあ当の私は登校日なんて、あった事すら知らずに過ごしてたタイプだけどね。
:09/04/26 15:51 :SH901iC :FFIr2eIk
#116 [ゆーちん]
「おはよ、センセ。」
「おはよ。あんた完全に朝晩逆転生活してるでしょ。」
大あくびをする仁士。
わかりやすい奴。
「夜間のバイトのが時給いいし。」
「ふーん。苦労人だね。」
「同情すんなら金を‥」
「やんないよ、バカ。」
:09/04/26 15:53 :SH901iC :FFIr2eIk
#117 [ゆーちん]
栄之助とのキスシーンを見られてから、なぜか瀬川仁士と仲良くなっちゃった。
クラス委員のくせに全然マジメじゃないとこが、これまた面白くて。
「仁士もう宿題全部やった?」
「やった。」
「うっそ。凄いね、あんた。」
:09/04/26 15:53 :SH901iC :FFIr2eIk
#118 [ゆーちん]
誰にも聞かれないよう教室の隅でこそこそと会話する私と仁士。
こいつと栄之助には素を見せられるっつーか。
唯一の息抜き所みたいなもの。
それ以上はない。
ただの生徒…っつーかガキんちょだよ。
:09/04/26 15:57 :SH901iC :FFIr2eIk
#119 [ゆーちん]
「栄之助はきっとまだ全然なんだろうなぁ。」
「だろうね。面倒見てあげないと、ママなんでしょ?」
「…世話のかかる子だよ、全く。」
なーんて笑ってると、噂のバカ猿登場。
:09/04/26 15:57 :SH901iC :FFIr2eIk
#120 [ゆーちん]
「おはよ!久しぶり〜」
「なーんだ。来ないと思った。」
「ママに会いたかったんだもーん。あ、仁士おはよ。」
「おはよ。昨日はサンキュな。」
「どいたま〜。」
:09/04/26 15:58 :SH901iC :FFIr2eIk
#121 [ゆーちん]
二人が仲良しなのは、どうやら有名らしい。
全然知らなかった。
興味がなかったもんだから、ね。
「ママ、放課後更衣室行っていい?」
「ダメ。」
「何で?久しぶりに会ったのに甘えさせてよ!」
:09/04/26 15:59 :SH901iC :FFIr2eIk
#122 [ゆーちん]
「恋人じゃあるまいし、そんな密会まがいな事は嫌。そんなに私に会いたいならウチ来れば?」
「…え?」
栄之助のこの嬉しそうな顔。
バカ猿丸だしだぞー。
「嘘だよ、バカ。」
:09/04/26 15:59 :SH901iC :FFIr2eIk
#123 [ゆーちん]
「何それ、ケチー!」
「はいはい、うるさい。そんじゃ仁士、放送入ったら体育館移動して整列させておいてね。」
「あいよ。」
「ママは?」
「私は今から職員室戻んなきゃだから。じゃあね。」
:09/04/26 16:00 :SH901iC :FFIr2eIk
#124 [ゆーちん]
と、いうわけで教室から職員室に移動。
何やら会議とか題して、体育館で集会してこういう話をしますっていう連絡だけ。
かったるいっつーの。
体育館に移動して、生徒集合して、集合して、校長からの話聞いて、解散して、さようなら。
:09/04/26 16:00 :SH901iC :FFIr2eIk
#125 [ゆーちん]
放課後、更衣室には行かない。
だってさっき栄之助が帰る姿が窓から見えたもん。
あー、帰っちゃうんだとか可愛い感情なんかはなく、甘えんぼの猿が帰ってセーセーするっていう感じ。
:09/04/26 16:02 :SH901iC :FFIr2eIk
#126 [ゆーちん]
残った仕事をして、レオのために早く帰らなきゃ。
くたくたの足取りで玄関前に到着した…けど、逃げ出そうかなって思った。
だって、猿がいるんだもん。
玄関前に座り込んでる、栄之助が!
:09/04/26 16:02 :SH901iC :FFIr2eIk
#127 [ゆーちん]
ウチに来いっつったの真に受けたの?
うっざー。
これだからガキは…
「栄之助」
「あっ、ママおかえり〜。早かったね」
「何してんの」
「何ってママに会いに来た」
:09/04/26 16:03 :SH901iC :FFIr2eIk
#128 [ゆーちん]
「何で私んち知ってんのよ。」
「ママの子だから。」
「ふざけないで。何の用。」
「だから、ママに会いたいから来たんだよ。」
「迷惑なんだけど。」
「親に迷惑かけない子なんていないよ。」
:09/04/26 16:04 :SH901iC :FFIr2eIk
#129 [ゆーちん]
調子狂うな、こいつといると。
とりあえず家に上げた。
「うわーっ!ワンコ〜。」
本当に子供みたいにはしゃぐ栄之助を見て、代わり映えのあった今日を新鮮に思う。
:09/04/26 16:04 :SH901iC :FFIr2eIk
#130 [ゆーちん]
「名前は?」
「レオ。」
「レオたんかぁ。俺エイたん。よろしくね〜。」
犬猿の仲ってよく言うけど、この2匹は例外ね。
めちゃくちゃ仲良しじゃん。
レオったら栄之助にそんな懐かなくても…ちょっと寂しいぞ、私。
:09/04/26 16:05 :SH901iC :FFIr2eIk
#131 [ゆーちん]
「で?宿題手伝ってもらおうとでも?」
「まさか。俺宿題書かれたプリンとは学校に置きっぱなしだから、何が宿題かわかんないぐらいだもん。」
「アハハッ。私も高校生の時そんなだった。」
:09/04/26 16:06 :SH901iC :FFIr2eIk
#132 [ゆーちん]
私みたいなバカでも教師になれるんだから今の世の中何が起きてもおかしくないんだよねー。
「で、本当は何しに来たの?」
「だからママに会いたかったの。夏休み入ってから甘え所がなくて寂しくて。」
:09/04/26 16:07 :SH901iC :FFIr2eIk
#133 [ゆーちん]
家に上げるつもりなんかなかった。
キスをさせてあげるつもりなんかもなかった。
だからベットに押し倒されて、胸を揉まれるつもりなんか全然なかった。
「何、この手。」
:09/04/26 16:07 :SH901iC :FFIr2eIk
#134 [ゆーちん]
「いいじゃん胸くらい。減るもんじゃないんだし」
悪びれもない栄之助。
「キスならまだしも胸は関係ない」
「関係大ありだよ。子供はママのおっぱいで育つんだよー。」
:09/04/26 16:08 :SH901iC :FFIr2eIk
#135 [ゆーちん]
あ、そうか。
こいつなかなか頭いいな。
「スキンシップじゃん。」
そう言って、またキスしながら胸を触って来た。
スキンシップ…なのか?
:09/04/26 16:09 :SH901iC :FFIr2eIk
#136 [ゆーちん]
いや、これ完全に違うっしょ。
いつの間にかブラジャー外されて、舐めたり噛まれたりされてんだけど…明らかに下心ある舌使いじゃん!
認めたくないけど何気に気持ち良いかもー…。
:09/04/26 16:10 :SH901iC :FFIr2eIk
#137 [ゆーちん]
「…んんっ。」
「感じてんの?」
「そうみたい。最近全くヤッてなかったからなぁ。」
「ふーん」
「つーか、もうダメ。限度すぎてるよ。はい、おしまい!」
:09/04/26 16:10 :SH901iC :FFIr2eIk
#138 [ゆーちん]
栄之助をどかせ、下着をつけなおし、服もまとい直した。
「ねぇ、まさか本当にこんな事したいがために私んちまで来たの?」
「そうだよ。ママに会いたかったから来た。」
:09/04/26 16:11 :SH901iC :FFIr2eIk
#139 [ゆーちん]
っとにもう…どこまでバカ猿なんだか。
「また遊びに来てもいい?」
「ダメ。」
「どして?恋人がいるわけでもないのに。」
「恋人ならいるもん、ねぇ〜レオたん。」
:09/04/26 16:12 :SH901iC :FFIr2eIk
#140 [ゆーちん]
「恋人ってレオ?」
「イケメンでしょ?栄之助よりカッコイイね、レオ!」
レオとじゃれあってると、やきもちを妬いたらしく無理矢理キスしてきた栄之助。
ぶっ、可愛い奴。
本当の子供みたい。
:09/04/26 16:12 :SH901iC :FFIr2eIk
#141 [ゆーちん]
でもそれ以上はない。
本当に親と子みたいな感じだ。
「また来るからね!」
「だからダメだってば。」
「絶対来るもん!」
:09/04/26 16:13 :SH901iC :FFIr2eIk
#142 [ゆーちん]
そう言って帰ってった栄之助。
あいつは小学生か?
バカでエッチでガキだけど、あいつの笑顔で調子が狂うなって感付き始めた夏真っ盛り。
3日後、まーた私の調子を狂わす奴が現れるんだ。
:09/04/26 16:14 :SH901iC :FFIr2eIk
#143 [ゆーちん]
―――
登校日の次の日、やっぱり校内はシンとしていて心が安らいだ。
翌日も、その翌日も。
補習している教室からはギャーギャーと騒ぐ声が聞こえた。
その騒がしさが、なぜか夏らしい雰囲気にさせてくれた。
:09/04/26 16:16 :SH901iC :FFIr2eIk
#144 [ゆーちん]
今日も、普通に仕事して家に帰ってレオとラブラブ。
ずーっと夏休みのままでいればいいのに。
授業ないし生徒に気を使わなくていいから超ラク。
「レオ〜、毎日毎日暑いけどあんたとのハグは辞めらんなーい。」
:09/04/26 16:16 :SH901iC :FFIr2eIk
#145 [ゆーちん]
レオったら照れちゃって、すっげぇ嫌がんの。
んもー、可愛いんだから!
ピーンポーン…
はぁ?
レオとのラブラブタイムに誰よ。
居留守使っちゃお〜っと。
:09/04/26 16:17 :SH901iC :FFIr2eIk
#146 [ゆーちん]
ドンドンドン…
おいおい。
ドア叩くなよ、怖いし。
「七海!おーい、七海!」
えぇ?
マジで誰?
私の名前必死に呼んでるよ!
真面目に怖いから。
:09/04/26 16:18 :SH901iC :FFIr2eIk
#147 [ゆーちん]
レオを抱きしめ、覗き穴から片目つぶって見てみた。
…ら!
ガチャッ…
「いるなら返事しろよ!」
「仁士?」
委員長でした。
「居留守使ってただろ?」
「一体何事?」
:09/04/26 16:18 :SH901iC :FFIr2eIk
#148 [ゆーちん]
汗だくの仁士はいつもと血相違ってて、何か…怖い。
てゆーか…あれ?
私はレオを抱っこしてるでしょ?
で、仁士はなぜか子供を抱っこしてんの。
なぜ?
:09/04/26 16:20 :SH901iC :FFIr2eIk
#149 [ゆーちん]
「…誰?」
ぐったりと眠る子供は、仁士そっくりで…仁士の子供なのかと思った。
「弟。てゆーか上げて」
いいとも言ってないのに、仁士は自分の弟を抱きながら部屋に入って来た。
「どうしたの?」
「こいつ熱出しちゃって。もう病院開いてないし、家で看病してやろうと思ったけど俺、今からバイトでさ。悪いんだけど俺がバイト終わるまで診ててくんね?」
:09/04/26 16:20 :SH901iC :FFIr2eIk
#150 [ゆーちん]
「いやいやいやいや、ちょっと整理しよう。その子は仁士の弟で熱を出している。うん、そこまではわかるよ。」
「他に何がわかんねぇの?」
「あんたがバイトだろうが、親がいんでしょ?」
:09/04/26 16:21 :SH901iC :FFIr2eIk
#151 [ゆーちん]
「…先生、ちゃんと資料読んだ?前にも言ったよね、俺ら親いないんだよ。」
あ、そうだった。
やっばー。
変な事言っちゃった。
「…ごめんなさい。」
「とにかくバイト遅れそうだから、終わるまで頼むよ!」
:09/04/26 16:21 :SH901iC :FFIr2eIk
#152 [ゆーちん]
そう言って仁士は慌てて部屋を飛び出して行く。
「あー!ちょっ、仁士待って!」
「何っ?」
「弟、名前は?名前聞いてない!」
「蕾夢(ライム)!かっこいい名前だろ?」
「早く戻ってきてよね?」
:09/04/26 16:22 :SH901iC :FFIr2eIk
#153 [ゆーちん]
仁士はそのまま猛ダッシュで家を飛び出して行った。
さて、どうしますか。
私のベットで、おでこに冷えピタ貼ってヒーヒー苦しそうに眠っている、この子供を。
蕾夢くんなんて今時の名前だね〜。
:09/04/26 16:23 :SH901iC :FFIr2eIk
#154 [ゆーちん]
まつげ長ーい、いいなぁ。
んー、何才ぐらいだろ?
見れば見るほど仁士そっくり。
弟っつっても歳離れ過ぎだろ。
入り組んだ家庭環境なんだな、きっと。
再婚相手の子供で、腹違いか種違いの弟って感じ?
:09/04/26 16:24 :SH901iC :FFIr2eIk
#155 [ゆーちん]
「んんー、にいに…」
うぉ!
見取れてる場合じゃないんだ。
こいつ、蕾夢は熱出してんだっけ?
診ててって頼まれても、私子供いないからわかんないし。
いとこに小さい子がいたけど、熱が出た時の看病なんかした事あるわけないし。
:09/04/26 16:24 :SH901iC :FFIr2eIk
#156 [ゆーちん]
「にいに…どこぉ…」
ぐずりだしたよ、おい。
泣くな、泣くなよ?
私、泣きやます方法とか知んないし。
とりあえず…手を握ってみた。
ちっちゃい手。
蕾夢はすぐに握り返して来た。
:09/04/26 16:25 :SH901iC :FFIr2eIk
#157 [ゆーちん]
やだ、どうしよう…可愛い!
なんてゆーのかな。
栄之助に似てるって感じ?
蕾夢は私の手を握りながら、また眠った。
よかった、セーフ。
でもこれからどうしよう。
てゆーか仁士はいつ帰って来んだろ。
:09/04/26 16:26 :SH901iC :FFIr2eIk
#158 [ゆーちん]
仁士みたく汗だくな蕾夢は私の枕をびしょ濡れにしてくれた。
こんにゃろう…枕カバー取り替えたとこだっつうの。
「ままぁ…」
…まぁいっか。
こいつ可愛いし。
何か大変そうだし、瀬川兄弟。
:09/04/26 16:27 :SH901iC :FFIr2eIk
#159 [ゆーちん]
ママじゃないけど返事しておいてあげた。
「ママいるよ。蕾夢いい子だね、たくさん寝んねしようね。」
お腹をトントンってして、蕾夢を安心させてあげんの。
子供の看病はできないけど寝かす事ならできるよ。
:09/04/26 16:27 :SH901iC :FFIr2eIk
#160 [ゆーちん]
滅多に会えないいとこの昼寝に付き合った事あるからね。
蕾夢の寝顔を見て、色々考えてみた。
金なくって仁士はバイトしてるって事は、やっぱ裕福ではないわけじゃん。
でもウチの高校は私立だし、金かかるよね。
:09/04/26 16:28 :SH901iC :FFIr2eIk
#161 [ゆーちん]
あいつ頭いいから県立の高校でも充分大丈夫なはずなのに。
教師しといて、こんな言い方悪いけど、わざわざ頭のよくない高校で高い金払わなくても、安いとこ他にあるのに…。
:09/04/26 16:29 :SH901iC :FFIr2eIk
#162 [ゆーちん]
疑問だらけだね。
こりゃ生徒資料見るしかないか…。
「だれ?」
…へ?
嘘、やだ。
考え事してたら、蕾夢が起きた事全然気付かなかったし!
:09/04/26 16:29 :SH901iC :FFIr2eIk
#163 [ゆーちん]
「起きたの、蕾夢。調子はいかが?」
テンパりすぎでしょ、私。
「おばちゃん、だれ?」
はぁ?
誰がおばちゃんだって?
:09/04/26 16:30 :SH901iC :FFIr2eIk
#164 [ゆーちん]
「にいにの学校の先生だよ。」
「にいには?」
「アルバイトに行った。蕾夢がお利口に寝んねしてたら迎え来るから、お姉ちゃんと一緒に待とうね。」
:09/04/26 16:31 :SH901iC :FFIr2eIk
#165 [ゆーちん]
「ここどこ?」
「お姉ちゃんのおうち。」
「わんちゃん。」
子供の感性ってのがよくわかんないと痛感した瞬間でした。
ここどこ?って疑問に思ってたのに、次はレオに興味がいっちゃいますか。
:09/04/26 16:31 :SH901iC :FFIr2eIk
#166 [ゆーちん]
「わんちゃんだね。はい、寝んね。」
「おばちゃん、らいむ、おちっこ。」
おちっこ?
あぁ、おしっこか。
…って!
おしっこしたいんだったら、わんちゃんどうこう吐かす前にさっさと言えよガキ!
:09/04/26 16:32 :SH901iC :FFIr2eIk
#167 [ゆーちん]
トイレに連れてって、ヤバイって思った。
子供っておしっこどうやんの?
立ちションできんの?
「蕾夢、いつもおしっこ一人でするの?」
「うん。」
:09/04/26 16:33 :SH901iC :FFIr2eIk
#168 [ゆーちん]
っしゃ!
ラッキー。
できないとか言われたらどうしようかと思った。
「お姉ちゃん、ここで見ててあげるから早くおしっこしてきな?」
「ん。」
:09/04/26 16:33 :SH901iC :FFIr2eIk
#169 [ゆーちん]
そう言って蕾夢はズボンとパンツを脱いだ。
「グフッ!」
「なに?」
「ううん、何でもないよ。」
ごめんね、蕾夢。
あんたの下半身があまりにも可愛くて、お姉ちゃん吹き出しちゃいました。
:09/04/26 16:34 :SH901iC :FFIr2eIk
#170 [ゆーちん]
立ちションするのかと思ったら、座っておしっこしてた。
ふーん、って感心した。
「すごぉい。蕾夢えらいね。」
「ん。」
蕾夢は得意気に笑った。
その顔が無茶苦茶、仁士に似ていた。
:09/04/26 16:35 :SH901iC :FFIr2eIk
#171 [ゆーちん]
パンツとズボンはいて、手を洗ってた。
完璧だな、って思いながら洗浄ボタンをこっそり押しておいた。
誰にでも忘れる事はあるよね。
こいつまだちっちゃいし、尚更だ。
:09/04/26 16:44 :SH901iC :FFIr2eIk
#172 [ゆーちん]
「おばちゃん、らいむ、おなかちゅいた。」
ちゅいた!
空いたが言えないの?
かーわーいーいー!
「おばちゃんじゃなくてお姉ちゃんって呼んでよぉ。」
:09/04/26 16:45 :SH901iC :FFIr2eIk
#173 [ゆーちん]
「おばちゃん、なまえは?」
「ん?七海だよ。」
「らいむね、らいむだよ。ななみちゃん、にいにとおともだち?」
あんたの自己紹介可愛すぎないかい?
反則だろ〜。
:09/04/26 16:46 :SH901iC :FFIr2eIk
#174 [ゆーちん]
それに、ななみちゃんだって。
おばちゃんよか全然嬉しい。
で、人の話し聞いてなさすぎ。
先生だってさっき話しただろ可愛いガキんちょめ。
:09/04/26 16:46 :SH901iC :FFIr2eIk
#175 [ゆーちん]
「七海ちゃんは、にいにの先生。」
「ちぇんちぇってなに?」
あー、まだわかんないのか。
じゃあ説明すんの面倒だわ。
「お友達ってこと。」
「にいにとおともだち。ふーん。おなかちゅいた。」
:09/04/26 16:48 :SH901iC :FFIr2eIk
#176 [ゆーちん]
わがまま〜。
栄之助、助けて〜。
「お粥でいい?」
「おなかちゅいたぁ!」
「あぁ、はいはい。ちょっと待っててね。」
:09/04/26 16:48 :SH901iC :FFIr2eIk
#177 [ゆーちん]
振り回されるね、子供に。
お粥作ってるあいだも、じっとしてくんないし。
レオの顔引っ張りまくるし。
こいつ本当に熱あんのか?
「蕾夢、ちょっと来て。」
「ん?」
:09/04/26 16:48 :SH901iC :FFIr2eIk
#178 [ゆーちん]
おぼつかない足取りで私のところまで歩いてくる姿がたまんねぇ!
おでこに手を当ててみた。
んー、ちょっと熱いな。
つうことは熱あるのか。
じゃあ何でこんな元気なわけ?
:09/04/26 16:49 :SH901iC :FFIr2eIk
#179 [ゆーちん]
熱のせいで逆にテンション上がったとか?
「きゃははは!わんちゃーん!」
あーあ。
レオ、すまない。
しっぽ痛いでしょ。
蕾夢引っ張りすぎだよぉ。
:09/04/26 16:50 :SH901iC :FFIr2eIk
#180 [ゆーちん]
「蕾夢、できたよ。」
お粥に飛び付いてくるとこが、また可愛いんだな。
食べさせてあげると、こりゃまた美味しそうに食べてくれんの。
「夏風邪は長引くって言うから、ご飯食べたらすぐに寝ようね。」
「ななみちゃんも?」
:09/04/26 16:51 :SH901iC :FFIr2eIk
#181 [ゆーちん]
「うん、一緒に寝ようね。」
「あーい。」
仁士に似てて、何かちょっと笑けてくるんだけど…蕾夢は蕾夢だしね。
可愛がってあげないと、面倒だけど。
:09/04/26 16:51 :SH901iC :FFIr2eIk
#182 [ゆーちん]
ごちそうさまして、約束通り一緒に眠った。
あれだけいじめられていたのに、レオも蕾夢になついたみたいで、一緒に眠ってくれた。
大人、子供、犬。
爆睡しました。
だから、仁士が帰って来たインターホンにもなかなか気付かなかった。
慌ててベッドから飛び起きて、ドアを開けると、泥だらけの仁士がいた。
:09/04/26 16:53 :SH901iC :FFIr2eIk
#183 [ゆーちん]
「また居留守?」
「ごめん。寝てた。」
ずかずかと部屋に上がる仁士は蕾夢を見て、ちょっと笑ってた。
「一緒に寝てくれたの」
「うん。」
:09/04/26 16:53 :SH901iC :FFIr2eIk
#184 [ゆーちん]
「本当ありがとう。七海ぐらいしか頼める人いなくて。」
「おしっこ自分でできんだね。えらいよ、蕾夢。」
「俺に似て賢いんです。」
「あっそ。お茶でも飲む?」
「もう帰るんで。本当ありがとうね先生。」
「蕾夢も寝てんだし、まだいいじゃん。寝かせてあげなよ。」
:09/04/26 16:54 :SH901iC :FFIr2eIk
#185 [ゆーちん]
あれ、蕾夢また熱上がって来たのかな。
ちょっと苦しそう。
「じゃあちょっとだけ。」
「ねぇ、蕾夢って何才?」
「2才。」
「へぇー。風邪薬とか飲ませた?」
:09/04/26 16:55 :SH901iC :FFIr2eIk
#186 [ゆーちん]
「うん、一応。」
「また熱上がって来たのかも。さっきまで元気にレオと遊んでたんだよ。お粥も完食したし。」
「お粥作ってくれたんですか?さすが先生。ありがとうございます。」
「それよりあんたさ、キャラを一つに統一しなよ。敬語だったりタメ口だったり七海って呼んだり先生って呼んだり。」
:09/04/26 16:56 :SH901iC :FFIr2eIk
#187 [ゆーちん]
「どのキャラがいい?」
「どれも興味ねぇよ。はいよ。」
お茶を出してあげると、仁士は一気に飲み干した。
:09/04/26 16:56 :SH901iC :FFIr2eIk
#188 [ゆーちん]
「学校では真面目なキャラ。バイト先では元気なキャラ。蕾夢の前では強く逞しいキャラ。色々化けすぎてどれが本当の自分かわかんないんだ。なんか先生の前だと気ぃ緩んじゃって…キャラ混ざる。」
そう言って笑った仁士は、さっきおしっこ褒めた時の蕾夢そっくりだった。
:09/04/26 16:57 :SH901iC :FFIr2eIk
#189 [ゆーちん]
「私も大変だよ。生徒の前では出しゃばりすぎず控えすぎずの良い先生演じなきゃだもん。でも実際は学校なんか大嫌い。毎日が夏休みで授業なんかなきゃいいのにって感じ。」
「俺ら似た者同士?」
「えー、やだよ。同士にしないで、そんな泥だらけのガキんちょと。」
:09/04/26 16:57 :SH901iC :FFIr2eIk
#190 [ゆーちん]
学校では見た事のない笑顔だった。
だから私も学校じゃ見せない笑顔を浮かべた。
「ごめんね、仁士のこと何も知らないで。生徒資料ちゃんと読むから。」
:09/04/26 16:59 :SH901iC :FFIr2eIk
#191 [ゆーちん]
「そ。」
「ねぇ、何のバイトしてんの?」
「夜間工事。だから泥だらけ。」
「へぇー。肉体労働だね。若いのにあんたえらい。」
:09/04/26 16:59 :SH901iC :FFIr2eIk
#192 [ゆーちん]
「そんなことないもーん。」
そう言ってクラス委員はポケットから煙草を取り出した。
人は見掛けに…よるね。
いかにも吸ってそうな顔だもん。
クラス委員やってるほうが不思議。
:09/04/26 16:59 :SH901iC :FFIr2eIk
#193 [ゆーちん]
「禁煙だからね、この部屋。」
「先生吸わないんすか?」
「辞めたの。でもメンタルやられた時にちょっと手が伸びるって感じかな。完全に辞めなきゃって思うんだけど。」
:09/04/26 17:00 :SH901iC :FFIr2eIk
#194 [ゆーちん]
「ふーん。」
「一緒に禁煙しない?」
「やなこった。栄之助に付き合ってもらえば?」
「え、あいつやっぱ吸ってんの?でもキスは全然味しないよ。」
:09/04/26 17:01 :SH901iC :FFIr2eIk
#195 [ゆーちん]
「あいつも今、禁煙中だから。一緒にやろって言ったげると喜ぶんじゃん?」
「あんなバカ猿、わざわざ喜ばせたくないよ。」
「アハッ、確かに猿だ。」
:09/04/26 17:01 :SH901iC :FFIr2eIk
#196 [ゆーちん]
そんな風に話してると蕾夢が起きたので、瀬川兄弟は帰ってった。
またな、って仁士が言ってた。
また来る気?
いい迷惑だ。
それより、何で栄之助も仁士も私の家知ってたんだろ。
不思議。
:09/04/26 17:02 :SH901iC :FFIr2eIk
#197 [もも]
めちゃおもしろいです
頑張ってください(´ω`)
:09/04/27 01:01 :W62SA :M5Gbma2Q
#198 [我輩は匿名である]
あげる
:09/04/29 22:17 :N903i :bRfzZVNM
#199 [ゆーちん]
>>197ももさん
ありがとうございます
もう少ししたら更新します
:09/04/30 13:40 :SH901iC :Tn1TeGpw
#200 [ゆーちん]
:09/04/30 13:41 :SH901iC :Tn1TeGpw
#201 [ゆーちん]
―――
蕾夢の体調よくなったよと仁士に教えてもらったのは、あの日から5日経った時だった。
なかなか長引いたみたいだから、にいににお疲れ様と言ってあげた。
:09/04/30 13:47 :SH901iC :Tn1TeGpw
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