虹色のオセロ

―――

蕾夢の体調よくなったよと仁士に教えてもらったのは、あの日から５日経った時だった。

なかなか長引いたみたいだから、にいににお疲れ様と言ってあげた。

今日は登校日ってわけじゃないんだけど、なぜか仁士は学校に来ていた。

理由は詳しくわかんないけど、何せ登校していた。

「生徒資料見たよ」

「…感想は？」

「人生山あり谷ありだな」

「山ばっかですよ。登っても登ってもたどり着かない山」

「そんな顔するな。あんたが蕾夢を守ってやんなきゃ。ね？」

「にいにだもん。頑張りますよー？」

私の睨んだ通り、やっぱり仁士と蕾夢は種違いの兄弟だった。

離婚とか再婚の理由まではさすがに載ってないからわかんないけど、今の仁士の父親はやけに若い。

母親は水商売をしているらしく、仁士が看病してる理由がわかった。

「親がいないって言ったけど、ちゃんといるじゃない。」

「あんなの親じゃないよ」

「深入りするつもりはないんだけど、これだけ教えて。親と住所が違うのは、やっぱあんた一人暮らしとかしてんの？」

コクッと頷いた仁士は、深入りしないはずだった私に色々と教えてくれた。

「今の父親、俺の事嫌いなんだって。だから一人暮らししてんだけど…蕾夢がさ。」

「蕾夢が何？」

「蕾夢は二人の子供なのに邪険にするって言うか。あの二人、蕾夢の面倒見ないで仕事したり遊び行ったりするから俺が面倒見なきゃなんだ。」

「…悪い親だね。蕾夢、寝言でママって呼んでたよ。」

「うん、いつも。バイトない時、蕾夢うちに泊まんに来るんだけどママばっか呼んでる。」

「仁士がバイトある時はどうしてんの？」

「あら。深入りしないんじゃなかったんですか？」

「…記憶力のいい奴。」

「頭いいんで僕。」

「はいはい、で？」

「託児所だよ。でも毎日託児所なんかでいてもつまんないだろうから、できるだけ一緒にいてあげないと。」

「そ。」