虹色のオセロ

ＨＰにも同じ作品がありますが、こっちにはちょいｴﾛで書きたいと思います(笑)

別に教師になるつもりなどなかった。

高校教師なんて以っての外。

なのに私は今、黒板前に立って、自分より年下のガキに頭を下げてる。

「柴田七海です。よろしくお願いします」

世の中不景気じゃん。

だから雇ってもらえるだけありがたいかなーって。

やる気は無い。

でも、やらないと。

「先生～、何歳？」

気安く話し掛けるな、バカ猿。

「27歳です」

「へぇ～、見えないね」

そんなお世辞嬉しくない。

つーか古い。

「アハハ…ありがとう」

ずっとフリーターだった。

どのバイトも接客だったから営業スマイルだけは得意なんだ。

一週間前まで、コーヒーショップで笑顔振り撒いてたのに…今いるのは私立高校の２年Ｃ組。

世の中何があるかわかんないね。

生徒に好かれようだなんて思ってない。

嫌われない程度がいい。

嫌われるとさ、授業大変じゃん。

私がこいつらみたく学生の時、嫌いな教師がいた。

全力で嫌った。

クラスみんなで、その教師を嫌った。

結果、その教師はストレスで病気になって学校に来なくなった。

今思えば、くだらない事だったけど、あの歳頃って自分より弱い者を見つけるのが楽しかったりする。

そんな年頃の奴らが今私の目の前にいるのだ。

嫌われるのだけは勘弁してもらわないと。

「先生って白衣着ないの？」

「白衣？」

「理科の先生なんだろ？だったら白い服着ないと！」

あぁ…。

んなもん着る訳ねぇだろ。

「着ないと思う。」

「えぇ～、着てよぉ。」

冗談言ってんじゃねぇぞ、エロガキが。

「機会があったらね。」

こいつらの副担任らしいんだけど、私、全員の名前とか覚えらんないよ。

みーんな同じ顔に見える。

他のクラスにも授業しに行かないとなんないし、無理無理。

生徒の名前は覚えろ、って理事長みたいなジジィに言われたけど、てめぇは覚えてんのかってんだよ。