虹色のオセロ
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#578 [ゆーちん]
どうしたもんかね。
どうにもできないよ。
「説得してもすみれちゃんは聞く耳持たない」
「で、私にどうして欲しいの?すみれちゃんに説得しろと?」
「違うよ。ただの報告…と17の少年の悲痛な声」
:09/05/09 12:35
:SH901iC
:JSeFKct6
#579 [ゆーちん]
「栄之助、ここがあんたの正念場だよ。ウザがられても、お互いが納得する結果を導かなきゃ。こうしてる間にも、あんたとすみれちゃんの子供は生きてんだよ。早くママとパパに会いたいな、って腹の中で成長してんだよ」
:09/05/09 12:36
:SH901iC
:JSeFKct6
#580 [ゆーちん]
栄之助は泣いていた。
「産む、産まない、どっちにしろ栄之助は今現在の時点で父親なんだよ?
泣いてる暇なんか無いくらい、わかってんでしょ?」
「…うん」
「赤ちゃんとすみれちゃんと、あんたの為にも決断は早いに越した事はない」
:09/05/09 12:37
:SH901iC
:JSeFKct6
#581 [ゆーちん]
栄之助はコクリコクリと何度も頷いた。
「ほら、行きな」
栄之助に手を差し伸べた。
ギュッと握り返してくる手のひらは、しっかりとした男の手。
私に甘えまくってた男の手とは、違って見えた。
:09/05/09 12:37
:SH901iC
:JSeFKct6
#582 [ゆーちん]
「大丈夫、大丈夫」
鼻をすする栄之助を抱き締めてあげた。
ママから子への応援ハグ。
栄之助が抱き締め返してくる事はなかった。
「ありがとう、ママ」
:09/05/09 12:38
:SH901iC
:JSeFKct6
#583 [ゆーちん]
それだけ言って、涙を拭いた栄之助は帰ってった。
きっと今からすみれちゃんのところに向かうに違いない。
まだまだ未熟なガキんちょに、幸あれ。
:09/05/09 12:39
:SH901iC
:JSeFKct6
#584 [ゆーちん]
―――
栄之助とすみれちゃんが結局どうなったのか、わからないまま週が開けた。
月曜日の朝はとても寒い。
火曜日の朝もとても寒い。
そして水曜日の朝ももちろん寒かった。
「ななみん、おはよう」
ガキは朝から元気だ。
おばちゃんは足先が冷えて泣きそうだよ。
:09/05/09 12:45
:SH901iC
:JSeFKct6
#585 [ゆーちん]
「ななみん先生、おはようございまーす」
…このおっさんも朝から元気だ。
「おはようございます、保泉先生」
「もうすぐ期末テストですよ〜」
「あ、そっか。このテストで進学とか留年とか決まってくるんですよね」
:09/05/09 12:46
:SH901iC
:JSeFKct6
#586 [ゆーちん]
懐かしい〜。
毎年必死だったっけ、私。
「留年ギリギリの奴らにはラストチャンスみたいなもんですね」
「なるほどー」
なるほど、なんて言ってるけど学年末テストの大変さを一番味わって来た私なんだ。
わからない訳がない。
:09/05/09 12:49
:SH901iC
:JSeFKct6
#587 [ゆーちん]
「でも、その前にマラソン大会ですね」
「…あぁ。結局マラソン大会に決まったんですか」
「予算が足りないらしくて、例年通りのマラソン大会なんです。教師はマラソンコース誘導とかです」
「了解しました」
:09/05/09 12:50
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