虹色のオセロ
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#589 [ゆーちん]
「はい、それじゃあ今日はここまでです。委員長の瀬川くん、この資料を職員室まで運ぶの手伝ってね」
「…はーい」
2Cでの授業が終わり、起立、礼、休み時間。
仁士は私を睨みながら教壇に向かって来た。
:09/05/09 12:53 :SH901iC :JSeFKct6
#590 [ゆーちん]
「せっかくの休み時間がパシりで終わっちゃいまーす」
「エヘッ、ごめんねぇ」
そんなブリっ子、可愛くねぇぞってな目で睨み、資料を持ってくれた。
廊下を歩く。
周りの生徒に聞かれないように小声で喋った。
:09/05/09 12:54 :SH901iC :JSeFKct6
#591 [ゆーちん]
「登山ダメだったんだね」
「予算がアウト」
「ふーん、ドンマイ」
「…まさか、それ言う為に俺をパシりにした?」
「そうだよ」
「…最悪」
「なんで、いいじゃな〜い。それより、栄之助…」
「あぁ、うん。今日も来てない」
:09/05/09 12:54 :SH901iC :JSeFKct6
#592 [ゆーちん]
仁士も栄之助にすみれちゃんの妊娠の話は聞いたらしく、気になっていたようだ。
「今日水曜だから、休み始めて3日だね」
「七海んちに行ったのって金曜だろ?」
「正確には土曜の真夜中」
「じゃあ今日で4日か。ママの喝、効いてるといいんだけど」
:09/05/09 12:55 :SH901iC :JSeFKct6
#593 [ゆーちん]
あの日、私の家に来た事は栄之助から直接聞いたらしく、月曜日の朝イチで私のところに飛んできた仁士。
結局どうなったのかを聞きたくても、当の本人が姿を現さないんじゃ話にならない。
おサボり3日目。
明日こそは登校しろ、と願いながら今日も一日、教師という苦痛を乗り切った。
:09/05/09 12:56 :SH901iC :JSeFKct6
#594 [ゆーちん]
結局栄之助はその週、学校に来なかった。
あれからちょうど一週間。
気になってはいたけど、自分から電話なんかする気分でもなく、もう一人の方に電話をかける事にした金曜日の21:00前。
:09/05/09 12:57 :SH901iC :JSeFKct6
#595 [ゆーちん]
「集〜合〜」
有無を言わさず呼び付けた。
金髪頭はご機嫌ななめで来てくれた。
「栄之助に電話しよ」
「自分でしろよ。何で呼び出されてんの俺」
「栄之助だって私より仁士の方が言いやすいよ」
「…で、その栄之助と仁士の会話を盗み聞きするつもり?」
「うん」
「最悪な教師だな」
:09/05/09 12:57 :SH901iC :JSeFKct6
#596 [ゆーちん]
冷たい事言いながら、顔は笑ってんの。
ドS疑惑。
「気にならないの?もう一週間だよ」
「気にはなるけど無理に聞き出すのも悪いじゃん」
「そうだけど…でも栄之助はきっと聞いて欲しいって思ってるに違いない」
:09/05/09 12:58 :SH901iC :JSeFKct6
#597 [ゆーちん]
「何でわかんだよ」
「ママの勘」
仁士は小さく笑ってから、栄之助に電話をかけた。
「七海が一緒だって事は内緒だからな。黙ってろよ」
「了解」
完全なる盗み聞きだね。
仁士は共犯者って事で、ちょっと申し訳ない。
:09/05/09 12:59 :SH901iC :JSeFKct6
#598 [ゆーちん]
2コール目で栄之助は電話に出た。
スピーカー機能にしてもらい、私は黙って二人の会話を聞く。
「もしー、生きてんの?」
「死んでる〜」
「あっそ。今どこ?」
「部屋だけど」
「どうなったの、彼女と子供」
:09/05/09 13:00 :SH901iC :JSeFKct6
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