虹色のオセロ
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#598 [ゆーちん]
2コール目で栄之助は電話に出た。
スピーカー機能にしてもらい、私は黙って二人の会話を聞く。
「もしー、生きてんの?」
「死んでる〜」
「あっそ。今どこ?」
「部屋だけど」
「どうなったの、彼女と子供」
:09/05/09 13:00
:SH901iC
:JSeFKct6
#599 [ゆーちん]
しばし無言。
「おーい、栄之助」
「うん」
「言いたくねぇんなら別にいいけど」
栄之助はまた無言になった。
しばらくすると、悲しい音が聞こえた。
:09/05/09 13:00
:SH901iC
:JSeFKct6
#600 [ゆーちん]
「おい、泣くな」
「あのさ…笑うなよ?」
「おう」
「俺の子供じゃないんだって」
落胆した。
私も泣きたくなった。
そんな展開、誰も望んでないよ。
「何…で、だよ」
仁士もひどく動揺していた。
「すみれちゃんがそう言うんだから、そうなんだよ。それに、日数も合わない」
:09/05/09 13:01
:SH901iC
:JSeFKct6
#601 [ゆーちん]
「他に男がいた、って事?」
「…らしいね」
「何だよそれ…」
ため息しか出なかった。
栄之助を今すぐ抱き締めてあげたくなった。
「仁士、ごめん」
我慢できなかった。
気付いた時にはペラペラと口が動いてた。
:09/05/09 13:02
:SH901iC
:JSeFKct6
#602 [ゆーちん]
「栄之助、私だよ。聞こえる?」
「…え、ママ?なんで?」
「ごめんね。仁士の事、責めないであげて。私が無理矢理盗み聞きしてたの」
「アハッ…そっか」
泣きながら笑う栄之助が、フッと脳裏をよぎる。
「栄之助、私…あんたに何て言ったらいいか」
:09/05/09 13:02
:SH901iC
:JSeFKct6
#603 [ゆーちん]
「何も言わなくていいよ。それより、いま二人は柴田家?」
「そうだけど」
「俺も行っていい?一人でいると虚しいんだ。ママと仁士の前でバカみたいに泣きたい気分」
鼻をすすりながら精一杯明るい声を出す栄之助。
:09/05/09 13:03
:SH901iC
:JSeFKct6
#604 [ゆーちん]
「おいで。仁士と待ってるから」
「うん」
電話を切ると、仁士は眉を下げながら私に笑いかけた。
「俺と栄之助の友情が崩れたら、どう責任取ってくれんの?」
「…ごめんなさい。いてもたってもいられない状態になりまして」
:09/05/09 13:03
:SH901iC
:JSeFKct6
#605 [ゆーちん]
仁士は優しく笑いながら
「いいママじゃん」
と言って私の頭をポンッと叩いた。
その手はそのままレオに行き、栄之助が来るまでの数分間、仁士はレオと、私は一人で過ごした。
私と仁士の間に、会話がなかった。
お互い、考え事をしていたからだと思う。
:09/05/09 13:04
:SH901iC
:JSeFKct6
#606 [ゆーちん]
インターホンが鳴るなり、私はドアを開けて、目が潤んでいた栄之助を抱き締めた。
「はいはい、中でやれよ」
仁士は、私と栄之助が抱き締め合ってるのを見て呆れながら笑ってた。
:09/05/09 13:05
:SH901iC
:JSeFKct6
#607 [ゆーちん]
ドアを閉めて中に入る。
私は、栄之助を抱き締めながら泣いていた。
この私が泣いていたんだよ?
生徒に興味のない私が、生徒の悲しい事実を知って、涙を流す。
私、変わっちゃったね。
:09/05/09 13:06
:SH901iC
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