虹色のオセロ
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#632 [ゆーちん]
「また私に戻ってくんの?その恋愛感情ってのは」
ニッと笑った私。
栄之助もニッと笑う。
「自惚れちゃだめだよママ。いつだって自分がモテるみたいな自信、怖いよ?」
「あら、そう」
:09/05/09 22:02 :SH901iC :JSeFKct6
#633 [ゆーちん]
ふざけあうのはここだけ。
栄之助のニンマリ顔は、スッと消えて、優しい笑顔になる。
「もうママをそんな風には見ないよ」
「…そ」
「それでね、すみれちゃんに気持ち移った時、客観的にママを見てみたんだ」
:09/05/09 22:03 :SH901iC :JSeFKct6
#634 [ゆーちん]
「何それ」
「そしたらさ…俺わかっちゃったよ」
「何を?」
「ママの気持ち」
「私の?教師やだなーって気持ち?」
「そういうんじゃない。また違う気持ち」
「何?わかんない」
:09/05/09 22:03 :SH901iC :JSeFKct6
#635 [ゆーちん]
「ママ、素直になりなよ」
素直も何も、私何にも思い当たる気持ちなんか無いよ。
「ん?」
「俺は、はっきりさせたよ?だからママもはっきりさせなきゃ」
「だから何を」
:09/05/09 22:04 :SH901iC :JSeFKct6
#636 [ゆーちん]
「好きなんでしょ?仁士」
呆れた。
ここまで引っ張ってそれ?
「私が仁士を好き?んなわけないじゃん」
「無意識?」
「いやいや、無意識も何も私、恋なんかしてないし」
「ふーん」
何なのよ、その嫌な笑み。
:09/05/09 22:04 :SH901iC :JSeFKct6
#637 [ゆーちん]
「まぁ、そう言い切るならそれでいいけど?」
「いい、とかじゃなくて何も無いよ」
「あっそ。まぁいいや。じゃあそろそろ帰るね」
ん〜、後味悪いな。
「あ、月曜はちゃんと登校しなよ」
:09/05/09 22:05 :SH901iC :JSeFKct6
#638 [ゆーちん]
「わかってるよ、先生」
「…もうママって言わないの?」
「んー、どうだろ?たまに言うかもね。言い慣れちゃったし。でももう柴田七海っていうママから卒業する。甘えたりもしないよ。これからは教師と生徒」
:09/05/09 22:05 :SH901iC :JSeFKct6
#639 [ゆーちん]
やけに晴れ晴れした顔の栄之助。
「たまには友達しようよ。またレオに会いに来てあげて」
「ママがそう言うなら遊びに来ちゃおっかなー」
好きなんかじゃなかったけど、やっぱママの役目が終わるのって寂しいもんだね。
:09/05/09 22:06 :SH901iC :JSeFKct6
#640 [ゆーちん]
「全く他人になるのは無理だもん。たまには連絡しなよ。ママ卒業だからって、母校に帰っちゃいけないルールなんて無いから」
「うん、ありがと」
栄之助は玄関で靴を履く。
そしてクルッと振り返り、猿みたいな笑顔を見せながらこう言った。
:09/05/09 22:07 :SH901iC :JSeFKct6
#641 [ゆーちん]
「大好きだったよ、ママ」
だった。
その過去形が妙に寂しかった。
「最後に、いい?」
私は頷いた。
なんちゃって親子の最後のキスは、そっと触れるだけのキスだった。
:09/05/09 22:07 :SH901iC :JSeFKct6
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