虹色のオセロ
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#760 [ゆーちん]
「バカじゃないよ。将来は発明者として名を残す偉い人」
「こんなんじゃ名前残る訳ないでしょ」
栄之助に渡されたもの、それは、虹色のオセロ。
盤が虹色になった、虹色のオセロ。
:09/05/14 10:05
:SH901iC
:UWYIjbJY
#761 [ゆーちん]
「これだって、れっきとした虹色のオセロだよ。不可能なんて無い。考え方や違う方向から見てみれば、不可能も可能になるんだよ」
バカ猿にこんな事教えられるなんて思ってもみなかった。
「ママと仁士が付き合うのだって不可能じゃない。先生と生徒が付き合うのだって考え方や見方を変えれば、無理な事なんかじゃないんだよ」
:09/05/14 10:06
:SH901iC
:UWYIjbJY
#762 [ゆーちん]
あぁ、やだ…泣きそう。
「それ言うために、このカラフルな盤、作ってくれたの?」
「これ作るの大変だったんだよ?3日かかった?なぁ仁士」
仁士は今だに口を開かない。
「仁士と栄之助で作ったの?」
「そうだよん。キラキラしてて綺麗でしょ?ペンキ乾かすのって結構時間いるんだね」
:09/05/14 10:07
:SH901iC
:UWYIjbJY
#763 [ゆーちん]
「こんな板とか、どうしたの?」
「それはー…そういう話は、仁士に聞きなよ?俺そろそろ帰るね」
えっ、やだ、待ってよ。
今あんたが帰ったら、仁士と二人きりじゃん。
気まずいし、恥ずかしいし、緊張だし…どうすればいいのかわかんない。
:09/05/14 10:07
:SH901iC
:UWYIjbJY
#764 [ゆーちん]
「えっ、栄之助…」
「俺は、ママが好きだから仁士と幸せになってもらいたいの。変な意地張んなくていいから、そろそろ自分の幸せ考えなよ、ママ」
栄之助は最後まで笑ってた。
意地じゃなくて怖いんだよ。
あんたの時みたいに、無意識のうちに相手を傷つけちゃうから。
:09/05/14 10:08
:SH901iC
:UWYIjbJY
#765 [ゆーちん]
ガチャンと閉まった扉。
二人きりの更衣室。
目の前にいるのに目が合わない、好きな人。
「その板ねー」
「え?」
3日ぶりの仁士の声は床に向かって吐き出される。
俯いてないで私を見てよ。
:09/05/14 10:09
:SH901iC
:UWYIjbJY
#766 [ゆーちん]
「工事現場から貰って来た。ペンキ塗るハケも借りた。小学生ぶりに図工とかしたもんだから、栄之助とペンキだらけになりながら頑張った」
「…そう、なんだ」
「俺、虹色のオセロの話なんか忘れててさ。栄之助に、七海に告ったのに付き合うのは不可能だってフラれたって報告したら、あいついきなり虹色のオセロだとか言い出してさ」
:09/05/14 10:09
:SH901iC
:UWYIjbJY
#767 [ゆーちん]
「うん」
俯く顔が少し上がったけど、やっぱり私を見てくれない。
「石じゃなくて盤を虹色にするなんて思わなくてビックリした。でもあいつなりに無い頭使って俺らの事応援してくれたんだよ」
:09/05/14 10:10
:SH901iC
:UWYIjbJY
#768 [ゆーちん]
「そうだね」
「栄之助ってバカだけど、バカの説明って考えが単純だから凄い納得できちゃって。石だろうが盤だろうがレインボーに塗れば、虹色のオセロなんだって言われた時は、不可能は不可能じゃないって思えた…って、なんか今のセリフ、カレーライスマンの歌詞みたいだったな」
:09/05/14 10:10
:SH901iC
:UWYIjbJY
#769 [ゆーちん]
やっと仁士が笑った。
「不可能は不可能じゃない?そんな歌詞あった?」
「あったよ。ラストの曲。栄之助が七海に向けて書いた曲に」
「…忘れちゃった」
「また歌ってやるから覚えろよ」
「…うん」
:09/05/14 10:11
:SH901iC
:UWYIjbJY
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