吸血鬼死重奏
最新 最初 全
#22 [渚坂]
さて、話はずれたけど、体育館へ行く近道として私はよくこの裏庭を通ることにしている。朝の正面玄関は他の生徒でごった返すため、私のように裏庭を通る人も少なくない。そして今日もまた、私は秘密の裏庭を歩いていた。
少し冷気をまとった風が私の頭を撫でるように通り過ぎる。髪伸びたなぁ、なんて考えながら肩に掛かる程度の髪を手櫛で整えた。いつもと変わらない朝。
:09/05/12 20:19 :F905i :wyCCmGSs
#23 [渚坂]
「ぅぉぉぉぉおおおお!!!!!!!」
突然、低い呻き声が響いた。
「な、何これ!?」
思わず持っていた鞄を地面に落とし、両手で両耳を塞いだ。
しかしその蓋をも通り抜け、呻き声はだんだんと大きくなっていく。耳の奥がビリビリする。あまりの音の大きさに目眩がする。
:09/05/12 20:20 :F905i :wyCCmGSs
#24 [渚坂]
今すぐにでも逃げ出したいのに、足が鉛のように動かない。体温が下がっていくのが分かる。背中に嫌な汗が流れているのも分かる。でも足が動かない。
助けて。
たすけて。
誰か助けて。
だれか、誰か助けてよ。
ねぇ、たすけて。
いや、いや、いや、いや、いや、いや、いや、いや、いや、いや、いや、いや、いや、いや、いや、いや、いや、いや、いや、いや、いやぁぁああ!!!!
:09/05/12 20:21 :F905i :wyCCmGSs
#25 [渚坂]
「た、たすけ――」
あぁ、もう声もでない。先ほどから響き渡る呻き声はだんだんと近づいてくる。
あ、私ここで死ぬんだ…。
頭の一部はどこか冷めていて、今私が置かれた状況を把握している自分がいる。そして、動かなかったと思っていた足はあっけなくバランスを崩し、私の膝は地面についた。
:09/05/12 20:22 :F905i :wyCCmGSs
#26 [渚坂]
「由、逃げろ!!」
死を覚悟した瞬間、骨が折れるんじゃないかって思うほど強い力で腕を掴まれ、ぐいっと引っ張り上げられた。
「しゃがみ込んでる隙はないぜ!!ほら行くぞ!!」
:09/05/25 20:05 :F905i :Kt2brzEY
#27 [渚坂]
そして、次の瞬間その声の主は私の腕を掴んだまま走り出した。風を切りながら、風を受けながら、風を感じながら、体育の成績が2だった私が「あれ?こんなに足速かったっけ」と疑問に思うぐらいのスピードで周りの風景が変わっていく。
それと比例するように先ほどまで続いていた呻き声が小さくなり、私自身も落ち着きを取り戻してきた。
:09/05/25 20:06 :F905i :Kt2brzEY
#28 [我輩は匿名である]
わ〜(^∪^)
更新されてる★
頑張ってください!
:09/05/25 20:54 :SO705i :hq2R5FC2
#29 [渚坂]
>>28ありがとうございます!!
更新遅くてすみません…;;;
ちまちま更新になるかと思われますが、これからもよろしくお願いします(/_;)
:09/05/26 19:24 :F905i :gJkM7LOU
#30 [渚坂]
「由、いったんあの木の後ろに隠れるぞ。それまで走れるな?」
声の主は私の腕を掴んでいない手で前方の木々を指差した。石やら木の根やらで足元は不安定だが、前方の木々まではなんとか走れそう。
「は、走れ、る……!!」
私の腕を引っ張る人物とは違って、必死で声を出したにも関わらず情けない声しか出なかった。仕方ない、私がこんなに走ってるなんて世にも奇妙な出来事なんだから。
:09/05/30 16:36 :F905i :3t9p8Xfg
#31 [渚坂]
そして足に急ブレーキをかけ、飛び込むように、いや、ほとんどなだれ込むようにして私たちは木の影へと身を滑らせた。うわっ、車は急に止まれないのよ!!……じゃなくて、私は急に止まれません!!
「よし、ここならちょっとは大丈夫だろ。……ったく、あの馬鹿野郎何回も出てくんじゃねーよ。毎回毎回、由を守るこっちの身にもなれって話」
:09/05/30 16:36 :F905i :3t9p8Xfg
★コメント★
←次 | 前→
トピック
C-BoX E194.194