吸血鬼死重奏
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#21 [渚坂]

校舎は煉瓦造りの中世ヨーロッパみたいな建物なのだが、正面からは隠れて見えないところに日本独特の四季折々の花が咲き誇る裏庭が存在する。


まぁ、桜とか桜とか桜とか?

他にも赤や黄色の花々が咲いている時期もあるらしいけど、私が分かる花は桜だけ。すいませんね、知識がなくて。

⏰:09/05/12 20:18 📱:F905i 🆔:wyCCmGSs


#22 [渚坂]

さて、話はずれたけど、体育館へ行く近道として私はよくこの裏庭を通ることにしている。朝の正面玄関は他の生徒でごった返すため、私のように裏庭を通る人も少なくない。そして今日もまた、私は秘密の裏庭を歩いていた。

少し冷気をまとった風が私の頭を撫でるように通り過ぎる。髪伸びたなぁ、なんて考えながら肩に掛かる程度の髪を手櫛で整えた。いつもと変わらない朝。

⏰:09/05/12 20:19 📱:F905i 🆔:wyCCmGSs


#23 [渚坂]

「ぅぉぉぉぉおおおお!!!!!!!」

突然、低い呻き声が響いた。


「な、何これ!?」

思わず持っていた鞄を地面に落とし、両手で両耳を塞いだ。

しかしその蓋をも通り抜け、呻き声はだんだんと大きくなっていく。耳の奥がビリビリする。あまりの音の大きさに目眩がする。


⏰:09/05/12 20:20 📱:F905i 🆔:wyCCmGSs


#24 [渚坂]

今すぐにでも逃げ出したいのに、足が鉛のように動かない。体温が下がっていくのが分かる。背中に嫌な汗が流れているのも分かる。でも足が動かない。


助けて。
たすけて。
誰か助けて。
だれか、誰か助けてよ。
ねぇ、たすけて。
いや、いや、いや、いや、いや、いや、いや、いや、いや、いや、いや、いや、いや、いや、いや、いや、いや、いや、いや、いや、いやぁぁああ!!!!

⏰:09/05/12 20:21 📱:F905i 🆔:wyCCmGSs


#25 [渚坂]

「た、たすけ――」

あぁ、もう声もでない。先ほどから響き渡る呻き声はだんだんと近づいてくる。



あ、私ここで死ぬんだ…。



頭の一部はどこか冷めていて、今私が置かれた状況を把握している自分がいる。そして、動かなかったと思っていた足はあっけなくバランスを崩し、私の膝は地面についた。


⏰:09/05/12 20:22 📱:F905i 🆔:wyCCmGSs


#26 [渚坂]


「由、逃げろ!!」

死を覚悟した瞬間、骨が折れるんじゃないかって思うほど強い力で腕を掴まれ、ぐいっと引っ張り上げられた。


「しゃがみ込んでる隙はないぜ!!ほら行くぞ!!」


⏰:09/05/25 20:05 📱:F905i 🆔:Kt2brzEY


#27 [渚坂]


そして、次の瞬間その声の主は私の腕を掴んだまま走り出した。風を切りながら、風を受けながら、風を感じながら、体育の成績が2だった私が「あれ?こんなに足速かったっけ」と疑問に思うぐらいのスピードで周りの風景が変わっていく。


それと比例するように先ほどまで続いていた呻き声が小さくなり、私自身も落ち着きを取り戻してきた。

⏰:09/05/25 20:06 📱:F905i 🆔:Kt2brzEY


#28 [我輩は匿名である]
わ〜(^∪^)
更新されてる★

頑張ってください!

⏰:09/05/25 20:54 📱:SO705i 🆔:hq2R5FC2


#29 [渚坂]
>>28
ありがとうございます!!

更新遅くてすみません…;;;
ちまちま更新になるかと思われますが、これからもよろしくお願いします(/_;)

⏰:09/05/26 19:24 📱:F905i 🆔:gJkM7LOU


#30 [渚坂]

「由、いったんあの木の後ろに隠れるぞ。それまで走れるな?」

声の主は私の腕を掴んでいない手で前方の木々を指差した。石やら木の根やらで足元は不安定だが、前方の木々まではなんとか走れそう。

「は、走れ、る……!!」

私の腕を引っ張る人物とは違って、必死で声を出したにも関わらず情けない声しか出なかった。仕方ない、私がこんなに走ってるなんて世にも奇妙な出来事なんだから。

⏰:09/05/30 16:36 📱:F905i 🆔:3t9p8Xfg


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