星とぽんず。
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#251 [我輩は匿名である]
 
 
この説明をマッキーから
聞いたときの

『えええー!』って
叫んだ自分のすがたを思い出した。



「ど?思い出した?」

『うんっ!!』


長江先生があまりにも
貧弱そうで、体育の先生のように見えなかった。

⏰:09/07/12 11:20 📱:N703iD 🆔:mRdUytN2


#252 [七瀬]
 
 
でも、とりあえず
体育ができるしー!

いっか。


2学期は体育ざんまい。

よろこびでいっぱい!



「口緩んでるけど」

『だって、うれしーもん』 

⏰:09/07/12 11:22 📱:N703iD 🆔:mRdUytN2


#253 [我輩は匿名である]
 
 
「ぽんずちゃんらしーね。でもよかったんじゃない?眠気、吹っ飛んだみたいだし」


『ははは!まーね!』


うん、とにかく歩志の
嫌味も気にならないくらいうれしかった。


だって、技術の
次に得意な科目だし!
――この2つしか得意分野ないんだけど―

⏰:09/07/14 22:28 📱:N703iD 🆔:E3cO4tsA


#254 [七瀬]
――――――――
―――――
―――


「おーい、みんな。
しゃべってないで早く席着けー」


このひとことで、

一斉にみんなを座らせる
マッキーの権力は
相変わらずだと思う。
 

⏰:09/07/14 22:33 📱:N703iD 🆔:E3cO4tsA


#255 [七瀬]
 
 
「さっき教頭先生から、お知らせがあったが、今日から復帰なさる長江先生だ」

みんながドアに注目する。


――ガララ―

ドアが開く音が聞こえた。

「あ‥どうも」


さっきの
弱々しい声と共に。

⏰:09/07/14 22:38 📱:N703iD 🆔:E3cO4tsA


#256 [我輩は匿名である]
 
 
「こちらに。どうぞ」

マッキーに促され、
たどたどしい足取りで
やってきた。


「長くお休みしてしまい、すみません‥。1ー2の副担の長江です」

至ってふっつーの
あいさつをした。
 

⏰:09/07/14 22:43 📱:N703iD 🆔:E3cO4tsA


#257 [七瀬]
 
 
「担当は女子の体育‥」


えーーっ!!

『女子の体育って、ふつうは女の教師がするもんなんじゃないの?』

心では、驚きつつも
ひそひそ声で歩志に問う。


「うーん‥ふつうはそうだね。ふつうは」

あれっ?あんま興味なし?

⏰:09/07/15 06:49 📱:N703iD 🆔:1V.eaxfY


#258 [七瀬]
 
 
『もー!
 ちゃんと聞いてる?』

少し声量を大きくしたけど歩志は目に涙を溜めて答えた。


「きーてるよー」

‥ほんとかよ。


「しょーがないじゃん。
先生足りないんだから」

それだけ言って、
前を向いてしまった。

⏰:09/07/15 06:53 📱:N703iD 🆔:1V.eaxfY


#259 [七瀬]
 
やだなー。

あんなおっさんが担当なんて‥。

ちゃんとした体育できんのかなー。


それにしても
アイツは、昨日なんじに寝たんだ、いったい‥。

あんなに欠伸をしまくってる歩志を初めて見たものの

"長江担当女子体育"が
頭に焼き付いて、
あまり気にならなかった。

⏰:09/07/15 06:59 📱:N703iD 🆔:1V.eaxfY


#260 [我輩は匿名である]
―――――――――
―――――
―――


チャイムが
HRの終わりを告げ、


『歩志ー。行こー』

「うん、待って」


教室からは、
みんな出ていった。
 

⏰:09/07/15 07:02 📱:N703iD 🆔:1V.eaxfY


#261 [我輩は匿名である]
 
今日は、部活がある日。


『ちょっと
 なにやってんの‥』

珍しく
歩志がもたもたしている。


「待って」

机やら、カバンやらを
あさっている。


『なに探してんの?』

歩志に近づく。

⏰:09/07/15 07:05 📱:N703iD 🆔:1V.eaxfY


#262 [七瀬]
 
 
「宿題がないんだよー。
 数Aの」

『ふーん』

歩志が宿題を忘れるなんてことも初めてだった。


『あたしも一緒に探すよ』

そうやって、歩志に
近づいたときだった。



「あゆ!」
 

⏰:09/07/15 19:36 📱:N703iD 🆔:1V.eaxfY


#263 [七瀬]
 
落ち着いた、
だけど、少し高い声。




「‥‥はづき‥」


‥だれ??


ドアのそばに、小さい
女の子が立っている。
 
 

⏰:09/07/15 19:41 📱:N703iD 🆔:1V.eaxfY


#264 [七瀬]
 
 
あ、

「あゆ、これ‥」


あの子、たしか‥

「なんで、はづきが持ってんの」

頭の血を一気に巡らせる。


「ごめんなさい。
昨日、間違えてわたしが、あゆのノート持って帰っちゃったみたい」
 

⏰:09/07/15 19:46 📱:N703iD 🆔:1V.eaxfY


#265 [七瀬]
 
あ、あ、

『あーー!』

あたしが声を上げると、
驚いたように二人が見る。



‥やっぱり。

ふわふわしたショート。
白い肌に映える黒い瞳。


さっきの、歩志にノートを渡したときの手を頬にかざすしぐさとか‥。

⏰:09/07/15 19:49 📱:N703iD 🆔:1V.eaxfY


#266 [七瀬]
 
 
「どうしたの、ぽんずちゃん」


フラッシュバック。

『あの‥あのときの‥‥』


その子は首をかしげた。


『ほら‥夏休みに大廊下でぶつかった‥』

その子はピンときたようにもともと大きい目を、これでもかってくらい広げた。

⏰:09/07/15 19:53 📱:N703iD 🆔:1V.eaxfY


#267 [七瀬]
 
 
「ああ、あの時は‥。
どうもすいませんでした。急いでたものですから‥」

そういって、
手を頬にかざすすがたは
"女の子"そのもの。


『いえいえ!
気にしないでください!
あれは、あたしも悪かったし‥』


「なに?
二人とも知り合い?」

⏰:09/07/15 19:58 📱:N703iD 🆔:1V.eaxfY


#268 [七瀬]
 
 
「知り合いというか‥」

"はづき"と呼ばれる女の子は

ちょっと困ったように、
照れたようにあたしを見上げる。


『あ、あたし柚子ってゆーの!松田柚子!!』

「柚子さんですね。
わたしは、飯田はづきです。よろしくお願いします」
 

⏰:09/07/15 20:02 📱:N703iD 🆔:1V.eaxfY


#269 [七瀬]
 
『はづきちゃん!
よろしくね!!』

手を出すと、


「は、はい‥」

雪のような
手を差し出した。



「‥あの、二人の世界に入らないでくれる?」
 

⏰:09/07/15 20:04 📱:N703iD 🆔:1V.eaxfY


#270 [七瀬]
 
 
‥忘れてた。


『ごっごめんごめん』

「もー」

その光景にはづきちゃんはクスクスと笑った。


「おもしろいですね、柚子さん」

「でしょー。飽きないよ。からかいがいありすぎて」

⏰:09/07/15 20:07 📱:N703iD 🆔:1V.eaxfY


#271 [七瀬]
 
 
『もう!歩志のバカっ!!』


はははは、と笑いが
静かな教室に響いた。



『‥ってか、はづきちゃん。敬語じゃなくっていーよ。タメなんだし。
呼び方も"柚子"でいいし』


「‥いや‥でも‥」

口ごもるはづきちゃん。
 

⏰:09/07/15 21:19 📱:N703iD 🆔:1V.eaxfY


#272 [七瀬]
 
 
「はづきは18だよ」

そんな、はづきちゃんのようすを見て、歩志が、口を挟んだ。


『へ?18‥歳?』

「そ。俺らより2こ上」


『う、うそーー』

じぃーっと、恥ずかしそうにしている、はづきちゃんを見た。

⏰:09/07/15 21:22 📱:N703iD 🆔:1V.eaxfY


#273 [七瀬]
 
 
「はい‥そうなんです。
あゆの言うとおりです‥」


別に、はづきちゃんが
子どもっぽいってわけじゃない。

むしろ、そう言われれば、18歳に見える。


ただ、あたしくらいしか
身長がないし、


『てっきり同い年かと‥』 

⏰:09/07/15 21:26 📱:N703iD 🆔:1V.eaxfY


#274 [七瀬]
 
 
「はづきは正真正銘の18歳だよ。ちなみに俺とはづきは幼なじみ」


‥へー、そうなんだぁ。



「あ、そうそう。言っとくけど、はづきは俺らと同じ1年生だから」


『えっ?なんで??』
 

⏰:09/07/15 21:30 📱:N703iD 🆔:1V.eaxfY


#275 [七瀬]
 
 
「2年間休学してました」


「はづきは、昔から体が弱かったからね」


たしかに、白い顔は
健康そうには見えなかった。


「でも、少し体調がよくなったから、
やっぱり、休みがちになっちゃうけど、学校来ようって思って‥」
 

⏰:09/07/15 21:34 📱:N703iD 🆔:1V.eaxfY


#276 [七瀬]
 
 
『そうなんですか‥』


その健気なすがたに
思わず、感動してしまった。

『あ‥なんかすいません。馴れ馴れしく呼び捨てにしてしまって‥』


「いーえー。いいんです」

はづきさんは
大きくかぶりを振った。
 

⏰:09/07/21 00:29 📱:N703iD 🆔:cWCs/.Bs


#277 [七瀬]
 
 
「正直うれしかったです」

『え?』


「ほら‥わたし、こうやって名前呼んでくれる友だちって、あまりいなかったから‥」

はづきさんは、
少し目線を下げた。


「うれしいです。
 "はづきちゃん"」

照れくさそうに、言った。

⏰:09/07/24 21:24 📱:N703iD 🆔:.eR6q1vI


#278 [七瀬]
 
 
『は、はづきちゃん!』

はづきさんは、少し驚いたように、こちらを見た。


『こんなことで、喜んでくれるなら、いっくらでも呼んじゃいます!
‥‥‥"はづきちゃん"』


すると、また照れたように下を向いた。
 

⏰:09/07/26 23:56 📱:N703iD 🆔:T6L90Ygw


#279 [七瀬]
 
 
「‥ありがとう」

小さく言った
はづきちゃん。

歩志を見ると、少し微笑んでたように見えたのは、
気のせいだろうか‥。


「じゃあ、出しに行こっかな。ノート」

「あ、うん。
あゆ、ごめんね」

「もういいって」

⏰:09/07/27 00:01 📱:N703iD 🆔:tagz6t3s


#280 [七瀬]
 
 
あたしは、まりの言うとおり、ほんとうに鈍かった。

鈍感だった。



林原についても、

今、目の前にいる
二人についても。


だから、はづきちゃんが
手をかざした頬を赤く染める理由を

あたしはまだ知らない。

⏰:09/07/27 00:08 📱:N703iD 🆔:tagz6t3s


#281 [七瀬]
 
 
「じゃあ、はづき。
俺ら、部活だから」

『ばいばーい、はづきちゃん』


先生んとこに、ノートを
提出しに終えた。


「はい。あゆ、柚子さん。さようなら‥」


『あ、待って。はづきちゃん』
 

⏰:09/07/27 00:14 📱:N703iD 🆔:tagz6t3s


#282 [七瀬]
 
 
いきなり、呼び止め
戸惑うはづきちゃんを
よそに、あたしは
こっそり耳打ちをした。


『あたしのことは、呼び捨てでいいですから』


「え、でも‥」

より困惑する、はづきちゃんに


『もし、いやでしたら、
"柚子ちゃん"で』

⏰:09/07/27 00:18 📱:N703iD 🆔:tagz6t3s


#283 [七瀬]
 
少しくすぐったいくらい
笑い掛けた。


「また二人で‥なに話してんの」

歩志が口を挟む。


『ひーみーつっ!!』

人差し指で唇を押さえる
しぐさをして見せた。


「ちょっとー。
最近、"秘密"多いよー?」

⏰:09/07/27 00:21 📱:N703iD 🆔:tagz6t3s


#284 [七瀬]
 
 
『いいの!歩志は!
これは女同士の"秘密"なんだから!』


ね?って、はづきちゃんに視線を送ると

クスクス笑った。


「ケチー」

まだ歩志は、なんか言ってたけど‥笑
 

⏰:09/07/27 00:24 📱:N703iD 🆔:tagz6t3s


#285 [七瀬]
 
 
「じゃあ、今度こそ。
ほんとに、ばいばいです。あゆ‥‥」

ちょっと間ができる。
でも、いやな気分はしない。



「‥‥柚子ちゃん!」

むしろ、気持ちいい。


夏には似つかわしくない
さわやかな風が、あたしたち三人を包んだ。

⏰:09/07/27 00:29 📱:N703iD 🆔:tagz6t3s


#286 [七瀬]
 
 
「なるほどー。そういうこと」

はづきちゃんと別れ、
廊下を歩いていると、


「やるじゃん。"柚子ちゃん"」

歩志が笑って、言った。


『‥まーね』

心なしか、照れてしまった。
 

⏰:09/07/27 13:22 📱:N703iD 🆔:tagz6t3s


#287 [我輩は匿名である]
 
 
「でも、ありがとな」


『ん?なにが?』

「いや‥ほら。さっき言ってたけど、あいつにはそんな友だちいなかったから」



あ、

「はづき、ほんとにうれしそうだった」


やっぱ、気のせいじゃない。

⏰:09/07/27 16:18 📱:N703iD 🆔:tagz6t3s


#288 [我輩は匿名である]
 
 
柔らかい笑顔。
やさしい瞳の色。
    メ



『よかった』


歩志が、そんな表情すると        カ オ
あたしも、頬が緩む。
 
 

⏰:09/07/27 16:21 📱:N703iD 🆔:tagz6t3s


#289 [我輩は匿名である]
―――――――――
―――――
―――


『‥二時間目‥プール?』


「うん」

あっさり頷きやがったな、コイツ‥。



新学期がはじまって、
早くも一週間が過ぎた。
 

⏰:09/07/27 16:25 📱:N703iD 🆔:tagz6t3s


#290 [七瀬]
 
 
『うそーー!そんなの、あたし聞いてない!!』


「昨日、マッキーが言ってたじゃん。出張でいない長江先生の代わりに」

『‥うそぉ』


「ぽんずちゃん、聞いてなかったんでしょー」

『‥‥うん‥』


完全に聞いてなかった。

⏰:09/07/27 16:29 📱:N703iD 🆔:tagz6t3s


#291 [七瀬]
 
寝てたし、爆睡だし。


『どぉしよ‥』

「始まって、早々忘れ物ってことで。さあ、移動移動」

むぅ〜、冷たいな〜。


っあ!

『はづきちゃんに借りてこよっと!』

もしかしたら、はづきちゃんも今日プールかも。

⏰:09/07/27 16:33 📱:N703iD 🆔:tagz6t3s


#292 [七瀬]
 
 
「え?今日、水泳あるかって?」

二階、下の5組の教室に来たのは今日で3回目。

以前の2回は、
委員会でだった。


「ありますよ」 

もしかしたら、もしかすると。

そう思って、少し遠いとこまで、来てみたけど、
その甲斐があったみたい。

⏰:09/07/27 16:39 📱:N703iD 🆔:tagz6t3s


#293 [七瀬]
 
 
『貸してください!』

手を合わせて、
お願いしてみる。


が、

「えっとぉ‥‥」


あまり、
反応がよろしくない。


顔を上げると、また頬に手を当てている。
 

⏰:09/07/27 16:42 📱:N703iD 🆔:tagz6t3s


#294 [七瀬]
 
 
「あのぉ‥」


『あ!まさか、はづきちゃんも忘れたの?』

それなら、
それで仲間意識。


「‥いえ。一応持ってきました」


ガクッ

一気にテンションDown。
 

⏰:09/07/27 17:37 📱:N703iD 🆔:tagz6t3s


#295 [七瀬]
 
 
「‥ごめんなさい」

そんな、あたしを見て
はづきちゃんは申し訳なさそうに、言った。


『ううん!元はと言えば、忘れたあたしが悪いんだし、気にしないで下さい!』


「いや‥貸してもいいんですけど‥‥わたし入れるかどうかわからないんで‥」 

⏰:09/07/27 17:40 📱:N703iD 🆔:tagz6t3s


#296 [七瀬]
 
『あ、もしかして、はづきちゃんも二時間目?体育』

「はい。そうですよ」


あちゃー、忘れてた。


この高校は前にも言ったとおり、女子が圧倒的に少ない。

だから、女子体育は違う組と共同で行う。

今日は、あたしのクラスの2組とはづきちゃんのクラス5組が共同の日だった。

⏰:09/07/27 17:44 📱:N703iD 🆔:tagz6t3s


#297 [七瀬]
 
「‥やっぱり、貸しましょうか?」

ムンクになったあたしを見て、はづきちゃんは気を遣ってくれたよう。

でも

『いいよ、いいよ!
おとなしく怒られます!笑‥ってか、長江でしょ!?怖くなさそうだし、よゆーよゆー!』

にかーって
ブイサインをすると、

「ふふっ、わかりました」

⏰:09/07/27 21:24 📱:N703iD 🆔:tagz6t3s


#298 [七瀬]
 
控えめに、
ブイって返してきた。



か、か‥


かーわーいー!


な‥なんて、女の子なのかしら‥‥。


女のあたしも、
クラッとしてしまった。
 

⏰:09/07/27 21:28 📱:N703iD 🆔:tagz6t3s


#299 [七瀬]
 
 
ってか、今ぜぇったい
フェロモン出てた!


ふわーって!
やつの周りにだけ、
バラが舞ってた!!

ふわーってふわーって!


一人で興奮していると、

キーンコーン
カーンコーン

二時間目開始のベルが鳴った。

⏰:09/07/27 21:31 📱:N703iD 🆔:tagz6t3s


#300 [七瀬]
 
 
やばー!
次、視聴覚室じゃんっ!

『ごめんっ!次、移動教室みたいだから、行くね!
ありがと、はづきちゃん!また後で!』

なんとも、あわただしい
あいさつをして、

1ー5の教室を出た。



――はぁ、はぁ‥―

全力疾走!全力疾走!
 

⏰:09/07/27 21:35 📱:N703iD 🆔:tagz6t3s


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