星とぽんず。
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#4 [七瀬]
『はあ‥』
みなさん、
お久しぶりです。
「やぁね〜、この子ったら」
どうも、松田柚子です。
「ため息ばっか。
せっかくの夏休みなのに」
華の女子高生、一年目。
初の夏休み。
:09/05/25 19:45
:N703iD
:vnUiPhyQ
#5 [七瀬]
あたしの心はこのギンギン光る太陽のように熱い‥
『はあ〜〜‥』
はずが‥
「言ったそばから、もう‥」
楽しくないっっ!
夏休みに入って、
もう二週間。
飽きた。
:09/05/25 19:46
:N703iD
:vnUiPhyQ
#6 [七瀬]
最初は‥最初はね!
楽しかった‥
これから、始まる楽しいはずの日々にわくわくしてたよ。
でも、今は‥
『はあ〜〜〜‥‥』
「‥もう知らない。
お姉ちゃん、向こう行ってアイスでも、食べましょ」
:09/05/25 19:47
:N703iD
:vnUiPhyQ
#7 [七瀬]
アイスいいな〜。
でも動きたくないな〜。
『お姉ちゃん』
「持ってこないからね」
あ‥バレた?
『おねぇ〜ちゃ〜ん』
「食べたかったら、リビングおいで。」
‥鬼。
:09/05/25 20:07
:N703iD
:vnUiPhyQ
#8 [七瀬]
もう、いいや。
今はクーラーの前から
離れたくない。
せっかくの夏休み。
なのに、あたしったら
それを持て余しちゃってる。
もったいない。
そう思いながらも
なにもしたくない。
:09/05/25 20:08
:N703iD
:vnUiPhyQ
#9 [七瀬]
夏休みに入ってから、すぐに中学の友達と会った。
ひさびさの、ガールズトークに日頃のうっぷん晴らしたよ。
‥でも、そのうっぷんは2倍にも、3倍にもなって帰って来た。
みんなには、当たり前だけど、新しい友達ができ、彼氏ができ‥
もちろんその“新しい友達”ってのは女の子で。
:09/05/25 20:10
:N703iD
:vnUiPhyQ
#10 [七瀬]
とりあえず、あたしとは大違い。
毎日毎日、汗臭い男どもにまみれてるあたしとは。
その当たり前が、うらやましくてうらやましくて。
ほぼ男子校に通うあたしには夢のまた夢‥
友達ほしいよー!
ともだち!!
かわいい女の子の友達がほしい‥
:09/05/25 20:11
:N703iD
:vnUiPhyQ
#11 [七瀬]
うっぷんを晴らすどころか現在の自分の状況を再確認させられたっつうか‥
こんなことを考えてて、
ため息をつかないわけがない。
つまんない。
それプラス、憂うつ。
またそれにプラスして
アイツがいない。
アイツってのは‥
:09/05/25 20:12
:N703iD
:vnUiPhyQ
#12 [七瀬]
「ゆず〜!」
下から、声が。
『なに、お姉ちゃん!』
もう!
動きたくないんだってば!!
顔だけ、
階段の方へ向けた。
「まりちゃん来てるよ〜!」
まり?
ダルい体を起こして下へ。
:09/05/25 20:14
:N703iD
:vnUiPhyQ
#13 [七瀬]
「ゆっず〜!」
ひらひらと手をふる、
まりのすがたが。
『今日は彼氏さんとデートなんじゃなかったっけ?』
まりは、あたしをそんな憂うつな気分にさせた一人。
「うん、それがぁ〜
ダーリンはクラブでいきなり無理になっちゃって。」
おいおい。
あたしは暇な時の遊び道具じゃないぞ。
:09/05/25 20:16
:N703iD
:vnUiPhyQ
#14 [七瀬]
そう思いながらも、
『ふ〜ん。
で、なにしに来たの?』
普通に答える優し〜いあたし‥暇人なあたし。
「あ、うん。
今日来たのはね、同窓会のお知らせ伝えようと思って」
『同窓会のお知らせ?』
「うん。同窓会」
:09/05/25 20:18
:N703iD
:vnUiPhyQ
#15 [七瀬]
同窓会って‥
『まだ卒業して、半年も経ってないじゃん!』
「まぁね〜」
なんて呑気な。
「ま、来る予定だったら、メールして。日時、場所も言うから」
『あたし、宿題山盛りあるし、行けるかわからな‥』
:09/05/25 20:19
:N703iD
:vnUiPhyQ
#16 [七瀬]
「だから、行くんだったらメールして!ばいばーい」
『‥い』
最後の“い”まで、聞かずまりは帰ってった。
同窓会‥ねぇ。
そりゃ、もちろん‥
行くっしょ!
宿題山盛りあるとか言いながら、
ほんとは行く気満々!!
:09/05/25 20:21
:N703iD
:vnUiPhyQ
#17 [七瀬]
毎日毎日、暇なあたしが、行かないはずはない。
今から楽しみだぁー!
わーいわーい!
あ、まりにメールしとこ。
でも、
あんなこと言ちゃったし、すぐにメールするってのもなぁ‥
あれこれ悩んでるうちに、あたしの長い夜は更けてゆく。
:09/05/25 20:22
:N703iD
:vnUiPhyQ
#18 [七瀬]
あれから、結局まりにメールして、今その同窓会場へと向かっている。
‥って、
ただのファミレスだけど。
「あ、いたいた!ゆずー!」
『みんな久しぶり〜』
あ〜なんか懐かしい!
半年も経ってないのに!!
自然と笑顔に。
:09/05/27 05:46
:N703iD
:3SqaaO0A
#19 [七瀬]
やっぱ、このメンバーっていいな。
安心する。
今の二組とは大違い。
3ー2最高!
「よ、松田。」
『林原〜』
こいつとも、なんだか久しぶりな感じがした。
『久しぶりじゃん〜』
夏休みに入ってから一度も会ってなかったし。
:09/05/27 05:48
:N703iD
:3SqaaO0A
#20 [七瀬]
「“久しぶり”って、お前ら高校同じだろ!」
男子が口を挟んだ。
「ま〜、俺は部活で忙しかったからな。」
「えー、
林原なに部なわけ?」
みんなが林原へ視線を移動させた。
「剣道。」
:09/05/27 05:49
:N703iD
:3SqaaO0A
#21 [七瀬]
「へえ〜、そうなんだ〜」
歓声が上がった。
4ヵ月ほど前までは、ふつうのちょっとおとなしかった女の子たちが、
今では、
えっ、誰?って感じ。
みんな、校則に縛られてたのが、一気に解放されて、弾けてしまったんだろう。
特にうちの中学は厳しかったし‥
よくあることだよね。
:09/05/28 19:01
:N703iD
:G2b4JUyo
#22 [七瀬]
そんな子たちを中心として、林原の周りを囲んでいた。
「ちょっとちょっと、柚子!いいの?」
『へ?なにが?』
まりの鋭い目にたじろぐ。
「“なにが”って‥もぉ〜」
まりのため息に
ますます疑問が。
:09/05/28 19:03
:N703iD
:G2b4JUyo
#23 [七瀬]
「林原!盗られちゃうよ!」
小声だけど、脅すようなその一言でやっと、その意味に気付いた。
『盗られるもなにも‥』
「林原ってさあ、
高校入って、途端に人気でたよねぇ‥」
『え、そう?』
あたしがよっぽどマヌケな顔をしたのか、まりのため息が大きくなる。
:09/05/29 20:14
:N703iD
:9TMx6ROY
#24 [七瀬]
「あんたって子は‥」
まり‥
お母さんみたい。
‥じゃなくて。
「なんだか、この4、5ヵ月で、だいぶ雰囲気変わったよね。」
『そうかなぁ‥』
もう一度、女の子に囲まれた林原を見る。
:09/05/29 20:16
:N703iD
:9TMx6ROY
#25 [七瀬]
“変わった”といわれても別に、林原は
髪の色が明るくなったとか
ズボンを思いっきり下げてはくようになったとか‥
まあ、いわゆる高校デビューという奴ではない。
周りにいるような、そんなチャラチャラした奴じゃない。林原は。
だから、なにが変わったのか、分からない。
:09/05/29 20:18
:N703iD
:9TMx6ROY
#26 [七瀬]
「もうっ!ほんとに分かんないの!?」
『そんなこと言われても‥』
まりに押されつつ、思考を巡らせる。
変わったとこ
変わったとこ‥
強いていうなら
『あ、背のびた?』
まりのため息は途絶えることはなかった。
:09/05/29 20:21
:N703iD
:9TMx6ROY
#27 [七瀬]
『そんな目で見られても〜‥』
困りますよ、高田まりさん。
「よく見てっ!バカ柚子!」
そうやって、グイッ!と、首の位置を移動された。
目は自然と林原へ。
あ‥
「どう!?わかった?」
:09/05/29 20:22
:N703iD
:9TMx6ROY
#28 [七瀬]
『うん‥』
まりのいう意味がやっと分かった。
確かに、林原は変わったかも。
少なくとも‥ううん。
こうして改めて見ると、かなり変わったかも。
「ね?私の言ったこと分かったでしょ?」
『……』
:09/05/29 20:23
:N703iD
:9TMx6ROY
#29 [七瀬]
そこには、女の子たちに囲まれ笑ってる林原の姿。
「林原って、誰が話し掛けても、あんましゃべんなかったじゃん。
それが、あんなにしゃべってる。笑ってる」
『うん‥』
まりの言ってることは、
今、あたしが感じたことだった。
「私もびっくりしたわよ。」
:09/05/29 20:25
:N703iD
:9TMx6ROY
#30 [七瀬]
まりの一言一言が重い。
「林原は、いつもボーっとしていて、イマイチよく分かんないヤツだった。
それに、壁みたいなん感じたしね」
中学時代を思い出す。
「それが今はどう?」
まりの指す先を見る。
:09/05/29 20:27
:N703iD
:9TMx6ROY
#31 [七瀬]
林原はやっぱり笑ってた。目を反らしたくなる。
少し胸が痛んだ。
でも、昔の面影は残ってるみたい。
その証拠に、相変わらず、ほわんとしてたし、
なにより、林原が話している最中にも時々、
あの茶色い犬のような瞳が、あたしの目と合った。
そのことが、
痛みを軽くした。
:09/05/29 20:29
:N703iD
:9TMx6ROY
#32 [七瀬]
「ゆっず〜、
ひさしぶりぃ〜!」
『わ、み、みさき〜』
三咲が抱きついてきた。
三咲はまりと同様、
特に仲良しだった友達。
「まりとなに話してたの?」
『ん〜、別にたいした話じゃないよ』
「えー、なになに?気になるじゃん。
あ、もしかして恋バナとか!?」
:09/05/29 20:30
:N703iD
:9TMx6ROY
#33 [七瀬]
『ゲホッゲホッ‥ゲホ…』
「ちょっと柚子〜、汚い〜」
『ごめ‥』
「ああ〜もう。なにやってんの。はい、おしぼり。」
『ありがと‥』
まりに手渡されたおしぼりで机と手を拭いた。
三咲が、そんなこと言うから吹いてしまったではないか。
:09/05/29 20:31
:N703iD
:9TMx6ROY
#34 [七瀬]
「も〜、柚子はほんとわかりやすい。図星?」
呆れ半ば、三咲が笑う。
「見事に的中だね、まったく…」
『そんな‥まりまで…』
ハハハと3人の間に笑いが起きた。
「で?」
三咲のにっこり笑顔があたしに向けられる。
:09/05/29 20:33
:N703iD
:9TMx6ROY
#35 [七瀬]
『え?』
「だーかーら!
詳しく話なさいっ!詳しく!!」
‥オーマイガーっ!
三咲の好奇に満ちた目は、恐ろしく輝いていた。
どうなるの‥あたし‥‥
:09/05/29 20:34
:N703iD
:9TMx6ROY
#36 [七瀬]
「ふ〜ん、そういうこと」
「そういうこと」
『ちょ、
ちょっと待って‥』
あれから、三咲の拷問に合ったのはいいものの、
ほとんどってゆーか全部まりが答えてた。
おかげで、かなりフィクション入ってましたけど?
フィクションというか、そこまでいくと嘘なんじゃ…
:09/05/29 20:36
:N703iD
:9TMx6ROY
#37 [七瀬]
「でも、ミサはもうとっくに、柚子と林原くんは付き合ってると思ってた〜」
あたしの言葉を遮った上に爆弾発言ですよ、三咲さん。
「だよねー、私も見ててじれったいじれったい」
こら、まり。
便乗すんな。
『違うってばっっ!』
:09/05/29 20:37
:N703iD
:9TMx6ROY
#38 [七瀬]
思わず、叫びに近い声を上げてしまった。
「おいおい、なにが違うんだよ。松田」
当然、みんながあたしに注目したと思ったら、
この男子の発言でドッと笑いが起きた。
チラッと林原を見ると、
「相変わらず、松田はおもしろい」
クスクス笑っていた。
:09/05/29 20:39
:N703iD
:9TMx6ROY
#39 [七瀬]
林原まで〜!
ガタッ
また座りなおした。
「ほんと柚子は最高」
『まりと三咲が、そんなこと言うから‥』
すると、
2人がまた笑いだす。
もう!知んない!
:09/05/29 20:40
:N703iD
:9TMx6ROY
#40 [七瀬]
「ごめんごめん。
怒んないで、ゆず」
そんな含み笑いで、
言われて、誰が怒りを鎮めるかっつーの!
フイとそっぽを向いた。
と、その時
ピリリリリ…
「あれ、
誰か携帯鳴ってない?」
:09/05/29 20:41
:N703iD
:9TMx6ROY
#41 [七瀬]
『あ、あたしだ』
ディスプレイを見ると、
着信“お母さん”
なんだ、こんな時に‥
『もしもし?』
「ちょっと、柚子!
いったいどこでなにしてるの?」
電話に出た瞬間、
お母さんの通りのよい声がキーンと響いて、
思わず携帯から耳を少し遠ざけた。
:09/05/29 20:43
:N703iD
:9TMx6ROY
#42 [七瀬]
『なにって、
今日は同窓か…』
「いいから、牛乳買って来て!今すぐね、今すぐ!」
プツッ
それだけ言うと、電話を切られた。
今のあたしの耳には、
さっきのお母さんの声と正反対なくらい静かな
ツーツーツーツーという音が寂しげに響いている。
:09/05/29 20:44
:N703iD
:9TMx6ROY
#43 [七瀬]
『‥‥‥』
「ゆず?ゆ〜ず〜?
ゆずってばぁー!」
三咲の呼び掛けに
ハッと我に戻る。
『もうっっ!
なんで、うちのお母さんは、あんなに自己チューなのっっっ!?』
「わ、ちょっとゆず〜。
耳元で叫ばないでよ〜」
あ、いけない‥
またやってしまった。
:09/05/29 20:46
:N703iD
:9TMx6ROY
#44 [七瀬]
どうやら、あたしの悪い癖みたいだ‥
興奮すると、叫んじゃう。
…嫌な癖だな。
『ごめん、三咲、みんな。あたし帰るわ』
「え、ゆず。もう帰るの?」
『うん。お母さんから電話あって‥牛乳買ってこいって。しかも早急に。』
「相変わらず、松田のお母さんは強烈だな〜」
:09/05/29 20:47
:N703iD
:9TMx6ROY
#45 [七瀬]
男子の言葉に思わず苦笑い。
まったくだよ、ほんと‥
『ま、そういうことで、あんま遅くなると、また電話かかってくるから。
じゃねー、ばい』
「お疲れ〜」
「ゆず、またね!」
「気を付けてなぁ」
みんなに手を振り出口へ。
:09/05/29 20:48
:N703iD
:9TMx6ROY
#46 [七瀬]
『ばいば〜い』
最後にもう一度、みんなに手を振った。
その時、
「送ってくよ、松田」
今さっきまで、囲まれてた林原が立ち上がった。
わいわいうるさくって、
営業妨害に近かったくらいなのに、
それが嘘のようにシーンってなった。
:09/05/29 20:49
:N703iD
:9TMx6ROY
#47 [七瀬]
なんか‥前にもこんなことがあったような…
『いや‥いいよ。
林原は、もっと楽しんで』
あたし‥ちょっとヤキモチ妬いてたのかも。
変な意地張ってるもん。
「送ってく」
そんな、あたしをいとも簡単に対処しちゃう林原は
昔のまんまなのか、変わったのか。
:09/05/29 20:50
:N703iD
:9TMx6ROY
#48 [七瀬]
そう言うと、
林原は出口まで来た。
「じゃなー、みんな」
そうやって、みんなに笑って手、振るとことかも。
「松田、行こ」
なぜか、緊張した。
違う人と、並んで歩いてるような気持ち。
:09/05/29 20:53
:N703iD
:9TMx6ROY
#49 [七瀬]
やっぱり‥
林原と歩いていて、
気付いてしまった。
‥やっぱり、あたし、
意地張ってる。
ヤキモチ妬いてる。
だって、なんかイライラするもん。
モヤモヤするもん。
:09/05/29 20:55
:N703iD
:9TMx6ROY
#50 [七瀬]
時々、乾いた風が吹いて、林原の匂いが、鼻をくすぐる。
一緒に並んで、
また身長差できたなって、実感する。
そして、茶色い瞳が、
あたしに向けられる。
あの、高い声があたしを呼ぶ‥
「松田」
:09/05/29 21:00
:N703iD
:9TMx6ROY
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