あの場所まで
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#136 [ミツバ]
前を駆け抜ける子供たちは目を輝かせ彼を見る。
夢も希望も疑う事のない瞳は真っ白な光を降り注ぐ。
照りつける太陽をも蹴散らす正義の味方に熱い視線を向けるのだ。
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:09/07/23 18:05 :D904i :Kyi.5K4c
#137 [ミツバ]
長蛇の列を作っていたらしい列はもう十数人しかいなかった。
佐伯はこの炎天下の中、劇が終わって疲れていながらも自ら進んで握手会に参加している。
一時間以上、あのコスチュームを着ている事になる。
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#138 [ミツバ]
勇太は人を上手く避けながら最後尾に付いた。
「ほら、ゆーた。もうすぐだからな」
「うんッ」
もう肉眼で捉えられる距離にまで達した事に興奮気味らしく勢い良く答えた。
「レッドレンジャーと握手したら迷子センター行くんだからな、わかったか?」
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:09/07/23 18:13 :D904i :Kyi.5K4c
#139 [ミツバ]
「おうッ」
ゆーたは目を輝かせ言った。
調子のいいヤツだなと勇太は思いながらも弟が出来たようで内心嬉しかった。
辺りでは女の子も男の子も親に手を引かれ、レッドレンジャーに会ったとはしゃいでいた。
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:09/07/23 18:17 :D904i :Kyi.5K4c
#140 [ミツバ]
列は何事もなくスムーズに流れあっという間に自分たちの番になった。
「おッお兄ちゃん、レッドレンジャーがいるよ」
さっきからいたというのに、えらく興奮しているゆーたはそう口にした。
そんなに会いたくて、母親からはぐれても一人でここを目指してたんだなと勇太は改めて思った。
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:09/07/23 18:23 :D904i :Kyi.5K4c
#141 [ミツバ]
「そういやお前、レッドレンジャーの劇見なかったのか?」
ふと疑問に思い訊ねた。
「…ママが時間間違えたんだ」
明らかにふてくされた声がしたので、おかしくなり勇太は笑った。
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#142 [ミツバ]
レッドレンジャーと握手出来る距離まで来て、勇太はゆっくりゆーたを肩から下ろした。
「おや?兄弟かな?仲がいいんだね」
そう言いながらレッドレンジャーは腰を曲げてゆーたに手を伸ばした。
ゆーたは差し出された手をしっかりと握り締める。
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:09/07/23 18:31 :D904i :Kyi.5K4c
#143 [ミツバ]
言うまでもなく目はキラキラと輝いていた。
勇太は笑いながら違いますよと否定した。
すると、はいっとレッドレンジャーは勇太に向き直り手を差し出した。
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:09/07/23 18:33 :D904i :Kyi.5K4c
#144 [ミツバ]
勇太はびっくりしながらも中が佐伯だという事がわかっていたから、素直に手を握った。
「頑張れよ」
表情は見えないが、佐伯のあの笑顔が勇太には見えた。
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:09/07/23 18:35 :D904i :Kyi.5K4c
#145 [ミツバ]
「ありがとうございます。レッドレンジャー」
懐かしい。
勇太は少年に戻ったような心地になった。
昔、自分もゆーたと同じ年頃の頃こうして正義の味方と握手した記憶が鮮明に脳裏に映った。
:09/07/23 18:39 :D904i :Kyi.5K4c
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