あの場所まで
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#56 [ミツバ]
「おじいちゃん、ごめんね。寂しかったよね、会いに行けなくてごめんね」

手のひらに温もりを感じる。

「私、自分の事ばっかりで全然おじいちゃん所に行けなかった。死んじゃってから何度も何度も後悔したの。遊びにおいでって毎年夏になる度言ってくれたの断った。会えなくなるなんて思ってもなかったんだよ…」

⏰:09/07/05 15:37 📱:D904i 🆔:zokoJNWk


#57 [ミツバ]
紗代里は泣きながら祖父に想いの全てを話した。

「いいんだよ」

祖父は変わらない表情で紗代里に告げた。

「おじいちゃんは紗代里が生まれてきてから、本当に楽しい事ばかりだった。お父さんとお母さんに感謝してるよ」

祖父は撫で続ける。

⏰:09/07/05 15:40 📱:D904i 🆔:zokoJNWk


#58 [ミツバ]
「…ほんと…に?」

なんとか声を振り絞って紗代里は祖父に訊ねた。

「本当だよ。さよちゃんも親になってこの嬉しさをお父さん達にあげるんだよ」

紗代里は泣きながら、何度も頷いた。

「あの優しそうな彼はきっとさよちゃんを幸せにしてくれるね」

⏰:09/07/05 15:48 📱:D904i 🆔:zokoJNWk


#59 [ミツバ]
祖父は優介が歩いて行った方を向いてそう言った。

また紗代里の方へ向き直り、祖父は告げた。

「幸せになりなさい」

最後まで祖父は孫を案じ、そして誰よりも可愛がった。

⏰:09/07/05 15:52 📱:D904i 🆔:zokoJNWk


#60 [ミツバ]
ボタボタと涙が溢れ止まらない。

「あり、が、とう…」

言葉にするのがやっとのことだった。

紗代里にはもう涙で祖父の顔は見えなくなっていた。

⏰:09/07/05 15:56 📱:D904i 🆔:zokoJNWk


#61 [ミツバ]
「さよちゃん、ありがとうね─」

あの独特のイントネェーションを耳に残し、温もりも消えた。

そして雨は止み、満開の紫陽花の葉は水滴を弾き大地へ返っていった。

⏰:09/07/05 16:00 📱:D904i 🆔:zokoJNWk


#62 [ミツバ]
─────完─────

⏰:09/07/05 16:01 📱:D904i 🆔:zokoJNWk


#63 [ミツバ]

"あの場所まで"

>>2-62

⏰:09/07/07 12:18 📱:D904i 🆔:jjdZsMgw


#64 [ミツバ]

"
星に願いを"

⏰:09/07/07 12:20 📱:D904i 🆔:jjdZsMgw


#65 [ミツバ]
The wish of me small is realized.

⏰:09/07/07 12:28 📱:D904i 🆔:jjdZsMgw


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