あの場所まで
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#108 [ミツバ]
ケントに肩を叩かれ、ドキッと先ほどよりも強く心臓が動いた。

─あれ…まただ。ケントの顔がまともに見れない

加奈子は顔を火照らせた。

「加奈子っ」

愛莉が何かいいたげな目で加奈子を見るので、今さっき話してた内容を思い出した。

⏰:09/07/09 23:34 📱:D904i 🆔:B0acIMRw


#109 [ミツバ]
─そうだ。ケントは愛莉の好きな人だから協力しなくちゃ

胸が締め付けられる。

「ケント、あのさっ」

言葉が詰まる。

ケントはどうしたと顔を斜めにして加奈子を真っ直ぐ見つめた。

⏰:09/07/09 23:36 📱:D904i 🆔:B0acIMRw


#110 [ミツバ]
─愛莉のためだ。なんで緊張なんかしてんだ、あたし…

一番固く結んだ唇を解いて言った。

「アドレス…愛莉に教えてっ」

「へっ?いいけど」

ケントはいきなりそんな言葉が来ると思わず上擦った返事になった。

⏰:09/07/09 23:43 📱:D904i 🆔:B0acIMRw


#111 [ミツバ]
胸はさらに締め付けられた。

教室に広がる雑音よりも自分の胸の音の方が気になった。

─愛莉のために言ったよ

心の中で呟き愛莉に向けて笑顔を作った。

⏰:09/07/09 23:47 📱:D904i 🆔:B0acIMRw


#112 [ミツバ]
「俺携帯取ってくるな」

そう言って、ケントは教室へ入っていった。

それを見送った愛莉はすかさず加奈子の頬をつねった。

「ちょっと、加奈子っあんた何とも思わないわけ?本当は自分の気持ちわかってるでしょ?」

⏰:09/07/09 23:49 📱:D904i 🆔:B0acIMRw


#113 [ミツバ]
愛莉は加奈子に向かって珍しく強く言った。

「はへ…らって、あいりケントろころふきなんでひょ」

加奈子は反論した。

「好きだなんて、言ってないわよ。私は加奈子のバレバレの態度見てイライラしてんだからっ正直になりなさいよ」

愛莉は珍しく熱く言った。

⏰:09/07/09 23:53 📱:D904i 🆔:B0acIMRw


#114 [ミツバ]
─正直に?

加奈子は手をぶらりと下げ愛莉につねられた頬の痛みと胸の痛みを比べた。

─どっちも痛いけど、胸の方が痛い。そういえば、ケントのことばかり目で追ってた…

「…あたし…」

愛莉は加奈子の顔色を見て悟り、ため息をついた。

⏰:09/07/09 23:59 📱:D904i 🆔:B0acIMRw


#115 [ミツバ]
「ケント君の事好きなのは私じゃなくて加奈子よ。言われなきゃ気づかないわけ?相変わらず鈍感ね」

呆れて愛莉は加奈子から顔を背けた。

「あ、あいりぃ」

加奈子は顔を歪めた。

「あたし…ケントが好きだわ」

⏰:09/07/10 00:02 📱:D904i 🆔:TpxPxFlc


#116 [ミツバ]
胸の苦しみも、熱く火照る顔や体もギュッとする痛みもみんなケントが好きだからと加奈子はやっと気付いた。

やれやれと言いながら愛莉は加奈子に微笑んだが2人は一瞬で固まった。
「あ…ケント…」
「あ…ケント…くん」

ドアの前で真っ赤な顔をしてケントが居場所がない事にしどろもどろしていた。

⏰:09/07/10 00:07 📱:D904i 🆔:TpxPxFlc


#117 [ミツバ]
「あのさっ…井上、アドレス交換してくんね?俺もお前のこと好きなんだ」

照れながらもケントは真剣な面持ちで加奈子に携帯を差し出しはっきり言った。

加奈子も負けず顔を赤らめ携帯をポケットから出した。

─────完──────

⏰:09/07/10 00:11 📱:D904i 🆔:TpxPxFlc


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