あの場所まで
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#140 [ミツバ]
列は何事もなくスムーズに流れあっという間に自分たちの番になった。

「おッお兄ちゃん、レッドレンジャーがいるよ」

さっきからいたというのに、えらく興奮しているゆーたはそう口にした。

そんなに会いたくて、母親からはぐれても一人でここを目指してたんだなと勇太は改めて思った。

⏰:09/07/23 18:23 📱:D904i 🆔:Kyi.5K4c


#141 [ミツバ]
「そういやお前、レッドレンジャーの劇見なかったのか?」

ふと疑問に思い訊ねた。

「…ママが時間間違えたんだ」

明らかにふてくされた声がしたので、おかしくなり勇太は笑った。

⏰:09/07/23 18:26 📱:D904i 🆔:Kyi.5K4c


#142 [ミツバ]
レッドレンジャーと握手出来る距離まで来て、勇太はゆっくりゆーたを肩から下ろした。

「おや?兄弟かな?仲がいいんだね」

そう言いながらレッドレンジャーは腰を曲げてゆーたに手を伸ばした。

ゆーたは差し出された手をしっかりと握り締める。

⏰:09/07/23 18:31 📱:D904i 🆔:Kyi.5K4c


#143 [ミツバ]
言うまでもなく目はキラキラと輝いていた。

勇太は笑いながら違いますよと否定した。

すると、はいっとレッドレンジャーは勇太に向き直り手を差し出した。

⏰:09/07/23 18:33 📱:D904i 🆔:Kyi.5K4c


#144 [ミツバ]
勇太はびっくりしながらも中が佐伯だという事がわかっていたから、素直に手を握った。

「頑張れよ」

表情は見えないが、佐伯のあの笑顔が勇太には見えた。

⏰:09/07/23 18:35 📱:D904i 🆔:Kyi.5K4c


#145 [ミツバ]
「ありがとうございます。レッドレンジャー」

懐かしい。

勇太は少年に戻ったような心地になった。

昔、自分もゆーたと同じ年頃の頃こうして正義の味方と握手した記憶が鮮明に脳裏に映った。

⏰:09/07/23 18:39 📱:D904i 🆔:Kyi.5K4c


#146 [ミツバ]
年を取って忘れていた。

夢見るということ。

正義の味方が自分に夢を与えてくれたように、自分も子供たちのために夢を与えるんだと、ずっと思っていた。

どんな役だって、今出来る精一杯をしなくては誰も心動かない。

⏰:09/07/23 18:43 📱:D904i 🆔:Kyi.5K4c


#147 [ミツバ]
「暗黒の魔導師とあの変な黒い敵、レッドレンジャーがやっつけてよね」

ゆーたはレッドレンジャーを見上げ両手の拳を握りしめ言った。

「おうッレッドレンジャーに任せろ」

そう言って得意の決めポーズをして見せた。

⏰:09/07/23 18:50 📱:D904i 🆔:Kyi.5K4c


#148 [ミツバ]
変なと言われた自分の役に苦笑いしたが、そう簡単にやられてたまるかと思った。

這いつくばって、正義の味方に食らいついてやる。

自分自身のために。

⏰:09/07/23 18:54 📱:D904i 🆔:Kyi.5K4c


#149 [ミツバ]
空は澄んで、青々としていた。

雲が流れ、ジージーとせわしなく鳴く蝉の声に混ざり、目を輝かせている少年の名前を呼ぶ声が遠くから聞こえた。

━━━━━END━━━━━

⏰:09/07/23 18:59 📱:D904i 🆔:Kyi.5K4c


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