あの場所まで
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#46 [ミツバ]
エスカーから降りると、霧がかってはいるものの傘を差す必要はなかった。

茂る新緑は仄かに香る磯の匂いと混ざり合い、不思議な心地を醸し出す。

こぼれ落ちた雫が頭に当たる。

⏰:09/07/05 14:28 📱:D904i 🆔:zokoJNWk


#47 [ミツバ]
「展望台に行っても、これじゃああんま見えねぇな」

「本当にね」

2人は当たりを見渡しながら言った。

社を過ぎ、友好のために作られたあまり似つかわしくはない色鮮やかな中国風の建物を過ぎて目的の展望台の前やってきた。

エレベーターを中心に螺旋階段が巻き付くように聳えていた。

⏰:09/07/05 14:37 📱:D904i 🆔:zokoJNWk


#48 [ミツバ]
「面白い形してるな」

優介は興味津々に展望台を見る。

「思ったより小さいんだね」

紗代里は改めて見る展望台の大きさに驚いた。

「小学生の時はもっと大きく見えたんだよ」

紗代里は優介に話した。

⏰:09/07/05 14:46 📱:D904i 🆔:zokoJNWk


#49 [ミツバ]
「紗代里も成長したってことだな」

笑って優介が言う。

「なに言ってんの、誰だって成長しますぅ」

膨れっ面になる紗代里を優介が笑いながらなだめた。

柔らかな風が吹く。

⏰:09/07/05 14:50 📱:D904i 🆔:zokoJNWk


#50 [ミツバ]
「俺喉渇いたし、なんか買ってくるから紗代里はそこ座って待ってて」

優介は展望台にあるベンチを指差して言った。

心配性な優介のさり気ない配慮だった。

「わかった、待ってるね」

紗代里は微笑んだ。

⏰:09/07/05 14:57 📱:D904i 🆔:zokoJNWk


#51 [ミツバ]
ベンチに腰を下ろす。

空を眺めると、いつ降ってきてもおかしくない厚い雲が広がっていた。

ふぅと一息つく。

⏰:09/07/05 15:01 📱:D904i 🆔:zokoJNWk


#52 [ミツバ]
訂正

>>50
『展望台前にある〜』

脱字申し訳ありません

⏰:09/07/05 15:07 📱:D904i 🆔:zokoJNWk


#53 [ミツバ]
「いや〜どんよりしとるのぉ」

ドキンっ。

心臓が跳ね上がった。

ぼんやりしていて、人の気配に気づかなかったのだ。

⏰:09/07/05 15:13 📱:D904i 🆔:zokoJNWk


#54 [ミツバ]
灰色のズボンに白いポロシャツ、白い帽子。

紗代里は目を見開いた。

「…おじい…ちゃん…」

隣に腰掛ける老人は紛れもなく、紗代里の祖父だった。

⏰:09/07/05 15:19 📱:D904i 🆔:zokoJNWk


#55 [ミツバ]
「さよちゃんが捜すから、来てしまったよ」

祖父はしわくちゃの顔に優しい瞳で紗代里の頭を撫でた。

紗代里は目の前にいる祖父が霞んでしまうほど、涙が溢れ出した。

嗚咽が零れる。

⏰:09/07/05 15:29 📱:D904i 🆔:zokoJNWk


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