あの場所まで
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#64 [ミツバ]

"
星に願いを"

⏰:09/07/07 12:20 📱:D904i 🆔:jjdZsMgw


#65 [ミツバ]
The wish of me small is realized.

⏰:09/07/07 12:28 📱:D904i 🆔:jjdZsMgw


#66 [ミツバ]
昨夜の雷雨が嘘のように今朝は良く晴れた。

加奈子は教科書をもう一度見直して、制服に着替えた。

─17歳の加奈子はこの中間テストに賭けていた。

⏰:09/07/07 12:34 📱:D904i 🆔:jjdZsMgw


#67 [ミツバ]
負けられない戦いがそこにはあるのだ。

加奈子は幼なじみとこの中間テストの総合点を争っている。

負けたら、言う事を聞く。

⏰:09/07/07 12:37 📱:D904i 🆔:jjdZsMgw


#68 [ミツバ]
大体同じ位の成績を取る幼なじみとはいい勝負である。

小さい頃から遊び感覚で色々な勝負をしていた。

今回もそんな遊び感覚で始めたつもりだが、負けたら何かすると課せられたのは初めてだった。

⏰:09/07/07 12:44 📱:D904i 🆔:jjdZsMgw


#69 [ミツバ]
そう言った時のあの自信ありげな表情は脳裏に焼き付いている。

嫌な予感がする。

本能で加奈子は悟った。

⏰:09/07/07 12:48 📱:D904i 🆔:jjdZsMgw


#70 [ミツバ]
だから負けられない。

─ぴんぽ〜ん

ドアホンが鳴って、母が何やらしゃべっている。

加奈子はクマを隠すため、薄く化粧をした。

⏰:09/07/07 12:50 📱:D904i 🆔:jjdZsMgw


#71 [ミツバ]
「あー、もうブサイクな顔がもっとブサイクになってるよぉ」

加奈子は鏡の前でわめいた。

薄い水色のワイシャツに白いベスト、紺色のチェック柄のスカートにリボンをするかネクタイをするか迷っていた。

「リボンの方がいいな」

加奈子の部屋のドアの方から声が聞こえた。

⏰:09/07/07 12:58 📱:D904i 🆔:jjdZsMgw


#72 [ミツバ]
「でもあたしリボン似合わないしさぁ」

振り返らずに加奈子は鏡に向かって言った。

首もとにリボンとネクタイを交互に当てる。

「リボンの方が女の子らしいよ♪」

にっこりと幼なじみはネクタイを加奈子から奪った。

⏰:09/07/07 13:09 📱:D904i 🆔:jjdZsMgw


#73 [ミツバ]
「ちょっと、愛莉ぃ」

「今日は可愛くして行こうよ」

薄い水色に白いベスト、紺色のチェック柄のスカートに同じ柄の紺色のリボンをした幼なじみの愛莉が加奈子のリボンをぷらぷらと取って見せた。

愛莉は胸まで伸びた髪をふんわりとしたゆる巻きにして、それが良く似合う可愛らしい女の子だった。

⏰:09/07/07 15:12 📱:D904i 🆔:jjdZsMgw


#74 [ミツバ]
訂正

>>73
『薄い水色のワイシャツに』

⏰:09/07/07 15:14 📱:D904i 🆔:jjdZsMgw


#75 [ミツバ]
加奈子はサラッとしたショートで爽やかな印象の女の子だった。

「今日は珍しくお化粧もしてるんだしさ」

「これはクマ隠しだよ」

「そんなにやったんだぁ。お疲れさま」

愛莉は笑って言ったが、朝は低血圧の加奈子は淡々と言った。

⏰:09/07/07 15:25 📱:D904i 🆔:jjdZsMgw


#76 [ミツバ]
「よし、加奈子待ってね」

そう言って愛莉は自分のカバンから化粧ポーチを取り出した。

「なにすんの?」

若干後退りしながら加奈子は訊ねた。

「愛莉がもっと可愛くしてあげる」

⏰:09/07/07 15:31 📱:D904i 🆔:jjdZsMgw


#77 [ミツバ]
ビューラーを丁寧に目蓋に当て、そおっと持ち上げた。

仕上げに真っ黒なマスカラを塗っていく。

加奈子はいつものようにリカちゃん人形になった。

⏰:09/07/07 15:33 📱:D904i 🆔:jjdZsMgw


#78 [ミツバ]
「これだけで全然違うね。まぁ元々加奈子は睫毛長いんだけど」

そう言って満足げに化粧ポーチに戻していった。

愛莉は美容系の進路を考えてるだけあって、綺麗にした。

そして2人で家を出て学校へと向かった。

⏰:09/07/07 15:38 📱:D904i 🆔:jjdZsMgw


#79 [ミツバ]
加奈子と愛莉が通う西高は徒歩で15分の所にあり、住宅街から少し外れた所に建っていた。

最寄りの駅からは徒歩10分で行けるため、地元以外からも人気の高い高校だった。

結果が楽しみだね、何してもらおうかなと楽しげに話している横を勢いよく何かが通り過ぎた。

⏰:09/07/07 15:52 📱:D904i 🆔:jjdZsMgw


#80 [ミツバ]
「あ…」

「ケントくんっ」

加奈子の声を打ち消すように愛莉が大きく手を振った。

キキー!!

ケントと呼ばれた夏はこれからだっていうのに、すでに日焼けし始めた黒い肌で自転車のブレーキを止めた。

⏰:09/07/07 15:57 📱:D904i 🆔:jjdZsMgw


#81 [ミツバ]
訂正

>>80
『ケントと呼ばれた男は夏はこれから〜』

脱字ばかりすみません
(;ω;)
誰か読んでるのかな

⏰:09/07/07 15:59 📱:D904i 🆔:jjdZsMgw


#82 [ミツバ]
「よお、お前ら勉強したか?ノート見せてくんない??」

ケントは小麦色に近い肌から白い歯をむき出してニカッと笑った。

「加奈子がすごい勉強したみたいだから見せてもらえば?」

「ちょっと、愛莉っ」

「まじかよ、じゃ井上ノート見して」

ケントが2人に近づいてくる。

⏰:09/07/07 16:15 📱:D904i 🆔:jjdZsMgw


#83 [ミツバ]
「俺赤点取っちゃうと部活出れなくなるからさぁ頼むよ」

両手を顔の前で合わせケントは頭を下げた。

「可哀想だよ、加奈子ぉ」

愛莉も加奈子の前でケントをかばった。

「わかったわよ、はい」

加奈子は観念してノートを渡した。

⏰:09/07/07 16:19 📱:D904i 🆔:jjdZsMgw


#84 [ミツバ]
「悪いな、助かるよ」

ケントは加奈子から丁寧にノートを受け取り、深々と頭を下げた。

「早く行って勉強したら?」

加奈子は呆れて言った。

「おう、サンキューな」

そう言ってケントは颯爽と自転車にまたがり、走っていった。

⏰:09/07/07 17:22 📱:D904i 🆔:jjdZsMgw


#85 [ミツバ]
─行っちゃった…。

加奈子はケントが小さくなるまで後ろ姿を見送った。

「ケントくんって格好いいよねぇ」

愛莉が甘い声で加奈子に話しかる。

加奈子は一緒肩を上げびくりとした。

「ん〜でもバカじゃん」

⏰:09/07/07 17:49 📱:D904i 🆔:jjdZsMgw


#86 [ミツバ]
訂正

>>85
『愛莉は甘い声で加奈子に話かける。』

(´;ω;`)

⏰:09/07/07 17:50 📱:D904i 🆔:jjdZsMgw


#87 [ミツバ]
一緒にびくついた心を抑えようと加奈子は冷静に言った。

汗が滲む。

夏が始まるからだろうか。

⏰:09/07/07 17:53 📱:D904i 🆔:jjdZsMgw


#88 [ミツバ]
太陽が照らすアスファルトから熱気を感じ体が火照るような感覚に加奈子は襲われた。

これからもっと気温が上がるのかと思うとうんざりする。

時折吹く風は、まだ冷ややかに感じる。

⏰:09/07/07 17:58 📱:D904i 🆔:jjdZsMgw


#89 [ミツバ]
訂正

>>85
>>87

『一瞬肩を〜』

『一瞬びくついた〜』

何度もすみません
m(_ _)m

⏰:09/07/07 18:02 📱:D904i 🆔:jjdZsMgw


#90 [ミツバ]
それがせめてもの救いだった。

駅から来る人が加わり、一気に人口密度が上がった。

いつの間にか学校は目の前に見えてきた。

⏰:09/07/07 18:08 📱:D904i 🆔:jjdZsMgw


#91 [ミツバ]
「じゃ、中間最後の二科目頑張ろうね。約束忘れるなよん」

愛莉は楽しげに、そして意味ありげな笑みをうっすら浮かべ隣の教室へと入っていった。

「うぅ、わかってるよ」

加奈子はすでに自信を無くしていた。

唸るように応え、手を振った。

⏰:09/07/07 18:12 📱:D904i 🆔:jjdZsMgw


#92 [ミツバ]
「あ…ケント」

教室に入ってすぐ目についた。

ケントがノートに穴が開くのではないかという位凝視していた。

ネクタイを外し、ワイシャツの第二ボタンまで開けていた。

⏰:09/07/07 18:17 📱:D904i 🆔:jjdZsMgw


#93 [ミツバ]
急いで自転車漕いで来たせいだろう、額から汗が顎へと伝わっていく。

ワイシャツの袖で拭う姿が妙に男らしく見えた。

必死に勉強しているケントに話しかけず、加奈子は一つ前の椅子に座った。

⏰:09/07/07 18:22 📱:D904i 🆔:jjdZsMgw


#94 [ミツバ]
教室にはもうほとんどのクラスメイトがいて、皆最後の悪あがきのように机にかじりついている。

「か〜なこっ」

後ろからクラスでも仲の良い由美がぽんっと軽く肩を叩いた。

「おはよっ」
「おはよう」

低血圧は収まり、いつも通りの笑顔に戻った。

⏰:09/07/07 18:28 📱:D904i 🆔:jjdZsMgw


#95 [ミツバ]
「ぼ〜っとしちゃってぇ何考えてたのよっ」

先程よりも強い力で由美は加奈子をバンバンと叩いた。

一瞬加奈子はケントのあの拭う姿が過ぎったが何も言わない。

変わりにじわりと熱くなった。

⏰:09/07/07 18:33 📱:D904i 🆔:jjdZsMgw


#96 [ミツバ]
訂正

>>95

『変わりにじわりと体が熱くなった。』

見てる人いないかもですが、訂正します。

⏰:09/07/07 18:34 📱:D904i 🆔:jjdZsMgw


#97 [ミツバ]
キーンコーンカーンコーン
昔ながらの予鈴が鳴った。

そして音と同時に担任が入ってきた。

「15分後には化学のテスト始めるからな。用意しとけよ、ってもうしてるか」

冗談混じりで言うが、生徒達には余裕がなかった。

⏰:09/07/07 18:40 📱:D904i 🆔:jjdZsMgw


#98 [ミツバ]
ツンツン
肩を小突かれた。

振り向くとケントがノートを渡してきた。

「本当に助かったわ、そのノートから更にヤマ張ったから大丈夫。ありがとな」

ケントは笑って言った。

⏰:09/07/07 18:46 📱:D904i 🆔:jjdZsMgw


#99 [ミツバ]
「寝てばっかいないで、ノート位取りなよね」

「はい、はい」

ケントはちゃんとわかったのか、わかってないのか曖昧に笑って答えた。

しょうがないなと思いながらもつられて笑ってしまった。

⏰:09/07/07 18:56 📱:D904i 🆔:jjdZsMgw


#100 [ミツバ]
───────────

テストが終わった。

赤点は免れたろうが、加奈子は良い出来ではなかった。

目にクマまで作ったのに紙が配られてからイマイチ集中できなかった。

⏰:09/07/07 20:21 📱:D904i 🆔:jjdZsMgw


#101 [ミツバ]
愛莉のあの笑みが脳裏を過ぎる。

いったい何を企んでいるのだろう。

加奈子は身震いした。

⏰:09/07/07 20:23 📱:D904i 🆔:jjdZsMgw


#102 [ミツバ]
───────────

土日を挟んで、3日後テストが全て返却された。

国語、数学、英語、日本史、化学この大きく五科目の総合で勝負だった。

「…いくわよ」

「…いつでもどうぞ」

心臓が高鳴る。

⏰:09/07/07 20:31 📱:D904i 🆔:jjdZsMgw


#103 [ミツバ]
2人はせーので中間総合成績表を互いの前に出した。

「387点!!」

加奈子は勢い良く言った。

「残念ね…加奈子」

愛莉は可愛い顔からニヤリとと不適切な笑みを浮かべた。

「…398よ」

加奈子の負けである。

⏰:09/07/07 20:34 📱:D904i 🆔:jjdZsMgw


#104 [ミツバ]
買い物に付き合わされるのか、果たして何をやらされるのか加奈子は身構えて愛莉の口から発せられる言葉を待った。

「私のお願い聞いてくれるわよね」

得意の笑顔で愛莉は続けた。

「ケント君にアドレス聞いてきて欲しいんだ」

加奈子は胸にどんっとくる衝撃とともにざわめいた。

⏰:09/07/09 16:36 📱:D904i 🆔:B0acIMRw


#105 [ミツバ]
「え…ケント?」

そう言うのがやっとだった。

他に言葉が見つからない。

「そうだよ」

─愛莉はケントのこと好きだったんだ…。

加奈子はそう瞬時に考えた。

⏰:09/07/09 16:39 📱:D904i 🆔:B0acIMRw


#106 [ミツバ]
─格好いいって言ってたもんなぁ。そっかぁ…

加奈子はぐるぐると頭の中で呟いた。

鼓動は次第に大きくなり、手に汗が滲み、体中が熱くなり、モヤモヤと言い表せぬ感情が浮かんできた。

「お願いね」

愛莉は嬉しそうに言った。

⏰:09/07/09 16:46 📱:D904i 🆔:B0acIMRw


#107 [ミツバ]
加奈子はわかったと応えた。

「井上ぇ〜」

加奈子の教室から声がして、2人は振り返った。

ケントが総合成績表をひらひらと持って機嫌のいい声で言った。

「お前のおかげで赤点免れたわ、まじでありがとな」

⏰:09/07/09 23:29 📱:D904i 🆔:B0acIMRw


#108 [ミツバ]
ケントに肩を叩かれ、ドキッと先ほどよりも強く心臓が動いた。

─あれ…まただ。ケントの顔がまともに見れない

加奈子は顔を火照らせた。

「加奈子っ」

愛莉が何かいいたげな目で加奈子を見るので、今さっき話してた内容を思い出した。

⏰:09/07/09 23:34 📱:D904i 🆔:B0acIMRw


#109 [ミツバ]
─そうだ。ケントは愛莉の好きな人だから協力しなくちゃ

胸が締め付けられる。

「ケント、あのさっ」

言葉が詰まる。

ケントはどうしたと顔を斜めにして加奈子を真っ直ぐ見つめた。

⏰:09/07/09 23:36 📱:D904i 🆔:B0acIMRw


#110 [ミツバ]
─愛莉のためだ。なんで緊張なんかしてんだ、あたし…

一番固く結んだ唇を解いて言った。

「アドレス…愛莉に教えてっ」

「へっ?いいけど」

ケントはいきなりそんな言葉が来ると思わず上擦った返事になった。

⏰:09/07/09 23:43 📱:D904i 🆔:B0acIMRw


#111 [ミツバ]
胸はさらに締め付けられた。

教室に広がる雑音よりも自分の胸の音の方が気になった。

─愛莉のために言ったよ

心の中で呟き愛莉に向けて笑顔を作った。

⏰:09/07/09 23:47 📱:D904i 🆔:B0acIMRw


#112 [ミツバ]
「俺携帯取ってくるな」

そう言って、ケントは教室へ入っていった。

それを見送った愛莉はすかさず加奈子の頬をつねった。

「ちょっと、加奈子っあんた何とも思わないわけ?本当は自分の気持ちわかってるでしょ?」

⏰:09/07/09 23:49 📱:D904i 🆔:B0acIMRw


#113 [ミツバ]
愛莉は加奈子に向かって珍しく強く言った。

「はへ…らって、あいりケントろころふきなんでひょ」

加奈子は反論した。

「好きだなんて、言ってないわよ。私は加奈子のバレバレの態度見てイライラしてんだからっ正直になりなさいよ」

愛莉は珍しく熱く言った。

⏰:09/07/09 23:53 📱:D904i 🆔:B0acIMRw


#114 [ミツバ]
─正直に?

加奈子は手をぶらりと下げ愛莉につねられた頬の痛みと胸の痛みを比べた。

─どっちも痛いけど、胸の方が痛い。そういえば、ケントのことばかり目で追ってた…

「…あたし…」

愛莉は加奈子の顔色を見て悟り、ため息をついた。

⏰:09/07/09 23:59 📱:D904i 🆔:B0acIMRw


#115 [ミツバ]
「ケント君の事好きなのは私じゃなくて加奈子よ。言われなきゃ気づかないわけ?相変わらず鈍感ね」

呆れて愛莉は加奈子から顔を背けた。

「あ、あいりぃ」

加奈子は顔を歪めた。

「あたし…ケントが好きだわ」

⏰:09/07/10 00:02 📱:D904i 🆔:TpxPxFlc


#116 [ミツバ]
胸の苦しみも、熱く火照る顔や体もギュッとする痛みもみんなケントが好きだからと加奈子はやっと気付いた。

やれやれと言いながら愛莉は加奈子に微笑んだが2人は一瞬で固まった。
「あ…ケント…」
「あ…ケント…くん」

ドアの前で真っ赤な顔をしてケントが居場所がない事にしどろもどろしていた。

⏰:09/07/10 00:07 📱:D904i 🆔:TpxPxFlc


#117 [ミツバ]
「あのさっ…井上、アドレス交換してくんね?俺もお前のこと好きなんだ」

照れながらもケントは真剣な面持ちで加奈子に携帯を差し出しはっきり言った。

加奈子も負けず顔を赤らめ携帯をポケットから出した。

─────完──────

⏰:09/07/10 00:11 📱:D904i 🆔:TpxPxFlc


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