死に至る病
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#244 [chimu◆Hi9o8eIXuA]
スイカだった。
後で食べようと、早紀さんが家から持ってきたものだった。
たくさんの水滴がついたそれを、早紀さんは静かに砂浜に置いた。
そして、僕とりこにタオルをつきだし、言った。
:09/08/19 00:22
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#245 [chimu◆Hi9o8eIXuA]
「ここはいさぎよくスイカ割り勝負で決着をつけましょう」
しばしの沈黙の後、りこは黙ってタオルを受け取った。
僕も続いて受け取る。
また面白いことをしだしたなと、へらへら笑う直央と湊とは違い、僕らは真剣だった。
:09/08/19 00:22
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#246 [chimu◆Hi9o8eIXuA]
小さい頃からこうだった。
親が止めにくるまで、僕らはとことん喧嘩して、きっちり勝ち負けを決めた。
どんなに下らないことでも。
今だって同じ、譲らない。
早紀さんは拾ってきた流木片手に、ルール説明を始めた。
:09/08/19 00:23
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#247 [chimu◆Hi9o8eIXuA]
「二人とも同じ位置からスタートします。ヒントの掛け声は、二人で一人、平等にします。他人を巻き込む、噛みつく以外はどんな卑怯な手段を使ってもいいです。もちろん面白いからです」
「腹黒いね…」
湊がつぶやいた。
ばっちり聞こえてるぞ。
:09/08/19 00:24
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#248 [chimu◆Hi9o8eIXuA]
「掛け声は……、そうですね、直央さんにします。あくまでも遠回しに、曖昧に指示してください。それでは、タオルで目隠ししてください。始めます」
きつく目隠しを締めた。
早紀さんが不正がないか確かめにきた。
スイカ割りのための流木を握らせる。
:09/08/19 00:24
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#249 [chimu◆Hi9o8eIXuA]
この間にスイカを移動させているらしい、砂浜を踏みしめる足音が前から聞こえてきた。
いいでしょう、早紀さんはそう言うと後ろに移動して、すう、と息を吸った。
いよいよ始まる。
「勝負、始め」
僕は勢いよく走りだした。
:09/08/19 00:25
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#250 [chimu◆Hi9o8eIXuA]
……と思ったが、…両足に違和感がした。
体が浮く感覚が一瞬して、足を引っかけられたと理解したときには遅すぎた。
肩から思いきり、やわらかい砂浜に倒れ込んでしまった。
:09/08/19 00:26
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#251 [chimu◆Hi9o8eIXuA]
直央の悲鳴が聞こえた。
口に砂が入り、ジャリジャリと嫌な音を立てた。
畜生、やられた。
受け身なしはかなりこたえた。
なにくそと、起き上がって流木を構え直す僕に、誰かが近づいてきた。
:09/08/19 00:27
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#252 [chimu◆Hi9o8eIXuA]
りこかもしれない。
後退る僕、相手は言った。
「渉くん。りこは右上にいるよ。スイカはりこの近くだ」
湊の声だった。
どうやら掛け声役は湊に決まっていたらしい。
:09/08/19 00:27
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#253 [chimu◆Hi9o8eIXuA]
礼を言い、僕は湊の指示に従って流木で前方を探りながらゆっくりと進んだ。
流木がなにかを捕えた。
もう一回、今度は強く流木を振ってみると、また当たった。
:09/08/19 00:28
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