死に至る病
最新 最初 全 
#330 [chimu◆Hi9o8eIXuA]
それだけじゃないもっとあるけど、――うん、もう止めよう。
悲しくなってきた。
はい出来上がり、と湊が僕の両肩をぽんぽんと叩いた。
本当に申し訳ない。
:09/08/21 16:17
:N03A
:yUstpkE6
#331 [chimu◆Hi9o8eIXuA]
今か今かと待ち構えていたりこが勢いよく襖を開き、ちょっと恥ずかしい甚平姿のお披露目だった。
恥ずかしがる僕を、お約束でりこが茶化した。
直央は――眩しそうに、熱っぽいとろんとした目で僕を見上げていた。
:09/08/21 16:22
:N03A
:yUstpkE6
#332 [chimu◆Hi9o8eIXuA]
もしかしたら、電灯を見ているのかもしれない。
――恍惚としたような、憔悴しきったような、諦めたような、そんな様々な感情を孕んだ万華鏡の瞳。
僕を見ているようで、見ていない、と思った。
:09/08/21 16:25
:N03A
:yUstpkE6
#333 [chimu◆Hi9o8eIXuA]
ふ、と直央が微笑んだ。
渉ちゃんは嘘つきだね。
それと、意地っ張り。
せっかく心変わりしたわたしの気持ちを、素直に受け止めればよかったのに、だから後悔しちゃうんだよ。
そう言っている、気がした。
:09/08/22 11:52
:N03A
:SNme/9P6
#334 [chimu◆Hi9o8eIXuA]
遠くから祭りの始まりを告げる太鼓の音が聞こえてきた。
僕達は太鼓の音に誘われて、我先にと急ぎ足で庭に出た。
祭りのある方角の空が、ほんのり明るい。
僕達は下駄を鳴らしながら、祭りまでの道のりを歩いた。
:09/08/22 13:34
:N03A
:SNme/9P6
#335 [chimu◆Hi9o8eIXuA]
祭りには大勢の人がいた。
たくさんの出店、そのどれも人が囲んでいる。
直央がにこにこしながら、りんご飴を片手に僕の腕に組みついてきた。
異様に艶のある、水分を含んだ唇に、僕はどきっとした。
:09/08/22 13:35
:N03A
:SNme/9P6
#336 [chimu◆Hi9o8eIXuA]
直央は上目遣いでじーっと僕を見つめたあと、にこっと子供みたいに無邪気な笑みを浮かべた。
「人酔いしたぁ?」
なんで、と返すと、
「ぼーっとしてたから」
と直央は苦笑いした。
:09/08/22 13:37
:N03A
:SNme/9P6
#337 [chimu◆Hi9o8eIXuA]
僕は悩みや動揺が面に出やすい人間(初対面の人に嘘を見破られるくらい)だから、はたからみたら上の空だったんだろう。
前を歩くりこが、もう少しで花火があがるから土手に行こう、と言った。
直央は元気よく返事をする。
:09/08/22 13:37
:N03A
:SNme/9P6
#338 [chimu◆Hi9o8eIXuA]
「ごめんね、渉ちゃん」
うつむいて、直央が謝った。
なんで謝るんだよ、と僕の言葉はあまりにもか細くて、賑やかな話し声の中に混じって消えた。
直央の小さな手のひらが、ぎゅっ、と僕の腕をつかんだ。
:09/08/22 13:38
:N03A
:SNme/9P6
#339 [chimu◆Hi9o8eIXuA]
「乱暴してごめんなさい……。唇とか噛みついたから痛かったよねっ…。本当に、ごめんなさい」
「いいよ。反省の心さえあれば許してやる。その経験を糧にして今後の人生に役立てたまえ。……なんてな」
「ぷっ」
僕達は笑いこけた。
心の奥につっかえたものを洗い流すように、ずっと笑っていた。
:09/08/22 13:42
:N03A
:SNme/9P6
★コメント★
←次 | 前→
トピック
C-BoX E194.194