死に至る病
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#35 [chimu◆Hi9o8eIXuA]
「別に変なことじゃねーよっ」
「あり? 私一言だってそんなこと訊いてないよぅ。
……もしかして考えてたぁ? 話し相手がいなくて退屈しのぎに変なこと想像しちゃってたのぉ?」
直央はテーブルの下で足を伸ばして、僕の股辺りを探ってきた。
思わず叫びそうになる。
:09/07/26 16:06
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#36 [chimu◆Hi9o8eIXuA]
「ばっ……馬鹿! 止めろって変態女! なにを確認しようとしてんだよ破廉恥、スケベ、場をわきまえろ!」
直央はおっとりしているが、たまに僕をいじり返す時がある。
いつも僕にいじられている直央なりの逆襲で、僕が隙をみせて揚げ足をとれる瞬間を、じっと待っている。
その時がきたら、白旗をあげるまで徹底的になじり倒す。
:09/07/26 16:19
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#37 [chimu◆Hi9o8eIXuA]
態度がでかくて、鼻で笑い、見下すような目はまるで別人だった。
…たぶん、直央をいじってる時の僕はこんな感じなんだろう。
直央の細い足首を捕まえようとしても、引っ込めたり避けたりしてなかなか捕まらない。
それをいいことに、直央は減らず口をますますヒートアップさせていく。
:09/07/26 16:23
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#38 [chimu◆Hi9o8eIXuA]
「その言葉、そっくりそのままお返ししますぅ。いやですわー、公共の場で汚らわしいですわねぇまったくぅ。私身の危険を感じるよぉ」
「しーっ、声がでかい! とにかく俺は無実だ、誤解だ、濡れ衣だっ。ああもう、だから、股つつくの、止めてぇぇ!」
「わーい、いつも私をいじめてる渉ちゃんが困ってるぅー」
:09/07/26 17:45
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#39 [chimu◆Hi9o8eIXuA]
直央はからからと笑った。
僕はいもむしみたいにソファーで悶えながら、情けないほど取り乱していた。
店員と客の僕を汚らわしいやつだと言わんばかりの視線(たぶん)を感じる。
…もう泣きたい。
:09/07/26 17:46
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#40 [chimu◆Hi9o8eIXuA]
どちらかの携帯が鳴った。
マナーモードにしろよな非常識だぞ、と思っていたら僕のだった。
携帯を開いてみると、驚くことに母さんからのメールを受信していた。
機械オンチの母さんからのメールなんて、年にあるかないかのレア物だ。
メールを確認する。
:09/07/26 17:48
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#41 [chimu◆Hi9o8eIXuA]
「誰からメールきたのぅ?」
せっかくめぐってきた僕をいじるチャンスの腰を折られて悔しいのか、直央はバツが悪そうに唇をとがらせて言った。
僕は携帯をたたみ、ポケットにしまいなおした。
「母さんからだったよ。今夜仕事があって、明日帰りが遅くなるらしい。明日の弁当はスーパーで買って食べろってさ」
返事を待たず、僕は続けて言った。
「ごめん、ちょっとトイレ行って来る」
:09/07/26 17:50
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#42 [chimu◆Hi9o8eIXuA]
我が家は共働きということもあり、こんなのは慣れっこだった。
食事代を多めに貰って安い買い物をし、食事代をちょろまかすこともできる。
僕としては嬉しいくらいだ。
…だけど、直央は気にする。
僕が菓子パンやら食べてると、頼んでもないのに弁当を半分以上分けてくれる。
優しいやつだから、負い目を感じてるのだろう。
:09/07/26 17:52
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#43 [chimu◆Hi9o8eIXuA]
だから、僕がトイレから帰ってきて直央の複雑そうな顔をみたとき、やっぱりな、と思った。
直央は感情が露骨だ。
顔色を見れば、大まかになら大抵なにを考えているかわかる。
嘘をついても顔や態度にでてしまう典型的な隠し事ができないタイプだった。
ポーカーフェイスなんて、直央には一生できないと思う。
:09/07/26 18:01
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:fN2V2MIo
#44 [chimu◆Hi9o8eIXuA]
直央には笑っていてほしい。
幸せでいてほしい。
彼女の天性の明るさはまさに太陽そのものだった。
…あまりに明るいから、ふとその明るさに陰がさした時、僕の目の前は真っ暗になってしまう。
目に見える陰なら、いくらでも追い散らしてやることができる。
:09/07/30 13:26
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