死に至る病
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#172 [chimu◆Hi9o8eIXuA]
4 ミステリー同好会
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僕達がりこの家についた時には、既に早紀さんはついていた。

りこに案内され、廊下を僕と直央はぴったりならんで歩いた。

りこの部屋は窓がたくさんあって日当たりがよく、ワックスのきいたフローリングがきらきら輝いていた。

窓辺には観葉植物があり、りこはそれに名前をつけて可愛がっている。

さっき水をあげたのか、葉が水滴をつけて揺れていた。

⏰:09/08/13 20:50 📱:N03A 🆔:RJ.dOnTs


#173 [chimu◆Hi9o8eIXuA]
部屋中にあふれるりこの匂いと主人に似た明るさが、ここはやっぱりりこの部屋なんだと実感させた。

ここはりこの空間なのだ。

直央は初めての訪問なので、きょろきょろ辺りを見回したりと落ち着きがなかった。


りこは察しのいいやつだから、直央に紅茶を一緒に作ろうと誘った。

⏰:09/08/13 22:18 📱:N03A 🆔:RJ.dOnTs


#174 [chimu◆Hi9o8eIXuA]
二人が部屋から出る。

とたんに静まる部屋。

早紀さんと二人きりになったので、気まずかった。

しかし彼女は今までどおり、さらっとした表情で小説を黙々と読んでいた。

⏰:09/08/13 22:22 📱:N03A 🆔:RJ.dOnTs


#175 [chimu◆Hi9o8eIXuA]
あまりに静かなので、僕がちょっと動いただけで、早紀さんはじろりと僕を睨んだ。

図書館にいる気分だった。


「一緒にきた人と、お付き合いされてるんですか」

不意に、彼女が喋った。

発言がいきなりだし予想外だったのでうまく聞き取れず、僕はもう一度お願いと言った。

⏰:09/08/13 22:24 📱:N03A 🆔:RJ.dOnTs


#176 [chimu◆Hi9o8eIXuA]
彼女は小説にしおりを挟んで、ぱたんと閉じた。

「一緒にきた人と、お付き合いされてるんですか」


ややあって、僕は答えた。

「直央のことだよね? …してないよ。お互いフリーだから、寂しくて身を寄せあってんの」

僕は肩をすくめてみせた。

⏰:09/08/13 22:25 📱:N03A 🆔:RJ.dOnTs


#177 [chimu◆Hi9o8eIXuA]
「意外です。とても仲がよさそうに見えたので、てっきりそうかと勘違いしてました」

「よく言われる」

「でも、本当に恋人にしか見えません。そうでなかったら手を繋いだり寄りかったりしませんよ」

「直央にとって、それがスキンシップだからね」


「…それを口実に、イチャつきたいだけじゃないですか」

⏰:09/08/13 22:25 📱:N03A 🆔:RJ.dOnTs


#178 [chimu◆Hi9o8eIXuA]
口実。


痛いとこつくな、この子。

僕はちょっと笑って、その反面胸がちくちく痛むのを感じていた。

でもそれは僕だけじゃないはずだ。

直央もきっと同じだろう。

⏰:09/08/13 22:28 📱:N03A 🆔:RJ.dOnTs


#179 [chimu◆Hi9o8eIXuA]
お互い必要だから、一緒にいる。

お互いが信じてる。

明日を一緒に迎えて、喜びを分かちあって、悲しみに涙を流しあう。

抱きしめたければ優しく抱きしめればいい。

キスしたければ何回でもすればいい。

⏰:09/08/13 22:31 📱:N03A 🆔:RJ.dOnTs


#180 [chimu◆Hi9o8eIXuA]
きれいごとかもしれないけど、あたりまえだからしかたない。

これはあたりまえだった。

だけど他人はこのあたりまえをあたりまえと認めず、嫌う。

友達と恋人の境目にはなにもないと決めつけ、きっちりしたカテゴリーにおさめたがる。

真実にしたがる。

僕らにしてみれば、それは無粋でしかないことだった。

⏰:09/08/13 22:32 📱:N03A 🆔:RJ.dOnTs


#181 [chimu◆Hi9o8eIXuA]
日差しで暖められたぬるい空気が、僕の眠気を誘う。

「あの人がすごくいい人だというのは、分かります」

早紀さんは今まで下げていた頭をす上げて、くっきりした声で言った。

彼女の声は透明で、頭の中にすっと入ってくる。

なんとなく、この子は嘘をつかないしつけないだろうなと思った。

⏰:09/08/13 22:33 📱:N03A 🆔:RJ.dOnTs


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