死に至る病
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#196 [chimu◆Hi9o8eIXuA]
「渉とぷにたん、どっちがいいのかなぁー? んー?」
迷うことなく、直央はぷにたんぬいぐるみへと飛びついた。
枕を失った僕の頭が、重力にしたがってごつんとフローリングに叩きつけられる。
無情の痛さだった。
:09/08/14 18:59
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#197 [chimu◆Hi9o8eIXuA]
残念なことに彼女の中では、ぷにたん>桐沢渉らしい。
ぷにたんぬいぐるみに頬擦りする直央を見ながら、僕はぷにたん以下なのかと悲しくなった。
ぬいぐるみが人間より優先順位が高いなんて、あってはならないことだと思う。
なんたって悲しいじゃないか。
再び全員がテーブルを囲んだとき、僕と直央の間にぷにたんぬいぐるみがどっかり座っていた。
気に入らない。
:09/08/14 19:00
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#198 [chimu◆Hi9o8eIXuA]
りこは背筋を伸ばし、ひとつ咳払いをすると明らかに笑いをねらって真面目くさった声で言った。
「えー、オホン。それでは本題に入りたいと思います。こちらの方が我がミステリー同好会の副会長、森早紀さんであります」
早紀さんは小さく頭を下げた。
「改めまして、初めましてこんにちは。森早紀です。りこさんのごっこに付き合わされているかわいそうな一年生です」
ありゃ、とりこは照れくさそうに顔を小説で隠した。
:09/08/14 19:25
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#199 [chimu◆Hi9o8eIXuA]
明るい僕達の笑い声が重なる。
直央が右手を高く挙げて、りこに質問があることを示した。
りこがはい狩山さん、と先生みたく指名した。
「会員は何人ですか?」
「現在は三人です。あたし、早紀ちゃん、湊の三人。湊は幽霊会員だから、うーん、ビミョーなとこですけどー。ちなみにまだまだ会員募集中だからさ、この際人助けだと思って入ってみない?」
:09/08/14 19:26
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#200 [chimu◆Hi9o8eIXuA]
「幽霊会員ならなってもいいけど」
僕は言った。
「そんなつれないこと言わないでよ渉クーン。三年になって部活も引退してさ、これから暇がたっぷりあるんだからさぁー。直央ちゃんと一緒にミス会入っておくれよぉぉ。お願いしますぅぅ」
「しつこいぞ、りこ」
:09/08/14 19:27
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#201 [chimu◆Hi9o8eIXuA]
「そんなぁぁ、渉クンには血も涙もない鬼畜だぁぁ。何だよ何だよ、直央ちゃんのお願いならホイホイきくくせにさ。お願いだよ、毎月ぷにたんグッズあげるから」
なんたるごり押し。
今なら洗剤二つつけます、みたいな新聞勧誘のごとくしつこい入会勧誘だった。
:09/08/14 19:28
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#202 [chimu◆Hi9o8eIXuA]
おねだりポーズでせめ寄るりこの額をぐいぐい押し返す僕に、早紀さんが静かに言った。
「…りこさんが必死なのには、ちゃんとわけがあるんです」
無表情のまま早紀さんは続けた。
:09/08/14 19:30
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#203 [chimu◆Hi9o8eIXuA]
「とにかく人数が必要なんです。夏の生徒総会予算案までに、部活として認められる最低限の部員を集めれば、正式な部活として認められるまたとないチャンスです」
「正式になると、ミステリーの宣伝以外のお得があるの?」
直央は訊いた。
早紀さんが頷く。
:09/08/14 19:31
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#204 [chimu◆Hi9o8eIXuA]
「はい。正式な部活に認められると、原則的に部活運営費が支給されます。費用は生徒総会予算案で決定されるので、これが最低のデッドラインになります。
この日までに部活をかき集めて、さらに顧問も依頼しなくてはいけません。すごく大変ですよ」
りこはそうだそうだとテーブルを叩き盛り上がっていた。
僕も質問する。
:09/08/14 20:58
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#205 [chimu◆Hi9o8eIXuA]
「でも、正式に認められるとか顧問とかは別として、部活運営費はなにに使うんだよ。…りこ、おまえまさか、ぼったくるわけじゃないだろうなぁ?」
「し、失礼だね。あたしはそこまで落ちぶれてないよ。図書室にミステリー小説を増刊するのに使うのー」
案外まともな答えに、僕はむっと口をつぐんだ。
入会を断る理由はなかった。
:09/08/14 23:38
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