死に至る病
最新 最初 🆕
#237 [chimu◆Hi9o8eIXuA]
浅瀬ではしゃぐ直央達を眺めながら、僕は汗だくになって必死に浮き輪を膨らましていた。

雑用仲間の湊は顔を真っ赤にしながら、直央の巨大なイルカさんを相手に格闘していた。


僕達は同時にため息をついた。

⏰:09/08/19 00:16 📱:N03A 🆔:e0q3.Vcg


#238 [chimu◆Hi9o8eIXuA]
僕達だって泳ぎたいよね。

まったくだよ、というかなんでポンプで空気入れてこないんだ、俺らに対する嫌がらせかこれは。

目で語る、男の苦労。


水をかけあう女性陣を幻のように眺めながら、僕達はひたすら膨らました。

⏰:09/08/19 00:17 📱:N03A 🆔:e0q3.Vcg


#239 [chimu◆Hi9o8eIXuA]
しばらくして、りこ達が海水浴を止めて僕達の様子を身に来た。

全員ビキニ姿だから、目のやり場に困る。


りこは濡れた髪をかきあげて、僕の膨らました浮き輪をひょいと手にとった。

しかし、すぐに放り投げた。

⏰:09/08/19 00:18 📱:N03A 🆔:e0q3.Vcg


#240 [chimu◆Hi9o8eIXuA]
「まだぶよぶよしてる。もちっと最後まで空気入れなよねー」


なんて他人事な発言なんだ。

精一杯頑張ったんだぞ。

こんにゃろー高飛車ムスメが、一泡吹かせてやるからな。

⏰:09/08/19 00:18 📱:N03A 🆔:e0q3.Vcg


#241 [chimu◆Hi9o8eIXuA]
堪忍袋の破れる音がした。

暑さのせいもあるかもしれない。


僕は立ち上がり、ずいっとりこに詰め寄った。

「人様に仕事押しつけておいて、そんな言い方ねーだろ! ありがとネッ助かったヨン、くらいは言えよなワガママムスメ!」

⏰:09/08/19 00:19 📱:N03A 🆔:e0q3.Vcg


#242 [chimu◆Hi9o8eIXuA]
負けじとりこも言い返す。

「んまーカッタい男だねー、男らしくこんなのどうってことなかったゼほら泳いでこいヨ、くらいは言いなよねカタブツオトコ!」


ぎゃーぎゃー騒ぐ僕達をよそに早紀さんは浮き輪を取って、涼しい顔して喧嘩を見学していた。

直央は楽しそうだよぅと笑いながら、湊にお礼をしてイルカさんを受け取り、早紀さんと見学にまわった。

⏰:09/08/19 00:20 📱:N03A 🆔:e0q3.Vcg


#243 [chimu◆Hi9o8eIXuA]
頬っぺたをつねり、まぶたをねじるりこと、ポニーテールをつかみ対抗する僕。

口喧嘩じゃ決着がつかんと取っ組み合いになったところで、湊が喧嘩を割って止めにきた。

僕は直央に、りこは湊に後ろから組みつかれ、引き離された。


息を荒くしながらにらめっこする僕らの前に、早紀さんがなにかを持ってやってきた。

⏰:09/08/19 00:21 📱:N03A 🆔:e0q3.Vcg


#244 [chimu◆Hi9o8eIXuA]
スイカだった。

後で食べようと、早紀さんが家から持ってきたものだった。

たくさんの水滴がついたそれを、早紀さんは静かに砂浜に置いた。


そして、僕とりこにタオルをつきだし、言った。

⏰:09/08/19 00:22 📱:N03A 🆔:e0q3.Vcg


#245 [chimu◆Hi9o8eIXuA]
「ここはいさぎよくスイカ割り勝負で決着をつけましょう」

しばしの沈黙の後、りこは黙ってタオルを受け取った。

僕も続いて受け取る。


また面白いことをしだしたなと、へらへら笑う直央と湊とは違い、僕らは真剣だった。

⏰:09/08/19 00:22 📱:N03A 🆔:e0q3.Vcg


#246 [chimu◆Hi9o8eIXuA]
小さい頃からこうだった。

親が止めにくるまで、僕らはとことん喧嘩して、きっちり勝ち負けを決めた。


どんなに下らないことでも。

今だって同じ、譲らない。


早紀さんは拾ってきた流木片手に、ルール説明を始めた。

⏰:09/08/19 00:23 📱:N03A 🆔:e0q3.Vcg


★コメント★

←次 | 前→
↩ トピック
msgβ
💬
🔍 ↔ 📝
C-BoX E194.194