死に至る病
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#51 [chimu◆Hi9o8eIXuA]
「…ありがと、直央。でもよ、おまえ料理なんてできんのかー? 生卵を電子レンジにかけて爆発させるイメージがあるけど」
僕が笑いながら言った。
「そんなわけないよぅ! 肉じゃがからクッキーまで、何でも作っちゃうんだからぁ!」
「意外だな。直央は食べるの専門だと思ってたよ」
「うぅ……。また渉ちゃんがいじめるぅ……」
:09/07/30 21:58
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#52 [chimu◆Hi9o8eIXuA]
僕達は笑った。
「よぅし、そうとなったらわたし頑張っちゃうよぅ。材料の買い出しにも気合い入るなぁ〜。おせち箱にいーっぱいのお菓子を詰めちゃうんだからぁ」
僕の笑顔が引きつった。
今こいつ、さらっと恐ろしいこと言ったような気がする…。
「お菓子……?」
「そうっ、お菓子〜!」
:09/07/30 22:00
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#53 [chimu◆Hi9o8eIXuA]
楽しそうに直央は答えた。
僕は直央の言ってる意味が分からず、笑顔のまま、呆然としていた。
…あれ、これって弁当の話だよな?
直央のデザートとかの話じゃなくて、明日の僕の弁当の話だよな?
:09/07/30 22:01
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#54 [chimu◆Hi9o8eIXuA]
「渉ちゃんはアッサリ系のお菓子が好きだから、一段目はまるまる桃ゼリーにしちゃお〜」
「え」
「二段目は〜、軽すぎず重すぎずの和菓子詰め合わせがいいかなぁ〜」
「え、え?」
「そうだぁっ! 三、四、五段目はわたしの好きなショートケーキ、チョコケーキ、モンブランにしよ〜っと〜」
「え、え、えぇ〜〜!?」
:09/07/30 22:04
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#55 [chimu◆Hi9o8eIXuA]
そんなの無理だよ。
やっぱり明日はスーパーでパンを買って食べよう。
…とは言えずに、直央の胸焼けのする話をしょんぼりと聞くしかなかった。
明日はどうなるやら。
:09/07/30 22:06
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#56 [chimu◆Hi9o8eIXuA]
ファミレスを出た頃には、すっかり夜の帳がおりていた。
やわらかい月光が、森に影を落としている。
鈴虫が鳴き声が心地いい。
僕達は自転車を手でひきながら、整備されてない田舎道を歩いていた。
夜風が少し肌寒く、直央は小さなくしゃみをした。
:09/07/30 22:17
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#57 [chimu◆Hi9o8eIXuA]
「ほれ」
僕は笑って、着ていた制服を脱ぎ直央に放り投げた。
直央が僕をみる。
「いいの? 渉ちゃんが風邪引いちゃうよぅ…」
「ばーか、俺はお前と違って丈夫だから風邪なんて引かねーよ。分かったらさっさと着ろって」
「口悪ぅい…」
:09/07/30 22:19
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#58 [chimu◆Hi9o8eIXuA]
直央はブーブー言いながらも僕の制服を着た。
袖を通したはずなのに手が見えず、まるで子供が大人の服を着てるみたいだった。
それでも直央は気に入ったらしい。
頭ごとかぶりボタンを全部しめて、
「見て見てぇ渉ちゃん、首なしライダーだぞぉ!」
とかわけの分からないことして遊んでいた。
:09/07/30 22:19
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#59 [chimu◆Hi9o8eIXuA]
他にも、第二ボタンをもぎ取ろうとしたりとやりたい放題だった。
…小学生かこいつは。
「もう我慢ならん。返せ」
「やだよ〜ぅ。家につくまではわたしの物ですぅ。……あ、流れ星っ! すごぉい、さっき流れ星がふたつ流れてたよぅ!」
忙しいやつだな、ほんと。
夜空を指差しながらはしゃぐ直央は、なんだか微笑ましかった。
:09/07/30 22:21
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#60 [chimu◆Hi9o8eIXuA]
悪態をつきながらも、僕も自転車を止めて一緒に流れ星を探した。
「…ねぇよ、流れ星なんて」
僕は草むらに座って、言った。
「意地悪な人には見えないのかもよぅ。流れ星だって見る人を選ぶのかも」
「そんなヘンテコな流れ星があるか。…それよりなんだよ、意地悪な人ってまさか俺か?」
:09/07/30 22:22
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