死に至る病
最新 最初 全 
#96 [chimu◆Hi9o8eIXuA]
店長は立ち上がった。
信じられない、といいたそうに椅子に新聞を叩きつけた。
「それだけではありません。飲み放題のソフトドリンク、珈琲まで飲み干されてしまいました」
「馬鹿な! 一体誰なんだ、テレビ番組の撮影にきた大食いチャンピオンか!?」
店員は言った。
「いえ、女の子なんです。たぶん、女子高生だと思います」
:09/08/06 00:16
:N03A
:hRVRSZQ.
#97 [chimu◆Hi9o8eIXuA]
店員が問題の女子高生のもとへとかけつけた時には、すでにすべてが手遅れだった。
スイーツ全滅、ソフトドリンク全滅、まさに地獄絵図であった。
…信じられない。
ひとつ幸運なのは、客が彼女の食いっぷりに感心して盛り上がり、食べ放題がフイになったことを誰一人憤慨しなかったことだった。
:09/08/06 00:19
:N03A
:hRVRSZQ.
#98 [chimu◆Hi9o8eIXuA]
店長はふらふらと女子高生に近づき、話しかけた。
「き、キミ……。本当に一人でスイーツやソフトドリンクを食べきったのかね…?」
彼女は天使のような笑顔を浮かべ、言った。
「ごめんなさい。美味しくって食べちゃいました。でもぅ……」
「で、でもなんだね」
:09/08/06 00:23
:N03A
:hRVRSZQ.
#99 [chimu◆Hi9o8eIXuA]
店長の目の前に白い食器が突き出される。
彼女は言った。
「まだ食べたりません」
客は歓喜の声をあげた。
店員は唖然としながら、客をなだめる。
:09/08/06 00:25
:N03A
:hRVRSZQ.
#100 [chimu◆Hi9o8eIXuA]
「すみません、お客様。大変失礼ですが、これ以上のお食事はご遠慮願います」
店員が言った。
それは店としての当然の対応であった。
…しかし、店長は店員を押し退けて食器を受け取った。
店員はみな驚く。
:09/08/06 00:25
:N03A
:hRVRSZQ.
#101 [chimu◆Hi9o8eIXuA]
「いやはや、信じられない胃袋をお持ちですな貴女は。…しかしながら、私にもプライドがある。店長としてお客様を満足させたい、もうひとつは男としてのプライドです。
ここまでやられて、はい負けましたとは言えません」
店長は店員に食器を突き出して、客にも聞こえる大声で言った。
「大至急、シェフ以外のスタッフ総出で材料をかき集めてこいっ! シェフは残った材料でスイーツをなんでもいいから作れ、限りある材料で料理人魂をみせろ!」
「しかし店長、」
「店長命令だ、責任は私にある。さあ、皆いけ! このお嬢ちゃんに一泡ふかせてやるぞ!」
:09/08/06 00:26
:N03A
:hRVRSZQ.
#102 [chimu◆Hi9o8eIXuA]
「「は……はいっ!」」
生き生きした店長の笑顔に、店員はそれ以上なにも問わなかった。
それぞれが急いで動きだす。
客はすごい見物だと店を出ずに勝負を見るため席ついた。
:09/08/06 00:29
:N03A
:hRVRSZQ.
#103 [chimu◆Hi9o8eIXuA]
やがて、ひとりの店員が買い物袋を持って店に帰ってきた。
それに続き、次々と店員が材料を持って帰ってきた。
ベルトコンベアーのように運ばれてくるスイーツに、女子高生はひるむことなくフォークをつきたてていく。
彼女に送られる声援が止まない。
:09/08/06 00:31
:N03A
:hRVRSZQ.
#104 [chimu◆Hi9o8eIXuA]
しかし、明らかにペースが落ちてきていた。
店長はにやりと笑うと、女子高生に言った。
「もうお腹がいっぱいではありませんかな? 失礼ながら、やせ我慢はよろしくないかと」
「まさかです。まだ腹二分目だって満たされてないですよぅ」
店長は表情を歪める。
:09/08/06 00:32
:N03A
:hRVRSZQ.
#105 [chimu◆Hi9o8eIXuA]
「はったりですな。ここまで大事になれば、引くに引けますまい。そろそろ貴女を楽にしてあげますよ。
……持ってこい!」
店長が指を鳴らすと、店員がワゴンに巨大な何かを乗せてきた。
それは、目を疑うほどのばかでかい、ショートケーキだった。
バケツ二個分はある。
思わぬ最終兵器に、客のテンションは最高潮に達した。
:09/08/06 00:33
:N03A
:hRVRSZQ.
★コメント★
←次 | 前→
トピック
C-BoX E194.194