らぶずっきゅん!!!!
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#101 [七瀬]
 
 
「なんで‥」

「だって、お前‥‥」


なんとなく、わかってた。


これから、陽が
言おうとしていること。





「まだ、切れてないだろ。 東京の彼女」
 

⏰:09/08/11 13:18 📱:N703iD 🆔:ZycRR2Ck


#102 [七瀬]
―――――――――…


このとき、
ちゃんと見抜いてたら


カズを失うことには
ならなかったのだろうか。


あたしのそばに
ずっといてくれたかな?



たとえ、
"友だち"という形でも。
 
 

⏰:09/08/11 13:19 📱:N703iD 🆔:ZycRR2Ck


#103 [七瀬]
 
 
No.4 嘘
 
 

⏰:09/08/13 23:12 📱:N703iD 🆔:HkAdbfH.


#104 [七瀬]
 
 
 
「‥ズっ!‥‥カズ!」


んだよ、朝っぱらから。


「もうっ!遅刻っ!
 遅刻しちゃうよ!?」


薄目を開くと、

「起きた?」


そこには、彼女の顔が。

⏰:09/08/13 23:13 📱:N703iD 🆔:HkAdbfH.


#105 [七瀬]
 
 
「はい!起きたら、顔洗う」


言っとくけど
俺の彼女はかわいーです。


顔はちっちゃいし
目はぱっちり。

細いけど、
出るとこ出てるし。

頭もいい。


才色兼備まさに完璧。
 

⏰:09/08/13 23:13 📱:N703iD 🆔:HkAdbfH.


#106 [七瀬]
 
 
「ちーよー‥」


たまに、ドジしたり
ちょっと抜けてるとことか

またかわいい。


「‥ちょっ‥カズ‥っ」


うん、だから。


朝から、
襲いたくなるんです。

⏰:09/08/13 23:15 📱:N703iD 🆔:HkAdbfH.


#107 [七瀬]
 
 
「1限目、葉山さんの嫌いな‥」

「もーその手には乗りませんっ!はいっ!起きて!」


「‥ちぇっ」

しぶしぶ立ち上がる。


うーん。

俺の彼女、融通利かないのが、ちょっとなぁ。

もったいない。

⏰:09/08/13 23:15 📱:N703iD 🆔:HkAdbfH.


#108 [七瀬]
 
 
「やばー!ほんと急がないと、リアル遅刻だよ!カズ」

「んー」


「聞いてるの!?」

「聞ーてるよ。急がないと遅刻するんだろ?」

「じゃあ、急いでよ!」


さっぱりした顔を
柔らかいタオルに押しつけて振り向いた。
 

⏰:09/08/13 23:16 📱:N703iD 🆔:HkAdbfH.


#109 [七瀬]
 
 
「大丈夫、だいじょーぶ!
学校まで、ひとっ飛びしたげるから」


「‥ばーか」

鏡越しに、
笑う千頼の顔がかわいい。


「‥早くしてよね。あたし玄関で待ってるから」


そう言って、出ていった。 

⏰:09/08/13 23:17 📱:N703iD 🆔:HkAdbfH.


#110 [七瀬]
 
 
「‥‥」


なんだろ。


今日の千頼、昨日より
数倍かわいく見えた。



「‥うーん‥‥謎」


女ってーのは、
1日でこんなに変わるものなのだろうか。
 

⏰:09/08/13 23:18 📱:N703iD 🆔:HkAdbfH.


#111 [七瀬]
 
 
「はーやーく!」

玄関から聞こえる声からは千頼のだんだんイラついてきているようすが伺える。


「すぐ行くー」

ボタンを二つ開けて、
あわててネクタイを首に掛けた。


「おっそい!もうっ!」
 

⏰:09/08/13 23:18 📱:N703iD 🆔:HkAdbfH.


#112 [七瀬]
 
 
「ごめーん」

かかとのつぶれたスニーカーに足を押し込む。


「あ!ネクタイ!
また、ちゃんとできてないじゃん」

毎朝のように
千頼は俺の首に手を回す。


「まったく‥」

ぶつぶつ言いながらも、
ネクタイを結んでくれる。 

⏰:09/08/13 23:19 📱:N703iD 🆔:HkAdbfH.


#113 [七瀬]
 
 
いつも


いつものことなのに
うれしい。



「‥よし!できたよ」


目が合う。


――ちゅ

いつものように唇が触れる。

⏰:09/08/13 23:20 📱:N703iD 🆔:HkAdbfH.


#114 [七瀬]
 
慣れたことなのに、
愛しい。


だけど


――ズキン―

胸が痛い。


千頼の柔らかい唇が
唇を離したあとに
見せる笑顔が

心臓に穴を増やして、
大きくする。
 

⏰:09/08/13 23:21 📱:N703iD 🆔:HkAdbfH.


#115 [七瀬]
 
 
「‥さあー、行こー」

明らか照れてる
彼女のすがたを見ながら、いざ、しゅっぱーつ!



「ほら、うしろ乗れ」

俺のより、一回りサイズの小さいヘルメットを渡すと


「乗るのひさびさだから、怖い‥」

小さくつぶやいた。

⏰:09/08/13 23:22 📱:N703iD 🆔:HkAdbfH.


#116 [七瀬]
 
 
「なーに、ビビってんの」

「うん‥」


あれ、


「‥珍しく素直」

「えっ?」


「ううん、なんもない」


やばい。
 

⏰:09/08/13 23:23 📱:N703iD 🆔:HkAdbfH.


#117 [七瀬]
 
 
「なによー」


やばいよ、俺。

「なんでもなーい」


今、すっごい幸せかも。


「‥気になる」

「なんでもないって」

言った瞬間、
アクセルを踏んだ。
 

⏰:09/08/13 23:24 📱:N703iD 🆔:HkAdbfH.


#118 [七瀬]
 
 
ブーーー

エンジンの音と共に


「きゃあぁぁあああーー」

うしろから、すごい声。


「あははー、
朝から元気だねーちよは」

なんて言っても、

なんも聞こえてない千頼はぎゅっと、俺の腰に捕まるだけ。

⏰:09/08/13 23:24 📱:N703iD 🆔:HkAdbfH.


#119 [七瀬]
 
 
信号が赤に変わると、
千頼はやっと顔を上げた。


「‥死ぬかと思った」

「おーげさ」


「カズの運転が荒いからじゃんっ!」

「だって、ちよが遅刻遅刻って、鬼みたいな形相で言うから、急がないとと思って」
 

⏰:09/08/13 23:26 📱:N703iD 🆔:HkAdbfH.


#120 [七瀬]
 
 
「それは、カズがいつまでも寝てるから‥‥って!
鬼みたいな形相って、なによ!"鬼みたいな"って!」


「‥ほんと朝から元気ありすぎ」

ひとり、
クスッと笑った瞬間、


「さっきから聞いてん‥」

青に変わった。
 
 

⏰:09/08/13 23:26 📱:N703iD 🆔:HkAdbfH.


#121 [七瀬]
 
 
「いやああぁああ!!!」


‥ほんと、

どっから、そんな
すごい声出てくんの。




俺の融通利かない彼女、
かわいいでしょ。
 
 

⏰:09/08/13 23:27 📱:N703iD 🆔:HkAdbfH.


#122 [七瀬]
 
 
「着いたよ」


まったく‥困ったもんだ。

「つーいーたーよ!ちよ」

すっかり意気消沈の千頼。


ちょっといじめすぎた?




「‥はよ」
 
 

⏰:09/08/13 23:28 📱:N703iD 🆔:HkAdbfH.


#123 [七瀬]
 
 
「あ、おはよ!陽!」

ぐったりしていた
千頼がいきなりピン!ってなった。


「はるー、聞いてよー!」


――ちらっ

‥んだよ。


陽は、言いたいことがあるように、視線を送る。
 

⏰:09/08/13 23:29 📱:N703iD 🆔:HkAdbfH.


#124 [七瀬]
 
それを

早く言えよ!とイライラする自分も入れば、


聞くのが怖い自分もいる。



「‥あ〜、情けねぇ‥」


嘘が多くなるほど、
臆病になっていく。

自業自得。
 

⏰:09/08/13 23:29 📱:N703iD 🆔:HkAdbfH.


#125 [七瀬]
 
 
「カズ?なにぼぉーっとしてんの!行こっ!」

「あ‥うん」


いま、目の前にいる千頼は俺の考えてることなんて、夢にも見てないだろう。


「ほら、かず‥」


「わかったから」
 

⏰:09/08/13 23:32 📱:N703iD 🆔:HkAdbfH.


#126 [七瀬]
 
 
 
あ、やば。


「‥先、行ってるねっ」






つい冷たく
当たってしまった。
 
 

⏰:09/08/13 23:33 📱:N703iD 🆔:HkAdbfH.


#127 [七瀬]
―――――――――
――――――
―――


「おめ!」

席に座ると、
多果子が肩を軽く叩いた。


「あ‥多果子‥」

「どうしたの?そんな顔して‥」

不思議そうにあたしの顔を覗き込む多果子。
 

⏰:09/08/13 23:34 📱:N703iD 🆔:HkAdbfH.


#128 [七瀬]
 
そりゃそうだよね。

昨日は、あんなに
のろけてたんだもん。


「どうしたの?」

それが今では、こんなに
テンションダウン。


「ん、なんでもない」

不思議に
思わないはずがない。
 

⏰:09/08/13 23:34 📱:N703iD 🆔:HkAdbfH.


#129 [七瀬]
 
「‥なんかあったの?あそこの王子さまと」

なんでもないと言ってるのに、言う多果子。

指差す先には、

いま、教室に入ってきたという感じの、カズと陽。


「‥ほんとにあたしでいいのかな」

ぽつり。


ほんとに、ぽつりと言った。 

⏰:09/08/13 23:36 📱:N703iD 🆔:HkAdbfH.


#130 [七瀬]
 
聞こえてただろう多果子はなにも言わず、ただあたしを見るだけだった。



【わかったから】


「はぁ‥」

カズのばか。


あんな態度しなくても、
いーじゃん。
 

⏰:09/08/13 23:36 📱:N703iD 🆔:HkAdbfH.


#131 [七瀬]
―――――――――
――――――
―――


「ちょっと中原」


休み時間、いつもの
野郎たちとバカ言ってたら

うしろから、俺を呼ぶ声。


「‥‥」

一瞬だれだか、
わかんなかった。
 

⏰:09/08/13 23:37 📱:N703iD 🆔:HkAdbfH.


#132 [七瀬]
 
 
えーと。


いつも、千頼と絡んでる女‥‥だよな。


――"タカコ"がねー

――ごめん。その日、
"タカコ"と遊ぶんだぁ

――聞いて聞いて!
"タカコ"の彼氏がねぇー


タカコ!!
 

⏰:09/08/13 23:38 📱:N703iD 🆔:HkAdbfH.


#133 [七瀬]
 
そうそうそうそう!
タカコだ!タ・カ・コ!!浜口タカコ!!!

千頼が、いつも話してたことを頼りに名前を思い出した。


「なに?‥浜口さん‥‥」

「‥‥‥」


痛い。
痛い痛い‥。

なに、その信じられない!というような目。

⏰:09/08/13 23:39 📱:N703iD 🆔:HkAdbfH.


#134 [七瀬]
 
 
「‥‥"浜野"なんだけど」


‥‥‥は。


「‥は‥ははははは‥」

笑うしかなかった。

釣り上がった目、
への字の口‥。


苦笑いするしか‥。
 
 

⏰:09/08/13 23:40 📱:N703iD 🆔:HkAdbfH.


#135 [七瀬]
 
 
「はぁ‥名前なんて、どうでもいいんだった」

ふぅ、と息を吐き出す、
浜野。


「こっち来て」

「え、なに!?ちょっと!」

俺は、腕を引っ張られ、
さっきも来た屋上へ連れていかれた。
 

⏰:09/08/13 23:41 📱:N703iD 🆔:HkAdbfH.


#136 [七瀬]
 
 
ふわあっと、風が吹く。


「で?なんの用かな、浜野さん。告白なら悪いけど‥」

「千頼のことよ」


真剣なようすの浜野。

どうやら、俺のジョークにノル気も聞く気もないらしい。
 

⏰:09/08/13 23:42 📱:N703iD 🆔:HkAdbfH.


#137 [七瀬]
 
「はぁ‥またそれかよ。どいつもこいつも‥」

まぁ、
予測はしてたけどね。


「"どいつもこいつも"ってどういうこと?」

「そのまんまだよ。浜野さんも聞きにきたんだろ?」

風のいたずらで、
髪が乱れる。


「"千頼と本気で付き合うのか"って」

⏰:09/08/13 23:43 📱:N703iD 🆔:HkAdbfH.


#138 [七瀬]
 
大きく目を開いたかと、
思いきや

「‥フフッ‥‥それなら話は早いわ」

また真剣な
目付きをする浜野。


「で、どうなの?本気なの?」

答えは決まってる。


「本気だよ」

俺は、即答した。

⏰:09/08/13 23:44 📱:N703iD 🆔:HkAdbfH.


#139 [七瀬]
 
 
「じゃあ」

浜野の目の真剣みが増す。


「千頼にあんな顔させないで」

俺は、思わず目を反らしてしまった。

「どういうつもりかは知らないけど、そう言った以上は、きちんと千頼を幸せにしてよ」

浜野のスカートもひらひらと揺れている。

⏰:09/08/13 23:45 📱:N703iD 🆔:HkAdbfH.


#140 [七瀬]
 
「それでなくても、千頼はあんたに10年も振り回されてきたんだから」

いつのまにか、風は止んでいた。


「わかってるよ」

さっきも同じこと言われて内心イライラしていた。


「んなこと、あんたに言われなくても、十分わかってっから」
 

⏰:09/08/13 23:45 📱:N703iD 🆔:HkAdbfH.


#141 [七瀬]
 
「じゃあ、二度と千頼にあんなこと言わせないで」

「ん」

"あんなこと"なんて、聞かなくてもだいたいわかる。

じゃなきゃ二回もこんなとこ、呼び出されないだろ。


「約束よ。中原和希」


――パタン―

浜野は、さっさと屋上から出ていった。

⏰:09/08/13 23:46 📱:N703iD 🆔:HkAdbfH.


#142 [七瀬]
 
 
まぁ、まだマシか‥。

ははっ‥さっきは
尋問だったもんな。



でも俺、さっきの
気付いちまったぜ。





陽、千頼が好きなんだな。 
 

⏰:09/08/13 23:47 📱:N703iD 🆔:HkAdbfH.


#143 [七瀬]
―――――――――
――――――
―――

「おい、和希」

朝のSHRが始まる前、

「ちょっと」

陽に呼び出された。


わかってた俺は、さっき浜野に呼び出されたときとは違って、すんなりと着いていった。

んで、連れてこられたのが今いる屋上ってわけ。

⏰:09/08/13 23:48 📱:N703iD 🆔:HkAdbfH.


#144 [七瀬]
 
 
「昨日も聞いたけど」

陽は、念を置いた。


「お前、本気で葉山と付き合うのか?」


―ああ、やっぱり。

俺は冷静だった。


「うん」

あっさりとうなずいた。

⏰:09/08/13 23:49 📱:N703iD 🆔:HkAdbfH.


#145 [七瀬]
 
 
「止めとけって言ったろ」


あくまで、陽も冷静だった。

ってか、いつもの
クールな陽だった。


まだこのときは―‥


「俺の勝手じゃん。そんなの」

あー‥まぢ感じ悪ぃ、俺。 

⏰:09/08/13 23:50 📱:N703iD 🆔:HkAdbfH.


#146 [七瀬]
 
 
すると、
陽に少し変化があった。

「そんなので、葉山を傷つけんのかよ!」


顔が少し赤い。


これには驚いた。

俺と陽は、小さいころからの仲だけど、こんなに感情的なコイツ、見たことがなかった。
 

⏰:09/08/13 23:50 📱:N703iD 🆔:HkAdbfH.


#147 [七瀬]
 
俺が驚いた目で見ているのに気付いたのか、少し落ち着きを取り戻す陽。


「とりあえず、切れよ」

「は?」

「東京の女。さっさと終わらせろ。葉山のこと、本気なら」


俺は黙ったまま。


「なんか言えよ」

⏰:09/08/13 23:51 📱:N703iD 🆔:HkAdbfH.


#148 [七瀬]
 
なにも言えない。
言えないんだ、俺‥。


「和希」

低い声が、
より一層低くなる。


「かずき‥っ!!」

間に流れる空気。
なんだこれ。


重すぎだろ。
 

⏰:09/08/13 23:52 📱:N703iD 🆔:HkAdbfH.


#149 [七瀬]
 
 
「‥わかったよ」

今まで見たことないコイツの剣幕に了承するしかなかった。


「絶対、だからな」

「ああ‥。絶対だ」


そういうと、
とりあえず満足してくれたみたいで、二人で教室に戻った。

⏰:09/08/13 23:53 📱:N703iD 🆔:HkAdbfH.


#150 [七瀬]
 
 
陽、ごめん。
俺、切れそうにない。


浜野、ごめん。
俺、約束守れない。



千頼‥ごめん。

俺‥



春なのに、吹く風は冷たかった。
 

⏰:09/08/13 23:54 📱:N703iD 🆔:HkAdbfH.


#151 [七瀬]
―――――――――
――――――
―――


教室に戻ると、


「遅刻だぞー」

最悪‥。


「すんません」

とりあえず謝って、
席に着いた。
 

⏰:09/08/13 23:55 📱:N703iD 🆔:HkAdbfH.


#152 [七瀬]
 
 
右斜めに目を向けると、
千頼と目が合った。

‥が、すぐに反らされた。


イライラは募るばかり。

朝から、おんなじこと
二回も言われるし、

千頼からも避けられるし

授業もつまんない。


まぁ、ぜんぶ自分のせいだけど。

⏰:09/08/13 23:56 📱:N703iD 🆔:HkAdbfH.


#153 [七瀬]
―――――――――…


‥‥ん?


あ、終わったのか。

休み時間を告げるチャイムが鳴ったことに、今さらながら気付いて、体を起こす。

「ふぁ〜ああ‥」

大きなあくび。

30分ほど眠ったからか、ちょっと気持ちが良かった。

⏰:09/08/13 23:57 📱:N703iD 🆔:HkAdbfH.


#154 [七瀬]
 
 
自然と千頼の席のほうへと目が行ってしまう。


そこには、一時間ほど前に見せた顔とは正反対に笑う浜野と千頼。

ぷんぷん起こってた浜野は白い歯を見せて、

悲しそうな顔してた千頼は自慢の笑くぼを見せながら


笑っている。
 

⏰:09/08/13 23:58 📱:N703iD 🆔:HkAdbfH.


#155 [七瀬]
 
 
女って、よくわかんね。


ぼんやりと、そんなことを思いながら、再び夢の世界へ飛び込もうとしたとき

キーンコーン
カーンコーン…


知らね。このまま寝よっ。


そうやって、また顔を伏せたのに‥

――バコっ―

⏰:09/08/13 23:58 📱:N703iD 🆔:HkAdbfH.


#156 [七瀬]
 
 
「いてっ!‥なにすんだよっ!」

顔を上げると


「次、移動教室だよ‥」

千頼が。


「立って。カズ‥」


――ガタ―

なにも言わず、立ち上がって教室を出た。

⏰:09/08/13 23:59 📱:N703iD 🆔:HkAdbfH.


#157 [七瀬]
 
 
あぁ〜‥またやっちまったよ、俺。

ってか、せっかく千頼が言ってくれたのに、今度は、無視かよ‥。

ますます感じ悪い。


ただ千頼の顔見ると、

さっきの陽や浜野の言ってることが頭の中を回る。


そして、千頼にあんな態度取ってしまう。

⏰:09/08/14 00:00 📱:N703iD 🆔:xB0MIIes


#158 [七瀬]
 
 
‥次、移動どこだっけ。
忘れた。



ま、いっか。

どうせ筆箱すら、持ってきてないし。


サーボろ‥‥



「‥っ、カズっっ!!!」 

⏰:09/08/14 00:01 📱:N703iD 🆔:xB0MIIes


#159 [七瀬]
 
 
振り返ると、


「ちょっと!
 待ちなさいよっっ!!」

千頼が、もんすごいスピードで駆けてきた。


直感で、「まずい!」
そう思った。


――ハァハァっ‥―

息を整えながら、
千頼は、こっちを見る。

⏰:09/08/14 00:02 📱:N703iD 🆔:xB0MIIes


#160 [七瀬]
 
逃げる間もなかった。


「ちょっと!
あたしがカズになにしたって、いうのよ!
さっきから‥あたしを避けてるみたいだけど‥‥っ!!」

一気に吐き出す千頼。

「言いたいことあるなら、はっきり言いなさいよっ!このあほぉーーっっ!!」

強気な態度を見せながらも目に涙が溜まっているのが、見えた。

⏰:09/08/14 00:02 📱:N703iD 🆔:xB0MIIes


#161 [七瀬]
 
 
「ちよ‥」

そうやって、
手を出したが‥


――パシっ―

払いのけられる。


「‥ぅっ‥カズっ‥カズはほんとにあたしで‥よかったの‥?」


まさに、半泣き状態。
 

⏰:09/08/14 00:03 📱:N703iD 🆔:xB0MIIes


#162 [七瀬]
 
 
――ぎゅっ―


「‥っ‥いやっ‥いやいや!離してっ‥!!」

抵抗する千頼を余所に、
抱きしめた腕の力を強くした。


「‥離して‥ってばぁ‥」

「やだ」


抵抗する力が、だんだん弱まってくる。

⏰:09/08/14 00:04 📱:N703iD 🆔:xB0MIIes


#163 [七瀬]
 
 
「‥ぅっ‥っ‥ぐず‥」

そして、千頼はとうとう
泣いてしまった。


「よかったよ。いいに決まってんじゃん。
ってか、ちよじゃなきゃ、やだし。俺」


「‥うぅ‥じゃあ‥なんで冷たくすんの‥っ」

どんどんと弱い力で
俺の胸を叩く千頼。

⏰:09/08/14 00:05 📱:N703iD 🆔:xB0MIIes


#164 [七瀬]
 
 
「‥‥‥‥」

「‥なん‥で‥っ」


「‥ごめん」

ごめん、ちよ。


千頼、ごめんな。


「‥ヤキモチ、妬いてた」


嘘、ついてごめん。
 

⏰:09/08/14 00:05 📱:N703iD 🆔:xB0MIIes


#165 [七瀬]
 
 
「‥ふえっ?」

千頼は、真っ赤な目で、俺の顔を見上げた。


「いやぁ‥ほら。
今朝、学校着いたとき、ちよ、あんなにぐったりしてたじゃん?」

嘘って、案外すらすら出てくるもんなんだな。

「なのに、陽が来た瞬間、千頼ピン!ってなったから‥‥ヤキモチ妬いちゃったよ」

⏰:09/08/14 00:07 📱:N703iD 🆔:xB0MIIes


#166 [七瀬]
 
 
「なにそれ」

え、なんか変だった?


「心配して損したぁ‥」

そこには、心底安心したような千頼の顔。


「‥ふふっ」

「なに?」

「いやぁ、なんかカズがヤキモチ妬いてくれるなんてうれしいなぁ‥と思って」

⏰:09/08/14 00:07 📱:N703iD 🆔:xB0MIIes


#167 [七瀬]
 
ふふふと、
幸せそうに笑う千頼。


――ズキっ


また‥まただ。

嘘が増えて
増えて増えて――



心臓に穴を増やして、
大きくする―――
 
 

⏰:09/08/14 00:08 📱:N703iD 🆔:xB0MIIes


#168 [七瀬]
 
 
No.5 線香花火の行方
 
 

⏰:09/08/20 15:35 📱:N703iD 🆔:zyDZj5Sc


#169 [七瀬]
 
 
プルルルルルル…

夜、電話が鳴った。

あたしがお風呂から上がり寝転がってぱらぱらと雑誌をめくっているときだった。

あいにく、ママは友だちと食事、パパは残業で遅くって、だれもいない。


こんなときに、だれよー。

そんなことを思いながら、電話に出た。

⏰:09/08/20 15:36 📱:N703iD 🆔:zyDZj5Sc


#170 [七瀬]
 
 
「もしもし」

「葉山?俺、前田」


電話の主は、陽。

「どうしたの?こんな時間に」


現在、深夜0時。

いくら明日が日曜日だからって、なにか用がない限り、家の電話なんて、かけてこないだろう。
 

⏰:09/08/20 15:37 📱:N703iD 🆔:zyDZj5Sc


#171 [七瀬]
 
 
「いや‥いま暇?」

「暇もなにも‥。こんな時間に用事あるほうが、変でしょ」

すると、陽は「そうだな」と少し笑った。


「いま花火してるんだ。
お前んちの向かいの駐車場で」

「‥まだ春だよ」

すると、また陽は「そうだな」と笑う。

⏰:09/08/20 15:38 📱:N703iD 🆔:zyDZj5Sc


#172 [七瀬]
 
 
「‥実は、今日和希んちでみんなで酒パしてたら、
酔っ払った和希が"花火やろー"とか言って、押し入れから出してきたんだよ。去年の残ったやつ」

「え、カズいんの!?」

「うん。べろべろに酔って、お前の名前呼んでる。
ってか、叫んでる。まぢ近所迷惑」

これには、あたしも
声を出して笑ってしまった。
 

⏰:09/08/20 15:39 📱:N703iD 🆔:zyDZj5Sc


#173 [七瀬]
 
「迎えにきてくんない?」

「ふふ、わかった」

「‥んで」

「えっ?」


「ついでに花火、見においで。いちばんおっきい打ち上げ花火、残してあるから」

「‥楽しみにしてるね」

電話を切った。
 

⏰:09/08/20 15:39 📱:N703iD 🆔:zyDZj5Sc


#174 [七瀬]
 
 
髪をドライヤーで半乾きにして、スエットの上から、いちまい薄いの羽織って、家の鍵閉めたのを、何回もチェックして、外に出た。

夜だからか、春にも関わらず、ひんやりとしている。


「はーるー!」

駐車場に2つの影を見つけて、駆け寄ると、

「しーっ」

人差し指を口に当てる陽。

⏰:09/08/20 15:41 📱:N703iD 🆔:zyDZj5Sc


#175 [七瀬]
 
あたしが完全に陽の元へ迎うと、小声で陽は言った。

「寝た」

「えー、せっかく来たのにぃ」

もちろん、あたしも小声。


「あれ?他の連中は?」

バイクに座って寝ているカズと、あたしの目のまえにいる陽しか見当たらない。 

⏰:09/08/20 15:42 📱:N703iD 🆔:zyDZj5Sc


#176 [七瀬]
 
「帰らせた。あいつらも、かなり酒入ってたし。
何匹も、あんなのがいたらさすがに、俺も手ぇ追えないよ」

と、バイクで熟睡しているカズを指差した。


「ははっ‥それもそうだね」

「だろ」


あ、星‥。
 

⏰:09/08/20 15:43 📱:N703iD 🆔:zyDZj5Sc


#177 [七瀬]
 
 
「なんか、ごめんね」

昨日は、曇ってて見えなかった星たちが、あたしたちを照らしてくれる。


「ん。いーよ、別に」

陽は相変わらず、だ。


「ありがとう」

「ん」

なにが"相変わらず"なのかというと、

⏰:09/08/20 15:44 📱:N703iD 🆔:zyDZj5Sc


#178 [七瀬]
 
「今日は星が見えるねぇ」

「ん、だな」

「陽もお酒、けっこう飲んだの?」

「いや、あんま」



"相変わらず"

しゃべらない、ってとこ。 
 

⏰:09/08/20 15:45 📱:N703iD 🆔:zyDZj5Sc


#179 [七瀬]
 
でも、けっしていやじゃない。

むしろ、カズや多果子とはいっしょにいても感じない――失礼だけど―

安心感がある。


「する?花火」


こう、なんか‥癒し系?


「うん!する!」
 

⏰:09/08/20 15:46 📱:N703iD 🆔:zyDZj5Sc


#180 [七瀬]
 
 
ふつうの花火が5本、
線香花火が2本。

そして、打ち上げ花火が
一つ残してあった。


「どれにする?」と聞きながらも、すでに手に打ち上げ花火をにぎってる陽。

「お楽しみは、最後に残しとかなきゃ」

そう言って、ふつうの花火を取った。
 

⏰:09/08/20 15:47 📱:N703iD 🆔:zyDZj5Sc


#181 [七瀬]
 
 
火を付けると、

シャーーっと音を立てて、飛び散る花火。


「きゃー!見て見て、陽!」

ひさびさの花火に、あたしは、はしゃいだ。


「陽も、やりなよー!」

「俺はいい。さっき和希にさんざんやらされたから」

そう言って、首を横に振る。

⏰:09/08/20 15:47 📱:N703iD 🆔:zyDZj5Sc


#182 [七瀬]
 
 
残りの4本も、
すべてあたしが楽しんだ。

陽は、見てるだけでも
十分楽しそうだった。


「次、これは?」

陽が差し出してきたのは、線香花火。


「あ、陽。勝負しよーよ。 これで」

「勝負?」

⏰:09/08/20 15:48 📱:N703iD 🆔:zyDZj5Sc


#183 [七瀬]
 
「うん。どっちが長くできるか勝負!」

「俺はいーよ。勝負なんて」

あたしの提案が、あまりに子ども染みていたのか、


「じゃあ‥負けたほうが
勝ったほうの言うこと、
なんでも聞くことにしようよ!」

バカにしたように笑う陽にムキになってしまった。
 

⏰:09/08/20 15:49 📱:N703iD 🆔:zyDZj5Sc


#184 [七瀬]
 
 
――ぴくっ

すると、陽に少し変化が。


「なんでも?」

「な‥なんでも!」

陽の顔が、いつにもなく
真剣で、たじろぐ。


「ん」

そうやって、
線香花火を渡される。

⏰:09/08/20 15:50 📱:N703iD 🆔:zyDZj5Sc


#185 [七瀬]
 
 
「さ。さっさと始めよ、
 勝負」


いまさら撤回なんて
できない。


珍しく怪しげに口角を上げる陽から、

勢いよく、
線香花火を奪い取った。


静かな夜に、
静かにゴングが鳴った。
 

⏰:09/08/20 15:53 📱:N703iD 🆔:zyDZj5Sc


#186 [七瀬]
 
 
2つの線香花火が
二つの顔を照らす。

線香花火なんて、するの
いつ以来だろう。


ジリリリリ…

この音を最後に聞いたのはいくつだったろう。


なつかしい‥。

なつかしさと同時に
あることが思い出された。 

⏰:09/08/20 15:54 📱:N703iD 🆔:zyDZj5Sc


#187 [七瀬]
 
「ね、陽」

「ん」

「覚えてる?」

「なにが」

「小学生のとき、流行ったやつ」

陽は、わからないというように、あたしを見る。


「あれだよ、あれ!」

あたしは、小さく灯った
火を見て、言った。

⏰:09/08/20 15:55 📱:N703iD 🆔:zyDZj5Sc


#188 [七瀬]
 
 
「ほら、あったじゃん。
カズが引っ越してくる前に流行った恋占い。小2の夏に!」

「ああ‥」


「線香花火がだれよりも
いちばん長く付いてたら、恋が実るってやつ」

陽は、黙って
あたしの話に耳を傾ける。 

⏰:09/08/20 15:56 📱:N703iD 🆔:zyDZj5Sc


#189 [七瀬]
 
「あたしは、当時はあんま興味無くて、やんなかったけど、みんな夢中でやってたなぁ」

思い出すと、なつかしさから、顔が緩む。


「線香花火をつけては消えて、つけては消えて‥。
今のあたしらみたいに、張り合ったよね」

「おかげで、いちばん地味な線香花火が、真っ先になくなった、よな」

陽は、思い出したようす。

⏰:09/08/20 15:56 📱:N703iD 🆔:zyDZj5Sc


#190 [七瀬]
 
「そうそう!」

みんな興味ないふりして、三回はやってたなぁ‥。

母校のグランドで小さいころの、あたしたちが花火をしているのが頭に浮かんだ。


「‥俺もやったなあ」

ぽつっと、陽は
衝撃的なことを言った。


「ええ!陽が!?」

⏰:09/08/20 15:58 📱:N703iD 🆔:zyDZj5Sc


#191 [七瀬]
 
 
「ん?ん」

陽は、なんでもないように言った。


「好きなひといたの!?」

でも、あたしは驚きの驚きの驚きでいっぱい。


そりゃあ、もう10年以上まえだし、陽にだって好きな子くらいいただろう。
 

⏰:09/08/20 15:58 📱:N703iD 🆔:zyDZj5Sc


#192 [七瀬]
 
だけど、陽は昔から
こんなのだし‥。


なんてゆーか‥わからないけど、

あの無口な陽が、
こんなになつかしそうに
優しい顔で言うんだから


「へー‥
 なんか意外だなぁ‥」


嘘じゃないんだなぁ、って。 

⏰:09/08/20 16:00 📱:N703iD 🆔:zyDZj5Sc


#193 [七瀬]
 
 
「ふっ‥ははっ」

ひとり笑うあたしに、陽は不思議そうな顔をする。


あのぶっきらぼうな
興味無さげな顔で

小さい灯火を見つめたり、

何度も何度も、
恥ずかしそうに、線香花火を取りに行くすがたを
想像してしまったのは


陽には、ないしょ‥ね。

⏰:09/08/20 16:00 📱:N703iD 🆔:zyDZj5Sc


#194 [七瀬]
 
 
「あ」

あたしの線香花火の火が
小さくなっていく。


「消えないで‥っ」

と言った瞬間、
シューっと消えた。


「あ〜あっ!
 消えちゃった‥」

あたしの線香花火からは、煙が出ているだけだった。

⏰:09/08/20 16:01 📱:N703iD 🆔:zyDZj5Sc


#195 [七瀬]
 
 
「俺の勝ちだな」

まだ光る花火を見せて
陽は言う。


「あー、負けちゃった。
仕方ない。なんでも言うこと聞くよ」

先端が灰になった花火を、バケツに入れた。


「なんか言って」
 

⏰:09/08/20 16:05 📱:N703iD 🆔:zyDZj5Sc


#196 [七瀬]
 
 
静かな夜に、沈黙が流れる。

「陽?」

「ん」

「なんか言ってよ。約束通り言うこと聞くから」

「ああ‥」


また黙り込む。

「は‥」

「じゃあ」

⏰:09/08/20 16:07 📱:N703iD 🆔:zyDZj5Sc


#197 [七瀬]
 
あたしの言葉を遮る、
その口調が硬い。


「じゃあ?」

「じゃあ‥」


正直、あたしは興味があった。

陽とは、カズや多果子よりも長い付き合いだけど、
あたしに頼みごととか、
してきたことなかった。


なんて、言うんだろう。

⏰:09/08/20 16:08 📱:N703iD 🆔:zyDZj5Sc


#198 [あ-ちャん]


今全部読みました!!
めっちゃ面白いです。
これからも頑張って下さいヾ^ω^ノ*

⏰:09/08/22 00:15 📱:W65T 🆔:hcTY0kHE


#199 [髑髏-ドクロ-]
気になります(^.^)

頑張ってください⊂(^ω^)⊃

⏰:09/08/22 03:09 📱:SH705i 🆔:pMY0qwxA


#200 [七瀬]
>>198 あ-ちャんさん

わー\(^O^)/
ぜんぶ読んでもらって
光栄です!(^ω^)

マイペース更新ですが、
がんばります
 

⏰:09/08/22 11:36 📱:N703iD 🆔:UBtSTtrg


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