らぶずっきゅん!!!!
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#251 [七瀬]
俺は目を見開く。
なにかの
間違いであってほしい。
そう祈りながら、
何度も何度も見直した。
しかし、
そんな祈りも虚しく、
俺の目の前にあるのは
"D外国大学"
この5文字だけ。
:09/09/03 21:00
:N703iD
:wDwXTER2
#252 [七瀬]
うそ、だろ?
これは夢なのだろうか。
体から、一気に熱が
引いていくのを感じた。
そんな俺を余所に、
ただ隣で眠る千頼の寝顔はとても幸せそうだった。
まるで、
さっきの俺のように。
:09/09/03 21:00
:N703iD
:wDwXTER2
#253 [七瀬]
そこは
東京の大学だった。
:09/09/03 21:01
:N703iD
:wDwXTER2
#254 [七瀬]
――――――――――…
「おっはよー」
いつもと同じ朝。
多果子は、いつものようにあたしにおはよー、とあいさつする。
「今日、これ提出だねー」
多果子は、それをペラペラと指で摘む。
:09/09/03 21:02
:N703iD
:wDwXTER2
#255 [七瀬]
「ずいぶん迷ったけど」
多果子は、困ったとでも
言うように両手を広げる。
「多果子、就職?」
「うん。だよー」
「そっかぁ」
時間は確実に過ぎていて、
どうしようとも、目を反らせない現実があたしたちを直面していた。
:09/09/03 21:04
:N703iD
:wDwXTER2
#256 [七瀬]
宮高は総合学科だからか、かなり高い就職率を誇る。
「正直、大学行くよりも、就職率いいじゃん?こっちのが」
でも数人の生徒たちは、大学、専門学校、短大へ進学する。
「‥まぁ、千頼みたいに、具体的にしたいことがあるなら、別だけどねぇ‥」
多果子は
苦笑しながら、言った。
:09/09/03 21:05
:N703iD
:wDwXTER2
#257 [七瀬]
進学するのは、
かなりの少人数。
あたしは、
そのなかの一人。
ちなみに、
カズと陽も進学。
カズは親が大学行けって、うるさいから、とりあえず行くみたいなことを言っていた。
陽は、中学校か高校の
先生になりたいらしい。
:09/09/03 21:06
:N703iD
:wDwXTER2
#258 [七瀬]
「んま、頑張って下さいよぉー。受験生!」
「もぉっ!止めてよー。
気ぃ重いじゃん!」
先生には、「葉山の成績で就職はもったいない!」
と言われたのと
英語が好きだから、私立の外国語学科にと決めた。
そして、これを機に
見知らぬ土地へ。
:09/09/03 21:07
:N703iD
:wDwXTER2
#259 [七瀬]
「あれ?」
「どーした?千頼」
‥ない。
「ないないない!」
うそ!うそうそうそー!
「ない、ってまさか‥」
「進路希望調査!!」
うそでしょー!??
:09/09/03 21:07
:N703iD
:wDwXTER2
#260 [七瀬]
――――――――――…
さて。
どーしよーか。
俺の手には、
【進路希望調査
3年5組28番 葉山千頼】
と記されたプリント。
‥やべーよな。
:09/09/03 21:08
:N703iD
:wDwXTER2
#261 [七瀬]
早く返さないと。
千頼、困ってるよな。
今日、提出だし‥うん。
ぜったい困ってる。
でもなぁ‥。
「‥D外国大学」
「お前の成績じゃ
100%、無理だな」
:09/09/03 21:09
:N703iD
:wDwXTER2
#262 [七瀬]
「‥なんだよ」
「ってか、和希のいちばんの苦手科目じゃん。英語って」
そうやって、
俺の隣に腰掛けた陽。
「‥なんで、
こんなとこ、いんだよ」
陽のことばを無視して、
逆に質問で返してやった。
:09/09/03 21:09
:N703iD
:wDwXTER2
#263 [七瀬]
「そうだな。お前がここに行きたいなら、死ぬほど勉強しなきゃな。
夏休みなんてなし。
‥いや、死ぬほど勉強しても無理だな、無理」
が、こいつも俺の質問を無視しやがった
―上にバカにした―。
裏庭は、じめじめしていて少し暗いけど、
誰も来ないので、屋上につづいて、俺の格好のサボり場なのに。
:09/09/03 21:10
:N703iD
:wDwXTER2
#264 [七瀬]
「質問に答えろよ」
じろりと
目線を陽に向けると
「じゃあはじめに、俺の
質問に答えてくれるか」
俺の持ってた
プリントを奪われた。
「なんで、葉山の
進路希望調査を和希が持ってるんだ?」
:09/09/03 21:11
:N703iD
:wDwXTER2
#265 [七瀬]
「‥‥えーと」
言い淀む俺に、
「葉山、さっき教室で、
ないないないー!って騒いでた」
容赦も情けもない。
「あの感じじゃ、葉山は
忘れたわけではない」
そうやって陽は、自身の額に人差し指を押しつけた。
:09/09/03 21:12
:N703iD
:wDwXTER2
#266 [七瀬]
「俺の推測では‥盗まれたんだ。何者かによって」
陽は、深刻そうに、
そんでもって、大げさに、頭を振った。
「‥そして、
犯人は和希。お前だ」
‥そりゃ、いまこの手に
持ってますからね。
俺は、ため息をついた。
:09/09/03 21:13
:N703iD
:wDwXTER2
#267 [七瀬]
「昨日、葉山の家にいて、最も葉山に近付ける。
不自然さもなく。
よって‥」
「‥俺だよ、俺。犯人」
めんどくさくなって、
そう答えると、
陽はにやりと笑う。
「俺の推理は、まだまだ続いているんだ」
そう言って、
また探偵ごっこを始めた。
:09/09/03 21:13
:N703iD
:wDwXTER2
#268 [七瀬]
「犯人は判ったところで、俺は動機について考えてみた。
犯人はなんのために、
葉山の進路希望調査なんて盗んだのだろう。
気まぐれか、
ただの愉快犯か。
はたまた、葉山のストーカーか‥」
陽はふだんクールだけど、こういう冗談が好きなヤツ。
ってか、千頼の
ストーカーって‥。笑
:09/09/03 21:21
:N703iD
:wDwXTER2
#269 [七瀬]
「俺はありとあらゆる可能性を考えた。犯人になったつもりで。でも解らない」
俺は、こいつの
こういうとこが嫌いじゃない。
「でも、もう謎な解けた。解く鍵はこれだったんだ」
そうやって、指差す先。
でも、今じゃ
それも悪い冗談だぜ‥陽。
:09/09/03 21:21
:N703iD
:wDwXTER2
#270 [七瀬]
「俺の推理はこうだ。
D外国大学。ここは東京都内にあるまあまあなレベルの大学。
犯人は葉山を東京に行かせたくなかったんだ。
そして、そこにも」
陽の差すプリントは、
少しくしゃくしゃになっていた。
「そして、なぜ行かせたくないのか。ここが肝心なところだ」
:09/09/03 21:22
:N703iD
:wDwXTER2
#271 [七瀬]
一つ、呼吸する陽。
「その大学には、犯人が会わせたくないヒトがいる。葉山がそのヒトに会うのを、犯人は最も恐れていた」
そこで、
陽は口を告ぐんだ。
さらさらと吹く風が
俺らを包む。
「‥ちょっと無理あるんじゃね?その推理」
笑って言うと、
陽も少し笑った。
:09/09/03 21:23
:N703iD
:wDwXTER2
#272 [七瀬]
「まー、お前にしちゃよくデキタ方だと思うけど‥」
そう言って、
俺は下を向いた。
「和希‥切れてないんだろ?」
それは、
とてもおだやかな声で
怒りも悲しみも、なにも漂わせてはいなかった。
:09/09/03 21:24
:N703iD
:wDwXTER2
#273 [七瀬]
「世間は狭いっていうけど、やっぱり東京は人も多いし、よっぽどなことがない限り会うことなんてない。楽観主義なお前が、こんなに心配そうな顔してるなんて、大学が一緒なんだろうって思った」
陽は、俺のことを
よく知ってるんだな‥。
皮肉にも、こういうときに友達の大切さが感じられた。
:09/09/03 21:25
:N703iD
:wDwXTER2
#274 [七瀬]
「でも、もうなにもないなら、会ったっていいじゃないか。しょせんは元カノなのだから。
‥でも、お前は心配で心配で仕方なかった」
その続きは、
また今度にしてほしいなー。
なんて思いながら、
ほどけた靴ひもを、ぼんやり見ていた。
:09/09/03 21:26
:N703iD
:wDwXTER2
#275 [七瀬]
「なぜなら‥」
「そうだよ」
言い訳もなにもしない。
だって、ぜんぶこいつの
言うとおりだから。
「‥そうか」
なんで‥
「‥そんな顔すんだよ‥」
:09/09/03 21:27
:N703iD
:wDwXTER2
#276 [七瀬]
陽の悲しげに笑った顔は、俺を困惑させた。
殴ってくれてもいいのに。
最低だって、
罵ってくれてもいいのに。
いや、そうしてくれ。
そんな瞳で見んな。
メ
:09/09/03 21:28
:N703iD
:wDwXTER2
#277 [七瀬]
「‥怒らないわけ」
「怒らない」
優しく静かに。
でも、はっきりと陽は言う。
「でも、もう引かない」
陽は立ち上がった。
:09/09/03 21:28
:N703iD
:wDwXTER2
#278 [七瀬]
「俺は、ただ葉山に笑っててほしいだけ。
でも、いまお前には、
任せられないと分かった」
俺は、なにも言わず
ただそれを聞く。
「遠慮、しないから」
陽はそう言って校門前へと、戻って言った。
:09/09/03 21:29
:N703iD
:wDwXTER2
#279 [七瀬]
ってか、あいつセコくね?
自分は、言うだけ言って‥なんかかっこいーじゃん。
あんな風に言われたら、
俺だってうなずくしか
できないし。
あの
良いとこ取りヤローめ。
ほんとは、もっと
‥責めてほしかった。
変な意味じゃなくってね。
:09/09/03 21:30
:N703iD
:wDwXTER2
#280 [七瀬]
話が多少ずれたけど、
「‥俺もけじめ‥着けないとな」
いい加減にしないと、
また千頼泣かせちゃう。
:09/09/03 21:31
:N703iD
:wDwXTER2
#281 [七瀬]
――――――――――…
「ふぅ〜‥よかったぁ」
「もう、しっかりしなよ?千頼は、いつもなんか抜けてるんだからー!」
「ごめんごめん」
さんざんないない
騒いだ挙句、
先生にもう一度プリントをもらうことにした。
いまは、職員室から
教室へ帰っているところ。
:09/09/03 21:32
:N703iD
:wDwXTER2
#282 [七瀬]
廊下を歩く、カズの
うしろすがた発見!
「カズー!」
呼ぶと、立ち止まって
振り向いたカズ。
「ごめーん!今日は一緒に帰れないっぽい」
カズはいいよ、と言うように、うなずく。
:09/09/03 21:33
:N703iD
:wDwXTER2
#283 [七瀬]
「あたし、これ忘れちゃってさー。もう一枚もらったはいいけど、判子いるみたいだから、取りに帰らないといけないみたい」
もう最悪だよー、
と笑って見せた。
「‥そっか。でもよかったじゃん」
「えへへー。ありがとー」
:09/09/03 21:34
:N703iD
:wDwXTER2
#284 [七瀬]
「陽が言ってたよ?
ちよ騒いでた、って」
「えー、うそぉ!
もー恥ずかしいなぁ‥」
「ははは!ご苦労さまでーす!‥じゃあまた後で」
そう言って、カズは
階段を上がって行った。
‥気のせいだろうか。
元気がないように見えた。
:09/09/03 21:35
:N703iD
:wDwXTER2
#285 [七瀬]
あたしはこのとき、
知る由もなかった。
今、にぎっている
紙切れが
あたしとカズを
――引き離す
"種"になるなんて‥―
:09/09/03 21:36
:N703iD
:wDwXTER2
#286 [七瀬]
:09/09/03 21:40
:N703iD
:wDwXTER2
#287 [七瀬]
No.8 変化
:09/09/05 22:39
:N703iD
:PSrvbbbw
#288 [七瀬]
――――――――――…
放課後。
「はっるー!」
ぶんぶんと、手を振っているのに、陽は振り向くだけで、あまり反応しない。
「掃除当番、
いっしょだねぇ」
駆け寄ると、
やっと「ん」と反応した。
:09/09/05 23:09
:N703iD
:PSrvbbbw
#289 [七瀬]
大広場の掃除に、二人というのは、いくらなんでも少なすぎると思う。
「あっつーい‥」
先日の一緒に花火をしたときから、
なんとなく陽の態度が
よそよそしく感じたけど
「んー、だな」
今のところ、大丈夫みたい。
:09/09/05 23:10
:N703iD
:PSrvbbbw
#290 [七瀬]
「日焼けしちゃーう」
とか言って、木陰に入ると
「日焼けしないうちに、
さっさと、終わらすぞ」
ほうき渡された。
「はぁい‥」
しょうがない!
一回、家帰んないといけないしやりますか‥。
ほうきを握った。
:09/09/05 23:11
:N703iD
:PSrvbbbw
#291 [七瀬]
「この前まで、肌寒かったのに、今日は少し蒸し蒸しするねー」
昨日と同様に晴れ渡る空のせいか、気温が少し高い。
長袖に汗が薄らとにじむ。
「ほんと、
時間経つの早ーい!」
「そうだなぁ‥。
葉山がもうすぐ女子大生
なんて信じられない」
クスクスと笑う陽。
:09/09/05 23:12
:N703iD
:PSrvbbbw
#292 [七瀬]
「もぉーっ!陽ったら‥」
「ごめんごめん」
陽は、まだおかしそうに
笑っている。
「ひどーい‥」
ぷくっと膨れて見せると
「悪かったって」
ポンポンと頭をなでた。
:09/09/05 23:13
:N703iD
:PSrvbbbw
#293 [七瀬]
「‥なにその子ども扱い」
まだそっぽを向いていると
「冗談だよ。冗談」
「どーせあたしは、ガキんちょですぅー」
陽は苦笑しながらも
完璧楽しんでいる。
だって口元緩んでるもん。目じり下がってるもん。
:09/09/05 23:14
:N703iD
:PSrvbbbw
#294 [七瀬]
「‥かわいいよ」
‥‥うえっ?
「かわいい。葉山は」
あたしは、
かなりびっくりしながら、
フイと横を向いていた
顔を陽に戻した。
:09/09/05 23:15
:N703iD
:PSrvbbbw
#295 [七瀬]
‥なんてやさしい
目をしているんだろう。
カズ‥ごめんっ!
不覚にも、ちょっと
どきっとしちゃった。
「なんか、妹みたいで」
「‥‥‥は?」
:09/09/05 23:16
:N703iD
:PSrvbbbw
#296 [七瀬]
「いとこにいるんだよー。まだ4歳なんだけど、葉山にそっくり」
クククと思い出すように、陽は、一人笑いだす。
さっきとは違って、
爆笑に近い感じの笑い。
「なにそれ〜〜‥」
‥もう。
どきどきしたじゃん。
:09/09/05 23:17
:N703iD
:PSrvbbbw
#297 [七瀬]
「いやー、うん。でも」
「"いやー、うん。でも"
なによ」
「うん。だから」
陽は笑いを止めて、
顔を下へと向けた。
「その‥葉山のが
かわいい、よ‥‥」
:09/09/05 23:18
:N703iD
:PSrvbbbw
#298 [七瀬]
――カアアァア
顔が熱くなる。
「‥あ、ありがと」
よくよく考えると
いとこの4歳児と
比べられても!
って感じなんだけど、
陽が、そんな
明らか照れてます、みたいに言うから‥‥。
:09/09/05 23:19
:N703iD
:PSrvbbbw
#299 [七瀬]
こっちまで
恥ずかしーじゃんかぁっ!
しかも、なんか
いつもとキャラ違うし‥。
それから
掃除終了までの約10分。
あたしと陽の間には
花火をしたときとは、
また違った
ビミョーな雰囲気が流れた。
:09/09/05 23:20
:N703iD
:PSrvbbbw
#300 [七瀬]
――――――――――…
まずかった、よなぁ‥。
うーん。まずかった。
かなりまずかった。
いとこと、しかも4歳児と比べるなんて、
きっと気を悪くしたに
違いない。
だって、葉山あれ以降、
掃除中ぜんぜんしゃべらなかったし。
:09/09/05 23:21
:N703iD
:PSrvbbbw
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