らぶずっきゅん!!!!
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#301 [七瀬]
「‥んー‥謝るべきか‥」
「陽」
部屋の中、一人で
ぶつぶつ呟いていると、
「ちょっといい?」
コンコンと
母さんがドアを叩いた。
「どうしたの、母さん」
いやな予感がした。
:09/09/05 23:22
:N703iD
:PSrvbbbw
#302 [七瀬]
「座って」
カレーの良いにおいがリビングに充満するなか
母さんと机を挟んで向かい合うように、イスに腰掛けた。
「なに」
なかなか話そうとしない
母さんに、仕方なく俺から話を持ち出した。
:09/09/05 23:23
:N703iD
:PSrvbbbw
#303 [七瀬]
「‥うん‥。実はね‥」
すると、母さんは待っていた、というように話し始めた。
ただ俺は、
黙って聞いていた。
カチッカチッと時計の針が動く音がなぜか異様に響いていた。
:09/09/05 23:24
:N703iD
:PSrvbbbw
#304 [七瀬]
――――――――――…
目を大きく開く。
なにか言いたげに口も開く。
せめて口は閉じようか。
「千頼ちゃん」
女の子なんだから。
「カズ‥なんで‥」
:09/09/05 23:25
:N703iD
:PSrvbbbw
#305 [七瀬]
「なんでいるのか、って言いたいんでしょー?
んとねぇ、答えは簡単。
葉山さんを待っていたのです。一時間近く待ってたかなー?いや、一時間半は待ってたね」
そう言いながら、
机に座っていたのを、軽く飛び降りた。
千頼の表情はいつも極端だから、おもしろい。
:09/09/05 23:25
:N703iD
:PSrvbbbw
#306 [七瀬]
「出したんでしょ?進路きぼー調査。もちろん取りに帰った判子押して」
「うん。たったいま‥」
まーだ葉山さんは
驚きが治まらないご様子。
「だって見てたもん。
千頼が学校に出ていって、また戻ってくんの」
「なんで声掛けてくれなかったの?」
:09/09/05 23:26
:N703iD
:PSrvbbbw
#307 [七瀬]
「たまには待つ身になるのもいっかなー、と思って」
ほんとは、担任に呼び出されてたんだけど。
進路希望調査出してないの俺だけだったから。
千頼は除いてね。
「ほら。いつも千頼、俺のこと待っててくれるから。ちよの気持ちになってみた」
嘘も方便。
:09/09/05 23:27
:N703iD
:PSrvbbbw
#308 [七瀬]
「帰ろっか?」
まだびっくり顔の
千頼の手をにぎった。
あったかい。
でも、もうすぐ
この温かさとは、ばいばい。
決心したんだ、俺は。
:09/09/05 23:28
:N703iD
:PSrvbbbw
#309 [七瀬]
「千頼ちゃん」
外はもう暗くなっていた。
昼間の快晴とは打って変わって、厚い雲が空を覆っていたせいかもしれない。
「俺の部屋、寄ってかない?」
千頼は素直に、
俺んちへ入った。
:09/09/05 23:28
:N703iD
:PSrvbbbw
#310 [七瀬]
早く。
早く終わらせよう。
早くしないと、
雨が降ってくるかもしれない。
千頼が帰っちゃうかもしれない。
なにより俺がつらくなる。
:09/09/05 23:30
:N703iD
:PSrvbbbw
#311 [七瀬]
そのくせ
「なんか飲む?」
なかなか切り出せず、
もたもたしていた。
「ううん。いらない」
「そ。じゃー和希くんルームへ」
カウントダウンが始まる。さよならへの‥――
:09/09/05 23:30
:N703iD
:PSrvbbbw
#312 [七瀬]
「なんかカズ変」
部屋に入っての第一声がこれ。
「‥ふふ。そんなことないよ」
参ったなぁ。バレバレ?
「そんなことある。
なんかよそよそしいもん」
うん、バレバレ。
:09/09/05 23:31
:N703iD
:PSrvbbbw
#313 [七瀬]
「うん。実は話ある」
雨が降ったら
傘を貸してあげる。
そんで、傘を返しにもらうなんて理由を作って千頼に会いに行く。
千頼が帰りそうになったら腕をつかんで引き止める。
そんでもって、
そのままぎゅーってする。
:09/09/05 23:32
:N703iD
:PSrvbbbw
#314 [七瀬]
その2つの、
どっちもできないのは
「えっとねー‥
別れない?」
紛れもなく俺のせい。
千頼はどんな顔をしているんだろう。
:09/09/05 23:34
:N703iD
:PSrvbbbw
#315 [七瀬]
――――――――――…
変化がありました。
あたしと彼の間に、
大きな変化があったのです。
その一言は、
とても軽く自然に彼の口から出て、
その口調とは裏腹に、
あたしにとっては残酷過ぎる言葉でした。
:09/09/05 23:34
:N703iD
:PSrvbbbw
#316 [七瀬]
「‥ふふふ‥はは。
カズやっぱり変だよ」
彼がおかしいのか。
あたしがおかしいのか。
「エイプリルフールは、もうとっくに終わってるよ」
きっと両方変なんだよ。
狂ってる。
あたしの脳は、
自分を守るために
都合よく解釈した。
:09/09/05 23:35
:N703iD
:PSrvbbbw
#317 [七瀬]
「冗談はもう‥いいよ」
「冗談じゃない」
彼は、はっきりと静かに言った。
その声の中には、きっと
冷酷な悪魔が潜んでいる。
「ふふ‥ふ。カズはいつも突然だなぁ」
あたしはなんとか
平然を保とうとした。
:09/09/05 23:36
:N703iD
:PSrvbbbw
#318 [七瀬]
「‥いきなり付き合おう、って言ったかと思えば、
別れよう、か‥」
彼は、きっとおかしいの。きっとそう。
じゃなきゃ
説明つかないよ。
「‥なんっでぇ‥カズ‥」
:09/09/05 23:37
:N703iD
:PSrvbbbw
#319 [七瀬]
変化がありました。
あたしと彼の間に。
友達から彼氏になって、
彼氏からクラスメート。
ただのクラスメートに。
結果的にあたしは、
カズを失った――
:09/09/05 23:38
:N703iD
:PSrvbbbw
#320 [七瀬]
そして、変化は
これだけではなかった。
あたしの知らぬ間に、
周りは
どんどん変わっていった。
これはまだ始まりということに気付けるほど、
いまのあたしは
冷静ではなかった。
:09/09/05 23:38
:N703iD
:PSrvbbbw
#321 [七瀬]
4/28、
夏へと近づいていく中、
ひとつ季節が終わって、
あたしの恋も終わった。
:09/09/05 23:41
:N703iD
:PSrvbbbw
#322 [七瀬]
今日はここまでです!
よろしければ、
ご感想をお聞かせ下さい♪http://bbs1.ryne.jp/r.php/novel/4276/
:09/09/05 23:48
:N703iD
:PSrvbbbw
#323 [七瀬]
:09/09/05 23:51
:N703iD
:PSrvbbbw
#324 [七瀬]
No.9 時の流れ
:09/09/11 19:12
:N703iD
:482lwPvA
#325 [七瀬]
「‥うん‥うん‥。
それでそれで?」
深夜を回った。
「‥うんうん。‥‥え‥? あ!ほんとだぁっ!!」
慌てて台所へ走る。
「ふぅ〜‥ギリギリ
間に合ったぁ‥‥‥」
ほんとうにギリギリ、
やかんから溢れずに済んだ。
:09/09/12 09:36
:N703iD
:s/pxcVGo
#326 [七瀬]
「いやー、ごめんごめん。話に夢中になっちゃって、気付かなったよぉ」
"千頼は抜けてるから"
電波越しの愛しい人は、
半ば呆れながらも、
笑って答える。
最初は、
なんだかくすぐったかった"千頼"という呼び方も
今では慣れた。
:09/09/12 09:37
:N703iD
:s/pxcVGo
#327 [七瀬]
「あはは、ごめんって。
え?大丈夫だって、もう!心配しすぎー」
肩に携帯を挟みながら、
カップにお湯を注ぐ。
ここに来たばっかりのとき買ったココアも、もう半分近く減っていた。
もうそろそろ
新しいのを買おうか、
それともこれから暖かくなるだろうし止めとこうか。
いま悩んでいる最中。
:09/09/12 10:14
:N703iD
:s/pxcVGo
#328 [七瀬]
"あ、もうこんな時間だ"
時間は早く過ぎる。
「‥ほんと、だね」
特に楽しい時間は。
"なに千頼。もしかして
電話切りたくない?"
クスクスと笑う声が聞こえてくる。
「そんなことっ‥」
:09/09/12 10:14
:N703iD
:s/pxcVGo
#329 [七瀬]
入れたてのココアからは、甘ーい湯気が立っている。
「‥‥ある、けど‥」
"はは、正直でよろしい"
ちょーっと意地悪なとこがあるけど、大切な人。
"また明日も電話するから"
「‥うん」
"好きだよ、千頼"
:09/09/12 10:16
:N703iD
:s/pxcVGo
#330 [七瀬]
「‥‥‥」
意地悪かと思うと、
急にやさしくなるから、
なんだか恥ずかしくなる。
"おやすみ"
「‥おやすみ、陽」
前田陽。
あたしの愛しい人。
:09/09/12 10:16
:N703iD
:s/pxcVGo
#331 [七瀬]
葉山千頼、18歳。
D外国大学、一年生。
まだ温かい春。
あたしは、ひとつ
大きな山を越えました。
:09/09/12 10:17
:N703iD
:s/pxcVGo
#332 [七瀬]
「‥はぁ、あったまる」
東京の春は、少し冷たい。
「あ、明日の用意しないと」
でも、大丈夫。
ホットココアと、
毎日の陽からの電話が
あっためてくれるから。
:09/09/12 10:18
:N703iD
:s/pxcVGo
#333 [七瀬]
まだ1ヶ月も
経っていないけど
大学生活、バイトに
一人暮らしだって、
がんばってるつもり。
「‥あ゙ーー!
課題忘れたぁ!!!」
‥がんばってる、つもり。
:09/09/12 10:19
:N703iD
:s/pxcVGo
#334 [七瀬]
時間は早く過ぎる。
特に楽しい時間は。
カレンダーへと目を向けると
「‥4/28‥‥」
時は、あたしを
あたしたちを
待ってはくれなかった。
:09/09/12 10:20
:N703iD
:s/pxcVGo
#335 [七瀬]
どんどんどんどん流れて、
どんどんどんどん
あたしを置いてきぼりに。
やらなければ
ならないときに、
なにもできずにいた
あたしを救ってくれたのは
まぎれもなく彼だった。
:09/09/12 10:21
:N703iD
:s/pxcVGo
#336 [七瀬]
前田陽。
あたしの幼なじみ。
あたしの恩人。
そして、愛しい人。
だけど
あたしは、まだ想いを断ち切れていない。
:09/09/12 10:22
:N703iD
:s/pxcVGo
#337 [七瀬]
――――――――――…
「ちーよーりっ!
まーた彼氏とメール!?
この幸せ者がっ!」
いま、バシバシあたしの
背中を叩いているのが、
「‥ちょちょっと痛い〜‥ 花寿美ぃ!!」
大江花寿美、
オオ エ カ ス ミ
同じ大学の同じ学科の
同じ学年同い年。
:09/09/12 10:24
:N703iD
:s/pxcVGo
#338 [七瀬]
「痛いじゃなーいのっ!!朝にラブラブメール送っている千頼のすがた見てる
あたしのほうが痛いよ!」
そう言って、
心臓を押さえる花寿美。
「‥なに言ってんの‥」
「ああ〜っ!彼氏ほしーい!うらやましいー!!」
花寿美は、かなりかわいいのに、長いこと彼氏がいないらしい。
:09/09/12 10:25
:N703iD
:s/pxcVGo
#339 [七瀬]
「よしっ!次はゲットするぞぉっ!!」
そんで、彼氏ゲットのため合コンばーっかり行ってたら、
いつのまにか、合コンが
趣味になっていたらしい。
「はぁ〜‥花寿美ったら」
呆れてものも言えない。
:09/09/12 10:26
:N703iD
:s/pxcVGo
#340 [七瀬]
でも、
東京に来たばっかりで、
戸惑っていたあたしに
いちばん
最初にできた友だち。
なんだかんだ
あたしは花寿美が好きだ。
「千頼ぃ〜」
大きな目をパチパチさせながら花寿美は、あたしを呼んだ。
:09/09/12 10:27
:N703iD
:s/pxcVGo
#341 [七瀬]
「ね、千頼も一緒に行かない!?今度の合コン!!」
「行かない」
「んもぉ〜‥。
即答だなぁ‥」
「行くわけないじゃん」
あたしには、
陽がいるもん!!
「‥ちょっとくらいいいじゃん」
あくどい顔をする花寿美。
:09/09/12 10:28
:N703iD
:s/pxcVGo
#342 [七瀬]
「なに言ってんの‥」
さらに呆れてしまった。
「だぁーって、
彼氏は遠ーい遠ーい離れたとこにいるんでしょ?
バレないバレない!」
「‥そういう
問題じゃなくって‥」
「一回くらい
いーじゃんっ!!!」
花寿美は引かない。
:09/09/12 10:29
:N703iD
:s/pxcVGo
#343 [七瀬]
「千頼だって、
まだここに来て数週間」
引くどころか、
ヒートアップしてきた。
「まだ慣れない土地‥。
ちょーっと、友だちの輪を広げよう、とか思わないわけ!??」
「‥それが、
合コンですか‥」
ため息をつかずには
いられなかった。
:09/09/12 10:30
:N703iD
:s/pxcVGo
#344 [七瀬]
「いいじゃんいいじゃん。実はね、人数一人足りないの」
てへっと、
舌を出す花寿美。
「‥‥」
「お願い!千頼!
座っとくだけでいーの!」
しまいには、
手を合わせだす始末。
あたしは、
神さまでも仏様でもない。
:09/09/12 10:30
:N703iD
:s/pxcVGo
#345 [七瀬]
「‥‥じゃあ仕方なく‥」
「わあっ!ありがと千頼! 大好きぃ〜〜!!」
抱きつこうとしてきた
花寿美を手で制す。
「陽から、許可が出たら、 ね!」
花寿美も真剣な目でうなずいた。
夜言おう‥。
:09/09/12 10:33
:N703iD
:s/pxcVGo
#346 [七瀬]
――――――――――…
――ピリリリリ‥
いつもの時間。
ブーブーと揺れる携帯。
「もしもしー」
いつもの風景。
「もしもし、俺」
やすらぎの時がやってきた。
:09/09/12 10:34
:N703iD
:s/pxcVGo
#347 [七瀬]
「今日は、なんか変わったことなかった?」
いつもの質問。
「大丈夫。いつもどおり」
ぶっきらぼうな声から、
伝わってくる。
「そっか。良かった」
彼のやさしさ。
:09/09/12 10:34
:N703iD
:s/pxcVGo
#348 [七瀬]
「陽は、どう?」
「俺も、いつもどおり」
「よかった」
あたしたちの会話は、
いつもこれから始まる。
「‥あ、実は今日ね」
あたしは、陽に
合コンのことを話した。
:09/09/12 10:35
:N703iD
:s/pxcVGo
#349 [七瀬]
「‥というわけ、
なんだけど」
陽が無言になってしまったので、
「‥でもっ、もし嫌だったら、今からでも断るし‥」
慌てて、付け足した。
「‥あのなぁ」
しばらくしてから、
陽は口を開く。
:09/09/12 10:36
:N703iD
:s/pxcVGo
#350 [七瀬]
「ただでさえ、毎日会えなくて、こうして声聞くだけで、いや‥声聞くだけでも十分なんだけど‥」
陽の声がだんだん小さくなっていく。
それが、あたしには
たまらなくうれしかった。
「そのだから‥不安だったりするわけで」
なんか、かわいくない!?
:09/09/12 10:37
:N703iD
:s/pxcVGo
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