らぶずっきゅん!!!!
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#351 [七瀬]
「‥ふふ、わかった。
明日、花寿美に断っとく」
あたしは、うれしさ半分、恥ずかしさ半分といった
気持ちで陽に伝えた。
「‥いや、いいよ。
やっぱり行ってきても」
「いいよ?どうせ行っても、座っとくだけだし!」
「ううん。たまには、そういう付き合いも大切だろうし、行っといで」
:09/09/12 10:39
:N703iD
:s/pxcVGo
#352 [七瀬]
また深夜を回ろうとしていた。
「千頼、こうしてちゃんと言ってくれたし、なによりその‥‥」
東京の夜は寒い。
「俺は、
千頼を信じてるから」
でも、大丈夫だよ。
陽の言葉の一つ一つが
あっためてくれるから。
:09/09/12 10:40
:N703iD
:s/pxcVGo
#353 [七瀬]
「じゃあ‥もう遅いから。 おやすみ」
「陽、ありがとう。
大好き」
電話から、ごほんごほんと咳き込む音が聞こえた。
「‥その電話して‥。
合コン、終わったら」
あたしがおもいっきりの
スマイルで「うん!」と、言ったのは、
たぶん
陽にも伝わったはず。
:09/09/12 10:41
:N703iD
:s/pxcVGo
#354 [七瀬]
――――――――――…
「はじめましてぇ!大江花寿美、18歳ですっ!!」
メイクだって、巻だって
いつもの三倍は気合いの入った花寿美とは裏腹に
「葉山千頼、同じく18歳です。よろしくお願いします」
なんとも、
ふっつーなあたし。
:09/09/12 10:46
:N703iD
:s/pxcVGo
#355 [七瀬]
畳の敷かれた部屋は、
個室になっていた。
一個しかない電球のせいで室内はけっこう暗い。
それが、オシャレというかなんというか‥、
まあはっきり言って、あたしには、よくわかんない。
その電球の下には、
テーブルの中心にある網があった。
:09/09/12 10:48
:N703iD
:s/pxcVGo
#356 [七瀬]
「じゃーまず、乾杯しますか!」
花寿美と一人の男の子は、慣れたように、リードした。
あたしと花寿美、そして、もう一人の花寿美の友だちだという女の子、
そして、三人の男性と
人生初の合コンが
幕を上げた。
:09/09/12 10:49
:N703iD
:s/pxcVGo
#357 [七瀬]
「かんぱーいっっ!!」
みんなお酒を飲んでいたがあたしは水しか飲まなかった。
だってだって!
未成年だもんっ!
―真面目ですいません―
花寿美は、もうターゲットを決めてたみたいで、ぐいぐいアピールしまくっている。
:09/09/12 10:49
:N703iD
:s/pxcVGo
#358 [七瀬]
もう一人の子も、
一時間ほど経つと、いい感じになってきたみたいで、男と絡んでいた。
なんか‥取り残されちゃったなぁ。
ほんとうにじっと座っていたあたしは余っちゃったみたい。
ただジュージューと焼けるお肉を食べていた。
:09/09/12 10:50
:N703iD
:s/pxcVGo
#359 [七瀬]
「‥ねー‥ねぇ!」
「は!‥はひ‥」
お肉に夢中になっていた
あたしは、呼ばれたことに気付かなかった。
「な、なんでひょう‥」
口いっぱいにやわらかいハラミを詰め込んでいたあたしは、うまく話せない。
:09/09/12 10:51
:N703iD
:s/pxcVGo
#360 [七瀬]
「名前ー‥たしか千頼、
だったっけ」
なんだよ、馴々しいなー、と思いながらも、うなずくと
「そーだよな!!ってか、オレの名前知ってる?」
「ふいまへん」
まだ肉汁があたしの口内を支配したままだったので、首を振りながら精一杯答えた。
:09/09/12 10:52
:N703iD
:s/pxcVGo
#361 [七瀬]
「ははっ!やっぱりなー。オレ、颯太!」
ソウ タ
あまりの勢いに、押されながらも小さくうなずいた。
「いやー。オレ余っちまってさー。退屈してたんだ」
「ほぉなんですか‥」
一応、礼儀として
口に手を添えて答えた。
:09/09/12 10:53
:N703iD
:s/pxcVGo
#362 [七瀬]
「ってか、あんた。さっきから肉食い過ぎだから!」
突然の指摘に
下を向いてしまった。
「ごめんごめん。
"あんた"じゃなかった」
颯太と名乗る男は、
あたしが下を向いたのは、"あんた"と呼ばれたから、と思ったのか、言い直した。
:09/09/12 10:54
:N703iD
:s/pxcVGo
#363 [七瀬]
「いえ‥違いま」
「肉ばっか食ってねーで、 ちゃんと人の名前
覚えろよ!!」
頭をぽんぽんってされる。
「ちーよりちゃん?」
――どき
なんだろ、懐かしい。
:09/09/12 10:55
:N703iD
:s/pxcVGo
#364 [七瀬]
「ってか、
ほんとよく食べるなー」
あ、そっか。
「そんな食べると、
牛になっちゃうよ?」
この人の呼び方、似てる。
:09/09/12 10:56
:N703iD
:s/pxcVGo
#365 [七瀬]
"ちぃ〜よぉ〜"
"ちーよーり!"
"‥ちよ"
―――似てるんだ。
:09/09/12 10:58
:N703iD
:s/pxcVGo
#366 [七瀬]
「ってかさ、大丈夫?」
「ふえ?」
「いま飲んだの、チューハイだけど‥」
あたしは突然やってきた、胸の高鳴りを抑えるためにそばにあったグラスを手にとった。
あまりに動揺してたためかそれがお酒だと、気付かず飲んでしまったのだ。
:09/09/12 10:59
:N703iD
:s/pxcVGo
#367 [七瀬]
「‥だ、大丈夫です」
「そ?ならいいんだけど。ぜんぜん酒飲んでなかったから苦手なのかなー、って思ってたから」
よく見てるんだな、と思ったのが顔に出たのか、
「まー、大丈夫ならよかった」
男は、照れくさそうに、
笑った。
:09/09/12 11:00
:N703iD
:s/pxcVGo
#368 [七瀬]
「苦手っていうか、なんというか‥、ほらあたし未成年だから‥」
「‥ふっ、ははは。真面目だねー。ちよは」
あたしは、
バッと顔を上げた。
なんで、その呼び名‥。
「あ、ごめんね?馴々しく "ちよ"とか呼んじゃって。妹の名前がチヨコでいつもそう呼んでるからつい‥」
:09/09/12 11:01
:N703iD
:s/pxcVGo
#369 [七瀬]
「‥いえ。気にしないで下さい」
なーんだ。
理由を聞いたら、なぜかちょっとがっかりしてしまった自分がいた。
「あのさ」
「はい?」
「敬語、止めない?」
「は、はぁ」
:09/09/12 11:02
:N703iD
:s/pxcVGo
#370 [七瀬]
「せっかくの合コンなんだから。ちよ」
「その呼び方止めてください!」
「じゃあ敬語も止めようか」
交換条件。
「わかりました」
「ちよ、わかってない。
敬語だめ」
:09/09/12 11:03
:N703iD
:s/pxcVGo
#371 [七瀬]
「‥わかった」
「よろしい。千頼ちゃん」
いやいやと言う風に返事をしたのに、男は納得したようだった。
「あ、あと颯太って呼んで。オレのこと」
「それは無理です!あなたのほうが年上なんだし!」
「ち〜よ?け・い・語」
:09/09/12 11:05
:N703iD
:s/pxcVGo
#372 [七瀬]
「‥‥颯太"さん"のほうが年上なんだし無理!!」
やけに、"さん"を強調してやった。
「"颯太さん"か。うーん、まあいいよそれで!」
颯太さんは、
いかにも納得してません!という顔をしたと思ったら
「いつか颯太って呼びたくなるようにしたげる」
にっこりとした。
:09/09/12 11:07
:N703iD
:s/pxcVGo
#373 [七瀬]
‥‥なに、どきっとしてんだ、あたし!!
あたしは、赤みを増す頬をごまかすため、またお酒を飲んだ。
「さっきから飲んでる酒、オレのなんっすけど」
「す、すすすみません!
じゃなくて、すまん!?」
「ははは!そんなに飲みたいんならチューモンしたげる」
そう言って、メニューを広げた颯太さん。
:09/09/12 11:08
:N703iD
:s/pxcVGo
#374 [七瀬]
「い、いいよぉ‥」
「いーからいーから」
あたしは、完全に颯太さんのペースに呑まれている。
久しぶりに訪れた激しい感情に、少し舞い上がってしまっていたのかもしれない。
「千頼ちゃんには、どれがいいだろ。あんま強いのはダメだよね」
:09/09/12 11:12
:N703iD
:s/pxcVGo
#375 [七瀬]
あたしは、困ったように。
でも、微笑を浮かべながら
無邪気に、メニューを眺める颯太さんの横に座った。
過去の扉を開けるように―
:09/09/12 11:16
:N703iD
:s/pxcVGo
#376 [七瀬]
:09/09/12 11:18
:N703iD
:s/pxcVGo
#377 [七瀬]
No.10 いちご
ミルフィーユ
:09/09/20 21:24
:N703iD
:AJOkFi7.
#378 [七瀬]
「‥う、ん‥」
いま‥何時‥?
かたわらにある携帯に
手を伸ばした。
「バイト行かないと‥」
はずが、ない。
あるはずのものがなく、
伸ばしたあたしの手は、
見事にスルッと滑った。
:09/09/20 21:26
:N703iD
:AJOkFi7.
#379 [七瀬]
「んもぉ〜‥どこぉ‥」
しかたなく、
重いまぶたを開く。
すると、目に入ってきたのは、
「‥ここ‥、ど、こ‥」
小さいテーブルに
白いソファー。
上京してきたばっかりの、ビンボー女子大生には、夢のまた夢、おっきい液晶テレビ。
:09/09/20 21:26
:N703iD
:AJOkFi7.
#380 [七瀬]
「うーん‥‥」
あたしは、夢でも見ているのだろうか。
うん、そうだ。
きっと夢でも見てるんだ。
「‥‥もう一眠りしよ‥」
そうやって、やわらかく心地よいタオル地の布団を頭までかぶった。
:09/09/20 21:27
:N703iD
:AJOkFi7.
#381 [七瀬]
「!??」
その瞬間、
バッと飛び起きていた。
‥あたし‥‥、
「‥なんにも‥着てない」
なんとなく気付いてた。
重たい頭のせいで、
起きたときから。
:09/09/20 21:28
:N703iD
:AJOkFi7.
#382 [七瀬]
でも、でもでも。
夢のせいにしないとって、本能が叫んでいた。
ううん。
夢のせいにしたかった。
だけど、
下着すらも着けていない
自分自身の身体が、
昨日のできごとを物語っていた。
:09/09/20 21:29
:N703iD
:AJOkFi7.
#383 [七瀬]
ここは、
きっと‥颯太さんの家。
間違いない。
絶対そうだ。
「‥‥ふぁあ〜あ‥。
あれ、千頼ちゃん起きた?」
やっぱり‥。
あたしは、ドアを開けて入ってきた、半裸の颯太さんをにらみつけた。
:09/09/20 21:30
:N703iD
:AJOkFi7.
#384 [七瀬]
「‥なに千頼ちゃん」
にらむあたしを、颯太さんはニヤリと笑って見る。
「昨晩は、あんなに受け身だったのに‥、ね」
ショックだった。
正直言って、
記憶がなかった。
こんな状況でも、
記憶がない限り小さな望みに賭けたかった。
:09/09/20 21:31
:N703iD
:AJOkFi7.
#385 [七瀬]
颯太さんの頼んでくれた
お酒が思いの外、美味しくって、たくさん飲んでしまったのは覚えている。
フラっフラのあたしを送ってくれようとした颯太さんとタクシーに乗ったのも、覚えている。
「‥その後だ」
まったく覚えてないのは。
:09/09/20 21:31
:N703iD
:AJOkFi7.
#386 [七瀬]
「ど?思い出した?」
あたしに伸ばそうとした
手を払い除けて、
ベッド下に落ちている下着を素早く着けた。
「あたしの服はどこですかっ!??」
下着はすぐそこにあったのに、あたしの服が見当たらない。
:09/09/20 21:33
:N703iD
:AJOkFi7.
#387 [七瀬]
はぁ、とため息をつく颯太さんの手には、昨日あたしがはいていたスカートが。
「返して!!」
勢いよく、それを取った。
「上はどこにあるの!?」
呆れたようすのままの颯太さんは「‥そこ」と玄関方向だろう先を指差した。
:09/09/20 21:33
:N703iD
:AJOkFi7.
#388 [七瀬]
あたしはあわてて、
廊下を通って、玄関へ向かった。
そこには、あたしのパンプスのすぐそばに、シャツが落ちていた。
それを拾い上げると
「あのさ、もしかしてなにか勘違いしてない?」
うしろから、もっとも聞きたくない声が聞こえた。
:09/09/20 21:34
:N703iD
:AJOkFi7.
#389 [七瀬]
「‥なにが、ですか」
あたしは、
上を着て振り返った。
「服、脱ぎだしたの千頼ちゃんだよ?」
「うそっ‥!」
「うそじゃないよ」
きっぱりと言う颯太さんに首を振るあたし。
:09/09/20 21:35
:N703iD
:AJOkFi7.
#390 [七瀬]
「ちなみにオレの部屋に行きたいって言い出したのも千頼ちゃん。タクシー乗って、いきなりダダこねだすから‥、途中で行き先変えてもらって‥」
「うそよ!!」
「だから、うそじゃないって。大変だったよ、オレも運転手さんも」
ははは、と笑う颯太さんを放って、帰ろうとドアのぶに手を掛けたが、思いとどまった。
:09/09/20 21:36
:N703iD
:AJOkFi7.
#391 [七瀬]
「‥‥バッグ」
「はい、どーぞ」
あたしの思っていたことが分かっていたらしく、
すでに、手に握っていたようだ。
「‥おじゃましました」
そんな余裕綽々な態度が、よけいにあたしをイライラさせた。
:09/09/20 21:37
:N703iD
:AJOkFi7.
#392 [七瀬]
「またのお越しをー」
気の抜けそうな、なんとものんきな声に見送られ、
二度と来るものかっ!!
と思いながら、
高くそびえ立つ、あたしんちの家賃の3倍はしそうなマンションを後にした。
:09/09/20 21:38
:N703iD
:AJOkFi7.
#393 [七瀬]
「ドアが閉まります。ご注意下さい」
駆け込み乗車をして、
白い目に注目を浴びながらドア付近に寄った。
「はぁ‥」
鉛のような頭痛と
後悔が改めて襲う。
携帯を開くと、
陽からの不在着信がいくつも入っていた。
:09/09/20 21:38
:N703iD
:AJOkFi7.
#394 [七瀬]
そして、メールも。
"大丈夫か?メールでもいいから、連絡して"
後悔の念は、押し寄せてくるばかり。
一刻も早く陽に電話するべきだったが、
気が重くてできず、
昼からのバイトのため
家に帰って、シャワーを浴びた。
:09/09/20 21:39
:N703iD
:AJOkFi7.
#395 [七瀬]
バイトから帰ってくると、もう12時を回っていた。
切っていた電源を入れるとやっぱり不在着信。
相手は、もちろん
「もしもし‥陽?」
頭痛はまだ治まらず、
仕事疲れで体がダルかったけれど、陽の声が聞きたかった。
自分勝手だけど、ちゃんと言わなきゃって思った。
:09/09/20 21:40
:N703iD
:AJOkFi7.
#396 [七瀬]
「疲れてたのか?」
相変わらずのやさしい声。
一日聞かなかっただけなのに、とても懐かしい。
「‥うん、ごめんね。
昨日電話しなくて」
ああ、これだ。
あたしの聞きたかった声。
泣きそうになったのを
必死で堪えた。
:09/09/20 21:41
:N703iD
:AJOkFi7.
#397 [七瀬]
「いや、いいんだ。
ただ心配で」
でも、陽のやさしさに触れるたび、胸が痛む。
「ほんとごめんね。昨日は初めて合コンなんか行ったものだから、疲れちゃってて‥」
言えない。
言えるわけないよ‥。
心のなかで、陽にごめん、と電話し忘れたことではないことに謝った。
:09/09/20 21:42
:N703iD
:AJOkFi7.
#398 [七瀬]
「だから、いいって。それより、今日はバイトだったんだろ」
なんで、
そんなにやさしいの。
「今日はもう切るよ。まだ疲れ残ってるだろうし。
明日も学校あるし、千頼ももう寝‥」
「‥っ‥」
「千頼?」
「‥‥‥」
:09/09/20 21:43
:N703iD
:AJOkFi7.
#399 [七瀬]
「どうかした?」
「‥ううん‥なんで、も、ない‥」
やばい、ほんとうに泣きそうになった。
「‥そ。じゃあ切るな。
おやすみ」
「おやすみ」
ってか、もう泣いてた。
:09/09/20 21:44
:N703iD
:AJOkFi7.
#400 [七瀬]
「‥う‥ふえ」
陽の心配してるよ、と言った辺りから涙が一筋頬を伝っていた。
電話が切れたとたん、
「‥うっうう‥ふえぇえ」
張り詰めていた糸が切れたようで、涙が止まらなかった。
:09/09/20 21:44
:N703iD
:AJOkFi7.
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